JP2014238115A - 管体の損傷箇所観察器具と損傷箇所観察方法 - Google Patents

管体の損傷箇所観察器具と損傷箇所観察方法 Download PDF

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Abstract

【課題】管体の漏洩孔から流体が外部に漏洩している状態でも漏洩孔を観察できる。【解決手段】損傷個所観察器具1は、一対の基板5を漏洩孔3の両側でパイプライン2のガス導管2aに取り付けた。各基板5はベルト10でガス導管2aに巻き付けて連結した。各基板5に植設された基軸6に貫通孔を挿通させた透過板7を設置し、基軸6に設けた雄ネジにワッシャを介して調整ナット12を螺合させる。漏洩孔3に対して透過板7を基軸6に沿って近づけて、漏洩孔3と透過板7との間で噴出ガスによって海水が排除されて漏洩孔3を観察できる位置に調整ナット12を締め込んで支持する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば海中や水中等に敷設されたガス等の流体を搬送するパイプライン等の管体に腐食や破損等で損傷個所が生じた場合、流体が噴出する状態下で修復等のために損傷箇所を観察できるようにした管体の損傷箇所観察器具と損傷箇所観察方法を提供することを目的とする。
従来、海底にはガス等の流体を搬送するパイプラインが敷設されている。このパイプラインが腐食したり、航行する船の錨等が当たったりして、パイプラインのガス導管が損傷したり亀裂が生じたりして孔(以下、漏洩孔という)ができることがあった。すると、ガス導管内部のガスが漏洩孔から海中に噴出することがあった。
この場合、損傷した漏洩孔を早急に修復しないと、ガス導管から海中に放出されたガスは拡散されて海面から大気中に放出される。ガスは可燃性であるために海上に拡散すると火災等の二次災害が発生する可能性があった。
このような場合、二次災害を防ぐために、またガスの大量放出を抑制するために、可能な限り速やかに漏洩孔からのガスの噴出を止める必要があった。しかし、漏洩孔からのガスの噴出を迅速に止めるための有効な手段がなかったため、ガス導管の修理が終了するまで、漏洩孔からガスが漏れっぱなしであった。
また、ガス導管の漏洩孔を修理する際、パイプラインのガス搬送を止めて修理するとガス導管のガス圧が低下するので、パイプラインを海底に設置した場合には、漏洩孔からガス導管内に海水が侵入してしまうという不具合があり、修復作業が複雑且つ大規模化してしまうことが懸念された。
このようなパイプラインからのガスの漏洩を検知する手段として、例えば特許文献1に開示された発明がある。特許文献1に記載されたパイプラインの異常検知装置では、パイプライン内を流れるガスや油の流れを利用して発電する発電部を備え、パイプライン内を通過するガスを常時監視し、パイプラインからのガスの漏洩またはパイプラインの変形をセンサ手段で検知する。そして、パイプラインからガスの漏れがあった場合には、センサ手段からの信号に基づいてガスの漏洩を制御装置で判断して遮断バルブによってパイプラインを遮断するようにしている。そして、遮断されたパイプラインの漏洩孔を補修して復旧させていた。
この装置では、パイプライン内に発電装置を設ける必要があり、しかも、ガス供給を遮断することで漏洩孔からパイプライン内に海水が流入する不具合は解決されていない。
ところで、海底のパイプラインで損傷箇所の漏洩孔からガスが噴出した場合、まず仮復旧工事を行い、次いで本復旧工事を行うようになっているが、いずれも複雑で大掛かりな工事が必要であった。
特開2005−148975号公報
しかしながら、損傷したパイプラインの仮復旧工事や本復旧工事を行うにしても、ガスが漏洩孔から噴出した状態下で損傷箇所の仮閉塞を行うことはガスの損失を速やかに抑えるために有効ではあるが、パイプラインにおける漏洩孔の損傷の程度によっては漏洩孔の仮閉塞ができないことも想定されている。
パイプラインの漏洩孔の仮閉塞を行う場合、漏洩孔からガスが噴出する状態下で損傷個所の観察が不可避であるが、漏洩孔からガスが噴出すると共に海水中に気泡が発生することで視界がきかないため漏洩孔の観察が困難であり、観察方法も確立されておらず、損傷個所の迅速な仮閉塞は困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、管体に生じた漏洩孔から流体が外部に漏洩している状態でも、漏洩孔を迅速に観察できるようにした管体の損傷箇所観察器具と損傷箇所観察方法を提供することを目的とする。
本発明による損傷個所観察器具は、流体を搬送する管体に生じた損傷個所の漏洩孔から流体が噴出する場合に、該漏洩孔を観察するための管体の損傷箇所観察器具であって、管体に取り付けられる取り付け具と、漏洩孔から所定距離をおいて取り付け具に取り付けられる透過板とを備え、漏洩孔と透過板との間で噴出する流体によって海水または水が排除されて漏洩孔を観察できるようにしたことを特徴とする。
また、本発明による損傷箇所観察方法は、流体を搬送する管体に生じた損傷個所の漏洩孔から流体が噴出する場合に、該漏洩孔を観察するための管体の損傷箇所観察方法であって、管体に取り付けられる取り付け具に対して透過板を取り付けて、漏洩孔と透過板との間で海水または水が漏洩孔から噴出する流体によって排除されて漏洩孔を観察できるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、損傷個所である漏洩孔に対して所定距離おいた位置に透過板を対向して取り付けることで、漏洩孔と透過板との間で漏洩孔から噴出する流体によって海水または水が排除されて海水または水に含まれる気泡も排除されるため、流体が噴出する損傷個所の漏洩孔の形状や寸法や損傷状況等を目視観察できる。
なお、取り付け具は、管体に取り付けられる基板と透過板を進退可能に取り付ける基軸とを備えている。
また、取り付け具は、漏洩孔からの透過板の設置距離を調整可能で任意の位置で透過板を固定する固定具を備えていることが好ましい。
管体の漏洩孔に対して透過板を進退可能に配設し、透過板には噴出する流体によって漏洩孔から離間する方向の圧力が付与されており、漏洩孔と透過板との距離を漏洩孔から噴出する海水や水を排除して噴出する流体で充満できる位置に透過板を設置することで、水圧とバランスする位置で透過板を位置決めして固定具で固定できる。
また、取り付け具はベルトによって管体に固定するようにしてもよい。
ベルトによって取り付け具と管体を一体に連結することで、噴出する流体の圧力に抗して取り付け具を管体に固定できる。
また、取り付け具は雄ねじが形成された基軸を有し、固定具は雄ねじに螺合して基軸に挿通された透過板を係止させる調整ナットであることが好ましい。
取り付け具の基軸に沿って透過板を昇降させることで漏洩孔との距離を調整でき、所望の位置で固定具である調整ナットを締め込むことで漏洩孔に対する透過板の距離を設定できる。
本発明による損傷箇所観察方法によれば、透過板は取り付け具に対して漏洩孔からの距離を調整可能としたことを特徴とする。
管体の漏洩孔に対して透過板を進退可能に配設し、透過板には噴出する流体によって漏洩孔から離間する方向の圧力が付与されており、透過板と漏洩孔との距離を両者の間で海水や水を排除して噴出する流体で充満できる位置に設定することで、水圧とバランスする位置で透過板を位置決めして固定具で固定できる。
本発明による管体の損傷個所観察器具及び損傷個所観察方法によれば、損傷個所の漏洩孔から流体が噴出すると共に海水や水中に漏洩孔の観察を阻害する気泡が発生しても、漏洩孔に対向する所定位置に透過板を設けることによって、噴出する流体によって海水や水を漏洩孔と透過板との間から排除することで損傷個所の漏洩孔を目視観察できるから、漏洩孔を封止する有効な対策や手段を講じることができる。
しかも、流体が噴出する状態で漏洩孔の目視観察ができるから、漏洩孔から管体内への海水や水の侵入を防止できる。
更に、損傷個所観察器具は構成が簡単で軽量であるから作業員のダイバーだけで管体の損傷個所に設置できて取扱いが容易である。
本発明の実施形態による損傷個所観察器具の正面図である。 図1に示す損傷個所観察器具の平面図である。 パイプラインの損傷個所に損傷個所観察器具を設置した状態を示す斜視図である。 (a)〜(d)は本発明の実施形態による損傷個所観察方法を示す図である。 本発明の実施例において、パイプラインの損傷個所を透過板を通して観察した状態を示す画像である。
以下、添付の図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態によるパイプラインの損傷個所観察器具と観察方法について説明する。
本実施形態における損傷個所観察器具1は、例えば海水より高圧のガスを搬送するためのパイプライン2を海底に設置した状態で、その一部の管体であるガス導管2aに損傷が生じた場合に、損傷個所に生じた漏洩孔3の形状や大きさ等を観察するためのものである。
図1及び図2に示す損傷個所観察器具1は、一対の基板5と、各基板5上に設けた基軸6と、一対の基軸6間に進退可能に取り付けた透過板7とを備えている。
基板5はプレート状で例えばその長手方向の一端側に形成した平板部5aに基軸6が基板5に垂直な方向に取り付けられ、他端側には凹部9が形成されている。基板5はパイプライン2上に載置するものであり、その裏面をパイプライン2の円筒面形状に応じた凹曲面形状に形成してもよいし、平板上に形成してもよい。
図3において、基板5の凹部9とパイプライン2を一体にベルト10で巻きつけることで、損傷個所観察器具1とパイプライン2を一体に固定するようになっている。この場合、一対の基板5はガス導管2aに生じた損傷個所である漏洩孔3を挟んでその両側であってガス導管2aの長手方向に設置するものとする。
ベルト10は例えばラッシングベルトを用いてもよい。
各基板5の一端側に垂直に植設された基軸6には雄ネジが形成されており、この雄ネジにワッシャ11を介して固定具としての調整ナット12が螺合されている。透過板7は例えばアクリル板やガラス板等の透過性を有する板材で形成され、その両側には基軸6に貫挿される貫通孔7aがそれぞれ形成されている。そして、透過板7を一対の貫通孔7aで一対の基軸6に挿入してその上にワッシャ11を介して調整ナット12を螺合することで、門型の損傷個所観察器具1が形成されている。
本実施形態による損傷個所観察器具1は上述の構成を備えており、次にこの損傷個所観察器具1を用いた損傷個所観察方法について図4及び図5を中心に説明する。
海底に設置されているパイプライン2のガス導管2aに腐食や錨が衝突すること等によって、ガス導管2aが損傷・破損して漏洩孔3が生じると、搬送される加圧ガスが漏洩孔3から海中に噴出することになる(図3、図4参照)。このような事故を作業員のダイバーが発見すると、ガスが噴出している状態で漏洩孔3を仮封止させるための仮復旧作業や本復旧作業を行うために、漏洩孔3の形状や寸法、そして損傷状態等を観察する必要がある。
この場合、まず最初に、海上の作業船で、損傷個所観察器具1を予め組み立てておく。即ち、一対の基板5の各基軸6に透過板7の各貫通孔7aをそれぞれ貫挿して透過板7を取り付け、更にワッシャ11を介して調整ナット12を各基軸6に螺合させることで透過板7を一対の基軸6に沿って進退可能に保持する。
次に、図4(a)に示すように、損傷個所観察器具1を、透過板7を基軸6の調整ナット12に当接する最も高い位置にセットして、ダイバーの作業員が海底に持ち込み、同図(b)に示すように、パイプライン2のガス導管2aにおける損傷個所である漏洩孔3を挟んでその両側に各基板5を設置する。各基板5はダイバーが人力でガス導管2a上に当接させて保持する。
この状態で、図4(c)に示すように、各基板5の凹部9にベルト10を取り付け、ガス導管2aと一体に巻回して図示しないラチェットでベルト10を締め付けることで各基板5をガス導管2aに固定する。
この状態で、ガス導管2aの漏洩孔3から噴出するガスは透過板7に衝突し、透過板7の外側に回って海上に向けて上昇すると共に、漏洩孔3と透過板7との間の空間にはガスの噴出によって海水が対流すると共に気泡が発生して海水中を上昇するため、上昇する気泡が透過板7に衝突し、透過板7を通して漏洩孔3を観察することができない。
そこで、ダイバーが透過板7を一対の基軸6に沿って調整ナット12に当接する位置から漏洩孔3に近づけて漏洩孔3と透過板7との距離を調整する。透過板7をガス導管2aの漏洩孔3に近づけると、漏洩孔3からのガスの噴出圧力によって海水が漏洩孔3と透過板7との間から排除されるので、漏洩孔3の観察を妨げる気泡も海水と共に排除することができる。この位置で、調整ナット12を締め込むことで透過板7を固定する。
そして、漏洩孔3から噴出するガスが透過板7に衝突して外側に流れるようにすることで漏洩孔3と透過板7の間から海水や気泡が排除されるため、漏洩孔3をダイバーが目視観察することができる。しかも、漏洩孔3から噴出するガスは透過板7に衝突して外側に流れるため、漏洩孔3の観察の妨げにならない。
この状態で、海上から透過板7までの水圧と漏洩孔3から透過板7に向けて噴出するガスの圧力とがバランスする。
また、撮影カメラによって漏洩孔3の形状や大きさ、そして損傷状態等を観察することで、作業船の表示ディスプレイに表示して観察と録画を行える。これらの観察結果から漏洩孔3を塞ぐための封止部材の形状や寸法等を観察、測定することができるため、仮復旧や本復旧のための漏洩孔3の封止部材を製作することができる。
なお、パイプライン2におけるガス圧の一例は2MP以下であり、発生する損傷個所の漏洩孔3は内径が5mm以下であることが好ましい。この場合、ベルト10は厚み3mm、幅50mm程度であることが好ましい。
図5は本発明の実施例による損傷個所観察器具1による漏洩孔3の観察結果を示す写真である。本実施例による試験では、ガスとして圧縮空気を用いた。パイプライン2におけるガス導管2aに生じた漏洩孔3の目視確認試験で、基軸6上の所定位置に固定された透過板7を透過して漏洩孔3を撮影した。図5で示すように、漏洩孔3と透過板7との間で漏洩孔3から噴出するガスによって海水が排除され、漏洩孔3の形状と大きさを目視確認でき、撮影できた。
上述のように本実施形態による損傷個所観察器具1及び観察方法によれば、損傷個所の漏洩孔3からガスが噴出すると共に海水中に気泡が発生しても、漏洩孔3に対向する所定距離に透過板7を近づけることにより、ガスの噴出圧力によって漏洩孔3と透過板7との間から海水と気泡を排除してガスを充満させることができるため、目視や撮影カメラを通して漏洩孔3を観察できる。そのため、漏洩孔3を封止する有効な仮復旧対策を講じることができる。
しかも、パイプライン2からガスが噴出している状態即ちパイプライン2の内圧を保持した状態で漏洩孔3の観察ができるから、ガス漏れから漏洩孔3の早期の状況確認による仮復旧対策を講じることができて、漏洩孔3からガス導管2a内への海水の浸入を防止できる。
更に、損傷個所観察器具1は構成が簡単で軽量であるからダイバーだけで設置ができて取扱いが容易である。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を変更しない範囲で上述した実施形態の構成を適宜変更することができる。
例えば、上述した実施形態による損傷個所観察器具1及び観察方法によれば、海底や海中に設置したパイプライン2だけでなく、湖や川やプール等の水中等に設置したパイプライン2である管体に生じた損傷箇所の観察に用いることができる。
また、上述の実施形態では、漏洩孔3から噴出する流体は天然ガス等のガスであるとしたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。その他の不活性ガスや活性ガス等の気体、石油等の流体等、適宜の圧力を有するこれら流体を搬送するパイプライン2に適用できる。
また、上述の実施形態では、パイプライン2のガス導管2aに損傷個所観察器具1を設置する前に、作業船上で予め組み立てておくこととしたが、ガス導管2aの漏洩孔3近傍で基板5をベルト10でガス導管2aに巻き付け固定して、損傷個所観察器具1を組み立てるようにしてもよい。また、漏洩孔3と透過板7の距離を調整することなく予め設定して基軸6に透過板7を取り付けて調整ナット12で固定しておいてもよい。
なお、上述の実施形態では、パイプライン2のガス導管2aに取り付ける取り付け部として基板5と基軸6と調整ナット12を採用し、ベルト10でガス導管2aに巻き付け固定するようにしたが、これに代えて基板5に電磁石や永久磁石等の磁石を設けてガス導管2aに吸着させて固定するようにしてもよい。
1 損傷個所観察器具
2 パイプライン
2a ガス導管
3 漏洩孔
5 基板
6 基軸
7 透過板
10 ベルト
12 調整ナット

Claims (6)

  1. 流体を搬送する管体に生じた損傷個所の漏洩孔から流体が噴出する場合に、該漏洩孔を観察するための管体の損傷箇所観察器具であって、
    前記管体に取り付けられる取り付け具と、前記漏洩孔から所定距離をおいて前記取り付け具に取り付けられる透過板とを備え、前記漏洩孔と透過板との間で噴出する流体によって海水または水が排除されて前記漏洩孔を観察できるようにしたことを特徴とする損傷箇所観察器具。
  2. 前記取り付け具は、前記漏洩孔からの前記透過板の設置距離を調整可能で任意の位置で該透過板を固定する固定具を備えた請求項1に記載された損傷箇所観察器具。
  3. 前記取り付け具はベルトによって管体に固定されるようにした請求項1または2に記載された損傷個所観察器具。
  4. 前記取り付け具は雄ねじが形成された基軸を有し、前記固定具は雄ねじに螺合して前記基軸に挿通された前記透過板を係止させる調整ナットである請求項2または3に記載された損傷箇所観察器具。
  5. 流体を搬送する管体に生じた損傷個所の漏洩孔から流体が噴出する場合に、該漏洩孔を観察するための管体の損傷箇所観察方法であって、前記管体に取り付けられる取り付け具に対して透過板を取り付けて、前記漏洩孔と透過板との間で海水または水が損傷個所から噴出する流体によって排除されて前記漏洩孔を観察できるようにしたことを特徴とする損傷箇所観察方法。
  6. 前記透過板は取り付け具に対して前記漏洩孔からの距離を調整可能とした請求項5に記載された損傷箇所観察方法。




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