JP2014238105A - プロペラシャフト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低コストで耐久性に優れ、かつスティックスリップの発生を低減できるプロペラシャフト及びその製造方法を提供すること。【解決手段】 本発明のプロペラシャフトは、樹脂コーティングが施されるスプラインの表面が0.75mm以下のピッチでホブ加工されてなることを特徴とする。また、本発明の製造方法は、0.75mm以下のピッチでホブによるスプライン加工し、樹脂コーティングを施すことを特徴とする。【選択図】図6
Description
本発明は、プロペラシャフト及びその製造方法に関する。
プロペラシャフトには、滑らかに摺動することが求められている。そして、静摩擦係数に対して動摩擦係数が低い場合に、すなわち摩擦係数と速度の特性(μ−V特性)が負勾配になる場合に、スティックスリップが生じやすいことが知られている。
これを解決するために、特許文献1〜2には、プロペラシャフトの摺動面に、ダイヤモンドライクカーボン(Diamond Like Carbon;DLC)や樹脂コーティングの固体潤滑被膜を施すことが記載されている。
DLCよりなる固体潤滑被膜をコーティングすることにより、スティックスリップの発生を抑制することができる。しかし、DLCを形成するための処理がバッチ処理であるため、コスト高になっていた。
樹脂コーティングの固体潤滑被膜では、DLCと比して安価にスティックスリップの発生抑制効果を得ることができる。しかし、DLCと比べると強度(硬度)に乏しく、耐摩耗性に問題があった。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、低コストで耐久性に優れ、かつスティックスリップの発生を低減できるプロペラシャフト及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために樹脂コーティング被膜を備えたプロペラシャフトについて検討を重ねた結果、(1)〜(4)のプロペラシャフト及び(5)〜(8)のプロペラシャフトの製造方法を見出した。
(1)本発明のプロペラシャフトは、互いに嵌合するスプラインシャフト及びスプラインスリーブを有し、スプラインシャフトの外面又はスプラインスリーブの内面の少なくとも一方に樹脂コーティングを施したプロペラシャフトにおいて、樹脂コーティングが施されるスプラインの表面は、0.75mm以下のピッチでホブ加工されてなることを特徴とする。
本発明のプロペラシャフトは、摺動面に樹脂コーティングを施したものであり、大気中での処理が可能となり、低コスト化を図ることができる。そして、樹脂コーティングが施される表面が、0.75mm以下のピッチでホブ加工されてなることで、摺動時に樹脂コーティングにかかる荷重の部分的な集中が抑えられ、その結果として、樹脂コーティングの摩耗が抑えられる。
そして、摺動面の樹脂コーティングは、繰り返し回数が増加したとしても静摩擦係数の増大を抑制でき、かつ、動摩擦係数の低下を抑制できる。つまり、静摩擦係数と動摩擦係数の差が小さな状態を維持することができる。従って、スティックスリップの発生を長期間にわたって抑制し続けることができる。
すなわち、本発明のプロペラシャフトは、スティックスリップの発生を抑制できる樹脂コーティングの摩耗が抑えられたことで、スティックスリップの発生をより長期間にわたって抑制し続けることができる。
すなわち、本発明のプロペラシャフトは、スティックスリップの発生を抑制できる樹脂コーティングの摩耗が抑えられたことで、スティックスリップの発生をより長期間にわたって抑制し続けることができる。
(2)好ましくは、ピッチが、0.5mm以上である。ピッチを0.5mm以上とすることで、ホブ加工の加工時間の長期化を抑えることができ、生産効率の低下を抑えることができる。
(3)好ましくは、樹脂コーティングが、固体潤滑剤を樹脂バインダで結合してなるものである。固体潤滑剤を樹脂バインダで結合してなる樹脂コーティングでは、上記効果をより発揮できる。特に、この構成の樹脂コーティングはDLCよりも強度が低く、荷重の部分的な集中が発生すると、より摩耗が生じやすくなっていた。このような比較的摩耗が生じやすい樹脂コーティングにおいても、樹脂コーティングの摩耗が抑えられたことでその寿命が長くなり、スティックスリップの発生をより長期間にわたって抑制し続けることができる。
(4)好ましくは、樹脂コーティングの固体潤滑剤が、二硫化モリブデン,二硫化タングステン,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリエチレン,グラファイト,カーボンナノチューブより選ばれる少なくとも一種であり、樹脂バインダが、エポキシ樹脂,フェノール樹脂より選ばれる少なくとも一種であるものである。
樹脂コーティングの固体潤滑剤及び樹脂バインダがこれらより選ばれることで、上記効果をより発揮できる。
樹脂コーティングの固体潤滑剤及び樹脂バインダがこれらより選ばれることで、上記効果をより発揮できる。
(5)本発明のプロペラシャフトの製造方法は、互いに嵌合するスプラインシャフト及びスプラインスリーブを有し、スプラインシャフトの外面又はスプラインスリーブの内面の少なくとも一方に樹脂コーティングを施したプロペラシャフトの製造方法であって、樹脂コーティングが施されるスプラインの表面に、0.75mm以下のピッチでホブ加工する工程と、ホブ加工された表面に樹脂コーティングを施す工程と、を有することを特徴とする。
本発明のプロペラシャフトの製造方法は、上記のプロペラシャフトを製造することができる。つまり、上記の(1)の効果を発揮するプロペラシャフトを製造することができる。
(6)好ましくは、ピッチが、0.5mm以上である。これにより、上記の(2)の効果を発揮するプロペラシャフトを製造することができる効果を発揮する。
(7)好ましくは、樹脂コーティングが、固体潤滑剤を樹脂バインダで結合してなるものである。これにより、上記の(3)の効果を発揮するプロペラシャフトを製造することができる。
(7)好ましくは、樹脂コーティングが、固体潤滑剤を樹脂バインダで結合してなるものである。これにより、上記の(3)の効果を発揮するプロペラシャフトを製造することができる。
(8)好ましくは、樹脂コーティングの固体潤滑剤が、二硫化モリブデン,二硫化タングステン,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリエチレン,グラファイト,カーボンナノチューブより選ばれる少なくとも一種であり、樹脂バインダが、エポキシ樹脂,フェノール樹脂より選ばれる少なくとも一種であるものである。これにより、上記の(4)の効果を発揮するプロペラシャフトを製造することができる。
本実施形態として、自動車のプロペラシャフトなどに使用される摺動式スプラインシャフトを例に挙げて説明する。ただし、本発明のプロペラシャフトは、自動車のプロペラシャフト以外にも、摺動式スプラインシャフトを備えたプロペラシャフトに適用できる。
図1に示すように、摺動式スプラインシャフトは、雄スプライン11を有する第一軸部材10、雌スプライン21を有する第二軸部材20とを備える。雄スプライン11は、雌スプライン21に対してスプライン嵌合し、軸方向に相対的に摺動可能に設けられている。このような構成により、両部材10,20は、相互にトルクを伝達可能であって、軸方向に相対移動可能となる。ここで、スプライン摺動部位には、潤滑剤としてのグリースが存在している。
雄スプライン11の母材16は、ホブ加工された鋼材に、焼入れ、焼戻しを行って形成されている。雄スプライン11を形成している鋼材は、例えばS30Cをあげることができる。本実施形態において、雄スプライン11はS30Cで形成されているが、鋼材、または、金属材料であればこれに限らない。
本実施形態において、雄スプライン11は、ホブによりホブ加工が施されて形成されている。つまり、棒状(円柱状)の母材16の外周面に軸方向に沿ったホブ切りを行うことで、雄スプライン11が形成されている。この母材16にホブ切りを行う具体的な方法は、従来のホブ盤に母材16を装着して、外周面にスプラインを形成することで行うことができる。
ホブによりスプライン加工が施されて形成された雄スプライン11の母材16の表面は、図3に示したように、微細な凹凸が形成されている。この微細な凹凸は、母材16の被加工面がホブ40の刃410,411で切削されることで形成される。具体的には、スプライン加工では、まず、ホブ40の刃410が母材16に当たって、母材16の表面が切削される(図4(a))。その後、母材16が軸方向に移動し(送られ)、次のホブ40の刃411が、先の切削位置から僅かにずれた位置に当たり、母材16の表面が図4(a)と同様に切削される(図4(b))。そして、次のホブ40の刃がさらにずれた位置に当たり、母材16の表面が同様に切削される。この切削が繰り返されて、雄スプライン11が形成される。図4に示したように、ホブ40の刃410,411が母材16を切削する刃先(母材16を切削する当接部)は、直線ではなく、弧を描く。図4(b)に示したように、連続する二つのホブ40の刃410,411のそれぞれが描く弧により、微細な凹凸(凸となった部分)が形成される。そして、スプラインでは、このホブ40による加工が繰り返されることで、図3に示した微細な凹凸を備えた母材16が形成される。
雄スプライン11の表面の凹凸形状は、ホブ40での加工条件により決定できる。具体的には、ホブ40による加工時の母材16の送り速度を調節することで、凹凸形状の凸の先端の距離(ピッチ)を調節することができる。母材16の送り速度を早くすると図4(a)〜図4(b)に至るまでの移動距離が長くなり、ピッチが大きく(広く)なる。遅くなるとピッチが小さく(狭く)なる。
また、同様に送り速度を調節することで、凸の先端の高さ(凹の深さ)を調節することができる。母材16の送り速度を早くすると凸の高さが高く(凹の深さが深く)なり、遅くすると凸の高さが低く(凹の深さが浅く)なる。
本実施形態では、ピッチが0.75mm以下となるように加工が行われる。ピッチが0.75mm以下となることで、摺動時に樹脂コーティングにかかる荷重の部分的な集中が抑えられ、その結果として、樹脂コーティングの摩耗が抑えられる。なお、送り速度を遅くすると、ピッチをより小さくすることができ、樹脂コーティングにかかる荷重の部分的な集中がより抑えられるようになるが、雄スプライン11の形成に長時間がかかるようになり生産効率が低下する。このため、ピッチが0.5mm以上であることが好ましい。
雄スプライン11の表面には、下地層17および被膜18が形成されている。つまり、鋼材からなる母材16の表面に、下地層17が形成され、下地層17の表面に、表層である被膜18が形成されている。この被膜18には、樹脂をバインダとし、固体潤滑剤を配合した乾性被膜が適用される。このように、DLC被膜ではなく樹脂被膜である乾性被膜を適用することにより、低コスト化を図ることができる。
雌スプライン21は、鋼材、例えばS30Cで形成されている。本実施形態において、雌スプライン21はS30Cで形成されているが、鋼材、または、金属材料であればこれに限らない。そして、雄スプライン11の被膜18は、雌スプライン21の表面に摺動可能である。
本実施形態では、雄スプライン11の表面に下地層17および被膜18を形成し、雌スプライン21の表面には被膜を形成していないが、雄スプライン11と摺動する雌スプライン21の表面にも被膜を形成してもよい。この場合、雄スプライン11と同様に、雌スプライン21の表面に下地層を形成した後に被膜を形成してもよい。
雄スプライン11の表面の下地層17および被膜18を、図5に模式的に示した。下地層17は、母材16の表面に、1〜5μmの範囲の厚さのリン酸塩からなる層で形成されている。下地層17は、母材16の鋼材の保護(耐蝕性)や、母材16の鋼材と被膜18の樹脂コーティングとの接合性を高める機能を発揮できる表面処理層であれば限定されるものではなく、従来公知の表面処理層とすることができ、リン酸塩での処理被膜やカップリング材での処理被膜をあげることができる。
被膜18には、エポキシ樹脂(EP)およびフェノール樹脂(PF)の混合物よりなる樹脂バインダ31と、バインダ31に結着された固体潤滑剤である二硫化物33,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)34およびポリエチレン(PE)32と、が含まれている。これらの成分比率は、表1のとおりである。
なお、樹脂バインダ31には、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の混合物を用いているが、エポキシ樹脂のみ、あるいはフェノール樹脂のみ、であってもよい。また、固体潤滑剤では二硫化物33として二硫化モリブデン(MoS2)を例に挙げて記載している。もちろん、二硫化物として、二硫化タングステン(WS2)も適用可能である。さらに、固体潤滑剤には、グラファイトやカーボンナノチューブも適用可能である。本発明では、カーボンナノチューブは、フラーレンを含む。なお、本実施形態では表1に示した固体潤滑剤を用いているが、これらの潤滑剤を単独で、あるいは異なる組み合わせとしてもよい。さらに、被膜18には、その他の従来公知の添加剤を適宜含ませてもよい。
被膜18の膜厚は、5〜100μmの範囲の厚さであり、密着性および耐摩耗性の観点からより好ましくは10〜40μmの範囲の厚さであり、生産効率の観点から更に好ましくは10〜30μmの範囲の厚さである。
本実施形態において、樹脂バインダ31のエポキシ樹脂とフェノール樹脂の混合割合(質量割合)は、固体潤滑剤を結着するバインダとしての機能を発揮できるものであれば限定されるものではないが、エポキシ樹脂100質量%に対してフェノール樹脂25〜100質量%である。好ましい質量比率は、エポキシ樹脂100質量%に対してフェノール樹脂65〜75質量%である。
樹脂バインダ31に結着される固体潤滑剤の具体的な材質,質量比率,粒径(平均粒径)についても、限定されるものではない。ポリエチレン32は、平均粒径1〜30μmであり、被膜18全体に対する質量比率は、5〜10質量%である。ポリエチレン32の平均粒径は、被膜18の膜厚に応じて適宜選択する。二硫化物33は、平均粒径1〜5μmであり、被膜18全体に対する質量比率は、10〜15質量%である。PTFE34は、平均粒径1〜10μmであり、被膜18全体に対する質量比率は、10〜15質量%である。本実施形態では、二硫化物33、PTFE34およびポリエチレン32の比率は、二硫化物(二硫化モリブデン):PTFE:ポリエチレン=3.8:3.8:2.5とするとよい。このように、少なくとも、ポリエチレン32の比率は、二硫化物33およびPTFE34と同一もしくはそれ以下とする。
被膜18は、表2に示すような組成の溶液とし、当該溶液を塗布することで形成することができる。溶液の溶剤には、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、メチルイソブチルケトン、フェノール、オルソクレソールより選ばれる1種又は2種以上の混合溶媒をあげることができる。
本実施形態の雄スプライン11の製造は、以下のように行うことができる。図6を参照して説明する。
まず、摺動式スプラインシャフトの雄スプライン11を有する第一軸部材10となる母材16に、ホブを用いてスプライン加工を施す(S1)。この加工は、ピッチが0.75mm以下となるように、好ましくは0.5〜0.75mmとなるように行われる。この加工により、図3に示した微細な凹凸をもつ表面が形成される。
次に、ホブ加工された母材16の表面をアルカリ脱脂処理により洗浄し(S2)、リン酸亜鉛もしくはリン酸マンガンなどのリン酸塩からなる下地層17を形成する(S3)。この下地層17により、被膜18の密着性を高めることができる。
続いて、大気雰囲気にてスプレーにより、表層になる被膜18を形成するための溶液を下地層17の表面に塗装する(S4)。その後、大気雰囲気にて焼成を行う(S4)。なお、焼成は、安価なため大気雰囲気としたが、窒素雰囲気でもよい。
(実施例)
実施例として、炭素鋼(S30C)から、図6に記載の製造方法で、試料1〜6の雄スプライン11(摺動式スプラインシャフト)を製造した。
実施例として、炭素鋼(S30C)から、図6に記載の製造方法で、試料1〜6の雄スプライン11(摺動式スプラインシャフト)を製造した。
具体的には、炭素鋼(S30C)よりなる母材16の外周面にホブを用いてスプライン加工を施し、その後、焼入れ、焼戻しして雄スプライン11の母材16を得た。なお、スプライン加工におけるホブのピッチは、表3に示した通りである。
そして、図6に記載のように、リン酸亜鉛被膜よりなる下地層17を形成し、その上に、表1に示す成分の被膜18を形成した。下地層17の膜厚はばらつきを有しているが、膜厚の範囲は1〜3μmの範囲となっている。被膜18におけるPE32の平均粒径は10μmとし、MoS233の平均粒径は3μmとし、PTFEの平均粒径は5μmとする。また、被膜18の膜厚は表3に示した通りである。なお、被膜18の膜厚は、母材16の最も突出した先端部からの厚さである。
(評価)
実施例のスプラインシャフトの評価として耐久性試験を施した。
耐久試験は、第二軸部材20を固定し、かつ、第一軸部材10に予め決められた捻りトルクを付与した状態で、軸方向に所定回数往復移動させることで行われた。そして、耐久試験後の被膜18の膜厚を測定し、試験での膜厚の摩耗率を得た。測定結果を表3及び図7に合わせて示した。ここで、本耐久試験では、表4に示したグリースの存在下で摺動が行われた。
実施例のスプラインシャフトの評価として耐久性試験を施した。
耐久試験は、第二軸部材20を固定し、かつ、第一軸部材10に予め決められた捻りトルクを付与した状態で、軸方向に所定回数往復移動させることで行われた。そして、耐久試験後の被膜18の膜厚を測定し、試験での膜厚の摩耗率を得た。測定結果を表3及び図7に合わせて示した。ここで、本耐久試験では、表4に示したグリースの存在下で摺動が行われた。
表3に示したように、被膜18の膜厚が30μmの場合に、ピッチが1mm以上の試料1〜2の雄スプライン11は、試験により被膜18が摩耗し、母材16が露出した状態となっている。
これに対し、被膜18の膜厚が30μmの場合に、ピッチが0.75mm以下の試料3,試料4の雄スプライン11は、被膜18の摩耗量が10μm,5μmと少なく、試料1〜2と比較して耐摩耗性が向上していることがわかる。
さらに、ピッチが1.5mmの試料1,試料5,試料6の雄スプライン11の結果から、被膜18の膜厚が10〜35μmのいずれであっても、耐摩耗性が不十分であることが確認できた。
すなわち、ピッチが0.75mm以下となることで、被膜18の耐摩耗性が向上することが確認できた。このことは、以下のように解釈される。まず、スプラインシャフトが摺動するときには、被膜18が母材16に押し付けられる。このとき、被膜18には、微細な凸の先端に対応する位置に、部分的に高い荷重が加わる。そして、本実施例では、ピッチが0.75mm以下となることで、母材16の表面の微細な凸の間隔が短くなるとともに、その数が多くなる。この結果、被膜18に加わる荷重(微細な凸の一つずつに加わる荷重)が減少する。この結果、摩耗が抑えられ、被膜18の耐摩耗性が高まる。
なお、下地層17を介して母材16の表面に形成された被膜18が、固体潤滑剤を樹脂バインダで結着した被膜であり、この被膜がスプラインシャフトの摺動面においてμ−v特性を改善する固体潤滑剤被膜であることから、実施例のスプラインシャフトは、スティックスリップの発生が低減できたプロペラシャフトとなっている。
さらに、スプラインを形成するためのホブ加工においてピッチ(送り速度)を調節することで、耐摩耗性に優れたスプラインシャフトを低コストで製造することができた。その上で、被膜18を、樹脂溶液を塗布して形成することができ、低コストでその製造を行うことができる。
上記のように、実施例のプロペラシャフトは、低コストで耐久性に優れ、かつスティックスリップの発生を低減できるものとなっている。
上記のように、実施例のプロペラシャフトは、低コストで耐久性に優れ、かつスティックスリップの発生を低減できるものとなっている。
10:第一軸部材、 11:雄スプライン、16:母材、17:下地層、18:被膜、20:第二軸部材、21:雌スプライン、31:樹脂バインダ、32:ポリエチレン、33:二硫化物、40:ホブ、410,411:ホブの刃
Claims (8)
- 互いに嵌合するスプラインシャフト及びスプラインスリーブを有し、スプラインシャフトの外面又はスプラインスリーブの内面の少なくとも一方に樹脂コーティングを施したプロペラシャフトにおいて、
前記樹脂コーティングが施される前記スプラインの表面は、0.75mm以下のピッチでホブ加工されてなることを特徴とするプロペラシャフト。 - 前記ピッチは、0.5mm以上である請求項1記載のプロペラシャフト。
- 前記樹脂コーティングは、固体潤滑剤を樹脂バインダで結合してなる請求項1〜2のいずれか1項に記載のプロペラシャフト。
- 前記樹脂コーティングは、
前記固体潤滑剤が、二硫化モリブデン,二硫化タングステン,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリエチレン,グラファイト,カーボンナノチューブより選ばれる少なくとも一種であり、
前記樹脂バインダが、エポキシ樹脂,フェノール樹脂より選ばれる少なくとも一種である請求項3記載のプロペラシャフト。 - 互いに嵌合するスプラインシャフト及びスプラインスリーブを有し、スプラインシャフトの外面又はスプラインスリーブの内面の少なくとも一方に樹脂コーティングを施したプロペラシャフトの製造方法であって、
前記樹脂コーティングが施される前記スプラインの表面に、0.75mm以下のピッチでホブ加工する工程と、
ホブ加工された前記表面に前記樹脂コーティングを施す工程と、
を有することを特徴とするプロペラシャフトの製造方法。 - 前記ピッチは、0.5mm以上である請求項5記載のプロペラシャフトの製造方法。
- 前記樹脂コーティングは、固体潤滑剤を樹脂バインダで結合してなる請求項5〜6のいずれか1項に記載のプロペラシャフトの製造方法。
- 前記樹脂コーティングは、
前記固体潤滑剤が、二硫化モリブデン,二硫化タングステン,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリエチレン,グラファイト,カーボンナノチューブより選ばれる少なくとも一種であり、
前記樹脂バインダが、エポキシ樹脂,フェノール樹脂より選ばれる少なくとも一種である請求項7記載のプロペラシャフトの製造方法。
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JP2020060219A (ja) * | 2018-10-06 | 2020-04-16 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用プロペラシャフトのスプライン伸縮軸 |
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