JP2014234952A - 銅精製炉の排煙設備 - Google Patents

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【課題】排気ガスの漏洩を防止できる銅精製炉の排煙設備を提供する。【解決手段】炉体10の一端に設けられた排煙道20と、ダストチャンバー30と、ダストチャンバー30から排気ガスを吸引する吸引手段40とを備え、排煙道20の外周にシール円盤21が設けられており、ダストチャンバー30の側壁には開口部34が形成されており、開口部34には円筒形のシールカバー35が接続されており、シール円盤21はシールカバー35に挿入され、シールカバー35の内周面とシール円盤21の外周面との間に所定の隙間を有するように配置されている排煙設備2。炉体10の熱膨張によりシール円盤21がダストチャンバー30側に移動しても、シール円盤21がシールカバー35の内部で移動するだけでシール部分の隙間は変化しないため、シール部分の隙間を狭く設定できる。そのため、排気ガスの漏洩を防止できる。【選択図】図1

Description

本発明は、銅精製炉の排煙設備に関する。
銅の乾式製錬においては、自溶炉などで銅精鉱中の銅を硫化銅、硫化鉄からなるマットとして分離し、転炉でマット中の硫黄や鉄を除去して粗銅とし、精製炉で粗銅中に残存する微量の酸素や硫黄などを除去した後に銅アノードを鋳造し、銅アノードを用いて電解精製することで電気銅を得る。
精製炉においては、還元剤として炭化水素などを装入するために、排気ガスには一酸化炭素や二酸化炭素などが含まれる。そのため、排気ガスは漏洩しないように回収し処理する必要がある。
一般に、銅精製炉の炉体の一端には排煙道が接続されており、排煙道には排煙設備が接続される(例えば、特許文献1)。このような従来技術の一例は、図5に示すように、精製炉の炉体10の一端には排煙道201が設けられ、ダストチャンバー30の側壁にも排煙道202が設けられ、それら2つの排煙道201、202は互いの開口端を突き合わせて配置されている。また、炉体10は傾転することから、その傾転を許容するために2つの排煙道201、202の間には隙間が設けられており、この隙間には環状のシール金具300が取り付けられ内蔵された石綿などのシール材でシールするように構成されている。
ところで、炉体10は熱膨張により、主に中心軸方向(図5における左右方向)に膨張する。すなわち、炉体10の熱膨張により、炉体10側の排煙道201がダストチャンバー30側の排煙道202に近づく。したがって、炉体10の熱膨張を許容するために排煙道201、202の間には十分な隙間が必要である。このような構造であるので、シール金具300で高いシール性を維持することは技術的に困難であり、シール部分から排気ガスが漏洩する恐れがある。
また、シール金具300は高温の排気ガスが直接触れるため、熱損傷や変形が起こりやすく、シール機能が低下しやすいため頻繁に交換する必要がある。シール金具300の交換作業には手間と時間がかかり、作業負担の大きい暑熱作業であり、また操業の停止を伴うことから生産性に悪影響を及ぼす。
特開平7−49180号公報
本発明は上記事情に鑑み、排気ガスの漏洩を防止できる銅精製炉の排煙設備を提供することを目的とする。
第1発明の銅精製炉の排煙設備は、略円筒形であり中心軸周りに傾転可能な炉体を備える銅精製炉の排煙設備であって、前記炉体の一端に設けられた筒状の排煙道と、前記排煙道を介して前記炉体内で生じた排気ガスが流入するダストチャンバーと、前記ダストチャンバーに形成された吸引口から排気ガスを吸引する吸引手段と、を備え、前記排煙道には、その外周にフランジ状のシール円盤が設けられており、前記ダストチャンバーの前記炉体に対向する側壁には開口部が形成されており、前記開口部には円筒形のシールカバーが接続されており、前記シール円盤は、前記シールカバーに挿入され、該シールカバーの内周面と該シール円盤の外周面との間に所定の隙間を有するように配置されていることを特徴とする。
第2発明の銅精製炉の排煙設備は、第1発明において、前記排煙道は、前記炉体の中心軸よりも上部に偏心して設けられていることを特徴とする。
第3発明の銅精製炉の排煙設備は、第1または第2発明において、前記排煙道は、前記開口部から前記ダストチャンバーの内部に挿入されており、その開口端が前記吸引口の近傍に配置されていることを特徴とする。
第4発明の銅精製炉の排煙設備は、第1、第2または第3発明において、前記ダストチャンバーには冷却手段が設けられていることを特徴とする。
第1発明によれば、シール円盤が円筒形のシールカバーに挿入されているので、炉体の熱膨張によりシール円盤がダストチャンバー側に移動しても、シール円盤がシールカバーの内部で軸方向に移動するだけでシール部分の隙間は変化しないため、シール部分の隙間を狭く設定できる。また、シール円盤により排煙道とダストチャンバーの側壁とが隔てられて、排煙道の熱がダストチャンバーに伝わりにくいので、ダストチャンバーの熱変形を抑制でき、シール性を長く維持できる。そのため、排気ガスの漏洩を防止できる。
第2発明によれば、排煙道が炉体の上部に偏心して設けられているので、炉体内の液面を高くできることから、炉体の容量を多くすることができ、銅精製炉の処理能力を高くできる。
第3発明によれば、排煙道の開口端がダストチャンバーの吸引口に近いので、排気ガスの吸引効率が向上する。そのため、より確実に排気ガスの漏洩を防止できる。
第4発明によれば、冷却手段が設けられているので、排煙道の開口端がダストチャンバーの内部に配置されることによる側壁の温度上昇を抑えて、ダストチャンバーを保護できる。また、ダストチャンバーを冷却することにより、ダストチャンバーの変形を抑制でき、シール性を長く維持できる。さらに、排気ガスの温度が低下することに伴いガスの体積が減少することから、ガス吸引効率が向上し、粗塵沈降性も向上する。
(A)図は本発明の第1実施形態に係る排煙設備の縦断面図であり、(B)図は(A)図におけるb-b線矢視断面図である。 同排煙設備および銅精製炉の正面図である。 (A)図は本発明の第2実施形態に係る排煙設備の縦断面図であり、(B)図は(A)図におけるb-b線矢視断面図である。 本発明の第3実施形態に係る排煙設備の縦断面図である。 従来の排煙設備の縦断面図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、銅精製炉の構成について説明する。
図2に示すように、銅精製炉1は、水平に設置された細長い略円筒形の炉体10を備えている。炉体10には、装入口11、出湯口12、および羽口13が設けられている。また、炉体10の一端にはバーナー口14が設けられており、他端には排煙口15が設けられている。バーナー口14にはバーナー16が取り付けられている。
炉体10は、長手方向の両端部外周に転輪17が設けられ、ローラ18により支承されている。図示しない駆動装置によりローラ18を回転駆動することで、炉体10は水平な中心軸周りに傾転可能となっている。
銅精製炉1の操業は以下のように行われる。
まず、炉体10を装入口11が上部となる姿勢とし、装入口11から粗銅を挿入する。つぎに、バーナー16で炉体10内の粗銅を加熱しつつ、羽口13から天然ガスなどを吹き込んで精製処理を行う。この際、排煙口15からは炉体10内で生じた排気ガスが排出される。精製処理が完了した後に炉体10を徐々に傾転することで出湯口12から粗銅を出湯する。
(第1実施形態)
つぎに、本発明の第1実施形態に係る排煙設備2を説明する。
図2に示すように、炉体10の排煙口15には筒状の排煙道20が接続されている。排煙道20は炉体10の回転軸(中心軸)と略同軸となるように水平に設けられている。また、排煙道20は炉体10に固定されており、炉体10とともに傾転する。
排煙道20の他端にはダストチャンバー30が接続されている。そのため、ダストチャンバー30には排煙道20を介して炉体10内で生じた排気ガスが流入する。ここで、ダストチャンバー30は、所定の容積を有する空間において排気ガスの流速を落とし、主として粗塵を重力沈降により除去する装置である。なお、炉体10内で生じた排気ガスには銅の飛沫が含まれている。この銅の飛沫がダストチャンバー30で回収される。
炉体10内において排気ガスの温度は約1,200℃である。高温の排気ガスによる変形や損傷を抑制するために、ダストチャンバー30の側壁30aおよび上面には水冷ジャケット31が設けられている。なお、水冷ジャケット31が、特許請求の範囲に記載の「冷却手段」に相当する。
ダストチャンバー30の上面には吸引口32が形成されており、吸引口32には煙道33が接続されている。煙道33には吸引手段40が設けられており、ダストチャンバー30内の排気ガスが吸引され、ダストチャンバー30内が負圧に保たれている。
図1に基づき排煙設備2の詳細を説明する。
同図に示すように、排煙道20には、その外周にフランジ状のシール円盤21が設けられている。一方、ダストチャンバー30の炉体10に対向する側壁には円形の開口部34が形成されている。開口部34には、ダストチャンバー30の外側に円筒形のシールカバー35が接続されている。シールカバー35は中心軸方向(図1における左右方向)の寸法が短い円筒形であり、長尺の板材を環状に曲げて形成されたものである。
排煙道20はその一部が開口部34からダストチャンバー30の内部に挿入されている。シール円盤21は排煙道20の外周の中間部分に設けられている。シール円盤21の直径はシールカバー35の内径よりも若干小さく形成されており、シール円盤21はシールカバー35に挿入され、シールカバー35の内周面とシール円盤21の外周面との間に所定の隙間を有するように配置されている。また、シール円盤21の中心とシールカバー35の中心は、ともに炉体10の回転軸上に位置しており、炉体10が傾転してもシール円盤21とシールカバー35との位置関係が同心に維持されるよう構成されている。
シール円盤21やシールカバー35の寸法は特に限定されないが、例えば、シール円盤21の直径は1〜3mであり、シールカバー35の内周面とシール円盤21の外周面との隙間は約1cmに設定される。
以上のように、シールカバー35とシール円盤21とは隙間を開けて配置されているので、固定されたダストチャンバー30に対して、炉体10が自由に傾転可能である。
ところで、炉体10は熱膨張により、主に中心軸方向(図1における左右方向)に膨張する。そのため、炉体10の熱膨張により、シール円盤21はダストチャンバー30側に移動する。しかし、シール円盤21は円筒形のシールカバー35に挿入されているだけであるので、炉体10が熱膨張してもシール円盤21がシールカバー35の内部で軸方向に移動するだけであり、シール部分の隙間(シールカバー35とシール円盤21との隙間)は変化しない。そのため、シール部分の隙間を狭く設定でき、シール部分の隙間からの排気ガスの漏洩を防止できる。
なお、シールカバー35の軸方向の寸法は、炉体10の熱膨張によるシール円盤21の移動距離より長く設定されており、炉体10の熱膨張によらずシール円盤21がシールカバー35に挿入された状態に維持されるように構成されている。
排煙道20は、高温の排気ガスが通り炉体10の熱も伝わるので、温度が高くなる。しかし、シール円盤21により排煙道20とダストチャンバー30の側壁とが隔てられているので、排煙道20の熱がダストチャンバー30に伝わりにくい。そのため、ダストチャンバー20の熱変形を抑制でき、シール性を長く維持できる。
排煙道20は、開口部34からダストチャンバー30の内部に挿入されているため、その開口端22が吸引口32の近傍に配置される。このように、開口端22が吸引口32に近いので、排煙道20を通ってきた排気ガスが吸引されやすく、炉体10側の排気ガスの吸引効率が向上する。そのため、より確実に排気ガスの漏洩をより防止できる。
排煙道20の開口端22がダストチャンバー30の内部に配置されることにより、開口端22と、それに対向するダストチャンバー30の側壁30aとの距離も短くなる。そうすると、排煙道20を通ってきた高温の排気ガスがダストチャンバー30の側壁30aに当たり、側壁30aの温度上昇が大きくなる。しかし、本実施形態では、ダストチャンバー30に水冷ジャケット31が設けられているので、側壁30aの温度上昇を抑えて、ダストチャンバー30を保護できる。また、水冷ジャケット31でダストチャンバー30を冷却することにより、ダストチャンバー30の変形を抑制でき、シール円盤21とシールカバー35との位置関係が維持できるので、シール性を長く維持できる。
さらに、水冷ジャケット31により排気ガスの温度が低下することに伴いガスの体積が減少することから、ガス吸引効率が向上し、粗塵沈降性も向上する。
本実施形態の排煙設備2は、石綿などのシール材を用いないので、交換作業が発生しない。そのため、作業負担の大きい暑熱作業がなくなり、操業の停止も不要であるので生産性に悪影響を及ぼすこともない。
(第2実施形態)
図3に示すように、排煙道20は炉体10の回転軸から偏心して設けられてもよい。排煙道20が偏心していても、シール円盤21の中心Oとシールカバー35の中心Oがともに炉体10の回転軸上に位置していれば、ダストチャンバー30に対して炉体10が自由に傾転可能であり、炉体10の熱膨張も許容できる。本実施形態のように、排煙道20を炉体10の上部に偏心して設けることにより、排煙口15を炉体10の上部に配置でき炉体10内の液面を高くできることから、炉体10の容量を多くすることができる。その結果、銅精製炉1の処理能力を高くできる。
なお、排煙道20は、水平に限られず、その全部または一部が傾斜して設けられてもよい。
(第3実施形態)
図4に示すように、シール円盤21は、排煙道20の先端外周に設けられてもよい。特許請求の範囲に記載の「外周」には、排煙道20の外周の中間部分に限られず、先端部分も含まれる概念である。
銅精製炉の操業において、上記第1実施形態に係る排煙設備2を採用した場合(実施例1)と、従来のシール金具を用いた排煙設備(図5参照)を採用した場合(比較例1)とで、排煙設備周囲の一酸化炭素の濃度、二酸化炭素の濃度、および排気ガスの温度を測定した。実施例1および比較例1において、ダストチャンバー30のガス吸引量は同一とした。
図1に示すように、実施例1において濃度計dおよび温度計tは、煙道33の近傍に設けられている。濃度計dは煙道33の外部であってシール円盤21の上方の空間における一酸化炭素および二酸化炭素の濃度を測定する。温度計tは煙道33の内部の排気ガスの温度を測定する。
図5に示すように、比較例1においても濃度計dおよび温度計tは、煙道33の近傍に設けられている。濃度計dは煙道33の外部であってシール金具300の上方の空間における一酸化炭素および二酸化炭素の濃度を測定する。温度計tは煙道33の内部の排気ガスの温度を測定する。
実施例1および比較例1における測定結果を表1に示す。
実施例1は比較例1に比べて、一酸化炭素および二酸化炭素の濃度が低く、排気ガスの温度が低いことが分かる。これより、本実施形態に係る排煙設備は、排気ガスの漏洩を防止できることが確認された。
1 銅精製炉
2 排煙設備
10 炉体
20 排煙道
21 シール円盤
30 ダストチャンバー
31 水冷ジャケット
32 吸引口
33 煙道
34 開口部
35 シールカバー
40 吸引手段

Claims (4)

  1. 略円筒形であり中心軸周りに傾転可能な炉体を備える銅精製炉の排煙設備であって、
    前記炉体の一端に設けられた筒状の排煙道と、
    前記排煙道を介して前記炉体内で生じた排気ガスが流入するダストチャンバーと、
    前記ダストチャンバーに形成された吸引口から排気ガスを吸引する吸引手段と、を備え、
    前記排煙道には、その外周にフランジ状のシール円盤が設けられており、
    前記ダストチャンバーの前記炉体に対向する側壁には開口部が形成されており、
    前記開口部には円筒形のシールカバーが接続されており、
    前記シール円盤は、前記シールカバーに挿入され、該シールカバーの内周面と該シール円盤の外周面との間に所定の隙間を有するように配置されている
    ことを特徴とする銅精製炉の排煙設備。
  2. 前記排煙道は、前記炉体の中心軸よりも上部に偏心して設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の銅精製炉の排煙設備。
  3. 前記排煙道は、前記開口部から前記ダストチャンバーの内部に挿入されており、その開口端が前記吸引口の近傍に配置されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の銅精製炉の排煙設備。
  4. 前記ダストチャンバーには冷却手段が設けられている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の銅精製炉の排煙設備。
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