JP2014234549A - 成膜装置及び有機elデバイスの製造方法 - Google Patents

成膜装置及び有機elデバイスの製造方法 Download PDF

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良平 垣内
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金吾 飯塚
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Kanako Hida
加奈子 肥田
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Abstract

【課題】 材料の状態に関わらず、吐出量を所望の量で迅速に安定させることができる成膜装置を提供する。【解決手段】 本発明に係る成膜装置は、弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応すべく、材料の状態ごとにおける弁開度に対する吐出量の情報を記憶する記憶部と、吐出量検出部で検出した吐出量と弁開度検出部で検出した弁開度とに基づいて、記憶部で記憶されている複数の情報から該当する材料の状態における情報を判定する判定部と、設定されている吐出量に制御すべく、判定部で判定した情報に基づいて、弁開度を演算する演算部と、を備える。【選択図】 図3

Description

本発明は、基材に向けて材料を吐出することにより、基材に膜を形成する成膜装置に関し、また、成膜装置を用いる有機EL(エレクトロルミネッサンス)デバイスの製造方法に関する。
従来、成膜装置として、材料の吐出量を検出する吐出量検出部と、材料の吐出量を制御するために弁開度を制御される弁と、設定値(設定された吐出量)に基づいて弁開度を制御する制御部とを備える成膜装置が知られている(例えば、特許文献1)。そして、吐出量検出部で検出した吐出量が設定値よりも小さい場合には、制御部が弁開度を徐々に大きくする。反対に、吐出量検出部で検出した吐出量が設定値よりも大きい場合には、制御部が弁開度を徐々に小さくする。
斯かる制御、具体的には、現状の吐出量と設定値とを比較して、弁開度を単に上下させる制御においては、吐出量を設定値で安定させるために、非常に長い時間が必要となる。しかも、斯かる制御においては、弁開度に対する吐出量が材料の状態(例えば、材料の温度、材料の溶融状態等)で異なることが考慮されていないため、さらに長い時間が必要となる。
特開2007−126303号公報
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、材料の状態に関わらず、吐出量を所望の量で迅速に安定させることができる成膜装置及び有機ELデバイスの製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係る成膜装置は、基材に向けて材料を吐出することにより、基材に膜を形成する成膜装置において、材料の吐出量を検出する吐出量検出部と、材料の吐出量を制御するために弁開度を制御される弁と、弁開度を検出する弁開度検出部と、弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応すべく、材料の状態ごとにおける弁開度に対する吐出量の情報を記憶する記憶部と、前記吐出量検出部で検出した吐出量と前記弁開度検出部で検出した弁開度とに基づいて、前記記憶部で記憶されている複数の情報から該当する材料の状態における情報を判定する判定部と、設定されている吐出量に制御すべく、前記判定部で判定した情報に基づいて、弁開度を演算する演算部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る成膜装置によれば、記憶部は、材料の状態ごとにおける弁開度に対する吐出量の情報を記憶している。そして、判定部は、吐出量検出部で検出した吐出量と弁開度検出部で検出した弁開度とに基づいて、記憶部で記憶されている複数の情報から該当する材料の状態における情報を判定する。
その後、演算部が、判定部で判定した情報に基づいて、弁開度を演算するため、弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応できている。そして、弁が、演算部で演算された弁開度に基づいて制御されることにより、吐出量が、設定されている吐出量に制御される。したがって、材料の状態に関わらず、吐出量を所望の量で迅速に安定させることができる。
また、本発明に係る成膜装置においては、前記記憶部が記憶する情報は、弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応すべく、一つの変数を用いて、吐出量と弁開度との関係を表す式である、という構成でもよい。
斯かる構成によれば、記憶部に記憶されている情報が、一つの変数を用いて、吐出量と弁開度との関係を表す式である。これにより、一つの変数が求められることにより、弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応することができる。したがって、例えば、構成(ハードウェア、ソフトウェア等)を簡素化することができる。
また、本発明に係る成膜装置は、基材に向けて材料を吐出するための吐出口と、前記吐出量検出部に検出される材料を吐出するための検出口と、前記弁を通過した材料を前記吐出口に案内する吐出口案内部と、前記吐出口案内部から分岐して形成され、材料を前記検出口に案内する検出口案内部と、を備え、前記演算部が弁開度を演算する時間の間隔は、材料が前記弁を通過してから前記検出口を経由して前記吐出量検出部に検出されるまでの時間よりも長くなるように、設定されている、という構成でもよい。
斯かる構成によれば、弁を通過した材料は、吐出口案内部により、吐出口に案内され、吐出口を経由して、基材に向けて吐出される。また、吐出口案内部により案内されている材料の一部は、吐出口案内部から分岐して形成される検出口案内部により、検出口に案内され、検出口から吐出して、吐出量検出部に検出される。
これにより、従来のように、吐出量検出部が、吐出口から吐出された材料により吐出量を検出していた構成に対して、吐出量検出部の配置における設計自由度が大きくなる。これに併せて、吐出口の配置における設計自由度も大きくなるため、例えば、吐出口を基材に近づけて配置することもできる。
さらに、演算部が弁開度を演算する時間の間隔は、材料が弁を通過してから検出口を経由して吐出量検出部に検出されるまでの時間よりも長い。これにより、演算部で演算された弁開度に基づいて、吐出量が制御され、その後、吐出量検出部が、その制御された弁開度における吐出量を検出した後に、演算部が、その検出した吐出量に基づいて弁開度の演算を開始することになる。したがって、吐出量を所望の吐出量で安定させることができる。
また、本発明に係る成膜装置においては、前記演算部が弁開度を演算する時間の間隔は、材料が前記弁を通過してから前記吐出口を経由して基材に到達するまでの時間よりも短くなるように、設定されている、という構成でもよい。
斯かる構成によれば、演算部が弁開度を演算する時間の間隔は、材料が弁を通過してから吐出口を経由して基材に到達するまでの時間よりも短い。これにより、従来のように、吐出量検出部が、吐出口から吐出された材料により吐出量を検出していた構成に対して、演算部が弁開度を演算する時間の間隔を短くすることができる。したがって、吐出量の変化を迅速に検出し、吐出量の制御に反映させることができる。
また、本発明に係る有機ELデバイスの製造方法は、前記の成膜装置を用いて、基材に膜を形成することにより有機ELデバイスを製造する。
以上の如く、本発明は、材料の状態に関わらず、吐出量を所望の量で迅速に安定させることができるという優れた効果を奏する。
図1は、本発明の一実施形態に係る成膜装置を備える有機ELデバイスの製造装置の概略図を示す。 図2は、同実施形態に係る成膜装置の概略図を示す。 図3は、同実施形態に係る成膜装置の制御ブロック図を示す。 図4は、同実施形態に係る成膜装置に記憶されている情報を示す。 図5は、同実施形態に係る有機ELデバイスの要部断面図を示す。 図6は、同実施形態に係る成膜装置の制御フロー図を示す。 図7は、同実施形態に係る成膜装置の制御方法を説明する図である。 図8は、同実施形態に係る成膜装置の制御方法を説明する図である。 図9は、同実施形態に係る成膜装置の制御方法を説明する図である。 図10は、同実施形態に係る成膜装置の制御方法を説明する図である。 図11は、本発明の他の実施形態に係る成膜装置の制御ブロック図を示す。 図12は、本発明のさらに他の実施形態に係る成膜装置の概略図を示す。
以下、本発明に係る成膜装置における一実施形態について、図1〜図10を参酌して説明する。なお、本実施形態において、成膜装置は、有機ELデバイスの製造装置に用いられている。
図1に示すように、有機ELデバイスの製造装置1は、帯状の基材100aを長手方向に沿う搬送方向D1に搬送する搬送装置2と、内部が真空状態にされ、並列されている複数(本実施形態においては5つ)の真空チャンバ3とを備えている。
製造装置1は、基材100aに向けて所定の材料を吐出することにより、基材100aに膜(有機EL素子)を形成する複数(本実施形態においては3つ)の成膜装置4を備えている。なお、複数の成膜装置4は、上流側から、陽極層100b、有機EL層100c、陰極層100dの各有機EL素子(図5参照)を形成している。
搬送装置2は、ロール状に巻かれた帯状の基材100aを繰り出して供給する供給部21と、搬送される基材100aを外周部で支持する複数の回転体22と、基材100aをロール状に巻き取って回収する回収部23とを備えている。搬送装置2は、基材100aが各真空チャンバ3の内部を通過するように、基材100aを搬送方向D1に搬送している。
成膜装置4は、図2及び図3に示すように、供給源(図示していない)から供給される材料を収容する収容部5と、材料を加熱する加熱部6と、加熱された材料を基材100aに向けて吐出する吐出部7とを備えている。本実施形態においては、成膜装置4は、加熱部6に加熱されることで気化した材料を基材100aに蒸着させる蒸着装置である。
成膜装置4は、材料の吐出量を制御するために弁開度を制御される弁8と、弁8の弁開度を変更させるべく、弁8を駆動する弁駆動部9とを備えている。成膜装置4は、弁8の弁開度を検出する弁開度検出部10と、材料の吐出量を検出する吐出量検出部11と、各検出部10,11で検出した情報を処理する処理部12と、処理部12に情報を入力するための入力部13とを備えている。
吐出部7は、筒状に形成される吐出部本体71を備えている。吐出部7は、基材100aに向けて材料を吐出するための吐出口72と、吐出量検出部11に検出される材料を吐出するための検出口73とを備えている。吐出部7は、弁8を通過した材料を吐出口72に案内する吐出口案内部74と、吐出口案内部74から分岐して形成され、材料を検出口73に案内する検出口案内部75とを備えている。
吐出口72は、吐出部本体71の先端部に配置されている。検出口73は、吐出部本体71の側部に配置されている。吐出口案内部74は、吐出部本体71の軸線方向に沿って材料を案内している。検出口案内部75は、吐出部本体71の径方向に沿って材料を案内している。
これにより、吐出部7は、吐出口72を経由して、吐出部本体71の軸線方向と平行な吐出方向D2に材料を吐出している。また、吐出部7は、検出口73を経由して、吐出部本体71の径方向と平行な検出方向D3に材料を吐出している。具体的には、吐出部7は、検出口73を経由して、吐出量検出部11に向けて材料を吐出している。なお、吐出方向D2と検出方向D3とは、略直交している。
材料が流れる流路において、弁8から吐出口72までの流路の距離は、弁8から検出口73までの流路の距離よりも、長い。即ち、材料が弁8を通過してから吐出口72に到達するまでの時間は、材料が弁8を通過してから検出口73に到達するまでの時間よりも、長い。
弁8は、収容部5と吐出部7とを通じさせる開口部81と、開口部81を開閉するテーパ状の弁体82とを備えている。弁8は、弁体82が開口部81に対して変位することにより、弁開度を変更する。弁8の弁開度が変更されることにより、吐出部7から吐出される材料の吐出量が変更される。なお、弁開度は、開口部81における流路になりえる度合、即ち、開口部81の開放されている度合をいう。
弁体82は、弁開度を変更するために、弁駆動部9により、開口部81に対して接離するように(移動方向D4に)、直線的に移動する。なお、弁開度検出部10は、弁駆動部9から弁体82の位置情報を取得し、弁体82の位置情報に基づいて、弁8の弁開度を検出している。
吐出量検出部11は、材料に付着されることで吐出量を検出するように構成されている。本実施形態においては、吐出量検出部11は、水晶振動子を用いており、付着した量に応じて変化する水晶振動子の共振周波数に基づいて、材料の吐出量を検出している。
処理部12は、弁開度及び吐出量に関する情報を記憶する記憶部14と、現在の材料の状態を判定する判定部15とを備えている。処理部12は、入力部13により設定された吐出量に制御すべく、弁開度を演算する演算部16と、演算部16で演算された弁開度に基づいて、弁8の弁開度を制御する制御部17とを備えている。
記憶部14は、入力部13により設定された吐出量を設定値(以下「設定吐出量」ともいう)として記憶する設定値記憶部14aと、弁開度検出部10で検出した弁開度(以下「検出弁開度」ともいう)と吐出量検出部11で検出した吐出量(以下「検出吐出量」ともいう)とを記憶する検出値記憶部14bとを備えている。記憶部14は、弁開度と吐出量との相関情報を記憶する相関情報記憶部14cを備えている。
相関情報記憶部14cは、図4に示すように、弁開度に対する吐出量が材料の状態(例えば、材料の温度、材料の溶融状態等)で異なることに対応すべく、材料の状態ごとにおける弁開度に対する吐出量の情報を記憶している。具体的には、相関情報記憶部14cが記憶する情報は、弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応すべく、以下のように、一つの変数(未知定数)を用いて、弁開度と吐出量との関係を表す式である。
(関係式)
Y=aF(X)
ここで、Xは、弁開度であり、Yは、吐出量であり、aは、変数である。
弁開度と吐出量との関係を表す式は、実際に測定した結果に基づいて、近似式で求められている。本実施形態においては、横軸を弁開度Xとし、縦軸を吐出量Yとした相関図は、以下のように、弁開度XがB未満の場合、吐出量Yは、下に凸となる弁開度Xの二次関数で表され、弁開度XがB以上の場合、吐出量Yは、上に凸となる弁開度Xの二次関数で表される。
(関係式)
X<Bの場合 : Y=aX
X≧Bの場合 : Y=a(CX+DX+E)
ここで、C、D及びEは、定数である。
本実施形態においては、材料が所定の温度T℃の場合、変数aは1.0としている。そして、材料の溶融状態が同じ場合であって、材料温度が(T−20)℃の場合、変数aは0.3となり、材料温度が(T−10)℃の場合、変数aは0.6となり、材料温度が(T+10)℃の場合、変数aは1.5となり、材料温度が(T+20)℃の場合、変数aは2.0となっている。
図3に戻り、判定部15は、検出弁開度と検出吐出量とに基づいて、相関情報記憶部14cで記憶されている複数の情報から該当する材料の状態における情報を判定する。具体的には、判定部15は、検出弁開度Xと検出吐出量Yとから、上記関係式における一つの変数aを演算する。
演算部16は、設定吐出量に制御すべく、判定部15で判定した情報に基づいて、弁開度を演算する弁開度演算部16aを備えている。弁開度演算部16aは、判定部15が演算した変数aに基づいた関係式と設定吐出量Yとから、制御すべき弁開度(以下、「演算弁開度」ともいう)Xを演算する。
弁開度演算部16aが弁開度を演算する時間の間隔は、材料が弁8を通過してから検出口73を経由して吐出量検出部11に検出されるまでの時間よりも長くなるように、設定されている。また、弁開度演算部16aが弁開度を演算する時間の間隔は、材料が弁8を通過してから吐出口72を経由して基材100aに到達するまでの時間よりも短くなるように、設定されている。
制御部17は、演算弁開度に基づいて、弁8の弁開度を制御する弁制御部17aを備えている。弁制御部17aは、弁8の弁開度が演算弁開度に変更するように、弁駆動部9を制御する。
本実施形態に係る製造装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る製造装置1で製造される有機ELデバイス100の構成について、図5を参酌して説明する。
有機ELデバイス100は、帯状の基材100aと、基材100aの上に積層された陽極層100bと、陽極層100bの上に積層された有機EL層100cと、有機EL層100cの上に積層された陰極層100dとを備えている。なお、本発明に係る有機ELデバイス100は、斯かる構成に限られない。
本発明に係る有機ELデバイス100は、成膜装置4をさらに追加して設けることにより、陽極層100b、有機EL層100c及び陰極層100d以外の層を備える、という構成でもよい。例えば、有機ELデバイス100は、陽極層100bと陰極層100dとが接触することを防止すべく、陽極層100bの周囲を覆うエッジカバー層を備えてもよく、また、各層100b,100c,100dが空気と接触することを防止すべく、各層100b,100c,100dを覆う封止層を備えてもよい。
本発明に係る陽極層100b、有機EL層100c及び陰極層100dの少なくとも一つは、複数の層からなる構成でもよい。例えば、有機EL層100cは、5つの層、具体的には、陽極層100b側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層の5つの層からなる構成でもよい。
次に、本実施形態に係る成膜装置4の制御方法について、図6〜図10を参酌して説明する。
弁開度検出部10が弁8の弁開度を検出し(ステップ101)、吐出量検出部11が吐出量を検出する(ステップ102)。なお、ステップ101とステップ102との順番は、反対でもよく、同時でもよい。図7に示すように、その検出された検出弁開度X1と検出吐出量Y1とに基づいて、判定部15は、相関情報記憶部14cで記憶されている複数の情報から該当する材料の状態における情報(図7及び図8においては、a=1.5)を判定する(ステップ103)。
図8に示すように、弁開度演算部16aは、目標となる設定吐出量Y0と判定部15で判定した情報とに基づいて、弁開度X2を演算する(ステップ104)。その演算弁開度X2に基づいて、弁制御部17aは、弁8の弁開度を変更する(ステップ105)。そして、所定時間が経過すると(ステップ106の「Y」)、再び、ステップ101に戻る。
なお、その所定時間は、材料が弁8を通過してから検出口73を経由して吐出量検出部11に検出されるまでの時間よりも長くなるように、設定されている。また、その所定時間は、材料が弁8を通過してから吐出口72を経由して基材100aに到達するまでの時間よりも短くなるように、設定されている。
ところで、例えば、材料の状態が図8に示した状態から変化することにより、検出弁開度がX2で同じ(ステップ101)であっても、検出吐出量がY0からY2に変化する(ステップ102)。図9に示すように、その検出弁開度X2と検出吐出量Y2とに基づいて、判定部15は、相関情報記憶部14cで記憶されている複数の情報から該当する材料の状態における情報(図9及び図10においては、a=1.0)を判定する(ステップ103)。
図10に示すように、弁開度演算部16aは、目標となる設定吐出量Y0と判定部15で判定した情報とに基づいて、弁開度X3を演算する(ステップ104)。その演算弁開度X3に基づいて、弁制御部17aは、弁8の弁開度を変更する(ステップ105)。このようにして、吐出口72から吐出される材料の吐出量は、設定吐出量Y0で安定する。
以上より、本実施形態に係る成膜装置4によれば、記憶部14は、材料の状態ごとにおける弁開度に対する吐出量の情報を記憶している。そして、判定部15は、吐出量検出部11で検出した吐出量と弁開度検出部10で検出した弁開度とに基づいて、記憶部14で記憶されている複数の情報から該当する材料の状態における情報を判定する。
その後、演算部16が、判定部15で判定した情報に基づいて、弁開度を演算するため、弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応できている。そして、弁8が、演算部16で演算された弁開度に基づいて制御されることにより、吐出量が、設定されている設定吐出量に制御される。したがって、材料の状態に関わらず、吐出量を所望の設定吐出量で迅速に安定させることができる。
また、本実施形態に係る成膜装置4によれば、記憶部14に記憶されている情報が、一つの変数aを用いて、吐出量Yと弁開度Xとの関係を表す式である。これにより、一つの変数が求められることにより、弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応することができる。したがって、構成(ハードウェア、ソフトウェア等)を簡素化することができる。
また、本実施形態に係る成膜装置4によれば、弁8を通過した材料は、吐出口案内部74により、吐出口72に案内され、吐出口72を経由して、基材100aに向けて吐出される。また、吐出口案内部74により案内されている材料の一部は、吐出口案内部74から分岐して形成される検出口案内部75により、検出口73に案内され、検出口73から吐出して、吐出量検出部11に検出される。
これにより、従来のように、吐出量検出部11が、吐出口72から吐出された材料により吐出量を検出していた構成に対して、吐出量検出部11の配置における設計自由度が大きくなる。これに併せて、吐出口72の配置における設計自由度も大きくなるため、吐出口72を基材100aに近づけて配置することができる。
また、本実施形態に係る成膜装置4によれば、演算部16が弁開度を演算する時間の間隔は、材料が弁8を通過してから検出口73を経由して吐出量検出部11に検出されるまでの時間よりも長い。これにより、演算部16で演算された弁開度に基づいて、吐出量が制御され、そして、吐出量検出部11が、その制御された弁開度における吐出量を検出した後に、演算部16が、その検出した吐出量に基づいて、弁開度の演算を開始することになる。したがって、吐出量を所望の設定吐出量で安定させることができる。
また、本実施形態に係る成膜装置4によれば、演算部16が弁開度を演算する時間の間隔は、材料が弁8を通過してから吐出口72を経由して基材100aに到達するまでの時間よりも短い。これにより、従来のように、吐出量検出部11が、吐出口72から吐出された材料により吐出量を検出していた構成に対して、演算部16が弁開度を演算する時間の間隔を短くすることができる。したがって、吐出量の変化を迅速に検出し、吐出量の制御に反映させることができる。
なお、本発明に係る成膜装置及び有機ELデバイスは、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、本発明に係る成膜装置及び有機ELデバイスは、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
本発明に係る成膜装置4は、材料の状態ごとにおける弁開度に対する吐出量の情報を自動的に演算する構成でもよい。例えば、図11に示すように、成膜装置4は、弁開度検出部10で検出した弁開度と吐出量検出部11で検出した吐出量とに基づいて、弁開度に対する吐出量の相関を演算する相関演算部16bを備えてもよい。また、図11に示す成膜装置4は、材料の温度を検出する温度検出部18と、温度検出部18で検出した材料の温度に基づいて加熱部6を制御する加熱制御部17bとを備えている。
斯かる構成によれば、加熱制御部17bが材料の温度を一定となるように加熱部6を制御しつつ、弁制御部17aが弁8の弁開度を変化させる。そして、弁開度検出部10が弁開度を検出し、吐出量検出部11が吐出量を検出する。斯かる動作は、弁制御部17a及び加熱制御部17bにより、さまざまな温度において実施される。
相関演算部16bは、これらの検出弁開度と検出吐出量とに基づいて、弁開度に対する吐出量の相関情報(例えば、関係式)を演算する。この相関情報は、例えば、近似式で求められる。そして、相関情報記憶部14cは、相関演算部16bで演算された相関情報を記憶する。
また、上記実施形態に係る成膜装置4においては、吐出口72は、筒状の吐出部本体71の先端部に配置され、検出口73は、筒状の吐出部本体71の側部に配置される、という構成である。しかしながら、本発明に係る成膜装置4は、斯かる構成に限れない。例えば、本発明に係る成膜装置4は、図12に示すように、吐出口72は、吐出部本体71の一方側の端部に配置され、検出口73は、吐出部本体71の他方側の端部に配置される、という構成でもよい。図12に示す成膜装置4においては、吐出方向D2と検出方向D3とは、略平行(正反対の方向)である。
また、上記実施形態に係る成膜装置4は、連続的に搬送される帯状の基材100aに向けて材料を吐出する、という構成(所謂、ロールトゥーロール式)である。しかしながら、本発明に係る成膜装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る成膜装置4は、図12に示すように、所定位置に配置される板状の基材100aに向けて材料を吐出する、という構成(所謂、バッチ式)でもよい。
また、上記実施形態に係る成膜装置4は、気化した材料を吐出する、という構成(所謂、ドライ式)である。しかしながら、本発明に係る成膜装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る成膜装置4は、液体の材料を吐出する、という構成(所謂、ウェット式)でもよい。なお、成膜装置4がウエット式である場合、吐出量検出部11には、例えば、液体の流量を測定する流量計が用いられる。
また、上記実施形態に係る成膜装置4においては、弁体82は、テーパ状に形成される、という構成である。しかしながら、本発明に係る成膜装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る成膜装置4においては、弁体82は、平板状(シャッター状)又は球状に形成される、という構成でもよい。要するに、弁8は、弁開度を変更することで、材料の流量(吐出量)を変更できる構成であればよい。
また、上記実施形態に係る成膜装置4においては、記憶部14が記憶する情報は、吐出量と弁開度との関係を表す式である、という構成である。しかしながら、本発明に係る成膜装置4は、斯かる構成に限れられない。例えば、本発明に係る成膜装置4においては、記憶部14が記憶する情報は、吐出量と弁開度との関係を表すテーブルである、という構成でもよい。
また、上記実施形態に係る成膜装置4においては、吐出量検出部11は、吐出口72とは別の検出口73から吐出された材料を検出することにより、基材100aに向けて吐出される材料の吐出量を検出する、という構成である。しかしながら、本発明に係る成膜装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る成膜装置4においては、吐出量検出部11は、吐出口72から吐出された材料を検出することにより、基材100aに向けて吐出される材料の吐出量を検出する、という構成でもよい。
1…有機ELデバイスの製造装置、2…搬送装置、3…真空チャンバ、4…成膜装置、5…収容部、6…加熱部、7…吐出部、8…弁、9…弁駆動部、10…弁開度検出部、11…吐出量検出部、12…処理部、13…入力部、14…記憶部、14a…設定値記憶部、14b…検出値記憶部、14c…相関情報記憶部、15…判定部、16…演算部、16a…弁開度演算部、16b…相関演算部、17…制御部、17a…弁制御部、17b…加熱制御部、18…温度検出部、21…供給部、22…回転体、23…回収部、71…吐出部本体、72…吐出口、73…検出口、74…吐出口案内部、75…検出口案内部、81…開口部、82…弁体、100…有機ELデバイス、100a…基材、100b…陽極層、100c…有機EL層、100d…陰極層、D1…搬送方向、D2…吐出方向、D3…検出方向、D4…移動方向

Claims (5)

  1. 基材に向けて材料を吐出することにより、基材に膜を形成する成膜装置において、
    材料の吐出量を検出する吐出量検出部と、
    材料の吐出量を制御するために弁開度を制御される弁と、
    弁開度を検出する弁開度検出部と、
    弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応すべく、材料の状態ごとにおける弁開度に対する吐出量の情報を記憶する記憶部と、
    前記吐出量検出部で検出した吐出量と前記弁開度検出部で検出した弁開度とに基づいて、前記記憶部で記憶されている複数の情報から該当する材料の状態における情報を判定する判定部と、
    設定されている吐出量に制御すべく、前記判定部で判定した情報に基づいて、弁開度を演算する演算部と、を備えることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記記憶部が記憶する情報は、弁開度に対する吐出量が材料の状態で異なることに対応すべく、一つの変数を用いて、吐出量と弁開度との関係を表す式である請求項1に記載の成膜装置。
  3. 基材に向けて材料を吐出するための吐出口と、
    前記吐出量検出部に検出される材料を吐出するための検出口と、
    前記弁を通過した材料を前記吐出口に案内する吐出口案内部と、
    前記吐出口案内部から分岐して形成され、材料を前記検出口に案内する検出口案内部と、を備え、
    前記演算部が弁開度を演算する時間の間隔は、材料が前記弁を通過してから前記検出口を経由して前記吐出量検出部に検出されるまでの時間よりも長くなるように、設定されている請求項1又は2に記載の成膜装置。
  4. 前記演算部が弁開度を演算する時間の間隔は、材料が前記弁を通過してから前記吐出口を経由して基材に到達するまでの時間よりも短くなるように、設定されている請求項3に記載の成膜装置。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の成膜装置を用いて、基材に膜を形成することにより有機ELデバイスを製造する有機ELデバイスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019508571A (ja) * 2017-01-31 2019-03-28 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 材料堆積装置、真空堆積システム、及び真空堆積を行う方法
JP2019099842A (ja) * 2017-11-29 2019-06-24 長州産業株式会社 蒸着装置及び蒸着方法

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