JP2014234046A - 四輪駆動車両 - Google Patents

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岡田 英章
Hideaki Okada
英章 岡田
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Abstract

【課題】変速後のエンジン出力をセンタデフにてフロントデフとリアデフとに振り分けて伝達する構造の四輪駆動車両において、従来、車両後部に重量物が集中する構造を、前後バランスのよい構造に改良する。【解決手段】 エンジン(1)、前輪用差動機構(25)を収納する前輪用車軸駆動装置(2)、後輪用差動機構(34)を収納する後輪用車軸駆動装置(4)、該エンジン(1)と該前輪用車軸駆動装置(2)との間の第一伝動軸(9)、該前輪用車軸駆動装置(2)と該後輪用駆動装置(4)との間の第二伝動軸(15)より構成した駆動列DTを構成する。変速・前後進切換用ギア列(18・19・20・21)を前輪用車軸駆動装置(2)内に配置し、センタ差動機構(33)を後輪用車軸駆動装置(4)内に配置する。【選択図】図2

Description

本発明は、運搬車等の四輪駆動車両に関し、特に、当該四輪駆動車両における、前輪及び後輪にエンジン動力を伝達する伝動システム(駆動列)に関する。
従来の運搬車等の四輪駆動車両は、特許文献1に示されるように、センタ差動機構(センタデフ)を備えたトランスミッション(変速用及び前後進切換用の複数のギア列を含む)を備えており、このセンタデフを介して、エンジン動力を、前輪用差動機構(フロントデフ)を備える前輪用車軸駆動装置(フロントトランスアクスル)と、後輪用差動機構(リアデフ)を備える後輪用車軸駆動装置(リアトランスアクスル)とに振り分けて出力する構造となっている。
特開2007−22466号公報
上記の如き運搬車は、車両後部に配置される荷台の下方にエンジンを配置している。そして、荷台直前の運転部を回避し、かつ、前後の車軸駆動装置へと振り分けて出力するのに好適な位置に該当することから、この荷台の下方に、上記のセンタデフ付きトランスミョションも配置されている。このため、車両の重心が車両の後部に偏り、走行を不安定なものにしている。
また、エンジンとトランスミッションとを左右に並設する構造にすると、重量物が左右方向に拡散し、車両の左右方向における重量バランスも悪くなる。さらに、センタデフが車両の左右中心から左右いずれか一側に偏りがちになり、前後の各車軸駆動装置における差動機構(フロントデフ・リアデフ)も、センタデフとの位置関係上、左右いずれかに偏って、差動機構から左側の車輪への伝動機構と、当該差動機構から右側の車輪への伝動機構とが均等の構成とならず、部品等の規格標準化が阻害される。また、左旋回と右旋回とで車両の挙動に差が生じたり、車両の左側と右側とで車輪の上下揺れ角が異なり、荒地での走破性が悪くなったりという不具合も生じ得る。
また、トランスミッションは、変速及び前後切換用の複数のギア列とセンタデフとを統合した構造なので、大型のものとなる。エンジンとトランスミッションとを左右並設すると、トランスミッションの左右幅が短くなり、トランスミッション内における前記ギア列を構成する前後方向の複数の回転軸を、左右に(平面視で平行に)振り分けて配設するにも限度があるので、上下に振り分けざるをえないが、トランスミッションの上方には荷台が配置されているので、トランスミッションを下方に拡張せざるをえず、この結果、運搬車の最低地上高が低くなって、地上の障害物との接触を起こしやすくなる。
また、前述の如く変速及び前後切換用のギア列とセンタデフとを統合して大型化したトランスミッションは、部品点数及び組立工程数の増加をもたらし、結果としてコスト増加を招いている。さらに、運転部に配置される変速操作具(レバー等)とトランスミッションにおける変速用及び前後進切換用のギア列選択用変速操作機構(フォーク軸等)との距離が比較的離れているので、両者を連係するリンク機構を長く延設する必要があり、このことによってもコスト増加をもたらしている。
上記の如き問題を解決するため、本発明は、以下の如き技術的解決手段を用いる。
すなわち、請求項1に記載の如く、本発明に係る四輪駆動車両は、
前方に突出するエンジン出力軸を有するエンジンと、
該エンジンの前方に配置される左右一対の前輪及び前輪用車軸駆動装置と、
該エンジンの後方に配置される左右一対の後輪及び後輪用車軸駆動装置と、
該エンジン出力軸と該前輪用車軸駆動装置との間に、平面視前後方向に介装される第一伝動軸と、
該前輪用車軸駆動装置と該後輪用車軸駆動装置との間に、平面視で該第一伝動軸に対し略平行で、前後略水平状に介装される第二伝動軸とを備える四輪駆動車両であって、
該前輪用車軸駆動装置は、略同一の高さで互いに平行な前後略水平の駆動軸及び従動軸、該駆動軸と該従動軸との間に介装される変速用及び前後進切換用の複数のギア列、該従動軸の前端に連設される前輪用差動機構、及び、該従動軸の後端に連設される駆動モード切換用クラッチを、筐体に収納してなるものであり、
該駆動軸の後端は、該筐体より後方に突出して該第一伝動軸の前端に連動連係され、
該駆動モード切換用クラッチは、該従動軸と同一軸心上に配置されるクラッチ出力軸を有し、
該クラッチ出力軸の後端は、該筐体より後方に突出して該第二伝動軸の前端に連動連係される。
また、請求項2に記載の如く、前記筐体は、前後方向の鉛直面を接合面として左右の分割ハウジングを接合してなるものであり、該左右の分割ハウジングのうちの一方に前記駆動軸を軸支し、他方に前記従動軸を軸支している。
また、請求項3に記載の如く、前記エンジン出力軸、前記第一伝動軸、及び前記駆動軸を、ユニバーサルジョイントを介して連動連係する。
請求項4に記載の如く、前記後輪用車軸駆動装置は、前方に突出する入力軸を有しており、前記クラッチ出力軸、前記第二伝動軸、及び該入力軸を、ユニバーサルジョイントを介して連動連係する。
また、請求項5に記載の如く、前記エンジンは、本体部と該本体部より下方に突出するオイルパンとを有しており、該本体部の底面の下方で、該オイルパンの左右一側方の空間に、前記第二伝動軸を配置する。
また、請求項6に記載の如く、前記後輪用車軸駆動装置は、前記左右一対の後輪各々に連動連係される左右一対のデフヨーク軸と、センタ差動機構と、後輪用差動機構とを備え、
該後輪用差動機構は、該左右一対のデフヨーク軸を軸支するデフケースを有し、該デフケースの回転を該左右のデフヨーク軸に差動可能に振り分けて出力する構成であり、
該センタ差動機構は、前記第二伝動軸から該デフケースへの伝動率を規制するよう構成されている。
さらに、請求項7に記載の如く、前記センタ差動機構は、前記左右のデフヨーク軸のうちの一方に周設されている。
以上の如く構成された四輪駆動車両は、以下の如き効果を奏する。まず、請求項1に記載の如く構成することで、車両後部(例えば運搬車における荷台の下方等)にエンジンを配置する一方で、変速用及び前後進切換用のギア列が、エンジン前方、すなわち車両の前部に配置される前輪用車軸駆動装置に備えられることとなる。したがって、荷台の下方にエンジン及びトランスミッションを配置した従来の運搬車のように、車両後部にエンジンも変速用及び前後進切換用のギア列を有するトランスミッションも両方配置していた従来の四輪駆動車両に比べると、車両の前後に重量物が分散配置され、車両の重心が車両の前後略中央に近くなり、走行中の車両の前後バランスが向上する。
また、前輪用車軸駆動装置、エンジン、後輪用車軸駆動装置は、車両の前後方向に振り分けられて、それぞれ、車両の左右中心部に配置することができるので、例えば荷台の下方にエンジンとトランスミッションとを左右に並置せざるを得なかった従来の運搬車等の四輪駆動車両に比べ、車両の左右バランスが向上し、左右各輪について均等で良好な走破性(荒地の凸凹に対する安定した追従性)が得られる。すなわち、前輪用車軸駆動装置及び後輪用車軸駆動装置が、車両の左右中心部に配置されることで、各車軸駆動装置から各車輪のホイルフランジまでの伝動機構(伝動軸やユニバーサルジョイント等よりなる)が、左右で均等(相似)状の構成となり、荒地上での車輪の上下の揺れ角が左右で均等になり、また、左旋回時と右旋回時とでの車両の挙動の差も小さくなる。
また、前輪用車軸駆動装置は、変速用及び前後進切換用の複数のギア列を、平行に配置した駆動軸と従動軸との間に介装している一方、該従動軸の前端・後端に前輪用差動機構と(二輪・四輪駆動切換用の)駆動モード切換用クラッチとをそれぞれ連設している。そして、センタ差動機構を備えていないことから、センタ差動機構を構成するために該従動軸の伝動下流側にさらに他の回転軸を設ける必要はない。このように、前輪用車軸駆動装置は、前後進切換用のギア列を構成するためのアイドル軸を除いては、該駆動軸及び該従動軸以外にこれらに対し平行に配置すべき回転軸を有しないので、全体がコンパクトで筐体内の部品の組み合わせ構造も簡単なものとなり、低コスト化も図ることができる。
また、該駆動軸及び該従動軸は、略同一高さにて平行に配置される前後略水平の軸であることから、車両の左右に並設されることとなり、これら駆動軸・従動軸、ギア列等を収納して前輪用車軸駆動装置の外郭となる前記筐体は、上下幅の小さな平たい形状のものとなる。したがって、当該前輪用車軸駆動装置を備えた四輪駆動車両の最低地上高を高くすることができる。
一方で、前述の如く前輪用差動機構及び駆動モード切換用クラッチが従動軸の前後に連設されていることから、前輪用車軸駆動装置の左右方向への拡張も抑えることができ、すなわち、該筐体を左右幅の小さなものとすることが可能であり、前述の如く、車両の左右中心部に前輪用車軸駆動装置を配置した場合に、該前輪用車軸駆動装置の左右各側のフリースペースを拡大することができ、これによって、前述の如く左右各側の車輪の荒地上での上下揺れ角を大きく確保する効果を得ることにもつながる。
また、変速用及び前後進切換用のギア列が前輪用車軸駆動装置に設けられることから、これらを操作するために車両の運転部に設けられるレバー等の操作具と、該前輪用車軸駆動装置に設けられるフォーク軸やシフタ等との間の距離が縮まって、両者間に介設されるリンク機構を簡素化及び短縮化することができ、コスト低下にもつながる。
そして、以上のような配置や構成のエンジン、前輪用車軸駆動装置及び後輪用車軸駆動装置を含めた駆動列全体について見た場合に、左右幅及び上下幅の小さなコンパクトな駆動列を実現することができ、これを車両における適切な位置に配置することで、バランスがよくて走行性に優れ、また、駆動列以下の部材を配置するための有効スペースも大きな、使い勝手のよい四輪駆動車両を提供することができる。
また、請求項2に記載の如く構成することで、駆動軸を軸支した一方の分割ハウジング内に、前記ギア列のうちの該駆動軸に設けられる部材等を予め組み込んでおき、かつ、従動軸を軸支した他方の分割ハウジング内に、前記ギア列のうちの該従動軸に設けられる部材や、該従動軸に連設される前記前輪用差動機構及び前記クラッチ等を予め組み込んでおけば、前輪用車軸駆動装置の最終的な組み立て工程においては、両分割ハウジング同士を接合するだけで、前記筐体が完成すると同時に、該筐体内の変速用及び前後進切換用のギア列の組み立ても完了する。このように、組立性の良好な前輪用車軸駆動装置を提供することができる。
また、駆動軸・従動軸は、それぞれが、単独の分割ハウジングにて軸支されることから、各軸の軸端を筐体から突出させるための軸出口も、各分割ハウジングに構成することができ、軸出口がハウジングの分割とともに分割されるように構成されている場合に比べて、その加工も容易となる。
また、請求項3に記載の如く構成することで、エンジンの出力を前輪用車軸駆動装置に伝達することができ、また、ユニバーサルジョイントを用いることで、エンジン及び前輪用車軸駆動装置の、相互の位置決め及びこれらの車両に対しての位置決めを厳密にしなくてもよく、車両製造の低コスト化に貢献するとともに、これらの構成要素を含む駆動列のレイアウトの自由度を高める。
また、請求項4に記載の如く構成することで、エンジン出力を受けた前輪用車軸駆動装置の出力を後輪用車軸駆動装置に伝達することができ、ユニバーサルジョイントを用いた連動連係とすることで、前輪用車軸駆動装置及び後輪用車軸駆動装置の、相互の位置決め及びこれらの車両に対しての位置決め(芯合わせ)を厳密にしなくてもよく、車両製造の低コスト化に貢献するとともに、これらの構成要素を含む駆動列のレイアウトの自由度を高める。
また、請求項5に記載の如く構成することで、エンジンが車両の左右中心部に配置されている状態であっても、前輪用車軸駆動装置の出力を後輪用車軸駆動装置へと伝達する第二伝達軸を、エンジンとの干渉なく車両の左右中心部に配置することができ、これによって、後輪用車軸駆動装置の配設位置も、車両の左右中心部とすることができて、前述の如く左右バランスのよい車両を構成することができる。また、第二伝動軸との干渉を回避するためにエンジンに複雑な加工をする必要はなく、エンジン下部に備えられるオイルパンの左右幅を短くする等の工夫だけですむので、エンジンのコスト高を招くこともない。
また、請求項6に記載の如く構成することで、前輪用車軸駆動装置の出力軸である前記従動軸の回転動力を、センタ差動機構により配分して、前輪用車軸駆動装置における前輪用差動機構と、後輪用車軸駆動装置における後輪用差動機構とに振り分けて出力することができる。そして、このセンタ差動機構の配置場所を後輪用車軸駆動装置とすることで、エンジン付近や前輪用車軸駆動装置内にセンタ差動機構を配置する必要がなくなり、前述の如き前輪用車軸駆動装置のコンパクト化、さらには、エンジン、前輪用車軸駆動装置、後輪用車軸駆動装置を含めた駆動列全体のコンパクト化に貢献する。
そして、センタ差動機構は、後輪用差動機構のデフケースの一部を含めた構成とすることができ、新たな部品の追加を回避して低コスト化を図ることができ、また、センタ差動機構及び後輪用差動機構を、両者間の隙間を小さくした状態で配置することができ、後輪用車軸駆動装置のコンパクト化を実現することができる。
さらに、請求項7に記載の如く構成することで、左右デフヨーク軸の軸芯を中心とした径方向における後輪用車軸駆動装置の寸法を抑えることができ、後輪用車軸駆動装置自体のコンパクト化を実現でき、さらに、その前方に配置されることとなるエンジンに対して近接するように後輪用車軸駆動装置を配置することができ、車両の後部におけるエンジン及び後輪用車軸駆動装置のレイアウトを、前後長の短いものとすることができ、四輪駆動車両のコンパクト化あるいは駆動列以外のものの部品の有効配置スペースの拡張を図ることができる。
以上の、またはその他の本発明の目的、特徴及び効果については、添付の図面を参照しての以下の詳細な説明により一層明白になる。
本発明に係る四輪駆動車両の実施例としての運搬車の側面略図である。 図1の四輪駆動車両に適用される駆動列の平面略図である。 図1に示すフロントトランスアクスル(前輪用車軸駆動装置)の拡大平面断面図である。 図1に示す前記駆動列におけるエンジンの正面略図であって、そのオイルパン側方に延設されるプロペラ軸の正面断面図を含む図である。 図1に示すリアトランスアクスル(後輪用車軸駆動装置)に適用されるセンタデフ(センタ差動機構)及びリアデフ(後輪用差動機構)のスケルトン図である。
図1に示す運搬車50の概略構成について説明する。運搬車50は、左右一対の前輪51と、左右一対の後輪52とを備えた四輪駆動車両である。なお、以下、運搬車50を単に「車両」というものとする。車両の前部を構成するものとして、その前端部に配置されるボンネット53、該ボンネット53の後方に形成される運転部54を備えている。運転部54内は運転室55となっており、該運転室55内にハンドル56及び運転席57が配置されている。該運転部54の後方には、車両の後部を構成するものとして、荷台58が配置されている。
車両の前端から後端にかけて、図1および図2に示す如き、エンジン1の出力を左右前輪51及び左右後輪52に伝達するための駆動列DTが構成されている。駆動列DTは、該エンジン1、フロントトランスアクスル(前輪用車軸駆動装置)2、リアトランスアクスル(後輪用車軸駆動装置)4、該エンジン1と該フロントトランスアクスル2との間に介装されるプロペラ軸(第一伝動軸)9、該フロントトランスアクスル2と該リアトランスアクスル4との間に介装されるプロペラ軸(第二伝動軸)15等を合わせた構成となっている。
駆動列DTの前端に配置されるフロントトランスアクスル2は、車両の前部を構成する前記ボンネット53の下方に配置されており、左右前輪51は、ボンネット53の下方に配置されたフロントトランスアクスル2の支持する左右各デフヨーク軸27L・27Rに連動連係されている。
フロントトランスアクスル2は、後述の如く変速用及び前後進切換用のギア列18・19・20・21及びシフタ22・23を備えている。運転室55内の運転席57近傍には、変速用及び前後進切換用の操作具としての変速レバー59が配置されているが、フロントトランスアクスル2が前記の如くボンネット53の下方と、運転室55に近い位置に配置されており、変速レバー59をシフタ22・23に連動連係するリンク機構の簡素化及び短縮化につながり、低コスト化にも貢献する。さらに、本実施例においては、図1に示すように、変速レバー59の基部がフロントトランスアクスル2のトランスアクスルケース3に枢支され、シフタ22・23と変速レバー59とを連係するリンク機構はフロントトランスアクスル2内に組み込まれているので、フロントトランスアクスル2が変速レバー59を一体状に備えた構成のものとなり、該シフタ22・23を変速レバー59に連係するリンク機構をトランスアクスルケース3の外部に配設する必要がなくなり、低コストでコンパクトなトランスアクスルとしてフロントトランスアクスル2を提供することができる。
駆動列DTの後端に配置されるリアトランスアクスル4は、その前方に配置されるエンジン1とともに、車両の後部を構成する前記荷台58の下方に配置されており、左右後輪52は、リアトランスアクスル4の支持する左右各デフヨーク軸35L・35Rに連動連係されている。
駆動列DTの中では、エンジン1と、前述の如く変速用及び前後進切換用のギア列を備えるフロントトランスアクスル2とが、比較的大型の重量物であるが、エンジン1は車両後部の荷台58の下方に、フロントトランスアクスル2は車両前部のボンネット53の下方に、それぞれ配置されることで、車両の前後方向における重心(前後バランスの中心)CBが、図1の如く、大凡、運転部54と荷台58の間、すなわち、車両の前後中心部に配置される。こうして、前後バランスのよい車両を構成することができる。
また、このような比較的大型のエンジン1及びフロントトランスアクスル2が、荷台58とボンネット53との間の運転室55の下方を回避するように配置されるため、運転室55の下方には、大凡、エンジン1とフロントトランスアクスル2との間に介装されるプロペラ軸9やフロントトランスアクスル3より後方に延設されるプロペラ軸15の前端部等が配置される。したがって、運転室55内に配置される運転席57を低く配置することができ、その分、運転室55内のスペースを拡張することが可能である。また、エンジン1やフロントトランスアクスル2の放熱による運転席57や運転室55の高温化も回避することができる。
また、駆動列DTのフロントトランスアクスル2、エンジン1、リアトランスアクスル4は、図2よりわかるように、平面視で前後方向に略一直線上に配列され、これらを車両の左右中心部に配置することにより、車両の左右方向における重量バランスも向上する。
ここで、図2より、フロントトランスアクスル2の左右デフヨーク軸27L・27Rから左右前輪51への伝動系構造、及び、リアトランスアクスル4の左右デフヨーク軸35L・35Rから左右後輪52への伝動系構造について説明する。
フロントトランスアクスル2の後記トランスアクスルケース(筐体)3には、左右のデフヨーク軸27L・27Rが軸支されて、左右外側に突出している。一方、図2に示す左右ホイルフランジ32L・32Rは、左右各前輪51の中心部を構成する部材であり、各ホイルフランジ32L・32Rより、各前輪51の車軸31L・31Rがそれぞれ左右内方に突出している。右デフヨーク軸27Rと、右ホイルフランジ32Rより突出する右前輪51の車軸31Rとの間に、ユニバーサルジョイント28R、プロペラ軸29R、ユニバーサルジョイント30Rが介設されて、右デフヨーク軸27Rから右前輪51への伝動系が構成されており、左デフヨーク軸27Lと、左ホイルフランジ32Lより突出する左前輪51の車軸31Lとの間に、ユニバーサルジョイント28L、プロペラ軸29L、ユニバーサルジョイント30Lが介設されて、左デフヨーク軸27Lから左前輪51への伝動系が構成されている。
リアトランスアクスル4の後記トランスアクスルケース(筐体)5には、左右のデフヨーク軸35L・35Rが軸支されて、左右外側に突出している。一方、図2に示す左右ホイルフランジ40L・40Rは、左右各後輪52の中心部を構成する部材であり、各ホイルフランジ40L・40Rより、各後輪52の車軸39L・39Rがそれぞれ左右内方に突出している。右デフヨーク軸35Rと、右ホイルフランジ40Rより突出する右後輪52の車軸39Rとの間に、ユニバーサルジョイント36R、プロペラ軸37R、ユニバーサルジョイント38Rが介設されて、右デフヨーク軸35Rから右後輪52への伝動系が構成されており、左デフヨーク軸35Lと、左ホイルフランジ40Lより突出する左後輪52の車軸39Lとの間に、ユニバーサルジョイント36L、プロペラ軸37L、ユニバーサルジョイント38Lが介設されて、左デフヨーク軸35Lから左後輪52への伝動系が構成されている。
前述の如く、フロントトランスアクスル2が車両の左右中心部に配置されることで、右デフヨーク軸27Rから右前輪51(右ホイルフランジ32R)までの距離と、左デフヨーク軸27Lから左前輪51(左ホイルフランジ32L)までの距離とが略等しくなり、右前輪51と左前輪51とで、地面の凸凹に対応しての上下の揺れ角が均等になり、また、当該揺れ角も大きくとることができる。また、前述の如く、リアトランスアクスル4が車両の左右中心部に配置されることで、右デフヨーク軸35Rから右後輪52(右ホイルフランジ40R)までの距離と、左デフヨーク軸35Lから左後輪52(左ホイルフランジ40L)までの距離とが略等しくなり、右後輪52と左後輪52とで、地面の凸凹に対応しての上下の揺れ角が均等になり、また、当該揺れ角も大きくとることができる。こうして、荒地での走行においても、左車輪と右車輪とで均等な優れた走破性を確保することができ、また、左旋回時と右旋回時とで車両の挙動を均等にすることができる。
また、右デフヨーク軸27Rから右前輪51(右ホイルフランジ32R)への伝動系を構成するものとしても、左デフヨーク軸27Lから左前輪51(左ホイルフランジ32L)への伝動系を構成するものとしても用いることができるように、左右前輪51への伝動用のユニバーサルジョイント及びプロペラ軸を規格化することができ、一方、右デフヨーク軸35Rから右後輪52(右ホイルフランジ40R)への伝動系を構成するものとしても、左デフヨーク軸35Lから左後輪52(左ホイルフランジ40L)への伝動系を構成するものとしても用いることができるように、左右後輪52への伝動用のユニバーサルジョイント及びプロペラ軸を規格化することができる。このように、車両の左右中心部へのフロントトランスアクスル2及びリアトランスアクスル4の配置により、部品の規格化が促進され、低コスト化に貢献する。
図1乃至図5により、駆動列DTの構造について詳細に説明する。図1、図2、図4に示すように、エンジン1は、その本体部の底面1bより下方にオイルパン1aを延設している。オイルパン1aの左右幅は、当該本体部の左右幅よりも小さくなっており、したがって、本体部の左右外側面とオイルパン1aの左右外側面とが段差を構成している。エンジン1の前端部には、乾式摩擦板式クラッチ等のメインクラッチ6が付設されており、該メインクラッチ6よりエンジン出力軸7が前方に突出されている。メインクラッチ6の入り切りで、エンジン1の出力がエンジン出力軸7に伝達される状態とされない状態とに切り換えられる。
フロントトランスアクスル2のトランスアクスルケース3内には、前後略水平状の駆動軸11と従動軸12とが、略同一高さで平行状に、左右に並設されている。この実施例では右に駆動軸11、左に従動軸12を配置しているが、これらの左右関係は任意であり、左右逆でもよい。駆動軸11の後端部は、フロントトランスアクスル2の入力軸として、トランスアクスルケース3より後方に突出している。前記エンジン出力軸7と、駆動軸11の該後端部との間に、ユニバーサルジョイント8、プロペラ軸9、ユニバーサルジョイント10を介設して、エンジン出力軸7の回転力を、ユニバーサルジョイント8・10及びプロペラ軸9を介して、駆動軸11に伝達する構成としている。
図2、図3に示すように、フロントトランスアクスル2のトランスアクスルケース3は、前後方向の鉛直な接合面Jを介して右分割ハウジング61と左分割ハウジング62とを接合し、さらに、左分割ハウジング62の後端にクラッチハウジング63を接合することで構成される。左右分割ハウジング61・62にはそれぞれ仕切壁61a・62aが形成されており、両分割ハウジング61・62の接合により、仕切壁61a・62aが接合して、トランスアクスルケース3内の一つの仕切壁を構成し、この仕切壁により、トランスアクスルケース3内は、前側のデフ室DCと後側のギア室GCとに仕切られる。デフ室DCには、前述の左右のデフヨーク軸27L・27Rを支持するフロントデフ(前輪用差動機構)25が収納されており、ギア室GCには、駆動軸11、従動軸12、及び両軸11・12間に介設される変速用及び前後進切換用のギア列18・19・20・21が収納されている。また、クラッチハウジング63内に構成されるクラッチ室CCには、駆動モード切換用クラッチ24が収納されている。
左右の分割ハウジング61・62間の前記接合面Jは、平面視で駆動軸11と従動軸12との間に配置されている。すなわち、駆動軸11・従動軸12は、それぞれ、各分割ハウジング61・62単独にて軸支されている。駆動軸11を軸支する分割ハウジング61においては、仕切壁61aが軸受を介して駆動軸11の前端を軸支し、分割ハウジング61の後端部が軸受を介して駆動軸11の後部を軸支している。駆動軸11の後端部は、前述の如くプロペラ軸9に連動連係されるべく、該分割ハウジング61の後端部より後方に突出している。そして、該仕切壁61aと該分割ハウジング61の後端部との間の、ギア室GCの半分に該当する空間内にて、該駆動軸11に、各ギア列18・19・20・21の駆動ギア18a・19a・20a・21aが固設されている。
一方、従動軸12を軸支する分割ハウジング62においては、仕切壁62aが軸受を介して従動軸12の前部を軸支し、分割ハウジング62の後端部が軸受を介して従動軸12の後部を軸支している。従動軸12の前端部は、仕切壁62aの前側のデフ室DC内へと突出しており、該デフ室DC内にて、従動軸12の前端にベベルピニオン12aが固設されている。従動軸12の後端部は、該分割ハウジング62の後端部より後方に突出しており、クラッチハウジング63が分割ハウジング62の後端に接合されている状態にあっては、該従動軸12の後端部は該クラッチハウジング63内のクラッチ室CC内に配置されることとなる。
該仕切壁62aと該分割ハウジング62の後端部との間の、ギア室GCの半分に該当する空間内にて、該従動軸12に、各ギア列18・19・20・21の従動ギア18b・19b・20b・21bが相対回転自在に装着されている。このように、分割ハウジング61に軸支された駆動軸11には駆動ギア18a・19a・20a・21aが装着され、分割ハウジング62に軸支された従動軸12には従動ギア18b・19b・20b・21bが装着された状態において、分割ハウジング61と分割ハウジング62とを接合することで、駆動ギア18aと従動ギア18bとが噛合して前進1速(低速)ギア列18を構成し、駆動ギア19aと従動ギア19bとが噛合して前進2速(中速)ギア列19を構成し、駆動ギア20aと従動ギア20bとが噛合して前進3速(高速)ギア列20を構成する。また、分割ハウジング61・62のいずれか一方にアイドルギア21cが軸支されていて、分割ハウジング61・62同士の接合により、駆動ギア21aと従動ギア21bとがアイドルギア21cを介して噛合して後進ギア列21を構成する。このように、トランスアクスルケース3を構成すべく分割ハウジング61・62同士を接合すると、それと同時に変速及び前後進切換用のギア列18・19・20・21の組み立ても完了する(いいかえれば、ギア室GCがこれらのギア列を収納した状態で完成する)ので、フロントトランスアクスル2の組立(及び分解)を容易なものとする。
従動軸12において、前進2速用従動ギア19bと前進3速用従動ギア20bとの間にはシフタ22が、前進1速用従動ギア18bと後進用従動ギア21bとの間にはシフタ23が、それぞれ装着されている。シフタ22は、従動軸12に沿っての軸芯方向の動きにより、従動ギア19bに係合する前進2速位置と、従動ギア20bに係合する前進3速位置と、いずれの従動ギア19b・20bにも係合しない中立位置との3位置に切り換えられる。シフタ23は、従動軸12に沿っての軸芯方向の動きにより、従動ギア18bに係合する前進1速位置と、従動ギア21bに係合する後進位置と、いずれの従動ギア18b・21bにも係合しない中立位置との3位置に切り換えられる。
シフタ22・23は、前述の如く運転室55内に配置される変速操作具の操作で位置制御されるよう構成されている。該変速レバー59は、後進位置、中立位置、前進1速位置、前進2速位置、前進3速位置に切換可能となっている。該変速レバー59を後進位置にすると、シフタ22が中立位置、シフタ23が後進位置に配置される。該変速レバー59を中立位置にすると、両シフタ22・23が中立位置に配置される。該変速レバー59を前進1速位置にすると、シフタ22が中立位置、シフタ23が前進1速位置に配置される。該変速レバー59を前進2速位置にすると、シフタ22が前進2速位置、シフタ23が中立位置に配置される。該変速レバー59を前進3速位置にすると、シフタ22が前進3速位置、シフタ23が中立位置に配置される。こうして、変速レバー59の操作により、シフタ22またはシフタ23を介して、変速用及び前進行切換用のギア列18・19・20・21のいずれか一つが従動軸12に連動連係されて、そのギア列を介して駆動軸11から従動軸12へと伝達される。
なお、本実施例では駆動軸11に各ギア列の駆動ギアを固設し、従動軸12に各ギア列の従動ギアを相対回転自在に装着するとともにシフタ22・23を装着した構成としているが、各ギア列の従動ギアを従動軸12に固設し、駆動ギアを駆動軸11に相対回転自在に装着し、シフタ22・23を駆動軸11に装着するものとしてもよい。
前記の左右デフヨーク軸27L・27Rは、トランスアクスルケース3の前部の左右各端部にて各軸受を介して軸支されている。本実施例では右側に駆動軸11、左側に従動軸12を配置していることを前提として説明すると、右デフヨーク軸27Rは駆動軸11を軸支する右分割ハウジング61の前部に、左デフヨーク軸27Lは従動軸12を軸支する左分割ハウジング62の前部に、それぞれ、駆動軸11・従動軸12に対し直角方向の車両の左右方向に延設された状態で軸支されている。各デフヨーク軸27L・27Rの外端部は、前述の如くトランスアクスルケース3の左右外側に突出し、ユニバーサルジョイント及びプロペラ軸29L・29Rを介して左右各前輪51の車軸31L・31Rに連動連係されており、一方、該トランスアクスルケース3内のデフ室DC内にて、フロントデフ25により、該デフヨーク軸27L・27Rの内端部同士が差動可能に連結されている。なお、フロントデフ25は、後述の図4に示すリアデフ34と同様の構造あるいは機能を有するものである。
フロントデフ25は入力ベベルギア25aを有し、これを前記ベベルピニオン12aに噛合して、ベベルピニオン12aとそれより大径の入力ベベルギア25aとにて、フロントデフ25駆動用の最終減速ギア列を構成している。このため、フロントデフ25は、従動軸12を軸支する分割ハウジング62内のギア室GCの右半分に、ギア25aをピニオン12aに噛合した状態で配置しておき、分割ハウジング61・62同士の接合の際に、分割ハウジング61に軸支しておいたデフヨーク軸27Lを分割ハウジング62内のフロントデフ25に組み付けることができるよう構成することが考えられる。
また、デフ室DC内には、フロントデフ25をロックするためのデフロック機構26も配置されている。フロントデフ25が分割ハウジング62内に配置されていることから、デフロック機構26は分割ハウジング61内のギア室GCの左半分内にて左デフヨーク軸27Lに装着しておき、分割ハウジング61・62同士の接合の際に、デフヨーク軸27L及びデフロック機構26を分割ハウジング62内のフロントデフ25に組み付けることができるよう構成することが考えられる。
こうして、従動軸12の回転動力を左右前輪51に振り分けて伝達する(デフロック機構26付きの)フロントデフ25は、フロントトランスアクスル2のトランスアクルケース3内におけるギア室GCの前方に形成されたデフ室DC内に配置されるため、ギア室GC内の変速用及び前後進切換用ギア列と略同じ高さに配置され、このため、フロントトランスアクスル2の外郭をなすトランスアクスルケース3を、上下幅及び左右幅の小さなコンパクトな形状のものとすることができる。
分割ハウジング62の後端部に接合されたクラッチハウジング63にて構成されるクラッチ室CCには、前述の如く従動軸12の後端部が挿入される。クラッチ室CC内には、前後略水平状で従動軸12と同一軸芯上にクラッチ出力軸13が延設されており、その前後途中部がクラッチハウジング63の後端部に軸受を介して軸支されている。クラッチ室CC内において、従動軸12の後端部とクラッチ出力軸13の前端部とが、駆動モード切換用クラッチ24を介して係合可能となっている。該クラッチ24は、クラッチ出力軸13を従動軸12に係合するクラッチ入り状態と、クラッチ出力軸13を従動軸12から切り離すクラッチ切り状態とに切換可能となっており、クラッチ24を入れることで、車両を四輪駆動モードに設定するものとし、クラッチ24を切ることで、車両を二輪駆動モードに設定するものとしている。
クラッチ室CCはギア室GCの後方に連設され、クラッチ室CCに収納されるクラッチ24は伝動軸12の後端部に連設されるので、トランスアクスルケース3は、クラッチハウジング63を含めた状態においても、上述の如き上下幅及び左右幅の小さなコンパクト性を確保する。
以上のように、フロントトランスアクスル2は上下幅の小さいものとなり、車両に搭載するにおいて、荒地での走行に支障がないようにその下端部の地上高を十分に確保できる一方で、フロントトランスアクスル2の上端の位置が低くなって、その上方に配置される車両の前部構造のレイアウトの自由度を高めることができる。また、左右幅が小さいので、前述の如く、車両の左右中心部にピンポイント状に配置できて、左右前輪51の上下揺れ角を大きくとることができる等の好ましい効果が得られる。
図1及び図2に示すように、クラッチ出力軸13の後部はトランスアクスルケース3におけるクラッチハウジング63の後端部より後方に突出し、クラッチ出力軸13の後端部がユニバーサルジョイント14を介してプロペラ軸15の前端部に連動連係される。プロペラ軸15の後端部は、ユニバーサルジョイント16を介して、リアトランスアクスル4の備える前方突出状の入力軸17の前端部に連動連係される。
ここで、前述のように、フロントトランスアクスル2、エンジン1、リアトランスアクスル4は、車両の左右中心部にて前後一列状に配列されているので、リアトランスアクスル4まで延設されるプロペラ軸15とエンジン1との干渉が問題となる。すなわち、プロペラ軸15は、図2に示すように、平面視ではエンジン1の本体部と重複する。しかし、図1及び図4よりわかるように、プロペラ軸15は、エンジン1の本体部の底面1bの下方にその上下方向の位置を確保し、かつ、オイルパン1aの側方にその左右方向の位置を確保している。すなわち、前述のように、エンジン1は、本体部の側面とその下方に延設されるオイルパン1aの側面とが段差状になっていて、本体部の底面1bの下方かつオイルパン1aの側面の側方に空間が確保される。プロペラ軸15は、この空間を通るように延設されることで、エンジン1との干渉を回避しつつ、その配設位置を、車両の左右中心部に確保することができる。
したがって、プロペラ軸15は、ユニバーサルジョイント14・16を用いることで厳密にその前端部と後端部との位置合わせをして正確な前後水平状に配置する必要はないが、大幅に上下方向や左右方向に傾斜させることなく、略前後水平状に延設することができる。これにより、プロペラ軸15を介してのフロントトランスアクスル2からリアトランスアクスル4への動力伝達ロスを低減する。また、プロペラ軸15の配置に必要な空間を、車両の上下方向においても左右方向においても、プロペラ軸15の直径に近い最小限のものとすることができ、プロペラ軸15周辺の他の部材のレイアウトの自由度を高める効果や、荒地走行に支障のない十分な地上高を確保できる高さにプロペラ軸15を配置することができるという効果等が得られる。また、逆にいえば、プロペラ軸15をエンジン1との干渉なく車両の左右中心部に前後略水平の状態で配置できることで、フロントトランスアクスル2及びリアトランスアクスル4も車両の左右中心部に配置することができ、前述の如き効果を得られるものともいえる。
リアトランスアクスル4の構造について図1、図2、図5より説明する。リアトランスアクスル4はその外郭をなすトランスアクスルケース5を有している。本実施例ではトランスアクスルケース5の構造については特に限定せず、左右分割状や上下分割状の構造としてもよい。図2に示すように、トランスアクスルケース5の前端部は軸受を介して前後略水平状の前記入力軸17を軸支している。入力軸17の前部は前述の如く前方に突出して、ユニバーサルジョイント16を介してプロペラ軸15に連結されており、一方、トランスアクスルケース5内において、入力軸17の後端部にベベルピニオン17aが固設されている。
図2に示すように、トランスアクスルケース5の左端部及び右端部にて、各軸受を介して左右デフヨーク軸35L・35Rが軸支されている。各デフヨーク軸35L・35Rの外端部は、トランスアクスルケース5の左右端部より左右外方に突出して、各プロペラ軸37L・37R等を介して前述の如く左右各後輪52の車軸39L・39Rに連動連係されている。トランスアクスルケース5内において、両デフヨーク軸35L・35Rの内端部は、リアデフ(後輪用差動機構)34のデフケース34a内に挿入され、該内端部それぞれにベベルデフサイドギア35aが固設されている。該デフケース34a内にて、少なくとも一つのベベルデフピニオン34bが枢支され、該少なくとも一つのベベルデフピニオン34bに両デフヨーク軸35L・35Rのベベルデフサイドギア35aが噛合している。このように、リアデフ34は、デフケース34aの回転を、左右のデフヨーク軸35L・35Rに差動的に振り分け伝達する構造となっている。
トランスアクスルケース5内には、センタデフ(センタ差動機構)33とリアデフ34とが左右並設されており、センタデフ33は、リアデフ34の支持する左右デフヨーク軸35L・35Rのうちのいずれか一方(本実施例では左デフヨーク軸35L)に周設されている。センタデフ33は、該左デフヨーク軸35Lに相対回転自在に周設された筒状のデフケース33bを有し、該デフケース33bの外周上に、センタデフ33の入力ギアとしてのベベルギア33aが固設されており、該ベベルギア33aは前記の入力軸17の後端部に固設したベベルピニオン17aと噛合している。このベベルピニオン17aとそれよりも大径のベベルギア33aとで、センタデフ33への最終減速ギア列を構成している。
本実施例でセンタデフ33がリアデフ34の左側に配置されているという前提で、リアデフ34のデフケース34aの、左デフヨーク軸35Lを軸支する左端のボス部を、該左デフヨーク軸35Lに沿って延出し、該センタデフ33のデフケース33a内へと挿入している。デフケース33b内には、デフケース33bと相対回転不能に係合する摩擦板33cと、デフケース34の当該ボス部と相対回転不能に係合する摩擦板33dとを相互に配列するとともに、これら摩擦板33c・33dにある程度の圧力を付与するバネ33eを配設している。このバネ33eによる圧力(付勢力)は、摩擦板33bと摩擦板33cとが、ある程度相対回転可能に摩擦当接するように設定されている。すなわち、センタデフ33は、デフケース33bの回転をリアデフ34aのデフケース34aに伝達するにおいて、デフケース33bに対するデフケース34aのある程度の差動を許容するリミティッドスリップデフの如き構造となっている。
このように、センタデフ33は、(駆動モード切換用クラッチ24が入っている(四輪駆動モードである)という前提で)フロントトランスアクスル2の従動軸12からプロペラ軸15及び入力軸17を介してデフケース33bに入力した回転力を、リアデフ34のデフケース34aに対し、ある程度の伝動率で伝達するように構成されており、一方、従動軸12は前述の如くフロントデフ25に連動連係されていることから、センタデフ33は、フロントトランスアクスル2においてギア列18・19・20・21のうちから択一されたギア列を介して伝達されたエンジン1の出力を、一定の比率でフロントデフ25とリアデフ34とに振り分け伝達するよう機能する。
従来、このようなセンタデフは、フロントデフを収納したフロントトランスアクスルと、リアデフを収納したリアトランスアクスルとの間に配設されるこれらと別体のトランスミッションに収納されていたが、本実施例に係る駆動列DTにおいては、変速及び前後進切換用の機構をフロントトランスアクスル2に統合することで、フロントトランスアクスル2及びリアトランスアクスル4とは別体のトランスミッションを除いており、ここで、センタデフを配設するのに有効な位置として、リアトランスアクスル4内を選んだところに利点がある。
すなわち、センタデフ33は、このようにリアトランスアクスル4のトランスアクスルケース5内に配置した状態にしても、フロントデフ25とリアデフ34とに出力を振り分けるというそのセンタデフとしての機能を奏するものであり、また、本実施例のように、左右一方のデフヨーク軸に周設して、リアデフ34とともに左右並列するように設けることで、リアトランスアクスル4のトランスアクスルケース5は、リアデフ34に加えてセンタデフ33を収納した状態になっても、上下方向や前後方向に拡張することなく、コンパクト性が確保される。逆にいえば、センタデフ33をこのようにリアトランスアクスル4内に配設することによって、エンジン1の近傍からはトランスミッションをなくし、また、従来のトランスミッションの変速及び前後進切換用の機構をフロントトランスアクスル2に統合させてもフロントトランスアクスル2のコンパクト性を確保できるものとなっているともいえる。
なお、リアトランスアクスル4内に設けるセンタデフ33としては、上記の如き摩擦板式のものに限らず、ビスカスカップリングや電子制御式カップリング等、プロペラ軸15(入力軸17)からリアデフ34のデフケース34aへの伝動率を規制するものであればどのような構造のものでもよい。
このように、運搬車50は、以上の如く構成した駆動列DTを備えることで、良好な前後バランス及び左右バランス、十分な地上高の確保、左右車輪の十分な上下揺れ角度の確保等の効果を得て、荒地上での走行性に優れた四輪駆動車両として提供することができるのである。
本発明に係る四輪駆動車両は、上記の実施例で説明した運搬車の他、特に荒地での走行性が要求されるような場面で用いられる様々な形式の四輪駆動車両として適用が可能である。
また、以上に説明した駆動列を前後逆にした状態で四輪駆動車両に適用することも考えられる。例えば、エンジンを車両前部に配置し、その後方に運転室を配置した構造の四輪駆動車両においては、変速用及び前後進切換用のギア列を組み込んだ車軸駆動装置を後輪用のもの(リアトランスアクスル)とし、センタデフを組み込んだ車軸駆動装置を前輪用のもの(フロントトランスアクスル)として当該四輪駆動車両に搭載し、該エンジンから該リアトランスアクスルへと後方に第一伝動軸(プロペラ軸)を延設する一方、該リアトランスアクスルから該フロントトランスアクスルへと第二伝動軸(プロペラ軸)を前方に延設するということも考えられる。このように、四輪駆動車両用の駆動列におけるエンジンやトランスアクスルのレイアウト等については、様々な応用が考えられる。
DT 駆動列
1 エンジン
1a オイルパン
1b 本体部底面
2 フロントトランスアクスル(前輪用車軸駆動装置)
3 トランスアクスルケース(前輪用車軸駆動装置の筐体)
4 リアトランスアクスル(後輪用車軸駆動装置)
5 トランスアクスルケース(後輪用車軸駆動装置の筐体)
6 メインクラッチ
7 エンジン出力軸
8 ユニバーサルジョイント
9 プロペラ軸(第一伝動軸)
10 ユニバーサルジョイント
11 駆動軸
12 従動軸
13 クラッチ出力軸
14 ユニバーサルジョイント
15 プロペラ軸(第二伝動軸)
16 ユニバーサルジョイント
18・19・20・21 変速用及び前後進切換用ギア列
24 駆動モード切換用クラッチ
25 フロントデフ(前輪用差動機構)
33 センタデフ(センタ差動機構)
34 リアデフ(後輪用差動機構)
50 運搬車(四輪駆動車両)
51 前輪
52 後輪
59 変速レバー
61 分割ハウジング
62 分割ハウジング
63 クラッチハウジング

Claims (7)

  1. 前方に突出するエンジン出力軸を有するエンジンと、
    該エンジンの前方に配置される左右一対の前輪及び前輪用車軸駆動装置と、
    該エンジンの後方に配置される左右一対の後輪及び後輪用車軸駆動装置と、
    該エンジン出力軸と該前輪用車軸駆動装置との間に、平面視前後方向に介装される第一伝動軸と、
    該前輪用車軸駆動装置と該後輪用車軸駆動装置との間に、平面視で該第一伝動軸に対し略平行で、前後略水平状に介装される第二伝動軸とを備える四輪駆動車両であって、
    該前輪用車軸駆動装置は、略同一の高さで互いに平行な前後略水平の駆動軸及び従動軸、該駆動軸と該従動軸との間に介装される変速用及び前後進切換用の複数のギア列、該従動軸の前端に連設される前輪用差動機構、及び、該従動軸の後端に連設される駆動モード切換用クラッチを、筐体に収納してなるものであり、
    該駆動軸の後端は、該筐体より後方に突出して該第一伝動軸の前端に連動連係され、
    該駆動モード切換用クラッチは、該従動軸と同一軸心上に配置されるクラッチ出力軸を有し、
    該クラッチ出力軸の後端は、該筐体より後方に突出して該第二伝動軸の前端に連動連係されることを特徴とする四輪駆動車両。
  2. 前記筐体は、前後方向の鉛直面を接合面として左右の分割ハウジングを接合してなるものであり、該左右の分割ハウジングのうちの一方に前記駆動軸を軸支し、他方に前記従動軸を軸支していることを特徴とする請求項1記載の四輪駆動車両。
  3. 前記エンジン出力軸、前記第一伝動軸、及び前記駆動軸を、ユニバーサルジョイントを介して連動連係することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の四輪駆動車両。
  4. 前記後輪用車軸駆動装置は、前方に突出する入力軸を有しており、
    前記クラッチ出力軸、前記第二伝動軸、及び該入力軸を、ユニバーサルジョイントを介して連動連係することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の四輪駆動車両。
  5. 前記エンジンは、本体部と該本体部より下方に突出するオイルパンとを有しており、
    該本体部の底面の下方で、該オイルパンの左右一側方の空間に、前記第二伝動軸を配置することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の四輪駆動車両。
  6. 前記後輪用車軸駆動装置は、前記左右一対の後輪各々に連動連係される左右一対のデフヨーク軸と、センタ差動機構と、後輪用差動機構とを備え、
    該後輪用差動機構は、該左右一対のデフヨーク軸を軸支するデフケースを有し、該デフケースの回転を該左右のデフヨーク軸に差動可能に振り分けて出力する構成であり、
    該センタ差動機構は、前記第二伝動軸から該デフケースへの伝動率を規制するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の四輪駆動車両。
  7. 前記センタ差動機構は、前記左右のデフヨーク軸のうちの一方に周設されていることを特徴とする請求項6に記載の四輪駆動車両。
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