図1は本発明を採用した物品収受装置の構成例を、また図2は図1の装置の配置態様における実施例を示している。ここでは図2に示すようにコンビニエンスストアの店舗前に配置され、情報表示を行なう物品収受装置(100)の実施例を示すが、本発明の技術は物品収受装置の設置場所に拘らず実施することができるもので、たとえば鉄道駅などの公共的な配置スペース、あるいは集合住宅などの(半)公共的な配置スペースに物品収受装置が配置される場合でも同様に実施することができる。
図1に示すように、本実施例における物品収受装置100は宅配物の収受に用いる複数の物品収受ボックス101を含み、いわゆる宅配ボックスとして構成される。なお、本実施例では不図示であるが、物品収受装置100が集合住宅などに配置される場合、物品収受ボックス101の一部は郵便ポストなどとして構成することもでき、その場合郵便ポストなどとして利用されるボックスには投函口など郵便ポストに特有の設備が必要に応じて設けられる。
また、本実施例の物品収受装置100は、図2に示すように前面、側面、あるいは物品収受ボックス(図1の101)前面の扉の内側などに設けたディスプレイ1011、1012、1013(あるいはさらにコンソール103などに配置されたスピーカ112)により、広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報(あるいは他の任意の情報)を表示(再生出力)する機能を有し、また、上記のような情報出力手段を利用して、強盗、不法侵入、火災、その他の緊急事態に際して緊急情報の表示(出力)を行なうことができる。
図1の物品収受装置100は、縦3個の物品収受ボックスの区画を5列に配置したもので、左上のコンソール103の区画を除いて計14個の物品収受ボックス101、101…を有する。ただし、図示のようなボックス構成は一例に過ぎず、たとえばコンソール103の配置位置や物品収受ボックスの数、列の数、サイズや配置に関する構成は集合住宅の規模などに応じて当業者が任意に決定できる設計的な事項である。
図1の手前側に示した物品収受ボックス101、101…の前面は、宅配物などの物品を出し入れ(たとえば業者による配達物の収容と、宛先人による取り出し)するための扉として構成される。これらの扉の開閉は電気錠(不図示)により制御される。
物品収受装置100を集合住宅などに配置する場合、物品収受ボックス101、101…は前面および後面の両側に扉を設け、それぞれを主に着荷用、取り出し用などとして用いる構成も考えられるが、本実施例の物品収受装置100では物品収受ボックス101、101…の前面のみに扉を設け、この扉を着荷および取り出し(受け出し)に用いるものとする。
後述のように、この扉の前面には、それぞれLCDパネル、プラズマディスプレイパネル、LEDパネル、などの表示装置を用いたディスプレイ1011、1011…(図2ではこの参照符号を用いている)が設けられる。
図2に示すように、本実施例の物品収受装置100は、たとえばコンビニエンスストア300の店舗前に配置される。図2において、符号301はコンビニエンスストア300の出入口のドア、符号302はドア301脇に設けられたコンビニエンスストア300の建屋の支柱、符号303はウィンドウである。
本実施例の物品収受装置100は、このような設置態様において、コンビニエンスストア300の店舗前において、広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報(あるいは他の任意の情報)を表示(再生出力)する機能を有する。
本実施例の情報表示は、カッティングシートや塗装などによる(半)固定的な表示ではなく、LCDパネル、プラズマディスプレイパネル、LEDパネル、などの表示装置を用いたディスプレイ(およびコンソール103などに配置されたスピーカ112)により行なうものとする。
このため、本実施例の物品収受装置100の物品収受ボックス101、101…の各々の扉の前面は情報表示用のディスプレイ1011、1011…として構成される。このディスプレイ1011、1011…は、好ましくは各扉の前面のほぼ全体を占める大きさ、あるいは各扉の前面ほぼ全体に近い大きさを有し、これら複数の扉のディスプレイ1011、1011…の表示を連動して制御することにより全体として大画面の情報コンテンツを表示することができる。
このように複数のディスプレイ1011、1011…により複合ディスプレイを構成し、1つの情報コンテンツを大画面で分割表示する手法によると、大型の表示装置を用いて同じ表示面積の表示を行なうよりも低コストで装置を構成でき、大画面の迫力のある情報コンテンツを再生できる。
なお、ディスプレイ1011、1011…を配置する物品収受ボックス101、101…の扉は、各ボックスのコンパートメント(物品収容区画)同士の境界を覆うようなサイズで構成され、また各扉に楕円軌道で開閉動作を行なう扉ヒンジなどを用いた開閉構造を用いることにより、ディスプレイ1011、1011…を配置した各扉が互いに密接に隣接するよう配置することができ、このような構造によればディスプレイ1011、1011…同士の配置間隔をより小さくすることができるから、複数のディスプレイ1011、1011…を同時に用いて大画面表示を行なう場合、表示ギャップの小さい高品位な分割表示を行なうことができる。
また、図2に示すように物品収受装置100の側面も情報表示用のディスプレイ1012として構成することができる。図2では、左側面のディスプレイ1012のみが示されているが、同様に物品収受装置100の右側面にも情報表示用のディスプレイ(1012)を配置することができる。
この側面のディスプレイ1012は、比較的大型の1つの表示装置から構成しても良いし、あるいは物品収受ボックスの扉のディスプレイ1011の場合のように、複数の表示装置を用いて分割表示を行なう表示方式を採用してもよい。
また、コンビニエンスストア300の店舗との配置距離などの条件が適合するのであれば、側面、前面などに限定されることなく、たとえば物品収受装置100の上面や背面などに上記同様にディスプレイを設け、これらの筐体の構成面に配置されたディスプレイを用いて情報コンテンツを再生するようにしてもよい。
あるいはさらに、図2に破線で示したように、物品収受ボックスの扉を開いたときに視認できるよう、物品収受ボックスの扉の裏側(内面)にも情報コンテンツを表示するためのディスプレイ1013を配置することもできる。この扉の内側のディスプレイ1013には、たとえば物品の取り出し(あるいは配達)の際に物品収受ボックスの扉が開かれる操作に連動して、そのタイミングで情報表示を行なうことができる。
なお、このような表示制御を行なうためには、物品収受ボックスの扉の開閉状態(開閉角度など)を検出するリミットスイッチなどを用いたセンサ(不図示)を設けておく。この扉の開閉センサの状態は後述の制御部200によって検出される。
図2に示すように本実施例の物品収受装置100は、縦方向には3個の物品収受ボックスから構成され、図示のようにたとえば腰高程度の比較的低い全高に構成するのが好ましい。このような構成によればコンビニエンスストア300のウィンドウ303(多くの店舗では雑誌や書籍などの棚を利用した商品ディスプレイに利用されている)の視認が大きく妨げられることがない。
図2において符号304で示すものはコンビニエンスストア300の建屋に張り出して配置された庇であり、物品収受装置100はこの庇304の軒下などに配置することができる。ただし軒下とはいっても、このような設置態様では物品収受装置100が完全に風雨から守られる、という訳ではないから、各物品収受ボックス(101、101…)のコンパートメント内、およびコンソール103の部分には必要に応じて防水構造ないし水密構造を用いるのが望ましい。
物品収受装置100近傍の適当な位置、たとえば図2のように物品収受装置100上部、コンビニエンスストア300の庇304の下面の位置には人感センサ305を配置することができる。この人感センサ305には、たとえば防犯用や監視用の赤外線センサなどから構成されたセンサを利用することができる。
人感センサ305は、物品収受装置100の近傍における人体の有無や動き、位置や方位、あるいはどの方向から人体が近づいたかを検出することができるものとし、この人感センサ305の検出情報に応じて、たとえば後述の制御手順を用いることにより物品収受装置100により情報コンテンツの再生を行なうか否かを決定し、あるいはさらに情報表示を行なう場合はディスプレイ1011、1012、1013のいずれを用いて情報表示を行なうか、などを決定することができる。
本実施例の物品収受装置100の左上の区画はコンソール103となっている。配達業者の着荷操作、および宛先人の物品取り出し操作の際に用いられる。物品収受装置100のコンソール103が配置された区画の内部(あるいは他の適当な配置位置)には、図1の左側に示した制御部200が設けられ、この制御部200によって配達業者の着荷操作、および宛先人の物品取り出し操作、および後述の情報表示が制御される。
コンソール103には、LCDパネルないしタッチパネルなどから構成されたディスプレイ104、ファンクションキーやテンキーから成るキーボード105、および認証手段としてのIDカード111の情報を読み取るカードリーダ106が設けられる。
IDカード111は、たとえばコンソール103のカードセンサ106と近接無線通信ないし中距離無線通信によって通信可能なICカードとする。このようなIDカード111の通信方式には、非接触ICカードなどで用いられているRFID(Radio Frequency IDentification)インターフェース方式を用いることができる。
なお、本実施例ではIDカード111を宛先人が着荷した物品を取り出す際の認証に用いるものとするが、この認証には生体認証やキーボード105からパスワードなどを入力する認証方式など、任意の認証方式を用いて良い。
IDカード111としては、物品収受装置100を用いて物品を受け取るサービスに特化して発行されるものであってもよく、また、コンビニエンスストアが物品収受装置100を用いた物品収受サービスを提供する場合などにおいてはコンビニエンスストアの顧客カードに当該サービスに固有の識別情報や必要なユーザ認証情報を記録することによって、物品収受サービスの認証にコンビニエンスストアの顧客カードを共用することもできる。
また、IDカード111としては、物品収受装置100に物品を配達する業者に業者カードとして発行し、この業者カードを保有する業者のみが物品収受装置100に対する着荷操作を行なえるよう制御してもよい。宅配物の配達などに関しては、所定の認証、たとえばカード認証などを必要とせず、コンソール103からの所定操作のみで着荷を行なえるよう制御することで充分な場合が多いが、食品配達や比較的高価な商品の配達に関してはこのような業者カードを介在させることによりサービスの保安性を向上できる可能性がある。
なお、物品収受装置100を用いた物品収受サービスにIDカード111の認証を介在させることにより、IDカード111を保有するユーザ(宛先人、配達業者)の物品収受サービス利用に係る情報を必要に応じて取得し、データベース情報として蓄積し、管理することができる。
また、認証手段としてのIDカード111は、上記のICカードなどの他、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末(あるいはノートPC)のように非接触ICカードと同等のRFIDインターフェースを有する情報端末などの認証手段に置換することも考えられる。
また、コンソール103には情報表示にともなう音声再生、あるいは配達業者や宛先人に対する操作ガイダンス音声などの再生のためにスピーカ112、112が設けられている。また、前述の人感センサ305は、コンソール103に(も)設けることができる。
物品収受装置100の制御部200は、たとえば上記のコンソール103が設けられた筐体内部などに配置される。この制御部200は図1の左側に取り出した形でブロック図示により示してある。
物品収受装置100の制御部200は、コンソール103でのIDカード111の提示やキー操作などに応じて、物品収受装置100の物品収受ボックス101、101…を施錠/開錠する電気錠の開閉制御を行なうとともに、後述の情報表示制御を行なう。
制御部200は、主制御部としてのCPU201、物品収受ボックス101、101…の施錠/開錠のための制御手順や後述する情報表示制御手順をCPU201のプログラムとして格納するROM202、ワークエリアとして用いられるRAM203、物品収受装置100の電気錠、上述のコンソール103と通信するためのインターフェース209(たとえば IEEE 802.3 ネットワークインターフェース、シリアルインターフェースなど)などから構成される。
さらに、制御部200には、HDDや不揮発メモリカード、半導体ディスクなどから成る外部記憶装置207が接続されており、後述のプログラム(の全部あるいはその一部)の格納に用いられるとともに、物品収受に関する管理情報はデータベース情報としてこの外部記憶装置207に格納することができる。また、制御部200には、物品収受に関する管理情報の一部などとして記録すべき時刻データを取得するため、リアルタイムクロック回路などの計時手段(不図示)が含まれるものとする。
また、制御部200は、ネットワークインターフェース(たとえば IEEE 802.3 ネットワークインターフェースや所定方式の WAN インターフェースなど)204を有し、ネットワーク206(イントラネット、あるいはインターネット)を介して遠隔地のサーバと通信することができる。なお、後述の制御の任意の一部分は、制御部200のみならず、ネットワーク206を介して接続されるサーバによって実行されるものであってよい。特に物品収受に係るデータベース情報の蓄積や管理は、このようにネットワーク206を介して接続されるサーバによって実施するようにしてもよい。
なお、ネットワーク206(イントラネット、あるいはインターネット)と制御部200の接続に関しては、物品収受装置100が配置されるコンビニエンスストアのLAN320を経由してルーティングが行なわれるようになっていても良い。物品収受装置100とLAN320のネットワーク接続には、有線LAN接続のほか無線LAN(WiFi)接続を利用することができる。
また、このコンビニエンスストアのLAN320には、店舗内に配置されるATMや、チケット販売や情報配信、顧客カード管理などを行なうための店舗端末321が接続される場合もある。コンソール103のユーザーインターフェースの全部ないし一部は、この店舗端末321を利用して実行するようシステムが構成されていても良い。また、たとえば店舗端末321を用いて、本実施例の物品収受装置を用いた物品収受サービスに関わる登録操作などを行なうようシステムが構成されていても良い。
上述の人感センサ305は、専用の制御線を介して制御部200(のインターフェース209)に接続することも考えられるが、図1では人感センサ305はコンビニエンスストアのLAN320に接続されており、制御部200はLAN320経由で人感センサ305の検出情報を取得することができる。
また、本実施例では、強盗、不法侵入、火災、水漏れその他の緊急事態に際して緊急情報の表示(出力)を行なうが、このために緊急スイッチ/センサ322を設けてあり、制御部200は緊急スイッチ/センサ322の状態をLAN320を介して検出することができる。
緊急スイッチ/センサ322は、たとえばコンビニエンスストア店舗のカウンタ天板下部に配置した手動スイッチ(集合住宅に物品収受装置100が配置される場合は集合住宅の居室内の所定位置に配置した手動スイッチ)から構成することができる。このような手動スイッチは強盗、不法侵入、火災、水漏れその他の緊急事態に際してコンビニエンスストアの店員(集合住宅の場合は居住者)などによって手動操作される。
また、緊急スイッチ/センサ322は、たとえばコンビニエンスストアや集合住宅の居室内の所定位置に配置された防犯用の侵入検知センサや、火災報知用、水漏れ検知用の煙センサ、ないしは熱センサ、水センサなどから構成することもできる。これらの緊急(異常)事態を検出するセンサは常時稼働するか、あるいは防犯システムの警戒モード設定などに応じて必要な時間帯においてのみ稼働する。
緊急スイッチ/センサ322は、図1では便宜上1つのブロックとして図示してあるが、上記のような手動操作される緊急スイッチや、緊急(異常)事態検出用のセンサとして複数配置されていてもよい。
本実施例では、後述のような制御手順(図6)によって、強盗、不法侵入、火災、水漏れその他の緊急事態に際して緊急スイッチ/センサ322(の1つ)が緊急(異常)事態に相当する出力を行なうことにより、ディスプレイ1011、1012、1013(あるいはさらにスピーカ112)により緊急情報の表示(出力)を行なう。
また、上記のような緊急(異常)事態に際して、緊急スイッチ/センサ322(の1つ)から緊急(異常)事態に相当する出力が行なわれている場合には、ネットワーク206を介して(あるいは電話線や他の専用回線を用いてもよい)、警備保障会社、警察、消防サービス、救急サービスといった緊急事態の対処に関係する関係機関502に緊急事態の発生を報知する信号を送信して緊急(異常)事態を報知することができる。
さらに、ネットワーク206上には物品収受装置100のディスプレイ1011、1012、1013で表示する広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報(あるいは他の任意の情報)コンテンツを配信する情報配信サーバ501が配置される。
情報配信サーバ501の設置場所は遠隔地であってもよく、したがって、物品収受装置100のディスプレイ1011、1012、1013で表示する情報は、作業者派遣を必須とするカッティングシートや塗装などによる表示の更新などの場合と異なり、情報配信サーバ501から配信する情報コンテンツを変更するだけで極めて容易に別の内容に切り換えることができる。
また、情報配信サーバ501から離れた場所(外国であってもかまわない)に設置された多数の物品収受装置100で同一の情報コンテンツを表示でき、あるいは、物品収受装置100の設置地域やその地域の言語などに応じてカスタマイズされた異なる情報コンテンツを表示することもできる。
なお、緊急(異常)事態に際して出力する緊急情報(たとえば後述の図5)の情報コンテンツは、比較的固定的な文字(フォント、表示サイズ、色などの書式情報も含む)情報などで足りるので、ROM202にあらかじめ格納しておくことも考えられるが、後述の制御例(図6)に示すように広告や天気予報などのコンテンツと同様に情報配信サーバ501からダウンロードされるものであってもよい。このような構成にしておくことで、強盗、不法侵入、火災、水漏れその他の緊急事態に際して表示する情報コンテンツについても、物品収受装置100の設置場所への作業員派遣などを必要とせず容易に異なる情報コンテンツに更新することができる。
以上の構成において、物品収受装置100の物品収受ボックス101への宅配物などの物品の収受は、公知の宅配ボックスや宅配ロッカーなどと呼ばれる装置とほぼ同様に行なわれる。
物品収受サービスに関しては、宛先人が物品収受装置100の物品収受ボックス101、101…の1つを用いることができるようワンタイムの契約や、会員契約に基づき、あらかじめ取り決めが行なわれる。
その場合、特定の宛先人が物品収受ボックス101、101…の1つを専有使用するよう物品収受ボックスを貸与する運用も考えられるが、物品収受ボックス101、101…の数は限られているので、物品収受は空いているボックスを用いて行ない、着荷時に電子メールなどを宛先人に送信して着荷した物品収受ボックス101、101…の1つを識別する情報を通知する運用を行なうことができる。
なお、物品収受ボックス101、101…に固有のボックス番号は、扉のディスプレイの設けられていない部位に小さく固定表示しておく、あるいは物品収受ボックス前面のディスプレイ1011、1011…で表示する、などの構成が考えられる。
物品収受装置100を用いた物品収受サービスを提供する主体は、たとえば物品収受装置100が設置されたコンビニエンスストアのチェーン、あるいはそれと提携関係にある企業などであって良い。
宅配物などの物品の発送人(通信販売などの場合、宛先人と実質同一である場合もある)は、宛先の住所に加えて、宅配ボックス宛である旨の情報を注文票などに記載することによって、配達業者は、宅配物などの物品を物品収受ボックス101、101…の1つに対して配達する。
配達業者は、制御部200の制御によってコンソール103で表示される着荷操作用のメニューを用いて、着荷時の手続を行なう。たとえば、着荷操作用のメニューインターフェースを介して、空いている物品収受ボックス101、101…の1つが業者に対して指定され、業者は指定されたボックスに物品を収容し、その扉を閉成することによって扉の電気錠を施錠状態とする。
着荷宛先は、配達業者が着荷操作用のメニューインターフェースを介して入力、指定する。その場合、住所や名義人などの煩雑な入力を避け、発送時に生成された固有の荷受番号などの識別情報を入力することなどによって宛先人の指定を行なうよう運用してもよい。
コンソール103で配達業者による着荷宛先の指定が行なわれ、物品収受ボックス101が施錠状態とされると、制御部200は着荷操作と判定し、あらかじめ登録されている宛先人のメールアドレスに着荷が行なわれたボックス番号などの識別情報を記述した電子メール(あるいはSMS)などを発送し、着荷を報知する。
電子メールなどにより着荷通知を受けた宛先人は、物品収受装置100が設置された店舗に出向き、コンソール103の受け取り制御メニューなどのインターフェースを介して、IDカード111を用いた認証操作(あるいは他の所定の認証操作)を行なうことにより、着荷が行なわれた物品収受ボックス101を開錠し、物品を取り出すことができる。
なお、コンソール103で着荷操作メニューや受け取り制御メニューなどのインターフェースが選択され、配達業者の着荷操作や宛先人の受け取り操作が行なわれている期間では、後述の情報表示制御は停止させておくのが望ましい。
図3は、制御部200のCPU201によって実行される情報表示制御の流れを示している。図示の制御手順はCPU201の制御プログラムとしてROM202、ないしは外部記憶装置207などに格納しておくことができる。
図3の情報表示制御は、たとえば上記のように配達業者の着荷操作や宛先人の受け取り操作などが行なわれていない、待機期間においてループ実行されるよう構成されている。
図3のステップS31では、CPU201は情報配信サーバ501と通信し、情報コンテンツの更新があったか否かを判断する。情報配信サーバ501と制御部200の間の通信には所定のインターネットプロトコル、たとえばHTTPやHTTPSなどを用いることができる。また、通信の機密性を重視するのであれば、SSHやSSLなどの暗号通信手段を必要に応じて介在させることができる。
物品収受装置100で表示すべき情報コンテンツに変更が生じた場合は情報配信サーバ501から所定の通知情報が送信されるため、処理はステップS32に分岐し、情報配信サーバ501から物品収受装置100で表示すべき新しい情報コンテンツがダウンロードされる。このダウンロードにはHTTPやHTTPS、(S)FTPなどのプロトコルを用いることができる。
この情報コンテンツは、たとえば広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報(あるいは他の任意の情報)を表現した動画(ビデオ:当然ながら音声情報なども含むことができる)、静止画(+音声情報)や文字情報であって、MPEGのようなフォーマットの動画ファイル、JPEG、GIF、PNGなどの画像ファイル、あるいはMP3のような音声情報ファイル、プレーンテキストやHTML(あるいは任意のプログラム表現形式)の文字情報ファイル、あるいはこれらのフォーマットのファイルを適宜組合せた形式で表現される。
これらの情報コンテンツは、ダウンロード配信以外にも情報配信サーバ501からストリーム配信することができるが、その場合ステップS32では当該のストリーム配信に必要なセットアップ情報などが更新される。
なお、装置前面の複数のディスプレイ1011、1011…で分割表示する情報コンテンツは、それぞれのディスプレイ分に動画(ないし静止画や文字情報)ファイルに予め分割された上でダウンロードないしストリーミングされるか、あるいは扉内側のディスプレイ1013の場合のように単独で用いられるディスプレイ単独で表示するのと同じ動画(ないし静止画や文字情報)ファイルのみがダウンロードないしストリーミングされ、制御部200で適当なタイミングにおいて複数ディスプレイ分に動画(ないし静止画)ファイル(ないしは各ディスプレイに出力可能なデータ形式)に分割されるものとする。
ステップS31ないしS32の後、ステップS33では、情報表示を行なう条件が成立しているか否かが判定される。再生する情報の受容対象の人間が装置の傍に居ないのであれば情報表示を行なっても無意味であるから、この情報表示の条件としては、たとえば人感センサ305により装置近傍に再生する情報の受容対象である人間(人体)の存在が検出されているか、が考えられる。また、上記のように配達業者の着荷操作や宛先人の受け取り操作などが行なわれている間はこれらの操作を妨げないよう、情報表示の表示条件は成立させないのが望ましい。あるいは、リアルタイムクロックで計時される現在時刻が夜間、深夜などの時間帯に属する場合には情報表示の表示条件を成立させないような設定も考えられる。
したがって、ステップS33では、これらの複合条件で情報表示の表示条件が成立しているか否かを判定する。
ステップS33で情報表示の表示条件が成立していない場合は処理はステップS31に復帰するが、情報表示の表示条件が成立している場合はステップS34に進み、情報表示を装置の正面、側面あるいは扉内側のディスプレイ1011、1012、1013のいずれにより行なうかを決定する。
ここで、ステップS34の詳細を図4に例示する。図4の例では、物品収受ボックス101の扉の操作と、人感センサ305によって検出される物品収受ボックス101近傍の人体の動きや、その態様などに応じて情報表示を行なうディスプレイ1011、1012、1013を選択するようになっている。
図4の例では、ステップS331、S332、およびS333において、物品収受ボックス101の扉の開放、人感センサ305による物品収受装置100の正面付近への人体の近接、および人感センサ305による物品収受装置100の側面付近への人体の近接、をそれぞれ検出する。
ステップS331、S332、またはS333のいずれかが肯定されると、処理はそれぞれステップS341、S342およびS343に進み、情報表示を行なうディスプレイとして開放された扉のディスプレイ(1013)、装置正面のディスプレイ(1011)、ないしは装置側面のディスプレイ(1012)がそれぞれ選択される。
図4の処理では、ステップS331、S332、およびS333がいずれも否定された場合には、情報表示条件が成立しなかった場合と同等に扱い、処理はステップS31(図3)に復帰させるようにしてある。
ステップS34で情報表示を行なうディスプレイが決定された場合は、処理は図3のステップS35に進み、選択されたディスプレイを用いて情報コンテンツの表示を行なう。上述のように情報コンテンツは動画、静止画、文字情報(あるいはさらに音声情報など)によって構成され、その再生には選択されたディスプレイ1011、1012、1013とさらにスピーカ112、112が用いられる。
選択されたディスプレイ1011、1012、1013による情報コンテンツの再生は、動画表示や静止画表示(スライドショー形式の表示なども含む)や文字表示、あるいはさらにこれらに連動した音声出力などにより行なうことができる。特に、文字表示の場合には、ディスプレイ1011、1012、1013にLEDパネルなどを用いている場合に好適な態様として、文字を縦、横、斜めなど任意の方向にスクロールして表示するいわゆる電光板表示形式などによる情報出力を行なうこともできる。
ステップS36では、ステップS33におけるのと同様の情報表示条件が成立しているか否かが判定され、ステップS36で情報表示条件が成立しなくなっていない限り、処理はステップS34にループし、ディスプレイ選択(S34)および情報コンテンツの再生(S35)を続行する。
一方、ステップS36で情報表示条件が成立しなくなった場合はステップS37で情報表示の再生を停止し、処理はステップS31に復帰する。
なお、情報コンテンツの1つ(ないしは数個)を再生した後は、一定時間以上、情報表示条件を成立させないような制御をステップS33、S36に付け加えることもできる。
以上では、物品収受装置100をコンビニエンスストアの店頭に配置する例を示したが、鉄道駅コンコースなどの公共スペースや、条件が適合するのであれば集合住宅フォイヤーなどの(半)公共的なスペースに物品収受装置100を配置する場合でも、上記と同様の構成を実施することができる。
以上のようにして、物品収受装置100を公共的、ないしは半公共的なスペースに配置し、物品収受装置100を情報コンテンツを再生する情報配信端末として動作させることができ、特に物品収受に用いる装置の筐体構成面(前面、側面、扉の内側など)に設けたディスプレイを用いて情報コンテンツを再生することができる。
本実施例の情報表示によれば、情報配信サーバ501から情報コンテンツを配信するようになっているため、従来のカッティングシートや塗装などによる(半)固定的な情報表示と異なり、極めて容易に、また低コストで再生出力する広告、天気予報、ニュースや案内情報などの情報(あるいは他の任意の情報)コンテンツを変更、更新することができる。
情報コンテンツを表示する物品収受装置100の前面、側面、扉の内側などのディスプレイは、扉の操作や人感センサ305により検出した物品収受装置100近傍の人体の有無や動き、近接方位などに応じて選択することができ、たとえば物品収受装置100のどの部位に再生する情報の受容対象である人体が存在するかに応じて、適切なディスプレイを選択して情報コンテンツを表示することができる。
また、コンビニエンスストアなどの店内LANなどに配置された店舗内の端末(ATM、店舗端末、あるいはさらにPOS端末など)とのネットワークを介した連携が可能であり、たとえば店舗内の端末で物品収受サービスの登録や、物品収受ボックスの開閉などに係わる認証を行なったり、店舗内の端末で物品収受装置100のものと連動した情報コンテンツを表示したりすることも考えられる。
なお、以上では、物品収受装置が配置される店舗として、コンビニエンスストアを例示した。コンビニエンスストアの場合、店舗前が駐車場などとして構成され、物品収受装置で行なう情報表示の視認性が比較的良好である利点があるが、物品収受装置が配置される店舗はコンビニエンスストアに限らず任意であるとともに、さらに物品収受装置が配置される場所は、情報表示に適した場所であれば任意であり、たとえば鉄道駅などの駅頭や、条件が適合するのであれば集合住宅などに配置する物品収受装置においても上記と同様の情報表示を行なうことができる。
次に、図5および図6を参照して、強盗、不法侵入、火災、水漏れその他の緊急事態に際して行なう緊急情報出力につき説明する。図5は物品収受装置100の緊急表示の一例(1200)を示し、図6は物品収受装置100における緊急表示制御手順を示している。
図5は、物品収受装置100が設置された店舗や集合住宅において、強盗、不法侵入、火災、水漏れその他の緊急事態に際して、上述の緊急スイッチ/センサ322(の1つ)から緊急(異常)事態に相当する出力が行なわれている(該当のスイッチが操作された、あるいはセンサが作動した)時に行なう緊急表示出力(1200)の一例で、図5では物品収受装置100前面のディスプレイ1011、1011…を複数利用して「緊急事態発生!」との文字列を点滅表示させている。
この緊急表示の内容はあくまでも一例であり、表示内容や文字サイズ、色などは、緊急表示1200の目的などに応じて適宜変更することができる。また、アイコン表示や画像表示など、文字表示とは異なる緊急表示を行なうこともできる。また、緊急表示1200を表示する表示面積なども任意であり、装置前面のディスプレイ1011の任意の1ないし数個を用い、図5の表示例よりはもう少し控え目な表示を行なうようにしてもよい。また、緊急表示1200に伴ないスピーカ112で緊急事態発生を報知するサイレン音や音声を再生してもよく、本実施例の緊急情報出力にはこのような音声情報の出力を含んでいてよい。
また、緊急表示1200には装置前面のディスプレイ1011のみならず側面や扉内側のディスプレイ1012、1013などを併用することもできる。また、いずれのディスプレイを用いるかは、発生している緊急事態の性質によって決定してもよい。たとえば物品収受装置100が店舗に配置されており、店内で強盗や不法侵入が発生している場合には、店内の状況を刺激しないよう、店内からは目立たない装置前面のディスプレイ1011のみを使用する、などの制御を行なうことができる。
上記のような緊急表示1200は、図6のような制御手順によって出力することができる。図6の制御手順は図3、図4のものと同様に、CPU201の制御プログラムとしてROM202、ないしは外部記憶装置207などに格納しておくことができる。
図6のステップS61は、制御部200のCPU201が緊急スイッチ/センサ322の状態を監視するステップで、たとえば緊急スイッチ/センサ322(のいずれか1つ)が該当の緊急事態発生を示す状態に遷移したか否かを監視する割込みルーチンなどから構成される。このステップS61が肯定されると、ステップS62以降の処理が開始される。
緊急スイッチ/センサ322(のいずれか1つ)が該当の緊急事態発生に対応する出力状態となると制御はステップS62に進み、出力すべき情報を準備する。このとき、緊急スイッチ/センサ322から出力されている情報(あるいはいずれのスイッチやセンサが作動しているか)に応じて、すなわち、強盗、不法侵入、火災、水漏れその他の緊急事態のいずれが発生しているかによって緊急表示1200の表示内容(あるいはさらにスピーカ112で再生する音声情報)が決定される。これらの表示情報(あるいはさらに音声情報)は、あらかじめROM202に格納しておくことができるが、あるいは情報配信サーバ501から適当な情報を(上述の図3ステップS32の処理と同様に)ダウンロードないしストリーミングにより入手するようにしてもよい。
続くステップS64では、緊急表示1200を行なう出力手段にディスプレイ1011、1012、1013のいずれを用いるか、スピーカ112を用いた音声出力を行なうか否か、などを決定する出力手段決定処理を行なう。たとえば、いずれのディスプレイを用いるかは、前述のように発生している緊急事態の性質によって決定することができ、物品収受装置100が店舗に配置されており、店内で強盗や不法侵入が発生している場合には、店内の状況を刺激しないよう、店内からは目立たない装置前面のディスプレイ1011のみを使用する、その際、スピーカ112からのサイレン音や音声出力などは行なわないようにする、といった出力制御を行なうことができる。
なお、ステップS64のディスプレイ選択や、出力態様の決定に際しては、図3のステップS33およびS34に関連して説明したような扉の操作や人感センサ305の検出を緊急表示を行なうか否かの条件に含めることができる。ただし、本実施例におけるような緊急情報の出力に関しては、装置の傍に人がいるか居ないかにかかわらず行なうほうが好ましい、という仕様も考えられ、その場合には扉の操作や人感センサ305の検出を緊急表示を行なうか否かの条件に含める必要はない。
ステップS65では、ステップS62で選択された緊急情報をステップS64で選択された出力手段を用いて出力する。これにより、図5で説明したような緊急表示1200が行なわれる。また、この緊急表示1200に同期して、ネットワーク206を介して(あるいは電話線や他の専用回線を介して)、警備保障会社、警察、消防サービス、救急サービスといった関係機関502に緊急信号を送信し、緊急(異常)事態を報知することができる。
続いてステップS66では、緊急スイッチ/センサ322(の1つ)による所定操作(あるいはコンソール103における所定操作であってもよい)により、緊急表示1200の停止操作が行なわれたか否かが判別される。本実施例の物品収受装置100を店舗や集合住宅に配置する場合は、このように事態の推移に応じ臨機応変に停止操作によって緊急表示1200を停止できるようにしておくのが好ましいと考えられる。
ステップS66で所定の停止操作が行なわれている場合にはステップS67に進み、緊急表示1200を停止し、ステップS61に復帰(割り込みルーチンを終了)するが、停止操作が行なわれていない場合は上述のステップS64の出力手段決定処理に復帰する(あるいはステップS62の出力情報決定処理に復帰してもよい)。
以上のようにして、緊急スイッチ/センサ322の出力状態に応じて、強盗、不法侵入、火災、水漏れその他の緊急事態が発生している場合には、ディスプレイ1011、1012、1013(あるいはさらにスピーカ112)により緊急情報1200の表示(出力)を行なうことができる。
上記の構成によれば、緊急情報1200の出力には、広告や天気予報その他の情報出力に利用されるディスプレイ1011、1012、1013やスピーカ112などのインフラストラクチャを利用しているため、緊急表示のためだけに必要なハードウェアは極めて少なくて済み、システム全体を簡単安価に構成することができる。
以上の説明では、情報配信サーバから送信された広告、天気予報その他の情報コンテンツの再生、および緊急事態発生にともなう緊急事態発生を報知する情報コンテンツの再生は物品収受ボックス101を収容する筐体の前面、側面、背面、上面、または前記物品収受ボックスの扉の内面に配置されたディスプレイ手段(1011〜1013)により行なうものとして説明したが、コンソール103のディスプレイ104を用いて行なう構成であってもよい。
その場合、広告、天気予報その他の情報コンテンツの再生、および緊急事態発生にともなう緊急事態発生を報知する情報コンテンツの再生はコンソール103のディスプレイ104のみで行なうようにしてもよく、また、コンソール103のディスプレイ104の表示と、側面、背面、上面、または前記物品収受ボックスの扉の内面に配置されたディスプレイ手段(1011〜1013)の表示を同時に行なうようにしてもよい。また、図3のステップS34、ないし図6のステップS64などにおけるディスプレイ選択制御において、ディスプレイ手段(1011〜1013)およびコンソール103のディスプレイ104の中から、表示に適切なディスプレイが選択されるよう制御を行なうようにしてもよい。