JP2014233521A - 血管径測定装置および血管径測定方法 - Google Patents

血管径測定装置および血管径測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】血管径の測定において、校正の回数や頻度を低減できる超音波測定装置を実現するための技術の提供。【解決手段】生体情報算出関数560を導出する校正過程にて得られた拡張期のBモード画像(参照画像553)と、拡張期血管径Dd(参照径552)とを含む参照データセット551aを作成し、血管径推定データベース550に保存する。同様にして、収縮期の参照データセット551bを作成する。測定では、心周期1拍分の計測データと各参照データセット551の参照画像553とが最も類似する組み合わせを抽出する。そして、最類似参照データセット551の参照径552を、最類似する計測データにおける血管径として設定して血管径を算出する。【選択図】図2

Description

本発明は、超音波測定により血管径を測定する血管径測定装置等に関する。
血管の直径(以下「血管径」と呼称する。)を非侵襲に測定することで、血圧や血流速といった生体情報を推定的に求める技術が知られている。例えば、特許文献1では血圧変化と血管径の変化との関係を非線形関数として捉え、血管の硬さを表すスティフネスパラメーターβ(stiffness parameter β)と血管径から血圧を算出する手法が開示されている。特許文献1の技術では、血管径をトラッキング処理等で求めている。
ここで言う「トラッキング処理」とは、測定対象の血管画像中にトラッキングポイントを設定し、トラッキングポイントの設定以降は、その設定時点で測定した血管径に、トラッキングポイントの変位量を加算することで血管径を測定する手法である。トラッキング処理を用いて連続的に血管径を測定することで、血管径の変動を精度良く測定できる。
特開2004−41382号公報
ところで、医療現場や研究の現場においては、生体情報(例えば、血圧、血管の弾性特性、血流速など)の測定を、数時間や数日間といった具合に連続的に行うケースもあれば、数十分おきに断続的に行うといったケースもある。例えば、試験薬が心機能等に与える影響を観察するために血管径を連続的あるいは断続的に測定して血圧をモニターする場合、等である。1回のみの単発的な測定は勿論のこと、こうした比較的長期にわたる測定においても、測定精度を維持するために校正が必要になる。
しかし、断続的な測定をする際に測定の都度毎回校正をしたり、連続的な測定をする際に一定時間間隔で校正を行うことはできるだけ避けたいという要望がある。例えば、特許文献1の技術のように血管径から血圧を推定的に求める場合には、校正時に血圧と血管径とを別々に測定して互いの数値関係を設定する必要がある。しかし、この校正時の血圧測定は、血管内にセンサーを挿入する侵襲的な直接計測は言うに及ばず、加圧式血圧計等による間接方式の計測であっても腕などを一時的に強く圧迫する必要がある。このため、校正に伴う被検者への負担や校正の手間を低減したいという要望がある。より具体的には、校正の回数や頻度を減らしたいという要望がある。
本発明は、こうした事情を鑑みてなされたものである。
以上の課題を解決するための第1の発明は、血管に照射した超音波の反射波信号のデータを当該血管の血管径と対応づけて記憶した記憶部と、測定時に前記血管に前記超音波を照射した際の反射波信号のデータを前記データと照合し、前記データに対応づけられた前記血管径を用いて前記測定時の前記血管の径を推定する血管径推定部と、を備えた血管径測定装置である。
別形態として、血管に照射した超音波の反射波信号のデータを当該血管の血管径と対応づけて記憶部に記憶させることと、測定時に前記血管に前記超音波を照射した際の前記計測時のデータを前記データと照合し、前記データに対応づけられた前記血管径を用いて前記測定時の前記血管の径を推定することと、を含む血管径測定方法を構成することができる。
第1の発明及び別形態によれば、予め血管径を測定した超音波測定の結果のデータ(例えば参照データ)を記憶しておき、それ以降の測定において取得されたデータを、記憶していたデータと照合することで血管の径を推定することができる。つまり、測定の都度、校正を行う必要がなく、校正に伴う被検者への負担や校正の手間を低減し、校正の回数や頻度を低減できる。
記憶するデータ(参照データ)とする反射波信号をサンプリングするタイミングは適宜設定可能であるが、第2の発明として、前記記憶部が、異なる血圧における前記データを前記血管径と対応づけて記憶し、前記血管径推定部は、前記計測時のデータに最近似する前記データを選択し、前記データに対応する前記血管径を用いて、前記測定時の前記血管の径を推定する第1の発明の血管径測定装置を構成することができる。
医療現場における血圧は生体情報として利用価値が高い。
第2の発明によれば、血圧と対応づけられた参照データを用意することができる。参照データを血圧と対応づけるということは、血圧を基準に参照データを校正したことと同義である。また、例えばスティフネスパラメーターβを利用した血圧導出方法等として血圧と血管径との間に相関関係があることは知られており、血管径から血圧を求める精度は比較的高い。そして、複数の血圧それぞれに対応する参照データを用意することで、近似する参照データから選択的に計測データを推定することが可能となり推定確度を高くすることができる。
より具体的には、第3の発明として、前記記憶部が少なくとも拡張期血圧及び収縮期血圧における前記データを記憶する第2の発明の血管径測定装置を構成することとしてもよい。
第3の発明によれば、拡張期血圧及び収縮期血圧という血圧値の可変域の特徴的なデータを記憶部に記憶することができる。よって、効果的に血圧全域をカバーした血管径測定を実現できる。
第4の発明は、血圧が拡張期から収縮期に至る間の前記データを取得せず、収縮期から拡張期に至る間の前記データを取得して前記記憶部に記憶させるデータ生成部、を更に備えた第2又は第3の発明の血管径測定装置である。
第4の発明によれば、血圧と血管径の関係の再現性が高い収縮期から拡張期に至る間の超音波測定の結果を、記憶部に記憶するデータとすることができるので、推定精度を高めることができる。
第5の発明は、前記血管径推定部が、前記計測時のデータと、前記最近似するデータとの差異に基づいて、前記測定時の前記血管の径を推定する差異基準推定部を有する、第2〜第4の発明の何れかの血管径測定装置である。
第5の発明によれば、最も類似するデータとの差異から血管の径を推定することが可能になるので、計測したデータが記憶部に記憶されたデータに一致しない場合でも血管の径も適切に推定することが可能となる。
より具体的には、第6の発明として、前記差異基準推定部が、前記血管の前壁部分と後壁部分との相対的な位置関係について前記計測時のデータと前記最近似する前記データとの差異を算出し、算出した相対的な位置関係の差異と、前記最近似する前記データに対応づけられた前記血管径とを用いて、前記測定時の前記血管の径を推定する第5の発明の血管径測定装置を構成することができる。
第6の発明によれば、比較する計測時のデータと記憶部に記憶されたデータとの差異を、血管の前壁部分及び後壁部分の位置ズレとして算出することで、記憶部に記憶されたデータに対応づけられた血管径に、算出した位置ズレ量を付加することで、血管の径を適切に推定することができる。
生体情報測定装置のシステム構成例を示す図。 血管径推定データベースの生成について説明するための概念図。 血管径の推定方法について説明するための概念図。 血管径の推定方法について説明するための概念図。 生体情報測定装置の機能構成例を示すブロック図。 記憶部に記憶されるプログラム及びデータの例を示す図。 校正処理の流れを説明するためのフローチャート。 血管径推定処理の流れを説明するためのフローチャート。 差異基準推定処理の流れを説明するためのフローチャート。 変形例における血管径推定データベースの生成について説明する概念図。 変形例における校正処理の処理流れを説明するためのフローチャート。
図1は、本実施形態における生体情報測定装置2のシステム構成例を示す図である。生体情報測定装置2は、超音波の反射波を測定することにより生体情報を測定する装置である。本実施形態では、生体情報を測定する前段階として超音波測定により血管径を測定するので、生体情報測定装置2は血管径測定装置として機能する。
生体情報測定装置2は、測定結果や操作情報を画像表示するための手段と操作入力のための手段を兼ねるタッチパネル4と、操作入力するためのキーボード6と、超音波測定ユニット10と、校正値測定ユニット20と、血管径算出ユニット30とを備える。
超音波測定ユニット10は、本体装置12と超音波プローブ14(深触子)とを備え、超音波プローブ14が被検体3へ超音波パルスを発信・照射し、その反射波を受信する。そして受信した反射波を増幅・信号処理することにより、超音波測定ユニット10は、超音波プローブ14から出力された反射波信号そのもの、いわゆる生データはもちろんのこと、被検体3の生体内構造の位置情報(Aモードデータ)や位置情報を表す画像(Bモードデータ、Mモードデータ)を生成して外部出力することができる。
超音波測定ユニット10は、生データ、Aモード、Bモード、Mモードの各モードの超音波反射波信号のデータの生成と、例えばBモードやMモードの基準画像中に設定されたトラッキングポイントを追跡して変位を算出するいわゆる「トラッキング処理」とを行うことができる。そして、このトラッキング処理を用いて血管径の変動を逐次算出することができる。トラッキング処理は、公知の位相差トラッキング処理などにより適宜実現できる。なお、超音波測定ユニット10により所定周期で連続的に取得される超音波測定データの測定単位を「フレーム」と呼称する。測定の周期は、最終的に算出する生体情報の精度を高く維持するように考慮される。本実施形態では生体情報として血管径を算出するので、血管径の変動に対し十分な時間あたりの分解能が得られるように、例えば200回/秒程度とする。
校正値測定ユニット20は、血管径から所望する生体情報を算出するための校正用の生体情報を測定する装置である。生体情報測定装置2は血管径に基づいて血圧を測定するため、校正には血管径とは別に血圧を測定する必要がある。この血圧測定のため、校正値測定ユニット20は加圧式血圧計(カフ型血圧計)などにより実現される。なお、校正を行う時期は任意である。
血管径算出ユニット30は、生体情報測定装置2の基幹装置であって、タッチパネル4,キーボード6,超音波測定ユニット10,校正値測定ユニット20などの装置各部と信号送受可能に接続されている。勿論、外部装置と通信接続可能な構成を含めることもできる。
血管径算出ユニット30へ向けて、超音波測定ユニット10から生データ、Aモード、Bモード、Mモード等の超音波反射波信号のデータが出力される。血管径算出ユニット30は生体情報算出装置を兼ねており、超音波測定ユニット10から出力される超音波反射波信号のデータに基づいて血管径を算出し、算出した血管径を用いて生体情報(本実施形態では血圧)を算出する。血管径算出ユニット30は、算出した血管径や生体情報をタッチパネル4に表示させることができる。
また、校正時においては、血管径算出ユニット30へ向けて、校正値測定ユニット20から校正用の生体情報(本実施形態では血圧)が出力される。超音波測定ユニット10は、校正値測定ユニット20から出力される校正用生体情報と、算出した血管径とを用いて、血管径から血圧を算出するための生体情報算出関数560(相関関係定義データとも言える)を校正する。
血管径算出ユニット30には制御基板31が搭載されている。制御基板31には、CPU32と、ICメモリーやハードディスク等による記憶媒体34と、超音波測定ユニット10や校正値測定ユニット20とのデータ通信を実現する通信IC36とが搭載されている。CPU32は、記憶媒体34に記憶されている測定プログラムを実行することにより血管径や生体情報の算出、測定結果の画像表示制御といった機能を実現する。
そして、本実施形態では記憶媒体34に、血管径推定データベースが構成される。
血管径推定データベースは、超音波測定により得られる血管径と測定対象の生体情報(本実施形態では血圧)との校正過程の情報を元に作成される。血管径推定データベースは、一度行った校正後の断続的或いは連続的な測定において、再度の校正を不要、或いは長期に亘り不要とするための、血管径の推定に係る参照データを格納する。
[血管径推定の原理の説明]
次に、本実施形態における血管径推定の原理について説明する。
図2は、本実施形態における血管径推定データベースの生成について説明する概念図である。本実施形態の生体情報測定装置2は、測定開始前の校正過程にて得られた拡張期血圧Pd、収縮期血圧Ps、拡張期血管径Dd、収縮期血管径Dsを用いて生体情報算出関数560を導出する。生体情報算出関数560としては、例えば、スティフネスパラメーターβを用いて定義される公知の関数を使用することができる。この場合、生体情報算出関数560の導出は、スティフネスパラメーターβを導出して当該関数を定義する意味を指す。
導出に必要な拡張期血圧Pdと収縮期血圧Psは、校正値測定ユニット20による血圧測定の結果から得られる。
また、拡張期血管径Ddと収縮期血管径Dsは、超音波測定ユニット10から出力される超音波の反射波信号のデータに基づいて算出される。具体的には、例えばAモードの超音波反射波信号のデータ(以降「Aモードデータ」と呼称)から血管の前壁及び後壁の内腔内膜境界を示すピークを検索して、血管の直径の両端すなわち2つの直径点を特定する。直径点間距離が「基準血管径」となる。
そして、例えば特定した2つの直径点をトラッキングポイントとしてBモードの超音波反射波信号のデータ(以降「Bモード画像」と呼称)を対象としたトラッキング処理を開始して血管径の変動量すなわち「血管径変動量」を算出する。「基準血管径」に拡張期血圧Pd及び収縮期血圧Psに対応する「血管径変動量」を加えることでそれぞれ拡張期血管径Dd、収縮期血管径Dsを算出することができる。あるいは、心周期1拍分の最小値、最大値を抽出してそれぞれ拡張期血管径Dd、収縮期血管径Dsとするとしてもよい。勿論、その他の手法でもよい。
そして、生体情報算出関数560が得られたならば、生体情報測定装置2は、測定された血管径Dをその都度当該関数に導入して血圧Pを算出することで、校正値測定ユニット20による血圧の測定を中断しても目的の生体情報を継続的に算出し続けることができる。つまり、生体情報算出関数560が導出されることは、実質的に血圧と血管径との関係が校正されたことになる。
なお、図2に示す生体情報算出関数560は血管径Dから血圧Pを算出する公知の関数であるが、生体情報測定装置2の測定対象を血圧以外とする場合には、目的とする生体情報を導出するための関数に適宜置換可能である。
さて、生体情報測定装置2は、この生体情報算出関数560を算出した時点の血圧と血管径の関係とを血管径推定データベース550として保存し、以降の測定において利用する。具体的には、生体情報測定装置2は、(1)超音波測定で得られる血管径である参照径552と、(2)当該参照径を算出したタイミングのBモード画像である参照画像533と、(3)同タイミングの血管径の両端点である直径点554と、を含む参照データセット551(551a、551b)を用意して血管径推定データベース550とする。
参照データセット551をサンプリングするタイミングは、本実施形態では拡張期(より詳細には、心拡張のピークタイミングであり、血管部で最小血圧が得られる第1のタイミングとも言える)と、収縮期(より詳細には、心収縮のピークタイミングであり、血管部で最大血圧が得られる第2のタイミングとも言える)とする。よって、本実施形態の血管径推定データベース550には、2つの参照データセット551a,551bが用意される。
第1の参照データセット551aには、参照径552として拡張期血管径Ddが格納され、参照画像553として拡張期のBモード画像41が格納される。その他、本実施形態では、血管径測定のためのトラッキング処理に用いられた各種パラメーターが格納されるとしてもよい。
同様にして、第2の参照データセット551bには、収縮期血管径Dsが格納され、参照画像553として収縮期のBモード画像42が格納される。その他、本実施形態では、血管径測定のためのトラッキング処理に用いられた各種パラメーターが格納されるとしてもよい。
図3は、血管径の推定方法について説明するための概念図である。
生体情報測定装置2は、測定開始から少なくとも心周期1拍分のフレーム(f1,f2,f3,…)の超音波反射波信号のデータとして、超音波測定ユニット10からBモード画像を取得する。以降、超音波反射信号のデータを「計測データ」と呼称する。
さて、「心周期1拍分の血管径の変動範囲」と、血管径推定データベース550でカバーする参照径範囲(本実施形態では拡張期血管径Dd〜収縮期血管径Ds)とが全く重ならない場合は極めて希である。したがって、通常は算出した血管径Dの少なくとも一部は血管径推定データベース550の参照径範囲に含まれることになる。
そこで、心周期1拍分の計測データそれぞれについて血管径を仮算出(1次算出)する。この時の仮算出は正確である必要はない。そして、計測データの中から、仮算出した血管径が血管径推定データベース550の参照データセット551に近い計測データ(Bモード画像)を1次抽出する。具体的には、フレーム(f1,f2,f3,…)毎の仮算出した血管径のうち、第1の参照径(拡張期血管径Dd)または第2の参照径(収縮期血管径Ds)に近い計測データを1次抽出する。例えば、血管径が最近似する計測データに加えて、前後所定数(例えば3つでも5つでもよい)の計測データも抽出することで、血管径が「近い」計測データを抽出する。
図3の例では、第2の参照径(収縮期血管径Ds)に近い3つの計測データ(フレームがf4,f5,f6のBモード画像)が1次抽出されている。
もしも「心周期1拍分の血管径の変動範囲」が、血管径推定データベース550でカバーする参照径範囲とほぼ同じであれば、第1の参照径(拡張期血管径Dd)に近い計測データと、第2の参照径(収縮期血管径Ds)に近い計測データとの両方が抽出されることになる。また、「心周期1拍分の血管径」が図3の例とは逆に第1の参照径(拡張期血管径Dd)に寄っている場合には、第1の参照径(拡張期血管径Dd)に近い血管径に対応する計測データが1次抽出されることになる。
そして、1次抽出された計測データのうち、参照画像との「類似度」が最も高い計測データを2次抽出する。
「類似度」は2つのデータを比較した場合にそれらがどの程度似ているかを示す指標値であって、例えば“0(最低値)”〜“100(最高値)”の値に正規化される。
本実施形態の計測データ及び参照データはBモードの画像なので、2つの画像の類似度を算出する公知の類似画像検索技術を適宜用いることができる。例えば、2つの画像の対応する画素毎にRGB値の相関係数の平均を算出し(−1〜1の値)、更にその絶対値をとって1から引いて100倍する。もし、計測データ及び参照データとして、Aモードデータや超音波反射波の生データを用いる場合には、同様の相関係数を用いるとしても良いし、2データ間のハミング距離を算出して生じ得る最大ハミング距離で割って100倍して算出するとしても良い。
本実施形態では、1次抽出された計測データ毎に、各参照データセット551との組み合わせを作り、各組み合わせについて計測データ(Bモード画像)と参照画像553との「類似度」を算出する。最も高い類似度が得られた組み合わせの計測データを「最類似計測データ」とし、参照データセット551を「最類似参照データセット」とする。最類似参照データセットは、収縮期の参照データセット551aか、拡張期の参照データセット551bとなる。
そして、「最類似計測データ」に対応する血管径D(図3の例ではDf5)を、「最類似参照データセット」の参照径(図3の例では収縮期血管径Ds)と見なす(推定する)。そして、「最類似計測データ」における血管の両端部を直径点とし、この直径点をトラッキングポイント(追跡の起点)として各フレームについてトラッキング処理を行って、直径点の変位量を各フレームについて算出する。基準血管径は「最類似計測データ」の血管径D(図3の例では収縮期血管径Ds)であるため、この基準血管径に、直径点の変位量を加えることで、各フレームの血管径を推定する。こうすることで、一度校正を行った後は、当分の間再校正を行わずとも血管径を精度良く推定することが可能となる。
また、本実施形態では、「心周期1拍分の血管径の変動範囲」と、血管径推定データベース550がカバーする参照径範囲とが全く重ならない場合の血管径の推定も実現する。
例えば、図4は、この場合の血管径の推定方法について説明するための概念図である。
「心周期1拍分の血管径の変動範囲」と、血管径推定データベース550がカバーする参照径範囲とが全く重ならない場合には、血管径が最も近い「最類似計測データ」と「最類似参照データセット」との比較から血管径を推定する。図4の例は、「心周期1拍分の血管径の変動範囲」が、血管径推定データベース550のカバーする参照径範囲を上回るケースを示しており、収縮期血管径Dsを参照径552として含む参照データセット551b(図2参照)の参照画像553と、フレーム番号f1に対応する計測データ(この場合の最類似計測データ)であるBモード画像43とが比較される。
比較は次のように行う。すなわち、まず、参照画像553から、直径点(図4の参照画像553中の小さい白丸)の位置を基準として、血管壁の前壁テンプレート50(前壁部分の画像データ)及び後壁テンプレート52(後壁部分の画像データ)とする画像部分を切り抜く。そして、最類似計測データであるBモード画像43の中から、前壁テンプレート50及び後壁テンプレート52に最類似する画像部分を判定する画像マッチング処理を行う。次いで、判定された最類似する画像部分のBモード画像43中の位置と、対応する前壁テンプレート50及び後壁テンプレート52の参照画像553中の位置との変位ドット数(位置間の画素数)を算出する。
変位ドット数を、1ドット(画素)当たりの距離を定めた所定レートで換算すると、それぞれの変位距離dY1,dY2が求められる。求めた変位距離dY1,dY2を基準血管径(図4の例では収縮期血管径Ds)に加算すれば、計測データであるBモード画像43における血管径Dが算出(推定)される。
以降は、Bモード画像43における血管径Dを新たな基準血管径とし、Bモード画像43における直径点を新たな直径点としてトラッキング処理を行うことで、以降の各フレームにおける血管径Dを推定することができる。
「心周期1拍分の血管径の変動範囲」と、血管径推定データベース550がカバーする参照径範囲とが全く重ならない場合の血管径の推定処理を、以下では「差異基準推定処理」と呼ぶこととする。
[機能構成の説明]
次に、本実施形態を実現するための機能構成について説明する。
図5は、本実施形態の生体情報測定装置2の機能構成例を示すブロック図である。生体情報測定装置2は、操作入力部100と、超音波送受信部114と、校正用生体情報測定部120と、処理部200と、画像表示部360と、記憶部500とを備える。
操作入力部100は、オペレーターによる各種操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作入力信号を処理部200へ出力する。ボタンスイッチやレバースイッチ、ダイヤルスイッチ、トラックパッド、マウス、などにより実現できる。図1のタッチパネル4やキーボード6がこれに該当する。
超音波送受信部114は、処理部200から出力される発信制御信号に基づいて超音波測定のための超音波の発信・照射と、その反射波の受信を行う。例えば、公知の超音波振動素子や当該素子のドライバー回路により実現される。図1の超音波測定ユニット10に付属する超音波プローブ14がこれに該当する。
校正用生体情報測定部120は、校正基準となる生体情報を取得するための手段であって、生体情報測定装置2で測定対象とする生体情報に応じた公知の測定技術により実現される。そして、測定した生体情報を処理部200へ出力することができる。図1の校正値測定ユニット20がこれに該当する。
処理部200は、生体情報測定装置2が測定対象とする生体情報の算出に係る各種演算処理を行う。例えば、CPUやGPU等のマイクロプロセッサーや、ASIC、ICメモリーなどの電子部品によって実現される。そして、各機能部との間でデータの入出力制御を行い、所定のプログラムやデータ、操作入力部100からの操作入力信号等に基づいて各種の演算処理を実行して被検体3の生体情報を算出する。
本実施形態では、超音波測定制御部202と、血管径変動量算出部204と、生体情報算出関数導出部210と、参照データ生成部212と、血管径推定部230と、生体情報算出部240と、測定画像生成部260とを有する。
超音波測定制御部202は超音波測定を統合的に制御する。
具体的には、超音波送受信部114へ発信制御信号を出力する機能と、超音波送受信部114から出力される反射波の受信信号を増幅し、Aモード,Bモードなどの超音波反射波信号のデータを生成する。図1では超音波測定ユニット10の本体装置12がこれに該当する。
血管径変動量算出部204は、血管径のフレーム間の変動量を算出する。
例えば、基準とするフレームにおける超音波反射波信号のデータからトラッキングポイント(追跡の起点)を設定することで、異なるフレーム間におけるトラッキングポイント(またはトラッキングポイントを基準に決定される微少画像領域いわゆるテンプレート)の変位量を求めるトラッキング処理により実現される。いわゆる「エコートラッキング処理」や「位相差トラッキング処理」などの公知技術により実現できる。
生体情報算出関数導出部210は、血管径に基づいて生体情報測定装置2が測定対象とする生体情報を算出するための関数を導出する。本実施形態では、生体情報測定装置2は血圧を測定するので、スティフネスパラメーターβを用いて血管径Dから血圧Pを算出する関数を導出する。当該関数が図2の生体情報算出関数560に相当し、生体情報算出関数560を定義するために必要なデータは記憶部500に記憶される。
参照データ生成部212は、参照データの取得制御と記録制御とを行って、校正過程で得られた情報に基づいて血管径推定データベース550(図6参照)を生成する。
本実施形態では、(1)拡張期および収縮期を判定する機能と、(2)拡張期血圧Pdおよび収縮期血圧Psを校正用生体情報測定部120から取得する機能と、(3)校正過程で取得された超音波の反射波信号のデータや血管径などから拡張期および収縮期に対応するデータを選択してそれぞれ参照データセット551として保存する機能と、を有する。
血管径推定部230は、被検体3の皮膚面から対象血管に向けて超音波を照射した際の反射波信号のデータ(超音波測定データ、本実施形態ではBモード画像)を血管径推定データベース550に保存されている参照データ(本実施形態では参照データセット551の参照画像553)と照合し、当該参照データに対応づけられた血管径を用いて当該測定時の血管径を推定する。
本実施形態の血管径推定部230は、超音波測定データに最近似する(最も類似する)参照データを選択し、当該参照データに対応する血管径を用いて当該測定時の血管径を推定する。
また、計測開始当初に得られる「心周期1拍分の血管径の変動範囲」が、血管径推定データベース550でカバーする参照径範囲に、一部すら含まれていない場合に差異基準推定処理を実行する差異基準推定部232を有する。
生体情報算出部240は、生体情報算出関数560と、血管径推定部230が推定した血管径とに基づいて生体情報(本実施形態では血圧)を算出する。
測定画像生成部260は、生体情報測定に必要な各種操作画面や測定結果を表示するための画像を生成し画像表示部360へ出力する。
血管径変動量算出部204と、生体情報算出関数導出部210と、参照データ生成部212と、血管径推定部230と、生体情報算出部240とは、図1では血管径算出ユニット30の制御基板31に該当する。血管径変動量算出部204は、図1の超音波測定ユニット10の本体装置12で実現するとしてもよい。
画像表示部360は、測定画像生成部260からの画像データを表示する。図1のタッチパネル4がこれに該当する。
記憶部500は、ICメモリーやハードディスク、光学ディスクなどの記憶媒体により実現され、各種プログラムや、処理部200の演算過程のデータなどの各種データを記憶する。図1では、血管径算出ユニット30の制御基板31に搭載されている記憶媒体34がこれに該当する。なお、処理部200と記憶部500の接続は、装置内の内部バス回路による接続に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの通信回線で実現しても良い。その場合、記憶部500は生体情報測定装置2とは別の外部記憶装置により実現されるとしてもよい。
図6は、本実施形態の記憶部500に記憶されるプログラム及びデータの例を示す図である。
記憶部500は、生体情報算出プログラム501と、校正用生体情報履歴502と、計測データ504と、血管径変動量算出パラメーター506と、血管径変動量履歴510と、拡張期血圧(Pd)511と、収縮期血圧(Ps)513と、拡張期血管径(Dd)515と、収縮期血管径(Ds)517と、血管径推定データベース550と、生体情報算出関数560と、最類似計測データ血管径562と、最類似計測データ直径点564と、最類似計測データ基準血管径変動量履歴566と、前壁テンプレート568と、後壁テンプレート570と、前壁テンプレート変位ドット数572と、後壁テンプレート変位ドット数574と、前壁テンプレート変位距離(dY1)576と、後壁テンプレート変位距離(dY2)578と、生体情報履歴580と、を記憶する。勿論、これら以外にも、適宜フレーム識別情報や、各種フラグ、計時用のカウンター値などを適宜記憶する。
処理部200は、生体情報算出プログラム501を読み出して実行することにより、超音波測定制御部202や、血管径変動量算出部204、生体情報算出関数導出部210、参照データ生成部212、血管径推定部230、生体情報算出部240等の機能を実現する。なお、これらの機能部をハードウェアで実現することも可能である。
校正用生体情報履歴502は、校正過程において校正用生体情報測定部120で得られた生体情報(本実施形態では血圧)を時系列に、フレーム識別情報と対応づけて格納する。
計測データ504は、測定周期毎に作成される。1つの計測データ504には、フレーム識別情報(図中の「f1」がこれに該当)と、Aモードデータと、Bモード画像とが格納される。
血管径変動量算出パラメーター506は、血管径変動量算出部204の算出処理に係る各種パラメーターの値を格納する。例えば、血管径の直径点507や、基準血管径508が含まれる。直径点507はトラッキングポイントに利用される。
血管径変動量履歴510は、少なくとも心周期1拍分の血管径の変動量が、フレーム識別情報と対応づけて時系列に格納されたデータである。
最類似計測データ血管径562は、血管径推定データベース550を利用して血管径を推定する過程で算出されるデータで、最類似計測データから求められる血管径である。
最類似計測データ直径点564は、その直径点を定義する情報である。
最類似計測データ基準血管径変動量履歴566は、最類似計測データ血管径562及び最類似計測データ直径点564に基づいて算出された、血管径変動量の履歴である。
前壁テンプレート568、後壁テンプレート570、前壁テンプレート変位ドット数572、後壁テンプレート変位ドット数574、前壁テンプレート変位距離576、後壁テンプレート変位距離578は、差異基準推定処理(図4参照)に係る各種パラメーターの値である。
生体情報履歴580は、測定結果としての生体情報を時系列に格納したデータである。生体情報履歴580は、測定毎に随時追加更新される。
[処理の流れの説明]
次に、生体情報測定装置2の動作について説明する。
図7は、本実施形態における生体情報測定装置2における校正処理の流れを説明するためのフローチャートである。
なお、校正処理の実行に先立って、予め校正値測定の準備が行われる。校正値測定ユニット20を加圧式血圧計(カフ型血圧計)とするならば被検体3へのカフの取り付けなどが行われる。
校正処理において、生体情報測定装置2の処理部200は、先ず、校正用の生体情報(本実施形態では血圧)の測定を開始する(ステップS2)。処理部200は、測定された血圧を校正用生体情報履歴502に逐次格納する。
次いで、超音波プローブ14からの超音波の発信/受信を開始し、Aモード及びBモードの超音波の反射波信号のデータ、すなわちAモードデータ及びBモード画像の生成・記録を開始する(ステップS4)。以降、記憶部500にはフレーム毎の計測データ504が記憶されていく。
次に、処理部200は、Aモードデータから血管の前壁及び後壁の内腔内膜境界を示すピークを検索して血管径を算出する(ステップS6)。そして、それぞれのピークを示した位置を直径点とみなし、定義情報(例えばBモード画像の座標)を血管径変動量算出パラメーター506に直径点507として格納し、直径点間の距離を算出して血管径変動量算出パラメーター506の基準血管径508に格納する(ステップS8)。
次に、処理部200は直径点507を起点として少なくとも心周期1拍分の血管径の変動量を求め、血管径の変動量を逐次、血管径変動量履歴510に格納する(ステップS10)。
少なくとも心周期1拍分の血管径の変動量が求められたならば、処理部200は当該心周期1拍分の血管径の変動量に基づいて拡張期と収縮期に該当するフレームを判定する(ステップS12)。この判定は、校正用生体情報履歴502から判定しても良い。
そして、拡張期と収縮期に該当するフレームを判定したならば、処理部200は、校正用生体情報履歴502から拡張期血圧(Pd)511と収縮期血圧(Ps)513を求める(ステップS14)。更に、血管径変動量履歴510と基準血管径508とに基づいて拡張期血管径(Dd)515と収縮期血管径(Ds)517とを求める(ステップS16)。
そして、処理部200は、拡張期血圧(Pd)511と、収縮期血圧(Ps)513と、拡張期血管径(Dd)515と、収縮期血管径(Ds)517とから、生体情報算出関数560を導出する(ステップS18)。導出については公知技術を適宜利用できる。生体情報算出関数560を導出できたならば、生体情報測定装置2が測定対象とする生体情報と超音波測定ユニット10にて測定される血管径との関係が校正されたことになる。
次に、処理部200は拡張期の各種データから第1の参照データセット551(図2の参照データセット551a)を生成・保存し(ステップS20)、収縮期の各種データから第2の参照データセット551(図2の参照データセット551b)を生成・保存して(ステップS22)、血管径推定データベース550を生成する。
血管径推定データベース550が生成されたならば、校正用生体情報の測定は不要となるのでこれを終了する(ステップS30)。これに伴って、カフの取り外しなど生体情報を測定する器具や機器を被検体3から取り外すことができる。
そして、処理部200は、超音波測定の結果からフレーム毎の血管径Dを算出し、算出した血管径Dを生体情報算出関数560に導入して生体情報を算出し、生体情報履歴580に格納・記録する処理を開始する(ステップS32)。
図8は、校正処理後に行われる血管径の推定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
ステップS34〜S40は、図7のステップS4〜S10に相当する。そして、ステップS40で心周期1拍分の血管径の変動量を求めたならば、処理部200は血管径推定データベース550の利用可能条件を満たしているかを判定する(ステップS50)。具体的には、前述のごとく超音波測定測定のフレームレートが200回/秒程度に設定されているので、心周期1拍分といえども十分な頻度で変動量が求められることになる。そして、ステップS40で得られた「心周期1拍分の血管径の変動範囲」の少なくとも一部が、血管径推定データベース550のカバー範囲つまり参照径552の最大値と最小値の間に含まれているかを判定する。また、ステップS40では、血管径の変動に対し十分早い計測頻度となるように測定する。例えば200回/秒の測定頻度で計測する。
もし、肯定であれば(ステップS50のYES)、処理部200は、ステップS40で得られた計測データ504の中から、参照データセット511と比較するための計測データを1次抽出する(ステップS52)。具体的には、血管径変動量履歴510と基準血管径508とに基づいて、血管径推定データベース550の参照径552の最大値または最小値に近い血管径が対応づけられている計測データ504を選択する。選択数は、単数または複数(例えば3つや5つ等)とする。
次に、処理部200は、1次抽出された計測データ毎に、全ての参照データセット551との組み合わせを作成する。そして、組み合わせ毎に1次抽出された計測データ504(本実施形態ではBモード画像)と、組み合わされた参照データセット551の参照画像553との類似度を算出する(ステップS54)。そして、算出した類似度に基づいて最類似計測データと最類似参照データセットとを判定する(ステップS56)。
次に、処理部200は、最類似計測データに対応する血管径の値を、最類似参照データセットの参照径552の値に設定する(ステップS58)。具体的には、最類似参照データセットの参照径552の値を、最類似計測データ血管径562として記憶部500に格納する。
次に、処理部200は、最類似計測データの直径点を算出する(ステップS60)。具体的には、血管径変動量履歴510から最類似計測データにおける血管径変動量を読み出し、読み出した値と血管径変動量算出パラメーター506の直径点507とから最類似計測データの直径点を求め、最類似計測データ直径点564に格納する。
次に、処理部200は、新たに設定された最類似計測データ直径点564を起点として少なくとも心周期1拍分の血管径の変動量を測定し、最類似計測データ基準血管径変動量履歴566へ、フレーム識別情報と対応づけて時系列に格納する(ステップS62)。
そして、血管径Dの算出と、更新された生体情報算出関数560に基づく生体情報の算出・記録処理を開始する(ステップS68)。
一方、ステップS50で否定判定された場合には(ステップS50のNO)、処理部200は、差異基準推定処理を実行する(ステップS70)。
図9は、本実施形態における差異基準推定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
同処理において、処理部200は、先ずステップS40にて取得した心周期1拍分の計測データ504と、血管径推定データベース550の参照データセット551の中から、血管径と参照径552とが最近似する計測データ504と参照データセット551とを選出する(ステップS100)。
具体的には、基準血管径508と血管径変動量履歴510とからステップS40にて取得した計測データ504毎の血管径を算出し、参照データセット551の参照径552と比較する。あるいは、ステップS40にて取得した計測データ504のBモード画像毎に、データセット551の参照画像553別に類似度を算出し、最も類似度が高くなった組み合わせを選出する構成も可能である。
次に、処理部200は、選択された参照データセット551の直径点554を、血管径変動量算出パラメーター506の直径点507に設定する(ステップS102)。
次いで、選択された参照データセット551の直径点554を基準として、参照画像553から前壁テンプレート568(図4の前壁テンプレート50)と、後壁テンプレート570(図4の後壁テンプレート52)とを作成する(ステップS104)。
テンプレートが用意できたならば、処理部200はステップS100で選択された参照データセット551と計測データ504との間における前壁テンプレート変位ドット数572を算出する。そして、算出した変位ドット数を所定のレート[距離/ドット]で換算して、前壁テンプレート変位距離(dY1)576を算出する(ステップS110)。後壁テンプレートについても同様にして、後壁テンプレート変位ドット数574を算出し、後壁テンプレート変位距離(dY2)578を算出する(ステップS112)。
そして、処理部200は、ステップS100で選択された参照データセット551の参照径552に、前壁テンプレート変位距離(dY1)576と後壁テンプレート変位距離(dY2)578とを加算した値を、血管径変動量算出パラメーター506の基準血管径508に格納する(ステップS120)。
先のステップS102にて、すでにステップS100で選択された参照データセット551の直径点が血管径変動量算出パラメーター506の直径点507に設定されているので、ステップS120と合わせると、以降の血管径変動量の算出では、ステップS100で選択された計測データを校正時に用意された参照データセット551と見なして血管径の変動を測定することが可能となった。
処理部200は、少なくとも心周期1拍分の血管径の変動量を測定し(ステップS122)、拡張期血管径Ddと収縮期血管径Dsとを求める(ステップS124)。そして、求めた拡張期血管径Ddと収縮期血管径Dsとで生体情報算出関数を更新し(ステップS126)、血管径Dと生体情報の算出を開始する(ステップS128)。
以上、本実施形態によれば、校正を一度行えば、血管径の変動範囲が変化したとしても再校正をせずに測定精度を維持することができる。したがって、校正に伴う被検者への負担や校正の手間を低減し、校正の回数や頻度を低減することができる。
本発明の実施形態は、上記実施形態に限るものではなく、適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
[変形例:その1]
例えば、第1実施形態では、血管径を算出するためのトラッキング処理にはBモード画像を用い、比較される血管径推定データベース550に格納するデータもBモード画像としたが、その他のタイプの超音波測定データを用いるとしても良い。
例えば、血管の直径を通過する走査線のAモードデータ(振幅波形データ)を用いてトラッキング処理を実行する構成とする場合には、テンプレートは波形データの一部とすることができるし、参照データもAモードデータとなる。さらには、Aモードデータを作成する前段階、すなわち超音波プローブ14から出力されたままのデータ、いわゆる反射波の生データ(「RFデータ」等とも呼ばれる)を用いる構成とすることもできる。
[変形例:その2]
また、例えば、第1実施形態では血管径推定データベース550の参照データセット551として拡張期と収縮期の2つを設定したが、いずれか一方のみでもよい。
また、参照データセット551のサンプルタイミングは、拡張期や収縮期に限らない。例えば、図10に示すように、収縮期血圧Ps或いは重複切痕血圧PLから、拡張期血圧Pdに至るまでの間のフレーム(f1,f2,…)の計測データをもとにして複数の参照データセット551を生成する構成も可能である。その際、参照データセット551の数は適宜設定可能であるが、事前に判明する拡張期血圧Pdと収縮期血圧Psとに基づいて、時間的に隣り合うフレームの参照データに対応する血圧差が1(mmHg)程度となるように参照データのサンプリングレート(単位はフレーム)を決定すると好適である。
この構成の場合、フローチャートは基本的に第1実施形態と同様であるが、図11に示すように、ステップS20〜S22に代えてステップS25〜S27を実行する。すなわち、拡張期血圧Pdと収縮期血圧Psから参照データセット551のサンプリングレートを決定し(ステップS25)、重複切痕血圧PLのタイミングから拡張期血圧Pdまでに相当する超音波測定データ532の中からサンプリングレートに従って参照データセット551を作成する(ステップS27)。
なお、サンプルタイミングを拡張期から収縮期の間とすることも可能であるが、この間は血管径と血圧との関係が崩れやすいことが知られており、収縮期血圧Ps或いは重複切痕血圧PLから拡張期血圧Pdに至るまでの間でサンプリングするのが好ましい。
[変形例:その3]
上述の実施形態では、スティフネスパラメーターβを用いて血管径Dから血圧Pを算出することとして説明した。しかし、血圧Pの算出方法はこの方法に限らない。例えば、超音波測定ユニット10が、血流速検出部を有し、超音波反射波信号から血管径を求めるとともに、この血流速検出部が血流速(血流速度)を求めることとする。そして、血管径及び血流速から血圧を算出する。超音波反射波信号から血流速を算出する方法や、血管径及び血流速から血圧を算出する方法は、公知の技術を適用することができる。例えば、特開2011−239972号公報や特開2012−005690号公報に記載されている技術を利用することができる。
2 生体情報測定装置、 3 被検体、 10 超音波測定ユニット、 12 本体装置、 14 超音波プローブ、 20 校正値測定ユニット、 30 血管径算出ユニット、 100 操作入力部、 114 超音波送受信部、 120 校正用生体情報測定部、 200 処理部、 202 超音波測定制御部、 204 血管径変動量算出部、 210 生体情報算出関数導出部、 212 参照データ生成部、 230 血管径推定部、 232 差異基準推定部、 240 生体情報算出部、 260 測定画像生成部、 360 画像表示部、 500 記憶部

Claims (7)

  1. 血管に照射した超音波の反射波信号のデータを当該血管の血管径と対応づけて記憶した記憶部と、
    計測時に前記血管に前記超音波を照射した際の反射波信号のデータを前記データと照合し、前記データに対応づけられた前記血管径を用いて前記計測時の前記血管の径を推定する血管径推定部と、
    を備えた血管径測定装置。
  2. 前記記憶部は、異なる血圧における前記データを前記血管径と対応づけて記憶し、
    前記血管径推定部は、前記計測時のデータに最近似する前記データを選択し、前記データに対応する前記血管径を用いて、前記計測時の前記血管の径を推定する、
    請求項1に記載の血管径測定装置。
  3. 前記記憶部は、少なくとも拡張期血圧及び収縮期血圧における前記データを記憶する、
    請求項2に記載の血管径測定装置。
  4. 血圧が拡張期から収縮期に至る間の前記データを取得せず、収縮期から拡張期に至る間の前記データを取得して前記記憶部に記憶させるデータ生成部、
    を更に備えた請求項2又は3に記載の血管径測定装置。
  5. 前記血管径推定部は、前記計測時のデータと、前記最近似するデータとの差異に基づいて、前記計測時の前記血管の径を推定する差異基準推定部を有する、
    請求項2〜4の何れか一項に記載の血管径測定装置。
  6. 前記差異基準推定部は、前記血管の前壁部分と後壁部分との相対的な位置関係について前記計測時のデータと前記最近似する前記データとの差異を算出し、算出した相対的な位置関係の差異と、前記最近似する前記データに対応づけられた前記血管径とを用いて、前記計測時の前記血管の径を推定する、
    請求項5の何れか一項に記載の血管径測定装置。
  7. 血管に照射した超音波の反射波信号のデータを当該血管の血管径と対応づけて記憶部に記憶させることと、
    計測時に前記血管に前記超音波を照射した際の前記計測時のデータを前記データと照合し、前記データに対応づけられた前記血管径を用いて前記計測時の血管の径を推定することと、
    を含む血管径測定方法。
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