JP2014233097A - 充放電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄電池を用いたアンシラリーサービスにおいて、蓄電池を保護しつつ、アンシラリー機能の低下を抑制する。【解決手段】蓄電池10は、電力系統50から充電および電力系統50に放電することが可能である。制御装置20は、蓄電池10の充放電を制御する。制御装置20は、電力系統50の運用主体からの指示に応じて電力系統50と蓄電池10との間で充放電すべき期間内において、電力のやりとりをする必要がない間、蓄電池10のSOC(State Of Charge)が所定の適正値に近づくよう蓄電池10を充電または放電する。【選択図】図2

Description

本発明は、蓄電池の充放電システムに関する。
近年、大手電力会社以外が保有する発電機や、自然エネルギー(太陽光や風力など)をもとにした発電機が、送配電用の電力系統に連結されることが多くなってきている。これらの発電機により発電された電力は低品質なものが多く、アンシラリー機能が重要になってきている。アンシラリー機能とは、電力系統により送配電される電力の、周波数安定化などの電力品質を維持する機能を指す。以下、本明細書ではアンシラリー機能の代表例として周波数維持機能を取り上げる。
送配電される電力は、需要が供給を超過した場合、瞬時に周波数が低下し、供給が需要を超過した場合、瞬時に周波数が上昇する性質がある。そこで、周波数が低下した場合、発電出力を増加させ、周波数が上昇した場合、発電出力を減少させるよう出力調整することが考えられる。
当該出力調整の手法として、火力発電所のガスタービンの回転速度を変更することが考えられる。この手法は数分〜10分程度で発電出力を変更できる。この手法より短時間で電力供給を調整可能な手法として、電力系統に蓄電池(二次電池ともいう)を接続し、電力系統と蓄電池との間で充放電する手法が考えられる(たとえば、特許文献1参照)。この手法では、蓄電池の運用管理主体は、電力系統の運用管理主体からの充放電指示にしたがって、電力系統から充電または電力系統へ放電する。
米国特許7839027号明細書
蓄電池は寿命などの観点から、SOC(State Of Charge)範囲内で使用されることが求められる。蓄電池をアンシラリーサービスに使用する場合も同様である。SOCとは満充電容量に対する残容量の割合を示す指標である。
上述したように、蓄電池をアンシラリーサービスに使用している期間中、蓄電池の運用管理主体は、電力系統の運用管理主体から充電指示または放電指示を受ける。この指示は負荷変動や発電状況に応じて様々なパターンで出される。充電指示と放電指示がバランスよく出されることもあれば、充電指示が多数回連続することもあれば、放電指示が多数回連続することもある。
蓄電池の運用管理主体は、電力系統の運用管理主体から出される指示を、原則的にすべて受ける必要がある。その指示が無視されれば、アンシラリー機能が弱まり、高品質な電力の安定供給に支障をきたす。
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、蓄電池を用いたアンシラリーサービスにおいて、蓄電池を保護しつつ、アンシラリー機能の低下を抑制する技術を提供することにある。
本発明のある態様の充放電システムは、電力系統から充電および電力系統に放電することが可能な蓄電池と、蓄電池の充放電を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、電力系統の運用主体からの指示に応じて電力系統と蓄電池との間で充放電すべき期間内において、電力のやりとりをする必要がない間、蓄電池のSOCが所定の適正値に近づくよう蓄電池を充電または放電する。
本発明によれば、蓄電池を用いたアンシラリーサービスにおいて、蓄電池を保護しつつ、アンシラリー機能の低下を抑制できる。
電力供給システムの全体構成を示す図である。 本発明の実施の形態に係る充放電システムを説明するための図である。 周波数制御サービスのサービス提供期間以外の期間における、制御装置によるSOC調整処理を説明するためのフローチャートである。 周波数制御サービスのサービス提供期間内における、制御装置によるSOC調整処理を説明するためのフローチャートである。 周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池のSOCが蓄電池のSOC範囲の上限値を超える場合における、第1処理例を説明するための図である。 周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池のSOCが蓄電池のSOC範囲の下限値を超える場合における、第1処理例を説明するための図である。 周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池のSOCが蓄電池のSOC範囲を超える場合における、第1処理例を説明するためのフローチャートである。 周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池のSOCが蓄電池のSOC範囲の上限値を超える場合における、第2処理例を説明するための図である。 周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池のSOCが蓄電池のSOC範囲を超える場合における、第2処理例を説明するためのフローチャートである。 周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池のSOCが蓄電池のSOC範囲の下限値を超える場合における、第3処理例を説明するための図である。 周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池のSOCが蓄電池のSOC範囲を超える場合における、第3処理例を説明するためのフローチャートである。 周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池のSOCが蓄電池のSOC範囲の上限値を超える場合における、第4処理例を説明するための図である。 周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池のSOCが蓄電池のSOC範囲を超える場合における、第4処理例を説明するためのフローチャートである。
図1は、電力供給システム500の全体構成を示す図である。電力供給システム500は、電力系統50に、複数の発電所30、複数の充放電システム100、複数の需要者40および系統運用装置200が接続される構成である。本明細書では説明を簡略化するため、送電系統と配電系統を区別せずに両者をまとめて電力系統50と表記する。
電力供給システム500の運営形態には様々な形態がある。日本では、基本的に地域独占の電力会社により電力供給システム500全体が管理される形態であり、電力会社以外による電力の小売は認められていない(2011年9月現在)。各地域の電力会社はその地域の需要者40に対して電力供給責任を負う。また、日本の電力会社は周波数制御サービスを実施することにより、高品質で安定した電力を需要者40に供給している。
一方、電力の小売が自由化されている国や地域もある。その代表例として、PJM(Pennsylvania New Jersey Maryland)が挙げられる。PJMには、卸売電力取引所(PX;Power Exchange)および独立系統運用機関(ISO;Independent System Operator)が設置されている。送電線を中心とする電力系統は電力会社が所有し、その運用をISOが行う仕組みである。PJMでは、設備容量市場、卸電力市場、周波数調整市場および金融的送電権市場が運営されている。
電力系統50に連結される発電所30には、火力、原子力、水力、風力、太陽光など、様々な種類の発電所がある。火力発電所のエネルギー源は、主に、石炭、ガス、石油である。日本のように主力の発電所の多くを地域独占の電力会社が所有しているケースもあれば、PJMのように電力会社に加え、多くの独立発電事業者(IPP;Independent Power Producer)が発電所を分散して所有しているケースもある。
系統運用装置200は、電力会社またはISOにより管理される装置である。系統運用装置200は、電力系統50の負荷変動(すなわち、電力の需要変動)を検知し、電力系統50全体の需給バランスを維持するための指示を、発電所30および充放電システム100の少なくとも一方に与える。上述したように、需給バランスが崩れると系統周波数が変動する。系統周波数と基準周波数との差が±0.2Hzを超えると、需要者40側の一部の機器に悪影響が及ぶ可能性がある。また、系統周波数と基準周波数との差が数%に及ぶと、発電機に、タービン翼共振や発電機軸ねじれなどの不具合が発生する可能性がある。
系統運用装置200は、負荷変動に応じて発電出力を調整するよう発電所30に通信ネットワークを介して指示することができる。具体的には、電力需要が電力供給を上回ると、発電出力を増加させるよう指示し、電力需要が電力供給を下回ると、発電出力を減少させるよう指示する。原子力発電や水力発電は短時間での出力調整が難しいため、発電所による出力調整は主に、火力発電所により行われる。
系統運用装置200は、負荷変動に応じて、電力系統50に蓄電池から放電または電力系統50から蓄電池に充電するよう充放電システム100に通信ネットワークを介して指示することができる。具体的には、電力需要が電力供給を上回ると、電力系統50に蓄電池から放電するよう指示し、電力需要が電力供給を下回ると、電力系統50から蓄電池に充電するよう指示する。
前者の火力発電所による発電出力の変更には数分から10分程度かかる。後者の充放電システム100による電力供給の調整は瞬時に可能であるため、瞬時の負荷変動に対して、とくに有効である。PJMには、自動発電制御(AGC;Automatic Generation Control)による周波数調整市場と、充放電制御による周波数調整市場の両方がある。これらの市場が整備されていることにより、出力調整が困難な発電機しか保有しないIPPでも新規参入が容易となる。すなわち、周波数調整市場で取引される周波数制御サービスに対価を支払うことにより、設備投資費用を抑えることができる。
以下、本明細書では充放電システム100による系統周波数の制御について説明する。また、周波数調整市場により収益を上げることを目的とした事業者(以下、蓄電事業者という)が存在し、その蓄電事業者が充放電システム100を管理し、周波数制御サービスを提供する例について説明する。この例では、系統運用装置200を管理する系統運用主体と、周波数制御ーサービス提供主体が異なることになる。
図2は、本発明の実施の形態に係る充放電システム100を説明するための図である。充放電システム100は、蓄電池10、スイッチ回路11、双方向AC−DCコンバータ12、抵抗R1、制御装置20およびコンソール端末装置70を備える。図2において、実線の矢印は電力の流れを示し、破線の矢印は制御信号の流れを示す。
蓄電池10は、電力系統50から充電および電力系統50に放電することが可能な電池である。蓄電池10にはリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛電池などが採用される。スイッチ回路11は、蓄電池10と、双方向AC−DCコンバータ12および抵抗R1との間に設けられる。スイッチ回路11は、制御装置20からの指示に応じて、蓄電池10から双方向AC−DCコンバータ12を介して電力系統50に放電させるか、電力系統50から双方向AC−DCコンバータ12を介して蓄電池10に充電させるか、蓄電池10から抵抗R1に電流を流すか、切り替える。
双方向AC−DCコンバータ12は、制御装置20からの指示に応じて、電力系統50から供給される交流電力を直流電力に変換して蓄電池10に供給するか、蓄電池10から供給される直流電力を交流電力に変換して電力系統50に供給する。抵抗R1は蓄電池10から供給されるエネルギーをジュール熱として大気に放出する。
通信ネットワーク60(たとえば、インターネット)に、系統運用装置200、制御装置20およびコンソール端末装置70が接続される。また、図示しない周波数制御サービスの取引所システムも接続される。本実施の形態では、PJMと同様に、周波数制御サービス市場として、一日前市場とリアルタイム市場の二種類があることを前提とする。
たとえば、PJMの一日前市場はつぎのように運営されている。蓄電事業者は、周波数制御サービス提供日の前日の0時〜18時(12〜16時を除く)に一時間単位で応札する。応札の最小単位は0.5MWである。落札結果はサービス提供日の前日の20時に通知される。決済価格は応札価格ではなく市場価格に決定される。市場価格は取引所で需要と供給が一致した価格である。なお、当該需要は当日の電力需要の予測値、当日の電力供給の予定値などから算出される。
系統運用機関は、一日前市場で周波数制御用の補助電源を確保できる。しかしながら、当日の天気や発電所の稼働状況の変化などにより、電力の需給バランスが予想以上に拡大することがある。その場合、リアルタイム市場を開設して、追加的に周波数制御サービスへの参加者を募る。リアルタイム市場は電力の需給バランスが予想の範囲内の場合、開設されない。
系統運用装置200は、電力の需給バランスの変動に応じて、その時間に周波数制御サービスを提供している充放電システム100の制御装置20に、通信ネットワーク60を介して充電指示信号または放電指示信号を送信する。系統運用装置200は、充電指示信号または放電指示信号を定期的(たとえば、2秒または4秒に1回)に送信する。なお、充電および放電が必要ない周期では、信号を送信しなくてもよいし、待機指示信号を送信してもよい。
以下、より具体的に説明する。系統運用装置200は、電力の需給バランスを監視し、需給バランスにギャップが生じた場合、そのギャップを埋めるための電力量を算出する。放電が必要な場合、算出された電力量を放電するよう少なくとも一つの充放電システム100の制御装置20に放電指示信号を送信する。同様に、充電が必要な場合、算出された電力量を充電するよう少なくとも一つの充放電システム100の制御装置20に充電指示信号を送信する。
系統運用装置200は、各充放電システム100の蓄電池10の充電量と放電量をリアルタイムに管理し、各充放電システム100の蓄電池10の充電量と放電量とが可及的に等しくなるよう、放電指示および充電指示を発行すべき充放電システム100を決定する。この放電指示および充電指示を発行すべき充放電システム100を決定するためのアルゴリズムは、既存の一般的なアルゴリズムを使用すればよい。
コンソール端末装置70は、蓄電事業者が使用する、PCなどで構築される装置である。コンソール端末装置70は、蓄電池10が設置されている場所の近隣に設置されていてもよいし、遠方に設置されていてもよい。一つの蓄電事業者が複数の充放電システム100を運用管理する場合、その蓄電事業者のオペレーションルームに当該複数の充放電システム100の共通のコンソール端末装置70が設置されてもよい。
コンソール端末装置70は、蓄電事業者のユーザ操作にしたがい、周波数制御サービスの取引所システムにアクセスして、一日前市場またはリアルタイム市場に応札し、その落札結果を受領する。また、コンソール端末装置70は、蓄電事業者のユーザ操作にしたがい、制御装置20の各種パラメータを設定変更したり、蓄電池10、スイッチ回路11および双方向AC−DCコンバータ12を手動制御したりする。
制御装置20は、主に蓄電池10の充放電を制御する。制御装置20は、充放電指示受付部21、操作指示受付部22、SOC監視部23、適正値決定部24および充放電制御部25を含む。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のプロセッサ、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
充放電指示受付部21は、系統運用装置200からの指示信号を受信する。より具体的には、一日前市場またはリアルタイム市場により落札した、周波数制御サービスを提供する期間(以下、サービス提供期間という)に、系統運用装置200から定期的に充電指示、放電指示または待機指示を受ける。蓄電事業者にとって、このサービス提供期間は、系統運用機関に対して、系統運用装置200からの指示に応じて電力系統50と蓄電池10との間で充放電可能な状態に維持する義務を負う期間となる。
操作指示受付部22は、コンソール端末装置70からの指示を受け付ける。SOC監視部23は、蓄電池10のSOCを継続的に取得して、その値を監視する。SOCの値は積算電流計などにより計測できる。なお、リチウムイオン電池では電圧計により計測できる。
適正値決定部24は、蓄電池10のSOCの適正値を決定する。蓄電池10の通常の使用方法では、できるだけ多くのエネルギーを蓄積しておくことが好ましいため、蓄電池10のSOCの適正値は、蓄電池10のSOC範囲の上限値に設定することが望ましい。すなわち、充電終止電圧に設定することが望ましい。
これに対し、周波数制御サービスを提供するための蓄電池10では、そのSOCの適正値は、蓄電池10のSOC範囲の中間値近傍に設定することが望ましい。これは、系統運用装置200から充電指示を受ける期待値と放電指示を受ける期待値が等しくなるというモデルに基づく。たとえば、SOC範囲が10%〜90%の場合、適正値を50%〜60%程度に設定することが望ましい。一般的に、放電速度のほうが充電速度より速いため、SOC範囲の中間値より所定の値、高く設定するとよい。なお、経時変化などにより蓄電池10の満充電容量が変化した場合、適正値決定部24は、その変化に応じて、適正値に対応する容量値を変更する。
充放電制御部25は、上述のサービス提供期間の開始時刻までに、蓄電池10のSOCが適正値決定部24により決定された適正値になるよう蓄電池10を充電または放電する。この蓄電池10の充放電は、当該サービス提供期間以外の期間に実施される。なお、このSOC調整のための放電は、抵抗R1に電流を流すことにより行う。また、このSOC調整のための充電は、電力系統50から充電してもよいし、発電機(たとえば、太陽光パネル)を併設している場合、当該発電機から充電してもよい。
サービス提供期間の開始時刻までに、蓄電池10のSOCを当該適正値まで移動させる制御は、主に一日前市場により落札した周波数制御サービスを想定しているが、リアルタイム市場により落札した周波数制御サービスに適用してもよい。サービス提供期間の開始時刻までの時間が短い場合であっても、蓄電池10のSOCを当該適正値にできるだけ近づける処理は有効である。
充放電制御部25は、上述のサービス提供期間内において、電力系統50と蓄電池10との間で電力のやりとりをする必要がない期間、蓄電池10のSOCが当該適正値に近づくよう蓄電池10を充電または放電する。電力系統50と蓄電池10との間で電力のやりとりをする必要がない期間とは、系統運用装置200から最後に受けた充電指示または放電指示に基づく充電または放電が終了後、つぎの充電指示および放電指示のいずれかを受けるまでの期間を指す。
この制御は、一日前市場により落札された周波数制御サービスおよびリアルタイム市場で落札された周波数制御サービスの両方に適用可能である。とくに、蓄電池10のSOCとその適正値が離れている可能性が高い、リアルタイム市場で落札された周波数制御サービスに有効である。SOC調整のための充放電の手法は、上述した手法と同様の手法を使用する。
図3は、周波数制御サービスのサービス提供期間以外の期間における、制御装置20によるSOC調整処理を説明するためのフローチャートである。コンソール端末装置70は、蓄電事業者のユーザ操作にしたがい、周波数制御サービスの取引所システムにアクセスして、一日前市場に応札し、所定時間後の周波数制御サービスを落札する(S10)。適正値決定部24は、蓄電池10のSOCの適正値を決定し、充放電制御部25に設定する(S11)。SOC監視部23は、蓄電池10のSOCを取得する(S12)。
充放電制御部25は、取得されたSOCと設定された適正値とを比較する(S13)。両者が一致しない場合(S13のN)、蓄電池10を充放電制御する(S14)。具体的には、当該SOCが当該適正値より高い場合、充放電制御部25はスイッチ回路11を制御して、蓄電池10から抵抗R1に放電させる。一方、当該SOCが当該適正値より低い場合、充放電制御部25はスイッチ回路11および双方向AC−DCコンバータ12を制御して、電力系統50から蓄電池10に充電させる。その後、ステップS12に遷移し、蓄電池10のSOCの取得処理およびSOCと適正値との比較処理が継続される。
ステップS13にて、SOCと適正値が一致した場合(S13のY)、SOC調整処理が終了する。なお、図示しないが上述のサービス提供期間の開始時刻が到来した場合、SOCと適正値が一致しない場合でも、SOC調整処理が終了する。
図4は、周波数制御サービスのサービス提供期間内における、制御装置20によるSOC調整処理を説明するためのフローチャートである。なお、図4のフローチャートを簡略化するため、適正値決定部24によるSOCの決定および設定処理については省略している。また、系統運用装置200は、各充放電システム100の制御装置20に、周期的(たとえば、2秒または4秒に1回)に充電指示、放電指示または待機指示のいずれかを発行するものとする。
サービス提供期間が開始すると、充放電システム100は周波数制御サービスの提供を開始する(S20)。充放電制御部25はサービス提供期間が終了したか否か判定する(S21)。終了した場合(S21のY)、周波数制御サービスの提供を終了する。終了していない場合(S21のN)、ステップS22に遷移する。
SOC監視部23は、蓄電池10のSOCを取得する(S22)。充放電指示受付部21は、系統運用装置200から指示を受信する(S23)。充放電制御部25は、その指示が待機指示であるか否か判定する(S24)。待機指示でない場合(S24のN)、その指示は充電指示または放電指示となる。充放電制御部25は、受信した充電指示または放電指示に応じて、蓄電池10の充放電制御を実施する(S25)。具体的には、充電指示の場合、電力系統50から蓄電池10に充電させ、放電指示の場合、蓄電池10から電力系統50に放電させる。その後、この周期の処理を終了し、ステップS21に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
ステップS24にて、系統運用装置200から受信した指示が待機指示である場合(S24のY)、充放電制御部25は、SOC調整のための蓄電池10の充放電制御を実施する(S26)。具体的には、充電の場合、電力系統50または発電機から充電し、放電の場合、抵抗R1に放電する。その後、この周期の処理を終了し、ステップS21に遷移し、つぎの周期の処理に移る。したがって、待機指示が続く間、SOC調整のための充放電制御を継続することができる。
つぎに、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上限値または下限値を超える場合の処理について説明する。まず、第1処理例について説明する。第1処理例では、充放電制御部25は、蓄電池10のSOCがSOC範囲の上限値を超える充電指示を無視する。同様に、蓄電池10のSOCがSOC範囲の下限値を超える放電指示を無視する。
図5は、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上限値を超える場合における、第1処理例を説明するための図である。図6は、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の下限値を超える場合における、第1処理例を説明するための図である。
以下、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲を超える場合のすべての具体例において、SOC範囲が10%〜90%、SOCの適正値が60%とする。また、サービス提供期間の開始時刻において、蓄電池10のSOCが適正値の60%であるとする。
図5において、制御装置20は系統運用装置200から、充電指示、放電指示、充電指示、充電指示、放電指示、充電指示、充電指示の順番で指示を受けて、つぎの指示を受ける時刻t7時点について考える。なお、充電指示にもとづく充電の速度と放電指示にもとづく放電の速度を比較すると後者のほうが速いため、充電を示す上向き矢印線より放電を示す下向き矢印線のほうを長く描いている。また、一回の指示にもとづくSOCの実際の変動量は図5に示す変動量より小さいが、図を分かりやすくするため、矢印線を長くしている。
時刻t7時点において、充電指示を受けて充電を実施するとSOC範囲の上限値(90%)を超えてしまう。そこで、充放電制御部25は時刻t7時点において充電指示を受けた場合、その充電指示を無視する。なお、以下の図面において×印は指示を無視することを示しており、○印は指示を有効なものとして扱うことを示している。時刻t7時点において、放電指示を受けた場合、充放電制御部25は放電を実施する。時刻t7時点において充電指示を受けてその充電指示を無視した後、時刻t8時点において、再度、充電指示を受けた場合も、充放電制御部25はその充電指示を無視する。放電指示を受けた場合は、充放電制御部25は放電を実施する。
図6において、制御装置20は系統運用装置200から、放電指示、放電指示、充電指示、放電指示、充電指示、充電指示、放電指示、放電指示の順番で指示を受けて、つぎの指示を受ける時刻t8時点について考える。時刻t8時点において、放電指示を受けて放電を実施するとSOC範囲の下限値(10%)を超えてしまう。そこで、充放電制御部25は時刻t8時点において放電指示を受けた場合、その放電指示を無視する。充電指示を受けた場合、充電を実施する。時刻t8時点において放電指示を受けてその放電指示を無視した後、時刻t9時点において、再度、放電指示を受けた場合も、充放電制御部25はその放電指示を無視する。充電指示を受けた場合は、充放電制御部25は充電を実施する。
図7は、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲を超える場合における、第1処理例を説明するためのフローチャートである。なお、図7のフローチャートを簡略化するため、適正値決定部24によるSOCの決定および設定処理については省略している。また、充電指示も放電指示もされない周期は無視して考える。
サービス提供期間が開始すると、充放電システム100は周波数制御サービスの提供を開始する(S40)。充放電制御部25はサービス提供期間が終了したか否か判定する(S41)。終了した場合(S41のY)、周波数制御サービスの提供を終了する。終了していない場合(S41のN)、ステップS42に遷移する。
SOC監視部23は、蓄電池10のSOCを取得する(S42)。充放電指示受付部21は、系統運用装置200から充電指示または放電指示を受信する(S43)。受信した指示が充電指示の場合(S44のY)、充放電制御部25は、その充電指示に基づき充電した場合に、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上限値を超えるか否か判定する(S50)。超える場合(S50のY)、その充電指示を無視する(S52)。超えない場合(S50のN)、その充電指示に基づく充電制御を実施する(S51)。その後、いずれの場合もこの周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
ステップS44にて、受信した指示が放電指示の場合(S44のN)、充放電制御部25は、その放電指示に基づき放電した場合に、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の下限値を超えるか否か判定する(S60)。超える場合(S60のY)、その放電指示を無視する(S62)。超えない場合(S60のN)、その放電指示に基づく放電制御を実施する(S61)。その後、いずれの場合もこの周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
つぎに、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲を超える場合の第2処理例について説明する。第2処理例では、充放電制御部25は、蓄電池10のSOCがSOC範囲の上限値を超える充電指示を受けると、蓄電池10のSOCが適正値に戻るまで充電指示を無視する。同様に、蓄電池10のSOCがSOC範囲の下限値を超える放電指示を受けると蓄電池10のSOCが適正値に戻るまで放電指示を無視する。蓄電池10のSOCが適正値に戻ると、この制限は解除され、充放電制御部25は、充電指示および放電指示のいずれも有効なものとして取り扱う。
図8は、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上限値を超える場合における、第2処理例を説明するための図である。図8において、制御装置20は系統運用装置200から、充電指示、放電指示、充電指示、充電指示、放電指示、充電指示、充電指示の順番で指示を受けて、つぎの指示を受ける時刻t7時点について考える。
時刻t7時点において、充電指示を受けて充電を実施するとSOC範囲の上限値(90%)を超えてしまう。そこで、充放電制御部25は時刻t7時点において充電指示を受けた場合、その充電指示を無視する。放電指示を受けた場合、放電を実施する。時刻t7時点において放電指示を受けて放電を実施した後、つぎの指示を受ける時刻t8時点について考える。
第2処理例では、蓄電池10のSOCがSOC範囲の上限値を超える充電指示を受けると、蓄電池10のSOCが適正値に戻るまで充電指示を無視する。放電指示を受けた場合は、放電を実施する。時刻t8時点では、蓄電池10のSOCがSOC範囲の上限値を超える充電指示を受けた後、蓄電池10のSOCが適正値に復帰していないため、充放電制御部25は、充電指示を受けた場合、その充電指示を無視する。
図9は、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲を超える場合における、第2処理例を説明するためのフローチャートである。
まず、充放電制御部25は初期値設定として、上限フラグおよび下限フラグのそれぞれに「0」を設定する(S39)。なお、上限フラグの「0」は充電可能を示し、上限フラグの「1」は充電不可を示し、下限フラグの「0」は放電可能を示し、下限フラグの「1」は放電不可を示す。サービス提供期間が開始すると、充放電システム100は周波数制御サービスの提供を開始する(S40)。充放電制御部25はサービス提供期間が終了したか否か判定する(S41)。終了した場合(S41のY)、周波数制御サービスの提供を終了する。終了していない場合(S41のN)、ステップS42に遷移する。
SOC監視部23は、蓄電池10のSOCを取得する(S42)。充放電指示受付部21は、系統運用装置200から充電指示または放電指示を受信する(S43)。受信した指示が充電指示の場合(S44のY)、充放電制御部25は、上限フラグが「1」であるか否か判定する(S50)。上限フラグが「1」の場合(S50のY)、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。上限フラグが「0」の場合(S50のN)、ステップS51に遷移する。
充放電制御部25は、上述の充電指示に基づき充電した場合に、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上限値を超えるか否か判定する(S51)。超えない場合(S51のN)、その充電指示に基づく充電制御を実施する(S52)。充放電制御部25は、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOCの適正値に復帰したか否かを判定する(S55)。復帰していない場合(S55のN)、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。復帰した場合(S55のY)、充放電制御部25は下限フラグに「0」を設定する(S57)。蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の下限値を超えて下限フラグに「1」が設定された場合でも、充電されることによりSOCが適正値に復帰すると、蓄電池10が充電可能な状態に復帰する。その後、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
ステップS51にて、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上限値を超える場合(S51のY)、充放電制御部25は上限フラグに「1」を設定し(S53)、その充電指示を無視する(S54)。その後、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
ステップS44にて、受信した指示が放電指示の場合(S44のN)、充放電制御部25は、下限フラグが「1」であるか否か判定する(S60)。下限フラグが「1」の場合(S60のY)、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。下限フラグが「0」の場合(S60のN)、ステップS61に遷移する。
充放電制御部25は、上述の放電指示に基づき放電した場合に、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の下限値を超えるか否か判定する(S61)。超えない場合(S61のN)、その放電指示に基づく放電制御を実施する(S62)。充放電制御部25は、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOCの適正値に復帰したか否かを判定する(S65)。復帰していない場合(S65のN)、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。復帰した場合(S65のY)、充放電制御部25は上限フラグに「0」を設定する(S67)。蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上限値を超えて上限フラグに「1」が設定された場合でも、放電されることによりSOCが適正値に復帰すると、蓄電池10が放電可能な状態に復帰する。その後、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
ステップS61にて、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の下限値を超える場合(S61のY)、充放電制御部25は下限フラグに「1」を設定し(S63)、その放電指示を無視する(S64)。その後、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
つぎに、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲を超える場合の第3処理例について説明する。第3処理例では、充放電制御部25は、蓄電池10のSOCがSOC範囲の上限値を超える充電指示を受けると、蓄電池10のSOCがSOC範囲の上側保護レンジの内側に戻るまで充電指示を無視する。同様に、蓄電池10のSOCがSOC範囲の下限値を超える放電指示を受けると、蓄電池10のSOCがSOC範囲の下側保護レンジの内側に戻るまで放電指示を無視する。蓄電池10のSOCが保護レンジの内側に戻ると、この制限は解除され、充放電制御部25は、充電指示および放電指示のいずれも有効なものとして取り扱う。
図10は、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の下限値を超える場合における、第3処理例を説明するための図である。図10ではSOCの上側保護レンジは75%〜90%、下側保護レンジは10%〜25%にそれぞれ設定される例を描いている。
図10において、制御装置20は系統運用装置200から、放電指示、放電指示、充電指示、充電指示、充電指示、放電指示、放電指示、放電指示、充電指示、充電指示の順番で指示を受けて、つぎの指示を受ける時刻t8時点について考える。時刻t8時点において、放電指示を受けて放電を実施するとSOC範囲の下限値(10%)を超えてしまう。そこで、充放電制御部25は時刻t8時点において放電指示を受けた場合、その放電指示を無視する。充電指示を受けた場合、充電を実施する。時刻t8時点において充電指示を受けて充電を実施した後、つぎの指示を受ける時刻t9時点について考える。
時刻t9時点において、蓄電池10のSOCが下側保護レンジの内側に戻っていない。したがって、充放電制御部25は時刻t9時点において放電指示を受けた場合、その放電指示を無視する。充電指示を受けた場合、充電を実施する。時刻t9時点において充電指示を受けて充電を実施した後、つぎの指示を受ける時刻t10時点について考える。時刻t10時点においては、蓄電池10のSOCが下側保護レンジの内側に戻っている。したがって、充放電制御部25は時刻t10時点において放電指示を受けた場合、放電を実施する。充電指示を受けた場合も、充電を実施する。
図11は、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲を超える場合における、第3処理例を説明するためのフローチャートである。図11のフローチャートは、図9のフローチャートのステップS55およびステップS65が、ステップS56およびステップS66にそれぞれ置き換えられた構成である。
ステップS56にて、充放電制御部25は、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上側保護レンジの内側に復帰したか否かを判定する(S56)。復帰していない場合(S56のN)、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。復帰した場合(S56のY)、充放電制御部25は下限フラグに「0」を設定する(S57)。その後、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
ステップS66にて、充放電制御部25は、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の下側保護レンジに復帰したか否かを判定する(S66)。復帰していない場合(S66のN)、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。復帰した場合(S66のY)、充放電制御部25は上限フラグに「0」を設定する(S67)。その後、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。その他の処理は、図9のフローチャートと同様である。
つぎに、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲を超える場合の第4処理例について説明する。第4処理例では、充放電制御部25は、蓄電池10のSOCがSOC範囲の上限値を超える充電指示を受けると、その充電指示を無視するとともに、その放電指示を無視している間、SOC調整のための放電を実施する。この放電は、電力系統50以外(たとえば、抵抗R1)に行われる。
充放電制御部25は、蓄電池10のSOCがSOC範囲の下限値を超える放電指示を受けると、その放電指示を無視している間、SOC調整のための充電を実施してもよい。なお、電力系統50からの充電経路しかない場合、電力系統50への影響を考慮して、SOC調整のための充電を実施しなくてもよい。一方、発電機からの充電が可能な場合、発電機から充電するとよい。
図12は、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上限値を超える場合における、第4処理例を説明するための図である。図12において、制御装置20は系統運用装置200から、充電指示、放電指示、充電指示、充電指示、放電指示、充電指示、充電指示の順番で指示を受けて、つぎの指示を受ける時刻t7時点について考える。
時刻t7時点において、充電指示を受けて充電を実施するとSOC範囲の上限値(90%)を超えてしまう。そこで、充放電制御部25は時刻t7時点において充電指示を受けた場合、その充電指示を無視する。放電指示を受けた場合、放電を実施する。時刻t7時点において充電指示を受けてその充電指示を無視している間、充放電制御部25は電力系統50以外への放電を実施する。つぎの指示を受ける時刻t8時点では、この電力系統50以外への放電により蓄電池10のSOCが時刻t7時点より低下している。充放電制御部25は時刻t8時点において充電指示を受けた場合、充電を実施する。放電指示を受けた場合も、放電を実施する。
図13は、周波数制御サービスのサービス提供期間内において、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲を超える場合における、第4処理例を説明するためのフローチャートである。図13のフローチャートは、図7のフローチャートにステップS58およびステップS68を追加した構成である。
充放電制御部25は、系統運用装置200から受信した充電指示に基づき充電した場合に、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の上限値を超えるか否か判定する(S50)。超える場合(S50のY)、充放電制御部25は、その充電指示を無視するとともに(S52)、SOC調整のための放電制御を実施する(S58)。その後、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
充放電制御部25は、系統運用装置200から受信した放電指示に基づき放電した場合に、蓄電池10のSOCが蓄電池10のSOC範囲の下限値を超えるか否か判定する(S60)。超える場合(S60のY)、充放電制御部25は、その放電指示を無視するとともに(S62)、SOC調整のための充電制御を実施する(S68)。その後、この周期の処理を終了し、ステップS41に遷移し、つぎの周期の処理に移る。
以上説明したように本実施の形態によれば、蓄電池を用いた周波数制御サービスにおいて、系統周波数制御を実施していない期間に、蓄電池10のSOCを適正値にできるだけ近づけることにより、蓄電池10を保護しつつ、周波数制御機能の低下を抑制できる。すなわち、周波数制御サービスの提供期間中、蓄電池10をSOC範囲で制御しつつ、系統運用機関からの指示を無視する回数をできるだけ低減できる。また、上述の引用文献1の手法と異なり、充放電システム100側で電力系統50の周波数などを監視する必要もない。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
たとえば、上述の第4処理例は第1処理例に、SOC調整用の充放電制御を組み合わせた処理である。第2処理例または第3処理例に、SOC調整用の充放電制御を組み合わせてもよい。いずれの場合も、充電指示または放電指示を無視している期間に、SOC調整用の放電制御または充電制御を実施する。
また、制御装置20の充放電指示受付部21、適正値決定部24および充放電制御部25の一部の機能を、コンソール端末装置70または通信ネットワーク60上の別の装置で担ってもよい。設計者は各種機能を、制御装置20、コンソール端末装置70、および別の装置に適宜、振り分けることができる。
また、上述の実施の形態では、蓄電池10を電力系統50の周波数制御用電源として、有償で系統運用機関に提供する例を挙げたが、これに限るものではない。電力系統50と充放電システム100とを同じ電力会社が運営管理してもよい。この場合、当該電力会社は周波数制御サービスを無償で実施してもよいし、当該電力会社以外で発電所30を所有する発電事業者から対価を得てもよい。
100 充放電システム、 200 系統運用装置、 500 電力供給システム、 10 蓄電池、 11 スイッチ回路、 12 双方向AC−DCコンバータ、 R1 抵抗、 20 制御装置、 21 充放電指示受付部、 22 操作指示受付部、 23 SOC監視部、 24 適正値決定部、 25 充放電制御部、 30 発電所、 40 需要者、 50 電力系統、 60 通信ネットワーク、 70 コンソール端末装置

Claims (6)

  1. 電力系統から充電および前記電力系統に放電することが可能な蓄電池と、
    前記蓄電池の充放電を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記電力系統の運用主体からの指示に応じて前記電力系統と前記蓄電池との間で充放電すべき期間内において、前記電力のやりとりをする必要がない間、前記蓄電池のSOC(State Of Charge)が所定の適正値に近づくよう前記蓄電池を充電または放電することを特徴とする充放電システム。
  2. 前記制御装置は、前記期間において、前記運用主体から充電指示または放電指示を受け付け、その指示にしたがい前記電力系統から前記蓄電池に充電または前記蓄電池から前記電力系統へ放電し、前記蓄電池のSOCが当該蓄電池のSOC範囲の上限値を超える充電指示を受け付けた場合、その充電指示を無視し、前記蓄電池のSOCが前記SOC範囲の下限値を超える放電指示を受け付けた場合、その放電指示を無視することを特徴とする請求項1に記載の充放電システム。
  3. 前記制御装置は、前記蓄電池のSOCが前記SOC範囲の上限値を超える充電指示を受け付けた場合、前記蓄電池のSOCが前記適正値に戻るまで前記充電指示を無視し、前記蓄電池のSOCが前記SOC範囲の下限値を超える放電指示を受けつけた場合、前記蓄電池のSOCが前記適正値に戻るまで前記放電指示を無視することを特徴とする請求項2に記載の充放電システム。
  4. 前記制御装置は、前記蓄電池のSOCが前記SOC範囲の上限値を超える充電指示を受け付けた場合、前記蓄電池のSOCが前記SOC範囲の上側保護レンジの内側に戻るまで前記充電指示を無視し、前記蓄電池のSOCが前記SOC範囲の下限値を超える放電指示を受け付けた場合、前記蓄電池のSOCが前記SOC範囲の下側保護レンジの内側に戻るまで前記放電指示を無視することを特徴とする請求項2に記載の充放電システム。
  5. 前記制御装置は、前記蓄電池のSOCが前記SOC範囲の上限値を超える充電指示を受け付けた場合、前記充電指示を無視している間、前記電力系統以外へ放電することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の充放電システム。
  6. 前記期間は、前記蓄電池を前記電力系統の周波数制御用電源として、有償または無償で前記運用主体に提供する期間であり、
    前記制御装置は、前記期間内において、前記運用主体から充電指示または放電指示を受け付け、その指示にしたがい前記電力系統から前記蓄電池に充電または前記蓄電池から前記電力系統へ放電した後、前記運用主体からつぎの充電指示または放電指示を受け付けるまで、前記蓄電池のSOCが前記適正値に近づくよう前記周波数制御と無関係に、前記蓄電池を充電または放電することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の充放電システム。
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