JP2014232650A - 固体高分子形燃料電池 - Google Patents

固体高分子形燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2014232650A
JP2014232650A JP2013113133A JP2013113133A JP2014232650A JP 2014232650 A JP2014232650 A JP 2014232650A JP 2013113133 A JP2013113133 A JP 2013113133A JP 2013113133 A JP2013113133 A JP 2013113133A JP 2014232650 A JP2014232650 A JP 2014232650A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
fuel cell
electrolyte
region
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013113133A
Other languages
English (en)
Inventor
小島 俊之
Toshiyuki Kojima
俊之 小島
森 正裕
Masahiro Mori
正裕 森
真也 菊住
Shinya Kikuzumi
真也 菊住
信治 吉野
Shinji Yoshino
信治 吉野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2013113133A priority Critical patent/JP2014232650A/ja
Publication of JP2014232650A publication Critical patent/JP2014232650A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】発電性能を向上させることができる固体高分子形燃料電池を提供する。【解決手段】不織布で構成される補強膜(5)を有する電解質膜(1)と、互いに隣接する流路(6)同士を仕切るリブ部(7)を有するカソード側のセパレータ(4b)とを備え、補強膜(5)は単位面積当たりの質量が大きい領域と当該質量が小さい領域とを備え、質量が小さい領域(5a,5c,9)はリブ部(7)に対応する位置に設ける。【選択図】図3B

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池(以下、燃料電池という)に関し、特に、当該燃料電池が備える電解質膜に関する。
燃料電池は、一般に、発電反応を起こす電解質膜の両面に電極層を接合し、それらを一対のセパレータで挟んだものを一つのモジュールとし、当該モジュールを必要な個数積み上げて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
近年、燃料電池用の電解質膜として、プロトン伝導性イオン交換膜が用いられている。特に、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(以下、スルホン酸型パーフルオロカーボン重合体という)で構成される陽イオン交換膜は、基本特性に優れるため、電解質膜としての使用が広く検討されている。
前記陽イオン交換膜の電気抵抗を低減する方法として、スルホン酸基の濃度を増加させることが知られている。しかしながら、スルホン酸基の濃度を増加させると、電解質膜の機械的強度が低下するなどの問題が生じる。
そこで、電解質膜の機械的強度を向上させる方法として、ポリビニリデンフルオライド重合体の繊維で構成される不織布を補強材として電解質膜の内部に設けることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−156411号公報 特開2009−245639号公報
しかしながら、このような従来の構成では、次のような問題がある。図17A及び図17Bは、従来の燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図である。
図17Aに示すように、従来の燃料電池は、電解質膜101上に、触媒層102、ガス拡散層103、セパレータ104を順に配置した構造を有している。電解質膜101は、その内部に、不織布で構成される補強膜105を有している。触媒層102とガス拡散層103とは、カソード電極側の電極層を構成する。セパレータ104は、ガスが流れる流路106と、リブ部107とを備えている。リブ部107は、互いに隣接する流路106,106を仕切る役割と、電流を流す役割とを果たす。
前記構造を有する従来の燃料電池において、カソード電極側では、発電により生成水108が触媒層102とガス拡散層103との界面付近に発生する。図17Bに示すように、流路106の下方で発生する生成水8は、流路106を介して排出されやすい。一方、リブ部107の下方で発生する生成水8は、流路106が直上にないため排出され難く、溜まりやすい。この溜まった水は、ガス拡散性を阻害し、燃料電池の発電特性を悪化させる要因となる。
本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、セパレータのリブ部の下方に生成水が溜まることを抑えて、発電性能を向上させることができる固体高分子形燃料電池を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の固体高分子形燃料電池は、
不織布で構成される補強膜を有する電解質膜と、
互いに隣接する流路同士を仕切るリブ部を有するカソード側のセパレータと、
を備え、
前記補強膜は、単位面積当たりの質量が大きい領域と、当該質量が小さい領域とを備え、
前記質量が小さい領域は、前記リブ部に対応する位置に設けられている。
本発明の固体高分子形燃料電池によれば、セパレータのリブ部の下方に生成水が溜まることを抑えて、発電性能を向上させることができる。
本発明の第1実施形態にかかる燃料電池用スタックを備える燃料電池の概略構成を示す模式構成図である。 図1に示す燃料電池が備える燃料電池用スタックの模式分解図である。 図1に示す燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図である。 図1に示す燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図であって、発電により発生した生成水が移動する様子を示す図である。 セパレータの流路と補強膜の孔との位置関係の一例を模式的に示す平面図である。 セパレータの流路と補強膜の孔との位置関係の他の例を模式的に示す平面図である。 セパレータの流路と補強膜の孔との位置関係の更に他の例を模式的に示す平面図である。 補強膜の孔とセパレータのリブ部との位置合わせ方法を示す平面図であって、孔を開けた補強膜を示す図である。 補強膜の孔とセパレータのリブ部との位置合わせ方法を示す平面図であって、孔を開けた補強膜の上に電解質溶液を塗布した状態を示す図である。 補強膜の孔とセパレータのリブ部との位置合わせ方法を示す断面図であって、孔を開けた補強膜の上に電解質溶液を塗布した状態を示す図である。 補強膜の孔とセパレータのリブ部との位置合わせ方法を示す平面図であって、電解質膜をセパレータ上に配置した状態を示す図である。 補強膜に孔が開いた電解質膜の製造方法の一例を示す説明図である。 補強膜に孔が開いた電解質膜の製造方法の一例を示す説明図である。 補強膜に孔が開いた電解質膜の製造方法の一例を示す説明図である。 補強膜にレーザで孔を形成した状態を示す図である。 補強膜に孔が開いた電解質膜の製造方法の他の例を示す図である。 補強膜に孔が開いた電解質膜の製造方法の他の例を示す図である。 補強膜に孔が開いた電解質膜の製造方法の他の例を示す図である。 孔内の電解質材料と補強膜内の電解質材料の種類を異ならせた電解質膜を模式的に示す説明図である。 孔内の電解質材料と補強膜内の電解質材料とアノード電極側の電解質材料の種類をそれぞれ異ならせた電解質膜を模式的に示す説明図である。 孔内の電解質材料と補強膜内の電解質材料とアノード電極側の電解質材料とカソード電極側の電解質材料の種類をそれぞれ異ならせた電解質膜を模式的に示す説明図である。 補強膜に孔が開いた電解質膜の製造方法の更に他の例を示す図である。 補強膜に孔が開いた電解質膜の製造方法の更に他の例を示す図である。 補強膜に孔が開いた電解質膜の製造方法の更に他の例を示す図である。 本発明の第2実施形態にかかる燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図である。 厚さが異なる補強膜を有する電解質膜の製造方法の一例を示す図である。 厚さが異なる補強膜を有する電解質膜の製造方法の一例を示す図である。 厚さが異なる補強膜を有する電解質膜の製造方法の一例を示す図である。 厚さが異なる補強膜を有する電解質膜の製造方法の一例を示す図である。 本発明の第3実施形態にかかる燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図である。 繊維径が異なる補強膜を有する電解質膜の製造方法の一例を示す図である。 繊維径が異なる補強膜を有する電解質膜の製造方法の一例を示す図である。 繊維径が異なる補強膜を有する電解質膜の製造方法の一例を示す図である。 繊維径が異なる補強膜を有する電解質膜の製造方法の一例を示す図である。 従来の燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図である。 従来の燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図であって、発電により発生した生成水が移動する様子を示す図である。 比較例にかかる補強膜の孔とセパレータのリブ部との位置合わせ方法を示す平面図であって、複数の孔を開けた補強膜を示す図である。 比較例にかかる補強膜の孔とセパレータのリブ部との位置合わせ方法を示す平面図であって、孔を開けた補強膜の上に電解質溶液を塗布した状態を示す図である。 比較例にかかる補強膜の孔とセパレータのリブ部との位置合わせ方法を示す断面図であって、孔を開けた補強膜の上に電解質溶液を塗布した状態を示す図である。 比較例にかかる補強膜の孔とセパレータのリブ部との位置合わせ方法を示す平面図であって、電解質膜をセパレータ上に配置した状態を示す図である。
本発明の第1態様によれば、不織布で構成される補強膜を有する電解質膜と、
互いに隣接する流路同士を仕切るリブ部を有するカソード側のセパレータと、
を備え、
前記補強膜は、単位面積当たりの質量が大きい領域と、当該質量が小さい領域とを備え、
前記質量が小さい領域は、前記リブ部に対応する位置に設けられている、固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明の第2態様によれば、前記質量が小さい領域は、前記質量が大きい領域に比べて前記補強膜の厚さが薄い、第1態様に記載の固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明の第3態様によれば、前記質量が小さい領域は、前記質量が大きい領域に比べて前記補強膜を構成する繊維の直径が小さい、第1態様に記載の固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明の第4態様によれば、前記質量が小さい領域は、前記補強膜に形成された孔により構成されている、第1態様に記載の固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明の第5態様によれば、前記孔の直径は、前記リブ部の幅以下である、第4態様に記載の固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明の第6態様によれば、前記孔のピッチは、前記リブ部のピッチに対応している、第4又は5態様に記載の固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明の第7態様によれば、前記流路のガス出口近辺の領域に形成されている孔の数は、前記流路のガス入口近辺の領域に形成されている孔の数よりも多い、第4〜6態様のいずれか1つに記載の固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明の第8態様によれば、前記流路のガス出口近辺の領域に形成されている孔の直径は、前記流路のガス入口近辺の領域に形成されている孔の直径よりも大きい、第4〜7態様のいずれか1つに記載の固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明の第9態様によれば、前記孔内の電解質材料に含まれる水分率は、前記補強膜内の電解質材料に含まれる水分率に比べて大きい、第4〜8態様のいずれか1つに記載の固体高分子形燃料電池を提供する。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態にかかる燃料電池用スタックを備える燃料電池の概略構成について説明する。図1は、当該燃料電池の概略構成を示す模式構成図である。また、図2は、図1に示す燃料電池が備える燃料電池用スタック(以下、スタックという)の模式分解図である。
燃料電池10は、例えば、固体高分子電解質形燃料電池(PEFC)であって、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力、熱、及び水を同時に発生させるものである。
図1に示すように、燃料電池10には、アノード及びカソードの一対の電極を備える燃料電池セル(あるいは単セル)が複数個直列に接続された積層構造を有するスタック30と、燃料ガスから水素を取り出す燃料処理器31と、燃料処理器31にて取り出された水素を含む燃料ガスを加湿することで発電効率を向上させるアノード加湿器32と、酸素含有ガス(酸化剤ガス)に対して加湿を行うカソード加湿器33と、燃料ガスと酸素含有ガスとをそれぞれ供給するためのポンプ34,35とが備えられている。すなわち、燃料処理器31、アノード加湿器32、及びポンプ35により、燃料ガスをスタック30の各セルに供給する燃料供給装置が構成されている。また、カソード加湿器33とポンプ35とにより酸化剤ガスをスタック30の各セルに供給する酸化剤供給装置が構成されている。なお、このような燃料供給装置や酸化剤供給装置は、燃料や酸化剤の供給を行う機能を備えていればその他様々な形態を採用し得る。本第1実施形態においては、スタック30が備える複数のセルに対して、共通して燃料や酸化剤を供給する供給装置であれば、後述する本第1実施形態の効果を好適に得ることができる。
また、燃料電池10には、発電の際にスタック30にて発生される熱を効率的に除去するための冷却水を循環供給するためのポンプ36と、この冷却水(例えば、導電性を有さない液体、例えば純水が用いられる。)により除去された熱を、水道水等の流体に熱交換するための熱交換器37と、熱交換された水道水を貯留させる貯湯タンク38とが備えられている。さらに、燃料電池10には、このようなそれぞれの構成部を互いに関連付けて発電のための運転制御を行う運転制御装置40と、スタック30にて発電された電気を取り出す電気出力部41とが備えられている。
また、図2に示すように、この燃料電池10が備えるスタック30は、基本単位構成である単セル(単電池モジュール)20を複数個積層し、集電板21、絶縁板22、端板23で両側から所定の荷重で締結して構成されている。それぞれの集電板21には、電流取り出し端子部21aが設けられており、発電時にここから電流、すなわち電気が取り出される。それぞれの絶縁板22には、図示しないガスや冷却水の導入口、排水口が設けられている場合もある。それぞれの端板23は、複数個積層された単セル20と、集電板21と、絶縁板22とを、図示しない加圧手段によって所定の荷重で締結して保持する。
図2に示すように、単セル20は、膜電極接合体(以下、MEAという)11が枠体により保持された電極−膜−枠接合体(以下、MEA−枠接合体という)12を、一対のセパレータ4a,4bで挟み込むようにして構成されている。
MEA11は、水素イオンを選択的に輸送する電解質膜1のアノード面側に、白金−ルテニウム合金触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層(アノード側触媒層)2aを形成し、カソード面側には、白金触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層(カソード側触媒層)2bを形成し、これらの触媒層2a,2bの外面に、燃料ガスあるいは酸化剤ガスの通気性と、電子伝導性を併せ持つガス拡散層3a,3bを配置して構成されたものである。なお、触媒層2aとガス拡散層3aとは、アノード電極側の電極層を構成し、触媒層2bとガス拡散層3bとは、カソード電極側の電極層を構成する。
セパレータ4a,4bは、ガス不透過性の導電性材料にて形成されていれば良く、例えば樹脂含浸カーボン材料を所定の形状に切削したものや、カーボン粉末と樹脂材料の混合物を成形したものなどが一般的に用いられる。セパレータ4a,4bにおけるMEA12と接触する部分には凹状の溝部が形成されている。セパレータ4aの溝部がガス拡散層3aと接することで、アノード電極の電極面に燃料ガスを供給し、余剰ガスを運び去るための燃料ガス流路が形成される。また、セパレータ4bの溝部がガス拡散層3bと接することで、カソード電極の電極面に酸化剤ガスを供給し、余剰ガスを運び去るための酸化剤ガス流路が形成される。ガス拡散層3a,3bは、その基材として一般的に炭素繊維で形成されたものが用いられる。このような基材としては、例えば炭素繊維織布が用いられる。
次に、本第1実施形態の燃料電池のカソード電極付近の構成についてより詳しく説明する。図3A及び図3Bは、本第1実施形態の燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図である。
図3Aに示すように、電解質膜1は、不織布で構成される補強膜5と、当該補強膜5の空隙に充填されたイオン交換樹脂(電解質膜材料)とを備えている。補強膜5を構成する不織布は、例えば、ポリビニリデンフルオライド重合体(以下、PVDFという)の繊維で構成される。
電解質膜1上には、触媒層2b、ガス拡散層3b、セパレータ4bが順に配置されている。セパレータ4bは、ガス及び排水が流れる流路6と、リブ部7とを備えている。リブ部7は、互いに隣接する流路6,6同士を仕切る役割と、電流を流す役割とを果たす。
図3Bに示すように、カソード電極側では、発電により生成水8が触媒層2bとガス拡散層3bとの界面付近に発生する。流路6の下方で発生する生成水8は、流路6を介して排出されやすい。一方、リブ部7の下方で発生する生成水8は、流路6が直上にないため排水され難く、溜まりやすい。
そこで、本第1実施形態では、補強膜5のリブ部7に対応する位置(例えば、鉛直下方の位置)に孔9を設けている。補強膜5の材料であるPVDFは疎水性である一方、補強膜5の孔9を含む空隙に充填されるイオン交換樹脂は親水性である。このため、電解質膜1において、孔9が形成されている部分は、補強膜5が存在する部分よりも含水しやすく、リブ部7の下方に溜まった生成水8は、電解質膜1側へ吸水(逆拡散)されやすくなる。これにより、リブ部7の下方に生成水8が溜まることを抑えて、燃料電池の発電特性を向上させることができる。
なお、孔9の幅は、リブ部7の下方の生成水8を吸水することが目的であることから、リブ部7の幅以下であればよい。例えば、孔9が円形状である場合、孔9の直径はリブ部7の幅以下であればよい。
次に、補強膜5に設ける孔9の形成パターンの一例について説明する。図4は、セパレータ4bの流路6と補強膜5の孔9との位置関係の一例を模式的に示す平面図である。図4では、流路6にハッチングを付している。流路6は、ガス入口51とガス出口52とに接続されている。また、孔9は点線の丸で示している。
ここでは、リブ部7がY方向に並行に設けられている領域をA1とし、リブ部7がターンしている領域をB1とする。また、領域A1におけるリブ部7のY方向のピッチをa1とし、領域B1におけるリブ部7のX方向のピッチをb1とする。
この場合、領域A1における孔9は、Y方向のピッチがa1となるように形成する。なお、領域A1における孔9のX方向のピッチは、生成水8を排出することが可能な距離であれば良いが、Y方向のピッチと同じa1であることが好ましい。この場合、補強膜5のX方向とY方向の寸法変化率が均等になり、応力を均等化することができる。また、領域B1における孔9は、Y方向のピッチがa1、X方向のピッチがb1となるように形成する。
以上のように孔9を形成することにより、図3Aに示すように、全ての孔9をセパレータ4bのリブ部7に対応する位置に設けることができる。
なお、流路6の幅は、例えば1mmである。リブ部7の幅は、例えば1mmである。領域A1におけるリブ部7のY方向のピッチa1は、例えば2mmである。領域B1におけるリブ部7のX方向のピッチb1は、例えば2mmである。孔9の直径は、例えば0.1mm〜1mmである。領域A1における孔9のY方向のピッチは、例えば2mmピッチである。領域A1における孔9のX方向のピッチは、例えば1.5mm〜4mmである。領域B1における孔9のX方向及びY方向のピッチは、例えば2mmである。
次に、補強膜5に設ける孔9の形成パターンの他の例について説明する。図5は、セパレータ4bの流路6と補強膜5の孔9との位置関係の他の例を模式的に示す平面図である。
燃料電池を稼動した場合、流路6のガス入口近辺の領域(以下、入口近辺領域という)A2で発電反応によって生じた生成水8は、ガス出口52側に移動して、流路6のガス出口近辺の領域(以下、出口近辺領域という)C2の電解質膜1をより一層湿潤させる。このため、1枚の電解質膜1の発電領域内において、入口近辺領域A2よりも出口近辺領域C2の方が、生成水8が排出されにくくなる。
そこで、図5に示す例では、入口近辺領域A2に比べて出口近辺領域C2に生成水8が溜まらないようにするため、入口近辺領域A2に比べて、出口近辺領域C2に設ける孔9の数を多くしている。
具体的には、例えば相対湿度55%のガスを用い、1枚の電解質膜1の発電領域を入口近辺領域A2、中央領域B2、出口近辺領域C2の3つの領域に等分した場合、電解質膜1の湿潤の度合いがA2:B2:C2≒85:100:115となるように孔9の数を変えている。これにより、リブ部7の下方に生成水8が溜まることをより一層抑えて、燃料電池の発電特性を向上させることができる。
次に、補強膜5に設ける孔9の形成パターンの更に他の例について説明する。図6は、セパレータ4bの流路6と補強膜5の孔9との位置関係の更に他の例を模式的に示す平面図である。
図6に示す例では、入口近辺領域A2に比べて出口近辺領域C2に生成水8が溜まらないようにするため、入口近辺領域A2に比べて出口近辺領域C2に設ける孔9の直径を大きくしている。
具体的には、例えば相対湿度55%のガスを用い、1枚の電解質膜1の発電領域を入口近辺領域A2、中央領域B2、出口近辺領域C2の3つの領域に等分した場合、電解質膜1の湿潤の度合いがA2:B2:C2≒85:100:115となるように孔9の直径を変えている。例えば、孔9の直径の比は、A2:B2:C2≒80:93:100としている。これにより、リブ部7の下方に生成水8が溜まることをより一層抑えて、燃料電池の発電特性を向上させることができる。
次に、電解質膜1、触媒層2b、ガス拡散層3b、及びセパレータ4bの構成等についてより詳細に述べる。
前述したように、電解質膜1は、不織布で構成される補強膜5と、当該補強膜5の空隙に充填されたイオン交換樹脂(電解質膜材料)とを備えている。補強膜5を構成する不織布は、例えば、PVDFの繊維で構成される。PVDF製の不織布は、例えば、エレクトロスピニング法により作製することができる。また、PVDF製の不織布は、ウェブ状に折り重なった形状を有している。
不織布に孔9を開ける前の単位面積当たりの質量が小さい場合、電解質膜1の膨潤による寸法変化を抑制することができない。このため、不織布に孔9を開ける前の単位面積当たりの質量は、0.1mg/cm以上であることが望ましい。また、不織布に孔9を開ける前の単位面積当たりの質量が大きい場合、電解質膜1のプロトンの伝搬を妨げ、燃料電池の発電特性を阻害してしまう。このため、不織布に孔9を開ける前の単位面積当たりの質量は、1.5mg/cm以下であることが望ましい。なお、不織布に孔9を開ける前の単位面積当たりの質量は、0.3mg/cm〜0.9mg/cmであることがより望ましい。
なお、電解質膜1の材料であるイオン交換樹脂(電解質溶液)を含浸する前の不織布の厚みは、3μm〜80μmの場合を想定している。不織布の平均繊維径は、100〜800nm程度の場合を想定している。不織布の空隙率は、70%〜90%程度の場合を想定している。
補強膜5としてPVDF製の不織布を内部に有する電解質膜1においては、PVDF製の不織布が存在しない空隙部に充填された電解質材料の部分を通じてプロトンが伝搬する。これにより、燃料電池は発電することができる。
燃料電池の運転時において、電解質膜1の温度は、65℃〜80℃程度まで上昇する。このため、不織布の材料として、その温度域においても十分な熱耐性を有し且つ化学的に安定した材料を用いることが好ましい。また、不織布の材料は、エレクトロスピニング法で不織布化が可能なものであることが好ましい。また、不織布の材料としては、PVDF以外にも、ポリビニルフルオライド重合体(以下、PVFという)、PVDFやPVFなどのポリマーを構成するモノマー単位を複数有する共重合体、これらのポリマーの混合物などを用いてもよい。
不織布の材料の分子量は、150,000〜550,000であることが望ましい。不織布の材料の分子量が低すぎると、機械的強度が低下する。一方、不織布の材料の分子量が高すぎると、溶解性が落ち、溶液化しにくくなる。
また、本第1実施形態では、PVDFをエレクトロスピニング法により不織布化するため、ジメチルアセトアミドを溶媒としてPVDFを溶解させて、溶液(以下、電解質溶液という)にするとよい。溶媒としては、ジメチルスルホキシドや、ジメチルホルムアミド、アセトンなどを用いてもよい。なお、極性を持つ溶媒を用いた場合、PVDFが溶融しやすい。
溶液の濃度は10%〜25%であることが望ましい。溶液の濃度が低いと、十分な繊維径を得ることができず、電解質膜1の膨潤収縮による寸法変化を抑制することができない。一方、溶液の濃度が高いと、エレクトロスピニング法による不織布化において、十分に静電爆発をさせることができず、繊維間が詰まってしまい、電解質膜1としての機能の一つであるプロトン伝導を阻害してしまう。
電解質膜1の厚みは、10μm〜40μmであることが望ましい。電解質膜1の厚みが薄いと、膜の耐久性が低下する。一方、電解質膜1の厚みが厚いと、抵抗過電圧が大きくなり、燃料電池の発電特性が悪化する。
電解質膜1は、水素イオン伝導性を有する高分子膜である。電解質膜1の材料は、水素イオンを選択的に移動させるものであれば特に限定されない。電解質膜の材料としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸からなるフッ素系高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)など)や各種炭化水素系電解質膜材料を使用できる。
触媒層2bは、酸素の酸化還元反応に対する触媒を含む層である。触媒層2bは、例えば、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末とプロトン導電性を有する高分子材料とを主成分とした多孔質部材で構成される。触媒層2bは、導電性を有し、且つ酸素の酸化還元反応に対する触媒能を有するものであれば特に限定されない。触媒層2bに用いるプロトン導電性の高分子材料は、前記電解質膜の材料と同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。
ガス拡散層3bは、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、フェルト、導電性粒子と高分子樹脂とを主成分とした多孔質部材で構成される。
セパレータ4bとしては、流路6が形成されているものを用いる。流路6の形状は、図4〜6に示すようなサーペンタイン形状であってもよいし、ストレート形状であってもよい。セパレータ4bの材料としては、カーボン系、金属系のどちらの材料を用いてもよい。カーボン系の材料を用いると軽量化が可能となり、金属系材料を用いると薄型化が可能となる。
次に、補強膜5の孔9とセパレータ4bのリブ部7との位置合わせ方法について説明する。
まず、孔9とリブ部7との位置合わせ方法の課題について説明する。
孔9とリブ部7との位置合わせは、孔9を形成した補強膜5(図18A参照)に電解質溶液を含浸させ、当該補強膜5を内部に含むように電解質膜1を形成(図18B及び図18C参照)し、当該電解質膜1をセパレータ4b上に配置(図18D参照)することにより行われる。
補強膜5に電解質溶液を含浸させると、光の散乱が起こらなくなるため、補強膜5は透明になり、孔9も見えなくなる。このため、電解質膜1をセパレータ4b上に配置するとき、リブ部7と孔9とが対応するように位置合わせできないことが起こり得る。
そこで、本第1実施形態では、図7Aに示すように、電解質膜形成エリアD1よりも外側の補強膜5の部分に位置合わせ用のマーカーとして、位置合わせ用孔53を形成している。この補強膜5の電解質膜形成エリアD1に電解質溶液を含浸させ、図7B及び図7Cに示すように、当該補強膜5を内部に有するように電解質膜1を形成する。このとき、位置合わせ用孔53は、電解質膜形成エリアD1よりも外側にあるので、認識できる状態にある。
その後、図7Dに示すように、位置合わせ用孔53を目印として、リブ部7と孔9とが対応するように補強膜5とセパレータ4bとを位置合わせし、電解質膜1をセパレータ4b上に配置する。
前記位置合わせ方法によれば、孔9とリブ部7との位置合わせを簡単に行うことができる。
次に、補強膜5に孔9が開いた電解質膜1の製造方法の一例について説明する。図8A〜図8Cは、補強膜5に孔9が開いた電解質膜1の製造方法の一例を示す図である。
まず、図8Aに示すように、不織布で構成される補強膜5を用意する。
次いで、図8Bに示すように、補強膜5に孔9を形成する。
次いで、図8Cに示すように、補強膜5に電解質溶液を含浸させる。
これにより、補強膜5に孔9が開いた電解質膜1が製造される。
孔9の形成方法としては、例えば、金属製のニードルで突き刺す方法や、パンチで打ち抜く方法がある。また、孔9は、UVレーザやCOレーザ等のレーザを用いて形成されてもよい。レーザで孔9を形成した場合、図9に示すように、不織布の側面9Aを同時に溶融固着することで、補強膜5の強度を補強できる利点がある。また、孔9の形状が台形になるので、開口が大きい方を生成水が発生するカソード側に位置させることで、吸水効果を向上させることができる。
ニードル又はレーザを用いる場合、例えば、セパレータ4bのリブ部7の形状に応じて決定した孔パターンを加工機に予めプログラミングし、当該孔パターンにしたがってニードル又はレーザを移動させて孔9を形成すればよい。また、複数個のニードルを用いる場合、例えば、前記孔パターンに複数個のニードルを並べ、複数個のニードルを一括又はブロック毎に分割して移動させて孔9を形成すればよい。
次に、補強膜5に孔9が開いた電解質膜1の製造方法の他の例について説明する。図10A〜図10Cは、補強膜5に孔9が開いた電解質膜1の製造方法の他の例を示す図である。
まず、図10Aに示すように、補強膜5を内部に有する電解質膜1Aを用意する。
次いで、図10Bに示すように、電解質膜1Aに孔9を形成する。なお、孔9は、前述した方法により形成することができる。
次いで、図10Cに示すように、電解質膜1Bに電解質溶液を塗布して、孔9に電解質溶液を充填する。
これにより、電解質膜1が形成される。
この製造方法によれば、孔9内の電解質材料61の特性を任意に選択することができる。そのため、図11Aに示すように、電解質材料61に含まれる水分率を電解質材料62に含まれる水分率よりも高くすることで、リブ部7の下方の水をより吸水しやすくすることができる。
また、図11Bに示すように、孔9内の電解質材料61と、補強膜5内の電解質材料62と、アノード電極側の電解質材料63の特性をそれぞれ異ならせることもできる。例えば、電解質材料61に含まれる水分率を電解質材料62,63に含まれる水分率よりも高くすることで、リブ部7の下方の水をより吸水しやすくすることができる。
更に、図11Cに示すように、孔9内の電解質材料61と、補強膜5内の電解質材料62と、アノード電極側の電解質材料63と、カソード電極側の電解質材料64の特性をそれぞれ異ならせることもできる。例えば、電解質材料61,64に含まれる水分率を電解質材料62,63に含まれる水分率よりも高くすることで、リブ部7の下方の水を吸水しやすくすることができる。
次に、補強膜5に孔9が開いた電解質膜1の製造方法の更に他の例について説明する。図12A〜図12Cは、補強膜5に孔9が開いた電解質膜1の製造方法の更に他の例を示す図である。
まず、図12Aに示すように、補強膜5を内部に有する電解質膜1Bを用意する。
次いで、図12Bに示すように、電解質膜1Bに孔9を形成する。なお、孔9は、前述した方法により形成することができる。
次いで、図12Cに示すように、孔9に電解質溶液65を充填する。
これにより、電解質膜1が形成される。
この製造方法によれば、図12Cに示すように、孔9内の電解質材料65と、補強膜5内の電解質材料66の特性を異ならせることができる。この場合、例えば、電解質材料65に含まれる水分率を電解質材料66に含まれる水分率よりも高くすることで、リブ部7の下方の水をより吸水しやすくすることができる。
次に、補強膜5を構成する不織布の製造方法の一例についてより詳細に説明する。
本第1実施形態において、不織布は、PVDFをエレクトロスピニング法により不織布化することにより製造される。この際、PVDF溶液は、例えば、シリンジに入れられる。シリンジの先端部には、PVDF溶液を吐出するためのノズルが取り付けられる。ノズルとしては、例えば、ニードル状のノズルを用いることができる。
ノズルの内径は、φ0.18mm〜φ0.42mmであることが望ましい。ノズルの内径が小さいと、吐出量が少なくなるため、生産性が低くなる。一方、ノズルの内径を大きくすると、吐出量が多くなり、十分な静電爆発を起こすことができず、繊維化しない。
前記ノズルとしては、エアパルス方式のディスペンサーを用いることが望ましい。また、送液圧力は、10kPa〜50kPaであることが望ましい。送液圧力が低いと、十分なPVDF溶液が吐出されず、生産性が低くなる。一方、送液圧力が大きいと、吐出量が多くなり、適切に静電爆発を起こすことができず、繊維化しない。溶液の粘度により吐出量が変化するため、粘度が高い場合は送液圧力を高くし、粘度が低い場合は送液圧力を低くし、適当な吐出量となるように送液圧力を制御すればよい。
また、エレクトロスピニング法を行う際、ノズルに電圧を印加するとともに、繊維を集積するコレクターをアースに接続する。コレクターとしては、例えば、表面に帯電防止処理を施したPETフィルムを用いることができる。ノズルとコレクター間の電界は、10kV〜50kVが望ましい。当該電界が弱い場合、十分な静電爆発を得ることができず、適切な繊維を得ることができない。一方、前記電界が強い場合、ノズルから吐出されたPVDF溶液がコレクターに到着するまでの時間が短くなり、十分な静電爆発を起こすことができず、適切な繊維を得ることができない。
なお、ノズルに印加する電圧は、正の電圧であっても負の電圧であってもよい。不織布化させる材料に応じて印加する電圧の極性を選択すればよい。
ノズルの先端からコレクターまでの距離は、90mm〜160mmであることが望ましい。ノズルの先端からコレクターまでの距離が短いと、PVDF溶液がノズルから吐出されてからコレクターに到着するまでの時間が短くなり、十分な静電爆発を得ることができず、適切な繊維を得ることができない。
なお、静電爆発は、溶液の粘度や量により影響を受ける。コレクターに生成された不織布の溶媒の乾燥具合に応じて、最適な印加電圧やノズルとコレクター間の距離は変化する。例えば、コレクターに生成された不織布の溶媒が十分に乾燥せず、不織布が湿潤状態であるとき、十分な静電爆発が起こらない。この場合、ノズルからの吐出量を減らしたり、ノズルとコレクター間の距離を大きくしたりすることで、適切な静電爆発を起こさせることができる。
なお、吐出量が少なすぎる場合やノズルとコレクター間の距離が大きすぎる場合、過度な静電爆発が起こり、所定の領域よりも広い領域に不織布が形成される。この場合、所定の厚みの不織布を形成するのに時間がかかるため、生産性が低下する。この生産性を向上させるために、複数のニードル状のノズルが用いられてもよい。この場合、ノズル間の距離は、10mm以上であることが望ましい。ノズル間の距離を短くすると、隣接するノズルや電荷を帯びたPVDF溶液が互いの電荷の影響を受けて、十分な静電爆発が起こらず、適切な繊維を得ることができなくなる。
また、複数のニードル状のノズルに代えて、複数の吐出用の穴を有するブロック状のノズルが用いられてもよい。この場合、ノズルの個体差に影響されることなく、均一な静電場を形成することが可能となり、均質な不織布を形成することができる。
均一な厚みの不織布を得るためには、例えば、コレクターの上方でノズルを一定の速さで所定の走査パターンで動かせばよい。この場合、ノズルの走査速度は、50mm/s以下であることが望ましい。走査速度が速い場合、コレクターに集積する不織布が引っ張り力を受けて応力を残した状態となるため、電解質膜1の収縮の原因となる。
次に、電解質膜の製造方法の一例についてより詳細に説明する。
まず、前記のようにして製造されたPVDF製の不織布を用意する。この不織布の裏面には、PETフィルムが形成されている。
次いで、PVDF製の不織布の表面に電解質溶液を含浸させる。
電解質溶液としては、例えば、水とエタノールの混合溶媒を用いることができる。この場合、溶媒中の水の割合は半分以下であることが望ましい。溶媒中の水の比率が高い場合、PVDFが疎水性であるため、電解質溶液をPVDF製の不織布に適切に含浸させることができない。
PVDF製の不織布に電解質溶液を含浸させる方法としては、例えば、バーコーターやスリットダイを用いて電解質溶液をPVDF製の不織布に塗工する方法や、印刷やスプレーを用いた方法がある。
前記電解質溶液の含浸後、溶媒を揮発させて、溶液を乾燥させる。なお、このとき、乾燥後の電解質膜の厚さが所定の厚さになるように、電解質溶液を再塗工してもよい。
前記電解質溶液の乾燥後、アニールを行い、電解質を結晶化させる。
電解質を結晶化させることで、耐久性を向上させることができる。アニールの温度は、電解質材料のガラス転移温度より10℃以上高いことが望ましい。アニールの温度が低いと、十分な結晶化が起こらず、電解質膜の耐久性が低下する。また、アニールの時間は、30分以上2時間以下であることが望ましい。アニールの時間が短いと、電解質を十分に結晶化させることができない。一方、アニールの時間が長いと、過度に電解質の結晶化が進んでしまうため、プロトン導電性が低くなる。
前記アニールの終了後、PET基材を剥離する。
これにより、孔9を形成する前の電解質膜が製造される。
なお、PET基材を剥離した不織布の裏面に電解質溶液を再度塗工してもよい。これにより、電解質膜の厚み方向における中心部にPVDF製の不織布を配置することができ、電解質膜の膨潤収縮時に生じる電解質膜の表面の寸法変化と電解質膜の裏面の寸法変化との差を低減することができる。
また、予めPET基材に電解質溶液を塗工し、当該電解質溶液の上にPVDF製の不織布をエレクトロスピニング法により形成し、その後、PVDF製の不織布の空隙に電解質溶液を充填するようにしてもよい。この場合、PET基材から電解質膜を剥離する必要性を無くして、製造工程を簡素化することができる。
なお、電解質溶液上へのPVDF製の不織布の形成は、電解質溶液を乾燥させた後に行われても、電解質溶液が未乾燥の状態で行われてもよい。未乾燥の電解質溶液の上にPVDF製の不織布を形成した場合、電解質溶液にPVDF製の不織布が沈み込む。このため、予めPET基材上に塗工した電解質溶液と、PVDF製の不織布を形成した後に塗工する電解質溶液とにまたがるようにPVDF製の不織布が存在する。この場合、予めPET基材上に塗工した電解質溶液と、PVDF製の不織布を形成した後に塗工した電解質溶液との界面が、PVDF製の不織布により強化されることになる。その結果、当該界面で発生し得る剥離の問題を抑制することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記では、補強膜5に孔9を設け、当該孔9をリブ部7に対応する位置に設けたが、本発明はこれに限定されない。補強膜5は、単位面積当たりの質量が大きい領域と、当該質量が小さい領域とを備え、前記質量が大きい領域がリブ部7に対応する位置に設けられればよい。この場合でも前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
《第2実施形態》
図13は、本発明の第2実施形態にかかる燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図である。本第2実施形態の燃料電池が前記第1実施形態の燃料電池と異なる点は、補強膜5に孔9を形成することに代えて、補強膜5の厚さを異ならせている点である。
図13に示すように、補強膜5には、厚さが薄い部分5aが形成されている。補強膜5の薄い部分5aは、セパレータ4bのリブ部7に対応する位置に形成されている。
補強膜5の材料であるPVDFは疎水性である一方、補強膜5の空隙に充填される電解質膜材料は親水性である。このため、補強膜5の薄い部分5aの電解質膜は、補強膜5の厚い部分5bの電解質膜に比べて親水性の電解質材料が多く存在することになるので、より含水しやすい。従って、リブ部7の下方に溜まった生成水8は、電解質膜1側へ吸水(逆拡散)されやすくなる。これにより、リブ部7の下方に生成水8が溜まることを抑えて、燃料電池の発電特性を向上させることができる。
なお、電解質膜1の厚さが20μmであるとき、補強膜5の厚い部分5bの厚さは例えば5μm〜15μmである。補強膜5の薄い部分5aは、補強膜5の厚い部分5bよりも薄ければよい。
次に、厚さが異なる補強膜5を備える電解質膜1の製造方法の一例について説明する。図14A〜図14Cは、厚さが異なる補強膜5を備える電解質膜1の製造方法の一例を示す図である。
まず、図14Aに示すように、不織布で構成される2枚以上の補強膜5A,5Bを用意する。
次いで、図14Bに示すように、一方の補強膜5Aに孔9aを形成する。
次いで、図14Cに示すように、補強膜5Aと補強膜5Bとを重ね合わせ、1枚の補強膜5を作成する。
次いで、図14Dに示すように、補強膜5に電解質溶液を含浸させる。
これにより、厚さが異なる補強膜5を備える電解質膜1が製造される。
《第3実施形態》
図15は、本発明の第3実施形態にかかる燃料電池のカソード電極付近の構成を模式的に示す断面図である。本第3実施形態の燃料電池が前記第1実施形態の燃料電池と異なる点は、補強膜5に孔9を形成することに代えて、補強膜5を構成する繊維の直径(以下、繊維径という)を異ならせている点である。
図15に示すように、補強膜5には、繊維径が細い部分5cが形成されている。補強膜5の繊維径が細い部分5cは、セパレータ4bのリブ部7に対応する位置に形成されている。
補強膜5の材料であるPVDFは疎水性である一方、補強膜5の空隙に充填される電解質膜材料は親水性である。このため、補強膜5の繊維径が細い部分5cの電解質膜は、補強膜5の繊維径が太い部分5dの電解質膜に比べて親水性の電解質材料が多く存在することになるので、より含水しやすい。従って、リブ部7の下方に溜まった生成水8は、電解質膜1側へ吸水(逆拡散)されやすくなる。これにより、リブ部7の下方に生成水8が溜まることを抑えて、燃料電池の発電特性を向上させることができる。
なお、補強膜5の細い部分5cの平均繊維径は、例えば、100μm〜500μmである。補強膜5の太い部分5dの平均繊維径は、例えば、500μm〜800μmである。
次に、繊維径が異なる補強膜5を備える電解質膜1の製造方法の一例について説明する。図16A〜図16Cは、繊維径が異なる補強膜5を備える電解質膜1の製造方法の一例を示す図である。
まず、図16Aに示すように、平均繊維径が細い補強膜5Cと、平均繊維径が太い補強膜5Dを用意する。繊維径を細くすることは、例えば、溶液濃度を低くする、ノズル径を細くする、送液圧力を低くする、印加電圧を大きくする、紡糸距離を長くすることで実現可能である。
次いで、図16Bに示すように、セパレータ4bのリブ部7に対応するように、補強膜5C,5Dをカットする。
次いで、図16Cに示すように、補強膜5Cと補強膜5Dとを重ね合わせ、1枚の補強膜5を作成する。
次いで、図16Dに示すように、補強膜5に電解質溶液を含浸させる。
これにより、繊維径が異なる補強膜5を備える電解質膜1が製造される。
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明にかかる燃料電気は、セパレータのリブ部の下方に生成水が溜まることを抑えて発電性能を向上させることができるので、例えば、燃料ガスとして生成水が発生しやすい高湿度(例えば、湿度100%)のガスを用いる固体高分子形燃料電池に有用である。
1,1A,1B 電解質膜
2a,2b 触媒層
3a,3b ガス拡散層
4a,4b セパレータ
5,5A,5B,5C,5D 補強膜
5a 薄い部分
5b 厚い部分
5c 細い部分
5d 太い部分
6 流路
7 リブ部
8 生成水
9 孔
9A 側面
9a 孔
11 MEA(膜電極接合体)
12 MEA−枠接合体(電極−膜−枠接合体)
20 単セル
21 集電板
21a 端子部
22 絶縁板
23 端板
30 スタック
31 燃料処理器
32 アノード加湿器
33 カソード加湿器
34,35,36 ポンプ
37 熱交換器
38 貯湯タンク
40 運転制御装置
41 電気出力部
51 ガス入口
52 ガス出口
53 位置合わせ用孔
61〜66 電解質材料

Claims (9)

  1. 不織布で構成される補強膜を有する電解質膜と、
    互いに隣接する流路同士を仕切るリブ部を有するカソード側のセパレータと、
    を備え、
    前記補強膜は、単位面積当たりの質量が大きい領域と、当該質量が小さい領域とを備え、
    前記質量が小さい領域は、前記リブ部に対応する位置に設けられている、固体高分子形燃料電池。
  2. 前記質量が小さい領域は、前記質量が大きい領域に比べて前記補強膜の厚さが薄い、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
  3. 前記質量が小さい領域は、前記質量が大きい領域に比べて前記補強膜を構成する繊維の直径が小さい、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
  4. 前記質量が小さい領域は、前記補強膜に形成された孔により構成されている、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
  5. 前記孔の直径は、前記リブ部の幅以下である、請求項4に記載の固体高分子形燃料電池。
  6. 前記孔のピッチは、前記リブ部のピッチに対応している、請求項4又は5に記載の固体高分子形燃料電池。
  7. 前記流路のガス出口近辺の領域に形成されている孔の数は、前記流路のガス入口近辺の領域に形成されている孔の数よりも多い、請求項4〜6のいずれか1つに記載の固体高分子形燃料電池。
  8. 前記流路のガス出口近辺の領域に形成されている孔の直径は、前記流路のガス入口近辺の領域に形成されている孔の直径よりも大きい、請求項4〜7のいずれか1つに記載の固体高分子形燃料電池。
  9. 前記孔内の電解質材料に含まれる水分率は、前記補強膜内の電解質材料に含まれる水分率に比べて大きい、請求項4〜8のいずれか1つに記載の固体高分子形燃料電池。
JP2013113133A 2013-05-29 2013-05-29 固体高分子形燃料電池 Pending JP2014232650A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013113133A JP2014232650A (ja) 2013-05-29 2013-05-29 固体高分子形燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013113133A JP2014232650A (ja) 2013-05-29 2013-05-29 固体高分子形燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014232650A true JP2014232650A (ja) 2014-12-11

Family

ID=52125913

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013113133A Pending JP2014232650A (ja) 2013-05-29 2013-05-29 固体高分子形燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014232650A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2293370B1 (en) Ion-conductive resin fibers, ion-conductive composite membrane, membrane electrode assembly, and fuel cell
JP4086894B2 (ja) 燃料電池
KR101178644B1 (ko) 이온전도성 복합막, 막-전극 접합체 및 연료전지
JP5362144B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用の電解質膜とその製造方法および固体高分子型燃料電池
KR19980081284A (ko) 연료 전지
CN110797546B (zh) 一种微孔层结构、制备方法、膜电极组件以及燃料电池
JP5665209B1 (ja) 膜電極接合体及びその製造方法、並びに固体高分子形燃料電池
US10074866B2 (en) Membrane electrode assembly for polymer electrolyte fuel cell, method of producing the same and polymer electrolyte fuel cell
CN110462906A (zh) 离子交换膜、其制造方法以及包括其的能量存储装置
CA2568763C (en) Cell module having water permeable hollow body, and fuel cell comprising cell module
KR100658739B1 (ko) 연료전지용 고분자 전해질막 및 그 제조방법
JP5193394B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電解質膜、及び、当該電解質膜を有する膜電極接合体、並びに、固体高分子型燃料電池
JP2001167775A (ja) イオン導電性膜、その製造方法及びそれを用いた燃料電池
US20100196790A1 (en) Membrane and electrode assembly and fuel cell
KR102325855B1 (ko) 레이저 절제를 이용하여 제작된 도랑 구조의 고분자 전해질 연료전지용 미세다공층 및 이를 포함하는 기체확산층
KR20080039615A (ko) 복합 전해질막 및 이를 이용한 연료전지
WO2008023822A1 (fr) Pile a combustible
JP2008071633A (ja) 固体高分子型燃料電池
JP2014232650A (ja) 固体高分子形燃料電池
JP2010232083A (ja) 燃料電池
KR20190086392A (ko) 연료전지용 기체확산층, 이를 포함하는 막-전극 접합체, 이를 포함하는 연료 전지 및 연료전지용 기체확산층의 제조방법
CN104157894B (zh) 双离子型燃料单体电池
KR102610727B1 (ko) 연료전지용 분리판 및 이를 포함하는 연료전지
JP2009070631A (ja) 電解質膜、膜電極接合体および膜電極接合体を用いた燃料電池
JP2005353492A (ja) 燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20150312

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20150319