JP2014232616A - 色素増感太陽電池モジュール、植物育成ハウス及び建築物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】色素を付着させた光電極と、対極と、電解質層とを円筒形の透明管内に設けた円筒型色素増感太陽電池セル1が、互いに離間した状態で横に並べて複数設けられ、一つのフレーム2で保持されている。セル1の外径をφ、セル1の離間距離をgとしたとき、0.3≦g/φ≦2である。各セル1は、両端部でソケット21により着脱自在に保持されている。
【選択図】図4
Description
集電極15には、ITOのような透明導電体が使用される。光電極11は、作用極ともいうべきものであり、半導体に色素を付着させたもので形成される。電解質層15としては、ゲル状又は液状のもの(電解液)が使用される。
周知のように、パネル型の場合、垂直入射(図10(1−1))の場合に比べ斜め入射(図10(1−2))の場合には変換効率が低下する。一方、円筒型の場合には、360度どこから入射しても基本的同様の発電性能が発揮されるので、斜め入射(図10(2−2))の場合にも垂直入射(図10(2−1))の場合と同等の変換効率が得られる。従って、同じ占有スペースに太陽電池が配置された場合に、一日のトータルの発電量で見ると、円筒型の方が変換効率が高くなる。
図11の縦軸は単位時間当たりの発電量(相対値)、横軸は時刻である。尚、この実験では、太陽光の強度としては日本の春分の日であってAM(エアマス)1.5の場合を想定し、日の出から日の入りまでの単位時間当たりの発電量をソーラーシミュレータにより1時間毎にシミュレートした。図11に示すように、円筒型の場合、パネル型に比べて全体的に発電量が多く、特に太陽高度が低い朝と夕方の時刻での特に発電量が多くなる。
この出願の発明は、上記の点を考慮して為されたものであり、円筒型色素増感太陽電池において変換効率をさらに高くすることができるモジュール構造を提供するものである。
円筒型色素増感太陽電池セルは、複数横に並べて配置されており、
複数の円筒型色素増感太陽電池セルを互いに離間した位置において保持するフレームを備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記複数の円筒型色素増感太陽電池セルは、一つのフレームによって保持されているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記各円筒型色素増感太陽電池の外径をφ、前記各円筒型色素増感太陽電池の離間距離をgとしたとき、0.3≦g/φ≦2であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1、2又は3の構成において、前記フレームは、各色素増感太陽電池セルを長さ方向の両端部で着脱自在に保持するソケットを備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項1乃至4いずれかの構成において、前記複数の円筒型色素増感太陽電池セルは同じ長さのものであり、前記フレームは方形の枠状であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、屋根又は外壁の全部又は一部が採光部となっている植物育成ハウスであって、採光部が背後に位置する状態で請求項1乃至5いずれかに記載の色素増感太陽電池モジュールが屋根又は外壁に取り付けられており、色素増感太陽電池モジュールが備える前記円筒型色素増感太陽電池セルで発生した電力を内部の植物の育成に利用する育成モジュールが設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、前記請求項6の構成において、前記屋根又は外壁に取り付けられた前記色素増感太陽電池モジュールは、各色素増感太陽電池セルの長手方向が正面視で鉛直方向に向いているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項8記載の発明は、前記請求項6又は7の構成において、内部に長日用光源が設けられており、前記育成モジュールは、前記色素増感太陽電池モジュールで発生した電力を蓄える蓄電部と、蓄電部で蓄えられている電力を長日用光源に日の出前及び又は日没後に供給して長日用光源を点灯させる制御部とを備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項9記載の発明は、太陽光に晒される屋根又は壁面を有する建築物であって、当該屋根又は壁面には、円筒型色素増感太陽電池セルが複数離間して横に並べて取り付けられており、各円筒型色素増感太陽電離セルは、正面視で長手方向が鉛直方向に向いているという構成を有する。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、複数の円筒型色素増感太陽電池セルが一つのフレームで保持されているので、モジュールの運搬や設置がより容易になる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、フレームは、各色素増感太陽電池セルを長さ方向の両端部で着脱自在に保持するソケットを備えているので、メンテナンスの作業が容易になったり、メンテナンスのコストが安価になったりする効果が得られる。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、各円筒型色素増感太陽電池セルは同じ長さのものであり、フレームは方形の枠状であるので、方形の空きスペースに対して無駄無く設置できるモジュールとなる。
また、請求項6記載の発明によれば、育成モジュールで使用される電力を色素増感太陽電池モジュールが発電した電力で賄えるので電気代が節約できる。その上、色素増感太陽電池モジュールは各色素増感太陽電池セルが離間していて太陽光が通過できるので、離間間隔を適宜設定することで十分な量の太陽光を内部の植物に供給することができる。
また、請求項7記載の発明によれば、上記効果に加え、各色素増感太陽電池セルの長手方向が正面視で鉛直方向に向いているので、汚れが付着したりゴミが溜まったりすることが少なく、この点で好適となる。
また、請求項8記載の発明によれば、上記効果に加え、育成モジュールが長日調整を行うので、長日植物の育成の際に好適なものとなる。
また、請求項9記載の発明によれば、複数の円筒型色素増感太陽電池セルが離間した状態で横に並べて設けられているので、変換効率が高くなる。また、各円筒型色素増感太陽電離セルは、正面視で長手方向が鉛直方向に向いているので、汚れやゴミは溜まりにくく、汚れやゴミによる変換効率の低下は発生しにくい。
図1は、実施形態の色素増感太陽電池モジュールの斜視概略図である。図1に示す色素増感太陽電池モジュールは、複数の円筒型色素増感太陽電池1を備えている。以下、モジュールと区別するため、円筒型色素増感太陽電池1を円筒型色素増感太陽電池セル又は単に円筒型セルと呼ぶ。
複数の円筒型セル1は、一つのフレーム2によって保持されている。フレーム2は、図1に示すように方形の枠状である。方形の一辺の方向は、各円筒型セル1の長手方向に一致している。
光電極11は、半導体に色素を付着させたものである。半導体は、n型であることが好ましく、酸化チタンや酸化スズ等の金属酸化物や硫化亜鉛のような金属硫化物が使用される。色素は、可視域から赤外域の光を吸収するものであれば特に制限なく使用することができ、有機色素や金属錯体が使用される。例えば、メロシアン、キノシアニン、クリプトシアニンなどのシアニン系色素や、銅、ルテニウム、オスミウム、鉄又は亜鉛などの錯体が使用される。
対極12は、導電材料で形成されるが、電解質層13の材料に対する耐蝕性が高いことが好ましく、例えばチタンや白金が用いられる。この実施形態では、対極12は円筒状となっている。図2(1)に示すように、各部材は透明管14に対して同軸となっており、中央から対極12、光電極11、集電極15の順となっている。集電極15としては、従来と同様、ITOのような透明導電体が使用されている。尚、理論的には、光電極11のみで電荷の取り出しができれば集電極15が設けられないこともあり得る。
尚、集電極15は、透明管14に対して湿式コーティングその他の方法により透明導電膜を作成することで形成される。光電極11は、色素を付着させた半導体微粒子を堆積させたり、又は焼結したりすることで形成され、多孔質の構造であることが好ましい。この他、各部の形成方法や製造方法については、特許文献1〜4を参照することができる。
両端のリード16は、透明管14内で作られた電気を取り出すためのものであり、図2(2)に示すように、導線161により一方は対極12に接続され、他方は集電極15に接続されている。尚、図示は省略されているが、一方のリード16は、ロッド部により対極12に接続されており、透明管14内での対極12の保持に兼用されている。
図3に示すように、フレーム2の一辺は、開口を下側に向けた略コ状の断面形状を有している。フレーム2の下側には、ソケット21が設けられている。ソケット21は、ソケット台座26によりフレーム2に固定されている。
ソケット21の外部側には、保持された円筒型セル1の導通のためのコネクタ端子23が設けられている。リード16の先端部は細い棒状となっており、封止部141から露出して伸びている。コネクタ端子23は、このリード16の先端部が差し込まれる部材となっている。即ち、コネクタ端子23は、狭い凹部を形成するように折り曲げられた部材となっている。リード16の先端部は、この凹部の開口を押し広げるようにして差し込まれる。
円筒型セル1の取り外しは、装着とは逆の手順であり、コネクタ端子23の板バネ部24の弾性に抗しながら円筒型セル1全体をどちらか一方の側に少し移動させ、他方の側の端部をソケット21から引き抜く。この際、他方の側のリード16の先端はコネクタ端子23から外れる。そして、他方の側の端部を少し下に下げてセル1全体を斜めの姿勢にしながら一方の側の端部をコネクタから引き抜く。この際、一方の側のコネクタ端子23からリード16の先端が外れる。
実施形態のように複数の円筒型セル1を離間配置した構造は、各円筒型セル1の間の隙間を通して太陽光が通過できることを意味する。この構造は、太陽電池モジュールを配置した場合でもモジュールによって完全には遮光されないことを意味し、この点は、現在普及しているパネル型太陽電池モジュールと顕著に相違する。
図6は、このような設置例について概略的に示した図である。この設置例において、建築物は、屋根又は壁に採光部3を有する。採光部3は、光透過性のシートや光透過板、窓ガラス等である。実施形態の色素増感太陽電池モジュール10は、採光部3が後に位置する状態で屋根又は壁に取り付けられている。即ち、フレーム2を固定具31によって屋根又は壁に固定することで取り付けられている。
図7は、実施形態の植物育成ハウスの正面概略図である。実施形態の植物育成ハウスは、ビニールハウスや温室のように内部で植物を育成する建築物である。周知のように、このような植物育成ハウスは屋根及び壁の全部が採光部となっている。採光部は、ビニールシートであったり、ガラス又はアクリル等でできた光透過板であったりするそして、実施形態の植物育成ハウスでは、採光部4が背後に位置する状態で、色素増感太陽電池モジュール10が設置されている。
実施形態の植物育成ハウスは、色素増感太陽電池モジュール10が発生させた電力を内部の植物の育成に利用する育成モジュール5を備えている。この実施形態では、育成モジュール5は、長日調整を行うものとなっている。長日調整とは、ハウス内に設けられた長日用光源を日の出前後又は日没前後に点灯させて人工的に日照時間を長くする調整を意味する。
実施形態の植物育成ハウスは、内部に長日用光源6を備えている。長日用光源6としては、白色LEDが使用されている。図7に示すように、育成モジュール5は、色素増感太陽電池モジュール10が発生させた電力を蓄える蓄電部51と、長日用光源6に供給する電圧を調整する電圧調整器52と、蓄電部51について蓄電・放電を切り替える切替器53と、電圧調整器52や切替器53を制御する制御部54等から構成されている。
この実施形態では、長日用光源6はLEDであるので、電圧調整器52としてはDC/DC変換器が使用されている。電圧調整器52は、蓄電部51からの出力電圧を長日用光源6に適した直流電圧に調整する。
また、各色素増感太陽電池セル1の電気的な接続については、直列接続として電力を取り出す場合が多いが、並列接続とする場合もあり得る。
また、各実施形態において、複数の円筒型セル1は横に並べて配置されているが、これは、各円筒型セル1の長手方向が平行である場合には限られない。長手方向が僅かな角度を成して交差する場合も、「横に並べて」と言い得る。
10 色素増感太陽電池モジュール
11 光電極
12 対極
13 電解質層
14 透明管
141 封止部
15 集電極
16 リード
2 フレーム
21 ソケット
22 パッキン
23 コネクタ端子
24 板バネ部
3 採光部
4 採光部
5 育成モジュール
51 蓄電部
52 電圧調整器
53 切替器
54 制御部
6 長日用光源
Claims (9)
- 色素を付着させた光電極と、対極と、光電極と対極との間に介在された電解質層とを円筒形の透明管内に設けた円筒型色素増感太陽電池セルを備えた色素増感太陽電池モジュールであって、
円筒型色素増感太陽電池セルは、複数横に並べて配置されており、
複数の円筒型色素増感太陽電池セルを互いに離間した位置において保持するフレームを備えていることを特徴とする色素増感太陽電池モジュール。 - 前記複数の円筒型色素増感太陽電池セルは、一つのフレームによって保持されていることを特徴とする請求項1記載の色素増感太陽電池モジュール。
- 前記各円筒型色素増感太陽電池の外径をφ、前記各円筒型色素増感太陽電池の離間距離をgとしたとき、0.3≦g/φ≦2であることを特徴とする請求項1又は2記載の色素増感太陽電池モジュール。
- 前記フレームは、各色素増感太陽電池セルを長さ方向の両端部で着脱自在に保持するソケットを備えていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の色素増感太陽電池モジュール。
- 前記各円筒型色素増感太陽電池セルは同じ長さのものであり、前記フレームは方形の枠状であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の色素増感太陽電池モジュール。
- 屋根又は外壁の全部又は一部が採光部となっている植物育成ハウスであって、採光部が背後に位置する状態で請求項1乃至5いずれかに記載の色素増感太陽電池モジュールが屋根又は外壁に取り付けられており、色素増感太陽電池モジュールが備える前記円筒型色素増感太陽電池セルで発生した電力を内部の植物の育成に利用する育成モジュールが設けられていることを特徴とする植物育成ハウス。
- 前記屋根又は外壁に取り付けられた前記色素増感太陽電池モジュールは、各色素増感太陽電池セルの長手方向が正面視で鉛直方向に向いていることを特徴とする請求項6記載の植物育成ハウス。
- 内部に長日用光源が設けられており、前記育成モジュールは、前記色素増感太陽電池モジュールで発生した電力を蓄える蓄電部と、蓄電部で蓄えられている電力を長日用光源に日の出前及び又は日没後に供給して長日用光源を点灯させる制御部とを備えていることを特徴とする請求項6又は7記載の植物育成ハウス。
- 太陽光に晒される屋根又は壁面を有する建築物であって、当該屋根又は壁面には、円筒型色素増感太陽電池セルが複数離間して横に並べて取り付けられており、各円筒型色素増感太陽電離セルは、正面視で長手方向が鉛直方向に向いていることを特徴とする建築物。
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