JP2014231309A - 車両用加飾部材及び車両用加飾部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、このように照明機能を具備する車両用加飾部品の一例として、車両用ドアの車室側に取り付けられたカーテシランプが知られている。
カーテシランプは、一般にドアが開く際に点灯し、乗員の足元を照らして乗降をサポートするとともに、後方の車両や人に対してドア開放状態にあることを報知する。
このような発光性の加飾部材は、現在では、ドアポケット、ピラー部、ドアスピーカー部、カップホルダー等、車室内の様々な場所に配置されており、全世界的に高い需要が見込まれている。
このような状況下において、金属から光が透過して視認される先進的な加飾が注目を浴びている。
このように、金属から光を透過させて照射して視認的に金属感を有する部品を構成する場合には、金属シートが使用され、この金属シートを介して照明光を車室内側へと照射する。
このような金属シートは、内装部材の基材となる樹脂製の部品に配設されるが、その金属シートの構成や、金属シートを基材に配設して内装部材を製造する方法は、様々なものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このシートは、転写箔として機能する積層フィルムであり、基材となる樹脂層表面に近い側から、接着層、アンカー層、金属調を表現するための金属蒸着層、アンカー層、着色層、ハードコート層、表面にヘアライン加工が施されたベースフィルム、が積層されて一体として構成されている。
そして、このシートをインモールド成形することにより、基材となる樹脂層表面に図柄を転写絵付けし、インモールド成形後にベースフィルムを剥離して成形品の表面を金属調に仕上げる製法が開示されている。
特に、意匠性の点から曲線や曲面を使用した部材が多く存在する。これらの曲線及び曲面を有する部材は、心理的に落ち着いた印象を与える。
しかし、従来から使用されている特許文献1に記載されたシート(フィルム)を使用して、このような曲線及び曲面へとシートを配置する場合、複雑な形状となると張力差が生じるという問題が生じていた。
これは、特に、フラットな面部分と曲面部分との張力差において顕著である。
このように張力差が生じると、高張力部分、つまり曲面部分にクラックが生じ、意匠性に影響を与える可能性があった。
また一方、このようなシート(フィルム)を使用して、内装した発光源からシート(フィルム)に光を照射し、発光性を有する加飾部材を作成することが上記のように従来から行われている。
しかしながら、このような特許文献1に係るシート(フィルム)においては、各層を均一に積層して多層に形成しているため、装飾性が単調なものとなる。
また、印刷時のピンホール等が存在すると、意匠性に影響がでる恐れがあった。
更に、発光源からの光の透過と、内部の境界部等の視認性とのバランスを取り、より高い意匠性を確保し、商品価値を向上させるという課題もあった。
また更に、より高い意匠性を確保しつつ、耐久性もまた同時に向上させることが可能な技術が切望されている。
また、本発明の他の目的は、印刷時の不具合等を解消することが可能であり、上記意匠性とともに耐久性もまた向上させることができる車両用加飾部材及び車両用加飾部材の製造方法を提供することにある。
また、上記の車両用加飾部材において、前記装飾層は、金属蒸着層を有して構成されており、前記曲面部に追随しうる最大限の引張展開率は、前記曲面部において、前記金属蒸着層にクラック若しくは亀裂が生じない程度の引張展開率であると好適である。
樹脂基材は、意匠性の観点から、曲面を有して構成されている場合が多い。
この場合、加飾フィルムの引張展開率を高くすると、装飾層に損傷が発生するという問題が起きる。
このため、樹脂基材の曲面部分において、これに追随しうる最大限の引張展開率になるように調整したため、損傷が発生することを防止し、より高い意匠性を有する車両用加飾部材を提供することができる。
また、装飾層が金属蒸着層の場合には、引張力が大きくなると、クラックが発生し、この程度が進むと亀裂となる。
しかし、本発明によれば、金属蒸着層のクラックを有効に防止して、より意匠性の高い車両用加飾部材を提供することができる。
なお、安全を考慮すると引張展開率を6%以下とすると更に好適である。
また、金属蒸着層としては、スズ(Sn)、インジウム(In)で構成することも可能である。
この場合には、引張展開率は、スズの場合50%以下、インジウムの場合130%以下であれば、有効に亀裂発生を防止することができる。
透過光調整層は、印刷により着色されるが、このときにピンホール等の不良が生じることがある。
しかし、透過光調整層を多層構造とすることにより、ピンホールを有効に閉塞することができ、意匠性が向上する。
層の段数は、2重層以上であればよく、膜厚等のバランスから適宜選択されるとよい。
このとき、具体的適用としては、前記グラデーション処理は、前記境界部に近接している近接部分にのみ施されているとよい。
このように構成されていると、非透過部の存在する領域と透過部のある領域との境界線の発光をぼんやりとしたおだやかな発光として演出することができる。
よって、意匠性がより向上する。
加飾フィルムは、膜厚が厚くなると、樹脂基材の曲面部に起因する付加引張力の違いにより、部分によって膜厚が変化し、これが発光ムラを誘発する。
このため、加飾フィルムの膜厚を小さくすることが好ましいが、透過光調整層の透過部から樹脂基材の色彩が視認できるため、加飾フィルムの膜厚が薄いと、透過光調整層の透過部と非透過部との境界部が、車両用加飾部材の表面から透けて視認される可能性がある。
そのため、加飾フィルムを薄肉化しても、透過光調整層の透過部と非透過部との境界部が、視認されないようにするために、樹脂基材に黒色顔料を混和し、透過光調整層と近似した色彩としたものである。
このように構成したため、加飾フィルムを薄肉化して発光ムラを防止するとともに、透過光調整層の透過部と非透過部との境界部が透けて視認されることを有効に防止することができる。
拡散剤としては、シリコン系拡散剤を使用することも可能ではあるが、接着性において、アクリル系拡散剤の方がより有利である。
発光性の観点から、樹脂基材には拡散剤が混練されるが、この混練される拡散剤の量が多いと、加飾フィルムの密着性が低下する可能性がある。
このため、本発明においては、樹脂基材の裏面に拡散シボを形成した。
つまり、加飾フィルムの高い密着性を確保するために、拡散剤の混練量を減少させ、その減少分の補填として、樹脂基材の裏面に拡散シボを形成することとしたものである。
このように構成したため、樹脂基材への加飾フィルムの密着性が向上する。
このように構成されていると、明るい環境下(例えば、日中)と暗い環境下(例えば、夜間)において、車両用加飾部材の意匠が異なって視認できるようになり、意匠性が向上する。
なお、更に好適には、引張展開率が6%以下に調整されるとよい。
このように構成されていると、転写された加飾フィルムの耐久性を向上させることができる。
請求項4の車両用加飾部材によれば、透過光調整層を多層構造とすることにより、ピンホールを有効に閉塞することができ、意匠性が向上する。
請求項5及び請求項6の車両用加飾部材によれば、非透過部の存在する領域と透過部のある領域との境界線の発光をぼんやりとしたおだやかな発光として演出することができ、よって、意匠性がより向上する。
請求項7の車両用加飾部材によれば、加飾フィルムを薄肉化して発光ムラを防止することができるとともに、透過光調整層の透過部と非透過部との境界部が透けて視認されることを有効に防止することができる。
請求項8の車両用加飾部材によれば、樹脂基材への加飾フィルムの接着性をより高めることができる。
請求項9の車両用加飾部材によれば、意匠性を保持しつつ、樹脂基材への拡散剤の混練量を減少させて樹脂基材への加飾フィルムの密着性を向上させることができる。
請求項10の車両用加飾部材によれば、ハーフミラー効果を付与し、明るい環境下(例えば、日中)と暗い環境下(例えば、夜間)において、車両用加飾部材の意匠が異なるよう演出さすることができる。よって、意匠性が向上する。
請求項11及び請求項12の車両用加飾部材の製造方法によれば、金属蒸着層のクラックを有効に防止して、より意匠性の高い車両用加飾部材を提供することができる。
請求項13の車両用加飾部材の製造方法によれば、転写された加飾フィルムの耐久性を向上させることができる。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の適用を示した例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
なお、以下の説明において、車両の前後方向とは、通常走行時の前後方向を意味し、また、車両の内側(以下、単に内側ともいう)とは、車室側(車両の室内側)のことを意味し、車両の外側(以下、単に外側ともいう)とは、車外側のことを意味している。さらに、以下の説明において、上側(下側)とは、車両本体に組み付けられた状態での上側(下側)を意味する。
発光オーナメント41について説明するにあたり、先ず、発光オーナメント41を含む車両用ドアライニングRの全体構成について図1を参照しながら概説する。
車両用ドアライニングRは、車両用ドアの内側を装飾するものであり、不図示のドアインナパネルに取り付けられた部品群により構成される。車両用ドアライニングRを構成する部品としては、図1に示すように、発光オーナメント41の他、ポケットトリム2やドアアームレスト3等があり、これらはドアベースの内側に取り付けられる。
本実施形態に係る発光オーナメント41は、図2に示すように、車両用ドアのドアライニング用部品であり、照明装置として機能する。
この発光オーナメント41が、車両用加飾部材に相当する。
一方、発光オーナメント41は、図3に図示したように、ドアライニング本体42に設けられた収容ケース43に取り付けられる。
なお、ドアライニング本体42とは、車両用ドアライニングRのうち、発光オーナメント41を除く部分である。
発光オーナメント41は、上記の開口から収容ケース43内部に嵌め込まれることによりドアライニング本体42に取り付けられる。
なお、発光オーナメント41を収容ケース43内に嵌め込んだ状態で固定しておくために、図4に示すように、収容ケース43の底壁43aには複数の穴が形成されている。そして、図5に示すように、上記の穴にビス44を挿入したり、発光オーナメント41(より具体的には、後述するホルダ63)の裏面から突出形成された突出爪45を上記穴に嵌合させたりする等して、発光オーナメント41が収容ケース43に対して固定される。
このオーナメント基材150が、特許請求の範囲の「樹脂基材」に相当する。
そして、発光オーナメント41が組み立てられた状態において、オーナメントユニット50は、光源ユニット60の前方に位置する。
より具体的に説明すると、オーナメントユニット50は、後述するホルダ63の前方からホルダ63に近付けて組み付けられる。ここで、ホルダ63の前方とは、ホルダ63に導光体62が組み付けられた状態において当該導光体62が備える出射面62aから見て手前側を意味する。
なお、オーナメントユニット50をホルダ63に組み付ける方法としては公知の方法が利用可能であるが、オーナメントユニット50をホルダ63の前方から組み付けるうえでスナップフィット方式や凹凸嵌合方式等が好適である。
また、同様に図7に示すように、本実施形態に係る導光体62は、所定方向に長い導光板により構成されている。
より具体的に説明すると、ホルダ63には、図8に図示した長尺ケース状の導光体保持部64が形成されており、さらに、導光体保持部64の長手方向一端部には図9に図示したランプ保持部65が形成されている。
そして、導光体保持部64に導光体62が組み付けられ、ランプ保持部65にランプ61が組み付けられると、導光体62の長手方向一端部と隣り合う位置にランプ61が配置されるようになる。かかる状態でランプ61が点灯すると、当該ランプ61からの光は、導光体62の長手方向一端に入射され、導光体62内を拡散しながら導光体62の長手方向他端に向かって進行する。これにより、導光体62の出射面62aから光が出射面62aの前方に向かって出射されるようになる。
また、ランプ61については、図7に示すように、ホルダ63の側方、より具体的には、ランプ保持部65の側方からホルダ63に近付けられてランプ保持部65に組み付けられる。
そして、オーナメントユニット50は、前述したように、可発光領域50aと非発光領域50bとを有する構成となる。
可発光領域50a及び非発光領域50bは、いずれも、樹脂材料からなる基材であるオーナメント基材150と、このオーナメント基材150に配設された加飾フィルム151とからなる。
すなわち、可発光領域50a及び非発光領域50bの双方は、層構造となっており、オーナメント基材150の表面に加飾フィルム151が貼付された構造となっている。
次いで、このオーナメント基材150と加飾フィルム151、及びこの製造方法について説明する。
加飾フィルム151は、オーナメント基材150に対してインモールド成形され、その柄や質感が熱転写されるものである。
概念的には、図10に示すように、少なくとも、遮光層151b、金属蒸着層151d、ヘアライン柄層151f/チント層151e、トップコート層151gが、アンカー層151cを各々適宜挟持して積層された状態でオーナメント基材150に転写されている。
加飾フィルム151は、図11に示すように、大きくは転写層151Aと、剥離層151Bとで構成されている。
この転写層151Aは、オーナメント基材150に近い側から、接着層151a、遮光層151b、金属蒸着層151d、柄・着色層151c、トップコート層151gが積層されて構成されている。
なお、本実施形態においては、柄・着色層151cは、チント着色層151e、ヘアライン柄層151fが積層された2層構成である。
ただし、この柄・着色層151cは、必ずしも必要な構成ではなく、省略することもできる。
また、剥離層151Bは、離型フィルムで構成されており、転写層151A転写後に剥離されるものである。
なお、遮光層151bが、特許請求の範囲の「透過光調整層」に相当する。
なお、図11は、積層構造を説明するための構成概念図であり、本図の層厚の割合と実際の層厚値とは整合しない。
また、ヘアライン柄層151fとしては、ヘアラインの細さを0.2mmに設定している。これは、現在のグラビア印刷の最小限度であるが、技術において可能であれば、これよりも細い設定としてもよい。
そして、チント着色層151eは、本実施形態においては、標準的なサテンシルバー色が選択されており、これにより、金属蒸着層151dの質感をより活かすことができる。
そのため、完成品においては、トップコート層151gが、最表面に配設されることとなる。
これは、遮光層印刷時のピンホール不良を防止するためである。
そして、この遮光層151bには、切欠き部K1が形成されている。
この切欠き部K1は、発光させたい部分に発光させた任意の形状に形成される。
つまり、遮光層151bは、切欠き部K1以外の場所(以下、「遮光部K2」と記す)は、発光ユニット60からの光を透過させず、切欠き部K1の部分のみが光源ユニット60からの光を透過させる。
この切欠き部K1が可発光領域50aとなり、このため、車両室内からは、切欠き部分K1の形状に発光した発光体を視認できることとなる。
そして、この切欠き部K1が、特許請求の範囲の「透過部」に相当し、遮光層のうち、この切欠き部K1以外の場所である遮光部K2が、特許請求の範囲の「非透過部」に相当する。
つまり、図12に示すように、本実施形態においては、切欠き部K1と遮光部K2との境界部分(縁部分)から、5mm幅部分において、切欠き部K1に向かって徐々に黒色が薄くなるように(つまり、徐々に黒色グラビアインクが無くなっていき、徐々に薄い灰色となるように)グラデーション印刷処理が施されている。
このため、ぼんやりとしたやわらかい照明効果を演出することが可能となり、意匠性(特に発光時における意匠性)が向上する。
これは、後述するが、加飾フィルム151の薄肉化に伴う改良である。
製品として成形された状態において、加飾フィルム151は、製品形状により生じる絞りの大小(つまり、張力の大小)によって、箇所により膜厚が変化する。
つまり、曲面形状の頂点付近は、フラットに近い部分よりも、フィルム張力が大きくなり、このため、曲面形状の頂点付近はフラットに近い部分よりも、膜厚が薄くなる。
このような現象により、膜厚が大きい場合には、発光ムラを誘起する可能性がある。
よって、本実施形態においては、オーナメント基材150に黒色顔料を混合してオーナメント基材150と遮光層151bとの色差を近似させることにより、切欠き部K1と遮光部K2との境界部分が透けて視認されることを有効に防止したものである。
つまり、加飾フィルム151の高い密着性を確保するために、拡散剤の混練量を減少させ、その減少分の補填として、オーナメント基材150の裏面に拡散シボを形成することとした。
このように構成したため、オーナメント基材150への加飾フィルム151の密着性が向上する。
この拡散シボは、どのような方法で形成されていてもよいが、例えば、金型へのエッチングや、サンドブラスト等で形成されるとよい。
また、この拡散剤は、どのようなものが用いられてもよいが、アクリル系の拡散剤が用いられると好適である。
つまり、シリコン系拡散剤でも使用可能であるが、アクリル系拡散剤を使用することにより、接着性がより良好となる。
次いで、図13により、本実施形態に係る発光オーナメント41の製造方法について模式的に説明する。
まず、図13(a)に示すように、加飾フィルム加熱工程を行う。
この工程では、第一金型T1に配設されたクランプT2に加飾フィルム151を固定するフィルムセット工程と、ホットパックT3を使用して、この加飾フィルム151を加熱して軟化させる加熱軟化工程とが順に実行される。
この工程では、真空吸引を行い、型内を真空にして加飾フィルム151を、第一金型T1内壁形状に追従させる。
次いで、図13(c)に示すように、射出成型工程を行う。
この工程では、第二金型T4を第一金型T1側に移動させて型閉じし、軟化した樹脂をキャビティ内に充填した後、硬化させる。本例においては、所謂ホットランナー形式を採用している。
本例では、第一金型T1が固定型であり、第二金型T4が可動型である。
なお、本例では、紫外線照射機Uが備えられており、紫外線照射工程を行う。
この工程では、転写が終わった転写層151Aの表面に紫外線が照射され、トップコート層151gが形成される。
図14に示す例では、図13の例とは、固定型と可動型が反対になっている。
つまり、第一金型T1が可動型であり、第二金型T4が固定型である。
この送り/巻き取り装置T5は、第一金型T1を上下に挟む位置に1個ずつ配設されるローラT6,T6と、検知センサT7を有して構成されている。
ローラT6,T6は、加飾フィルム151の両端部の剥離層151Bを各々保持しており、加飾フィルム151は第一金型T2の開口側に渡されている。
次いで、上記の例と同様に、熱を加えて(必ずしもホットパックT3が必要なわけではなく、加熱方法はどのような方法であってもよい)加飾フィルム151を軟化させて、真空吸引により、加飾フィルム151を、第一金型T1内壁形状に追従させる。
そして、離型して、送り/巻き取り装置T5と共に第一金型T1が元の位置へと復帰させられると、剥離層151Bは追随して移動するため、転写層151Aから剥離して、転写層151Aがオーナメント基材150の表面に転写されて残る。この工程が離型剥離工程である。
そして、次の成形のために、ローラT6,T6間を加飾フィルム151が送られることとなる。
この工程では、転写が終わった転写層151Aの表面に紫外線が照射され、トップコート層151gが形成される。
次いで、加飾フィルムの薄肉化について検証を行う。
特に、延伸張力の影響を顕著にうける金属蒸着層151dについての検証を行う。
本実施形態においては、上記のとおり、金属蒸着層151dとして、アルミニウム膜を使用した場合についての検証である。
金属蒸着層151dの展開率(「引張展開率」に相当)と外観状態との対比表を表1に示す。
また、展開率が10%を超えると、白化することもわかった。
この結果、展開率が10%を超えると、マイクロクラックが発生し、外観品質上好ましくないことから、展開率を10%以下、好ましくは、安全をみて6%以下に設定することが好ましいと検証できた。
この解析は、一般的に使用される「樹脂・複合材成形解析ソフト」を使用して実行した。
金型のキャビティ面形状と加飾フィルム151の物性を入力し、型内で真空引きされる加飾フィルム151の様子をシミュレートし、加飾フィルム151の厚さがどのように変化するかを数値化して確認した。
展開率を計測した領域は、図15に示す。
図15に示すように、6領域に分けて展開率を測定する。
成形品の実測方法の具体例を図16に示す。
この実測方法では、1mm方眼付フィルムを使用し、成形後、延伸した方眼の面積を計測することで、成形前の状態から何%展開したかを算出する。
結果を表2に示す。
このことより、このようなシミュレーション結果をオーナメント基材151に適用して、設計に反映することが可能となる。
つまり、オーナメント基材をデザインするにあたり、深い絞り形状に対しては、加飾フィルム151にクラックが入らずに転写できるかどうかを予測することができるようになる。
そして、シミュレーションの結果、クラックが発生しないことを確認した上で、実際の成形段階へと移行することができる。
これら、スズ、インジウムが使用される場合は、限度を超えた引張展開率においては、クラックは発生せずに、亀裂が生じる。
金属蒸着層151dがスズ膜の場合には、引張展開率は50%以下、インジウム膜の場合には、引張展開率は130%以下とであると品質に影響を及ぼすことを回避することができる。
次いで、図17により加飾フィルム151のハーフミラー効果について説明する。
図17(b)は、図17(a)のA−A線断面説明図である。
図17に示すように、金属蒸着層151dは、ハーフミラー効果を付与する。
つまり、これは、肉厚約0.01〜0.1μmの薄い金属膜により付与される効果であり、車室内が明るい状況下においては、周囲からの光を反射するため、金属蒸着層151dの質感(つまり、金属調の柄)が視認され、車室内が暗い状況下においては、光源ユニット60からの光が透過して面発光照明として視認されることとなる。
このように、本実施形態においては、金属蒸着層151dを採用することにより、ハーフミラー効果を付与することができ、機能性を有するとともにより意匠性の高い発光オーナメント41を提供することができる。
2 ポケットトリム
3 ドアアームレスト
4 ロアベース
41 発光オーナメント(車両用加飾部材)
42 ドアライニング本体
43 収容ケース
43a 底壁
44 ビス
45 突出爪
50 オーナメントユニット
50a 可発光領域
50b 非発光領域
60 光源ユニット
61 ランプ
62 導光体
62a 出射面
63 ホルダ
64 導光体保持部
65 ランプ保持部
150 オーナメント基材(樹脂基材)
151 加飾フィルム
151A 転写層
K1 切欠き部(透過部)
K2 遮光部(非透過部)
151a 接着層
151b 遮光層(透過光調整層)
151c 柄・着色層
151d 金属蒸着層
151e チント着色層
151f ヘアライン柄層
151g トップコート層
151B 剥離層
T1 第一金型
T2 クランプ
T3 ホットパック
T4 第二金型
T5 送り巻き取り装置
T6 ローラ
T7 検知センサ
Claims (13)
- 車両に設置され、発光する発光領域を有する車両用加飾部品であって、
該車両用加飾部品は、光透過性を有し曲面部を備えて構成される樹脂基材と、該樹脂基材の一面に覆設される加飾フィルムと、前記樹脂基材及び前記樹脂基材方向へと光を照射する照射体と、を有して構成されており、
前記加飾フィルムは、
前記照射体からの光を遮光する非透過部と前記照射体からの光を透過する透過部とを有する透過光調整層と、
該透過光調整層の前記車両室内側に積層される装飾層と、を少なくとも備えて構成されており、
前記加飾フィルムは、前記樹脂基材の前記曲面部において、該曲面部に追随しうる最大限の引張展開率となるように調整されて貼付されていることを特徴とする車両用加飾部材。 - 前記装飾層は、金属蒸着層を有して構成されており、前記曲面部に追随しうる最大限の引張展開率は、前記曲面部において、前記金属蒸着層にクラック若しくは亀裂が生じない程度の引張展開率であることを特徴とする請求項1に記載の車両用加飾部材。
- 前記金属蒸着層は、アルミニウムで構成されており、
前記曲面部に追随しうる最小限の引張展開率は、10%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用加飾部材。 - 前記透過光調整層は、多層構造であることを特徴とする請求項1に記載の車両用加飾部材。
- 前記非透過部と前記透過部との境界部においては、
前記非透過部において、前記境界部に近接するに従い色彩濃度が薄くなるようグラデーション処理されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用加飾部材。 - 前記グラデーション処理は、前記境界部に近接している近接部分にのみ施されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用加飾部材。
- 前記樹脂基材は、黒色顔料が混和されて成形されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用加飾部材。
- 前記樹脂基材には、拡散剤が混練されており、
該拡散剤は、アクリル系拡散剤であることを特徴とする請求項1に記載の車両用加飾部材。 - 前記樹脂基材の裏面には、拡散シボが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項8に記載の車両用加飾部材。
- 前記装飾層は、金属蒸着層を有して構成されており、ハーフミラー効果を呈することを特徴とする請求項1に記載の車両用加飾部材。
- 光透過性を有し曲面部を備えて構成される樹脂基材と、該樹脂基材の一面に覆設される加飾フィルムと、前記樹脂基材及び前記樹脂基材方向へと光を照射する照射体と、を有して構成され、発光する発光領域を有する車両用加飾部材の製造方法であって、
前記加飾フィルムは、厚み方向において、熱転写される転写層と、剥離される剥離層とが積層されて構成されるとともに、平面方向において、前記照射体からの光を遮光する非透過部と、前記照射体からの光を透過する透過部とが隣接して構成されており、
前記加飾フィルムを第一金型に対して定位置に配置するフィルムセット工程と、
前記加飾フィルムに熱を加える加熱軟化工程と、
前記加飾フィルムを、前記第一金型の内壁方向に真空吸引して、前記第一金型の内壁形状に追随させる真空成形工程と、
前記第一金型に第二金型を配置して型閉じし、形成されたキャビティに軟化樹脂を注入し、前記加飾フィルムをインモールドして硬化させる射出成型工程と、
前記転写層が覆設された前記車両用加飾部材を離型して、前記剥離層を除去する離型剥離工程と、を行い、
前記フィルムセット工程では、前記透過部が所定位置となる位置にセットされ、
前記真空成形工程では、前記第一金型の前記曲面部が形成される部位において、前記加飾フィルムが、該曲面部に追随しうる最大限の引張展開率となるように調整されることを特徴とする車両用加飾部材の製造方法。 - 前記装飾層は、アルミニウムで構成された金属蒸着層を有して構成されており、前記曲面部に追随しうる最大限の引張展開率は、前記曲面部において、前記金属蒸着層にクラック若しくは亀裂が生じない程度の引張展開率である10%以下に設定されることを特徴とする請求項11に記載の車両用加飾部材の製造方法。
- 前記離型剥離工程についで、
紫外線照射により、前記車両用加飾部材に転写された前記加飾フィルムの最表面上にトップコート層を形成する紫外線照射工程を更に行うことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の車両用加飾部材の製造方法。
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