JP2014228994A - 交通信号制御機 - Google Patents

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充雄 松本
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Abstract

【課題】筐体内の保守作業等を容易に行うことができ、且つ水害時に筐体内への浸水を抑制することができる交通信号制御機を提供する。【解決手段】本発明の交通信号制御機4は、信号灯器3の点灯及び消灯を制御する制御部18を収容した筐体11と、筐体11を所定高さの上位置と当該上位置よりも下方の下位置との間で昇降させるための昇降機構12とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、交通信号制御機に関する。
交差点又は横断歩道には、信号灯器の青、黄、赤、青矢印等の点灯及び消灯を所定の時間間隔で繰り返すように制御する交通信号制御機が設置されている(例えば、特許文献1等参照)。特許文献1に記載された交通信号制御機は、信号灯器を制御する制御部等を収容した筐体を備え、この筐体は、信号柱(信号灯器専用の柱のみならず、電線やケーブル類を架設するための電柱等を兼ねたものも含む。)に固定されている。
特開2009−025897号公報(図1参照) 特開2007−047995号公報
前記交通信号制御機は、筐体内の保守作業等を容易に行うことができるように、通常、路面から筐体の底面までの高さが約1mとなる位置に設置されている。しかし、交通信号制御機の設置場所において、大雨や洪水等の水害時に路面から1mを越える浸水があった場合、筐体内が浸水することによって交通信号制御機が損傷するおそれがある。このような水害対策として、交通信号制御機を防水構造にすることが考えられるが、完全に防水するのは難しいのが現状である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、筐体内の保守作業等を容易に行うことができ、且つ水害時に筐体内への浸水を抑制することができる交通信号制御機を提供することを目的とする。
本発明は、信号灯器の点灯及び消灯を制御する制御部を収容した筐体と、前記筐体を、所定高さの上位置と当該上位置よりも下方の下位置との間で昇降させるための昇降機構と、を備えている交通信号制御機である。
本発明の交通信号制御機によれば、筐体内の保守作業等を容易に行うことができ、且つ水害時に筐体内への浸水を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る交通信号制御機を備えた交通信号機を示す斜視図である。 筐体を下位置とした状態を示す斜視図である。 昇降機構の要部を示す斜視図である。 昇降機構の要部を示す断面図である。 ロック機構を示す断面図である。 制動機構を示す断面図である。 図1の交通信号制御機における昇降機構の変形例を示す斜視図である。 図1の交通信号制御機における別筐体側の変形例を示す斜視図である。 図1の交通信号制御機における別筐体側の他の変形例を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る交通信号制御機を示す斜視図である。 図10の交通信号制御機の筐体を下位置とした状態を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る交通信号制御機を備えた交通信号機を示す側面図である。 図12の交通信号制御機の筐体を下位置とした状態を示す側面図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係る交通信号制御機は、信号灯器の点灯及び消灯を制御する制御部を収容した筐体と、前記筐体を、所定高さの上位置と当該上位置よりも下方の下位置との間で昇降させるための昇降機構と、を備えている。
上記のように構成された交通信号制御機によれば、交通信号制御機の通常運用時は昇降機構により筐体を上位置とすることで、水害が発生したときに筐体内が浸水するのを抑制することができる。また、昇降機構により筐体を上位置から下位置まで下降させることで、筐体内の保守作業等を容易に行うことができる。
(2)前記(1)の交通信号制御機において、前記昇降機構は、前記筐体を前記上位置と前記下位置との間で上下回動可能に支持する回転軸を有していることが好ましい。
この場合、回転軸を回転させることにより筐体を上下回動させることができるため、簡単な構成によって筐体を昇降させることができる。
(3)前記(2)の交通信号制御機において、前記回転軸は筒状に形成されており、その内部空間は前記筐体に接続される電気配線の配置スペースとされていることが好ましい。
この場合、筐体を上下回動させるときに、その回動中心である回転軸内に電気配線が配置されているため、電気配線は損傷等の影響を受けにくい。
(4)前記(2)又は(3)の交通信号制御機において、前記信号灯器の点灯及び消灯を手動で操作するための手動操作部をさらに備え、前記手動操作部は、前記筐体を前記上位置とした状態で、当該筐体よりも下方に配置されていることが好ましい。
この場合、筐体を上位置とした状態で、手動操作部は筐体よりも下方に配置されるため、筐体を上位置とした状態であっても、手動操作部によって信号灯器の点灯及び消灯の手動操作を容易に行うことができる。
(5)前記(4)の交通信号制御機において、前記手動操作部は、前記筐体に対して前記回転軸を挟んだ反対側に設けられていることが好ましい。
この場合、筐体を上位置とした状態で、手動操作部は、筐体に対して回転軸を挟んだ反対側、つまり筐体よりも下方に配置されるため、筐体を上位置とした状態であっても、手動操作部によって信号灯器の点灯及び消灯の手動操作を容易に行うことができる。
(6)前記(2)〜(5)のいずれかの交通信号制御機は、前記筐体に対して前記回転軸を挟んだ反対側に設けられ、前記筐体側の重量と釣り合わすための重量を有するバランスウェイトをさらに備えていることが好ましい。ここで、「筐体側の重量」とは、筐体自体の重量に、筐体内に収容された制御部等の全ての機器の重量を加算した合計重量をいう。
この場合、筐体側の重量と、回転軸を挟んだ反対側の重量とがバランスウェイトによって釣り合うので、筐体を安定した状態で上下回動させることができる。
(7)前記(2)〜(6)のいずれかの交通信号制御機において、前記筐体に対して前記回転軸を挟んだ反対側に設けられ、前記信号灯器の点灯及び消灯を制御する予備制御部を収容した別筐体をさらに備えていることが好ましい。
制御部から予備制御部に交換する工事において、制御部と予備制御部とを一定期間、併用することが行われる。その際、制御部と予備制御部とが回転軸を挟んで上下方向に配置されるため、予備制御部を制御部の横に配置する場合に比べて、これら制御部が道路空間側にはみ出す領域を小さくすることができる。
(8)前記(2)〜(7)のいずれかの交通信号制御機は、前記筐体を前記上位置で保持するためのロック機構をさらに備えていることが好ましい。
この場合、筐体を上位置で保持することができるので、筐体が不用意に下方回動するのを防止することができる。
(9)前記(2)〜(8)のいずれかの交通信号制御機は、前記筐体の上下回動を制動する制動機構をさらに備えていることが好ましい。
この場合、筐体の上下回動を制動することができるため、筐体の上下回動時に筐体内の機器や電気配線等が損傷するのを抑制することができる。
(10)前記(2)〜(9)のいずれかの交通信号制御機は、前記筐体に対して前記回転軸を挟んだ反対側に設けられ、前記信号灯器に給電可能な蓄電部をさらに備えていることが好ましい。
この場合、筐体内の制御部等の異常により信号灯器への給電が遮断された場合でも、蓄電部によって信号灯器に給電することができる。
(11)前記(10)の交通信号制御機は、前記筐体を前記上位置とした状態で、前記蓄電部が浸水する直前の水位を検出する水位検出部をさらに備え、前記蓄電部は、前記水位検出部の検出信号に基づいて、前記信号灯器への給電を遮断することが好ましい。
この場合、蓄電部から信号灯器に給電しているときに水害が発生した場合、水位検出部により蓄電部が浸水する直前の水位を検出したときに、蓄電部は信号灯器への給電を遮断するため、蓄電部の浸水に起因する漏電を防止することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る交通信号制御機を備えた交通信号機を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の交通信号機1は、信号柱2と、信号灯器3と、交通信号制御機4とを備えている。信号柱2は、円筒状に形成されており、その内部空間は、後述する電気配線5の配置スペースとされている。
ここで、「信号柱2」には、信号灯器3専用の柱のみならず、電線やケーブル類を架設するための電柱等を兼ねたものも含む。
信号灯器3は、青、黄、赤の灯色を点灯表示するものであり、信号柱2の上端部に設置されている。
交通信号制御機4は、筐体11と、筐体11を昇降させるための昇降機構12と、別筐体13と、ロック機構14と、手動操作部15と、制動機構16とを備えている。
筐体11は、中空直方体状に形成されており、開閉蓋11aを有している。開閉蓋11aは、通常は図示しない施錠装置によって閉状態で施錠されている。筐体11の内部には、信号灯器3の点灯及び消灯を制御する制御部18や、図示しない電源部及び通信部等が収容されている。筐体11の側壁11bは、後述する保持部22に固定されている。
<昇降機構>
昇降機構12は、筐体11を、その下面が路面から所定高さ(例えば約2m)となる上位置(図1に示す位置)と、当該上位置よりも下方の下位置(図2に示す位置)との間で上下回動させるものである。前記下位置は、路面から図2の筐体11の下面までの高さが、例えば約1mとなる位置に設定されている。昇降機構12は、回転軸21と、保持部22と、接続部23とを有している。
回転軸21は、信号柱2に対して、水平方向に突出した状態で、水平軸X回りに一方向に約180°の角度範囲内で回転可能に支持されている。保持部22は、上下方向に延びる平板部材からなり、信号柱2の外周面に対して所定間隔をあけて配置されている。接続部23は、図1の状態において筐体11の下方に配置されている。
図3は、昇降機構12の要部を示す斜視図である。また、図4は、昇降機構12の要部を示す断面図である。
図3及び図4に示すように、接続部23は、中空直方体状に形成されており、その一側面23cが保持部22の一面に固定されている。接続部23の上面及び下面には、厚さ方向に貫通する貫通孔23a,23bがそれぞれ形成されている。
回転軸21は、接続部23の前記一側面23cと対向する他側面23d側から、接続部23及び保持部22を水平方向に貫通した状態で、回転軸21の端部に形成されたフランジ部21cが前記他側面23dに当接して固定されている。これにより、回転軸21は、その水平軸X回りに、接続部23、保持部22及び筐体11と共に回転するようになっている。換言すれば、筐体11は、保持部22及び接続部23を介して、回転軸21に対して上下回動可能に支持されている。
回転軸21は、円筒状に形成されており、その内部空間は電気配線5の配置スペースSとされている。回転軸21の周方向に一対の貫通孔21a,21bが形成されている。一方の貫通孔21aは接続部23の貫通孔23aに対応する位置に、他方の貫通孔21bは接続部23の貫通孔23bに対応する位置に、それぞれ形成されている。前記電気配線5のうち、筐体11内の制御部18に接続される電気配線5aは、回転軸21の貫通孔21a、接続部23の貫通孔23aを順次貫通して筐体11内に配線される。また、前記電気配線5のうち、別筐体13内の予備制御部19(後述)に接続される電気配線5bは、回転軸21の貫通孔21b、接続部23の貫通孔23bを順次貫通して別筐体13内に配線される。
<別筐体>
図1に示すように、別筐体13は、筐体11と同一形状の直方体状に形成されており、開閉蓋13aを有している。開閉蓋13aは、通常は図示しない施錠装置によって閉状態で施錠されている。別筐体13は、筐体11に対して接続部23(回転軸21)を挟んで反対側に配置された状態で、側壁13bが保持部22に固定されている。これにより、別筐体13は、保持部22及び接続部23を介して、回転軸21に対して上下回動可能に支持されている。
別筐体13の内部には、信号灯器3の点灯及び消灯を制御する予備制御部19や、図示しない予備電源部及び予備通信部等が収容されている。別筐体13内の予備制御部19等は、筐体11内の制御部18等が経年劣化したときに、これら制御部18等と交換して新たに使用されるものである。
<ロック機構>
図1に示すように、ロック機構14は、筐体11を上位置で保持するものであり、一対のねじ部材14aを有している。
図5は、ロック機構14を示す断面図である。図5に示すように、ねじ部材14aは、別筐体13の内部から、その側壁13bに貫通形成された挿通孔13b1、及び保持部22に貫通形成された挿通孔22aを貫通して、信号柱2に形成された一対のねじ孔2aに螺合されている。
これにより、交通信号制御機4の通常運用時には、ロック機構14により別筐体13を信号柱2に固定することで、筐体11は図1に示す上位置の状態で保持されている。そして、この状態から筐体11内の保守作業等を行うときは、ロック機構14のねじ部材14aを螺合解除し、筐体11を下位置(図2参照)まで回動させる。その際、ねじ部材14aを、別筐体13の内部から螺合解除するようになっているため、別筐体13の開閉蓋13aの施錠を解除しない限り、ねじ部材14aを螺合解除することはできない。したがって、第3者によって筐体11が不用意に下方回動するのを防止することができる。
なお、ロック機構14は、筐体11を上位置で保持することができるものであれば、ねじ部材14a以外の他の部材を用いても良い。
<手動操作部>
図1に示すように、手動操作部15は、信号灯器3の点灯及び消灯を手動で操作するためのものであり、信号柱2の低位置に設置されている。手動操作部15は、例えば、祭礼やイベント時などに、警察官等により、通常の信号制御とは異なる秒数で運用する場合に使用される。
手動操作部15は、信号柱2に固定された中空直方体状の操作箱15aと、操作箱15aの内部に設けられた操作スイッチ(図示省略)とを有している。操作箱15aは、開閉蓋15a1を有している。開閉蓋13aは、通常は図示しない施錠装置によって閉状態で施錠されている。
図1に示すように、操作箱15aは、筐体11を上位置とした状態で、当該筐体11よりも下方に配置されている。具体的には、路面から操作箱15aの下面までの高さは、路面から上位置の筐体11の下面までの高さよりも低い値(例えば約1.3〜1.5m)に設定されている。これにより、筐体11を上位置とした状態であっても、手動操作部15の操作スイッチを地上から容易に操作することができる。
なお、手動操作部15は、信号柱2に設けられているが、別筐体13に設けられていても良い。また、手動操作部15は、信号柱2に設けられているものに加えて、別筐体13に別途設けられていても良い。この場合、信号柱2及び別筐体13にそれぞれ設けられた手動操作部15のいずれからでも操作することができる。
<制動機構>
図6は、制動機構16を示す断面図である。
制動機構16は、筐体11の上下回動を制動するために、回転軸21の一端部に設けられている。本実施形態の制動機構16は、ロータリダンパからなり、本体部31と、本体部31に対して回転可能に支持されたロータ32と、本体部31に封入された粘性流体であるオイル33とを備えている。
本体部31は、信号柱2の外周面に固定された基台31aと、基台31aに一体形成された固定軸31b及び円筒部31cと、円筒部31cの開口を閉鎖する蓋部31dとを有している。また、本体部31には、基台31a及び固定軸31bを貫通する貫通孔31eが形成されている。
ロータ32は、円筒部31c内において固定軸31bに対して回転可能に支持されたロータ本体32aと、蓋部31dを貫通して外側に突出する突出部32bとを有している。突出部32bには、回転軸21の一端部が一体回転可能に連結されている。また、ロータ32には、ロータ本体32a及び突出部32bを貫通する貫通孔32cが形成されている。これにより、信号柱2内の電気配線5を、信号柱2に形成された貫通孔2b、本体部31の貫通孔31e、ロータ32の貫通孔32cを貫通して、回転軸21内に配線することができる。ロータ32は、回転軸21と同様に、一方向に約180°の角度範囲内で回転可能に支持されている。したがって、回転軸21及びロータ32が回転したときに、電気配線5が捩れて断線するのを防止することができる。オイル33は、基台31a、円筒部31c及び蓋部31dとによって形成された密封空間内に封入されている。
以上の構成により、筐体11を上下回動させると、回転軸21と共にロータ32が回転する。その際、オイル33の粘性抵抗により、ロータ32の回転を制動する制動力が発生するため、この制動力によって筐体11の上下回動を制動することができる。
なお、制動機構16は、筐体11の上下回動を制動できるものであれば、ロータリダンパ以外の他の制動機構を用いても良い。
以上、本実施形態の交通信号制御機4によれば、昇降機構12により筐体11を昇降させることができるので、交通信号制御機4の通常運用時は筐体11を上位置とすることで、水害が発生したときに筐体11内が浸水するのを抑制することができる。また、昇降機構12により筐体11を上位置から下位置まで下降させることにより、筐体11内の保守作業等を容易に行うことができる。
また、回転軸21を回転させることにより筐体11を上下回動させることができるため、簡単な構成によって筐体11を昇降させることができる。
また、回転軸21内に電気配線5が配置されているため、筐体11を上下回動させるときに、電気配線5は損傷等の影響を受けにくい。
また、手動操作部15は、筐体11を上位置とした状態で、筐体11よりも下方に配置されるため、筐体11を上位置とした状態であっても、手動操作部15の操作スイッチを地上から容易に操作することができる。
また、制御部18から予備制御部19に交換する工事において、制御部18と予備制御部19とを一定期間併用する際、制御部18及び予備制御部19は回転軸21を挟んで上下方向に配置されるため、予備制御部19を制御部18の横に配置する場合に比べて、これら制御部18,19が道路空間側にはみ出す領域を小さくすることができる。
また、ロック機構14により筐体11を上位置で保持することができるので、筐体11が不用意に下方回動するのを防止することができる。また、制動機構16により筐体11の上下回動を制動することができるので、筐体11の上下回動時に、筐体11内の機器や電気配線5等が損傷するのを抑制することができる。
<昇降機構の変形例>
図7は、本実施形態の交通信号制御機4における昇降機構12の変形例を示している。この変形例では、昇降機構12の回転軸21が、接続部23を図7の紙面に対して垂直方向に貫通して信号柱2に回転可能に支持されている。具体的には、回転軸21は、接続部23を筐体11の開閉蓋11a側から背壁11cに向けて貫通した状態で信号柱2に回転可能に支持されている。これにより、筐体11は、背壁11cを信号柱2に向けた状態で、水平軸X回りに回転するようになっている。
<別筐体側の変形例>
図8は、本実施形態の交通信号制御機4における別筐体13側の変形例を示している。この変形例では、別筐体13の内部に、予備制御部19等の機器の替わりに、バランスウェイト41が収容されている。バランスウェイト41の重量は、別筐体13側の重量が筐体11側の重量と釣り合う重量に設定されている。ここで、「筐体11側の重量」とは、筐体11自体の重量に、筐体11内に収容された制御部18等の全ての機器の重量を加算した合計重量をいう。また、「別筐体13側の重量」は、別筐体13自体の重量に、別筐体13内に収容された全ての収容物の重量(ここでは、バランスウェイト41の重量)を加算した合計重量をいう。
この変形例によれば、筐体11側の重量と、回転軸21を挟んだ反対側の別筐体13側の重量とが釣り合うので、筐体11を安定した状態で上下回動させることができる。
図9は、本実施形態の交通信号制御機4における別筐体13側の他の変形例を示している。この変形例では、別筐体13の内部に、予備制御部19等の機器の替わりに、蓄電部42が収容されている。この蓄電部42は、例えばバッテリ等の蓄電池を内部に備えており、筐体11内の制御部18の異常等により信号灯器3への給電が遮断されたときに、信号灯器3に給電するものである。
また、別筐体13の内部には、水位を検出する水位検出部43が設けられている。この水位検出部43は、例えば水位センサからなり、図9の状態、すなわち筐体11を上位置とした状態で、蓄電部42よりも下方となる位置に配置されている。これにより、水位検出部43は、水害により蓄電部42が浸水する直前の水位を検出することができる。
水位検出部43の検出信号は、蓄電部42に入力されるようになっている。蓄電部42は、信号灯器3に給電しているときに、前記検出信号が入力されると、信号灯器3への給電を遮断するようになっている。
なお、水位検出部43は、別筐体13内に設けられているが、信号柱2に取り付けられていても良い。また、水位検出部43の検出信号は、交通信号制御機1の管制センターへ送信するようにしても良い。この場合、前記検出信号を水位検出された道路の通行規制案内に活用することができる。
以上、この変形例によれば、筐体11内の制御部18等の異常により信号灯器3への給電が遮断された場合でも、蓄電部42によって信号灯器3に給電することができる。
また、蓄電部42から信号灯器3への給電時に水害が発生した場合、水位検出部43により蓄電部42が浸水する直前の水位を検出したときに、蓄電部42は信号灯器3への給電を遮断するため、蓄電部42の浸水に起因する漏電を防止することができる。この場合、信号灯器は消灯するが、浸水時は交通信号機1が設置された交差点を車両が通過することはできないので、交通に混乱が生じることはない。また、蓄電部42は浸水によって使用不能になる場合があるが、水害後に道路や交差点が開通するまでに、流出したゴミ等の除去作業に時間がかかるため、復電によって交通信号制御機4の通常動作を確保すればよい。
なお、図8及び図9の変形例では、別筐体13の内部に、予備制御部19等の機器の替わりにバランスウェイト41や蓄電部42等を収容しているが、予備制御部19等の機器と共にバランスウェイト41や蓄電部42等を収容しても良い。また、別筐体13の内部には、バランスウェイト41や蓄電部42以外に、災害対策用の簡易燃料や保存水等の緊急備品を収容するようにしても良い。さらに、バランスウェイト41や蓄電部42は、別筐体13の内部に収容されているが、別筐体13を設けずに、保持部22又は接続部23に直接取り付けられていても良い。
<第2実施形態>
図10は、本発明の第2実施形態に係る交通信号制御機4を示す斜視図である。また、図11は、その交通信号制御4の筐体11を下位置とした状態を示す斜視図である。
図10に示すように、本実施形態の交通信号制御機4は、信号柱2から独立して設置されている。この交通信号制御機4は、地上に設置された架台51と、昇降機構12を支持する一対の支持部材52とを備えている。支持部材52は、上下方向に延びる平板部材からなり、その下端部は架台51に固定され、上端部には昇降機構12の回転軸21の両端部が回転可能に支持されている。支持部材52には、ロック機構14の一対のねじ部材14aが螺合されるねじ孔52aが形成されている。
昇降機構12における筐体11、接続部23及び別筐体13は、一対の保持部22の間に配置された状態で、両保持部22に固定されている。これにより、筐体11は、一対の支持部材52の間において回転軸21の水平軸X回りに回動することで、上位置(図10の位置)と下位置(図11の位置)との間で昇降するようになっている。別筐体13の開閉蓋13aの外面には、手動操作部15の操作箱15aが固定されている。なお、本実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以上、本実施形態の交通信号制御機4によれば、手動操作部15は、筐体11に対して回転軸21を挟んで反対側に配置された別筐体13に設けられているため、筐体11を上位置とした状態で、手動操作部15は筐体11よりも下方に配置される。したがって、筐体11を上位置とした状態であっても、手動操作部15の操作スイッチを地上から容易に操作することができる。
なお、本実施形態の交通信号制御機4では、別筐体13の内部に予備制御部19等の機器を収容しているが、第1実施形態の変形例(図8及び図9)と同様に、予備制御部19等の機器の替わりに(又はこれらの機器と共に)、バランスウェイト41や蓄電部42等を収容しても良い。また、本実施形態の手動操作部15は、別筐体13に設けられているが、支持部材52に設けられていても良い。
<第3実施形態>
図12は、本発明の第3実施形態に係る交通信号制御機4を備えた交通信号機1を示す側面図である。また、図13は、その交通信号制御機4の筐体11を下位置とした状態を示す側面図である。
図12及び図13に示すように、本実施形態の交通信号制御機4は、筐体11を上位置(図12に示す位置)と下位置(図13に示す位置)との間で、上下方向に直線的に昇降させる昇降機構12を備えている。昇降機構12は、駆動源であるシリンダ61と、ワイヤ62と、2つのプーリ63,64と、ガイド65とを有している。
シリンダ61は、信号柱2の内部に配置されており、信号柱2の内周面に固定されたシリンダ本体61aと、このシリンダ本体61aに対して伸縮作動するロッド61bとからなる。ロッド61bの先端にはワイヤ62の一端が接続されている。プーリ63,64は、信号柱2の上端部に回転可能に支持されており、ワイヤ62の中間部が掛け回されている、ワイヤ62の他端は、筐体11の上面に接続されている。これにより、シリンダ61のロッド61bを伸縮作動させることで、ワイヤ62を介して筐体11を昇降させることができる。ガイド65は、筐体11の昇降を案内するために、信号柱2に沿って上下方向に延びて形成されている。
信号柱2には、筐体11の昇降を手動で操作するための昇降操作部66が設置されている。昇降操作部66は、信号柱2に固定された中空直方体状の操作箱66aと、操作箱66aの内部に設けられた上昇スイッチ66b及び下降スイッチ66cとを有している。
操作箱66aは開閉蓋66a1を有している。開閉蓋66aは、通常は図示しない施錠装置によって閉状態で施錠されている。操作箱66aは、上昇及び下降スイッチ66b,66cを地上から容易に操作できるように、信号柱2の低位置に設置されている。
上昇スイッチ66bは、シリンダ61のロッド61bを伸長作動させて筐体11を上昇させるための操作スイッチである。また、下降スイッチ66cは、前記ロッド61bを収縮作動させて筐体11を下降させるための操作スイッチである。
以上の構成により、交通信号制御機4の通常運用時には、シリンダ61のロッド61bを最収縮させることで、筐体11はワイヤ62を介して上位置(図12参照)に保持されている。これにより、水害が発生したときに筐体11内が浸水するのを抑制することができる。そして、この状態から、下降スイッチ66cを操作してシリンダ61のロッド61bを最伸長させることで、ワイヤ62を介して筐体11を下位置(図13参照)まで下降させることができる。これにより、筐体11内の保守作業等を容易に行うことができる。なお、本実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
本実施形態の交通信号制御機4によれば、筐体11を上下方向に直線的に昇降させることができるので、第1及び第2実施形態のように、筐体11を回動させる場合に比べて、筐体11を省スペースで昇降させることができる。
なお、本実施形態では、駆動源としてシリンダ61を用いているが、モータ等の他の駆動源を用いても良い。また、本実施形態では、筐体11のみを昇降させているが、上述の実施形態における予備制御部19、バランスウェイト41又は蓄電部42等を収容した別筐体13を筐体11と共に昇降させるようにしても良い。さらに、手動操作部15は、信号柱2に設けられているが、筐体11に設けられていても良い。また、手動操作部15は、信号柱2に設けられているものに加えて、筐体11に別途設けられていても良い。この場合、信号柱2及び筐体11にそれぞれ設けられた手動操作部15は並列操作されることになる。
<その他の変形例>
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 交通信号機
2 信号柱
2a ねじ孔
2b 貫通孔
3 信号灯器
4 交通信号制御機
5 電気配線
5a,5b 電気配線
11 筐体
11a 開閉蓋
11b 側壁
11c 背壁
12 昇降機構
13 別筐体
13a 開閉蓋
13b 側壁
13b1 挿通孔
14 ロック機構
14a ねじ部材
15 手動操作部
15a 操作箱
15a1 開閉蓋
16 制動機構
18 制御部
19 予備制御部
21 回転軸
21a,21b 貫通孔
21c フランジ部
22 保持部
22a 挿通孔
23 接続部
23a,23b 貫通孔
23c 一側面
23d 他側面
31 本体部
31a 基台
31b 固定軸
31c 円筒部
31d 蓋部
31e 貫通孔
32 ロータ
32a ロータ本体
32b 突出部
32c 貫通孔
33 オイル
41 バランスウェイト
42 蓄電部
43 水位検出部
51 架台
52 支持部材
52a ねじ孔
61 シリンダ
61a シリンダ本体
61b ロッド
62 ワイヤ
63 プーリ
64 プーリ
65 ガイド
66 昇降操作部
66a 操作箱
66a1 開閉蓋
66b 上昇スイッチ
66c 下降スイッチ
S 配置スペース
X 水平軸

Claims (11)

  1. 信号灯器の点灯及び消灯を制御する制御部を収容した筐体と、
    前記筐体を、所定高さの上位置と当該上位置よりも下方の下位置との間で昇降させるための昇降機構と、を備えている交通信号制御機。
  2. 前記昇降機構は、前記筐体を前記上位置と前記下位置との間で上下回動可能に支持する回転軸を有している請求項1に記載の交通信号制御機。
  3. 前記回転軸は筒状に形成されており、その内部空間は前記筐体に接続される電気配線の配置スペースとされている請求項2に記載の交通信号制御機。
  4. 前記信号灯器の点灯及び消灯を手動で操作するための手動操作部をさらに備え、
    前記手動操作部は、前記筐体を前記上位置とした状態で、当該筐体よりも下方に配置されている請求項2又は請求項3に記載の交通信号制御機。
  5. 前記手動操作部は、前記筐体に対して前記回転軸を挟んだ反対側に設けられている請求項4に記載の交通信号制御機。
  6. 前記筐体に対して前記回転軸を挟んだ反対側に設けられ、前記筐体側の重量と釣り合わすための重量を有するバランスウェイトをさらに備えている請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
  7. 前記筐体に対して前記回転軸を挟んだ反対側に設けられ、前記信号灯器の点灯及び消灯を制御する予備制御部を収容した別筐体をさらに備えている請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
  8. 前記筐体を前記上位置で保持するためのロック機構をさらに備えている請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
  9. 前記筐体の上下回動を制動する制動機構をさらに備えている請求項2〜請求項8のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
  10. 前記筐体に対して前記回転軸を挟んだ反対側に設けられ、前記信号灯器に給電可能な蓄電部をさらに備えている請求項2〜請求項9のいずれか1項に記載の交通信号制御機。
  11. 前記筐体を前記上位置とした状態で、前記蓄電部が浸水する直前の水位を検出する水位検出部をさらに備え、
    前記蓄電部は、前記水位検出部の検出信号に基づいて、前記信号灯器への給電を遮断する請求項10に記載の交通信号制御機。
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