JP2014227994A - 熱源水利用発電方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型高性能で低コスト生産が可能であり、占有設置面積が小さく、しかも、安全で信頼性が高い熱源水利用発電方法及び装置を提供する。
【解決手段】密閉動力サイクル15とヒートポンプHPとを熱的に結合し、該ヒートポンプで熱源水を利用して液化冷媒から冷媒蒸気を生成し、該冷媒蒸気を冷媒圧縮機P2により圧縮した後に膨張・蒸発させて冷熱を発生させ、低温低圧作動流体を流体圧縮機27により圧縮して高温高圧作動流体を生成し、蓄電ユニット20の蓄電電力をパルス電源28に供給することでパルス電力を生成し、該パルス電力により加熱した該高温高圧作動流体により該可動ピストン200を作動させて発生させた機械エネルギーを発電機16に供給して発電電力を発生させ、該機械エネルギーの一部で該ヒートポンプを駆動し、該可動ピストンの膨張ガスを該冷熱により冷却する熱源水利用発電方法及び装置。
【選択図】図1
【解決手段】密閉動力サイクル15とヒートポンプHPとを熱的に結合し、該ヒートポンプで熱源水を利用して液化冷媒から冷媒蒸気を生成し、該冷媒蒸気を冷媒圧縮機P2により圧縮した後に膨張・蒸発させて冷熱を発生させ、低温低圧作動流体を流体圧縮機27により圧縮して高温高圧作動流体を生成し、蓄電ユニット20の蓄電電力をパルス電源28に供給することでパルス電力を生成し、該パルス電力により加熱した該高温高圧作動流体により該可動ピストン200を作動させて発生させた機械エネルギーを発電機16に供給して発電電力を発生させ、該機械エネルギーの一部で該ヒートポンプを駆動し、該可動ピストンの膨張ガスを該冷熱により冷却する熱源水利用発電方法及び装置。
【選択図】図1
Description
本発明は熱源水利用発電方法及び装置に関し、特に、低温熱源水を利用して高効率で発電が可能な熱源水利用発電方法及び装置に関する。
近年、大気汚染防止と地球温暖化対策の有効な解決策として再生可能エネルギーが注目され、その中で、特に、温泉水、地下水、工場廃液、工場排水、海水等の熱源水を有効利用したバイナリー発電装置の研究開発が活発になっている。
特許文献1には、高圧液体二酸化炭素を熱水に接触させて高圧二酸化炭素ガスを生成してタービン発電機で発電するようにしたバイナリーサイクル発電方法及び装置が提案されている。
特許文献2には、低沸点作動媒体を熱源水と接触させて蒸気を生成し、この蒸気によりタービン発電機を駆動して発電するようにしたバイナリー発電システムが提案されている。
ところで、特許文献1及び2で開示されたバイナリー発電システムでは、動力サイクルの作動媒体を直接、熱水に接触させてタービン駆動用蒸気を生成している。そのため、実用的な発電電力を得るためには、かなり高温(例えば、80℃以上)の熱を必要としていた。その結果、熱源水の利用範囲が極めて限定され、例えば、20〜60℃の低温度領域の温泉排水、銭湯排水や工場廃液等は有効活用されることなく、無駄に廃棄されていた。特に、比較的低温の温泉排水、工場排水、食品工場廃液、銭湯排水、地下水、湖水、河川水、海水等の熱源水は全国において広範囲で分布しているにもかかわらず、これまで有効利用されることがなかった。また、これら特許文献1及び2で開示されたバイナリー発電システムで採用されたタービン発電機ではタービンとタービンハウジングとの間及びタービンブレード間に大きな隙間が存在していて未利用動力ガスがタービンブレードの隙間から逃げて遺棄される結果、再生可能エネルギーを効率的に回収することができなかった。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、比較的低温の温泉排水、地下水、工場排水、食品工場廃液、銭湯排水、湖水、河川水、海水等の熱源水から再生可能エネルギーを効率的に回収することが可能な熱源水利用発電方法及び装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載された第1発明によれば、熱源水利用発電方法が、密閉動力サイクルとヒートポンプとを熱的に結合し、該ヒートポンプで低温熱回収熱交換器を介して熱源水を利用して液化冷媒から冷媒蒸気を生成し、該冷媒蒸気を冷媒圧縮機により圧縮した後に膨張・蒸発させて冷熱を発生させ、低温低圧作動流体を流体圧縮機により圧縮して高温高圧作動流体を生成し、蓄電ユニットの蓄電電力をパルス電源に供給することでパルス電力を生成し、該パルス電力により当該電気式動力ガス発生器を所定温度に加熱し、該高温高圧作動流体を該電気式動力ガス発生器と接触させることにより高温高圧動力ガスを生成し、当該高温高圧動力ガスにより該可動ピストンを作動させて機械エネルギーを発生させ、当該機械エネルギーを発電機に供給して発電電力を発生させ、該機械エネルギーの一部で該ヒートポンプを駆動し、該可動ピストンの膨張ガスを該冷熱により冷却することを特徴とすることを特徴とする。
請求項2に記載された発明によれば、請求項1記載の構成に加えて、好ましくは、該発電電力の一部を蓄電用電力として該蓄電ユニットに充電し、さらに、該高温高圧作動流体をバッファアキュムレータで一時的に蓄圧し、当該電気式動力ガス発生器に供給される該高圧作動流体の供給タイミングを制御弁により制御し、該バッファアキュムレータと該制御弁とを該可動ピストンのスタータとして機能させることを特徴とする。
請求項3に記載された発明によれば、請求項1又は2記載の構成に加えて、該冷媒と該作動流体が該ヒートポンプと該密閉動力サイクルとにそれぞれ所定圧で封入された二酸化炭素を含み、該冷媒圧縮機及び該流体圧縮機がCO2冷媒とCO2作動流体をいずれも超臨界状態で圧縮することを特徴とする。
請求項4に記載された第2発明によれば、熱源水利用発電装置が、密閉動力サイクルとヒートポンプとを熱的に結合し、該ヒートポンプで低温熱回収熱交換器を介して熱源水を利用して液化冷媒から冷媒蒸気を生成し、該冷媒蒸気を冷媒圧縮機により圧縮した後に膨張・蒸発させて冷熱を発生させ、低温低圧作動流体を流体圧縮機により圧縮して高温高圧作動流体を生成し、蓄電ユニットの蓄電電力をパルス電源に供給することでパルス電力を生成し、該パルス電力により当該電気式動力ガス発生器を所定温度に加熱し、該高温高圧作動流体を該電気式動力ガス発生器と接触させることにより高温高圧動力ガスを生成し、当該高温高圧動力ガスにより該可動ピストンを作動させて機械エネルギーを発生させ、当該機械エネルギーを発電機に供給して発電電力を発生させ、該機械エネルギーの一部で該ヒートポンプを駆動し、該可動ピストンの膨張ガスを該冷熱により冷却することを特徴とすることを特徴とする。
請求項5に記載された発明によれば、請求項4記載の構成に加えて、該冷媒と該作動流体が該ヒートポンプと該密閉動力サイクルとにそれぞれ所定圧で封入された二酸化炭素を含み、該冷媒圧縮機及び該流体圧縮機がCO2冷媒とCO2作動流体をいずれも超臨界状態で圧縮することを特徴とする。
請求項6に記載された発明によれば、請求項5記載の構成に加えて、該電気式動力ガス発生器が、ケーシングに形成された動力ガス発生室と、該動力ガス発生室に収納された管状通電加熱手段とを備え、該管状通電加熱手段が該パルス電力により通電して作動流体の分解温度以下の温度領域で発熱して当該高温高圧作動流体から当該高温高圧動力ガスを生成することを特徴とする。
本発明では、作動流体を熱水と直接接触させるのではなく、ヒートポンプが低温熱回収熱交換器を介して熱源水を利用して液化冷媒から冷媒蒸気を生成する。この時、冷媒の湿り蒸気は熱源水を利用して過熱蒸気にされるため、冷媒圧縮機の耐久性が劣化することがない。密閉動力サイクルでは低温低圧作動流体が流体圧縮機により圧縮されて高温高圧作動流体を生成する。該高温高圧作動流体を電気式動力ガス発生器と接触させることにより高温高圧動力ガスを生成し、該高温高圧動力ガスにより可動ピストンを作動させて機械エネルギーを発生させる。この機械エネルギーを発電機に供給して発電を行う。このように、本発明では、これまで未利用のまま遺棄されていた比較的低温の温泉排水、工場排水、食品工場廃液、銭湯排水、湖水、河川水、海水等の熱源水の熱エネルギーを効率的に回収できるため、広範囲においてクリーンな発電が可能となる。
また、蓄電ユニットには発電機の発電電力の一部を充電するため、小容量の蓄電ユニットを使用することができる。さらに、高圧作動流体をバッファアキュムレータで一時的に蓄圧して制御弁により最適な供給タイミングで取り出すため、高圧作動流体の脈動が抑制され、可動ピストンの回転ムラが防止され、発電機の回転ムラを少なくして発電機の出力電圧をより安定化して発電電力の品質を向上させることができる。しかも、バッファアキュムレータと制御弁とが可動ピストンのスタータとして機能するため、簡単で信頼性が高い始動が可能となる。
以下、図面に基づき、本発明による熱源水利用発電方法を実施するための熱源水利用発電装置の実施例について詳細に説明する。図1に示した実施例において、熱源水利用発電装置は熱源水としての温泉排水に適用したものとして説明するが、本発明はこの適用例に限定されず、温泉源泉水、地下水、地熱熱水、工場排水、食品工場廃液、銭湯温排水、湖水、河川水、海水等の熱源水にも適用可能である。
図1において、熱源水利用発電装置10は、エネルギー変換装置12を備え、エネルギー変換装置12は密閉動力サイクル15と、熱源水の熱を汲み取って密閉動力サイクル15に熱移送を行うヒートポンプHPとを備える。エネルギー変換装置12は、後述のごとく、ヒートポンプHPから移送された熱源水の熱を利用して機械エネルギーを発生させ、出力軸132を介して該機械エネルギーを発電機16に供給して発電電力を生成する。
密閉動力サイクル15は、低温低圧蒸気からなる作動流体Wfを圧縮して高温高圧作動流体を生成する流体圧縮機(複合型圧縮機)27と、流体圧縮機27から吐出された高温高圧作動流体Wfpを逆止弁29を介して一時的に蓄圧する摺動ピストン及びバネ手段30aを内蔵した蓄圧室30bを有するバッファアキュムレータ30と、バッファアキュムレータ30のアウトレット30cから供給される高温高圧作動流体Wfpの供給タイミング(流通期間)を制御する電磁弁からなる制御弁32と、バッファアキュムレータ30から供給された高温高圧作動流体Wfpを加熱して瞬時に高温高圧動力ガスSCfを発生させる電気式動力ガス発生器42と、高温高圧動力ガスを作動室116内において爆発的に膨張させて機械エネルギーに変換する可動ピストン(ロータリピストン本体)200を備えていて出力軸132を介して該機械エネルギーを取り出すとともにその一部を流体圧縮機27に伝達する回転式流体機械40と、ヒートポンプHPで生成した冷熱を利用して回転式流体機械40の膨張ガスを冷却する冷却器43とを備える。
本実施例において、密閉動力サイクル15の作動流体及びヒートポンプHPの冷媒としては、本発明を限定するものではないが、自然界に存在する安全な物質であり、極めて安価に手に入れることができる理由から、オゾン層破壊係数がゼロで地球温暖化係数が1の自然冷媒である二酸化炭素(以下、CO2と略称する)を利用する。説明の便宜上、密閉動力サイクル15の作動流体をCO2作動流体、ヒートポンプHPの冷媒をCO2冷媒と称する。
バッファアキュムレータ30のバネ手段30aは、蓄圧室30bのCO2作動流体が第1所定圧、例えば、20〜60MPaの圧力範囲に維持されるように選択される。したがって、密閉動力サイクル15において、逆止弁29と制御弁32との間の第一圧力経路における圧力は20〜60MPaに維持され、回転式流体機械40のアウトレット126と圧縮機27のインレット356bとの間の第二圧力経路は第2所定圧、例えば、3MPaに維持されるようにCO2作動流体が密閉動力サイクル15に充填される。ヒートポンプHPにおいて、低圧側経路のCO2冷媒は3MPaとなるように充填される。その目的は、圧縮機27がCO2作動流体及びCO2冷媒を圧縮する際に、容易にCO2作動流体及びCO2冷媒(後述する)が超臨界状態下で圧縮され、圧縮機27の駆動に必要な動力を大幅に低減するからである。
しかしながら、第2所定圧は必ずしも3MPaに限定されず、ヒートポンプHPの冷熱により可動ピストンの膨張ガスが容易に液化する圧力に設定される。熱を汲み上げる対象となる熱源水の温度を、例えば、10℃以上に設定したい場合には、液体CO2冷媒は4.49MPaでガス化するので、ヒートポンプHPの低圧側の圧力はこの値に設定される。密閉動力サイクル15の作動中にはバッファアキュムレータ30のバネ手段30aに抗して、蓄圧室30bに高温高圧作動流体が蓄圧される。
制御弁32は、本願発明者と同一発明者による特願2012−270756号(日本特許第○○○○○○○号)「超臨界エンジン及び超臨界エンジン駆動発電装置並びにこれを具備した次世代移動体」に記載されたものと同一の構造を有するため、詳細な説明を省略する。
ヒートポンプHPは、密閉動力サイクル15と熱的に結合するように配置される。ヒートポンプHPは、熱源水Waの熱を汲み上げて低温低圧冷媒から低温低圧蒸気(例えば、17℃;3MPa)Cmvを生成する蒸発器(熱交換器)2と、流体圧縮機27に組み込まれ(内蔵され)ていて低温低圧蒸気Cmvを超臨界点以上の圧力まで圧縮して超臨界流体からなる高温高圧冷媒Cmpを生成する冷媒圧縮機として機能する冷媒圧縮手段P2(図2参照)と、高温高圧冷媒Cmpの熱を低温低圧CO2作動流体Wfoに放熱して低温高圧冷媒Cmoを生成する放熱器として機能する第1熱交換器EV1と、低温高圧冷媒Cmoを減圧して蒸発・膨張させることにより低温低圧冷媒(−10℃;3MPa)CMcを生成する膨張器47と、該冷熱を利用して回転式流体機械40の膨張ガスを冷却しながら低温低圧液化冷媒を生成する冷却器43として機能する第2熱交換器Ev2とを備える。
ヒートポンプHPの熱交換器2は、低熱源排水ピット1に収納されたコイル状の金属性パイプからなり、低熱源排水ピット1には熱源水として比較的低温(例えば、20〜60℃)の温泉排水が連続的に供給され、所定水位となるように余剰の熱原水は排水される。パイプ熱交換器2は蒸発器として機能し、両端に接続・切り離しが容易となる管路接続部2aを有する。パイプ熱交換器2に低温低圧冷媒が流れると熱源水の熱を汲み上げて低圧冷媒蒸気Cmvが生成される。低圧冷媒蒸気Cmvは圧縮機27のインレット356Bに供給され、圧縮機27の冷媒圧縮手段P2により圧縮されて超臨界状態の高温高圧冷媒Cmpが生成される。
第2熱交換器EV2において膨張ガスを冷却して得た低温低圧CO2作動流体は第1熱交換器EV1で高温高圧冷媒Cmpと熱交換してヒートポンプHPから熱移送をした後、CO2作動流体Wfとして圧縮機27のインレット356Aに循環される。以後、同一のヒートポンプサイクル及び動力サイクルが繰り返し実行される。なお、作動流体として低沸点(沸点15.3℃)のR245faHFC冷媒を使用しても良い。
図2より明らかなように、圧縮機27は、好ましくは、所定圧(例えば、3MPa)のCO2作動流体Wfを臨界圧力(例えば、20〜60MPa)まで圧縮して高圧CO2作動流体(CO2超臨界流体)Wfpを生成する流体圧縮手段P1と、低温低圧CO2冷媒Cmcを臨界圧まで圧縮して高温高圧CO2冷媒(超臨界冷媒)Cmpを生成する冷媒圧縮手段P2とを備えた複合型圧縮機から構成される。
図1及び図2に示すように、複合型圧縮機27は、電気式動力ガス発生器42に同心的に連結されたロータハウジング352と、密閉動力サイクル15に接続されて低温低圧CO2作動流体Wfを吸引する第1インレット356Aと、高温高圧CO2作動流体(超臨界流体)Wfpを吐出する第1アウトレット358Aと、低温低圧冷媒Cmvを吸引する第2インレット356Bと、超臨界冷媒Cmpを吐出する第2アウトレット358Bと、インレット356A,356B及びアウトレット358A,358Bが開口するロータ作動室360と、回転式流体機械40の駆動軸132に圧入その他の連結手段で駆動連結されていてロータ作動室360に回転可能に収納された加圧ロータ362とを備える。
加圧ロータ362は、駆動軸132に形成されたメイン潤滑油供給通路132Lから径方向外側に延びる潤滑油通路362aと、潤滑油供給ポート362bと、潤滑油供給ポート362bからローブ364の外周端部に微量の潤滑油を供給可能な多孔質プラグ362cとを備える。メイン潤滑油供給通路132Lは、本願発明者と同一発明者による日本特許5103570号「回転式流体機械」に記載された潤滑油ポンプ等により潤滑油が供給される。
複合型圧縮機27は、さらに、ロータ作動室360の内周面上を回転移動しながらインレット356A,356BからCO2作動流体Wf及び冷媒Cmをそれぞれ吸引すると共にこれら流体を超臨界圧まで圧縮しながらアウトレット358A,358Bから吐出する複数のローブ364と、ローブ364の径方向内側領域において周方向後縁部に形成された曲面摺動凹部366と、インレット356に隣接して加圧ロータ362に対して移動可能な可動弁368と、可動弁368と曲面摺動凹部366との間に形成された加圧チャンバ370とを備える。
可動弁368は、ロータハウジング352内に形成されたバルブ膨張室372に収納されて、ピボット軸374を介して回動するバルブエレメント376を備える。バルブエレメント376の先端部にはローブ364と曲面摺動凹部366とに接触しながら摺動する曲面シール部376aと連通開口部376bとを備える。ロータハウジング352に形成されたバネ収納部378には押圧バネ380がバルブエレメント376を加圧ロータ362側に押圧している。
回転式流体機械40の起動時に駆動軸132が、図2において、例えば、時計方向に回転駆動されると、複合型圧縮機27において、加圧チャンバ370にはインレット356A,356BからそれぞれCO2作動流体Wfと冷媒Cmが吸引され、それぞれ超臨界作動流体及び超臨界CO2冷媒としてアウトレット358A,358Bから吐出される。このように、圧縮機27の加圧ロータ362は流体圧縮手段P1と、冷媒圧縮手段P2の共通部品として機能する。
なお、複合型圧縮機27は本願発明者と同一発明者による特願2012−218058号「ロータリ燃焼機関、ハイブリッドロータリ燃焼機関及びこれらを具備した機械装置」に記載されたロータリポンプと同一の構造を有するため、さらなる詳細な説明を省略する。
図3に示すように、電気式動力ガス発生器42は、回転式流体機械40に対してこれと同心的に連結された円筒状リアクタケーシング1100を備える。円筒状リアクタケーシング1100には、円筒状リアクタケーシング1100の内側とケーシング1100の中央内周部1114の径方向外側に形成されたセラミック等の絶縁耐熱層1116と、絶縁耐熱層1116の内側に形成されている動力ガス発生室1118が形成されている。円筒状リアクタケーシング1100の中央内周部1114は回転式流体機械40の出力軸132を通過可能にするための直径を有する内周壁部1114を備える。電気式動力ガス発生器42の吸入ポート1102は、径方向壁部1120に延びていて電磁弁32が装着されるとともに、径方向壁部1120には周方向に延びる複数の開口部1122を有する。動力ガス発生室1118のコーナー部1118a、1118bには対抗電極1124,1126がそれぞれ配置される。一対の電極1124,1126はパルス電源28に接続される。ケーシング1100には温度センサS2が装着され、温度信号Tがコントローラ60(図1参照)に供給され、パルス電力のパルス幅の制御用に利用される。
動力ガス発生室1118には、対抗電極1124,1126の間に介在していて多数の管状通電加熱セグメント1134が充填される。パルス電力が供給されると、多数の管状通電加熱セグメント1134は通電発熱して作動流体の超臨界点以上の温度に昇温する。この温度は、パルス電源28によってパルス電力のデューティサイクルが所定値となるように制御されることによって調整される。これら管状通電加熱セグメント1134の隙間はアーク放電領域1136としても作用させることもできるが、超臨界領域が維持できれば、必ずしも、アーク放電を発生させる必要性はない。アーク放電を発生させる場合、管状通電加熱セグメント1134としては、例えば、外径6〜30mmの銅タングステンパイプを所定長さ(例えば、外形の0.5倍〜1.5倍の長さ)にカットした通電加熱パイプが挙げられる。図1において、管状通電加熱セグメント1134は動力ガス発生室1118において整列状態で配置されたものとして図示されているが、実際の適用例においては、所定圧力で圧接されて電気式接続関係に維持されていればランダム状態に配置されても良い。動力ガス発生室1118においてアーク放電を発生させない場合は、管状通電加熱セグメント1134として多数の所定長さにカットしたステンレスパイプやその他の高融点金属パイプを使用しても構わない。CO2超臨界流体は、管状通電加熱セグメント1134の隙間及び管状通電加熱セグメント1134の穴部を通過する。このとき、これら管状通電加熱セグメント1134の各部と衝突しながら加熱されて瞬時に高温高圧CO2超臨界流体からなる高温高圧動力ガスが生成される。したがって、CO2作動流体が利用された場合は、電気式動力ガス発生器42は瞬間超臨界流体発生器として機能する。
導電性高融点加熱手段としてはその他の材料から構成しても良い。例えば、銅タングステンボール、カーボンボール、作動流体を通過させるための溝を配置したバルク状導電性金属体、バルク状導電性カーボン、多孔性高融点金属体や高融点ハニカム金属体等を利用しても良い。動力ガス発生室1118に隣接してフイルタ部1106が配置され、フイルタ部1106には耐熱性の金属ワイヤー等から形成されたフイルタ1110が充填される。電磁弁32が所定周期で開弁されると、フイルタ1110を通過した超臨界流体Scfはフィルター1142で濾過された後、アウトレット1140から回転式流体機械40のインレット124に供給される。
回転式流体機械40としては、好ましくは、本願発明者と同一発明者による日本特許第5103570号(発明の名称:回転式流体機械)、特願2012−195513号(発明の名称:回転式流体機械)、及び日本特許第5218929号(発明の名称:ロータリ燃焼機関、ハイブリッドロータリ燃焼機関及びこれらを具備した機械装置)に開示された回転式流体機械と同一構造のものやその他の公知の回転式流体機械でもよい。
図1に戻って、エネルギー変換装置12において、発電機16は出力軸132に連結されて駆動されることにより発電電力を生成する。エネルギー変換装置12は、パルス電源28に蓄電電力を供給するための蓄電ユニット(蓄電システム)20を備える。発電電力の一部は変圧器22で所定電圧(例えば、12ボルト又は24ボルト)に降圧され、開閉器24を介して交直変換器26に送られて直流に変換された後、蓄電用電力として蓄電ユニット20に充電される。
発電機16のパワーラインPLにはパルストランス28及びカレントトランス50が接続されていて、電圧信号Vs及び電流信号Csがコントローラに出力される。パワーラインPLにはさらに電力計52、遮断器54及び系統連係装置56を介して商用電源(図示せず)に系統連係される。
蓄電ユニット20にはそれぞれ電圧及び電流を検出するための電圧センサ及び電流センサが接続される。これら電圧センサ及び電流センサの電圧検出値Vi及び電流検出値Iiはコントローラ60に出力され、コントローラ60はこれら入力信号に応答して残蓄電容量(SOC値:State of charge)を演算し、そのSOC値に基づいて遮断器24への指令信号を出力する。また、コントローラ60は、電圧信号Vs及び電流信号Isに基づいて遮断器54への出力信号を出力し、系統連係装置56の商用電源への系統連係タイミングを制御する。
コントローラ60は、例えば、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)を用いて構成される。コントローラ60は各種制御対象の制御パラメータを入力するための入力装置(図示せず)や装置始動用スイッチ等が接続されている。
蓄電ユニット20としては、望ましくは、パルス充放電サイクル用途に対応可能な市販のウルトラキャパシタモジュール(米国”Maxwell Technologies“社製)が挙げられる。その他の蓄電ユニットとしては、例えば、急速充放電型蓄電池(古河電池社製:商標名「ウルトラバッテリ」)、大容量電気二重層コンデンサからなるスーパーキャパシタ(トーキン製)、ナトリウムイオン電池、リチウムイオン電池やNi−MH電池(ニッケルー水素電池)やこれら電池と大容量電気二重層コンデンサを組み合わせたものから構成しても良い。
蓄電ユニット20から供給された蓄電電力をパルス電源28に供給することで、パルス電源28は所定周期(例えば、50〜2000ヘルツ)のパルス電力を生成する。パルス電力において、パルス電圧は、好ましくは、12〜24ボルトの間で設定される。多数の管状通電加熱セグメント1134の間でアーク放電を発生させたい場合には、ピーク電流とベース電流とからなるパルス電力が電気式動力ガス発生器42に供給されるように回路設計しても良い。この時、エネルギー変換装置12の容量に応じて、パルス電力は、好ましくは、ピーク電流通電期間内において流れる50〜200アンペアのピーク電流と、ピーク電流の約十分の一の電流値を有し、オフピーク電流通電期間内において流れるベース電流とを有するように構成しても良い。電気式動力ガス発生器42において、多数の管状通電加熱セグメント1134にパルス電力が供給されると、二酸化炭素の臨界温度374℃以上の温度、例えば、250〜1000℃の温度に昇温する。この温度は、運転条件に合わせてパルス電力の電圧やデューティ比を制御することにより自由に選択することができる。高温高圧作動流体が管状通電加熱セグメント1134の外表面に順次接触することで、高温高圧動力ガスは超臨界状態下で加熱されて高温の超臨界流体Scfとなる。
パルス電源28は、好ましくは、ピーク電流とベース電流とからなるパルス電力を発生させるものであれば、直流パルス電源又は交流パルス電源のいずれでも良い。直流パルス電源としては、例えば、日本国特許第2587343号に開示されたようなパルスアーク溶接用電源装置に使用されるような回路構成が挙げられる。
図1において、バッファアキュムレータの圧力センサS1からの圧力信号PS、電気式動力ガス発生器42の温度センサS2からの温度信号T(図3参照)と、エネルギー変換装置12の出力軸132の回転数センサS3からの回転数信号SPがコントローラ60に送信される。入力装置(図示せず)からはカレンダー信号や、温度や圧力等のパラメータ設定信号が基準信号としてコントローラ60に入力される。コントローラ60には、蓄電ユニット20の電圧信号Viと電流信号Iiとが送信され、コントローラ60はこれら入力信号に応答して蓄電ユニット20の蓄電状態(State of Charge)を判別して開閉器24の接続状態を制御する。さらに、コントローラ60は、センサS1〜S3からの入力信号PS,T,SPに応答して電磁弁32を制御する。このとき、コントローラ60は、回転式流体機械40において膨張行程の全期間中に電磁弁32を開弁状態に維持するように制御する。したがって、回転式流体機械40のロータリピストン本体200には膨張行程の全期間中に高温高圧動力ガスが連続的に作用する。
次に、本発明による熱源水利用発電方法について熱源水利用発電装置10の作動に関連して説明する。
熱源水利用発電装置10の作動において、始動用スイッチ(図示せず)が投入されると、コントローラ60によってパルス電源28が起動され、周期的なパルス電力が電気式動力ガス発生器(瞬間超臨界流体発生器)42に供給される。このとき、電気式動力ガス発生器42の管状通電加熱セグメント1134が通電して、例えば、800℃に達する。すると、電気式動力ガス発生器42の温度信号Tに応答してコントローラ60から電磁弁32に指令信号が出力され、電磁弁32は通電して開弁する。この時、バッファアキュムレータ30に蓄圧されていた高圧(例えば、40MPa)液体CO2Wfpが電気式動力ガス発生器42に高速流で供給される。そのとき、高圧液体CO2Wfpが高温の管状通電加熱セグメント1134の外表面に順次接触して撹拌されながら均一に昇温し、さらに、これら管状通電加熱セグメント1134の隙間や穴部を通過しながらさらに加温されて超臨界流体SCfが高温高圧動力ガスとして生成する。次に、超臨界流体SCfは回転式流体機械40のインレット124から膨張室116に流入して可動ピストン(ロータリピストン本体)200に作用して爆発的に膨張して機械エネルギーに変換されて出力軸132にトルクが発生する。
エネルギー変換装置12の始動時及び始動完了後において、出力軸132に発生したトルクで複合型圧縮機27が起動し、複合型圧縮機27内の流体圧縮手段P1と冷媒圧縮手段P2が同時に作動し、密閉動力サイクル15とヒートポンプHPが互いに同期して起動する。この時、ヒートポンプHPにおいて、蒸発器2では冷媒が温泉排水の熱を吸熱して冷媒の湿り蒸気が過熱蒸気Cmvとなる。この冷媒Cmvは冷媒圧縮手段P2により圧縮されて超臨界状態の高温高圧CO2冷媒を生成する。該高温高圧CO2冷媒Cmpは、熱交換器EV1で低温低圧作動流体に熱を移送して低温高圧CO2冷媒を生成する。低温高圧CO2冷媒は膨張器47で減圧されて膨張・蒸発して冷熱(例えば、−10℃:3MPa)Cmcを生成する。冷却器43(熱交換器EV2)はこの冷熱を利用して回転式流体機械40のアウトレット126から出た膨張ガスEgを冷却して液体CO2作動流体Wfoを生成する。液体CO2作動流体Wfoは熱交換器EV1を介してヒートポンプHPから熱を吸収して蒸発して気体状のCO2作動流体Wfを生成する。このようにして、ヒートポンプHPにより低温の温泉排水Waから熱が汲み上げられ、その熱は熱交換器EV1を介して密閉動力サイクル15の作動流体に移送される。こうして、密閉動力サイクル15とヒートポンプHPの運転が同期して繰り返し実行され、熱源水利用発電装置10は熱源水が60℃以下の低温であっても効率的に発電することができる。
エネルギー変換装置12の運転中において、発電機16の発電電力の一部は変圧器22で降圧した後、開閉器24及び交直変換器26を介して蓄電ユニット20に供給される。コンロローラ60は蓄電ユニット(システム)20の電圧信号Viと電流信号Iiに基づいて蓄電ユニット20のSOCが所定値に達したと判断すると、開閉器24を開放して蓄電用電力の供給を停止する。このように、エネルギー変換装置12の運転中には、発電機16の発電電力の一部が蓄電用電力として蓄電ユニット20に選択的に供給されるため、蓄電ユニット20は大容量にする必要がない。
以上、本発明の実施例による熱源水利用発電装置及び熱源水利用発電方法が記載されたが、本発明はこの実施例に示された構成に限定されず、様々な変更が可能である。例えば、圧縮機は、複合型圧縮機からなるものとして説明したが、複合型圧縮機をそれぞれの機能に合わせて分離独立させた複数の圧縮機からなるように構成しても良い。また、流体圧縮手段と冷媒圧縮手段は、それぞれ1段で媒体を圧縮するものとして記載されたが、複数段の圧縮工程を実行できるように複数段の圧縮機を備えても良い。さらに、作動流体としてはCO2以外の作動媒体、例えば、アンモニア水やアンモニアと二酸化炭素との混合媒体又はその他の媒体を利用しても良い。
2 蒸発器;10 熱源水利用発電装置;12 エネルギー変換装置;14 出力装置;15 密閉動力サイクル;16 発電機;20 蓄電ユニット(蓄電システム);22 変圧器;26 交直変換器;27 圧縮機(複合型圧縮機);28 パルス電源;30 バッファアキュムレータ;32 電磁弁;40 回転式流体機械;42 電気式動力ガス発生器(瞬間超臨界流体発生器);43 冷却器(熱交換器);47 膨張器:52 電力計;56 系統連係装置;60 コントローラ;HP ヒートポンプ;EV1 第1熱交換器;EV2 第2熱交換器
Claims (6)
- 密閉動力サイクルとヒートポンプとを熱的に結合し、該ヒートポンプで低温熱回収熱交換器を介して熱源水を利用して液化冷媒から冷媒蒸気を生成し、該冷媒蒸気を冷媒圧縮機により圧縮した後に膨張・蒸発させて冷熱を発生させ、低温低圧作動流体を流体圧縮機により圧縮して高温高圧作動流体を生成し、蓄電ユニットの蓄電電力をパルス電源に供給することでパルス電力を生成し、該パルス電力により電気式動力ガス発生器を所定温度に加熱し、該高温高圧作動流体を該電気式動力ガス発生器と接触させることにより高温高圧動力ガスを生成し、当該高温高圧動力ガスにより該可動ピストンを作動させて機械エネルギーを発生させ、当該機械エネルギーを発電機に供給して発電電力を発生させ、該機械エネルギーの一部で該ヒートポンプを駆動し、該可動ピストンの膨張ガスを該冷熱により冷却することを特徴とする熱源水利用発電方法。
- 該発電電力の一部を蓄電用電力として該蓄電ユニットに充電し、さらに、該高温高圧作動流体をバッファアキュムレータで一時的に蓄圧し、当該電気式動力ガス発生器に供給される該高圧作動流体の供給タイミングを制御弁により制御し、該バッファアキュムレータと該制御弁とを該可動ピストンのスタータとして機能させることを特徴とする請求項1記載の熱源水利用発電方法。
- 該冷媒と該作動流体が該ヒートポンプと該密閉動力サイクルとにそれぞれ所定圧で封入された二酸化炭素を含み、該冷媒圧縮機及び該流体圧縮機がCO2冷媒とCO2作動流体をいずれも超臨界状態で圧縮することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱源水利用発電方法。
- 密閉動力サイクルとヒートポンプとを熱的に結合し、該ヒートポンプで低温熱回収熱交換器を介して熱源水を利用して液化冷媒から冷媒蒸気を生成し、該冷媒蒸気を冷媒圧縮機により圧縮した後に膨張・蒸発させて冷熱を発生させ、低温低圧作動流体を流体圧縮機により圧縮して高温高圧作動流体を生成し、蓄電ユニットの蓄電電力をパルス電源に供給することでパルス電力を生成し、該パルス電力により電気式動力ガス発生器を所定温度に加熱し、該高温高圧作動流体を該電気式動力ガス発生器と接触させることにより高温高圧動力ガスを生成し、当該高温高圧動力ガスにより該可動ピストンを作動させて機械エネルギーを発生させ、当該機械エネルギーを発電機に供給して発電電力を発生させ、該機械エネルギーの一部で該ヒートポンプを駆動し、該可動ピストンの膨張ガスを該冷熱により冷却することを特徴とする熱源水利用発電装置。
- 該冷媒と該作動流体が該ヒートポンプと該密閉動力サイクルとにそれぞれ所定圧で封入された二酸化炭素を含み、該冷媒圧縮機及び該流体圧縮機がCO2冷媒とCO2作動流体をいずれも超臨界状態で圧縮することを特徴とする請求項4記載の熱源水利用発電装置。
- 該電気式動力ガス発生器が、ケーシングに形成された動力ガス発生室と、該動力ガス発生室に収納された管状通電加熱手段とを備え、該管状通電加熱手段が該パルス電力により通電して作動流体の分解温度以下の温度領域で発熱して当該高温高圧作動流体から当該高温高圧動力ガスを生成することを特徴とする請求項4又は5に記載の熱源水利用発電装置。
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JP2013123137A JP2014227994A (ja) | 2013-05-24 | 2013-05-24 | 熱源水利用発電方法及び装置 |
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CN105444406A (zh) * | 2015-12-11 | 2016-03-30 | 张正怡 | 一种储水蒸汽式电热水器及其控制方法 |
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2013
- 2013-05-24 JP JP2013123137A patent/JP2014227994A/ja active Pending
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