JP2014225839A - 撮像システム - Google Patents
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そこで、従来、可視光画像及び蛍光画像を生成する撮像システムとして、所望の光量バランスで可視光及び蛍光を透過させる光学フィルタを設けたものや、可視光をカットする開口絞りを設けたものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光利用効率を高めた上で可視光画像と可視外光画像の光量バランスを最適化可能な撮像システムを提供することを目的とする。
まず、本発明の背景技術について詳細に説明する。
医学研究や医療分野においては、皮下の血管の可視化法として、血管内のヘモグロビンが近赤外光を吸収する原理を応用して、近赤外反射光または近赤外透過光を撮影することで近赤外吸収像を生成する技術が知られている。
また、インドシアニングリーン(ICG)が近赤外の励起光(おおむね740−780nm)を照射すると近赤外の蛍光(おおむね800−850nm)を発する原理を応用して、皮下や脂肪組織内のリンパ管・リンパ節・血管等にICGを投与し撮影することで近赤外蛍光画像を生成し可視化する技術が知られている。例えば、図9を参照し、癌細胞Cが転移する可能性のあるリンパ節LNを可視化する場合には、まず、皮下に蛍光物質R(ICG)を注入する。ここで、蛍光物質R(ICG)は、迅速にリンパ管LV及びリンパ節LNに吸収される。関心対象であるリンパ節LNが位置する皮膚に近赤外光の励起光K1(約740−780nm)を照射すると、近赤外光の励起光K1は皮下2cmまでは透過して、リンパ節LNに届く。近赤外光の励起光K1によってリンパ節LN中のICG分子が励起して近赤外の蛍光K3(約800−850nm)を発し、この近赤外の蛍光K3は皮膚Dを透過してカメラ(不図示)に捕捉される。
近赤外吸収像を観察する場合でも、あるいは、近赤外蛍光像を観察する場合でも、当該関心対象(近赤外吸収像または近赤外蛍光像)以外の背景が最適なバランスで撮像されることが望ましい。背景が同時に撮像されて初めて当該関心領域に関する位置情報を得ることが可能になるからである。
単一のイメージセンサからなる撮像システムで、当該関心対象と背景を最適なバランスで撮像する場合、可視光照明の強度を変化させることは不適である。なぜなら、可視光照明の強度は肉眼作業のために最適化されるべきであるからである。肉眼作業に最適化された照度の場合、被写体から反射される可視光のイメージセンサへの入射光量は過大である場合が多い。
一般に、近赤外吸収像あるいは近赤外蛍光像の強度は微弱であるため、肉眼作業に最適化された可視光の照度下で、上述のような従来技術を実施せずに、単一のイメージセンサからなる撮像システムで、当該関心対象と背景を最適なバランスで撮像することは困難である。なぜなら、背景となる可視光光量が過大にイメージセンサに入射し、いわゆる“白飛び現象”、“飽和現象”、“スミア”等を生じるからである。
そこで、本実施形態では、撮像システムを、大型化を抑制するとともに光利用効率を高めた上で、可視光画像と可視外光画像(可視光外の光による画像)の光量バランスを最適化可能に構成している。
図1は、本実施形態に係る撮像システムの構成を示す図である。
撮像システム1は、蛍光物質Rが投与された患部(撮像対象物)Tの可視外光画像(蛍光画像)及び可視光画像(背景画像)を合わせて成るカラー画像を生成し表示するシステムであり、光源装置(光源手段)2と、カメラ10と、コントローラ20と、表示装置3とを備えて構成されている。
光源装置2は、患部Tに対して、蛍光物質Rを励起する励起光(可視外の光、以下、単に可視外光と言う。)K1、及び背景用の可視光K2を照射する装置であり、上記励起光K1を照射する可視外光光源(第2照明装置)2Aと、上記可視光K2を照射する可視光光源(第1照明装置)2Bとを備えている。可視外光光源2A及び可視光光源2Bは、患部Tの撮像対象面TB側に配置されている。
イメージセンサ10Bは、蛍光K3の波長域(本実施形態では近赤外波長域)及び可視光K2,K5の波長域の両方に感度を有し、画素Pごとに、赤(R)、緑(G)、青(B)、赤外光(Ir)をそれぞれ受光する受光素子11−14を備えている。赤(R)、緑(G)、青(B)の受光素子11−13は、可視光K2’の波長に感度を有し、患部Tで反射された可視光K2’の受光量に応じた受光信号をコントローラ20に出力する。赤外光(Ir)を受光する受光素子14は、蛍光K3の波長域(すなわち、波長830nm付近の近赤外蛍光)に感度を有し、蛍光K3の受光量に応じた受光信号をコントローラ20に出力する。
また、コントローラ20は、可視外光光源2Aを駆動する可視外光用駆動回路21、及び可視光光源2Bを駆動する可視光用駆動回路22をそれぞれ備えている。
図1に示すカメラ10は、所定のシャッター期間Sの間に亘り、可視光及び蛍光を受光し、光を電荷に変換して電荷を蓄積するように構成されている。したがって、図2(A)に示すように、可視光及び蛍光の受光量(受光信号の強度)は、所定のシャッター期間Sの間だけ増加する。
ここで、所定のシャッター期間Sにおいて、可視光の受光量(可視光信号)が所定の最大量Vmaxを超え、可視光信号が飽和すると、カラー画像に白飛びが生じ、カラー画像が見づらくなってしまう。また、可視光光量は、肉眼作業に最適化されているため、制御することが困難である。
一方、図示は省略するが、撮影データ中の可視光の受光信号(受光量)が最大量Vmaxより少ない場合には、シャッター期間Sを調整しなくともよいが、可視光の受光信号(受光量)が不十分な際には、フレーム間隔Fの範囲内でシャッター期間Sを長くして、可視光の受光信号(受光量)が最大量Vmaxとなるようにシャッター期間Sを調整する。なお、コントローラ20は、可視光の受光量を表示装置3に表示するように構成されてもよい。
特に、外乱光を生じさせる室内光源は、肉眼作業を可能にするための可視光K5を照射するように構成されており、強度及び照射時間を制御できない場合が多い。本実施形態では、室内光源を通常通り点灯した状態で、外乱光及び可視光光源2Bの可視光の光出力に合わせて可視外光光源2Aの光出力を調整することで、可視光画像(背景画像)と可視外光画像(蛍光画像)の光量バランスを最適化できる。
本実施形態の点灯制御部23は、可視光、及び蛍光の各々の受光量の比V1:V2が略等しくなる光出力で可視外光光源2Aを点灯するように構成されている。比V1:V2は、点灯制御部23が備える記憶装置に予め設定されていてもよいし、ユーザによって設定可能にされてもよい。したがって、受光素子11−14(図1)への入射光(可視光及び蛍光)のバランスを最適化(V1:V2)した後に、受光素子11−14のシャッター期間を最長にすることで、最適な可視光と蛍光からなるカラー画像(動画映像)を容易に得ることができる。また、可視光及び蛍光の受光量のバランスを最適化(V1:V2)した後に、シャッター期間Sが調整され、可視光の受光量がVmax以下となっても、可視光画像(背景画像)と可視外光画像(蛍光画像)の光量バランスを最適化した状態で維持できる。
上述したように、微弱な蛍光を十分受光するために、例えば、シャッター期間を1/30秒とした場合には、可視光については、白飛びを生じる悪い映像となる飽和レベルに達してしまう(図2)。
このように、本実施形態では、シャッター期間S内に受光素子11−14(図1)に入射した光量が積分され、受光信号となる原理を応用して、励起光の照射をシャッター期間S中にのみ行い、相対的に強い可視光の影響を減弱させ、可視光画像と蛍光画像の光量バランスを最適化している。
図5は、開口絞りを備えた従来撮像システムの作用を示す説明図であり、図5(A)はレンズへの入射光強度、図5(B)は開口絞りの透過率、図5(C)は撮像システムの受光信号を示す。図5の例では、可視外光光源2Aは常時点灯され、シャッター期間(露光期間)は1/30秒とする。
レンズには、図5(A)に示すように、被写体(患部T)から反射される可視光と、被写体から反射される励起光と、励起光によって発光する近赤外蛍光とが入射する。開口絞りを備えた従来の撮像システムでは、図5(B)に示すように、開口絞りは、可視光を減光し、励起光を遮断し(透過率0%)、蛍光を透過させる(透過率100%)光学フィルタであり、可視光透過率は自在に可変できるように構成されている。すなわち、開口絞りは、可視光の透過率のみを制御できるため、蛍光が微弱な場合には蛍光の受光量は微弱となってしまう。また、開口絞りを備えるため、光学系が複雑化するとともに、可視光をカットしているので、光利用効率が悪いという問題がある。
この撮像システムでも、図6(A)に示すように、図5(A)と同様に可視光、励起光、及び近赤外蛍光がレンズに入射する。この撮像システムでは、本実施形態と同様に、開口絞りの代わりに、図5(B)に示すように、励起光を遮断し(透過率0%)、可視光及び蛍光を透過させる(透過率100%)励起光カットフィルタを用いている。微弱な蛍光を十分受光するために露光期間を1/30秒とすると、図6(C)に示すように、可視光の受光量(可視光信号)が最大量Vmaxを超えて可視光信号が飽和し、カラー画像に白飛びが生じてしまう。
本実施形態では、上述したように、シャッター期間を短くするとともに、可視外光光源2A(図1)をシャッター期間の間だけ点灯させ、さらに、蛍光の受光量(蛍光信号)が最小量Vmin以上となるように可視外光光源2Aの光出力を調整している。これにより、カラー画像の白飛びを防止するとともに、可視光画像と蛍光画像の光量バランスを最適化できる。具体的には、可視外光光源2Aのデューティー比が20%であるため、図7(B)に示すように、可視外光光源2Aの放射強度を、図5(A)及び図6(A)の例の場合の5倍にすることができる。
例えば、上記実施形態では、シャッター期間Sを1/150秒としたが、シャッター期間Sは、これに限定されるものではなく、フレーム間隔F(1/30秒)以下であればよい。シャッター期間Sは、可視光画像(背景画像)と可視外光画像(蛍光画像)の光量バランスを最適化するように調整されるものであり、例えば、1/30秒、1/150秒、1/300秒、あるいは、1/1000秒であってもよい。また、上記実施形態では、フレーム間隔Fを1/30秒としたが、これに限定されるものではない。さらに、上記実施形態では、シャッター期間Sの終了タイミングがフレームの終了と一致していたが、シャッター期間Sの終了タイミングがフレームの終了と必ずしも一致する必要はない。
また、上記実施形態では、可視外光に蛍光物質を励起する励起光を用いたが、撮像対象物に蛍光物質を含ませない場合には、可視外光は励起光でなくともよい。
図8は、撮像対象物に蛍光物質を用いず、可視外光を撮像対象物に透過させて受光する撮像システム100を示す図である。なお図8では、図1に示す撮像システム1と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
この撮像システム100では、指Tを撮像対象物とし、光源装置2の可視外光光源2Aによって指Tの背面である非撮像対象面TAに可視外光K1(例えば、赤外光)を照射するとともに、光源装置2の可視光光源2Bによって指Tの腹面である撮像対象面TBに可視光K2を照射している。すなわち、可視外光光源2Aは非撮像対象面TA側に配置され、この可視外光光源2Aに対向するようにカメラ10が撮像対象面TB側に配置される。また、可視光光源2Bは撮像対象面TB側に配置される。なお、図8に示す撮像システム100の可視外光光源2A、可視光光源2B、非近赤外光カットフィルタ2C及びカメラ10は、図1に示す撮像システム1のものと配置位置のみが異なるため、同一の符号を付している。
カメラ10は、可視外光K1の透過光K1”と、可視光光源2Bの可視光K2及び外乱光の可視光K5による指Tの撮像対象面TBで反射した可視光K2’とを受光し、撮影データとしてコントローラ20に出力する。コントローラ20は、カメラ10の撮影データに基づいて、可視外光(赤外光)画像と、可視光画像とを生成し、それぞれを合わせて成るカラー画像を表示装置3に表示する。このカラー画像においては、指Tを肉眼で観察する場合と同様な可視光画像に、赤外部位(例えば、指Tの血管V)が重ねて表示されることとなる。図8の例では、点灯制御部23は、指Tで反射した可視光K2’、及び指Tを透過した透過光K1”の各々の受光信号の強度の比が略等しくなる光出力で可視外光光源2Aを点灯すればよい。図8の例でも、図1に示す撮像システム1と同様に、室内光源を通常通り点灯した状態で、外乱光及び可視光光源2Bの可視光の光出力に合わせて可視外光光源2Aの光出力を調整することで、可視光画像と可視外光画像の光量バランスを最適化できる。図8の例においても、外乱光の可視光が十分な場合には、コントローラ20は可視光光源2Bを消灯してもよく、また、可視光光源2B並びに可視光用駆動回路22及び直流電源6を省略してもよいことは当然である。
2 光源装置(光源手段)
2A 可視外光光源(第2照明装置)
2B 可視光光源(第1照明装置)
4 操作部(調整手段)
10B イメージセンサ
20 コントローラ
23 点灯制御部(点灯制御手段)
F フレーム間隔
R 蛍光物質
S シャッター期間
T 撮像対象物
Claims (6)
- 撮像対象物を可視光で照明する第1照明装置と、
前記撮像対象物を前記可視光外の光で照明する第2照明装置と、
所定周期のフレームごとに所定のシャッター期間に亘り前記第1照明装置の可視光による前記撮像対象物からの光、及び前記第2照明装置の光による前記撮像対象物からの光を受光し、それぞれの光の受光量に応じた受光信号を出力するイメージセンサと、を備え、
前記第1照明装置の可視光による受光量に基づいて生成した可視光画像に前記第2照明装置の可視外光による受光量に基づく可視外光画像を合わせて出力する撮像システムであって、
前記シャッター期間に同期して、前記シャッター期間に応じた光出力で前記第2照明装置を点灯する点灯制御手段を備えたことを特徴とする撮像システム。 - 前記シャッター期間を調整可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
- 前記点灯制御手段は、
前記第1照明装置の可視光、及び前記第2照明装置の可視外光による各々の受光信号の強度の比が略等しくなる光出力で前記第2照明装置を点灯することを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。 - 前記シャッター期間を調整するユーザ操作可能な調整手段を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の撮像システム。
- 前記点灯制御手段は、前記シャッター期間の間だけ前記第2照明装置を点灯することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の撮像システム。
- 前記第2照明装置の可視外光による前記撮像対象物からの光は、前記第2照明装置の可視外光によって励起された蛍光であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の撮像システム。
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