JP2014224806A - 被検体情報取得装置 - Google Patents
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Abstract
Description
射されることにより被検体から発生する光音響波を受信して時系列の電気信号に変換する受信手段と、前記時系列の電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を取得する処理手段と、を有し、前記光源は、複数のタイミングで光を出射し、前記受信手段は、前記複数のタイミングで前記光音響波を受信し、前記処理手段は、前記複数のタイミングに対応する複数の時系列の電気信号のそれぞれに対して、前記複数のタイミング間の前記被検体内部の変位量に基づいて、前記時系列の電気信号が投影される投影位置座標を決定し、前記複数の時系列の電気信号を前記決定された投影位置座標へ投影して前記特性情報を取得することを特徴とする被検体情報取得装置である。
なお、画像再構成により複数のタイミングで得られた時系列の受信信号に基づいて特性情報を取得した後では、複数のタイミング間の被検体内部の変位による誤差を補正することは困難である。
図1の模式図を用いて、本発明に係る被検体情報取得装置を説明する。装置は、光源110、光学系120、音響受信器130、制御装置140、信号処理装置150、表示装置160を有する。以下、各構成要素について説明する。
これらは本発明の被検体情報取得装置の一部を構成するものではないが、以下に説明する。本発明の被検体情報取得装置は、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを主な目的とする。よって、被検体としては生体、具体的には人体や動物の乳房や頸部、腹部などの診断の対象部位が想定される。
また、被検体内部にある光吸収体とは、被検体内部で相対的に吸収係数が高いものを指
す。例えば、人体が測定対象であればオキシヘモグロビンあるいはデオキシヘモグロビンや、それらを含む多く含む血管、あるいは新生血管を多く含む悪性腫瘍が光吸収体となる。その他、頸動脈壁のプラークなども光吸収体となる。
光源としては、数ナノから数マイクロ秒オーダーのパルス光を発生可能なパルス光源が好ましい。具体的には効率的に光音響波を発生させるため、10ナノ秒程度のパルス幅が使われる。光源としてはレーザのかわりに発光ダイオードなども使用できる。レーザとしては、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど様々なレーザを使用できる。照射光の波長は、被検体内部まで光が伝搬する波長が望ましい。具体的には、被検体が生体の場合、500nm以上1200nm以下である。
光源から出射された光は、典型的にはレンズやミラーなどの光学部品により、所望の光分布形状に加工されながら被検体に導かれる。また、光ファイバなどの光導波路などを用いて光を伝搬させることも可能である。光学系は、例えば、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を拡散させる拡散板などである。このような光学部品は、光源から発せられた光が被検体に所望の形状で照射されれば、どのようなものを用いてもかまわない。なお、光はレンズで集光させるより、ある程度の面積に広げる方が、生体への安全性ならびに診断領域を広げられるという観点で好ましい。
音響受信器は、音響波(光音響波およびエコー波)を受信し、アナログの電気信号に変換する。圧電現象、光の共振、静電容量の変化等を用いたものなど、どのような音響受信器を用いてもよい。ここで、音響受信器は、音響波を送受信するトランスデューサが、アレイ状に複数個配列されたものが好ましい。これにより、複数の位置で音響波を受信して複数の信号を出力できるので、測定時間の短縮やSN比の向上が期待できる。
音響受信器は通常、トランスデューサが筐体に保持された探触子の形態で提供される。なお、本明細書において音響受信器を探触子とも呼ぶ。
音響受信器は、被検体に超音波を送信する送信器の機能と、被検体の内部を伝搬したエコー波を受信する受信器の機能を備えることが好ましい。これにより、同一領域での信号検知や省スペース化が期待できる。ただし、送信器と受信器を別にしてもよい。また、光音響波とエコー波の受信器を別にしてもよい。音響受信器は、本発明の受信手段に相当する。
制御装置は、音響受信器130より出力されたアナログの電気信号に対して、増幅処理と、デジタル変換処理を施す。制御装置は、典型的には増幅器、A/D変換器、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップ、CPUなどで構成される。音響受信器130が複数のトランスデューサを有し、複数の受信信号を出力する場合、制御装置も、複数の信号を同時に処理できることが望ましい。それにより、処理時間を短縮できる。
また制御装置は、パルス光の照射と、それに引き続く光音響波の受信のタイミングを制御する。具体的には、パルス光の照射タイミングの制御や、パルス光をトリガ信号とした電気信号の送受信タイミングの制御を行う。
信号処理装置は、デジタル信号に基づき被検体内部の情報を生成する。信号処理装置としては、典型的にはワークステーションなどの情報処理装置が用いられる。後述する補正処理や画像再構成処理などは、あらかじめプログラミングされたソフトウェアにより行われる。
ソフトウェアは、本発明の特徴的な処理である補正処理を行う変位量算出モジュール151を含んでいる。ソフトウェアはまた、画像再構成モジュール152を含んでいる。なお、それぞれのモジュールを、信号処理装置150とは別の装置として設けてもよい。また信号処理装置150は2D空間、3D空間のいずれにも信号処理を適用できる。
画像再構成アルゴリズムとしては、トモグラフィー技術で既知の手法を用いる。例えば、タイムドメインあるいはフーリエドメインでの逆投影や、整相加算(ディレイ・アンド・サム)などである。再構成の時間を多く使える場合は、繰り返し処理による逆問題解析法などの画像再構成手法を使用してもよい。
また、画像再構成モジュール152は、超音波信号に対して、位相を整合するための遅延加算処理や、その後の加算処理を行う。これにより、被検体内での音響インピーダンス等の特性情報や、被検体内での散乱に起因するスペックルパターンデータを形成できる。
また、変位量算出モジュール151および画像再構成モジュール152のそれぞれは、典型的にはCPU、GPUなどの素子や、FPGA、ASICなどの回路から構成される。なお、変位量算出モジュール151および画像再構成モジュール152のそれぞれは、1つの素子や回路から構成されるだけではなく、複数の素子や回路から構成されていてもよい。また、変位量算出モジュール151および画像再構成モジュール152が行う各処理をいずれの素子や回路が実行してもよい。
表示装置は、信号処理装置から出力される光学特性値分布等の特性情報を表示する。表示装置としては例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレ
イ、FEDなどを使用できる。なお、表示装置は、被検体情報取得装置の本体とは別に提供されていても良い。例えば、取得した被検体情報を有線または無線で表示装置に表示させてもよい。表示装置は、本発明の表示手段に相当する。
次に、図2のフロー図を参照して、被検体情報取得装置を制御して行われる被検体情報取得方法の手順を説明する。なお、制御装置が、制御装置内のメモリに保存された被検体情報取得方法が記述されたプログラムを読み出し、被検体情報取得装置の各構成の作動を制御することにより以下のフローを実行させる。
この工程では、音響受信器130が、被検体から発生した光音響波を受信し、光音響波信号を生成する。
まず、光源110から出射されたパルス光121が光学系120を介して被検体100に照射される。パルス光121は光吸収体101に吸収され、光音響波103が発生する。制御装置140はパルス光の出射を検知して、音響受信器130に光音響波103の受信を開始させる。音響受信器130から出力された光音響波信号は、制御装置140での処理を経て、メモリに格納される。
なお、本実施形態においては、本工程を複数のタイミングで行う。
この工程では、被検体に対して超音波を送受信することにより、被検体の音響インピーダンスなどの特性情報や、被検体内での散乱に起因するスペックルパターンなどのデータを取得する。音響インピーダンスは、例えば、S500における音響受信器130の変位量算出に利用できる。スペックルパターンは、例えば、ハンドヘルド探触子の押し付け等による被検体内部の変位量算出に利用できる。
音響受信器130は、被検体100に対して超音波102aを送信する。送信した超音波は被検体内で反射して、エコー波102bとなる。音響受信器130は、そのエコー波102bを受信し、超音波信号を出力する。そして、制御装置140が増幅およびA/D変換処理を行ったのち、メモリに格納する。
超音波102aを送信するタイミングは、S100におけるパルス光121と同時でも構わない。また、超音波を送受信する回数は1回に限らず、次のパルス光照射までの間に複数回行ってもよい。
この工程では、信号処理装置150において、S100での光音響波信号の取得回数と、S200での超音波信号の取得回数が、所定数に達しているかどうかが判定される。所定数に達していなければS100、S200を繰り返す。
繰り返し回数は予め所望の回数を設定しておく。あるいは、測定開始前に作業者がタッチパネル、キーボード等の入力手段から入力してもよい。あるいは、外部に設置した押しボタンを押し込んでいる間は測定を繰返すように設定するなど、測定をしながら回数を決定可能としてもよい。測定をしながら回数を決定する場合の一例として、ハンドヘルド探触子に接触センサを設けておき、作業者がハンドヘルド探触子を被検体に当てている間は測定が行われるようにしてもよい。
この工程では、画像再構成モジュール152が、関心領域(ROI:Region of Interest)を設定する。本フローにおいては、ROIとは、光音響波信号に基づき再構成を行う領域(光学特性値分布を算出する領域)を指す。
ROIを設定する際には、S200で繰り返し測定された各超音波信号から再構成され
た超音波画像のうち、いずれか1つの超音波画像の画像領域を用いればよい。例えば、複数の超音波画像のうち、最初の測定画像や、最後の測定画像、中間の回数での測定画像などを使用する。また、それらの測定画像を表示装置160に表示し、作業者がROIを任意に設定してもよい。この場合、マウスやタッチパネル等の入力機器や、座標を指示する入力方法を使用できる。
この工程では、第2の検出手段としての変位量算出モジュール151が、S400でROIを設定した超音波画像を取得した際の音響受信器130の位置と、S100の工程で光音響波を受信した際の音響受信器130の位置との間の変位量を算出する。変位量は、並進(音響受信器130に沿った方向(X)、および音響受信器130に鉛直下面方向(Y)の移動量)、回転値(θ)などで表現される。このような変位は、作業者がハンドヘルド探触子を手技で移動させることや、三次元的に配置された探触子を機械的に三次元でスキャンすることにより発生する。
この場合、変位量算出モジュール151は、各超音波画像にブロックマッチング法などの既知のアルゴリズムを適用する。ブロックマッチング法では、画像を一定の大きさの画像領域(ブロック)に分割し、各超音波画像において対応するブロックの位置を探索し、ブロックの移動および回転量を算出する。探索する領域の評価関数には、画像の相関値を示す既知の指標Sを用いる。探索範囲の中でもっとも相関性が高く算出される動きベクトルを、各ブロックの変位量として算出する。
また、SSDに関しては、指標Sは下記の式(2)で示される。
また、CCに関しては、指標Sは下記の式(3)で示される。
また、NCCに関しては、指標Sは下記の式(4)で示される。
また、ZNCCに関しては、指標Sは下記の式(5)で示される。
かかる対応付けの一例として、超音波信号受信時の音響受信器130の位置を、近似的に光音響波受信時の音響受信器130の位置としてもよい。さらに、光音響波受信時の音響受信器130の位置を、その光音響波受信の前後に行われた超音波受信時の音響受信器
130の位置から推定してもよい。
この工程では、画像再構成モジュール152が、S500で算出した音響受信器の変位量をもとに、光音響波信号受信時の音響受信器130の座標系を変換する。これにより、異なる方向から取得した光音響波に由来する光音響信号を、同じ基準に揃えた上で比較、合成できる。
例えば、S500で算出した変位角度をθ、水平方向移動量をx’、それに垂直な向きの移動量をy’とする。このとき、音響受信器の位置ベクトルx0、y0に関して、座標変換後の音響受信器の位置ベクトルx1、y1は次の式(6)で示される。
この座標変換を変位量に基づいてそれぞれ実行し、信号処理装置150内部のメモリに格納する。音響受信器の位置や方向に対応する座標系の一例を図9に示す。この例では、鉛直下方を測定するときの音響受信器921が取得する信号はxa−ya座標系で表現され、斜めに測定するときの音響受信器920による取得信号はxa−ya座標系で表現される。
なお、S500の結果から音響受信器の変位量が微量であり、その誤差を補正する必要がない場合は、S600を省略してもよい。
この工程では、第1の検出手段としての変位量算出モジュール151において、S200あるいはS100で取得した被検体情報を用いて、異なる画像間での被検体内の変位量を算出する。
被検体内の変位量の算出は、被検体内の画像領域の比較により行われる。まず、画像再構成モジュール152が、S600の工程によって揃えられた座標系に基づいて被検体の画像再構成を行う。つぎに変位量算出モジュール151が、各画像領域についての変位量をアルゴリズムに従って算出し、信号処理装置150内部のメモリに格納する。アルゴリズムの一例として、超音波画像の分野で既知の、スペックルパターンを用いたスペックルトラッキング法を利用できる。
各画像領域の変位量は、格子状に分割した画像領域それぞれについて算出すればよい。より好ましくは、ROI内で再構成したいピクセルのピッチにあわせた格子サイズで変位量を算出する。
この工程では、画像再構成モジュール152が、S700で算出した変位量に基づき、光音響波信号データの投影位置座標を決定する。ここで、投影される空間が3次元の場合は投影位置座標を投影位置ボクセルと呼び、2次元の場合は投影位置ピクセルと呼ぶ。
また、光音響波信号データとは、タイムドメインで再構成をする際に、光音響信号を時系列に従って投影位置ボクセルに割り振るデータを指す。その他、光音響波信号データは各トランスデューサが時系列で受信した光音響信号を基準としていればどのような信号でもよい。例えば、光音響波信号データは、S100で取得した光音響波信号(RF信号)や、包絡線検波したRF信号、RF信号に一定の重みづけを行った信号、RF信号にある係数をコンボリューションした信号であってもよい。他にも、光音響波信号データは、R
F信号に音響受信器の法線ベクトルと音響受信器−投影位置ボクセル間ベクトルとの角度に応じた重みづけを行った信号などであってもよい。
図10Aに、音響受信器1000の1つのトランスデューサと、被検体内を格子状に分割した各画像領域を示す。ここで、音響受信器1000が光音響信号1010を受信した場合、光照射からの時間および被検体内の音速から、音響受信器1000から等距離に存在する、同心円状のいずれかの画像領域(投影データ領域1020と呼ぶ)に音源があると推定される。またこのとき、図10Bに示すように、S700で算出された変位量データは、各分割領域における変位ベクトル1030で表わされるものとする。このとき、図10Cのように図10Bと同じ大きさで分割された領域に対して、変位ベクトル1030を用いた補正を行う。すると、図10Cにおける各投影データ領域1021はベクトルに応じて移動し、図10Dにおける変位量を考慮した投影データ領域1022となる。
このとき投影データに相当する項b(r0,t)を、式(8)に示す。
また、任意のデータ領域に対する受信器の立体角の項dΩ0は、式(9)となる。
ここで、p(r)はS100で取得した光音響波信号、rは位置、tは時間であり、θは受信器と任意のデータ領域とがなす角度である。
また音源の大きさに比べて、音源と測定位置の距離が十分大きい場合、投影データ項b(r0,t)は、式(10)のようにしてもよい。
例えばDAS法(Delay And Sum)もしくは整相加算法であれば初期音圧分布p0(r)は次式(11)により時間空間上で推定される。
ここでτは、次式(12)で表される、i番目のトランスデューサからのf番目の投影
位置ボクセルのx座標xf、y座標yf、音速c0より求まる、M個のトランスデューサから投影位置ボクセルまでの遅延時間となる。
ωは窓関数などの重みファクターなどでありトランスデューサの指向性や再構成画像の所望の解像度やSNに応じて変更される。
このとき被検体内部の変位が考慮された投影データとして、各トランスデューサが受信した時系列の信号から投影位置ボクセルに対して位相がそろうサンプリングデータSiを抽出する。
また、本工程において投影位置座標を補正する代わりに、S600と同様に各タイミングの被検体内部の変位量に基づいて各タイミングにおける投影データの座標系を補正してもよい。
また、S600において光音響信号の座標系を補正する代わりに、本工程の工程と同様に音響受信器の変位量に基づいて光音響信号が投影される投影位置座標を補正してもよい。
この工程では、画像再構成モジュール152が、S800で抽出した投影データに基づいたすべてのフレームの投影データ信号から、UBPであれば式(7)、DASであれば式(11)などにしたがってROIの領域の画像再構成を行う。あるいは被検体内部の変位量を考慮しない場合は、元の光音響波信号から画像再構成を行う。
画像再構成された光音響波画像、超音波画像は、表示装置160が画像として表示する。それぞれの画像を重畳させたり並置させたりして単一画面に表示してもよいし、画像を切り替えて表示してもよい。
本実施例では、規定回数受信した光音響波に由来する光音響信号、および、エコー波に由来する超音波信号から、補正した光音響画像を取得する方法を説明する。処理のフロー自体は図2で示したものと同じであり、ステップS300における信号取得回数の設定は100回とする。
音響受信器130には1Dリニアアレイ探触子を用いる。また、装置構成として、探触子を走査してデータを取得している最中は探触子走査に関する指示を画面上に表示し、既定のシーケンス終了後はデータ取得完了のメッセージを表示させるようにした。作業者に対する操作指示としては、被検体を複数の方向から測定するために探触子を移動させるようなものが好ましい。
このときのS100、S200のタイミングについて図3のタイミングチャートを用いて説明する。図3において,光音響波信号は発光をトリガに所定時間(例えば30μsec)取得される。発光の間隔は,光源110の発光周波数から決まる。例えば発光周波数が10Hzとすると、発光の間隔は100msecである。1回の発光時間を50nsecとすると、光音響の信号取得終了から次の発光までの時間は99msec以上ある。その期間に超音波の送信を行い、送信後、所定時間(例えば60μsec)、エコー波を取得する。
S500の探触子の変位量算出に関しては、100回分の超音波信号を画像再構成モジュール152で再構成した画像を分割して、各分割領域の移動を追跡する。具体的には、まず、探触子直下にあたる幅30mm、深さ10mmの領域を2mm四方の領域に分割した。次にROI設定に用いた50回目の画像を基準として、各分割領域について、ZNCCを相関指標として、最も相関の高い並進量及び回転量を算出する。そして、それらの値の中で最頻値をもって探触子の変位量とする。
S600における座標系変換に関しては、S500で算出した並進量、回転量を用いて各超音波取得時の音響受信器の座標系を変換し、メモリ上に保管する。
S800の投影位置座標の補正に関しては、画像再構成モジュール152が、S700でメモリに保管された被検体内部の変位量を用いて、投影位置座標の補正を行う。
そしてS900において、画像再構成モジュール152が、ROI内の投影データを積算し、重みづけをおこなうUBP法による再構成アルゴリズムを適用して画像再構成する。
ものである。図7(a)に、従来の手法による再構成画像を示す。一方、図7(b)には、本実施例の手法による再構成画像を示す。一般に、音響受信器に垂直方向に配置された光吸収体からの音響波の観測は、原理的に難しい。そのため図7(a)では、光吸収体の上下端しか画像化できていない。一方、本実施例の手法によれば、光音響波の受信位置(被検体に対する方向)が様々であるため、垂直方向以外から信号を取得できる。そのため、図7(b)に示すように柱状の光吸収体を再現できる。
実施例2では、光音響波取得時の音響受信器の位置を推定する方法を示す。図5は本実施例の処理フロー図である。なお、実施例1と共通の部分については説明を省略する。
次に、S501に示した方法で、超音波画像をもとにROIを設定した音響受信器に対しての相対変位(相対位置)として、並進量と回転量を算出する。次に、算出した値に基づいて、光音響波を取得した時間に相当する時点での並進量と回転量を線形補間により算出し、光音響波取得時の音響受信器の座標を推定する。
次に、S600において、S501で算出した並進量と回転量を用いて座標系を変換し、メモリ上に保管する。
そして、S900で、S600で算出された座標系に基づき100データから再構成を行って画像を算出する。
本実施例では、図11のフローを参照しつつ、過去に取得したデータを利用してリアルタイムに画像を出力する方法を説明する。
音響受信器は1Dリニアアレイ探触子とし、メモリに保存する信号の取得回数の設定は50とした。
次に、S200において、超音波を送受信する。
次に、S3000においてS100およびS200で取得した信号を最後に取得したデータから最大で50回分までをメモリに順次保管する。
次に、S401において、最後に取得した超音波から得られる画像領域をROIに設定する。
次に、S5000において、メモリに保管されている光音響波取得時の音響受信器の位置を、変位量算出モジュール151を用いて超音波画像から算出する。
次に、S700で被検体内部の変位量算出を行い、S800で投影データの投影位置座標の補正をS700で算出された被検体内部の変位量を用いて行う。
そしてS900において、S500で作成された座標を元に、画像再構成モジュール152が、S800で作成されたROI内の投影データを重ね合わせる再構成アルゴリズムを適用して画像再構成する。
本実施例では、図6のフローを参照しつつ、音響受信器の変位量の算出を画像データ取得ごとに行う方法を説明する。この方法であれば、計算の処理が分散され、メモリの負荷を抑制して画像を出力できる。
次に、S2100で、被検体に光を照射して光音響波信号を取得する。
次に、S3200において、超音波を送受信する。
次に、S4501において、ROIに設定した超音波取得時の音響受信器の位置を基準として、直前の光音響波取得時の音響受信器の位置からの音響受信器の並進量と回転量を、磁気センサの出力値から求める。
次に、S5600では、S4501で算出した並進量と回転量を用いて座標系を変換する。
次に、S7800において、光音響波のROI内の投影データの投影位置座標をS6701で算出された値をもとに補正する。
次に、S8000では、S7800での補正値をメモリに保存する。
上記の処理をS9302に従って20回繰り返す。このときメモリに保管する領域を図9に示す。ここでは、図面上斜め方向を向いているときの音響受信器920から再構成領域910が再構成される。また、変更後の位置にあるときの音響受信器921から画像化領域911が再構成される。この場合、メモリに保管する領域は共通の画像領域912とする。
最後に、S10900にて、20回分の共通部分のデータを用いて再構成を行う。
本実施例では、図12のフローを参照しつつ、音響受信器としてトランスデューサが三次元配置された探触子を使用する方法を説明する。この方法によれば、三次元の再構成像で視認性を向上させることができる。
またメモリに保存する信号の設定は50とした。
次に、S1001において、S100を実施した時点での磁気センサのデータを受信する。
次に、S3001においてS100およびS1001で取得した信号を、最後に取得したデータから最大で50回分までをメモリに順次保管する。
次に、S400において、最後に取得した時点での探触子直下の領域2cm^3のボリューム領域をROIに設定する。
次に、S5000において、最後に取得した時点での音響受信器の位置座標を基準にして、メモリに保管されている光音響波取得時の音響受信器の3次元位置座標をメモリに保管されている磁気センサデータから算出する。
次に、S700で被検体内部の変位量算出を行い、S800で投影データの投影位置座標の補正をS700で算出された被検体内部の変位量を用いて行う。
そしてS900において、S500で作成された3次元位置座標を元に、画像再構成モジュール152が、メモリに保管されている受信信号をもとに投影データを作成し、ROI内の投影データを3次元的に重ね合わせる再構成アルゴリズムを適用し再構成する。
以上、好適な実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限らず、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の変形例、応用例も包含するものである。
Claims (11)
- 光源と、
前記光源から出射された光が照射されることにより被検体から発生する光音響波を受信して時系列の電気信号に変換する受信手段と、
前記時系列の電気信号を用いて前記被検体内部の特性情報を取得する処理手段と、
を有し、
前記光源は、複数のタイミングで光を出射し、
前記受信手段は、前記複数のタイミングで前記光音響波を受信し、
前記処理手段は、前記複数のタイミングに対応する複数の時系列の電気信号のそれぞれに対して、前記複数のタイミング間の前記被検体内部の変位量に基づいて、前記時系列の電気信号が投影される投影位置座標を決定し、
前記複数の時系列の電気信号を前記決定された投影位置座標へ投影して前記特性情報を取得する
ことを特徴とする被検体情報取得装置。 - 前記複数のタイミング間の前記被検体内部の変位量を検出する第1の検出手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。 - 前記第1の検出手段は、前記被検体に送信されたのち前記被検体内で反射した超音波に基づく超音波信号を用いて前記複数のタイミング間の前記被検体内部の変位量を検出することを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
- 前記第1の検出手段は、前記複数のタイミングのそれぞれにおいて取得された複数の前記超音波信号に基づいて前記複数のタイミング間の前記被検体内部の変位量を検出する
ことを特徴とする請求項3に記載の被検体情報取得装置。 - 前記第1の検出手段は、スペックルトラッキング法により、前記複数のタイミング間の前記被検体内部の変位量を検出する
ことを特徴とする請求項4に記載の被検体情報取得装置。 - 前記受信手段は、前記被検体に超音波を送信する機能と、前記被検体内で反射した超音波を受信する機能を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の被検体情報取得装置。 - 前記複数のタイミングのそれぞれにおける前記受信手段と前記被検体との相対位置を検出する第2の検出手段をさらに有し、
前記処理手段は、前記複数のタイミングのそれぞれにおける前記受信手段と前記被検体との相対位置、および前記複数のタイミングのそれぞれにおける前記被検体内部の変位量に基づいて、前記投影位置座標を決定する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記第2の検出手段は、前記被検体に送信されたのち前記被検体内で反射した超音波に基づく超音波画像にブロックマッチング法を適用して、前記複数のタイミングのそれぞれにおける前記受信手段と前記被検体との相対位置を検出する
ことを特徴とする請求項7に記載の被検体情報取得装置。 - 前記受信手段は、磁気センサまたは光学センサを有し、
前記第2の検出手段は、前記磁気センサまたは前記光学センサの出力に基づいて、前記
複数のタイミングのそれぞれにおける前記受信手段と前記被検体との相対位置を検出することを特徴とする請求項7に記載の被検体情報取得装置。 - 前記特性情報を用いて前記被検体内部の画像を表示する表示手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記受信手段は、前記複数のタイミングにおいて前記受信手段と前記被検体との相対位置を変更可能に構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の被検体情報取得装置。
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