JP2014224071A - 皮膚化粧料 - Google Patents
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そこで、安定性を高めた皮膚化粧料として、特許文献1では、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩と多価アルコールの併用、また、特許文献2では、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステル又はその塩とエデト酸及び/又はその塩の併用が提案されている。しかし、いずれも肌へのなじみ性やべたつき、肌にはりを与える効果、隠れシミ改善効果、毛穴引き締め効果に関して、充分に満足のいくものではなかった。同様に、特許文献3においても、安定性を高めた皮膚化粧料として、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステル及び/又はその塩と液状油、界面活性剤及び水の併用が提案されている。しかし、肌へのなじみ性や肌にはりを与える効果、隠れシミ改善効果、毛穴引き締め効果に関して、充分に満足のいくものではなかった。他方、特許文献4では、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩と、血行促進作用又は細胞賦活作用を有する成分を併用し、抗シワ効果や美白効果、荒れ肌改善効果等に優れた化粧料が提案されている。しかし、安定性、肌へのなじみ性やべたつき、隠れシミ改善効果及び毛穴引き締め効果において充分に満足のいくものではなかった。このように、アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩を配合した皮膚化粧料においては、肌へのなじみ性、べたつき、肌にはりを与える効果、隠れシミ改善効果、毛穴引き締め効果に優れ、かつ安定性にも優れる皮膚化粧料は得られていなかった。
すなわち、本発明は、
(a)式(I)で示されるアスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩 0.001〜5質量%、
(b)炭素数が5又は6の2価アルコール 0.05〜10質量%、
(c)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.01〜5質量%、
(d)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 0.01〜5質量%、
(e)テルペン化合物 0.001〜5質量%、を含有する皮膚化粧料である。
本発明の皮膚化粧料は、さらに、(f)酸性ムコ多糖類 0.001〜5質量%を含有してもよい。
本発明のa成分であり式(I)で表されるアスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩は、アスコルビン酸の2位の炭素原子に結合した水酸基とリン酸がエステル結合し、6位の炭素原子に結合した水酸基に炭素数12〜20の脂肪酸がエステル結合し、リン原子に結合した2つの水酸基とアスコルビン酸の3位の炭素原子に結合した水酸基から水素原子が解離して塩を形成した化合物である。
炭素数12〜20の脂肪酸としては、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、2−ヘキシルデカン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられるが、入手のしやすさからパルミチン酸が好ましい。アスコルビン酸−2−リン酸エステルの脂肪酸エステルの塩としては、具体的にはNa塩、K塩、Ca塩、Mg塩、Zn塩等が挙げられるが、安定性の点からNa塩が好ましい。これらのa成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
a成分は、皮膚化粧料中に、0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%の割合で含まれる。0.001質量%未満では、隠れシミの改善効果や毛穴引き締め効果が低下する。5質量%を超えると、安定性が低下する。
b成分の炭素数が5又は6の2価アルコールとしては、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられ、中でも使用感の点から、好ましくは1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、より好ましくは1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールである。これらのb成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
b成分は、皮膚化粧料中に、0.05〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、さらに好ましくは2〜5質量%の割合で含まれる。0.05質量%未満では、安定性が低下しやすく、10質量%を超えると、べたつきを生じる場合がある。
c成分のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、硬化ヒマシ油にエチレンオキシドを付加することによって得られる。エチレンオキシドの付加モル数は、安定性の点から、好ましくは10〜80、より好ましくは20〜60である。具体的には、ポリオキシエチレン(20モル)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40モル)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80モル)硬化ヒマシ油が挙げられる。これらのc成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
c成分は、皮膚化粧料中に、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1質量%の割合で含まれる。0.01質量%未満では、肌へのなじみ性や安定性が低下しやすく、10質量%を超えると、べたつきを生じる場合がある。
d成分のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトール又はソルビタンと脂肪酸との部分エステルであるソルビタン脂肪酸エステルに、エチレンオキシドを付加させることによって得られる。エチレンオキシドの付加モル数は、安定性の点から、好ましくは15〜30モル、より好ましくは20〜30モルである。
脂肪酸としては、炭素数が8〜24の飽和あるいは不飽和脂肪酸が適し、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの単一脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の動植物油由来の混合脂肪酸などを用いることができる。脂肪酸の炭素数は、安定性の点から、好ましくは8〜22、より好ましくは12〜18である。脂肪酸エステルの数は、安定性の点から、好ましくは1〜3、より好ましくは1のモノエステルである。具体的には、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンが挙げられる。これらのd成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
d成分は、皮膚化粧料中に、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1質量%の割合で含まれる。0.01質量%未満では、肌へのなじみ性や安定性が低下しやすく、10質量%を超えると、べたつきを生じる場合がある。
e成分のテルペン化合物は、イソプレン単位から構成され、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン等に分類される。具体的には、モノテルペンであるリモネン、ピネン、カンフル、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、メントール、テルピネオール、ボルネオール、シトロネラール、シトラール、サフラナール、メントン、カルボメントン、ヨノン、セスキテルペンであるリシチン、ファルネソール、ネロリドール、ジテルペンであるレチナールが挙げられる。中でも肌へのなじみ性の点から、好ましくはモノテルペン、より好ましくはリモネン、メントールである。これらのe成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
e成分は、皮膚化粧料中に0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜3質量%、更に好ましくは0.03〜1質量%の割合で含まれる。0.001質量%未満では、肌へのなじみ性や肌にはりを与える効果が低下したり、べたついたりする場合がある。5質量%を超えると、刺激を感じる場合がある。
[f成分]
f成分の酸性ムコ多糖類としては、ヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン等の酸性ムコ多糖、又はそれらと無機又は有機のアルカリにより形成される塩が挙げられる。好ましくはヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸又はそれらの塩であり、更に好ましくはヒアルロン酸又はその塩である。これらのf成分は、単独で使用するか、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
f成分は、皮膚化粧料中に、に0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜3質量%、更に好ましくは0.05〜1質量%の割合で含まれる。
また、皮膚化粧料の剤型は特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、ジェル、クリームなどの任意の剤型を採ることができる。また、不織布等に含浸させて用いても良い。
(実施例1〜6、比較例1〜5)
表1に示す配合比率で化粧水を調製し、下記方法により評価を行った。その結果を表1に示す。
(1)肌へのなじみ性
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に使用して、下記の基準で評価を行ってもらった。
2点:肌へのなじみが非常に良いと感じた。
1点:肌へのなじみが良いと感じた。
0点:肌へのなじみが悪いと感じた。
20名の合計点を求め、以下のとおり判定した。
◎:合計点が35点以上かつ0点が0人:非常になじみが良い。
○:合計点が25点以上35点未満又は合計点が35点以上かつ0点が1人以上2人以下:なじみが良い。
△:合計点が15点以上25点未満:ややなじみが良い。
×:合計点が15点未満:なじみが悪い。
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に使用してもらい、下記の基準で評価を行ってもらった。
2点:全くべたつきを感じなかった。
1点:ほぼべたつきを感じなかった。
0点:べたつくと感じた。
20名の合計点を求め、以下のとおり判定した。
◎:合計点が35点以上かつ0点が0人:全くべたつきがない。
○:合計点が25点以上35点未満又は合計点が35点以上かつ0点が1人以上2人以下:ほぼべたつきがない。
△:合計点が15点以上25点未満:ややべたつく。
×:合計点が15点未満:べたつく。
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に使用してもらい、1日2回ずつ連日4週間使用した時の肌のはりについて官能検査し、下記の基準で評価を行ってもらった。
2点:肌にはりがでたと感じた。
1点:肌にややはりがでたと感じた。
0点:肌にはりがでたと感じなかった。
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上かつ0点が0人:肌に非常にはりを与える。
○:合計点が25点以上35点未満又は合計点が35点以上かつ0点が1以上2人以下:肌にはりを与える。
△:合計点が15点以上25点未満:やや肌にはりを与える。
×:合計点が15点未満:肌にはりを与えない。
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に1日2回ずつ連日4週間使用してもらった。試験開始前及び試験終了後にコスメティック用全顔撮影装置Facial Stage DM−3((株)モリテックス製)で、全顔をブラックライト撮影し、肉眼では見えない肌内部に潜在しているシミの状態について評価した。画像解析法にて隠れシミの平均面積を計測し、隠れシミ改善率を式(II)より算出し、
隠れシミの改善率(%) =( 1−(試験終了後の隠れシミの平均面積)/(試験開始前の隠れシミの平均面積))×100 (II)
20名の平均毛穴引き締め効果率を求め、以下のとおり判定した。
◎:平均隠れシミの改善率が10%以上:隠れシミの改善効果が非常に大きい。
○:平均隠れシミの改善率が5%以上10%未満:隠れシミの改善効果がある。
△:平均隠れシミ改善率が2%以上5%未満:隠れシミの改善効果がややある。
×:平均隠れシミ改善率が2%未満:隠れシミの改善効果がない。
20名の女性(25〜45歳)をパネラーとし、洗顔した後に各被験皮膚化粧料を顔全体に使用してもらい、1日2回ずつ連日4週間使用してもらった。試験開始前及び試験終了後にコスメティック用全顔撮影装置Facial Stage DM−3(株)モリテックス製)で全顔をデジタルカメラ撮影し、毛穴の状態について評価した。画像解析法にて毛穴の平均面積を測定し、毛穴引き締め効果率を式(III)より算出し、
毛穴引き締め効果率(%) = (1−(試験終了後の毛穴の平均面積)/(試験開始前の毛穴の平均面積))×100 (III)
20名の平均毛穴引き締め効果率を求め、以下のとおり判定した。
◎:平均毛穴引き締め効果率が10%以上:毛穴引き締め効果が非常に大きい。
○:平均毛穴引き締め効果率が5%以上10%未満:毛穴引き締め効果がある。
△: 平均毛穴引き締め効果率が2%以上5%未満:毛穴引き締め効果がややある。
×:平均毛穴引き締め効果率が2%未満:毛穴引き締め効果がない。
各被験皮膚化粧料を透明ガラス容器に密封して、0℃、室温、40℃で3ヶ月間保存し、その外観を目視にて観察し、下記のように評価を行った。
○:安定性良好(いずれの温度においても外観の変化がない。)
△:安定性やや不良(いずれかの温度において若干澱、沈殿を生じる又は若干変色を生じる。)
×:安定性不良(いずれかの温度において著しく澱、沈殿を生じる又は分離する。もしくは著しく変色を生じる。)
他方、比較例1〜5では充分な性能が得られなかった。すなわち、比較例1は、a成分が含まれていないため、肌にはりを与える効果、隠れシミの改善効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られなかった。比較例2は、b成分が含まれていないため、隠れシミの改善効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られておらず、安定性にも問題を生じた。比較例3は、c成分が含まれていないため、肌へのなじみ性、隠れシミの改善効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られず、安定性にも問題が生じた。比較例4は、d成分が含まれていないため、肌へのなじみ性、隠れシミの改善効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られず、安定性にも問題が生じた。比較例5は、e成分が含まれていないため、肌へのなじみ性、べたつき、肌にはりを与える効果、毛穴引き締め効果において充分な性能が得られず、安定性も不良であった。
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