JP2014223945A - 強化された防火水槽とその強化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】防火水槽を、崩落があっても水槽の形態を維持し水漏れを防止するように強化する。【解決手段】防火水槽Aのコンクリート壁に沿って囲繞枠を構成するように、遮水体であるスワエールスプレー塗装体3を塗布し硬化させる。内壁に吹き付けられ固化すると密封状態の遮水水槽1が形成される。この遮水水槽1内にマンホール2から複数の鋳鉄パネル5を挿入し、通路となるメンテナンスの空間が確保されたパネル構成体4を構築する。遮水水槽1上部に防火水槽Aのコンクリート天井部とこのパネル構成体4の上部間に崩落防止部材7,8を挿入する。このことにより、強度の高い水漏れのない長期間維持可能に強化された防火水槽が構築される。【選択図】図1

Description

本発明は、強化された防火水槽とその強化方法に関する。更に詳しくは、新製又は既存のコンクリート製の防火水槽における強化された防火水槽とその強化方法に関する。
製品として、従来から消防用の防火水槽に代表されるコンクリート製の防火水槽は、日本消防設備安全センターにより認定されたものが使用されていて、その大きさは規格化されている。このため多くの同形式の防火水槽が全国に設置されている。この防火水槽は、その機能から地面、地中に設置されるものである。このため自然環境にさらされることで、防火水槽は劣化し易く、又地震等の災害には破損のおそれも生じるものである。又、年数の経過とともに老朽化は避けられない。この結果、水漏れ等の不具合が生じメンテナンスを余儀なくされている防火水槽が多くなっている。
一般的に当初は、耐震性、耐久性、止水性等優れた機能を有し規格製品として実用化されているものの、耐用年数を越えての使用には限界がある。特に水漏れが生じている場合には防火水槽としての機能が欠如することになり問題であるが、地面、地中に設置することから地震等の自然災害にさらされ破損することも考慮しなければならない。この様なことから従来は、メンテナンスの場合、防火水槽の補強又は修繕のために、水を抜いた後に例えば人手により内壁にハツリ、洗浄、目地シーリング等の施し、さらに防水モルタルを塗る等の防水施工をしていた。
しかし、特に地震等の災害においては、防火水槽そのものが崩落破損してしまうので、新製の防火水槽であっても、長期間その使用を継続するためには、水漏れ防止のための処置以外に防火水槽本体の強化も必要としている。最近は特にメンテナンスを考慮した対策として、種々の提案がなされている。例えば、防火水槽の壁面に弾性を有する止水材を内張りし、その壁面に沿って人の点検用の通路を設け、防火水槽の中心にブロック等を配列し遮水性のシートで覆い、内部貯留空間を設けた構成のものが知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
又、防火水槽の内壁に軟質樹脂性のシール、袋を内張りするのみの構成のものも知られている(例えば、特許文献6〜8)。さらに、防火水槽の崩落を防止する構成では、防火水槽内に枠体ユニットを積み上げ、内壁との間の隙間に充填材を充填させる構成のものも知られている(例えば、特許文献9参照)。
特開2010−53628号公報 特開2010−120688号公報 特開2010−179942号公報 特開2011−255914号公報 特開平9−217394号公報 特開平8−260527号公報 特開平9−3989号公報 特開平11−152182号公報 特開2007−314217号公報
しかしながら、従来からの施工、例えばエポキシ樹脂を塗布のみを行なっての漏水防止処理施工は、地震等の自然災害ではすぐ亀裂が入り耐用年数前に水槽内の水が漏れるおそれが生じていた。このため前述の提案が提示されている。しかし、シールや袋体のみを使用する施工は、水漏れ防止に対しては一定の効果があるが、崩落破損対策には問題がある。又、崩落防止用に水槽中央にブロックを積み上げる構成のみでは、内壁との間に対しては空間を有する構成である。これは地震等の災害時には、ガレキがこの空間部に直接入り込みブロックを覆っているシートや袋体を直撃して損傷させるおそれがある。又、そのブロックそのものも強化されたものでないので、破損しやすく、積み重ねも崩れてしまうおそれのある構成である。
結果的にシートや袋体を破損させ内部に貯留している水を漏水させるおそれが生じる。又、内面に軟質樹脂性のシールを内張りするのみの構成のものは、水漏れ防止にある程度の効果はあるものの、地震等による内壁または亀裂が生じた場合には、崩落で防火水槽自体が破壊しまうので、その効果を失うことになる。更に防火水槽の内壁等の崩落を防止する防火水槽も提案されているが、前述したように現状は崩落防止のための機能は弱いので、折角崩落を防止しても水が漏洩してしまってはその機能を果たせなくなってしまうことになる。従って、新製、更正に関わらずコンクリート壁のひび割れを生じ難くし、防火水槽自体を強化した構成のものが望まれていた。
本発明は、このような従来の問題点を解決するために創案されたものであり、次の目的を達成する。本発明の目的は、地震等での崩落があっても防火水槽の形態を長期間維持し、強度を高め水漏れの防止できる強化された防火水槽とその強化方法の提供にある。又、本発明の他の目的は、現状の防火水槽を、新製、老朽化に関わらず低コストで短期間に容易な強化施工のできる防火水槽とその強化方法の提供にある。
本発明は、上記目的を達成するために、次の手段で達成される。即ち、
本発明1の強化された防火水槽は、 防火水槽と、前記防火水槽のコンクリート壁に沿って囲繞枠を構成し、内壁に設けられ固着状態で密封された遮水水槽を形成する遮水体と、前記遮水水槽内に組み立てるパネル構成体を形成するためのもので、マンホールより挿入可能な複数の金属パネルと、前記遮水水槽上部にあって、前記防火水槽のコンクリート天井部と前記パネル構成体の上部間に挿入される崩落防止部材とからなっている。
本発明2の強化された防火水槽は、本発明1に記載の強化された防火水槽において、前記金属パネルは、ダクタイル鋳鉄の金属パネルであることを特徴とする。
本発明3の強化された防火水槽は、本発明1又は2に記載の強化された防火水槽において、前記遮水体は、スワエールスプレー塗装体であることを特徴とする。
本発明4の強化された防火水槽は、本発明1又は2に記載の強化された防火水槽において、前記パネル構成体は、前記複数の金属パネルを、角部に連結部材を介して着脱自在に連結された構成体であることを特徴とする。
本発明5の防火水槽の強化方法は、防火水槽のコンクリート壁に沿って囲繞枠を構成し、内壁に遮水体を固着状態に設け密封された遮水水槽を形成する工程と、前記遮水水槽内にマンホールを介して金属パネルを挿入してパネル構成体を形成する工程と、前記パネル構成体の上部と前記防火水槽のコンクリート天井部との間に崩落防止部材を挿入する工程とからなっている。
本発明の強化された防火水槽は、防火水槽の壁に沿って遮水性のあるスワエールスプレー塗装を行い、内部に金属のパネルをブロックとして構成体にしたので、強度がありかつ遮水性の向上し強化された防火水槽になった。従って、遮水性の強化とともに、内壁の崩落特に天井部の崩落があっても、ガレキが内部に落下するのを防止できる構成のものとなった。コンクリート壁にひび割れが生じても前述の遮水体で水漏れを防止するので、結果的に地震等の不測の事態で崩落があっても水漏れがなく、長期間貯水能力を維持する構成の防火水槽が実現できることとなった。
図1は、強化された防火水槽の部分断面を示す説明図である。 図2は、鋳鉄パネル構成体を部分的外観で示す説明図である。 図3は、調整部材の構成を外観で示す説明図である。 図4は、樹脂枠を示す外観図である。 図5は、パネル構成体の全体を示す外観図である。 図6は、調整部材を取り付けた防火水槽の全体説明図である。 図7は、強化された樹脂枠の外観図である。 図8は、凹凸部による嵌め合いの連結部材による連結構成を示す説明図である。 図9は、図8における構成で、2つの金属パネルを連結する構成の説明図である。 図10は、図8における構成で、3つの金属パネルを連結する構成の説明図である。 図11は、ボスを介する嵌め合いの連結部材による連結構成を示す説明図である。 図12は、図11における構成で、3つの金属パネルを連結する構成の説明図である。 図13は、図11における構成で、4つの金属パネルを連結する構成の説明図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態を断面で示す強化された防火水槽の全体説明図であり、図2は鋳鉄パネル構成体4の部分外観を示す説明図である。図3は調整部材の構成を外観で示す説明図で、図4は、樹脂枠を示す外観図である。図5は、パネル構成体の全体を示す外観図である。図6は、調整部材を取り付けた防火水槽の全体説明図である。図7は、強化された樹脂枠の外観図である。図8〜図13は、パネル構成体の連結構成を示す説明図である。
図1は、地中に埋設されたコンクリートの防火水槽Aの断面構造を示す。この防火水槽Aあるいは貯水槽は日本消防設備安全センターの規格に適合した認定製品としている。この認定製品は、大きさにより40m3の防火水槽や40m3、60m3〜100m3の貯水槽として決められている。
本実施の形態の説明においては、防火水槽Aは貯水槽を含めての防火水槽Aとして説明する。適用される防火水槽Aは、新製されたもの、老朽化したものの区別は問わない。どのような水槽にも適用できる。防火水槽Aはコンクリート製で地下埋設型のものは地中のピットに埋設され、その上に載置される重量の大きさにより種類が異なっている。この従来から設置されているコンクリート製の防火水槽Aは、埋設して2,30年経過すると、コンクリートの経年劣化や地震等の崩落の伴う自然災害で本体にひび割れが生じ、水漏れにより水槽の水位低下が生じる。
このため特に従来から設置されている水槽に対しては、補修のためのメンテナンスは欠かせない。本実施の形態は、この防火水槽Aを対象にし、その強化を図る方法とその強化を施した防火水槽についてのものである。この防火水槽Aは使用時には水槽に水が満たされていて、この水槽の開口部にはメンテナンスと水の取り出しのため、円筒状のマンホール2が設けられている。このマンホール2の下部は導水路となっている。新製されて埋設されるときは、防火水槽Aは分割して組まれることもあって、水槽の内壁はその継ぎ目を含め全体に防水性樹脂が塗布されている。
しかし、現状は耐用年数を越えると、壁塗装面が剥離したり、コンクリートのひび割れにより水漏れが生じている。このため補修等の施工が必要となる。本発明の構成は、老朽化した水槽の強化はもとより、新製、既存の水槽にも適用し、強化を高めた水槽とするものである。次にこの防火水槽Aの強化方法とその構成についての実施の形態を説明する。防火水槽Aを強化するために、既存の防火水槽Aに対しては、先ず水槽内の水を抜き空の状態にする。次にマンホール2から作業者が入り、先ず内壁の遮水のための更正処理を行う。続いてマンホール2から複数の鋳鉄パネル5を挿入する。
本実施の形態の遮水強化処理では、遮水体としてスワエールスプレー塗装体3を使用するシステムを適用している。防火水槽Aの内壁にスワエールスプレー塗装体3を吹き付けるものとしている。このスワエールスプレー塗装体3は、上水や下水用施設のコンクリート構造体等の防食、防水のために使用される公知のコーティング施工で使用されるものである。この塗装は瞬間硬化コーティングで、数秒でゲル化し30秒ほどで硬化するので、作業能率を高めることができ、工期短縮が可能である。
この塗装を新製又は既存の防火水槽Aの内壁に施すのである。塗装剤はポリウレア樹脂で、耐酸性、耐アルカリ性、耐塩素性、耐オゾン性、耐候性に優れ、又クラックへの追従性もよく、水の安全性が保証されているものである。即ち、このスワエールスプレー塗装体3はコンクリートにひび割れが生じても、伸張性がある特性を有しているので、ひび割れへの追従性に優れ水漏れを防止できるのである。この施工は、新製の場合、通常のひび割れ防止塗装が施されていても、スワエールスプレー塗装体3を塗布する。
このスワエールスプレー塗装体3は、天井部を含めマンホール以外の内壁全体に施され、水槽を密封状態に構成している。このような塗装が施されて遮水性の強化された遮水水槽1が構築される。この塗装は鋳鉄パネル5を組み立てる前に施す。又、本実施の形態は、遮水体であるスワエールスプレー塗装体3を塗布することで説明したが、他の遮水体構成であってもよい。例えば、防水シート状のもの、袋体状のものを内壁に囲繞枠として施してもよい。
この遮水水槽1構築のための強化施工は、老朽化した水槽に前述のスワエールスプレー塗装体3を適用する場合、先ず旧いコンクリート壁に対し、下地のケレン、ハツリを行なう。これはサンダー、高圧洗浄やブラスト等の処理で、この後にコンクリート補修により劣化箇所の復元を行なう。これらの処理を行った後に、素地調整及びプライマリー処理をした後スワエールスプレー塗装体3の吹きつけを行なう。
スワエールスプレー塗装体3の吹きつけは、硬化剤と主剤であるイソシアネートを各々のポンプで高圧に混合させウレア樹脂となしスプレーガンで吹きつける施工である。この施工で塗装体が硬化した後に、前述のようにマンホール2から複数の鋳鉄パネル5を挿入し、パネル構成体4を構築する。
鋳鉄パネル5は、土木現場等で使用される土石詰め用の公知の枠材相当のもので、大量生産される板状の金属ブロックで、格子状になっている。この鋳鉄パネル5は、使用目的により種々のものが知られているが、本例ではマンホール2からの挿入が可能な大きさのもので、相互に水の通過の可能な格子が設けられているものである。
本例の場合の鋳鉄パネル5は、ダクタイル鋳鉄としている。この鋳鉄パネル5を図2に示すように、複数個連結することにより、所望するパネル構成体4が得られる。この連結は種々の方法があるが、介在物なしで相互に差し込み可能に連結される方式のものであってもよく、複数の鋳鉄パネル5を相互に継ぎ手を介して連結する方式のものであってもよい。
差込可能とする連結構成は、鋳鉄パネル5を2個で連結する場合は容易な構成となるが、3個以上の鋳鉄パネルを共に連結させる構成は複雑で具体化が難しい。これに対して継ぎ手を介する連結構成は、即ち、連結部材を介して鋳鉄パネルを連結することになる。この連結部材は着脱自在のものである。3個以上の鋳鉄パネル5を共に連結させる構成においても比較的容易に行うことができる。構成が容易な2個の鋳鉄パネルの直列連結の説明は省略し、次にそれ以外の連結構成について説明する。図8〜図13はその構成例である。
図8〜図10の例は、この実施例の鋳鉄パネル10の壁部にカギ状のL字形凸部10aを設け、このL字形凸部10aに嵌め込みが可能な凹部11aを有する連結部材11で複数の鋳鉄パネル10を連結する構成例である。この構成によると、連結部材11を1種のみで共用のものとして適用する連結構成である。連結部材11はL字状の凹部11aが設けられた板状部材で、L字形凸部10aに嵌め込みを可能とし、側面11bが連結される鋳鉄パネル10に当接する形状の部材である。
鋳鉄パネル10を2個連結する場合は、この鋳鉄パネル10の形状を片側壁面にL字形凸部10aを設ける構成の鋳鉄パネル12とし、3個以上の鋳鉄パネル10を連結する場合には、鋳鉄パネル12のクロス方向に交錯させて連結される鋳鉄パネル13は、両壁面にL字形凸部10aを設け形状のものとする。従って、パネル構成体4は構成の組みあわせにより形状の異なる2種の鋳鉄パネル12,13を使用することになる。図示はしていないが、4個の鋳鉄パネル10を十字形にするパネル構成体4の場合には、両側にL字形凸部10aを有する鋳鉄パネル13が4個を組み合わせての構成となる。このような構成によりパネル構成体4は、積層して形成される。
図11〜図13の構成例は、前述の連結部材が1種で共用のものとしたのに対し、鋳鉄パネル14を1種にし、連結部材15を複数種にした例である。図11は、2つの鋳鉄パネル14を角部で連結する例を、部品展開で示した説明図である。鋳鉄パネル14の端部側角部に段差部14aを設け、この段差部14aに円柱状のボス14bを設けた構成の鋳鉄パネル14とする。このボス14bは略四角形状の鋳鉄パネル14の角部4隅に設ける。
2つの鋳鉄パネル14を角部で連結する構成の連結部材16は、2つの孔16aを有し、2つの鋳鉄パネル14の両ボス14bに跨って、この孔16aを介して嵌め込まれ連結される形状のものとする。この連結部材16は板状の部材で通し孔が設けられ、側面形状は各々鋳鉄パネル14の段差壁面14cの形状に合せている。この構成により、連結部材16が鋳鉄パネル14に結合された場合、両鋳鉄パネル14はずれることなく連結される。
この連結部材16は段差壁面14cの高さLに比し厚さを2Lの長さとし、この張り出した上部に鋳鉄パネル14を追加の形(二点鎖線)で積層することを可能としている。図12は鋳鉄パネル14を3個連結させ構成体を構築する例を示している。この場合の連結部材17は孔17aが3個設けられた連結部材17となる。図13は、4個の鋳鉄パネル14を十文字に連結する例を示している。この場合の連結部材18は、孔18aが4個設けられた連結部材18となる。連結部材17,18の厚さはいずれも連結部材16に準じている。
本例の場合はこの鋳鉄パネル5が防火水槽Aの内壁に沿って組み立てられることになる。パネル構成体4の組み付けは、マンホール2から単体の鋳鉄パネル5を挿入し、防火水槽A内で順次組み立てることになる。この鋳鉄パネル5は金属であるが故に、そのパネル構成体4は強度の強化されたものになる。即ち、天井部の崩落が生じてもガレキ等はこのパネル構成体4で確実に受け止め、内部への落下を防止する。さらに、金属であるので浮力にも耐え、パネル構成体4は防火水槽Aが貯水されても安定した姿勢維持の設置構成となる。
鋳鉄パネル5は、図に示すように、マンホール2から挿入できる大きさのもので、強度があり、内部空間があり、複数のものを積み上げることが可能な構成のものである。図は角形状のものであるが、四角形、長方形いずれであってもよい。本実施の形態において、この鋳鉄パネルは略4角形で内側クロス方向に格子を配置した構成としている。この鋳鉄パネル5を積み上げ組み立てる作業を防火水槽Aの奥からマンホール2側に向かって施工しパネル構成体4とする。内壁は遮水体3で囲繞され、この防火水槽は遮水水槽1となっている。
図5は、理解を容易にするため、防火水槽A内に設置される構成体4のみを示した外観図である。鋳鉄パネル5は前述では内側にクロス方向に格子の配置された構成で説明したが、図5の場合は十文字の格子配置の構成で示している。どちらの構成も機能的に異なることはない。又、一部省略しているが、二点鎖線で示すように実際は鋳鉄パネル5等がさらに積層されてこのパネル構造体4は完成する。
鋳鉄パネル5をマンホール2近傍まで敷き詰め、且つ天井部まで構築するとボックス状になるが、パネル構成体4を形成したときには、消防車等のホースを挿入するスペースを、また作業者が点検のために通る通路確保のためのスペースを設ける。このスペースに周囲に孔を空けた導水路体等を設置してもよい。このパネル構成体4は点検のための作業空間が必要である。このため作業通路を確保する必要があり、パネル構成体4間に位置調整用の調整部材6が図3に示すように設けられている。
この調整部材6は部分的に構築されたパネル構成体4を所定位置に移動させ固定させるものである。この調整部材6は詳細を図示していないが、公知の機構を適用している。本例の場合は、分割したブロック6aに正逆のねじ体6bが回動自在に設けられたもので、このねじ体6bを回転させ対向するブロック6aを相対的に相互間の位置をずらし、ブロック6aの位置を決める。ブロック6aの端部はパネル構成体4に当接しているので、ねじ体6bの回転でパネル構成体4の位置が定まり同時にその位置が固定される。本例はこのような構成としているが、調整部材6は本例の構成に限定されず、他の構成であってもよいことはいうまでもない。
本実施の形態では、この調整部材6を図1に準じる全体構成である図6に示すように、マンホール2の出入り口近傍に適用している。マンホール2は人の出入りを可能としなければならず、そのために一定の空間が必要である。この空間を確保し維持するために、パネル構成体4間に調整部材6を設けた。この調整部材6を複数個上部から下方に対し適宜取り付けることにより、空間確保と同時にパネル構成体4の補強も行なうことになる。
パネル構成体4の最上端は鋳鉄パネル5がむき出しの状態であるので、上部の天井部との間のスペースに図に示す高さ調整を兼ねた崩落防止部材を挿入し、防火水槽Aの天井部と鋳鉄パネル5の上部の隙間を埋める必要がある。防火水槽A内に鋳鉄パネル構成体4が構築された後に、上部に単体の鋳鉄パネル5の高さ以内の隙間が生じるので、次にこの隙間を塞ぎ崩落防止のための処理を行う。先ずパネル構成体4の上部に高さ調整を兼ねた崩落防止用の樹脂枠7を敷き詰める。図1は縦方向に設置された金属パネル5上に樹脂枠7を敷き詰める構成になっているが、縦方向に設置された金属パネル5上にさらに水平方向に金属パネル5を組み立てた上に、樹脂枠7を載置する構成であってもよい。
この樹脂枠7は図4に示すように薄い板状部材で、水の通過を可能にする格子の設けられたものである。この樹脂枠7は薄枠状に構成されてはいるが、曲げ強度の強化されたものである。又、この樹脂枠7を分割形式でスライド調整できるようにし、長さ調整の可能な構成のものであってもよい。この場合、前述した調整部材6を使用してパネル構成体4の相互間が金属パネル5の幅を超える寸法変化があった場合に、この長さ調整可能な樹脂枠7を適用すると効果的である。
又、この崩落防止を強化するため、樹脂枠7を図7に示すように内壁7aを多く設ける構成にしてもよい。この樹脂枠7を敷き詰めても上部にさらに隙間が生じる場合は、次にこの樹脂枠7の上部に袋体8を敷き詰める。この袋体8は水またはウレタンの液が封入された柔軟性のあるもので、これを複数個敷き詰めることにより本件の基本的な構成体は完成する。
この結果、崩落防止部材は緩衝材となるので崩壊によるガレキが遮水水槽1内に入り込むのを防ぐことができる。天井部と樹脂枠7の隙間が小さい場合の袋体8は、防水シート状のものであってもよい。このような施工を施すことによって、遮水水槽1の水は清浄化を保つことができるので、飲料水としての使用が可能である。このようにして防火水槽Aの奥からマンホール2側に施工を進め、最終的には柔軟性のある崩落防止部材で全パネル構成体4を覆うことになる。
このため、コンクリート内壁にひび割れ部分があっても、密封状態が確保でき、遮水体により貯水槽からの水漏れを防止するとともに、外部からの雨漏り等も防止でき、崩落等のトラブルが生じても貯水状態は長期間確保され、消防等の有事の際にはいつでも対応ができる。
A…防火水槽
1…遮水水槽
2…マンホール
3…スワエールスプレー塗装体
4…パネル構成体
5…鋳鉄パネル
6…調整部材
7…樹脂枠
8…袋体
11,15…連結部材

Claims (5)

  1. 防火水槽(A)と、
    前記防火水槽(A)のコンクリート壁に沿って囲繞枠を構成し、内壁に設けられ固着状態で密封された遮水水槽(1)を形成する遮水体(3)と、
    前記遮水水槽(1)内に組み立てるパネル構成体(4)を形成するためのもので、マンホール(2)より挿入可能な複数の金属パネル(5)と、
    前記遮水水槽(1)上部にあって、前記防火水槽(A)のコンクリート天井部と前記パネル構成体(4)の上部間に挿入される崩落防止部材(7,8)と
    からなる強化された防火水槽。
  2. 請求項1に記載の強化された防火水槽において、
    前記金属パネル(5)は、ダクタイル鋳鉄の金属パネルであることを特徴とする強化された防火水槽。
  3. 請求項1又は2に記載の強化された防火水槽において、
    前記遮水体(3)は、スワエールスプレー塗装体であることを特徴とする強化された防火水槽。
  4. 請求項1又は2に記載の強化された防火水槽において、
    前記パネル構成体(4)は、前記複数の金属パネル(5)を、角部に連結部材(11、15)を介して着脱自在に連結された構成体であることを特徴とする強化された防火水槽。
  5. 防火水槽(A)のコンクリート壁に沿って囲繞枠を構成し、内壁に遮水体(3)を固着状態に設け密封された遮水水槽(1)を形成する工程と、
    前記遮水水槽(1)内にマンホール(2)を介して金属パネル(5)を挿入してパネル構成体(4)を形成する工程と、
    前記パネル構成体(4)の上部と前記防火水槽(A)のコンクリート天井部との間に崩落防止部材(7,8)を挿入する工程と
    からなる防火水槽の強化方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016160572A (ja) * 2015-02-26 2016-09-05 清水建設株式会社 保水性コンクリート構造物およびコンクリート構造物の保水方法

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JP2016160572A (ja) * 2015-02-26 2016-09-05 清水建設株式会社 保水性コンクリート構造物およびコンクリート構造物の保水方法

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