しかしながら、例えば、この種の遊技機のように変位部材を変位させることによって、第一入賞口に入賞しやすい状態とするか、または、第一入賞口に入賞し難い状態とする遊技機では、特典遊技状態に突入する可能性が極めて高い第一入賞口に入賞しやすい状態となるか否かは、特別遊技状態の当選契機によって確率(割合)が異なることがある。具体的には、特典遊技状態に突入するか否かを決定することに関わる、ある第二入賞口への遊技球の入賞を契機として特別遊技状態となる場合と、別の第二入賞口への遊技球の入賞を契機として特別遊技状態となる場合では、第一入賞口が入賞しやすい状態となる確率が異なるように設定されている。遊技者のなかには、このような確率の差が設定されていることを知らない者もいるため、自分が遊技している台の当該確率が、他の台よりも低いのではないかといった疑念を抱くおそれがある。
本発明は、遊技者にとって有利な遊技状態へ突入するか否かの確率が、ある第二入賞口への遊技球の入賞を契機とするものと、それとは別の第二入賞口への入賞を契機とするものとで異なるように設定された遊技機において、突入の可否を決定する契機となった入賞がどの第二入賞口に入賞したものかを、突入する遊技状態が確定した後でも認識可能にすることを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、遊技媒体が入賞可能な第一入賞口と、前記第一入賞口に遊技媒体を入賞させることが可能な第一状態と、入賞させることが困難または不可能な第二状態とに変位する変位部材と、前記変位部材を前記第二状態から前記第一状態に変位させて再度第二状態へ変位させる変位動作を少なくとも一回実行させる特別遊技終了後に通常遊技状態よりも有利な特典遊技状態に突入するか否かを抽選する抽選手段と、前記抽選手段による前記特典遊技状態への突入抽選に当選した場合には、前記特別遊技中に前記遊技媒体が入賞しやすいように前記変位部材を前記第二状態から前記第一状態に変位させて再度第二状態へ変位させる変位動作を少なくとも一回実行させる一方、前記特典遊技状態への突入抽選に当選しなかった場合には、前記特別遊技中に前記遊技媒体の入賞が困難となる態様で前記変位部材を前記第二状態から前記第一状態に変位させて再度第二状態へ変位させる変位動作を少なくとも一回実行させる変位部材制御手段と、を備えた遊技機において、遊技媒体の入賞が、前記特典遊技状態に突入するか否かを抽選する契機となる第二入賞口を複数備え、前記抽選手段は、この複数の第二入賞口のうちのある一つの第二入賞口への遊技媒体の入賞を契機とした前記特典遊技状態への突入抽選に当選する確率が、当該ある一つの第二入賞口とは別の第二入賞口への遊技媒体の入賞を契機とした前記特典遊技状態への突入確率と異なるように設定しており、前記特別遊技における前記変位部材の前記変位動作の終了後以降に、少なくとも当該特典遊技状態への突入確率が互いに異なる前記ある一つの第二入賞口と前記別の第二入賞口のいずれで突入抽選を実行したかを報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記ある一つの第二入賞口への遊技媒体の入賞を契機とした前記特典遊技状態への突入抽選に当選する確率は100%未満であり、かつ前記別の第二入賞口への遊技媒体の入賞を契機とした前記特典遊技状態への突入抽選に当選する確率は100%であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の遊技機において、前記特別遊技中に前記第一入賞口に入賞することを契機にして、当該特別遊技終了後に前記特典遊技状態に突入するように設定されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機において前記ある一つの第二入賞口に入賞しやすい第一流路と前記別の第二入賞口に入賞しやすい第二流路とが設けられており、前記第一流路および前記第二流路のいずれか一方の流路に流下した遊技媒体が他方の流路に流下することを困難とする進入抑制部を設けたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遊技機において、前記報知手段は、前記抽選手段による前記特典遊技状態への突入抽選に当選したにも拘わらず前記第一入賞口への遊技媒体の入賞が検出されない第一判断状態、および前記特典遊技状態への突入抽選に当選しなかったにも拘わらず前記第一入賞口への遊技媒体の入賞が検出された第二判断状態の少なくともいずれか一方の事象が発生した場合に、当該事象が発生した後の一定期間、いずれの第二入賞口で前記特典遊技状態への突入抽選を行ったかの報知とともに、当該判断状態であることを報知する報知手段を備えたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の遊技機において、前記報知手段は、前記第一判断状態および前記第二判断状態に加え、前記抽選手段による前記特典遊技状態への突入抽選に当選し前記第一入賞口への遊技媒体の入賞が検出された第三判断状態、および前記特典遊技状態への突入抽選に当選せずに前記第一入賞口への遊技媒体の入賞が検出されなかった第四判断状態の少なくともいずれか一方の事象が発生した場合に、当該事象が発生した後の一定期間、いずれの第二入賞口で前記特典遊技状態への突入抽選を行ったかの報知とともに、当該判断状態であることを報知することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の遊技機において、前記第一判断状態が発生したときの前記報知手段による報知態様と、前記第二判断状態が発生したときの前記報知手段による報知態様とは異なることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の遊技機に おいて、前記特別遊技中に一旦電力供給が停止し、その後復旧した場合には、前記特別遊技のうち前記特典遊技状態に突入するか否かの契機での前記変位部材の変位動作の終了後以降に電力供給が停止する前に実行されていた当該特別遊技の前記報知手段による報知が実行される一方、前記特別遊技中以外であって前記報知手段による報知が実行されていたときに一旦電力供給が停止し、その後復旧した場合には、電力供給が停止する前に実行されていた報知が停止されることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の遊技機において、前記報知手段は、前記特別遊技終了直前または前記特別遊技終了後から一定期間、報知を実行することを特徴とする。
請求項1に記載の発明にかかる遊技機では、変位部材の変位動作の終了後以降に、特典遊技状態への突入抽選がどの第二入賞口への遊技球の入賞を契機として行われたものかが報知手段によって報知されるから、突入の可否を決定する契機となった入賞がどの第二入賞口に入賞したものかを、突入する遊技状態が確定した後でも認識可能である。したがって、遊技者が自分の遊技台だけ特典遊技状態に移行する確率が異なるのではないか、といった疑念をもった場合等に発生するトラブルを低減することが可能である。
特に、請求項2に記載の発明のように、ある第二入賞口への遊技媒体の入賞を契機とした特典遊技状態への突入抽選に当選する確率が100%未満であり、別の第二入賞口への遊技媒体の入賞を契機とした特典遊技状態への突入抽選に当選する確率が100%である場合には、遊技者が別の第二入賞口への入賞によって特典遊技状態への突入抽選を受けたと勘違いして、特別遊技終了後に通常遊技状態となってしまったことにクレームをつけるおそれがある。このような場合であっても、どの第二入賞口で突入抽選がなされたかを事後的に確認することができるから、遊技者と遊技機設置店とのトラブルを低減することが可能である。
請求項3に記載の発明のように、特別遊技中に第一入賞口に入賞することを契機にして、特典遊技状態に突入するように設定された構成の場合には、実質的には特典遊技状態への突入の可否が第二入賞口への遊技球の入賞と、第一入賞口への遊技球の入賞の成否が特典遊技状態への突入の成否となるため、遊技性を高めることが可能である。
請求項4に記載の発明のように、ある第二入賞口に入賞しやすい第一流路と別の第二入賞口に入賞しやすい第二流路とが設けられた構成であれば、一方の流路を狙って遊技していたときに、偶然、入賞しにくい方の第二入賞口に遊技球が入賞し、それを契機として特典遊技状態への移行抽選が行われた場合、抽選が行われた契機を遊技者が勘違いすることによるトラブルが発生してしまうおそれがある。このような場合であっても、どの入賞口で突入抽選がなされたかを事後的に確認することができるから、遊技者と遊技機設置店とのトラブルを低減することが可能である。
請求項5に記載の発明のように、特典遊技状態への突入抽選に当選したにも拘わらず第一入賞口への遊技媒体の入賞が検出されない第一判断状態や、特典遊技状態への突入抽選に当選しなかったにも拘わらず第一入賞口への遊技媒体の入賞が検出された第二判断状態といったイレギュラーな事象が発生した場合、イレギュラーな事象が発生した事実がその内容とともに報知される。そのため、遊技者や遊技機設置店は、第二入賞口が閉鎖された後(変位部材の変位終了後)でも、当該事象が発生した事実とその内容を知ることが可能となる。
請求項6に記載の発明のように、特典遊技状態への突入抽選に当選し第一入賞口への遊技媒体の入賞が検出された第三判断状態や、特典遊技状態への突入抽選に当選せずに第一入賞口への遊技媒体の入賞が検出されなかった第四判断状態といった事象(イレギュラーでない事象)が発生したときにも、その事象が報知されるようにすれば、イレギュラーな事象が発生した場合とそうでない場合とを明確に区別することが可能となる。
請求項7に記載の発明のように、第一判断状態が発生したときと、第二判断状態が発生したときの報知態様が異なるようにすれば、どちらのイレギュラーな事象が発生したかを明確に区別することが可能となる。
請求項8に記載の発明のように、特別遊技中に一旦電力供給が停止し、その後復旧した場合には、当該特別遊技における報知手段による報知が実行されるから、電力供給が停止した場合であっても、判断状態を認識することが可能である。一方、特別遊技中以外に一旦電力供給が停止し、その後復旧した場合には、報知手段による報知が停止するため、報知が継続されることによる混乱の発生を抑制することが可能である。
請求項9に記載の発明のように、特別遊技終了直前または特別遊技終了後から一定期間、報知手段による報知がなされるようにすれば、特別遊技終了後、特典遊技状態または通常遊技状態に突入してから、イレギュラーな事象が発生した事実とその内容を知ることが可能となる。例えば、遊技者が、特別遊技終了後に、特典遊技状態に突入すると思っていたにも拘わらず、通常遊技状態となってしまった場合に生じうるトラブル解消に寄与する。
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、図1では、遊技機1の枠体、遊技球(本発明における遊技媒体に相当する)を発射する発射装置、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は省略している。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球を遊技領域91に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール92が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域91には、表示装置40、大入賞口30、アウト口93などが設けられている。また、後述するV入賞口10(本発明の第一入賞口に相当する)や、複数の始動入賞口20(本発明の第二入賞口に相当する)が設けられている。
また、遊技領域91には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域91を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
以下、本実施形態にかかる遊技機1の遊技の通常の流れについて説明する。なお、以下の説明における各種確率は、各確率に基づいて、乱数による抽選が適宜なされるものである((当選となる数値の総数/乱数の総数)=当選確率となる)。また、特に明示した場合を除き、以下の説明は、イレギュラーな事態が生じなかった場合に基づいたものである。
発射装置によって遊技領域91に進入した遊技球は、遊技領域91を流下する。この遊技球が、始動入賞口20や大入賞口30等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。また、遊技球が始動入賞口20に入賞すると、当該入賞を契機として大当たりの抽選が行われる。本実施形態では、始動入賞口20として、ヘソ入賞口21と電チュー入賞口22の二つが設けられている。ヘソ入賞口21は、常に開放している入賞口である。一方、電チュー入賞口22は、その幅方向両側に設けられた一対の開閉部材221(いわゆる電チュー)が図1に示されるような開状態にならないと遊技球が入賞することができない入賞口である。
遊技状態としては、通常遊技状態、特典遊技状態、および特別遊技状態が設けられている。通常遊技状態は、始動入賞口20(ヘソ入賞口21または電チュー入賞口22)に遊技球が入賞したことを契機とする大当たりの当選確率が特典遊技状態よりも低い(例えば1/300)、いわゆる低確率状態である。特典遊技状態は、始動入賞口20(ヘソ入賞口21または電チュー入賞口22)に遊技球が入賞したことを契機とする大当たりの当選確率が通常遊技状態よりも高い(例えば1/50)、いわゆる高確率(確率変動)状態である。特別遊技状態は、大当たりに当選したときに開始される大当たり遊技である。
通常遊技状態では、遊技者は遊技領域91の左側(表示装置40の左側の領域)に向かって遊技球を発射させる(いわゆる左打ち遊技を行う)。本実施形態では、遊技領域91の左側には、開閉部材221の開放抽選を行う契機となるゲート31等が設けられていないため、左打ちを継続している限り、開閉部材221が開状態になることはない。つまり、通常遊技状態では、遊技球が電チュー入賞口22に入賞することはほとんどなく、通常遊技状態で大当たり(特別遊技状態)の抽選契機のほとんどは、遊技球がヘソ入賞口21に入賞したときということになる。
大当たりに当選すると、特別遊技状態に移行(突入)する。特別遊技状態中は、遊技者は遊技領域91の右側(表示装置40の右側)に向かって遊技球を発射させる(いわゆる右打ち遊技を行う)。右側の遊技領域91に進入した遊技球は、そのまま遊技領域91を流下し、遊技領域91中央に向かって延びる遊技球通路32に誘導されて遊技領域91中央に向かう。遊技球通路32の出口には、さらに遊技領域91中央に向かって並ぶ遊技釘341が設けられているため、多くの遊技球は遊技球中央に設けられた大入賞口30に向かって誘導される。特別遊技状態では、大入賞口30が長時間かつ頻繁に開放することとなるため、遊技者は多くの遊技球を獲得することができる。また、この特別遊技状態では、特別遊技状態終了後に特典遊技状態に移行する権利を獲得することができる可能性がある。その詳細は後述する。
特典遊技状態では、遊技者は遊技領域91の右側(表示装置40の右側)に向かって遊技球を発射させる(いわゆる右打ち遊技を行う)。当該右側の遊技領域91には、開閉部材221の開放抽選を行う契機となるゲート31が設けられている。遊技球がゲート31を通過したことを契機として開閉部材221の開放抽選を行う。特典遊技状態中は、この抽選に高確率で当選するように設定されている。そのため、開閉部材221が頻繁に開放する。右側の遊技領域91に進入した遊技球は、そのまま遊技領域91を流下し、遊技領域91中央に向かって延びる遊技球通路32に誘導されて遊技領域91中央に向かう。遊技球通路32の出口には、電チュー入賞口22に向かって並ぶ遊技釘341が設けられているため、遊技球の大部分は電チュー入賞口22に向かう。電チュー入賞口22の直前まで遊技球が到達し、そのときちょうど開閉部材221が開放していれば、遊技球は電チュー入賞口22に入賞する。上述したように特典遊技状態では開閉部材221が頻繁に開放するため、電チュー入賞口22には頻繁に遊技球が入賞する。電チュー入賞口22に遊技球が入賞すると所定の数の賞球が払出装置により払い出される。そのため、遊技者は遊技球を減らさずに次の大当たりを獲得することができる可能性がある。また、遊技球通路32の出口には、電チュー入賞口22に向かって並ぶ遊技釘341の上に、ヘソ入賞口21に向かって並ぶ遊技釘342(本発明における進入抑制部に相当する)が設けられているため、いわゆる右打ち遊技時には、遊技球がヘソ入賞口21に入賞することはほとんどない。つまり、遊技釘342によって、一方側(左側または右側)の遊技領域91に設けられる流路(本発明における第一流路に相当する)に進入した遊技球が、他方側(右側または左側)の遊技領域91に設けられる流路(本発明における第二流路に相当する)内に進入することが困難(物理的に不可能な状態を含む)となっている。大当たりの抽選回数が所定回数(例えば70回)を超えた場合には、特典遊技状態は終了し、通常遊技状態に移行する。
遊技機1は、ヘソ入賞口21や電チュー入賞口22の始動入賞口20に遊技球が入賞したことを契機とする当否判定結果を、所定数記憶することが可能な記憶手段を備える。本実施形態では、ヘソ入賞による当否判定結果および電チュー入賞による当否判定結果をそれぞれ四つずつ保留して記憶することができる。電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機とする当否判定結果は、ヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機とする当否判定結果よりも優先して報知される(いわゆる「電チュー優先消化」である)。そのため、電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機とする保留が存在する限り、ヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機とする当否判定結果が報知されることはない。
大当たりに当選したときには、それと同時に特別遊技終了後に特典遊技状態に移行(突入)するか否かの抽選(図示されない抽選手段による抽選)が行われる。本実施形態では、ヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機として大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技である特別遊技終了後に特典遊技状態に移行する確率は50%に設定されている。つまり、特別遊技終了後に特典遊技状態に移行せずに通常遊技状態に移行する確率も50%である。これに対し、電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機として大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技である特別遊技終了後に特典遊技状態に移行する確率は100%に設定されている。したがって、大当たりの抽選契機のほとんどがヘソ入賞口21への遊技球の入賞によるものである通常遊技状態では、大当たりに当選した場合の特典遊技状態への移行確率(突入確率)が50%であり、大当たりの抽選契機のほとんどが電チュー入賞口22への遊技球の入賞によるものである通常遊技状態では、大当たりに当選した場合の特典遊技状態への移行確率が100%である。そのため、特典遊技状態に移行した場合、電チュー入賞口22への遊技球の入賞を契機として大当たりの抽選を受けている限り、上記所定回数の大当たり抽選が行われる前に大当たりを獲得した場合には、特典遊技状態が継続することになる。
特典遊技状態への移行の権利を獲得するためには、特別遊技状態中に遊技球をV入賞口10に入賞させる必要がある。すなわち、V入賞口10は特典遊技状態突入の契機となる入賞口である。V入賞口10は、遊技領域91の右下に設けられている。このV入賞口10は下方に向かって延びる誘導路11の末端(出口)に設けられている。遊技球は、この誘導路11に進入しない限り、V入賞口10まで到達することはない。誘導路11の入口には、変位部材12が設けられている。変位部材12は、図示されない変位部材制御手段によって、誘導路11の入口を開放する第一状態と、入口を閉鎖する第二状態とに変位させられる。つまり、変位部材12が第一状態にあるときには遊技球がV入賞口10に入賞する可能性があり、変位部材12が第二状態にあるときには遊技球がV入賞口10に入賞することはできない。以下で説明するように、特別遊技状態中のある所定の期間を除き、変位部材12は第二状態にある。
大当たりに当選し、かつ、特典遊技状態への移行抽選(突入抽選)に当選した場合(すなわち、ヘソ入賞口21への遊技球の入賞を契機として大当たりに当選した場合の50%、または電チュー入賞口22への遊技球の入賞を契機として大当たりに当選した場合)には、特別遊技状態中の一定期間(例えば、開放していた大入賞口30が閉鎖し、再び開放するまでのいわゆるラウンド間)、遊技領域91右側に設けられた変位部材12が第二状態から第一状態に変位する。すなわち、遊技球をV入賞口10に導く誘導路11の入口が開放する。変位部材12が第一状態となっている時間は、いわゆる右打ち遊技さえしていれば、遊技球がほぼ確実に誘導路11に進入することが可能な時間(例えば10秒)である(以下、これを単に長時間開放と称することもある)。したがって、遊技球はほぼ確実にV入賞口10に入賞することになるため、特典遊技状態への移行の権利を獲得することができる可能性が極めて高い。当該時間経過後、変位部材12は再び第二状態となる。
一方、大当たりに当選したものの、特典遊技状態への移行抽選に当選しなかった場合(すなわち、ヘソ入賞口21への遊技球の入賞を契機として大当たりに当選した場合の50%)であっても、特別遊技状態中に変位部材12が第二状態から第一状態に変位する。しかし、この変位部材12が第一状態となっている時間は極めて短い(例えば0.1秒)である(以下、これを単に短時間開放と称することもある)。そのため、いわゆる右打ち遊技をしていても、遊技球が誘導路11に進入することはほぼない。したがって、遊技球がV入賞口10に入賞することはほぼなく、特典遊技状態への移行の権利を獲得することができる可能性はほぼない。
このような変位部材12の変位(第二状態にある変位部材12が第一状態に変位し、一定時間経過後第二状態に戻る)は、本実施形態では一回の特別遊技中に一回実行される。なお、一回の特別遊技中に二回以上行われる構成としてもよい。
このように、実質的には大当たり当選時の特典遊技状態への移行抽選によって、その後の特典遊技状態への移行の成否が決まるにも拘わらず、特典遊技状態への移行抽選の当否と、V入賞口10への遊技球の入賞の成否が矛盾する、イレギュラーな事態が生じうる。例えば、特典遊技状態への移行抽選に当選しているにも拘わらず、遊技者が右打ちをしなかったがために、V入賞口10へ遊技球が入賞しなかったり、特典遊技状態への移行抽選に当選しなかったにも拘わらず、不正行為によりV入賞口10へ遊技球が入賞したりした場合である。このようなイレギュラーな事態が生じた場合のトラブルを防止するため、本実施形態にかかる遊技機1は以下に示す報知手段を備える。
本実施形態における報知手段による報知は、表示装置40によりなされる。具体的には、図2に示すように、表示装置40の表示画面の左下に表示される。この表示は、上述した特別遊技中の変位部材12の変位動作(長時間開放または短時間開放)の後の一定期間内に行われる。本実施形態では、特別遊技状態終了後から次の大当たり(特別遊技状態)が発生するまで表示される。これに限られず、変位部材12の変位動作終了直後から次の大当たり(特別遊技状態)が発生するまで表示してもよい。少なくとも、通常遊技中または特典遊技中である、特別遊技終了直前または直後から一定期間、表示されるようにするとよい。
表示画面の左下には、二つのブロックが表示される。右側には、青または赤に塗りつぶされたブロックが表示される。このブロックは、大当たりの当選契機となった入賞口を報知するものである。このブロックが青のときは、前回の大当たり(特別遊技状態)がヘソ入賞口21への遊技球の入賞を契機としたものであったことを示す。赤のときは、前回の大当たり(特別遊技状態)が電チュー入賞口22への遊技球の入賞を契機としたものであったことを示す。
二つのブロックのうちの左側には、「1」〜「8」の数字が表示される。各数字が示す意味は以下の通りである。
「1」・・・特典遊技状態中に大当たりに当選、かつ当該大当たり時の特典遊技状態への移行抽選に当選し、前回の特別遊技状態中の変位部材12の開放が長時間開放であったため、V入賞口10に遊技球が入賞(正常な事象)
「2」・・・特典遊技状態中に大当たりに当選、かつ当該大当たり時の特典遊技状態への移行抽選に当選し、前回の特別遊技状態中の変位部材12の開放が長時間開放であったものの、V入賞口10に遊技球が入賞せず(イレギュラーな事象)
「3」・・・特典遊技状態中に大当たりに当選、かつ当該大当たり時の特典遊技状態への移行抽選に当選せず、前回の特別遊技状態中の変位部材12の開放が短時間開放であったものの、V入賞口10に遊技球が入賞(イレギュラーな事象)
「4」・・・特典遊技状態中に大当たりに当選、かつ当該大当たり時の特典遊技状態への移行抽選に当選せず、前回の特別遊技状態中の変位部材12の開放が短時間開放であったため、V入賞口10に遊技球が入賞せず(正常な事象)
「5」・・・通常遊技状態中に大当たりに当選、かつ当該大当たり時の特典遊技状態への移行抽選に当選し、前回の特別遊技状態中の変位部材12の開放が長時間開放であったため、V入賞口10に遊技球が入賞(正常な事象)
「6」・・・通常遊技状態中に大当たりに当選、かつ当該大当たり時の特典遊技状態への移行抽選に当選し、前回の特別遊技状態中の変位部材12の開放が長時間開放であったものの、V入賞口10に遊技球が入賞せず(イレギュラーな事象)
「7」・・・通常遊技状態中に大当たりに当選、かつ当該大当たり時の特典遊技状態への移行抽選に当選せず、前回の特別遊技状態中の変位部材12の開放が短時間開放であったものの、V入賞口10に遊技球が入賞(イレギュラーな事象)
「8」・・・通常遊技状態中に大当たりに当選、かつ当該大当たり時の特典遊技状態への移行抽選に当選せず、前回の特別遊技状態中の変位部材12の開放が短時間開放であったため、V入賞口10に遊技球が入賞せず(正常な事象)
このように、左側のブロックに表示される数字は、大当たりに当選したときの遊技状態(通常遊技状態または特典遊技状態)、特典遊技状態への移行抽選の当否、V入賞口10への遊技球の入賞の成否、という三つの情報を報知するものである。右側のブロックと合わせれば四つの情報が報知されるということになる。
このような報知手段が設けられているため、特別遊技中の変位部材12の変位動作が終了した後や、特別遊技状態が終了した後であっても、どのような態様で大当たりしたかや、特別遊技状態終了後に移行した遊技状態がどのような抽選結果に基づくものなのか、といったことが明確に把握できる。具体的には、変位部材12が長時間開放となり遊技球がV入賞口10に入賞した(本発明における第三判断状態に相当する)、変位部材12が短時間開放であり遊技球がV入賞口10に入賞しなかった(本発明における第四判断状態に相当する)、といったイレギュラーでない事象が発生したときのみならず、変位部材12が長時間開放であったにも拘わらず遊技球がV入賞口10に入賞しなかった(本発明における第一判断状態に相当する)、変位部材12が短時間開放であったにも拘わらず遊技球がV入賞口10に入賞したといった(本発明における第二判断状態に相当する)、といったイレギュラーな事象が発生したということも把握できる。
このような報知手段による報知の制御処理フローの具体例は、図3から図6に示す通りである。大当たりに当選した場合、特典遊技状態中であったかどうかが判断される(S1)。特典遊技状態中であった場合には、その大当たりがヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機としたものかどうかが判断される(S2)。ヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機としたものであった場合には、特典遊技状態への移行抽選に当選したかどうかが判断される(S3)。移行抽選に当選した場合には、特別遊技状態中にV入賞口10に遊技球が入賞したかどうかが判断される(S4)。V入賞口10に遊技球が入賞したことが検出された場合には、特別遊技終了後、右側のブロックを青に、左側のブロックに「1」を表示する(S5)。一方、S4においてV入賞口10に遊技球が入賞したことが検出されない場合には、右側のブロックを青に、左側のブロックに「2」を表示する(S6)。
上記S3において特典遊技状態への移行抽選に当選しなかった場合には、特別遊技状態中にV入賞口10に遊技球が入賞したかどうかが判断される(S7)。V入賞口10に遊技球が入賞したことが検出された場合には、特別遊技終了後、右側のブロックを青に、左側のブロックに「3」を表示する(S8)。一方、S8においてV入賞口10に遊技球が入賞したことが検出されない場合には、右側のブロックを青に、左側のブロックに「4」を表示する(S9)。
上記S2においてヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機とした大当たりでない、すなわち電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機とした大当たりであると判断された場合には、特典遊技状態への移行抽選に当選したかどうかが判断される(S10)。移行抽選に当選した場合には、特別遊技状態中にV入賞口10に遊技球が入賞したかどうかが判断される(S11)。V入賞口10に遊技球が入賞したことが検出された場合には、特別遊技終了後、右側のブロックを赤に、左側のブロックに「1」を表示する(S12)。一方、S11においてV入賞口10に遊技球が入賞したことが検出されない場合には、右側のブロックを赤に、左側のブロックに「2」を表示する(S13)。
上記S10において特典遊技状態への移行抽選に当選しなかった場合には、特別遊技状態中にV入賞口10に遊技球が入賞したかどうかが判断される(S14)。V入賞口10に遊技球が入賞したことが検出された場合には、特別遊技終了後、右側のブロックを赤に、左側のブロックに「3」を表示する(S15)。一方、S14においてV入賞口10に遊技球が入賞したことが検出されない場合には、右側のブロックを赤に、左側のブロックに「4」を表示する(S16)。
上記S1において特典遊技状態中の大当たり当選でない、すなわち通常遊技状態中の大当たり当選であると判断された場合には、その大当たりがヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機としたものかどうかが判断される(S17)。ヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機としたものであった場合には、特典遊技状態への移行抽選に当選したかどうかが判断される(S18)。移行抽選に当選した場合には、特別遊技状態中にV入賞口10に遊技球が入賞したかどうかが判断される(S19)。V入賞口10に遊技球が入賞したことが検出された場合には、特別遊技終了後、右側のブロックを青に、左側のブロックに「5」を表示する(S20)。一方、S19においてV入賞口10に遊技球が入賞したことが検出されない場合には、右側のブロックを青に、左側のブロックに「6」を表示する(S21)。
上記S18において特典遊技状態への移行抽選に当選しなかった場合には、特別遊技状態中にV入賞口10に遊技球が入賞したかどうかが判断される(S22)。V入賞口10に遊技球が入賞したことが検出された場合には、特別遊技終了後、右側のブロックを青に、左側のブロックに「7」を表示する(S23)。一方、S22においてV入賞口10に遊技球が入賞したことが検出されない場合には、右側のブロックを青に、左側のブロックに「8」を表示する(S24)。
上記S17においてヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機とした大当たりでない、すなわち電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機とした大当たりであると判断された場合には、特典遊技状態への移行抽選に当選したかどうかが判断される(S25)。移行抽選に当選した場合には、特別遊技状態中にV入賞口10に遊技球が入賞したかどうかが判断される(S26)。V入賞口10に遊技球が入賞したことが検出された場合には、特別遊技終了後、右側のブロックを赤に、左側のブロックに「5」を表示する(S27)。一方、S26においてV入賞口10に遊技球が入賞したことが検出されない場合には、右側のブロックを赤に、左側のブロックに「6」を表示する(S28)。
上記S25において特典遊技状態への移行抽選に当選しなかった場合には、特別遊技状態中にV入賞口10に遊技球が入賞したかどうかが判断される(S29)。V入賞口10に遊技球が入賞したことが検出された場合には、特別遊技終了後、右側のブロックを赤に、左側のブロックに「7」を表示する(S30)。一方、S29においてV入賞口10に遊技球が入賞したことが検出されない場合には、右側のブロックを赤に、左側のブロックに「8」を表示する(S31)。
なお、本実施形態では、電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機とした大当たりの場合には100%の確率で特典遊技状態への移行抽選に当選するため、S10、S14、S15、S16、S25、S29、S30、S31は無くてもよい(これらのステップの処理が行われることはない)。電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機とした大当たりの場合の特典遊技状態への移行抽選の当選確率が、100%未満の設定とする場合には、これらのステップの処理を設定する必要がある。
このような処理フローにより制御される報知の具体例について図7を参照して説明する。まず図7(a)の例について説明する。詳細を後述するように、特別遊技中以外のときに電力の供給が停止し、電源が投入されたときには報知は実行されない。つまり、遊技機設置店の開店時または電源が不意に落ちたときには、基本的には報知が実行されていない状態(リセットされた状態)である。電源投入後、遊技が開始され、ヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機として、特別遊技終了後に特典遊技状態へ移行する大当たりに当選したとする。大当たり遊技では、大入賞口30の長時間開放が複数回実行される。この大入賞口30のある開放とその後の開放との間(いわゆるラウンド間)に、V入賞口10(変位部材12)が長時間開放する。そのため、この間いわゆる右打ちを継続していれば、遊技球がV入賞口10に入賞する。この特別遊技終了後の特典遊技中に、右側のブロックを青に、左側のブロックに「5」を表示する。その特典遊技中に、電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機として、特別遊技終了後に特典遊技状態へ移行する大当たりに当選したとする。その大当たりの特別遊技が開始されたことをもって表示を非表示にする。そして、当該特別遊技中に遊技球がV入賞口10に入賞した場合には、特別遊技終了後の特典遊技中に、右側のブロックを赤に、左側のブロックに「1」を表示する。本例は、一回目の大当たり(特別遊技)の後「5」が表示され、二回目の大当たりの後「1」が表示されているのであるから、イレギュラーな事象は発生しなかった(正常)であるということである。
図7(b)の例について説明する。電源投入後、遊技が開始され、ヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機として、特別遊技終了後に特典遊技状態へ移行する大当たりに当選したとする。その特別遊技中に、遊技者が席を離れるなどし、V入賞口10(変位部材12)が長時間開放したものの、遊技球がV入賞口10に入賞しなかったとする。つまり、特典遊技状態へ移行する権利を獲得できなかったとする。この場合には、特別遊技終了後には通常遊技状態に移行し、右側のブロックを青に、左側のブロックに「6」を表示する。例えば、ここで、遊技者が特別遊技終了後に特典遊技状態へ移行しないのはなぜかといったクレームをつけてきたとしても、「6」の表示により、V入賞が長時間開放したにも拘わらず、遊技球を入賞させなかったという特別遊技中に発生した事象を確認することができるため、トラブルの発生を防止できる。
その後遊技が再開され、ヘソ入賞口に遊技球が入賞したことを契機として、特別遊技終了後に通常遊技状態へ移行する(特典遊技状態への移行抽選に当選しなかった)大当たりに当選したとする。その特別遊技中のV入賞口10(変位部材12)の開放が短時間開放であったものの、V入賞口10に遊技球が入賞したとする。この場合、特別遊技終了後、右側のブロックを青に、左側のブロックに「7」を表示する。このように「7」や「3」が表示された場合、不正行為によってV入賞口10へ遊技球を入賞させた可能性があるため遊技機をチェックしたりする。「2」や「6」が表示されたときは遊技者の不手際によってイレギュラーな事象が発生した可能性がある一方、「3」や「7」が表示されたときには不正行為によってイレギュラーな事象が発生した可能性があるため、当該「3」や「7」が表示された場合と、「2」や「6」が表示された場合とを区別するため、報知態様の差がより大きくなるようにしてもよい。例えば、イレギュラーな事象が発生した可能性があるときには、「2」や「6」が表示されるだけでなく、スピーカから激しい警告音を発生させる等して、不正行為が発生した可能性があることを知らせるようにしてもよい。なお、短時間開放の場合であってもV入賞口10へ遊技球が入賞する可能性がある仕様の場合には、チェックの後、不正行為の事実がなければ特典遊技を継続させる構成としてもよい。
このように、本実施形態にかかる遊技機1によれば、イレギュラーな事象が発生した場合には、その事象の内容を事後的に確認することができるから、遊技者とのトラブルや、不正行為の発生を防止すること、遊技機の故障を発見すること等が可能である。また、遊技者も大当たりの当選契機等を容易に確認することが可能となる。
特に、本実施形態にかかる遊技機1では、電チュー入賞口22への遊技球の入賞を契機として大当たりに当選した場合、特別遊技終了後の特典遊技状態への移行確率が100%に設定されているため、遊技者からの以下のようなクレームが発生しやすい。本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆる「電チュー優先消化」であるため、特典遊技中に右打ちを継続していれば、電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機とする当否判定結果が報知されていくため、特典遊技中に当選した大当たりは特別遊技終了後に特典遊技状態へ移行するものとなる。しかし、特典遊技中に遊技を停止するなどし、電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機とする当否判定結果の保留が途切れると、あらかじめ記憶されていたヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機とする当否判定結果が報知される。このヘソ入賞によって当選した場合には、特別遊技終了後に特典遊技状態へ移行するとは限らないが、遊技者は特典遊技状態中に大当たりに当選すれば、必ず特典遊技が継続すると勘違いしている可能性がある。このようなときに、遊技者から特典遊技が継続しなかったことに対しクレームがついた場合であっても、特別遊技中に発生した事象の内容を事後的に確認することが可能である(「青」または「赤」の表示によって、ヘソ入賞によって大当たりに当選したか電チュー入賞によって大当たりが当選したかがわかるし、「1」〜「8」の表示によって特別遊技中のV入賞口10への遊技球の入賞の成否がイレギュラーなものであったかどうかもわかる)から、遊技者とのトラブル解消に効果的である。
とりわけ、本実施形態にかかる遊技機1のように、遊技釘342によって、左打ち時には電チュー入賞口22への入賞がほぼ期待できず、右打ち時にはヘソ入賞口21への入賞がほぼ期待できない遊技の場合、入賞しにくい方の始動入賞口20に遊技球が偶発的に入賞し、遊技者がそれを見逃してしまったときであっても、「青」または「赤」の表示によって事後的に当選契機を確認することができるため安心である。また、本実施形態のように電チュー入賞口22への遊技球の入賞を契機とした特典遊技状態への移行確率が100%である場合、右打ち時に遊技球が偶発的にヘソ入賞口21に入賞してしまったり、特典遊技開始時にいわゆる電チュー保留がなく、いわゆるヘソ保留が消化されてしまったりして、ヘソ入賞を契機として特典遊技状態への移行抽選が行われ、特典遊技状態へ移行しない場合がある。このようなときに、遊技者から特典遊技が継続しなかったことに対しクレームがついた場合であっても、そのようになった理由(ヘソ入賞口21で抽選を受けたということ)を説明することが可能である。
次に、本実施形態における報知手段による報知と、電源供給の関係について説明する。図8に示すように、報知手段による報知が実行されているときに電源の供給が停止した場合、電源の供給が再開された後にその報知を継続するか否かは、電源供給が停止した時点での遊技状態によって決まる。具体的には以下の通りである。電源が投入されたことが確認された後(S1−1)、まず特別遊技中であるかどうかが確認される。なお、特別遊技中に電源の供給が一旦停止し、その後復旧した場合には、遊技者の利益のために電源供給停止前の状態から特別遊技が継続されるようになっている。特別遊技中であると判断された場合(S1−2)には、電力供給停止前に実行されていた報知手段による報知が継続される(S1−3)。なお、特別遊技中に電源の供給が一旦停止し、その後復旧した場合であって、変位部材12の変位動作が終了していない場合には、その特別遊技において発生した事象(判断状態)を報知することになる。
一方、上記S1−2において特別遊技中でないと判断された場合、すなわち通常遊技状態または特典遊技状態にあると判断された場合には、電力供給停止前に実行されていた報知を停止(リセット)する(S1−4)。なお、遊技機設置店が電源供給を停止する場合には、特別遊技中ではないことがほとんどであるから、営業終了後に遊技機の電源を停止(OFF)にした場合、次の営業再開時には報知がなされていない状態となる。
このようにすれば、特別遊技中に一旦電力供給が停止し、その後復旧した場合には、報知手段による報知が継続されるから、電力供給が停止した場合であっても、当該特別遊技中に発生した事象を確認することが可能である。一方、特別遊技状態中以外に一旦電力供給が停止し、その後復旧した場合には、報知手段による報知が停止するため、報知が継続されることによる混乱の発生を抑制することが可能である。つまり、特別遊技中以外に電力供給が停止した場合には、報知を継続すると、その報知が電力供給の停止によるエラー信号等を表示するものではないかといった不安を招くおそれがあることから、このような事態の発生を防止するため、報知を停止するとよい。電力供給が停止する前にクレーム等が発生していなかったのであれば遊技状態に問題がなかった(遊技者に疑念がなかった)ということであるから、復旧後に報知を停止したとしても問題がない。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態では、ヘソ入賞口21に遊技球が入賞したことを契機として大当たりに当選し、その大当たり遊技である特別遊技終了後に特典遊技状態に移行する確率が50%であり、電チュー入賞口22に遊技球が入賞したことを契機として大当たりに当選し、その大当たり遊技である特別遊技終了後に特典遊技状態に移行する確率は100%に設定されていることを説明したが、このような確率に設定されていなくても本発明の技術思想は適用可能である。具体的には、ヘソ入賞による大当たり時の特典遊技状態の当選確率と、電チュー入賞による大当たり時の特典遊技状態の当選確率が異なっていればよい。このような設定であれば、どちらの始動入賞口20で当選したかを気にかける遊技者に対し、その内容を報知することが可能となる。なお、不正や遊技機の故障と思われるイレギュラー報知についてはブロックに表示する以外に盤面を消灯させたりするなどの別の報知を行ってもよい。
また、上記実施形態では、予め特典遊技状態を実行するか否かを決定しており、それに基づいて変位部材12の開放時間を変化させて入賞し易くしたり入賞困難にしたりして、入賞させることで特典遊技状態に突入する権利を獲得させるまたは入賞させないようにすることで特典遊技状態に移行させないものであるが、それに限るものではない。すなわち、変位部材12を長時間開放させるかどうかを決定するのみであってもよい。なお、この例においても、電源投入時(電源復旧時)の報知態様を、上記実施形態における電源投入時の報知態様と同じにしてもよい。
また、上記実施形態では、全ての判断状態に対して報知を行っているが、報知のうち少なくともイレギュラーの報知のみ(第一判断状態および第二判断状態の少なくとも一つ)実行するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ヘソ入賞口21と電チュー入賞口22の二つの入賞口で互いに特典遊技状態突入率が異なるような構成であるが、例えば、三つ以上の特典遊技抽選を実行する入賞口を設けており、そのうち少なくとも二つが特典遊技状態突入率が異なるように設定していればよく、二つ以上の入賞口が各々特典遊技状態突入率が異なるようにしてもよいし、その場合に全ての判断状態に対して報知態様を変更するようにしてもよい。