JP2014221027A - 液体種菌供給バルブ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液体種菌供給バルブ装置10は、第1部屋24および第2部屋11を連通する弁孔21Aを開閉する開閉バルブ20(開閉手段)を備える。第1部屋24には液体種菌供給手段13が、第2部屋11には無菌エアー圧送手段12(ガス圧送手段)と接種ノズル90Aとが接続される。開閉バルブ20は、液体種菌接種タイミングにおいて弁孔21Aを開けて第1部屋24および弁孔21Aならびに第2部屋11を介して液体種菌91を接種ノズル90Aに供給し、液体種菌排出タイミングにおいて弁孔21Aを閉じて液体種菌91の供給を遮断する。無菌エアー圧送手段12は、液体種菌排出タイミングにおいて、第2部屋11を介して無菌エアー92(ガス)を接種ノズル90Aに向けて流通させ、第2部屋11および接種ノズル90Aに残留された液体種菌91Aを接種ノズル90Aから排出させる。
【選択図】図5
Description
上記液体種菌供給バルブ装置に関する技術としては、例えば特許文献1に記載された技術が従来から知られている。この技術では、液体種菌供給手段から供給した液体種菌を接種ノズルから接種した後に、液体種菌供給手段と接種ノズルとを繋ぐ流通路から接種ノズルに向けて無菌エアーを圧送することで、上記流通路および接種ノズルに残留された液体種菌を吹き飛ばして上記接種ノズルから排出させる。これにより、上記流通路および接種ノズルに残留された液体種菌が液だれとなり、この液だれに雑菌が繁殖されることを抑えることができる。
本発明は、流通路を介して液体種菌を供給し、上記流通路に残留された液体種菌を無菌エアーなどのガスにより吹き飛ばして排出させる液体種菌供給バルブ装置において、液体種菌供給手段と流通路とを遮断する位置を上記ガスの流路上とすることで、排出するべき液体種菌が位置されうる範囲の全体に上記ガスを流通させて液体種菌の吹き飛ばしを行い、残留される液体種菌の量を減らすことを実現させるものである。
まず、第1の発明は、液体種菌接種装置の接種ノズルにこの接種ノズルが接種する液体種菌を供給する液体種菌供給バルブ装置である。この液体種菌供給バルブ装置は、弁孔によって互いに連通された第1部屋ならびに第2部屋を有し、かつ、弁孔を、第1部屋から第2部屋への通液が可能な開状態、または、第1部屋ならびに第2部屋が互いに遮断された閉状態のいずれかに切り替え可能に構成された開閉手段を備えている。上記第1部屋には、この第1部屋に液体種菌を供給する液体種菌供給手段が接続されている。上記第2部屋には、この第2部屋にガスを圧送することができるガス圧送手段と、上記接種ノズルとが接続されている。上記開閉手段は、上記接種ノズルが液体種菌を接種するタイミングである液体種菌接種タイミングにおいて弁孔を上記閉状態から上記開状態へと切り替えることで、第1部屋および弁孔ならびに第2部屋を介して液体種菌供給手段からの液体種菌を上記接種ノズルに供給し、かつ、液体種菌接種タイミングに続くタイミングである液体種菌排出タイミングにおいて弁孔を上記開状態から上記閉状態へと切り替えることで、上記液体種菌供給手段から接種ノズルへの液体種菌の供給を遮断する。上記ガス圧送手段は、液体種菌排出タイミングにおいて、第2部屋を介してガスを接種ノズルに向けて流通されるように圧送することで、第2部屋および上記接種ノズルに残留された液体種菌を吹き飛ばして上記接種ノズルから排出させる。
この第1の発明によれば、液体種菌接種タイミングにおいて液体種菌が流入される第2部屋には、接種ノズルおよびガス圧送手段がそれぞれ接続されて、このガス圧送手段から接種ノズルに向かって圧送されるガスが流通される。言いかえると、液体種菌排出タイミングにおいて、ガス圧送手段から圧送されるガスは排出するべき液体種菌が位置されうる範囲の全体に流通される。これにより、上記排出するべき液体種菌が位置されうる範囲の全体において液体種菌の吹き飛ばしを行い、残留される液体種菌の量を減らすことができる。
従来、培地に液体種菌を接種する際には、その接種効率を向上させるために、液体種菌を液体種菌供給手段から接種ノズルに勢いよく流入させたいという要望があった。ここで、上記第2の発明によれば、液体種菌接種タイミングでないタイミングにおいて、弁体は、この弁体に第1作動部および液体種菌圧送手段が圧送する液体種菌から印加される外力によって弁座に当接されて弁孔を閉状態に維持する。そして、液体種菌圧送手段からの液体種菌の送液圧力が高く設定される場合には、この高い送液圧力を利用して弁体をより強い力で弁座に当接させ、弁孔からの液体種菌の漏れ出しを抑えることが可能となる。また、液体種菌接種タイミングにおいては、弁孔は第2作動部によって強制的に開状態とされて、液体種菌圧送手段からの圧送により昇圧された液体種菌を第2部屋に流入させる。これにより、液体種菌供給手段から常時圧送される液体種菌を、開閉手段が開状態とされる液体種菌接種タイミングにおいて接種ノズルに勢いよく流入させ、液体種菌の接種効率を向上させることが可能となる。
この第3の発明によれば、第1作動部が弁体に常時印加する外力をスプリングの弾発力によってまかなうことで、開閉手段において常時駆動される駆動力源を不要として、液体種菌供給バルブ装置において消費されるエネルギーを減少させることができる。また、上記スプリングを液体種菌の流路から遮断することで、上記スプリングと上記液体種菌とが接触してこの液体種菌において糸状に浮遊される菌糸体が上記スプリングに引っかかって絡まることをなくすことができる。これにより、液体種菌供給バルブ装置において上記菌糸体が絡まることによる動作不良を抑えることが可能となる。
〈第1の実施形態〉
始めに、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10の構成について、主に図3ないし図5を用いて説明する。この液体種菌供給バルブ装置10は、図4に示すように、液体種菌接種装置90の接種ノズル90Aにこの接種ノズル90Aが接種する液体種菌91を供給する液体種菌供給バルブ装置である。
また、液体種菌91は、エノキタケの菌糸体の塊を滅菌水で希釈したものであって、従来からエノキタケの液体種菌として使用されているものである。ここで、液体種菌91において、上記エノキタケの菌糸体は、糸状に延びた状態で上記滅菌水の中に浮遊されている。
ここで、開閉バルブ20は、本発明における「開閉手段」に相当する。また、無菌エアー圧送手段12は、本発明における「ガス圧送手段」に相当する。
ここで、開閉バルブ20は、図4に示すように、接種ノズル90Aと上述した栽培容器(図示省略)とが近接されてこの栽培容器内の培地に液体種菌91の接種が行われるタイミングである液体種菌接種タイミングにおいて、弁孔21Aを上記閉状態から上記開状態に切り替える。これにより、開閉バルブ20は、弁孔21Aを介して第1部屋24内の液体種菌91を第2部屋11に流入させる。また、開閉バルブ20は、図5に示すように、上記液体種菌接種タイミングに続くタイミングである液体種菌排出タイミングにおいて、弁孔21Aを上記開状態から上記閉状態に切り替える。これにより、開閉バルブ20は、液体種菌供給手段13から接種ノズル90Aへの液体種菌91の供給を遮断することができる。
なお、第2部屋11の流通路における一端部11Aの周囲には、液体種菌供給バルブ装置10と接種ノズル90Aとの間からの液体および気体の漏れ出しを抑えるOリング11Dが取り付けられている。また、第2部屋11の流通路において、上側(図示上側)の端部(すなわち、一端部11Aとは反対側となる端部)である他端部11Bには、無菌エアー圧送手段12の接続管12Aが差し込まれて、互いに通風可能(図5参照)に接続されている。
無菌エアー圧送手段12から第2部屋11に圧送された無菌エアー92は、第2部屋11の流通路において他端部11Bから一端部11Aに向かう向き(図5では下向き)に流通され、さらに第2部屋11を経由して接種ノズル90Aに向かうように流通される。そして、無菌エアー92は、上記液体種菌接種タイミングの後で第2部屋11の内壁部11Cおよび接種ノズル90Aの内部に残留された液体種菌91Aを吹き飛ばして接種ノズル90Aから排出させる。
これにより、排出するべき残留された液体種菌91Aが位置されうる範囲の全体に無菌エアー92を流通させて残留された液体種菌91Aの吹き飛ばしを行い、残留された液体種菌91Aが吹き飛ばされずに残る量を減らすことができる。そして、この残留された液体種菌91Aが液だれとなり、この液だれに雑菌が繁殖されることを抑えることができる。
上記構成によれば、液体種菌供給手段13から供給される液体種菌91において上記残留された液体種菌91Aの分のロスをなくして、液体種菌91の接種を行うために必要な液体種菌91の量を減らすことができる。また、液体種菌91の接種を複数回行う場合は、各接種において上記残留された液体種菌91Aの量がばらつくことによる液体種菌91の接種量のばらつきをなくして、各接種における液体種菌91の接種量をより均等なものとすることができる。
このため、本実施形態の液体種菌供給バルブ装置10においては、上記残留された液体種菌91Aを吹き飛ばすガスを無菌エアー92とすることで、上記培地が雑菌に汚染されることを防いでいる。
また、開閉バルブ20において、第1部屋24は、図3ないし図5に示すように、弁孔21Aに対して互いに対向されるように開口を有し、かつ、この開口とは別に接続管20Bが通液可能に接続された穴として形成されている。ここで、第1部屋24の開口は、漏れ止め用のOリング24Bが取り付けられた蓋板24Aによって塞がれている。この蓋板24Aは、第1部屋24の開口の縁部に対して密着された状態に締結されている。この構成によれば、液体種菌供給バルブ装置10における弁座21および弁孔21Aのメンテナンスを、第1部屋24の開口から蓋板24Aを外すことによって容易に行うことができる。
液体種菌圧送手段13Aは、図3ないし図5に示すように、液体種菌91を所定の送液圧力(例えば0.4[MPa])で送液管13Bおよび接続管20Bを経由して第1部屋24に向かうように常時圧送する。なお、送液管13Bは、図1ないし図6に示すように、上記した液体種菌91の送液圧力に対して大きな変形をすることなく耐えることができる剛性を有したプラスチックによって、円管形状に形成されている。また、開閉バルブ20の各構成は、図3ないし図5に示すように、漏れ止め用のOリング11D、21B、23E、24Bを除いて、上記した液体種菌91の送液圧力に対して大きな変形をすることなく耐えることができる剛性を有した金属によって形成されている。送液管13Bおよび開閉バルブ20の各構成において剛性に優れた素材を使用することで、液体種菌圧送手段13Aからの液体種菌91の送液圧力を大きく設定してこの液体種菌91を液体種菌接種タイミングにおいて接種ノズル90Aに勢いよく流入させ、液体種菌91の接種効率を向上させることが可能となる。
なお、弁座21には、弁孔21Aが弁体20Aによって塞がれたときに、この弁体20Aと弁座21との間からの液体種菌91の漏れ出しを抑えるOリング21Bが取り付けられている。
ここで、各コイルスプリング22A、22Bは、本発明における「スプリング」に相当する。また、ベローズ22Cは、各コイルスプリング22A、22Bを開閉バルブ20における液体種菌91の流路(図4参照)から通液不可能に遮断する部材であり、本発明における「遮断部」に相当する。
上記構成により、第1作動部22は、各コイルスプリング22A、22Bの弾発力により、弁体20Aに第1部屋24側から第2部屋11側に向かう向き(図3では左側から右側に向かう向き)の外力を常時印加するように作動する。そして、弁体20Aは、第1作動部22および液体種菌圧送手段13Aが圧送する液体種菌91から印加される外力によって弁孔21Aを上述した閉状態に維持する。そして、液体種菌圧送手段13からの液体種菌91の送液圧力が高く設定される場合には、この高い送液圧力を利用して弁体20Aをより強い力で弁座21に当接させ、弁孔21Aからの液体種菌91の漏れ出しを抑えることが可能となる。これにより、液体種菌供給手段13から開閉バルブ20に液体種菌91を常時圧送しながら、この液体種菌91が液体種菌接種タイミングでないタイミングにおいて第2部屋11に漏れ出すことを防ぐことができる。
また、ベローズ22Cにより各コイルスプリング22A、22Bを液体種菌91の流路から遮断する構成によれば、各コイルスプリング22A、22Bと液体種菌91とが接触されて、この液体種菌91において滅菌水の中に浮遊される糸状の菌糸体が各コイルスプリング22A、22Bに引っかかって絡まることをなくすことができる。これにより、液体種菌供給バルブ装置10において上記菌糸体が絡まることによる動作不良を抑えることが可能となる。
スライダー23Bは、弁座21に対して第2部屋11を挟んだ反対側(図3で見て右側)に向かって延びて開口されたスライド穴23Cに嵌合されている。これにより、スライダー23Bは、弁座21に近接する向き(図3で見て左向き)と弁座21から離間する向き(図4で見て右向き)とにスライド移動できるようになっている。
また、スライダー23Bには、図3ないし図5に示すように、このスライダー23Bとスライド穴23Cとの間からの液漏れを抑えることができるOリング23Eが取り付けられている。また、スライダー23Bと弁座21との間には、スライダー23Bが弁座21に近接された際にこの弁座21からスライダー23Bを離間させるように弾発力を発揮するコイルスプリング23Dが差し挟まれている。
そして、押し込み部材23Aは、図4に示すように、スライダー23Bが弁座21に対して近接されたときに、弁孔21Aの中心を通って弁体20Aを第2部屋11側から第1部屋24側に向かう向き(図示左向き)に押圧して、弁体20Aを弁座21から離間させるように押し込む。
空圧源25Cは、液体種菌接種装置90の制御コンピュータ(図示省略)によって制御されることで、上述した液体種菌接種タイミングにおいてのみ空圧アクチュエータ25に圧縮エアー92Aを供給する。これにより、空圧アクチュエータ25は、上記液体種菌排出タイミングにおいてはピストンロッド25Aを押し出し、上記液体種菌接種タイミングでないタイミングにおいてはピストンロッド25Aを上記待機位置に戻すように動作する。
このため、空圧アクチュエータ25は、空圧源25Cから圧縮エアー92Aが供給されると、ピストンロッド25Aをスライド穴23Cに嵌合されたスライダー23Bに向けて押し出し、このスライダー23Bを弁座21に対して近接させるようにスライド移動させる。ここで、上記空圧アクチュエータ25がピストンロッド25Aを押し出す力は、上述した第1作動部22および液体種菌圧送手段13Aが圧送する液体種菌91による弁体20Aへの押圧力と、コイルスプリング23Dによるスライダー23Bへの付勢力とに抗して弁体20Aを押し込むことができる大きさに設定されている。
また、取り付け板10Bの上縁部には、空圧アクチュエータ25に対して上側(図示上側)から係合することで、液体種菌供給バルブ装置10における空圧アクチュエータ25のぐらつきを抑える係合片10Cが突設されている。この係合片10Cは、図1および図2に示すように、液体種菌供給バルブ装置10において抜け止め部材10Aと同じ側(図2で見て上側)となる位置のみに配置されている。
上記構成によれば、空圧アクチュエータ25は、この空圧アクチュエータ25を取り付け板10Bに締結するボルト(図1参照)を外して、液体種菌供給バルブ装置10の他の各構成に対して抜け止め部材10Aおよび係合片10Cとは反対側(図2で見て下側)にスライド移動させることで、上記他の各構成から簡単に分離することができる。これにより、液体種菌供給バルブ装置10における各構成のメンテナンスを容易に行うことができる。
圧縮エアー92Aの供給を受けた空圧アクチュエータ25は、図4に示すように、ピストンロッド25Aを押し出してスライダー23Bをコイルスプリング23Dの付勢力に抗して弁座21に向けて押し込む。これにより、スライダー23Bにセットされた押し込み部材23Aは、弁体20Aを第2部屋11側から第1部屋24側に向かう向き(図4で見て左向き)に押圧する。
このため、押し込み部材23Aは、弁体20Aを押し込んで弁座21から離間させ、弁孔21Aを空ける。言いかえると、第2作動部23は、液体種菌接種タイミングにおいて、弁体20Aに印加されている第1部屋24側から第2部屋11側に向かう向きの外力に抗して弁体20Aに第2部屋11側から第1部屋24側に向かう向きの外力を印加するように作動して、弁孔21Aを強制的に上述した開状態とする。
なお、弁孔21Aから第2部屋11に噴射される液体種菌91は、その一部がスライド穴23C内に入る。このスライド穴23Cに入った液体種菌91は、スライダー23BおよびOリング23Eによりスライド穴23Cの開口側(図4で見て右側)への流れが止められて第2部屋11の流通路における一端部11Aに向けて流下され、接種ノズル90Aから上記培地(図示省略)に接種される。
これにより、ピストンロッド25Aはコイルスプリング25Bの弾発力により、スライダー23Bおよび押し込み部材23Aはコイルスプリング23Dの弾発力により、それぞれ元の位置に戻る。あわせて、弁体20Aは第1作動部22の各コイルスプリング22A、22Bによる弾発力によって第2部屋11側に向かって押され、弁座21に当接されてこの弁座21の弁孔21Aを塞ぐ。
なお、弁孔21Aから第2部屋11の流通路に噴射された液体種菌91は、その一部が弁孔21Aよりも無菌エアー圧送手段12側(図5で見て上側)に逆流されて残留された液体種菌91Aとなる。しかしながら、無菌エアー92は無菌エアー圧送手段12から接種ノズル90Aまで一方通行で圧送されるため、残留された液体種菌91Aはその残留された位置によらず接種ノズル90Aに向けて吹き飛ばされ、この接種ノズル90Aから排出される。
続いて、第2の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置30の構成について、図7を用いて説明する。第2の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置30は、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10を変形した実施形態である。したがって、第2の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置30において上記第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10の各構成と共通する構成については、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10の各構成に付した符号に「20」を加算した符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略する。
第2の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置30は、図7に示すように、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10において押し込み部材23Aにより弁体20Aを押し込む第2作動部23(図4参照)の代わりに、引っ張り部材43Aにより弁体40Aを引っ張る第2作動部43を用いたものである。
なお、蓋板44Aと引っ張り部材43Aとの間には、この引っ張り部材43Aと蓋板44Aとの間の隙間から液体種菌91が漏れ出すことを抑える軸封部材43Bと、単板または重ね板(図7では単板)のリーフスプリングからなる第1作動部42とがセットされている。ここで、第1作動部42のリーフスプリングは、蓋板44Aの各リブ44C、44Dの間に掛け渡されて、弁体40A側(図7で見て右側)に向かって突出されるように撓められて、引っ張り部材43Aおよび弁体40Aを第1部屋44側から第2部屋31側に向かう向き(図7では左側から右側に向かう向き)に常時付勢する。これにより、開閉バルブ40において常時駆動される駆動力源を不要として、液体種菌供給バルブ装置30において消費されるエネルギーを減少させることが可能となる。言いかえると、第1作動部42のリーフスプリングは、本発明における「スプリング」に相当する。
上記構成によれば、第1作動部42のリーフスプリングと液体種菌91とが接触されて、この液体種菌91において滅菌水の中に浮遊される糸状の菌糸体が第1作動部42のリーフスプリングに引っかかって絡まることをなくすことができる。これにより、液体種菌供給バルブ装置30において上記菌糸体が絡まることによる動作不良を抑えることが可能となる。
上記構成によれば、第1作動部42および第2作動部43が第2部屋31上に位置されないようにして、この第2部屋31の流通路を凹凸の少ない単純な形状(例えば図7に示す円孔状の貫通孔)にすることが可能となる。これにより、液体種菌接種タイミングの後に第2部屋31に残留される液体種菌91の量を減らすことができる。なお、第2の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置30の具体的な動作は、上述した点を除いて、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10の具体的な動作と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
続いて、第3の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置50の構成について、図8を用いて説明する。第3の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置50は、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10を変形した実施形態である。したがって、第3の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置50において上記第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10の各構成と共通する構成については、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10の各構成に付した符号に「40」を加算した符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略する。
第3の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置50は、図8に示すように、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10において押し込まれたスライダー23Bを元の位置に戻すためのコイルスプリング23D(図3ないし図6を参照)を、ゴム弾性を有する弾性板63Dに置き換えたものである。なお、弾性板63Dの枚数(図8では2枚)は、適宜変更することが可能である。
上記構成によれば、液体種菌91において滅菌水の中に浮遊される糸状の菌糸体が、上述したスライダーを弁座61から離間させるコイルスプリングに引っかかって第2部屋51内に残留されることがなくなる。これにより、第2部屋51内に残留された上記菌糸体を栄養源として第2部屋51内に雑菌が繁殖されることを抑えることができる。また、液体種菌91の接種を複数回行う際には、上記コイルスプリングに上記菌糸体が引っかかって絡まることによる上記スライダーの動作不良をなくすことができる。
なお、第3の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置50の具体的な構成および動作は、上述した点を除いて、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10の具体的な構成および動作と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
続いて、第4の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置70の構成について、図9ないし図11を用いて説明する。第4の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置70は、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10を変形した実施形態である。したがって、第4の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置70において上記第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10の各構成と共通する構成については、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10の各構成に付した符号に「60」を加算した符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略する。
第4の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置70は、図11に示すように、第1の実施形態にかかる液体種菌供給バルブ装置10における第1作動部22および第2作動部23(図3ないし図5を参照)の各機能を、1つの空圧アクチュエータ85のはたらきによって実現させたものである。
また、弁体80Aにおいて空圧アクチュエータ85側(図11で見て右側)となる端部からは、図9ないし図11に示すように、円柱形状に形成された押し引き部80Dが空圧アクチュエータ85に向かって突出されている。この押し引き部80Dは、図11に示すように、その突端80Eが部分的に拡径された円盤形状に形成されている。
なお、液体種菌供給バルブ装置70は、図9ないし図11に示すように、空圧アクチュエータ25に対して上側から係合する係合片を有していない。このため、上記係合鉤85Dと突端80Eとの係合は、取り付け板70Bに対する締結が外された状態の空圧アクチュエータ25を、液体種菌供給バルブ装置70の他の各構成に対してスライド移動させることで行うことができる。
そして、空圧アクチュエータ85によって往復移動される弁体80Aは、液体種菌排出タイミングでないタイミングにおいては弁孔81Aを閉状態とし、液体種菌排出タイミングにおいては弁孔81Aを開状態とする。なお、空圧アクチュエータ85としては、図11に示す単動型の空圧アクチュエータに代えて、同様の動作をする複動型の空圧アクチュエータ(図示省略)を使用することが可能である。
上記構成によれば、液体種菌圧送手段73Aが圧送する液体種菌91による弁体80Aへの押圧力の向きは、この弁体80Aが弁孔81Aを開閉させる際の往復スライド移動の方向(図11で見て左右方向)に直交される。これにより、上記弁体80Aの往復スライド移動に必要な力の大きさが上記弁体80Aへの押圧力によって増大されることを抑えて、空圧アクチュエータ85の駆動力をより小さくすることが可能となる。
ここで、蓋板86Aは、図9ないし図11に示すように、貫通孔86の開口の縁部に対して密着された状態に締結されている。この構成によれば、液体種菌供給バルブ装置70における弁座81および弁孔81Aのメンテナンスを、貫通孔86を塞ぐ蓋板86Aを外すことによって容易に行うことができる。
(1)本発明の液体種菌供給バルブ装置における開閉手段は、弁体により弁孔に栓をして塞ぐことで液体種菌の通液を遮断する開閉バルブに限定されない。すなわち、本発明の液体種菌供給バルブ装置においては、例えばスライドバルブまたはロータリーバルブもしくはダイアフラム式バルブなど、任意の開閉バルブを採用することができ、その具体的な構造および形状は適宜変更することができる。
(2)本発明の液体種菌供給バルブ装置におけるガス圧送手段は、除菌フィルターによって除菌がなされた無菌エアーを圧送する無菌エアー圧送手段に限定されない。すなわち、本発明の液体種菌供給バルブ装置においては、ガス圧送手段は、例えば加熱滅菌処理などの任意の方法によって無菌状態とされた空気を圧送するものとすることができ、周辺の空気の清浄度が高い場合にはこの空気をそのまま圧送するものとすることもできる。また、ガス圧送手段により圧送されるガスを、例えば窒素ガスまたはアルゴンガスなど、空気以外の任意のガスとすることもできる。
(3)本発明が適用できる液体種菌供給バルブ装置は、エノキタケ用の液体種菌接種装置の接種ノズルにエノキタケの液体種菌を供給する液体種菌供給バルブ装置に限定されない。すなわち、本発明は、ブナシメジ、マイタケ、ヒラタケ、ナメコなどの、任意のきのこの液体種菌を接種する液体種菌接種装置、および、任意の発酵食品または発酵肥料などの発酵製品の液体種菌を接種する液体種菌接種装置に適用される液体種菌供給バルブ装置とすることができる。
10A 抜け止め部材
10B 取り付け板
10C 係合片
11 第2部屋
11A 一端部
11B 他端部
11C 内壁部
11D Oリング
12 無菌エアー圧送手段(ガス圧送手段)
12A 接続管
13 液体種菌供給手段
13A 液体種菌圧送手段
13B 送液管
20 開閉バルブ(開閉手段)
20A 弁体
20B 接続管
21 弁座
21A 弁孔
21B Oリング
22 第1作動部
22A コイルスプリング
22B コイルスプリング
22C ベローズ(遮断部)
23 第2作動部
23A 押し込み部材
23B スライダー
23C スライド穴
23D コイルスプリング
23E Oリング
24 第1部屋
24A 蓋板
24B Oリング
25 空圧アクチュエータ
25A ピストンロッド
25B コイルスプリング
25C 空圧源
30 液体種菌供給バルブ装置
31 第2部屋
31A 一端部
31B 他端部
31C 内壁部
31D Oリング
32 無菌エアー圧送手段(ガス圧送手段)
32A 接続管
33 液体種菌供給手段
33A 液体種菌圧送手段
33B 送液管
40 開閉バルブ(開閉手段)
40A 弁体
40B 接続管
41 弁座
41A 弁孔
41B Oリング
42 第1作動部(スプリング)
43 第2作動部
43A 引っ張り部材
43B 軸封部材(遮断部)
44 第1部屋
44A 蓋板(遮断部)
44B Oリング
44C リブ
44D リブ
45 アクチュエータ
50 液体種菌供給バルブ装置
51 第2部屋
51A 一端部
51B 他端部
51C 内壁部
51D Oリング
52 無菌エアー圧送手段(ガス圧送手段)
52A 接続管
53 液体種菌供給手段
53A 液体種菌圧送手段
53B 送液管
60A 弁体
60B 接続管
61 弁座
61A 弁孔
63A 押し込み部材
63D 弾性板
70 液体種菌供給バルブ装置
70A 抜け止め部材
70B 取り付け板
71 第2部屋
71A 一端部
71B 他端部
71C 内壁部
71D Oリング
72 無菌エアー圧送手段(ガス圧送手段)
72A 接続管
73 液体種菌供給手段
73A 液体種菌圧送手段
73B 送液管
80 開閉バルブ(開閉手段)
80A 弁体
80B 接続管
80C 側面
80D 押し引き部
80E 突端
81 弁座
81A 弁孔
81B Oリング
84 第1部屋
84B Oリング
85 空圧アクチュエータ
85A ピストンロッド
85B コイルスプリング
85C 空圧源
85D 係合鉤
86 貫通孔
86A 蓋板
86B Oリング
90 液体種菌接種装置
90A 接種ノズル
91 液体種菌
91A 残留された液体種菌
92 無菌エアー(ガス)
92A 圧縮エアー
Claims (3)
- 液体種菌接種装置の接種ノズルに当該接種ノズルが接種する液体種菌を供給する液体種菌供給バルブ装置において、
弁孔によって互いに連通された第1部屋ならびに第2部屋を有し、かつ、前記弁孔を、前記第1部屋から前記第2部屋への通液が可能な開状態、または、前記第1部屋ならびに前記第2部屋が互いに遮断された閉状態のいずれかに切り替え可能に構成された開閉手段を備え、
前記第1部屋には、当該第1部屋に前記液体種菌を供給する液体種菌供給手段が接続され、
前記第2部屋には、当該第2部屋にガスを圧送することができるガス圧送手段と、前記接種ノズルとが接続され、
前記開閉手段は、前記接種ノズルが前記液体種菌を接種するタイミングである液体種菌接種タイミングにおいて前記弁孔を前記閉状態から前記開状態へと切り替えることで、前記第1部屋および前記弁孔ならびに前記第2部屋を介して前記液体種菌供給手段からの前記液体種菌を前記接種ノズルに供給し、かつ、前記液体種菌接種タイミングに続くタイミングである液体種菌排出タイミングにおいて前記弁孔を前記開状態から前記閉状態へと切り替えることで、前記液体種菌供給手段から前記接種ノズルへの前記液体種菌の供給を遮断し、
前記ガス圧送手段は、前記液体種菌排出タイミングにおいて、前記第2部屋を介して前記ガスを前記接種ノズルに向けて流通されるように圧送することで、前記第2部屋および前記接種ノズルに残留された前記液体種菌を吹き飛ばして前記接種ノズルから排出させる、
液体種菌供給バルブ装置。 - 請求項1に記載の液体種菌供給バルブ装置であって、
前記液体種菌供給手段は、前記液体種菌を前記開閉手段の前記第1部屋に向けて常時圧送する液体種菌圧送手段を備え、
前記開閉手段は、前記弁孔を取り巻くように形成された弁座と、前記第1部屋側から前記第2部屋側に向かう向きの外力に対しては前記弁座に当接されて前記弁孔を塞ぐことで当該弁孔を前記閉状態とし、かつ、前記第2部屋側から前記第1部屋側に向かう向きの外力に対しては前記弁座から離間されて前記弁孔を空けることで当該弁孔を前記開状態とする弁体と、前記弁体に前記第1部屋側から前記第2部屋側に向かう向きの外力を常時印加するように作動する第1作動部と、前記液体種菌接種タイミングにおいて、前記弁体に印加されている前記第1部屋側から前記第2部屋側に向かう向きの外力に抗して前記弁体に前記第2部屋側から前記第1部屋側に向かう向きの外力を印加するように作動して、前記弁体を強制的に前記弁座から離間させる第2作動部とを備えている、
液体種菌供給バルブ装置。 - 請求項2に記載の液体種菌供給バルブ装置であって、
前記第1作動部は、前記弁体に前記第1部屋側から前記第2部屋側に向かう向きの弾発力を常時印加するスプリングと、当該スプリングを前記開閉手段における前記液体種菌の流路から通液不可能に遮断する遮断部とを備えている、
液体種菌供給バルブ装置。
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