JP2014220912A - 回転電機の冷却制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転電機の巻線の劣化度合を誤検出することによる冷却時の損失を抑制しつつ、回転電機の巻線の熱による劣化を抑制する。【解決手段】冷却制御装置4は、tanδ回路3で検出された巻線のtanδが許容値以上であり、且つ温度センサ13で検出されたモータジェネレータ1の温度Tmgが設定温度以上である条件が成立した場合は、この条件が成立しない場合よりも、ウォーターポンプ5の駆動力を増加させる。これによって、モータジェネレータ1の冷却能力を高め、巻線の熱による絶縁劣化を抑制する。【選択図】図1

Description

本発明は、巻線を有する回転電機の冷却制御を行う装置に関する。
下記特許文献1には、回転電機の巻線間耐サージ電圧を測定して絶縁破壊電流が流れるか否かを判定する構成と、回転電機に冷媒を供給して冷却する構成が開示されている。
特開2012−53051号公報 特開2002−227644号公報 特開2008−88859号公報
回転電機の巻線の熱による劣化を抑制するためには、巻線の劣化度合を検出し、その劣化度合に応じて回転電機の冷却能力を高めることが望ましい。ただし、巻線の劣化度合をノイズ等により誤って検出して回転電機の冷却能力を高めた場合は、回転電機の冷却能力が常に過剰に高い状態となり、冷却時の損失が増大する。
本発明は、回転電機の巻線の劣化度合を誤検出することによる冷却時の損失を抑制しつつ、回転電機の巻線の熱による劣化を抑制することを目的とする。
本発明に係る回転電機の冷却制御装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係る回転電機の冷却制御装置は、回転電機の巻線の劣化度合を検出する劣化度合検出手段と、前記回転電機の温度を検出する温度検出手段と、前記劣化度合検出手段で検出された巻線の劣化度合が許容値以上であり、且つ前記温度検出手段で検出された温度が設定温度以上である条件が成立した場合に、当該条件が成立しない場合よりも前記回転電機の冷却能力を高める冷却制御手段と、を備えることを要旨とする。
本発明によれば、回転電機の巻線の劣化度合が許容値以上であることに加えて、回転電機の温度が設定温度以上であることを条件に、回転電機の冷却能力を高めることで、回転電機の巻線の劣化度合を誤検出することによる冷却時の損失を抑制しつつ、回転電機の巻線の熱による劣化を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る回転電機の冷却制御装置を備える冷却システムの概略構成を示す図である。 電子制御装置が実行する処理の一例を説明するフローチャートである。 冷却水温度とウォーターポンプ駆動力との関係の一例を示す図である。 冷却水温度とラジエータファン電圧との関係の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る回転電機の冷却制御装置を備える冷却システムの概略構成を示す図である。モータジェネレータ(回転電機)1は、絶縁体が被覆された導体を巻回して構成される巻線を有し、巻線に交流電流が流れることでロータにトルクを発生させる。モータジェネレータ1が発生するトルクは、例えばハイブリッド車両や電気自動車等の車両の駆動に用いることが可能である。モータジェネレータ1の巻線に流れる交流電流は、パワーコントロールユニット(PCU)2により制御される。
ウォーターポンプ5は、リザーブタンク12に貯留された冷媒としての冷却水(冷却液)を汲み上げて吐出する。ウォーターポンプ5から吐出された冷却水がモータジェネレータ1(巻線等)へ供給されることで、モータジェネレータ1(巻線等)の冷却が行われる。冷却水はさらにパワーコントロールユニット2へ供給されることで、パワーコントロールユニット2の冷却も行われる。その際には、冷却水の熱がラジエータ16で放出される。冷却水の温度が作動温度以上になると、ラジエータファン6が駆動する。
tanδ回路3は、モータジェネレータ1の巻線の絶縁劣化度合として、巻線のtanδ(誘電正接)を測定する。巻線に規定の交流電圧を印加したときに、巻線が絶縁劣化している場合は、絶縁劣化していない場合と比較して、巻線の電流に絶縁劣化に起因する損失による遅れ角δが生じるため、tanδにより巻線の絶縁劣化度合を検出することが可能である。tanδの測定方法及びtanδ回路3の構成については公知であるため詳細な説明を省略する。温度センサ13は、モータジェネレータ1(例えば巻線)の温度Tmgを検出する。tanδ回路3で測定されたtanδ、及び温度センサ13で検出された温度Tmgは、冷却制御装置4に入力される。冷却制御装置4は、tanδ回路3で測定されたtanδと温度センサ13で検出された温度Tmgに基づいて、ウォーターポンプ5の駆動を制御することで、モータジェネレータ1の冷却状態を制御する。本実施形態では、冷却制御装置4は、tanδ回路3で検出されたtanδ(巻線の絶縁劣化度合)が許容値以上であり、且つ温度センサ13で検出された温度Tmgが設定温度以上である条件が成立した場合は、この条件が成立しない場合よりも、ウォーターポンプ5の駆動力を増加させてモータジェネレータ1への冷却水の供給量を増加させる。これによって、モータジェネレータ1の冷却能力を高め、モータジェネレータ1の巻線の熱による絶縁劣化を抑制する。
モータジェネレータ1の巻線の絶縁劣化度合が許容値以上となった場合に、ウォーターポンプ5の駆動力を増加させると、巻線の絶縁劣化度合が改善されることは通常ないため、ウォーターポンプ5の駆動力は増加したままになる。しかし、巻線の絶縁劣化度合を検出するtanδ回路3がノイズ等により誤った値を検出して巻線の絶縁劣化と判定されると、その後ウォーターポンプ5の駆動力が常に増加した状態となり、冷却時の損失が増大して車両の燃費の悪化を招くことになる。これに対して本実施形態では、巻線の絶縁劣化度合(tanδ)が許容値以上になったことに加えて、モータジェネレータ1の温度Tmgが設定温度以上になったことを条件に、ウォーターポンプ5の駆動力を増加させる(モータジェネレータ1の冷却能力を高める)ことで、巻線の絶縁劣化度合(tanδ)の誤検出による冷却時の損失を抑制して車両の燃費の悪化を抑制することができるとともに、巻線の熱による絶縁劣化を抑制することができる。
冷却制御装置4は、図2のフローチャートの処理に従って、ウォーターポンプ5とラジエータファン6の駆動を制御することも可能である。図2のフローチャートでは、ステップS101において、tanδ回路3で検出されたtanδにより巻線の絶縁劣化度合が演算され、ステップS102において、温度センサ13で検出された温度Tmgの履歴からモータジェネレータ1の温度頻度が演算される。温度頻度は、電源がオンされているモータジェネレータ1の運転中において、モータジェネレータ1の温度Tmgが設定温度以上となる頻度とすることができる。ここにおける「頻度」としては、例えば直近の10分間において温度Tmgが設定温度以上となる時間がどれだけの割合であったか等の値にでき、車両駆動用のモータジェネレータ1の場合は、所定走行距離において温度Tmgが設定温度以上となる走行距離とすることも可能である。
ステップS103では、巻線の絶縁劣化度合とモータジェネレータ1の温度頻度に応じて、ウォーターポンプ5とラジエータファン6の駆動制御が補正される。例えば巻線の絶縁劣化度合が許容値より低い条件と、モータジェネレータ1の温度Tmgが設定温度以上となる高温頻度が所定頻度より低い条件とのいずれか1つ以上が成立する場合は、冷却水の温度に対してウォーターポンプ5の駆動力を図3の特性線A(A1,A2)に従って変化させる。図3において、特性線A1は冷却水の温度が上昇するときの特性線を表し、特性線A2は冷却水の温度が下降するときの特性線を表す。一方、巻線の絶縁劣化度合が許容値以上で且つモータジェネレータ1の温度Tmgが設定温度以上となる高温頻度が所定頻度以上である条件が成立する場合は、冷却水の温度に対してウォーターポンプ5の駆動力を図3の特性線B(B1,B2)に従って変化させる。図3において、特性線B1は冷却水の温度が上昇するときの特性線を表し、特性線B2は冷却水の温度が下降するときの特性線を表す。これによって、巻線の絶縁劣化度合が許容値以上で且つモータジェネレータ1の高温頻度が所定頻度以上である条件が成立する場合は、この条件が成立しない場合と比較して、ウォーターポンプ5の駆動力を低→中→高に切り替える冷却水の温度が低温側に移行して、モータジェネレータ1の冷却能力が高まる。
また、巻線の絶縁劣化度合が許容値より低い条件と、モータジェネレータ1の高温頻度が所定頻度より低い条件とのいずれか1つ以上が成立する場合は、冷却水の温度に対してラジエータファン6の電圧を図4の特性線C(C1,C2)に従って変化させる。図4において、特性線C1は冷却水の温度が上昇するときの特性線を表し、特性線C2は冷却水の温度が下降するときの特性線を表す。一方、巻線の絶縁劣化度合が許容値以上で且つモータジェネレータ1の高温頻度が所定頻度以上である条件が成立する場合は、冷却水の温度に対してラジエータファン6の電圧を図4の特性線D(D1,D2)に従って変化させる。図4において、特性線D1は冷却水の温度が上昇するときの特性線を表し、特性線D2は冷却水の温度が下降するときの特性線を表す。これによって、巻線の絶縁劣化度合が許容値以上で且つモータジェネレータ1の高温頻度が所定頻度以上である条件が成立する場合は、この条件が成立しない場合と比較して、ラジエータファン6の電圧を低→中→高に切り替える冷却水の温度が低温側に移行して、モータジェネレータ1の冷却能力が高まる。
ステップS104では、ラジエータファン6の残存寿命が推定される。例えばラジエータファン6の回転速度の履歴からラジエータファン6の回転速度を積算してラジエータファン6の残存寿命を推定することが可能である。ラジエータファン6の残存寿命が閾値以上である場合は、ステップS105において、冷却水の温度が作動温度以上になるとラジエータファン6を駆動する(冷却水の温度が作動温度より低くなるとラジエータファン6を停止させる)制御を停止させ、本処理を終了する。一方、ラジエータファン6の残存寿命が閾値より小さい場合は、本処理を終了する。
図2のフローチャートの処理によっても、巻線の絶縁劣化度合の誤検出による冷却時の損失を抑制することができるとともに、巻線の熱による絶縁劣化を抑制することができる。さらに、図2のフローチャートの処理によれば、ラジエータファン6の残存寿命が閾値以上と推定された場合は、ラジエータファン6の過度な保護制御を停止してラジエータ16による放熱能力を最大限使い切ることができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
1 モータジェネレータ、2 パワーコントロールユニット、3 tanδ回路、4 冷却制御装置、5 ウォーターポンプ、6 ラジエータファン、12 リザーブタンク、13 温度センサ、16 ラジエータ。

Claims (1)

  1. 回転電機の巻線の劣化度合を検出する劣化度合検出手段と、
    前記回転電機の温度を検出する温度検出手段と、
    前記劣化度合検出手段で検出された巻線の劣化度合が許容値以上であり、且つ前記温度検出手段で検出された温度が設定温度以上である条件が成立した場合に、当該条件が成立しない場合よりも前記回転電機の冷却能力を高める冷却制御手段と、
    を備える、回転電機の冷却制御装置。
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