JP2014220254A - リチウム複合酸化物焼結体板 - Google Patents

リチウム複合酸化物焼結体板 Download PDF

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Abstract

【課題】 リチウム二次電池において、良好なサイクル特性を維持しつつ、高容量化を図る。
【解決手段】 本発明の、リチウム複合酸化物焼結体板は、リチウム二次電池の正極に用いられ、厚さが30μm以上であり、空隙率が3〜30%であり、且つ、開気孔比率が70%以上である。更に、このリチウム複合酸化物焼結体板は、粒子径が5μm以下であり且つ層状岩塩構造を有する一次粒子が多数結合した構造を有し、且つ、X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、2以下である。
【選択図】 図1B

Description

本発明は、リチウム二次電池の正極に用いられるリチウム複合酸化物焼結体板に関する。
リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池と称されることもある)における正極活物質層として、リチウム複合酸化物(リチウム遷移金属酸化物)の粉末とバインダーや導電剤等との混練物を成形することによって形成されたものが、広く知られている(例えば、特許文献1等参照。)。以下、かかる構成を「粉末分散型」と称する。
かかる粉末分散型の正極においては、容量に寄与しないバインダーが比較的多量に(例えば10重量%程度)添加されることにより、正極活物質としてのリチウム複合酸化物の充填密度が低くなる。よって、かかる粉末分散型の構成においては、容量や充放電効率の面で、改善の余地が大きかった。
そこで、正極あるいは正極活物質層を、リチウム複合酸化物焼結体板によって構成することで、容量や充放電効率を改善しようとする試みがなされている(例えば、特許文献1及び特許文献2等参照。)。この場合、正極あるいは正極活物質層には、上述のバインダーが含まれていない。このため、リチウム複合酸化物の充填密度が高くなることで、高容量や良好な充放電効率が得られることが期待される。
特開平5−226004号公報 特開平8−180904号公報 特開2001−143687号公報
上述のように、正極あるいは正極活物質層をリチウム複合酸化物焼結体板によって構成した場合、かかる焼結体板におけるリチウム複合酸化物の充填率が低すぎると(すなわち空隙率が高すぎると)、上述の粉末分散型の構成に対する性能(特に容量)の向上効果が小さくなる。この点、特許文献1や特許文献2に開示されている、リチウム複合酸化物焼結体板による正極は、いずれも充填率が低い領域(空隙率が15〜60%)のものであり、容量の点で満足できるものではなかった。
他方、焼結体板におけるリチウム複合酸化物の充填率が高すぎる領域においては、高容量化が達成される反面、サイクル特性(充放電サイクルが繰り返された場合の容量維持特性)が悪化するという問題が生じた。かかるサイクル特性の悪化は、焼結板の厚さが10μm程度の場合でも生ずるが、焼結体板の厚さを大きく(具体的には30μm以上に)した場合に特に顕著であることが確認された。
そこで、この原因を究明するために、サイクル特性が悪化した実験例におけるリチウム複合酸化物焼結体板を電子顕微鏡によって観察したところ、当該焼結体板にクラックが発生していることが判明した。このクラックは、粒界、すなわち、結晶方位が異なる隣り合う領域の境界に発生している(このクラックを、以下、「粒界クラック」と称する。)。さらに、この実験例において、リチウム複合酸化物焼結体板と正極集電体との間の導電性接合層と、当該焼結体板と、の界面を、電子顕微鏡によって観察したところ、剥離(隙間)が発生していることが判明した(これを、以下、「接合界面剥離」と称する。)。
この粒界クラックは、充放電サイクルにおけるリチウムイオンの出入りに伴う、結晶格子の伸縮(体積の膨張収縮及び体積変化を伴わない格子伸縮を含む)によって発生するものであると考えられる。また、接合界面剥離については、同様に、結晶格子の伸縮によるリチウム複合酸化物焼結体板の形状変化に伴う、導電性接合層との間の引張あるいはせん断応力によって発生するものであると考えられる。そして、かかる粒界クラック及び接合界面剥離によって、リチウム複合酸化物焼結体板内に、導電経路が断たれて電気的に孤立した部分(容量に寄与し得ない部分)が発生することで、容量が低下することが、サイクル特性悪化の原因であると考えられる。
本発明は、かかる課題に対処するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、良好なサイクル特性を維持しつつ、高容量化を図ることができる、リチウム二次電池の正極に用いられるリチウム複合酸化物焼結体板を提供することにある。
<構成>
本発明のリチウム二次電池の正極(以下、単に「正極」と称する。)に用いられるリチウム複合酸化物焼結体板は、厚さが30μm以上であり、空隙率が3〜30%であり、開気孔比率が70%以上である。
「リチウム複合酸化物」とは、LiMO(0.05<x<1.10、Mは少なくとも1種類の遷移金属:典型的にはMはCo,Ni,Mnのうちの1種以上を含む。)で表される酸化物であって、典型的には、層状岩塩構造を有する。「層状岩塩構造」とは、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造、すなわち、酸化物イオンを介して遷移金属イオン層とリチウム単独層とが交互に積層した結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造:立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。
前記リチウム複合酸化物焼結体板が層状岩塩構造を有する場合、X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度(ピーク強度)の比率[003]/[104]が、2以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、0.5以下であることがさらに好ましい。ピーク強度比[003]/[104]が2以下である場合にサイクル特性が向上する理由は、以下のように考えられる。
充放電サイクルに伴う結晶格子の伸縮(体積膨張収縮)は、(003)面に垂直な方向(すなわち[003]方向)についてのものが、最も大きくなる。このため、充放電サイクルに伴う結晶格子の伸縮を起因とするクラックは、(003)面と平行に入りやすい。また、(003)面は、酸素の最密充填面であって、リチウムイオンおよび電子が出入りできない、化学的にも電気化学的にも不活性な面である。
この点、上述のように、ピーク強度比[003]/[104]が2以下である、ということは、前記リチウム複合酸化物焼結体板の板面や前記正極集電体との接合界面に、さらには当該リチウム複合酸化物焼結体板の内部にて板面と平行に、(003)面が出現している割合が、減っていることを意味する。そして、(003)面が接合界面に出現する割合が減ることで、接合界面の接着強度が高まって剥離が抑制されるとともに、容量低下に特に影響する、板面と平行な粒界クラックの発生が、効果的に抑制される。したがって、サイクル特性が向上する。
また、前記リチウム複合酸化物焼結体「板」は、典型的には、
厚さをt、
板面方向(厚さ方向と直交する方向)における最小寸法をw、
とした場合に、
w/tが3以上となるように形成され得る。
ここで、「厚さ方向」とは、前記リチウム複合酸化物焼結体の厚さtを規定する方向であって、典型的には、当該リチウム複合酸化物焼結体板を「水平面」上に「安定的」に載置した状態における、鉛直方向と平行な方向をいう。そして、かかる「厚さ方向」における当該リチウム複合酸化物焼結体板の寸法が、「厚さ」と称される。
また、「板面」とは、前記リチウム複合酸化物焼結体板の「厚さ方向」と直交する表面をいう。この「板面」は、当該リチウム複合酸化物焼結体板における最も広い表面であるため、「主面(principal surface)」と称されることもある。「板面方向」とは、この「板面」と平行な方向(すなわち面内方向)をいう。したがって、当該リチウム複合酸化物焼結体板の「厚さ」は、略平行な2つの「板面」間の最短距離となる。また、上述の「厚さ方向」は、2つの「板面」の最短距離を規定する方向となる。
厚さtは、例えば、前記リチウム複合酸化物焼結体板の断面をSEM(走査電子顕微鏡)によって観察した場合における、略平行に観察される板面間の距離を測定することで得られる。また、板面方向における最小寸法wは、例えば、前記リチウム複合酸化物焼結体板の平面視における外形形状をSEMによって観察した場合における、当該外形形状の内接円を描いたときの直径を測定することで得られる。
「空隙率(voidage)」は、本発明のリチウム複合酸化物焼結体板における、気孔(開気孔及び閉気孔を含む)の体積比率である。「空隙率」は、「気孔率(porosity)」と称されることもある。この「空隙率」は、例えば、焼結体板の嵩密度と真密度とから計算上求められる。
「開気孔比率」は、本発明のリチウム複合酸化物焼結体板に含まれる空隙(気孔)の全体に対する、開気孔の体積比率である。「開気孔」とは、本発明のリチウム複合酸化物焼結体板に含まれる空隙(気孔)のうちの、当該焼結体板の外部と連通するものをいう。この「開気孔比率」は、例えば、嵩密度から求められる開気孔と閉気孔との合計と、見かけ密度から求められる閉気孔とから、計算上求められる。この「開気孔比率」の算出に用いられるパラメータは、アルキメデス法等を用いて測定され得る。
前記リチウム複合酸化物焼結体板が、多数の一次粒子(結晶粒子)が結合した構造を有している場合、前記一次粒子の大きさ(一次粒子径)は、5μm以下であることが好適である。これは、以下の理由によるものと考えられる。一次粒子径が小さくなるほど、粒界の数が増加する。そして、粒界の数が多いほど、充放電サイクルに伴う結晶格子の伸縮の際に発生する内部応力が、良好に分散される。また、クラックが生じた際にも、粒界の数が多いほど、クラックの伸展が良好に抑制される。したがって、サイクル特性が向上する。
正極集電体は、前記リチウム複合酸化物焼結体板の2つの板面のうちの少なくとも一方に設けられ得る。すなわち、前記正極集電体は、前記リチウム複合酸化物焼結体板の2つの板面のうちの一方にのみ設けられ得る。あるいは、前記正極集電体は、前記リチウム複合酸化物焼結体板の両面(2つの板面の双方)に設けられ得る。
リチウム複合酸化物焼結体板の両面に正極集電体がそれぞれ設けられる場合、一方は前記リチウム複合酸化物焼結体板を支持するために他方よりも厚く形成され、当該他方は前記リチウム複合酸化物焼結体板におけるリチウムイオンの出入りを阻害しないような構造(メッシュ状や多孔質状等)に形成され得る。
正極活物質層と正極集電体とは導電性接合層を介して接合され得る。導電性接合層は、例えば、導電性粉末(金属粉末及び/又はアセチレンブラックやグラファイト等の導電性炭素材料粉末)と、結着材と、を含んだものによって形成され得る。前記導電性接合層は、例えば、0.1〜20μmの厚さで形成され得る。導電性を高めるために、前記リチウム複合酸化物焼結体の両面もしくは前記導電性接合層と接合される片面に、スパッタ等により導電性薄膜(Au、Pt、Ag、Al、Cu等の金属またはカーボン等からなる薄膜)を形成してもよい。
前記正極活物質層と前記正極集電体とが前記導電性接合層を介して接合される際、前記リチウム複合酸化物焼結体板からなる前記正極活物質層(その外形形状が前記正極集電体と適合するように切断等により適宜調整されたものを含む)と前記正極集電体とは1対1であってもよい。あるいは、平面視にて一次元的あるいは二次元的に配列した状態の複数の前記リチウム複合酸化物焼結体板からなる前記正極活物質層が前記正極集電体と接合されてもよい。すなわち、前記正極は、一旦得られた前記リチウム複合酸化物焼結体板を、切断等によって複数に分割した後、これらを平面視にて一次元的あるいは二次元的に配列した状態で前記正極集電体と接合することによって形成され得る。また、前記正極活物質層は、2層以上設けられていてもよい。すなわち、前記正極集電体と接合された前記正極活物質層の上に、さらに正極活物質層が設けられていてもよい。この場合、2つの正極活物質層は、導電性接合層を介して接合されていてもよい。
<作用・効果>
かかる構成においては、上述のように前記リチウム複合酸化物焼結体板に気孔が含まれることで、充放電サイクルにおけるリチウムイオンの出入りに伴う結晶格子の伸縮によって発生する応力が、当該気孔によって良好(均一)に開放される。このため、充放電サイクルの繰り返しに伴う粒界クラックの発生が可及的に抑制される。また、前記導電性接合層との界面に含まれる気孔(開気孔)により、接合強度が高まる。このため、充放電サイクルにおけるリチウムイオンの出入りに伴う結晶格子の伸縮による、前記リチウム複合酸化物焼結体板の形状変化を起因とする、上述の接合界面剥離の発生が、良好に抑制される。したがって、本発明によれば、良好なサイクル特性を維持しつつ、高容量化を図ることができる。
特に、開気孔比率を70%以上とすることで、より応力が開放されやすくなり、粒界クラックの発生が効果的に抑制される。これは、以下の理由によるものと考えられる。正極における体積の膨張収縮は、上述の通り、結晶格子におけるリチウムイオンの出入りが原因である。開気孔は、リチウムイオンの出入りする面によって囲まれた気孔である。このため、開気孔は、閉気孔に比べて、応力を開放する効果が高いものと考えられる。また、開気孔比率を70%以上とすることで、前記接合界面剥離が、効果的に抑制される。これは、以下の理由によるものと考えられる:開気孔は、表面粗さと見立てることができる。そして、開気孔の導入により、表面粗さが大きくなるため、アンカー効果で接合強度が高まる。
また、開気孔内に電解質や導電材等を内在することで、当該開気孔の内壁面は、リチウムイオンの出入りする面として良好に機能する。したがって、開気孔比率を70%以上とすると、単なる気孔(充放電に寄与しない部分)として存在する閉気孔の比率が大きい場合に比べて、レート特性が改善する点でも好ましい。
一方、空隙率が3%未満では、気孔による応力開放効果が不十分となる。また、空隙率が30%を超えると、高容量化の効果が著しく減殺されるため好ましくない。
ところで、例えば、コバルト酸リチウムは充電時(リチウムイオンが抜けるとき)に体積膨張するのに対し、ニッケル酸リチウムは放電時(リチウムイオンが入るとき)に体積膨張する。このため、組成比を適宜調整することで、見かけ上、充放電時の体積膨張収縮をゼロにすることは可能である。しかしながら、この場合でも、格子の長さは変化する。具体的には、Li(Co0.5Ni0.5)Oは、c軸方向には伸びる一方でa軸方向には縮む。
よって、本発明は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物(例えば、コバルト酸リチウムLiCoO2[一般式中1≦p≦1.1]、ニッケル酸リチウムLiNiO2、マンガン酸リチウムLiMnO、ニッケルマンガン酸リチウムLi(Ni0.5,Mn0.5)O、一般式Li(Co,Ni,Mn)O[一般式中0.97≦p≦1.07,x+y+z=1]で表されるこれらの固容体、Li(Co,Ni,Al)O[一般式中0.97≦p≦1.07,x+y+z=1、0<x≦0.25、0.6≦y≦0.9、0<z≦0.1]、LiMnOとLiMO(Mは、Co、Ni等の遷移金属)との固溶体、等)の焼結体板に対して非常に有効である。なお、上記一般式を満たす範囲で、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba,Bi等の元素が、1種以上含まれていてもよい。
体積膨張収縮が大きい組成、例えば、Li(Co,Ni,Mn)Oにおける、ニッケルのモル比率が0.75以上の場合や、コバルトのモル比率が0.9以上の場合、Li(Co,Ni,Al)Oにおけるニッケルのモル比率が0.7以上の場合に対して、本発明の適用は特に有効である。
本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池の概略構成を模式的に示す断面図である。 図1Aに示されている正極の拡大断面図である。 電池特性評価用のコインセル型のリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。 実施形態及び比較例のLiCoO2セラミックス板によるサイクル特性の評価結果を示すグラフである。 実施形態及び比較例のLiCoO2セラミックス板を観察した走査電子顕微鏡写真である。 空隙導入された実施形態のLiCoO2セラミックス板によるレート特性の評価結果である。 図1Bに示されている正極の構成の一変形例を示す側断面図である。 本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池の概略構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池の概略構成を模式的に示す断面図である。 図1Bに示されている正極の他の変形例の構成を示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を、実施例及び比較例を用いつつ説明する。なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態や実施例の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態や実施例に対して施され得る各種の変更の例示は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、主として末尾にまとめて記載されている。
<リチウム二次電池の概略構成>
図1Aは、本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池10の概略構成を模式的に示す断面図である。図1Aを参照すると、本実施形態のリチウム二次電池10は、電池ケース11と、セパレータ12と、電解質13と、負極14と、正極15と、を備えている。
セパレータ12は、電池ケース11内を、負極14の側と正極15の側とに二分するように設けられている。すなわち、電池ケース11内には、負極14及び正極15が、セパレータ12を隔てて対向するように設けられている。また、電池ケース11内には、電解質13が収容されている。
電解質13としては、例えば、電気的特性や取り扱い易さの点から、液体電解質が好適に用いられ得る。かかる液体電解質としては、有機溶媒等の非水系溶媒にリチウム塩等の電解質塩を溶解させることによって調製された、非水溶媒系のものが好適に用いられる。もっとも、ポリマー電解質、ゲル電解質、有機固体電解質、無機固体電解質も、電解質13として問題なく使用することができる。なお、電解質は、正極活物質層(後述する図1Bにおける正極活物質層15b)に設けられた開気孔に充填されている、もしくは浸み込んでいる方が、正極活物質からのリチウムイオン出入りが活発になる点で好ましい。
非水系溶媒としては、特に限定はないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピオンカーボネート等の鎖状エステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の誘電率の高い環状エステル;鎖状エステルと環状エステルの混合溶媒;等を用いることができ、鎖状エステルを主溶媒とした環状エステルとの混合溶媒が特に適している。
上述の非水系溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(RfSO)(Rf′SO)、LiC(RfSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfとRf′はフルオロアルキル基]、等が用いられ得る。かかる電解質塩としては、1種のみが単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上述の電解質塩の中でも、炭素数2以上の含フッ素有機リチウム塩が特に好ましい。この含フッ素有機リチウム塩は、アニオン性が大きく、且つイオン分離しやすいために、上述の溶媒に溶解し易いからである。非水電解液としての電解質13中における電解質塩の濃度は、特に限定はないが、例えば、0.3mol/l以上、より好ましくは0.4mol/l以上であって、1.7mol/l以下、より好ましくは1.5mol/l以下であることが好ましい。
負極14に係る負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できるものであればよい。よって、例えば、炭素質材料(黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭等)が、負極活物質として用いられ得る。また、黒鉛の一部は、リチウムと合金化し得る金属や酸化物等と置き換えられ得る。さらに、金属リチウムや、金属リチウムと他の元素(ケイ素,スズ,インジウム等)とを含む合金、リチウムに近い低電位で充放電できるケイ素,スズ等の酸化物、Li2.6Co0.4N等のリチウムとコバルトとの窒化物、等の、リチウム吸蔵物質も、負極活物質として用いられ得る。
負極活物質として黒鉛を用いた場合、満充電時の電圧を、リチウム基準で約0.1Vとみなすことができる。このため、電池電圧に0.1Vを加えた電圧で正極15の電位を便宜上計算することができる。よって、この場合、正極15の充電電位が制御しやすく、好適である。
図1Bは、図1Aに示されている正極15の拡大断面図である。図1Bを参照すると、正極15は、正極集電体15aと、正極活物質層15bと、を備えている。正極集電体15aは、金属等の導電性物質(例えばアルミニウム箔)からなり、導電性接合層15cを介して正極活物質層15bと接合されている。正極活物質層15bは、リチウム複合酸化物焼結体板であって、厚さが30μm以上(具体的には30〜200μm)、空隙率が3〜30%、開気孔比率が70%以上となるように形成されている。
<正極活物質層用リチウム複合酸化物焼結体板の製造方法の概要>
図1Bに示されている、正極活物質層15bとしてのリチウム複合酸化物焼結体板は、例えば、以下の製造方法によって、容易かつ確実に形成される。
<<二段階プロセス>>
1.原料粒子の準備
原料粒子としては、リチウム化合物を含まない、遷移金属(Co,Ni,Mn等)化合物の粒子が用いられる。原料粒子は、適宜、粉砕及び分級され得る。また、目的とする組成に応じて、複数種の原料粒子が適宜混合され得る。さらに、粒成長を促進する目的で、酸化ホウ素,酸化ビスマス,酸化アンチモン,等の低融点酸化物や、塩化ナトリウムや塩化カリウム等の低融点塩化物、ホウケイ酸ガラス等の低融点ガラスが、0.001〜30wt%添加され得る。
さらに、上述の所望割合の空孔を形成するための添加剤である空孔形成材が、適宜、均一に混合され得る。かかる空孔形成材としては、続く仮焼成工程において分解(蒸発あるいは炭化)される物質の、粒子又は繊維が、好適に用いられ得る。具体的には、例えば、テオブロミン、ナイロン、グラファイト、フェノール樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、又は発泡性樹脂等の有機合成樹脂の、粒子又は繊維が、空孔形成材として好適に用いられ得る。勿論、かかる空孔形成材がなくても、原料粒子の粒径や、仮焼成工程における焼成温度等を適宜調整することによって、上述の所望の大きさ及び割合の空孔を形成することが可能である。
2.原料粒子の成形工程
原料粒子あるいはその混合物をシート成形することで、「独立した」シート状の成形体が得られる。ここで、「独立した」シート(「自立膜」と称されることもある)とは、他の支持体から独立して単体で取り扱い可能なシートのことをいう(アスペクト比が5以上の薄片も含む)。すなわち、「独立した」シートには、他の支持体(基板等)に固着されて当該支持体と一体化された(分離不能あるいは分離困難となった)ものは含まれない。
シート成形は、周知の様々な方法で行われ得る。すなわち、例えば、シート成形には、ドクターブレード式シート成形機(ドクターブレード法)、ドラムドライヤー、ディスクドライヤー、スクリーン印刷機、等が用いられ得る。シート状の成形体の厚さは、焼成後に上述の所望厚さとなるように、適宜設定される。
3.成形体の仮焼成工程
上述の成形工程によって得られたシート状の成形体は、後述するリチウム導入工程に先立ち、比較的低温(例えば700〜1200℃)で焼成される。これにより、比較的大きめの気孔が多数含まれる多孔質状のシート状中間焼成体が得られる。かかる仮焼成工程は、例えば、エンボス加工が施されたジルコニア製セッター上に成形体を載置した状態で、大気雰囲気中で行われる。
4.リチウム導入工程
上述の仮焼成工程によって得られた中間焼成体に、リチウム化合物をふりかけて、熱処理することにより、当該中間焼成体にリチウムが導入される。これにより、「独立した」シート状の正極活物質層用リチウム複合酸化物焼結体板が得られる。かかるリチウム導入工程は、例えば、坩堝中で行われる。
リチウム化合物としては、例えば、炭酸リチウム,硝酸リチウム,酢酸リチウム,過酸化リチウム,水酸化リチウム,塩化リチウム,シュウ酸リチウム,クエン酸リチウム,等の各種リチウム塩や、リチウムメトキシド,リチウムエトキシド,等のリチウムアルコキシドが用いられ得る。リチウム化合物は、一般式LiMOで表される焼結体板におけるリチウムとMとのモル比Li/Mが1以上となるように添加される。
上述の仮焼成工程によって得られた多孔質状のシート状中間焼成体に対して、リチウム導入を行う際に、当該中間焼成体内の気孔が小さくなり、上述のような、所望割合となる。
<<一段階プロセス>>
1.原料粒子の準備
原料粒子としては、合成後の組成が層状岩塩構造を有する正極活物質LiMOとなるように、Li、Co、Ni、Mn等の化合物の粒子を適宜混合したものが用いられる。あるいは、原料粒子として、LiMOの組成からなるもの(合成済みのもの)を用いることができる。そして、かかる原料粒子に対して、上述の空孔形成材が添加される。
後述する熱処理工程中における、粒成長の促進あるいは揮発分の補償の目的で、リチウム化合物が0.5〜30mol%程度過剰に添加されてもよい。また、粒成長を促進する目的で、酸化ビスマスなどの低融点酸化物、ホウケイ酸ガラスなどの低融点ガラスが0.001〜30wt%添加されてもよい。
また、特に厚さが50μm以上の比較的厚い焼結体板を作る場合、配向性を高める目的で、板面に(003)面以外に配向し板厚が0.5〜20μm程度のLiMO板状配向粒子が、2〜30wt%添加されてもよい。このような板状配向粒子は、ドクターブレード法等のせん断力のかかるシート成形法にて板面がシート面と平行な状態で分散され、さらに、焼成工程にて周囲の原料粒子を取り込みながら粒成長することにより、配向性を高める効果がある。なお、このような板状配向粒子は、例えば、本願記載の焼結体板の作製方法において、シート厚を20μm以下とし、焼成後に適宜解砕することで得ることができる。
2.原料粒子の成形工程
原料粒子と空孔形成材との混合物をシート成形することで、「独立した」シート状の成形体が得られる。かかるシート成形工程は、上述の二段階プロセスと同様である。
3.成形体の熱処理(焼成)工程
上述の成形工程によって得られたシート状の成形体を、空孔を形成しつつ結晶を成長させる目的で、比較的高温(例えば1200℃〜1500℃)で熱処理(焼成)することで、「独立した」シート状の正極活物質層用リチウム複合酸化物焼結体板が得られる。かかる熱処理工程は、例えば、エンボス加工が施されたジルコニア製セッター上に成形体を載置した状態で、酸素雰囲気中で行われ得る。
<評価方法及び評価結果>
電池特性の評価のために、以下のようにして、CR2032型と同一形状のコインセル型電池を作成した。図2は、かかるコインセル型のリチウム二次電池10の概略構成を示す断面図である。
得られた「独立した」シート状のリチウム複合酸化物焼結体板である正極活物質層15bを、φ5〜10mm程度の大きさに加工したものを準備する。正極集電体15bとしてのアルミニウム箔の上に、アセチレンブラックとPVdFを質量比で1:0.6となるように秤量して溶剤としての適宜量のNMPとともに混合してペースト化したものを、スクリーン印刷する。未乾燥の状態の印刷パターンの内側に入るように焼結体板を載せ、100℃,30分の条件で乾燥させて接合を完了させることで、正極15を作製した。なお、導電性接合層15cの厚さは、10〜20μmとした。
電池ケース11を構成する正極缶111と負極缶112との間に、正極15(正極集電体15aが正極缶111と対向するように配置)とセパレータ13と負極14(リチウム金属板)とをこの順に積層したものを収容し、液体状の電解質13を充填した後に、ガスケット113によって封止することで、コインセル型のリチウム二次電池10を作製した。なお、液体状の電解質13は、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を等体積比で混合した有機溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解することで調製したものである。
上述のようにして作製した電池(コインセル)を用いて、サイクル特性(容量維持率)の評価を行った。
サイクル特性(容量維持率):作製した電池について、試験温度を20℃として、(1)1Cレートの定電流−定電圧で4.2Vまでの充電、及び(2)1Cレートの定電流で3.0Vまでの放電、を繰り返すサイクル充放電を行った。サイクル充放電終了後の電池の放電容量を初回値で除した値に100を乗算したものを、容量維持率(%)とした。
レート特性:作製した電池について、試験温度を20℃として、0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.2Vとなるまで定電流充電し、その後電池電圧を4.2Vに維持する電流条件で、その電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した後10分間休止し、続いて所定レートの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電する、という充放電操作によって、レート特性の評価を行った。
図3は、実施形態及び比較例のLiCoO2セラミックス板によるサイクル特性の評価結果を示すグラフである。ここで、図3における(i)は、比較例としての、空隙導入されていないLiCoO2セラミックス板によるサイクル特性の評価結果である。また、(ii)は、本実施形態の空隙導入されたLiCoO2セラミックス板(厚さ30μm)によるサイクル特性の評価結果である。
図3における(i)に示されているように、空隙導入されていないLiCoO2セラミックス板においては、厚くなるほどサイクル特性が悪化し、特に厚さが30μmのものにおいて顕著なサイクル特性の悪化が確認された。これに対し、図3における(ii)に示されているように、空隙導入により、厚さが30μmのものにおいて、顕著なサイクル特性の改善効果が確認された。
図4は、実施形態及び比較例のLiCoO2セラミックス板を観察した走査電子顕微鏡写真である。図4における(i)は、比較例としての、空隙導入されていないLiCoO2セラミックス板における、コインセル組み立て直後から、再び分解してセラミックス板だけ取り出した状態(左側の写真)、及び50サイクルの充放電後、分解してセラミックス板だけ取り出した状態(右側の写真)での外観の走査電子顕微鏡写真である。図4における(ii)は、比較例としての、空隙導入されていないLiCoO2セラミックス板の、断面の走査電子顕微鏡写真である。図4における(iii)は、空隙導入された実施形態のLiCoO2セラミックス板の、断面の走査電子顕微鏡写真である(空隙率8%)。
図4における(i)に示されているように、比較例としての、空隙導入されていないLiCoO2セラミックス板においては、50サイクルの充放電後に、粒界クラックが発生していることが確認された。この粒界クラックは、充放電サイクルにおけるリチウムイオンの出入りに伴う、結晶格子の伸縮によって発生する内部応力によるものであると考えられる。さらに、50サイクルの充放電後では、空隙導入されていないLiCoO2セラミックス板を集電体から剥離する際、50%以上の領域で導電性接合層がセラミックス板との界面で剥離することが確認された。そして、これらの空隙導入されていないLiCoO2セラミックス板におけるサイクル特性の悪化は、かかる粒界クラック及び導電性接合層との接合界面剥離の発生によって、LiCoO2セラミックス板内に、導電経路が断たれて電気的に孤立した部分(容量に寄与し得ない部分)が発生することで、容量が低下することが原因であると考えられる。
そこで、本発明の発明者は、充放電サイクルにおけるリチウムイオンの出入りに伴う、結晶格子の伸縮によって発生する内部応力を緩和するために、また、導電性接合層との接合強度を高めるために、LiCoO2セラミックス板内に、上述の範囲で空隙を導入した。これにより、上述の通り、顕著なサイクル特性の改善効果が確認された。また、図5は、空隙導入された実施形態のLiCoO2セラミックス板によるレート特性の評価結果である。かかる図5に示されているように、空隙導入により、サイクル特性のみならず、レート特性についても向上することが確認された。
<具体例>
以下、上述の正極活物質層15bとしてのリチウム複合酸化物焼結体板の具体例、及びかかる具体例の評価結果について、より詳細に説明する。
<<具体例1:コバルト系組成>>
まず、LiCoO2セラミックス板についての実験例1−1〜1−9の作成条件を、表1に示す。
表1の実験例1−2及び1−4における作成条件は、以下の通りである(二段階プロセス:空孔形成材なし)。
(1)スラリー調製:Co34粉末(粒径1−5μm、正同化学工業株式会社製)を粉砕及び分級して得られたCo34原料粒子100重量部と、分散媒(トルエン:イソプロパノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番「BM−2」、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:Di(2-ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(製品名「レオドールSP−O30」、花王株式会社製)2重量部と、を混合した。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、3000〜4000cPの粘度に調製した。なお、粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した(以下同様)。
(2)シート成形:上述のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが30μmとなるように、シート状に成形した。
(3)仮焼成:PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで70mm角に切り出し、突起の大きさが300μmのエンボス加工を施したジルコニア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)の中央に載置し、大気雰囲気中にて所定温度(中間焼成体焼成温度)で5h焼成後、降温速度200℃/hにて降温し、セッターに溶着していない部分を取り出した。
(4)リチウム導入:このようにして得られたCo34セラミックスシートに、LiNO3粉末(関東化学株式会社製)を、Li/Co=1.2となるようにふりかけ、坩堝中(大気雰囲気)にて840℃で20時間加熱処理することで、厚さ30μmの、「独立した」シート状の正極活物質層15b用LiCoO2セラミックス板を得た。
表1の実験例1−3及び1−5における作成条件は、以下の通りである(二段階プロセス:空孔形成材添加)。
空孔形成材を添加した以外は、上述の実験例1−2等と同様にして、スラリーを調製した。空孔形成材は、繊維状のもの(製品名「セレッシュPC10S」:ダイセルファインケム株式会社製)、又は球状のもの(ナイロンパウダー:住友エンビロサイエンス株式会社製)を用いた。このようにして調製されたスラリーを、上述の実験例1−2等と同様に、PETフィルムの上にシート状に成形した。
PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで70mm角に切り出し、上述のジルコニア製セッターの中央に載置し、大気雰囲気中にて900℃(中間焼成体焼成温度)で10h焼成後、降温速度200℃/hにて降温し、セッターに溶着していない部分を取り出した。このようにして得られたCo34セラミックスシートに、上述の実験例1−2等と同様にして、リチウム導入を行うことで、厚さ30μmの、「独立した」シート状の正極活物質層用LiCoO2セラミックス板を得た。
表1の実験例1−1及び1−6〜1−9における作成条件は、以下の通りである(一段階プロセス)。
(1)スラリー調製:Co34粉末(粒径1−5μm、正同化学工業株式会社製)を粉砕して得られたCo34原料粒子(粒径0.3μm)とLi2CO3粉末(関東化学株式会社製)とをLi/Co(モル比)=1.0となるように混合した原料粉末100重量部と、上述の空孔形成材と、を用いた以外は、上述の各実験例と同様にして、スラリーを調製した(但しスラリー粘度は500〜700cP)。
(2)シート成形:上述のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが30μmとなるように、シート状に成形した。
(3)熱処理:PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで70mm角に切り出し、上述のジルコニア製セッターの中央に載置し、酸素雰囲気中(酸素分圧0.1MPa)にて900℃で10h加熱処理後、セッターに溶着していない部分を取り出すことで、厚さ30μmの、「独立した」シート状の正極活物質層用LiCoO2セラミックス板を得た。
表1に示されている実験例の評価結果を、表2に示す。なお、表2における「容量維持率」は、50サイクルの充放電終了後の値である。また、「空隙率」は、アルキメデス法で求めた焼結体板の嵩密度を、ピクノメータを用いて求めた真密度で除して求めた値である、相対密度から計算される値(空隙率=1−相対密度)である。嵩密度の測定では、気孔中に存在する空気を十分に追い出すために、水中で煮沸処理をした。気孔径の小さな試料では、予め真空含浸装置(ストルアス社製 装置名「シトバック」)を用いて、気孔中に水を含浸させたあと、煮沸処理をした。さらに、「開気孔比率」は、閉気孔率と全気孔率から計算によって求められる値(開気孔比率=開気孔/全気孔=開気孔/(開気孔+閉気孔))である。閉気孔率は、アルキメデス法で測定した見かけ密度より求められる。また、全気孔率は、同じくアルキメデス法で測定した嵩密度より求められる。
表1及び表2から明らかなように、空隙率が3〜30%であり、開気孔比率が70%以上である実験例1−1〜1−7においては、50サイクルの充放電終了後でも良好な容量維持率が得られた。これに対し、空隙率が上記所定範囲よりも低い実験例1−8、及び開気孔比率が上記所定範囲よりも低い実験例1−9においては、サイクル特性(50サイクルの充放電終了後における容量維持率)が格段に低下した。これは、以下の理由によるものと考えられる。
実験例1−1〜1−7のように、空隙率が上記所定範囲となるように気孔が所定割合含まれることで、充放電サイクルにおけるリチウムイオンの出入りに伴う結晶格子の伸縮によって発生する応力が、当該気孔によって良好(均一)に開放される。このため、充放電サイクルの繰り返しに伴う粒界クラックの発生が可及的に抑制される。特に、開気孔比率を70%以上とすることで、より応力が開放されやすくなり、粒界クラックの発生が効果的に抑制される。さらに、正極活物質層用セラミックス板と導電性接合層との接合強度が高まり、接合界面剥離が効果的に抑制される。したがって、実験例1−1〜1−7によれば、良好なサイクル特性を維持しつつ、高容量化を図ることができる。
さらに、開気孔内に電解質が浸透することで、当該開気孔の内壁面は、リチウムイオンの出入りする面として良好に機能する。したがって、開気孔比率を70%以上とすることで、閉気孔の比率が大きい場合に比べて、レート特性が改善される。
一方、空隙率が3%未満である実験例1−8や、開気孔比率が70%未満である実験例1−9においては、気孔による応力開放効果(粒界クラックの発生抑制効果)や、接合界面剥離抑制効果が不十分となる。このため、サイクル特性が格段に低下した。
次に、X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度(ピーク強度)の比率である、ピーク強度比[[003]/[104]について評価した。XRD(X線回折)測定は、以下の方法で行った。
φ5〜10mm程度の大きさに加工した正極活物質層用セラミックス板を、XRD測定用の試料フォルダに載せた。XRD装置(株式会社リガク製 製品名「RINT-TTRIII」)を用い、正極活物質層用セラミックス板の表面に対してX線を照射したときのXRDプロファイルを測定し、(104)面による回折強度(ピーク高さ)に対する(003)面による回折強度(ピーク高さ)の比率[003]/[104]を求めた。上記方法によれば、板面の結晶面に平行に存在する結晶面、すなわち、板面方向に配向する結晶面による回折プロファイルが得られる。
ピーク強度比[003]/[104]の影響を評価するため、空隙率及び開気孔比率を一定にして、配向度が異なる実験例1−10〜1−13を作成した。実験例1−10〜1−13は、原料粒子粒径及び中間焼成体焼成温度を実験例1−5と同一とすることで実験例1−5と同じ空隙率及び開気孔比率(空隙率8%、開気孔比率98%)に設定しつつ、リチウム導入工程における条件(リチウム化合物の種類及び添加量、並びに処理温度:表3参照)を適宜変更することによって、配向度が異なるように形成したものである。この評価結果を表4に示す。
表4に示されている結果から明らかなように、ピーク強度比[003]/[104]が2以下である実験例1−5、1−10、及び1−11においては、良好なサイクル特性が得られた。一方、ピーク強度比[003]/[104]が2を超える実験例1−12及び1−13においては、2以下である実験例1−5、1−10、及び1−11よりも、サイクル特性が悪化した。
また、本実施形態の正極活物質層用セラミックス板は、多数の一次粒子(結晶粒子)が結合した構造を有している(図4における(iii)に示されている、断面の走査電子顕微鏡写真においても、コントラストはあまり明瞭ではないものの、一応確認可能である。)。そこで、一次粒子径の影響を評価するため、空隙率及び気孔径を一定にして、一次粒子径が異なる実験例1−14〜1−17を作成した。実験例1−14〜1−17は、原料粒子粒径及び中間焼成体焼成温度を実験例1−5と同一とすることで実験例1−5と同じ空隙率及び開気孔比率(空隙率8%、開気孔比率98%)に設定しつつ、リチウム導入工程における条件(リチウム化合物の種類及び添加量、並びに処理温度:表5参照)を適宜変更することによって、一次粒子径が異なるように形成したものである。
一次粒子径は、以下のようにして測定した:FIB(収束イオンビーム)によって厚さを80nm程度まで薄片加工することで、正極活物質層用セラミックス板の板面と平行な断面の電子顕微鏡観察サンプルを作成した。透過電子顕微鏡により、一次粒子が視野内に10個以上入る倍率を選択して、かかるサンプルの明視野像を撮影した。得られた明視野像中の10個の一次粒子について、それぞれ、粒内に内接円を描いたときの直径を求め、これらの平均値を一次粒子径とした。これら実験例1−14〜1−17の評価結果を表6に示す。
表6に示されている結果から明らかなように、一次粒子径が5μm以下である実験例1−5、1−14、及び1−15においては、良好なサイクル特性が得られた。一方、一次粒子径が5μmを超える実験例1−16及び1−17においては、サイクル特性が悪化した。
<<具体例2:ニッケル系組成>>
次に、Li(Ni,Co,Al)Oセラミックス板についての実験例2−1〜2−9の作成条件を、表7に示す。
表7の実験例2−2及び2−4における作成条件は、以下の通りである(二段階プロセス:空孔形成材なし)。
(1)スラリー調製:NiO粉末(粒径1−10μm、正同化学工業株式会社製)75.1重量部、Co粉末(粒径1−5μm、正同化学工業株式会社製)21.5重量部、及びAl粉末(粒径1−10μm、昭和電工株式会社製)3.4重量部を混合及び粉砕し、大気雰囲気中にて1000℃で5時間熱処理することで、(Ni0.75,Co0.2,Al0.05)O粉末を合成した。
この粉末をポットミルで粉砕することで得られた(Ni0.75,Co0.2,Al0.05)O原料粒子100重量部と、分散媒(トルエン:イソプロパノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番「BM−2」、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:Di(2-ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(製品名「レオドールSP−O30」、花王株式会社製)2重量部と、を混合した。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、3000〜4000cPの粘度に調製した。
(2)シート成形:上記のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが30μmとなるように、シート状に成形した。
(3)仮焼成:PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで50mm角に切り出し、上述のジルコニア製セッターの中央に載置し、大気雰囲気中にて所定温度(中間焼成体焼成温度)で10h焼成後、焼成炉中の雰囲気を酸素雰囲気に置換し、室温まで200℃/hで降温して、セッターに溶着していない部分を取り出した。
(4)リチウム導入:このようにして得られた(Ni0.75,Co0.2,Al0.05)Oセラミックスシートと、LiOH粉末(関東化学株式会社製)とを、mol比率Li/(NiCoAl)=3.0となるようにふりかけ、酸素雰囲気中(0.1MPa)にて775℃で48時間加熱処理することで、「独立した」シート状の正極活物質層用Li1.0(Ni0.75Co0.2Al0.05)Oセラミックス板を得た。
表7の実験例2−3及び2−5における作成条件は、上述の空孔形成材を添加した以外は、上述の実験例2−2等と同様である(二段階プロセス:空孔形成材添加)。表7の実験例2−1及び2−6〜2−9における作成条件は、以下の通りである(一段階プロセス)。
(1)スラリー調製:Li1.50(Ni0.75Co0.2Al0.05)Oの組成比となるように、NiO粉末(粒径1−10μm、正同化学工業株式会社製)、Co粉末(粒径1−5μm、正同化学工業株式会社製)、Al・HO(粒径1−3μm、SASOL社製)、及びLiCO粉末(粒径10−50μm、関東化学株式会社製)を混合した原料粉末100重量部と、上述の空孔形成材と、を用いた以外は、上述の各実験例と同様にして、スラリーを調製した(但しスラリー粘度は500〜700cP)。
(2)シート成形:上述のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが30μmとなるように、シート状に成形した。
(3)熱処理:PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで70mm角に切り出し、上述のジルコニア製セッターの中央に載置し、酸素雰囲気中(酸素分圧0.1MPa)にて750℃で5時間加熱処理することで、厚さ30μmの、「独立した」シート状の正極活物質層用Li1.0(Ni0.75Co0.2Al0.05)Oセラミックス板を得た。
表7に示されている実験例の評価結果を、表8に示す。かかる表8から明らかなように、ニッケル系組成においても、上述のコバルト系組成と同様の結果が得られた。
また、ニッケル系組成についても、上述のLiCoO2と同様に、ピーク強度比[003]/[104]や一次粒子径の影響について評価した結果を、表9〜表12に示す。表9〜表12に示されている実験例の評価結果から明らかなように、ニッケル系組成についても、上述のLiCoO2と同様の結果が得られた。
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態や具体例は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の具現化の一例を単に示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態や具体例によって何ら限定されるべきものではない。よって、上述の実施形態や具体例に対して、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、変形例について幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態における各構成要素と同様の構成・機能を有する構成要素については、本変形例においても同一の名称及び同一の符号が付されているものとする。そして、当該構成要素の説明については、上述の実施形態における説明が、矛盾しない範囲で適宜援用され得るものとする。
もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことは、いうまでもない。本発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
また、上述の実施形態の構成、及び下記の各変形例に記載された構成の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることも、いうまでもない。
本発明は、上述の実施形態にて具体的に開示された構成に何ら限定されない。例えば、正極15における正極集電体15aは、省略され得る。すなわち、リチウム複合酸化物焼結体板が、そのまま正極15として用いられ得る。
図6は、図1Bに示されている正極15の構成の一変形例を示す側断面図である。図6に示されているように、多数のリチウム複合酸化物焼結体板15b1が一次元的あるいは二次元的に配列した状態で正極集電体15aと接合されることで、正極15が形成されていてもよい。この場合、極活物質層15bは、多数のリチウム複合酸化物焼結体板15b1が一次元的あるいは二次元的に配列したものによって構成される。
上述の図6に示されている場合において、個々のリチウム複合酸化物焼結体板15b1は、上述のリチウム導入工程を経た焼結体板に対して、平面視にて所定寸法となるように端部をカットしたものであってもよい。あるいは、個々のリチウム複合酸化物焼結体板15b1は、上述のリチウム導入工程を経た焼結体板を平面視にて一次元的あるいは二次元的に複数に分割したものであってもよい。これらの場合、隣り合うリチウム複合酸化物焼結体板15b1同士の隙間を可及的に小さくすべく、隣り合うリチウム複合酸化物焼結体板15b1同士を互いに当接させるように配列するとともに、当該隙間に導電性接合層15cが入り込まないように正極集電体15aと接合することで、隣り合うリチウム複合酸化物焼結体板15b1同士の非常に狭い隙間に電解質13が浸入するように、正極15を形成することが好ましい。
図7は、本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池20の概略構成を模式的に示す断面図である。図7を参照すると、このリチウム二次電池20は、いわゆる全固体型のものであって、正極集電体21と、正極活物質層22と、固体電解質層23と、負極活物質層24と、負極集電体25と、を備えている。このリチウム二次電池20は、正極集電体21の上に、正極活物質層22、固体電解質層23、負極活物質層24、及び負極集電体25を、この順序で積層することにより形成されている。本発明のリチウム複合酸化物焼結体板は、かかる構成における正極活物質層22を構成するものとして、好適に用いられ得る。このとき、正極活物質層22の開気孔に、固体電解質23が連続的に充填されている方が、正極活物質からのリチウムイオン出入りが活発になる点で好ましい。
図8は、本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池30の概略構成を模式的に示す断面図である。図8を参照すると、このリチウム二次電池30は、いわゆるポリマー型のものであって、正極集電体31と、正極活物質層32と、ポリマー電解質層33と、負極活物質層34と、負極集電体35と、を備えている。このリチウム二次電池30は、正極集電体31の上に、正極活物質層32、ポリマー電解質層33、負極活物質層34、及び負極集電体35を、この順序で積層することにより形成されている。本発明のリチウム複合酸化物焼結体板は、かかる構成における正極活物質層32を構成するものとして、好適に用いられ得る。
正極集電体15aは、図1Bに示されているように、正極活物質層15bの両板面のうちの一方にのみ設けられていてもよいし、図9に示されているように、正極活物質層15bの両板面に設けられていてもよい。
図9に示されているように、正極集電体15aが正極活物質層15bの両板面に設けられている場合、一方の正極集電体15a1は正極活物質層15bを支持するために他方の正極集電体15a2よりも厚く形成されていてもよい。また、この場合、当該他方の正極集電体15a2は、正極活物質層15bにおけるリチウムイオンの出入りを阻害しないような構造(メッシュ状や多孔質状等)に形成されている。なお、この正極集電体15a2は、図1Bに示されている正極15にも適用可能である。
さらに、この場合、一方の正極集電体15a1側に設けられた導電性接合層15c1と、他方の正極集電体15a2側に設けられた導電性接合層15c2とは、同じ厚さでもよいし、異なる厚さでもよい。また、両者は、同一の材質で形成されていてもよいし、異なる材質で形成されていてもよい。さらには、両者のうちのいずれか一方は、省略され得る。すなわち、一方の正極集電体15a1又は他方の正極集電体15a2は、塗布やスパッタリング等によって、正極活物質層15bの板面上に直接的に膜形成され得る。
図1Bに示されているように、正極集電体15aが正極活物質層15bの一方の板面にのみ設けられている場合、充放電時の正極15での電池反応においてリチウムイオンの移動方向と電子の移動方向とが反対方向になることで、正極活物質層15b内にて電位勾配が生じる。かかる電位勾配が大きくなると、リチウムイオンが拡散しにくくなる。
これに対し、図9に示されているように、正極活物質層15bにおける、電解質13に接する側の表面に、リチウムイオンの出入りを阻害しないような正極集電体15a2を設けることで、上述のような電位勾配の形成が抑制される。これにより、電池性能が向上する。
一般式LiMOで表される焼結体板におけるリチウムとMとのモル比Li/M(Li/CoあるいはLi/(Co,Ni,Mn))は、1.0に限定されないが、0.9〜1.2の範囲内にあることが好ましく、1.0〜1.1の範囲内にあることがより好ましい。これにより、良好な充放電容量が実現される。
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した先行出願や各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして適宜援用され得る。
10…リチウム二次電池 11…電池ケース
12…セパレータ 13…電解質 14…負極
15…正極 15a…正極集電体 15b…正極活物質層
15b1…リチウム複合酸化物焼結体板 15c…導電性接合層
20…リチウム二次電池 21…正極集電体 22…正極活物質層
23…固体電解質層 24…負極活物質層 25…負極集電体
30…リチウム二次電池 31…正極集電体 32…正極活物質層
33…ポリマー電解質層 34…負極活物質層 35…負極集電体

Claims (2)

  1. リチウム二次電池の正極に用いられ、
    厚さが30μm以上であり、
    空隙率が3〜30%であり、且つ、
    開気孔比率が70%以上である、
    リチウム複合酸化物焼結体板であって、
    粒子径が5μm以下であり且つ層状岩塩構造を有する一次粒子が多数結合した構造を有し、且つ、X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、2以下である、
    リチウム複合酸化物焼結体板。
  2. 請求項1に記載のリチウム複合酸化物焼結体板であって、
    前記リチウム複合酸化物焼結体板の厚さ方向と直交する方向である、板面方向における最小寸法を前記リチウム複合酸化物焼結体板の厚さで除した値が3以上である、
    リチウム複合酸化物焼結体板。
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