JP2014217125A - 磁気浮揚装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置上に配置された状態の磁性体を自動的に浮揚させる。
【解決手段】磁性体12に対して、重力と磁力の合力に依存する位置依存エネルギーをもたらす静磁場を生成するように配列された少なくとも一対の磁石14(16)と、不安定な軸における磁性体12のロケーションを示すロケーション情報を生成する位置検出部26と、平衡位置における不安定な軸に沿う勾配を有する磁場を通電によって生成する電磁石EMと、ロケーション情報を受信し、電磁石EMへの通電を制御するコントローラ24と、空中への浮揚時以外における磁性体12の支持面301を有する支持部材300と、平衡位置を移動させて当該平衡位置の高さを変化させる平衡位置移動手段400と、を備える。
【選択図】図20
【解決手段】磁性体12に対して、重力と磁力の合力に依存する位置依存エネルギーをもたらす静磁場を生成するように配列された少なくとも一対の磁石14(16)と、不安定な軸における磁性体12のロケーションを示すロケーション情報を生成する位置検出部26と、平衡位置における不安定な軸に沿う勾配を有する磁場を通電によって生成する電磁石EMと、ロケーション情報を受信し、電磁石EMへの通電を制御するコントローラ24と、空中への浮揚時以外における磁性体12の支持面301を有する支持部材300と、平衡位置を移動させて当該平衡位置の高さを変化させる平衡位置移動手段400と、を備える。
【選択図】図20
Description
本発明は、磁気浮揚装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、磁性体を空中に浮揚させる磁気浮揚装置の改良に関する。
永久磁石によって生成される静磁界内の平衡位置に対して磁性体がずれていることを検出し、電磁石による磁場の生成をずれに応じて制御することで静磁界内の平衡位置に磁性体を浮揚させる磁気浮揚装置が、従来、知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、従来の磁気浮揚装置においては、静磁界内の平衡位置に磁性体を浮揚させるに際し、装置外部から手を使うなどして磁性体を平衡位置に配置しており、配置した時点で磁性体は既に浮揚した状態となることから、装置上に載置された状態の磁性体を自動的に浮揚させることはできない。
そこで、本発明は、装置上に配置された状態の磁性体を自動的に浮揚させることを可能とした磁気浮揚装置を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。そもそも、従来の磁気浮揚装置においては、静磁界内の平衡位置に手を使うなどして磁性体を配置した時点で当該磁性体は浮揚した状態となるしかない反面、実際の平衡位置の範囲は狭小であり尚かつその周辺には強い引力と斥力とが作用していることから、該平衡位置に浮揚した状態で磁性体を配置することは簡単ではなく、ある程度の習熟を要するものとなっている。このような現状に着目しつつ検討を重ねた本発明者は課題の解決につながる知見を得るに至った。
本発明はかかる知見に基づくものであり、磁性体を空中に浮揚させる磁気浮揚装置であって、
磁性体に対して、重力と磁力の合力に依存する位置依存エネルギーをもたらす静磁場を生成するように配列され、尚かつ、静磁場がもたらす平衡位置において、位置依存エネルギーを、磁性体を不安定な軸に沿って平衡位置から離す場合には減少させ、磁性体を不安定な軸に直交するあらゆる方向に沿って平衡位置から離す場合には増大させる、少なくとも一対の磁石と、
不安定な軸における磁性体のロケーションを示すロケーション情報を生成する位置検出部と、
平衡位置における不安定な軸に沿う勾配を有する磁場を通電によって生成する電磁石と、
ロケーション情報を受信し、電磁石への通電を制御するコントローラと、
空中への浮揚時以外における磁性体の支持面を有する支持部材と、
平衡位置を移動させて当該平衡位置の高さを変化させる平衡位置移動手段と、
を備えることを特徴とするものである。
磁性体に対して、重力と磁力の合力に依存する位置依存エネルギーをもたらす静磁場を生成するように配列され、尚かつ、静磁場がもたらす平衡位置において、位置依存エネルギーを、磁性体を不安定な軸に沿って平衡位置から離す場合には減少させ、磁性体を不安定な軸に直交するあらゆる方向に沿って平衡位置から離す場合には増大させる、少なくとも一対の磁石と、
不安定な軸における磁性体のロケーションを示すロケーション情報を生成する位置検出部と、
平衡位置における不安定な軸に沿う勾配を有する磁場を通電によって生成する電磁石と、
ロケーション情報を受信し、電磁石への通電を制御するコントローラと、
空中への浮揚時以外における磁性体の支持面を有する支持部材と、
平衡位置を移動させて当該平衡位置の高さを変化させる平衡位置移動手段と、
を備えることを特徴とするものである。
この磁気浮揚装置においては、平衡位置移動手段を用いることにより、静磁場がもたらす平衡位置を移動させて当該平衡位置の高さを変化させることができる。また、空中への浮揚時以外(浮揚する前を含む)における磁性体を、支持面を有する支持部材によって支持することができる。これらによれば、磁性体が支持面上に支持された状態で平衡位置の相対的な高さを上昇させ、上昇途中において磁性体を平衡位置に位置させ、さらに上昇させることによって磁性体を浮揚させることができる。したがって、本発明にかかる磁気浮揚装置によれば、装置上(例えば上述の支持部材上)に配置された状態の磁性体を自動的に浮揚させることが可能となる。
かかる磁気浮揚装置において、平衡位置移動手段は、少なくとも一対の磁石を、支持部材に対して相対的に昇降させる移動機構と、該移動機構を駆動する駆動装置と、を含むものであってよい。
この場合における駆動装置は、少なくとも一対の磁石を、支持部材における支持面の下方であって該支持面から離れた下降位置と、該接地面に接近する上昇位置との間で昇降させる機構からなるものであってもよい。
また、コントローラは、電磁石への通電を断つ際、少なくとも一対の磁石を下降位置に移動させるように駆動装置を制御する制御装置を含むことが好ましい。かかる制御装置によれば、少なくとも一対の磁石を初期状態において下降位置に位置させるように制御することができる。
かかる磁気浮揚装置において、支持部材の支持面に接している磁性体を、支持部材において平衡位置が相対的に昇降する経路が交差する部位である浮上開始位置へ誘導する誘導手段を備えることが好ましい。このような誘導手段によれば、磁性体を浮上開始位置にセッティングする手間が省ける。
かかる誘導手段は、支持部材の支持面が浮上開始位置に向かって下り勾配を有する面で形成され、磁性体が重力によって浮上開始位置へ移動するものであることが好ましい。
あるいは、かかる誘導手段は、電磁石とコントローラとからなり、コントローラが電磁石の通電を制御することによって磁性体を浮上開始位置へ向かって付勢するものであることも好ましい。
さらに、支持部材と磁性体の少なくとも一方を振動させることにより、磁性体と支持面との間の摩擦力を減じる振動手段を磁気浮揚装置がさらに備えることが好ましい。かかる振動手段によれば、磁性体と支持面との間の摩擦力を減じさせ、磁性体が浮上開始位置まで案内されやすくすることができる。
また、かかる振動手段は、電磁石とコントローラとからなり、コントローラが電磁石の通電を制御することによって該電磁石の磁力を周期的に変化させ、磁性体を振動させるものであることが好ましい。
あるいは、振動手段は、支持部材を振動させるバイブレータであってもよい。
また、磁気浮揚装置の支持部材において平衡位置が相対的に昇降する経路が交差する部位には、磁性体の一部分が嵌まり込む嵌合凹部が設けられていることが好ましい。かかる嵌合凹部によれば、浮上開始時に磁性体が平衡位置からずれることを抑制することができる。
この場合、磁性体には、嵌合凹部に嵌まり込んだとき当該磁性体を水平な状態にする突部が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、装置上に配置された状態の磁性体を自動的に浮揚させることが可能となる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。以下では、まず、本発明にかかる磁気浮揚装置1の基本的な構造、原理、作用等について、第1の形態、第2の形態を挙げつつ説明し(図1〜図19参照)、その後、当該磁気浮揚装置1上に配置された状態の磁性体(磁気要素)12を自動的に浮揚させるようにした形態を説明する(図20〜図26参照)。
<磁気浮揚装置1の第1の形態>
図1〜図13に磁気浮揚装置の一形態を示す。本形態にかかる磁気浮揚装置1は、磁性体(磁気要素)12を空中に浮揚させる装置であって、磁石、位置検出部、電磁石、コントローラ等を備えている。
図1〜図13に磁気浮揚装置の一形態を示す。本形態にかかる磁気浮揚装置1は、磁性体(磁気要素)12を空中に浮揚させる装置であって、磁石、位置検出部、電磁石、コントローラ等を備えている。
図1は、磁気浮揚装置1における磁気空中浮揚システム10の一形態例を示している。なお、図1においては、水平面内における直交する2軸をx軸とy軸、鉛直方向をz軸としている。
磁気空中浮揚システム10には、少なくとも一対の磁石が設けられる。図1では、x軸に沿って配置された第1の一対の磁石14(それぞれの磁石を符号14A,14Bで示している)と、y軸に沿って配置された第2の一対の磁石16(それぞれの磁石を符号16A,16Bで示している)とからなる二対の磁石が設けられている例を示している。
磁石14,16は、磁性体12に対して、重力と磁力の合力に依存する位置依存エネルギーをもたらす静磁場を生成するように配列されている。これら磁石14,16は、静磁場がもたらす平衡位置13において、位置依存エネルギーを、磁性体12を不安定な軸に沿って平衡位置13から離す場合には減少させ、磁性体を不安定な軸に直交するあらゆる方向に沿って平衡位置13から離す場合には増大させる。
例えば本形態では、図1に示す磁気空中浮揚システム10において、x軸に沿って配置された第1の一対の磁石14A,14Bよりも、y軸に沿って配置された第2の一対の磁石16A,16Bのほうが強い磁力を有するものとしている。したがって、この磁気空中浮揚システム10においては、磁性体12はy軸に沿った方向には振れにくく安定であり、x軸に沿った方向には振れやすい。このため、この場合はx軸が「不安定な軸」となる。
より具体的に説明すると、本形態において、第1の一対の磁石14(14A,14B)どうしは間隔D1だけ離れて配置され、第2の一対の磁石16(16A,16B)どうしは間隔D2だけ離れて配置されており(図1参照)、D2>D1とされている。D2対D1の好適な割合は、例えば1.5:1〜2:1の範囲内である。
また、磁石14よりさらに離れて配置されている(D2>D1である)磁石16は、磁石14よりも大きい、あるいは、磁石14と等しい程度の磁力を有している。磁石16の磁力は、磁石16がないときに存在する磁場の力線の好ましくない湾曲を実質的に妨げるほど充分に大きいが、より弱い磁石14が生成する、平衡位置13に近いために急な勾配を有した磁場を妨げるほど大きくないことが好ましい。磁石14A,14Bは、互いに同じ磁気の強さを有し、そして、磁石16A,16Bは、互いに同じ磁気の強さを有するものが好ましい。磁石14の強さM14は、磁石16の強さM16未満か、あるいは、磁石16の強さM16に等しいものであってもよい。M16対M14の割合の好適な範囲は、例えば、1対1から2対1の範囲内である。
また、本形態では、磁石14A,14Bがx軸に沿って配置され、磁石16A,16Bがy軸に沿って配置されている。さらに、磁石14,16は、すべて平面18に近接するように配置されている。平面18上で直交するx軸,y軸と、平面18に垂直なz軸とを有するデカルト座標系は、磁石14A,14B、そして磁石16A,16Bが対称的に位置するような原点を有している。例示した磁気空中浮揚システム10の座標系のz軸は、当該磁気空中浮揚システム10の対称軸を形成している(図1参照)。なお、図1等では、平面18からz軸に沿って平衡位置13までの間隔(鉛直方向距離)をD3と示している。
また、磁石14,16は、当該磁石14,16と、磁性体12が磁気空中浮揚システム10によって空中に浮揚されることが可能な平衡位置13との間の間隔に比べ、サイズが小さいものであることが好ましい。磁石14,16のそれぞれは、平衡位置13における磁場を生成し、その磁場の強さは、磁石14、あるいは磁石16のロケーションにおいて単一の磁石によって生成される磁場の強さとほぼ同じである。
さらに、本形態において、磁石14,16の磁極は、すべて、z軸に平行である。図2は、磁気空中浮揚システム10の部分略図を示しており、ここでは、磁石14のそれぞれは角度φ1でz軸の方に向って傾斜され、そして、磁石16のそれぞれは、角度φ2で、z軸の方に向って傾斜されている。φ1=φ2とすることもできる。図2のように、z軸の方へ向って磁石14と磁石16の一方または双方を傾斜させることは、他の方向における安定性の減少と引き換えに、1つの方向におけるモーションに対して磁性体12の空中浮揚における剛性さ(stiffness)を得ることにつながる場合がある。
また、これら磁石14,16は、第1の方向(たとえば、+z方向)に方向付けられる第1の極性の極(たとえば、N)と、第1の方向(たとえば、−z方向)に対向する第2の方向に方向付けられる第2の極性の極(たとえば、S)とを有する。
なお、あらゆる適切な磁石が磁気浮揚装置1の磁気空中浮揚システム10における磁石14,16として使用することができる。磁石14,16は、例えば永久磁石であってもよいし、あるいは、永久磁石と同等の磁場を生成する電磁石を備えているものであってもよい。磁気空中浮揚システム10が、電池、あるいは、総容量、あるいは、ピーク電力によって限定される別の電源装置によって動力が与えられる場合、あるいは、磁気空中浮揚システム10の電力消費量を最小にすることが好ましいという場合には、磁石14,16は、永久磁石が好ましい。さらに、磁石14,16は、NdFeB磁石、バリウムフェライト(Barium Ferrite)磁石、サマリウムコバルト(Samarium Cobalta)磁石、あるいは、AlNiCo磁石を備えるものであってもよい。磁石14,16は、それぞれ、複数の磁石の配列とすることもできる。
例示した形態において、平衡位置13に最も近い磁石14,16の極は、同一平面上にあり、すべては、平面18のすぐ近くに近接して位置する。本形態の磁石14,16は、磁気空中浮揚システム10のベース装置(ベース部)110上に取り付けることができる(図3、図9および図10を参照)。磁石14,16およびベース装置110は、z方向に薄い構造となっている。ベース装置110は、D3未満の厚さであってもよく、一例として、ベース装置110を1/2×D3またはそれ以下の厚さとすることができる。
磁石14,16は、平衡位置13において磁性体12を空中浮揚状態に支持する静磁場を生成する。その静磁場は勾配を持ち、空中浮揚した磁性体12と静磁場との間に働く磁力による位置依存エネルギーは、浮揚している磁性体12を、安定平面20(図1にy−z平面として示される)と平行な方向に、微かにでも移動させれば増大する。
なお、本形態では、磁石14,16が直交軸(x軸、y軸)に位置する理想的なケースを例示したが(図1参照)、この理想的な配列からの多少のずれは本発明の適用範囲内である。また、本形態において、磁石14,16は、ひし形の頂点に配列されている。デカルト座標系の確立は、例示した装置の形状を説明する際における便宜のためだけに行われている。他の座標系が使用されることが可能である。
磁性体12は、1つの磁石、あるいは、複数の磁石の配列を備えている。磁性体12は、空中に浮揚する軽量な本体に取り付けられる永久磁石を備える構成であってもよい。
ここで、図4、図5、図6に、x軸、y軸およびz軸それぞれに沿って移動した際の、磁性体12の位置に依存した磁気エネルギーUの変動を示す。位置依存の磁気エネルギーUは、磁性体12がy軸およびz軸のいずれに沿って平衡位置13から離れた場合にも増大する(図5、図6参照)。つまり、磁性体12は、これらの軸(y軸、z軸)に沿う移動に対して安定である(磁性体12は、これらの軸方向へは離れにくい)。一方で、位置依存の磁気エネルギーUは、磁性体12がx軸に沿って平衡位置13から離れた場合には、減少する(図4参照)。つまり、磁性体12は、x軸に沿う平衡位置13からの移動に対して不安定である(磁性体12は、平衡位置13からx軸に沿った方向へ離れやすい)。
磁気空中浮揚システム10は、コントローラ24(図1参照)の制御のもとに、可変磁場を生成する制御コイル22(個々には、22A,22B)を含む。空中浮揚した磁性体12が平衡位置13から離れるとき、コントローラ24は、制御コイル22内の電流の1つまたは複数のフローを調整し、制御コイル22に、磁性体12に印加される力を結果として生じる磁場を生成させる。その力は、不安定な軸(本形態の場合、x軸)に沿ったいずれかの選択された方向に磁性体12を移動させるように作用する。制御コイル22内の電流の通過によって生成される可変磁場は、x軸方向の動きに対して当該磁性体12を安定させる。本形態において、制御コイル22A,22Bは、互いに近接し、x軸に沿って配置されている(図1参照)。制御コイル22Aは磁石14Aの周囲に、制御コイル22Bは磁石14Bの周囲にそれぞれ巻回されている。制御コイル22は、通電時、平衡位置13における不安定な軸に沿う勾配を有する磁場を生成する。
位置センサ26は、不安定な軸(本形態の場合、x軸)における磁性体12のロケーションを示すロケーション情報を生成する位置検出部として機能するもので、コントローラ24に、不安定な軸(x軸)に沿って相対移動した磁性体12の移動を表わす信号(ロケーション情報)を供給する。本形態において、位置センサ26は、平衡位置13の鉛直方向真下となる磁気空中浮揚システム10のセンター部分に配置されている。該位置センサ26は、たとえば、ホール効果センサを備えたものとすることができる。ホール効果センサは、x軸に平行な方向に、空中浮揚した磁性体12からの磁場の強さを検出するように方向付けられることができる。磁性体12が平衡位置13に位置するとき、磁性体12の磁極は静磁場の向きと並び、z軸に平行となる。磁性体12の磁極が作る磁場は、位置センサ26の位置において、x軸と平行な向きの成分を持つことはない。磁性体12が、不安定なx軸に沿っていずれかの方向に移動する場合、位置センサ26で検出される磁場は、x軸方向にゼロではない成分を持ち、磁性体12が平衡位置13から遠ざかるほど増大する。したがって、ホール効果センサ26によって出力される信号は、コントローラ24において、磁性体12の不安定なx軸に沿った位置のフィードバック情報として使用することが可能である。
コントローラ24は、平衡位置13にある磁性体12を当該平衡位置13、あるいはこの平衡位置13からずれた不均衡な位置に維持するために制御コイル22に通電する電流を調整する。コントローラ24は、コンピュータ、プログラマブルコントローラ、あるいは、ディジタル信号プロセッサ、あるいは、適切なアナログ、または、ディジタルフィードバック制御回路などの適切にプログラムしたデータプロセッサを含むあらゆる適切な制御技術を備える。本形態のコントローラ24は、磁性体12のロケーションを示すロケーション情報を受信し、制御コイル22への通電を制御する。
磁性体12が安定して空中に浮揚した状態となる平衡位置13と、磁石14,16に近接した平面18との間の間隔D3は、磁石14Aと磁石14Bとの間の間隔D1を調整することによって変えることができる。磁性体12が空中に浮揚している間にわずかに間隔D1を減少することにより、間隔D3を減少させると同時に、安定平面20(すなわち、図1におけるy−z平面)における平衡位置13からの移動に対して磁性体12の安定性を増大させることができる。また、磁性体12が空中に浮揚している間にわずかに間隔D1を増大すると、間隔D3が増大すると同時に、安定平面20における平衡位置13からの移動に対して磁性体12の安定性が減少する。
平衡位置13は、制御コイル22内を流れる電流がないときに、磁石14,16の静磁場が、重力に抗して磁性体12を平衡位置13に保持するような力を作用させるように設定されている。上述のように、本形態では、磁性体12はx方向に不安定であり、制御コイル22は、平衡位置13から離れる磁性体12のx方向におけるあらゆる動きを妨げるように操作される。磁性体12が平衡位置13から離れたとき、あるいは動いているとき、電流を制御コイル22内に流させることにより当該磁性体12を平衡位置13に安定させる。
ここで、上述の制御コイル22は、x軸方向に不安定な磁性体12の位置決めを制御するに足るだけの磁場勾配(dBz/dx)を平衡位置13の付近にもたらしうるように配列されている。制御コイル22の寸法およびロケーションは、該制御コイル22によって生成される磁場の大きさが平衡位置13の付近においてきわめて小さいように設定されていることが好適である。こうした場合、磁性体12の位置における横方向の強い磁界成分によって、磁性体12を回転させることがある磁界成分を発生させることなく、当該磁性体12を安定させることが可能となる。実際には、制御コイル22が発生する磁界のx方向、y方向およびz方向の成分ができるだけ小さく、x軸の磁性体12の位置決めを制御するに足る大きな勾配(dBz/dx)をx方向に有するということは好適である。
図7に、平衡位置13の付近において制御コイル22からの磁場を最小にするような磁気空中浮揚システム10Aを示す。ここまで説明した形態におけるのと同じ参照符号が磁気空中浮揚システム10Aのパーツを示すのに使用されている。磁気空中浮揚システム10Aは、4つの制御コイル22、すなわち、制御コイル22A,22B,22C,22Dを有する。制御コイル22Aから22Dは、平面18に平行に、かつ、互いに平行に配列される矩形のコイルである。制御コイル22Aから22Dの長側面は、y軸に平行に、かつ、不安定なx軸に対しては垂直となるように延在する。制御コイル22Aから22Dは、x軸に沿って対称的に配列されている。磁石14A,14Bは、それぞれ、制御コイル22A,22B内にある。制御コイル22Aから22Dは、y−z安定平面に対して対称的に配置されている。制御コイル22A,22Bは互いに近接しあい、制御コイル22A,22Cは互いに近接しあい、制御コイル22B,22Dは互いに近接しあう配置となっていることが理想的である。制御コイル22C,22Dは、x軸に沿ったそれぞれの寸法が制御コイル22A,22Bより幅広くなっていることが好ましい。図7に示す形態において、制御コイル22Aは、制御コイル22Bと同じ寸法を有し、制御コイル22Cは、制御コイル22Dと同じ寸法を有している。
制御コイル22によって生成される磁場のうち、少なくとも平面18に平行な成分について、少なくとも平衡位置13の近傍においては、実質的に互いに相殺することが好ましい。このように相殺することは、制御コイル22の寸法を適切なものとし、制御コイル22Aに適宜電流を流すことによって実現することができる。電流は、磁性体12に安定した磁気力を作用させるために、内側の制御コイル22A,22Bを対向する方向に流れる。電流が例えば時計回り方向に制御コイル22Aを流れる場合、制御コイル22Bにおける電流は逆時計回りに流れる必要がある。同時に、制御コイル22C内の電流の流れは逆時計回りであり、制御コイル22D内の電流の流れは時計回りである。これにより、安定磁場を生成し、不安定なx軸に沿った方向の力を磁性体12に作用させることができる。また、制御コイル22のそれぞれに流れる電流の方向を逆にすることにより、不安定なx軸に沿って磁性体12に作用する力を逆向きにすることができる。
なお、図7に示すように配列された制御コイル22は、巻線数が等しく、適切な寸法となっているものであり、各制御コイル内に電流を流すことにより、平衡位置13において「磁気四極子」を生成する。「磁気四極子」となる点においては、磁場の大きさがゼロであり、点の周囲には線形かつ対称となる磁場勾配が存在する。この場合、制御コイル22は、磁性体12に印加される安定化のための磁力を生じる。磁性体12に印加される磁力の大きさは、磁性体12のロケーションにおける磁場の勾配dBz/dxの大きさに比例する。
図11に、制御コイル22を通るx−z平面についての断面図を示す。平衡位置13において「磁気四極子」を生成するための制御コイル22については、制御コイル22A,22Bが等しい幅W1を有し、制御コイル22C,22Dが等しい幅W2を有し、尚かつ、W1が、W1=D3およびW2≧D3によって、W2および間隔D3に相関していることが好ましい。制御コイル22のすべては、同じ長さを有することが好ましい。不安定なx軸に対して横に作用する方向における各制御コイル22の長さは、その幅よりも大きい。
コントローラ24は、磁性体12が平衡位置13の付近にあるとき、位置センサ26によって検出されないことに備えて、磁気空中浮揚システム10の操作を抑制するものであることが好ましい。たとえば、磁性体12が機能を停止する場合には、コントローラ24が制御コイル22に電流を流すことによって、磁性体12の位置決めを補正しようとすることを防止することが好ましい。これは、エネルギーを消耗し、制御コイル22を過熱させ、極論すれば、制御コイル22に電力を供給する制御回路を損傷する可能性がある。磁性体12が平衡位置13の所望の間隔内にないことを位置センサ26からの信号が表しているとき、コントローラ24を不活動モードにスイッチするように構成したり、リセットするまで不活動のモード状態のままとしたりするように構成することができる。磁気空中浮揚システム10は、コントローラ24をリセットするために、ユーザーによって操作されることが可能なリセットスイッチを含むことができる。
場合によっては、平衡位置13における静磁場の強さを増大する付加的な磁石が併設されていることが好ましいことがある。裏返ろうとするモーメントに対する磁性体12の安定性は、平衡位置13における静磁場の強さとともに増大する。これは、磁性体12の磁極が、周囲の磁場と自然に整列することが多いからである。磁性体12の磁極が静磁場とずれた場合、磁性体12は元に戻ろうとするトルクを受ける。そのトルクの大きさは、磁性体12の位置における磁場の強さに比例する。
図8に、平衡位置13に磁性体12を維持するのに使用される力を生成する磁場勾配に悪影響を及ぼすことなく、平衡位置13における磁場の強さを増大させる付加的な磁石30の配列例を示す。付加的な磁石30は、リング31に配置される。各付加的な磁石30は、磁石14と同じ方向の磁極を持つ。
リング31は、平面18上に、あるいは、平面18に平行な平面上に位置する。平衡位置13は、リング31のセンターからリング31の平面に直交して延在するライン上に位置する。リング31の半径は、付加的な磁石30によって生成される磁場のz成分が平衡位置13においてz方向に実質的に勾配がないように選択される(すなわち、平衡位置13において、dB(30)z/dz=0)。なお、式中、B(30)zは、磁石30によって生成される磁場のz成分である。この状況において、「実質的に勾配がない」ということは、平衡位置13において磁性体12を空中に浮揚させる磁石14,16によって生成される静磁場の勾配よりも小さく、好ましくはその静磁場の勾配の25%未満、より好ましくは7%未満である勾配を意味する。
磁気空中浮揚システム10は、図9に示すように、ある降下位置42Aと上昇位置42Bとの間を磁石14,16に対して移動可能である非磁気サポート部材40を含むことができる。サポート部材40が上昇位置42Bにあるとき、磁性体12は平衡位置13において支持されている。磁気空中浮揚システム10において、磁性体12を平衡位置13に保持するように作動した後、該サポート部材40を降下位置42Aまで降下させるようにすることもできる。
サポート部材40は、アーム、テーブル、コラムなどを備えることができる。サポート部材40は、磁性体12によって支持される第1の位置と、平衡位置13から離れる第2の位置との間を移動可能である。あらゆるメカニズムが、サポート部材40が第1の位置と第2の位置との間を移動することを可能にするために設けられることができる。メカニズムは、たとえば、1つ以上のヒンジ、ピボット、スライド部材、フレキシブルな部材などを備えることができる。
図3に示すように、磁気空中浮揚システム10は、1つ以上の二次電磁石22′を含むことができる。二次電磁石22′は、さらに、磁性体12を安定させるのに使用することができる。一例を挙げれば、z軸まわりに対称であり、平面18に平行に位置する電磁石は、磁石14,16からの静磁場を増加するz軸に平行な磁場勾配を生成することが可能である。この磁場勾配は、z軸に平行な方向における磁性体12に作用する力を生成する。その力の大きさおよび方向は、二次電磁石22′内を流れる電流によって制御される。z軸に沿う磁気要素のモーションを検出するように方向付けられる二次センサ26Bは、二次コントローラ24Bにフィードバックをもたらす(それは、コントローラ24にフィードバックをもたらすのに使用されるのと同じハードウェア/ソフトウェアによって供給される独立制御経路であってもよいし、あるいは、分離独立コントローラであってもよい)。コントローラ24Bは、二次電磁石22′内の電流の流れを制御する。二次電磁石システムは、z軸に沿う磁性体12の振動を緩和するのに、あるいは、平衡位置13まわりの+z方向、または−z方向に磁性体12が移動させるのに使用することができる。適切な速度で二次電磁石22′内の電流の流れを繰り返し逆にすることによって、コントローラ24Bは、z軸に沿って平衡位置13まわりに磁性体12を振動させることを可能にする。
適切なフィードバックセンサを有する他方位の電磁石は、適切なコントローラとともに供給されることができ、y軸に沿って磁性体12に力をもたらすか、あるいは、磁性体12に磁気トルクをもたらす。この方法で、空中浮揚した要素を、限定した程度で、平衡位置13のまわりに操縦し、またはある方向に振動させることが可能である。
磁気空中浮揚システム10は、磁性体12を活動させ、あるいは、照明するためのメカニズムを含むことができる。図10に、新型おもちゃ50の一例を示す。このおもちゃ50は、磁性体12を活動させるメカニズムと、磁気要素を照明するシステムとを含む。なお、図10においては、磁性体12を空中に浮揚するメカニズムの詳細な記載を省略している。空中浮揚メカニズムは、ベース装置110内に内蔵されている。
おもちゃ50において、磁性体12は、ヘリコプターの胴体に類似する軽量なシェル52を備えている。永久磁石54は、シェル52内に取り付けられている。磁石54は、平衡位置13において磁性体12を空中浮揚させるために、上述したごとく空中浮揚システムと相互に作用する。おもちゃ50は、アニメーションメカニズム60を含む。アニメーションメカニズム60は、ロータ56を駆動する小さいモータ62を含む。モータ62は、高周波結合システムによって供給される電力によって動力が与えられる。その結合システムは、空心変成器を備えることができる。ベース装置110に取り付けられる伝送コイル66は、高周波(たとえば、無線周波)電気信号で励磁される。伝送コイル66によって出される信号は、磁性体12内の受容コイル67に結合される。これにより、受容コイル67に電流を誘導する。その電流は、モータ62を駆動する電気を生成するために、整流回路68によって整流される。整流回路68からの電気は、モータ62以外の、あるいは、モータ62に加えて、電気装置に動力を与えるのに使用することができる。たとえば、その電気は、小さなランプ(たとえば、発光ダイオード(LED))を作動するのに使用されることが可能である。
おもちゃ50は、さらに、照明システム70を含む。照明システム70は、ベース装置110に高輝度の光源72を備えている。光源72は、光のビーム73を生成する。ビーム73は、磁性体12の光受容器74を照明する。本形態において、光受容器74は、ビーム73からの光を一束の光ファイバ76に集束するレンズ75を備えている。光ファイバ76は、ナビゲーション灯などに対応するシェル52のロケーションに延入する。ビーム73は、それがおもちゃ50を監視する人にたやすく見えないようにしっかりと閉じ込まれているのがよい。ミラー、ディフューザ−、あるいは、他の光学部材は、光ファイバ76の代わりに、あるいは、光ファイバ76に加えて、磁性体12の表面形体を照明するために光受容器74からの光を方向付けるのに使用することができる。
コンポーネント(たとえば、磁石、アセンブリ、装置、回路など)は、上記に言及されているが、特に明記されなければ、そのコンポーネントへの言及は、そのコンポーネントの同等物として、説明したコンポーネントの機能を行う(すなわち、それは、機能的に同等である)あらゆるコンポーネントを含むように解釈されるべきであり、本発明の図示した例示的な形態における機能を行う開示した構造に構造上同等でないコンポーネントを含む。
前述の開示から当業者には明らかなように、多くの変更および修正は、本形態の精神あるいは範囲から逸脱することなく、本発明の実施において可能である。たとえば、
・例示した形態において、磁石14,16の磁極は、互いに平行である。本形態において、磁石14,16の一方または双方は、それらの磁極が平面18に対して鋭角に位置するように方向付けられる。
・例示した形態において、磁石14,16の最上層極は、同一平面上にあり、すべて、平面18に近接して位置する。磁石14,16は、必ずしも同一平面上でない。
・例示した形態において、磁石14,16のN極は、平衡位置13に面する。磁石14,16の極性は、磁石14,16のS極が平衡位置13に面するように逆にされることが可能である。
・制御コイル22は、必ずしも複数のディスクリートコイルから形成されない。シングル巻線であっても、多数のディスクリートコイルによってもたらされる磁場とほぼ同じ磁場をもたらすように配列することができる。
・リング31と同心の付加的なリング状磁石が設けられることができる。1つまたは複数のリングは、異なる直径のリングがある平衡位置13において、dB(30)z/dz=0である磁場を生成することが好ましい。また、各リングは、dB(30)z/dz=0を保持するために、平衡位置13から異なる間隔に位置することが好ましい。
・リング31は、複数の磁石の代わりに、1つ以上のリング状磁石を備えることができる。
・磁石14,16の一方または双方は、類似の磁場を生成する対称的に配列したより小さい磁石の配置と置き換えられることが可能である。とはいえ、磁石によって占められるスペースを最小にするように、多いのではなくて、少数の磁石を使用することは、一般に好ましい。
・制御コイル22は、矩形のものが例示されているのに対して、他のコイルの形状が、さらに、磁性体12の安定化のための磁力を生成するのに使用されることが可能である。たとえば、コイルは、図12のコイル22E,22Fのように三角形、あるいは、図13の22G,22Hのように半円形でもよい。
・あらゆる適切な非接点センサを位置センサ26として使用することができる。位置センサ26は、たとえば、適切な光学センサ、容量性センサ、あるいは、他のセンサを備えることが可能である。位置センサ26は、あらゆる適切な方法で不安定な軸に沿う磁性体12の位置を検出することができる。好ましい形態において、位置センサ26は、平面18と平衡位置13との間の間隔に等しい間隔だけ平衡位置13から移動される位置から、不安定な軸に沿う磁性体12の動きを検出することが可能なタイプのものである。
・例示した形態において、磁石14,16の磁極は、互いに平行である。本形態において、磁石14,16の一方または双方は、それらの磁極が平面18に対して鋭角に位置するように方向付けられる。
・例示した形態において、磁石14,16の最上層極は、同一平面上にあり、すべて、平面18に近接して位置する。磁石14,16は、必ずしも同一平面上でない。
・例示した形態において、磁石14,16のN極は、平衡位置13に面する。磁石14,16の極性は、磁石14,16のS極が平衡位置13に面するように逆にされることが可能である。
・制御コイル22は、必ずしも複数のディスクリートコイルから形成されない。シングル巻線であっても、多数のディスクリートコイルによってもたらされる磁場とほぼ同じ磁場をもたらすように配列することができる。
・リング31と同心の付加的なリング状磁石が設けられることができる。1つまたは複数のリングは、異なる直径のリングがある平衡位置13において、dB(30)z/dz=0である磁場を生成することが好ましい。また、各リングは、dB(30)z/dz=0を保持するために、平衡位置13から異なる間隔に位置することが好ましい。
・リング31は、複数の磁石の代わりに、1つ以上のリング状磁石を備えることができる。
・磁石14,16の一方または双方は、類似の磁場を生成する対称的に配列したより小さい磁石の配置と置き換えられることが可能である。とはいえ、磁石によって占められるスペースを最小にするように、多いのではなくて、少数の磁石を使用することは、一般に好ましい。
・制御コイル22は、矩形のものが例示されているのに対して、他のコイルの形状が、さらに、磁性体12の安定化のための磁力を生成するのに使用されることが可能である。たとえば、コイルは、図12のコイル22E,22Fのように三角形、あるいは、図13の22G,22Hのように半円形でもよい。
・あらゆる適切な非接点センサを位置センサ26として使用することができる。位置センサ26は、たとえば、適切な光学センサ、容量性センサ、あるいは、他のセンサを備えることが可能である。位置センサ26は、あらゆる適切な方法で不安定な軸に沿う磁性体12の位置を検出することができる。好ましい形態において、位置センサ26は、平面18と平衡位置13との間の間隔に等しい間隔だけ平衡位置13から移動される位置から、不安定な軸に沿う磁性体12の動きを検出することが可能なタイプのものである。
なお、図1においては、x軸方向にのみ磁性体12の浮揚が不安定であり、制御コイル22(22A,22B)をx軸に沿って配列した磁気浮揚装置1の一形態を示したが、もちろん、y軸に沿った方向にも制御コイル23(23A,23B)を配列することができる(図14参照)。この場合、位置センサ26は、磁性体12の平衡位置13に対するx軸方向の位置だけでなくy軸方向の位置も検出し、コントローラ24は、x軸方向の位置によって制御コイル22に流す電流を制御していたのと同様、y軸方向の位置によって制御コイル23に流す電流を制御することになる。
<磁気浮揚装置の第2の形態>
続いて、磁気浮揚装置1の別の形態として、上述した平衡位置13にて磁性体12を浮揚させるのみならず(図15参照)、該平衡位置13からずれた不均衡な位置(図16、図17にて符号13’で示す)においても磁性体12を浮揚させるようにした磁気浮揚装置1の構成等を、ブロック図等を用いつつ以下に説明する(図14〜図18参照)。本実施形態の磁気浮揚装置1は、上述した形態における各要素のほかに、安定位置制御部101、目標位置決定部102、PID制御部103、電流制御回路104等を備える。
続いて、磁気浮揚装置1の別の形態として、上述した平衡位置13にて磁性体12を浮揚させるのみならず(図15参照)、該平衡位置13からずれた不均衡な位置(図16、図17にて符号13’で示す)においても磁性体12を浮揚させるようにした磁気浮揚装置1の構成等を、ブロック図等を用いつつ以下に説明する(図14〜図18参照)。本実施形態の磁気浮揚装置1は、上述した形態における各要素のほかに、安定位置制御部101、目標位置決定部102、PID制御部103、電流制御回路104等を備える。
安定位置制御部101は、予め記憶しておいた安定位置を安定位置指令として出力する。浮上磁石(以下、浮上磁石ともいう)12によって平衡位置(安定する位置)13が異なる場合には、浮上させようとする浮上磁石12の選別を判定できるセンサ等を準備することで、浮上磁石12に対応して安定した位置(平衡位置13)を出力することが可能となる。本実施形態の安定位置制御部101は、電流制御回路104が出す電流を最少化するように、安定位置を制御する役割も有している。
目標位置決定部102は、加速度検出部113から加速度情報を受信し、加速度(a)に比例した値(Ka)を、安定位置制御部101が出力した安定位置指令における安定位置信号に加算する(図18参照)。値Kaは、浮上磁石12の位置や安定位置信号等の内容に応じて負の値になりうる。
PID制御部103は、目標位置決定部102によって決定された目標位置に浮上磁石12が到達するように、位置センサ(以下、浮上磁石位置検出部ともいう)26からのフィードバックを使ったPID制御を行い、電流制御回路104への磁力強度指令を生成する。
電流制御回路104は、PID制御部103から磁力強度指令を受け取り、磁力強度に比例した大きさの電流を制御コイル22に流す。なお、電流の大きさが負となる(流れ方向が逆になる)こともあり、負となった場合には制御コイル22の極性が反転する。
浮上磁石位置検出部26は、本実施形態において、ベース装置110の中央位置に対して浮上磁石12がどれだけずれた位置にあるかを検出する。このような浮上磁石位置検出部26は、例えば磁気センサ、赤外線センサなどによって構成することができる。
加速度検出部113は、磁気浮揚装置1のベース装置110が移動する際の加速度を検出する装置で、本実施形態においては、不安定な軸に沿った、当該磁気浮揚装置1自体の移動(上述した形態であれば、当該磁気浮揚装置1のx軸方向への移動)を検出する(図18等参照)。このような加速度検出部113は、例えば加速度センサや速度センサなどで構成されており、磁気浮揚装置1のベース装置110等に固定され、磁気浮揚装置1の一部または全部が不安定な軸に沿って移動等する際、磁気浮揚装置1のベース装置110に生じる加速度を検出し、加速度情報を生成して送信する。
このような磁気浮揚装置1においては、平衡位置13からずれた不均衡な位置13’においても磁性体12を浮揚させることが可能となる(図16、図17参照)。すなわち、磁気浮揚装置1(あるいはそのベース装置110)を動かすと磁石や制御コイル22の位置も変わり、浮揚している浮上磁石12の相対位置が慣性の働きでずれることになるが、このような場合に、本実施形態の磁気浮揚装置1においては磁気浮揚装置1自体(あるいはそのベース装置110)に作用する加速度によって生じる浮上磁石12の相対位置のずれを打ち消し、浮上磁石12が落下しないような制御をすることが可能である。これによれば、慣性の働きによって浮上磁石12が平衡位置13からずれた場合にも、各情報に基づき磁力を調整して当該浮上磁石12を不均衡な位置13’に留めた状態とすることができる。したがって、浮上磁石12を備えた磁気浮揚装置1において、当該磁気浮揚装置1自体(あるいはその一部であるベース装置110)を移動させたり揺らしたりといった、従来装置では行うことができなかった演出を実現することも可能となる。
引き続き、磁気浮揚装置1のさらなる別の形態として、浮上磁石12を常に動かすように制御する形態を示す(図19参照)。ここでは、平衡位置13(あるいは平衡位置13からずれた不均衡な位置13’)の目標となる位置を変化させ、安定位置自体を連続的にずらすことにより、浮上磁石12を揺らすなど、平衡でない位置に留めることができるようにしている。このような制御を実現すべく、本形態の磁気浮揚装置1は、目標位置制御部201、慣性補償制御部203、磁力強度指令決定部204をさらに備えている(図19参照)。
目標位置制御部201は、予め記憶しておいた安定位置を基準に、該安定位置からどれだけ離れた位置を目標にするか考慮し、目標位置を適宜設定する。このとき、目標位置を連続的に変化させるようにすれば、浮上磁石12が連続的に移動しているように見せたり、あたかも揺れているように見せたりすることも可能となる。このような目標位置制御部201は、PID制御部103に対して目標位置指令を送信し、慣性補償制御部203に対して目標位置指令履歴情報を送信する。この目標位置制御部201とPID制御部103とで、目標位置情報とロケーション情報とから浮上磁石12を目標位置に到達させるための磁力強度情報を生成する移動制御部202が構成されている。
慣性補償制御部203は、目標位置と偏差の情報から、浮上磁石12がどの方向にどれだけの速度で移動しているかを演算し、当該移動を補正するないしは打ち消すために必要な磁力強度指令を生成する。この場合における磁力強度は、対象である浮上磁石12の速度に比例した大きさとなる。本形態の慣性補償制御部203は、偏差に関する情報として、PID制御部103から偏差履歴情報を受信し、この情報から、浮上磁石12がどちらの方向に移動しようとしているのか演算して推定する。
磁力強度指令決定部204は、慣性補償制御部203が生成した慣性補償用の磁力強度指令を、PID制御部103が生成した磁力強度指令に加算する(図19参照)。加算された情報は、磁力強度指令として、電流制御回路104に送信される。
このような磁気浮揚装置1においては、目標位置情報と、浮上磁石12のロケーションを示すロケーション情報とに基づいて該浮上磁石12を目標位置に到達させるための磁力強度情報を生成し、これらの情報に基づきコントローラ24によって制御コイル22への通電を制御する。このような制御が可能な本形態の磁気浮揚装置1によれば、平衡位置13から離れた目標位置に浮上磁石12を移動させ、あるいは留まらせることができる。また、目標位置を連続的に変化させることにより、浮上磁石12を絶えず移動させたり、揺れるような動きをさせたりといった、従来装置では行うことができなかった演出を実現することも可能となる。
<磁気浮揚装置1の第3の形態>
当該磁気浮揚装置1上に配置された状態の磁性体(磁気要素)12を自動的に浮揚させるようにした形態を説明する(図20〜図26参照)。本実施形態の磁気浮揚装置1は、上述した構成の他に、支持部材300、平衡位置移動手段400などを備えている。なお、この実施形態においては、水平面内の直交2軸をそれぞれx軸、y軸、鉛直軸をz軸として説明する(図20参照)。
当該磁気浮揚装置1上に配置された状態の磁性体(磁気要素)12を自動的に浮揚させるようにした形態を説明する(図20〜図26参照)。本実施形態の磁気浮揚装置1は、上述した構成の他に、支持部材300、平衡位置移動手段400などを備えている。なお、この実施形態においては、水平面内の直交2軸をそれぞれx軸、y軸、鉛直軸をz軸として説明する(図20参照)。
支持部材300は、空中へ浮揚している時以外における浮上磁石12を支持する部材である。本実施形態における支持部材300は略矩形で平坦であり、その表面(上面)は浮上磁石12を支持する支持面301となっている(図20等参照)。また、特に図示していないが、この支持部材300は、磁気浮揚装置1中におけるいずかの箇所に、あるいは該磁気浮揚装置1を含む装置(例えば遊戯用装置)のいずれかの箇所に固定用治具(図示省略)を用いて固定されている。なお、支持部材300は透明ないしは半透明の部材であってもそうでなくても構わないが、図20等においては、磁石14,16や制御コイル22,23などを分かりやすく示すべく、便宜上、支持部材300が半透明部材であるとして表記している。
平衡位置移動手段400は、磁石14,16を、支持部材300に対して相対的に昇降させるための手段である。本実施形態の平衡位置移動手段400は、移動機構410と、駆動装置420とを含む構成となっている(図20等参照)。
移動機構410は、磁石14,16を移動させるための機構である。このような機構の具体例は種々あるが、本実施形態では、磁石14,16が設けられたフレーム412を昇降させるラック414、ピニオン422を用いた機構となっている(図20等参照)。
フレーム412は、磁石14,16が設けられる枠体である。本実施形態のフレーム412は略矩形であり、その四隅に、当該フレーム412を水平に保ちながら上下方向に案内するためのガイドローラ416が設けられている(図20等参照)。特に図示していないが、これらガイドローラ416は、鉛直方向に延びるコラムや壁面に沿って移動し、支持部材300を水平に保ちながら上下に案内する。
また、フレーム412は、略矩形の枠体であって、その中央部分に矩形の孔412Aが形成された形状となっている。この孔412Aは、制御コイル22(22A,22B),23(23A,23B)の外周よりも大きく形成されている。また、このように形成されたフレーム412に対し、制御コイル22,23は、矩形の孔412Aの内側となる位置に配置されている。このため、フレーム412は、これら制御コイル22,23に接触することなく昇降することができる(図20等参照)。
このフレーム412には、ラック414が取り付けられている(図20等参照)。フレーム412や磁石14,16を昇降させるものである限りラック414の個数や配置は特に限られないが、支持部材300が傾くのを抑えるという観点からすれば、単一のラック414であれば中央寄りに配置したり、一対のラック414であれば中央を挟む対称位置に配置したりすることも好ましい。
ピニオン422は、駆動力を直接または間接的にラック414に伝達してフレーム412を昇降させる部材である。本実施形態のピニオン422は、ギア418を介してラック414を昇降させる。
駆動モータ420は、上述した移動機構410を駆動する駆動源として設けられている。この駆動モータ420の出力軸には、上述のピニオン422が設けられている。駆動モータ420には、コントローラ24が接続されている(図20等参照)。
なお、ここでは移動機構410の具体例としてラック414、ピニオン422を用いた機構を示したがもちろんこれは好適な一例にすぎない。このほか、例えば鉛直方向へ伸縮する動作によって支持部材300を昇降させるパンタグラフ機構などを移動機構410として利用することが可能である。
自動浮揚を開始する前に、コントローラ24と電磁石(制御コイル22,23から構成されているものであり、図22中において符号EMで示す)を利用して、支持部材300の支持面301に接している浮上磁石12を、静磁場がもたらす平衡位置13が相対的に昇降する経路と支持面301とが交差する部位(換言すれば、支持部材300の支持面301上に支持された状態の浮上磁石12の位置であって、平衡位置13が相対的に上昇した場合に当該平衡位置13に位置して浮上を開始しうる位置のことであって、本明細書では、当該位置を「浮上開始位置」と表現する)へ誘導することが好ましい。誘導したい方向にある電磁石EMへの通電を制御し、浮上磁石12への引力を生じさせ、浮上磁石を引き付けることができる。さらに、複数の電磁石EMの引力を利用して、浮上磁石12を浮上開始位置近傍へ誘導することができる。こうした場合は、支持面301上に載置された浮上磁石12が浮上開始位置まで自動的に案内されるようになるから、作業者がいちいち浮上磁石12を浮上開始位置にセッティングする手間が省ける。
また、支持部材300の一部(例えば中央部)には、嵌合孔302が形成されている。この嵌合孔302は、当該支持部材300上における上述の浮上開始位置に設けられている。嵌合孔302は、浮上磁石12の一部分が嵌り込む大きさ及び形状とされており、浮上磁石12が浮上開始時に平衡位置からずれないように位置決めする。本実施形態の嵌合孔302は、縁が面取りされたすり鉢状の傾斜面で構成されている(図22等参照)。
一方、浮上磁石12には、嵌合孔302に嵌まり込んだとき当該浮上磁石12を水平な状態にする突部12Aが形成されている。一例として、本実施形態では、上述のように側面が傾斜した嵌合孔302に部分的に嵌り込むテーパ状の突部12Aが当該浮上磁石12の一方の面(底面)に形成されている(図22等参照)。この突部12Aが嵌合孔302に嵌り込んだとき、この浮上磁石12は水平な状態に保持される(図24等参照)。
なお、ここでは、浮上磁石12の一部(突部12A)が嵌り込む凹部の一例として、支持部材300の表面から裏面へと連なる透孔(嵌合孔302)を例示したが(図24等参照)、浮上磁石12の一部(突部12A)が嵌合する大きさと深さを有していれば、透孔であるか、透孔でない構造(嵌合用の凹部)であるかは問わない。したがって、浮上磁石12の高さに対し支持部材300が相当に厚い場合などにおいては、透孔ではなく凹部を嵌合用の凹部として用いても構わない。
また、上述した実施形態においては表面(支持面301)が平坦である平板状の支持部材300を例示したが(図22等参照)、かかる支持面301に勾配を付すことも好ましい。すなわち、支持面301を、浮上開始位置に向けて下り勾配とすれば、勾配の程度や摩擦抵抗の大きさ等にもよるが、傾斜を利用して浮上磁石12を浮上開始位置へと誘導することが可能となる(図27参照)。このような、浮上開始位置へ向けて下りの勾配からなる(例えばすり鉢状の)支持面301は、浮上磁石12を浮上開始位置へと導く誘導手段として機能する。このような下り勾配の支持面301を有する支持部材300を、前後左右に振ったり、鉛直線から傾けた状態で回転させたりといった動きをさせ、浮上磁石12を浮上開始位置へ誘導する作用を向上させることもできる。
あるいは、浮上磁石12を浮上開始位置へと導く誘導手段として、このような下り勾配からなる支持面301以外の構成を利用することも可能である。一例を示せば、コントローラ24によって電磁石EMへの通電を制御し、浮上磁石12を浮上開始位置へ向かって付勢するようにした当該電磁石EMとコントローラ24とで誘導手段を構成することもできる。このように、既存の電磁石EMとコントローラ24とを併用して誘導手段を構成した場合、少ない電力で浮上磁石12を浮上位置へと導くことが可能となる。
また、特に図示はしていないが、磁気浮揚装置1は、支持部材300の支持面301と浮上磁石12との間の摩擦力を減じる振動を与えるための手段を併有していることも好ましい。このような振動手段としては、例えば、支持部材300を振動させるバイブレータ500を例示することができる(図24参照)。こういった手段を用いて振動を与えることにより、支持部材300上に載置された状態の浮上磁石12と支持面301との間における摩擦力を減じさせ、当該浮上磁石12を浮上開始位置まで案内されやすくすることができる。振動を与えることによるこのような効果は、上述のような勾配が支持面301に付されている磁気浮揚装置1において特に顕著である。
なお、支持部材300を振動させるバイブレータ500は振動手段の好適な一例にすぎず、この他、浮上磁石12を振動させることによって同様の効果を実現することも可能である。例示すれば、上述したコントローラ24によって電磁石EMへの通電を制御し、該電磁石EMによる磁力を周期的に変化させることによって浮上磁石12を振動させることができる。こうした場合にも、支持部材300上に載置された状態の浮上磁石12と支持面301との間における摩擦力を変化させつつ減じさせることが可能である。
続いて、上述した磁気浮揚装置1における一連の動きに沿って作用等を説明する(図21〜図26参照)。
まず、浮上磁石12を浮揚させる際(上昇前の段階)においては、駆動モータ420および移動機構410を利用し、フレーム412等を下降させ、磁石14,16を支持部材300における支持面301の下方であって該支持面301から離れた位置(下降位置)に位置させた初期状態とする(図23、図24参照)。
次に、誘導手段を用いて浮上磁石12を誘導し、浮上開始位置へ配置する。誘導手段が電磁石EMとコントローラ24とで構成されている場合であれば、制御コイル22,23に通電し、支持面301に接している浮上磁石12を嵌合孔302へ誘導し、浮上開始位置に配置することになるし、誘導手段が勾配を有する支持面301からなる場合には、該勾配を利用して浮上磁石12を移動させて浮上開始位置に配置することになる。浮上開始位置まで誘導された浮上磁石12は、突部12Aが嵌合孔302に嵌り込み、水平な状態となる。
ここで、制御コイル22,23に通電して静磁場を生成すると、この時点ではフレーム412および磁石14,16が下降位置に位置していることから、平衡位置13は支持部材300の支持面301よりも下方、換言すれば、浮上磁石12の浮上開始位置よりも下方に形成される(図25参照)。なお、図25において、浮上磁石12の浮上開始位置を符号FPで示している。
ちなみに、磁石14,16等の「下降位置」は、平衡位置13を支持面301よりも低くするものであればよい。したがって、この「下降位置」は、移動機構410に基づく支持部材300や磁石14,16等の上下ストロークの最下点である必要はない。
次に、駆動モータ420を駆動し、移動機構410を作動させて支持部材300を上昇させる(図21、図22参照)。支持部材300とともに磁石14,16が上昇すると、これに伴い平衡位置13も上昇する。平衡位置13が支持面301よりも上に上昇すると、浮上開始ポイントFPに位置していた浮上磁石12が支持面301から離れ、浮上しはじめる(図26参照)。
このあとは、駆動モータ420および移動機構410をコントローラ24で適宜制御し、磁石14,16を昇降させることによって、浮上磁石12を上下に移動させることができる。また、浮上磁石12を浮上させた状態で、該浮上磁石12に外力を与えて水平面内での向きを変化させ、あるいは該水平面内で回転させることもできるが。このような外力としては、浮上磁石12の一部のみに風が当たるように構成された風力などを利用することが可能である。
また、駆動モータ420および移動機構410を用いて支持部材300を下降させると、支持部材300とともに磁石14,16が下降し、これに伴い平衡位置13も下降する。平衡位置13が支持面301の高さまで下降すると、浮上磁石12は浮上開始ポイントFPに戻り、支持面301に載置された状態となる(図23、図24参照)。
ここで、本実施形態では、制御コイル22,23への通電を断つ際、磁石14,16を下降位置(支持部材300における支持面301の下方であって該支持面301から離れた位置)に移動させるよう、コントローラ24により駆動モータ420を制御することとしている。その後の動作を考慮すると、初期状態のとき、磁石14,16は下降位置に位置していることが望ましい。本実施形態の磁気浮揚装置1によれば、このように制御することにより、初期状態において磁石14,16を下降位置に位置させることができる。
上述のように、本実施形態の磁気浮揚装置1によれば、平衡位置移動手段400を用いることにより、静磁場がもたらす平衡位置13を移動させて当該平衡位置13の高さを変化させることができる。また、浮上磁石12が支持面301上に支持された状態で平衡位置13の相対的な高さを上昇させ、上昇途中において浮上磁石12の位置(浮上開始位置)と平衡位置13とを一致させ、平衡位置13をさらに上昇させることによって浮上磁石12を浮揚させることができる。このように、本実施形態にかかる磁気浮揚装置1によれば、支持部材300上に配置された状態の浮上磁石12を自動的に浮揚させることができる(図21等参照)。
また、上述のごとく、支持部材300上に配置された状態の浮上磁石12を自動的に浮揚させるようにした本実施形態の磁気浮揚装置1によれば、浮上磁石12を平衡位置13に配置する手間が省ける。すなわち、従来装置においては、静磁界内の平衡位置に手を使うなどして浮上磁石を配置していたが、実際の平衡位置の範囲は狭小であり尚かつその周辺には強い引力と斥力とが作用していることから、該平衡位置に浮揚した状態で浮上磁石を配置することは簡単ではなく、ある程度の習熟や手間を要していたが、本実施形態によればそのようなことはない。
また、上述の説明から明らかなように、本実施形態の磁気浮揚装置1は、支持部材300上に配置された状態の浮上磁石12を自動的に浮揚させるのみならず、浮上磁石12が支持部材300上に載置された状態(接地状態)→上昇→空中浮揚→下降→接地といった一連の状態遷移を自動的に行うことができる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した実施形態においては、フレーム412上に磁石14,16のみを配置して昇降させていたが、これら磁石14,16とともに制御コイル22,23もフレーム412上に配置し、一体的に昇降させるようにしてもよい。要は、支持面301上に載置された状態の浮上磁石12に対し、静磁界内の平衡位置13の高さを相対的に変えることができる構成であれば、磁石14,16のみを昇降させてもよいし、磁石14,16と制御コイル22,23とを一緒に昇降させてもよい。ただし、本実施形態のごとく磁石14,16のみを昇降させ、制御コイル22,23の高さを変えない(高さを一定にしておく)構造とした場合には、当該制御コイル22,23への配線を固定できるようになるから、配線が上下する場合に繰り返し作用しうる曲げ応力や動きを確保するための配線延長といったことを考慮しなくて済むという利点がある。
また、上述した実施形態では、二対の磁石14,16のすべてを一体的に昇降させる例を示したが(図21等参照)、いずれか一方の対の磁石(14または16)のみ昇降させる構造であってもよい。例示すれば、複数対(例えば二対)の磁石がある場合において、少なくとも一対の磁石を昇降させることにより静磁界内の平衡位置13の高さを変化させることも可能である。要は、浮上磁石12に対する平衡位置13の相対的な高さを変化させるものであれば、移動させる磁石の個数さらには制御コイルの個数が限定されることはない。
また、浮上磁石12に対する平衡位置13の相対高さを変化させるという観点からすれば、磁石14,16ではなく支持部材300を昇降させる構造とすることもできる。すなわち、磁石14,16は固定して高さ不変とする一方で、支持部材300を昇降させることによって、支持面301上の浮上磁石12に対する平衡位置13の相対高さを変化させることもできる。このように支持部材300を昇降させる構造とした場合、支持部材300を下降させる途中で浮上磁石12が支持面301から離れて浮上した状態となる。
あるいは、静磁界の強弱や大きさを制御することによって平衡位置13の位置(高さ)を漸次変化させる構造の磁気浮揚装置1であってもよい。例示すれば、少なくとも一対の磁石の他、それぞれの磁力を打ち消すような磁力を発生する別の電磁石と、該電磁石への電流を制御する制御装置とで平衡位置移動手段400を構成することもできる。このような構成の場合、別の電磁石が発生する打ち消し磁力を強めれば静磁界が全体的に弱まるし、打ち消し磁力を弱めれば静磁界が全体的に強まる。平衡位置13は、このように静磁界が全体的に強くなったり弱くなったりするのに応じて移動し、その高さを変える。
本発明は、磁性体を空中に浮揚させる磁気浮揚装置に適用して好適なものである。
1…磁気浮揚装置、10,10A…磁気空中浮揚システム、12…浮上磁石(磁性体)、12A…浮上磁石(磁性体)の突部、13…平衡位置、13’…平衡位置からずれた不均衡な位置、14(14A,14B)…磁石、16(16A,16B)…磁石、18…平面、20…安定平面、22(22A,22B)…制御コイル、22′…二次電磁石、23(23A,23B)…制御コイル、24…コントローラ(誘導手段)、26…位置センサ(位置検出部)、26B…二次センサ、30…付加的な磁石、31…リング、40…サポート部材、42A…降下位置、42B…上昇位置、50…おもちゃ、52…シェル、54…永久磁石、56…ロータ、60…アニメーションメカニズム、62…モータ、66…伝送コイル、67…受容コイル、70…照明システム、72…光源、73…ビーム、74…光受容器、75…レンズ、76…光ファイバ、101…安定位置制御部、102…目標位置決定部、103…PID制御部、104…電流制御回路、110…ベース装置(ベース部)、113…加速度検出部、201…目標位置制御部、202…移動制御部、203…慣性補償制御部、204…磁力強度指令決定部、300…支持部材、301…支持面、302…嵌合孔(嵌合凹部)、400…平衡位置移動手段、410…移動機構、412…フレーム、412A…孔、414…ラック、416…ガイドローラ、418…ギア、420…駆動モータ(駆動装置)、422…ピニオン、500…バイブレータ(振動手段)、EM…電磁石(誘導手段)、FP…浮上開始位置
Claims (12)
- 磁性体を空中に浮揚させる磁気浮揚装置であって、
前記磁性体に対して、重力と磁力の合力に依存する位置依存エネルギーをもたらす静磁場を生成するように配列され、尚かつ、前記静磁場がもたらす平衡位置において、前記位置依存エネルギーを、前記磁性体を不安定な軸に沿って前記平衡位置から離す場合には減少させ、前記磁性体を前記不安定な軸に直交するあらゆる方向に沿って前記平衡位置から離す場合には増大させる、少なくとも一対の磁石と、
前記不安定な軸における前記磁性体のロケーションを示すロケーション情報を生成する位置検出部と、
前記平衡位置における前記不安定な軸に沿う勾配を有する磁場を通電によって生成する電磁石と、
前記ロケーション情報を受信し、前記電磁石への通電を制御するコントローラと、
空中への浮揚時以外における前記磁性体の支持面を有する支持部材と、
前記平衡位置を移動させて当該平衡位置の高さを変化させる平衡位置移動手段と、
を備えることを特徴とする磁気浮揚装置。 - 前記平衡位置移動手段は、前記少なくとも一対の磁石を、前記支持部材に対して相対的に昇降させる移動機構と、該移動機構を駆動する駆動装置と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気浮揚装置。
- 前記駆動装置は、前記少なくとも一対の磁石を、前記支持部材における前記支持面の下方であって該支持面から離れた下降位置と、該支持面に接近する上昇位置との間で昇降させる機構からなることを特徴とする請求項2に記載の磁気浮揚装置。
- 前記コントローラは、前記電磁石への通電を断つ際、前記少なくとも一対の磁石を前記下降位置に移動させるように前記駆動装置を制御する制御装置を含むことを特徴とする請求項3に記載の磁気浮揚装置。
- 前記支持部材の前記支持面に接している磁性体を、前記支持部材において前記平衡位置が相対的に昇降する経路が交差する部位である浮上開始位置へ誘導する誘導手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気浮揚装置。
- 前記誘導手段は、前記支持部材の前記支持面が前記浮上開始位置に向かって下り勾配を有する面で形成され、前記磁性体が重力によって前記浮上開始位置へ移動することを特徴とする請求項5に記載の磁気浮揚装置。
- 前記誘導手段は、前記電磁石と前記コントローラとからなり、前記コントローラが前記電磁石の通電を制御することによって前記磁性体を前記浮上開始位置へ向かって付勢することを特徴とする請求項5に記載の磁気浮揚装置。
- 前記支持部材と前記磁性体の少なくとも一方を振動させることにより、前記磁性体と前記支持面との間の摩擦力を減じる振動手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の磁気浮揚装置。
- 前記振動手段は、前記電磁石と前記コントローラとからなり、前記コントローラが前記電磁石の通電を制御することによって該電磁石の磁力を周期的に変化させ、前記磁性体を振動させるものであることを特徴とする請求項8に記載の磁気浮揚装置。
- 前記振動手段は、前記支持部材を振動させるバイブレータであることを特徴とする請求項8に記載の磁気浮揚装置。
- 前記支持部材において前記平衡位置が相対的に昇降する経路が交差する部位には、前記磁性体の一部分が嵌まり込む嵌合凹部が設けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気浮揚装置。
- 前記磁性体には、前記嵌合凹部に嵌まり込んだとき当該磁性体を水平な状態にする突部が形成されていることを特徴とする請求項11に記載の磁気浮揚装置。
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