JP2014216861A - 音響再生機器及び集音型音響再生機器 - Google Patents

音響再生機器及び集音型音響再生機器 Download PDF

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Abstract

【課題】音量感及び快適性が損なわれることを抑制できる音響再生機器を提供する。【解決手段】湾曲する圧電素子101、及び、該圧電素子101によって直接的に曲げられて振動するパネル102を備えた振動部10と、振動部10がユーザの耳に当接する位置に当該振動部10を保持する保持部60と、を備え、ユーザに対して音を聞かせることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、補聴器等の音響再生機器及び集音型音響再生機器に関する。
従来のオープンフィッティング型の補聴器等の音響再生機器は、装着時のこもり感を軽減するため、外耳道内と外界を導通するベントが設けられている(例えば特許文献1)。従来の補聴器90の概略図を図10に示す。従来の補聴器90は、マイク部91と、イヤホン92と、ベント93とを備える。マイク部91は音源からの音を集音し、イヤホン92はマイク部91が集音した音をユーザに聞かせる。ベント93は前述したように外耳道内と外界を導通する孔である。ベント93により外耳道が密閉されないため、補聴器90を装着した場合に生じるこもり感が軽減される。
特開2006−304147号公報
従来のオープンフィッティング型の補聴器90は、イヤホン92から発せられた音が、外耳道を通って鼓膜に到来する(図10の経路i)。またイヤホン92から発せられた音のうち主に低音が、ベント93から外界へ逃げる(経路ii)。またイヤホン92の音の他に、音源からの音がベント93を通って直接鼓膜に到来する(経路iii)。図11に、従来の補聴器90に係る音響特性の概要図を示す。図11(a)は、イヤホン92が発したイヤホン92近傍の音の音響特性を示す。図11(b)は、経路iにより鼓膜に到来した音の音響特性を示す。図11(b)に示す音響特性は、イヤホン92近傍の音響特性よりも低音の音圧が低下する。図11(c)は、経路iiiにより鼓膜に到来した音の音響特性を示す。図11(d)は経路i及び経路iiiの音の合成、すなわち補聴器を装着しているユーザが聞く実際の音響特性である。図11(d)に示す音響特性は、ベント93から低音が逃げてしまう分、低音の音圧が下がり、音量感が損なわれてしまう。一方で低音が逃げることを防止するためにベント93の直径を小さくすると、こもり感を引き起こし、装着時の快適性を損なってしまう。
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、音量感及び快適性が損なわれることを抑制できる音響再生機器及び集音型音響再生機器を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る音響再生機器は、
湾曲する圧電素子、及び、該圧電素子によって直接的に曲げられて振動するパネルを備えた振動部と、
前記振動部がユーザの耳に当接する位置に当該振動部を保持する保持部と、を備え、
前記ユーザに対して音を聞かせることを特徴とする。
また本発明に係る音響再生機器は、
前記振動部が、前記ユーザの耳の内側から、前記ユーザの耳珠に当接して、前記振動を耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせることを特徴とする。
また本発明に係る音響再生機器は、
前記振動部は、前記ユーザの耳の内側から、前記ユーザの対耳珠に当接して、前記振動を対耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせることを特徴とする。
また本発明に係る音響再生機器は、
前記振動部が前記ユーザの耳に当接する位置に、当該振動部を押し付ける、押付部材を備えることを特徴とする。
また本発明に係る音響再生機器は、
前記押付部材が、前記振動部に対して、着脱可能に保持されることを特徴とする。
また本発明に係る音響再生機器は、
当該音響再生機器によって、前記ユーザの外耳道が密閉されないことを特徴とする。
また本発明に係る音響再生機器は、
前記パネルは、当該パネルの中央を腹、腹の両側を節として振動し、
前記パネルの中央近傍が前記耳珠に当接することを特徴とする。
また本発明に係る音響再生機器は、
前記パネルは、当該パネルの中央を腹、腹の両側を節としてし、
前記パネルの中央近傍が前記対耳珠に当接することを特徴とする。
また本発明に係る音響再生機器は、
前記振動部は、前記ユーザの耳の外側から、前記ユーザの耳珠に当接して、前記振動を耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせることを特徴とする。
また本発明に係る音響再生機器は、
前記振動部は、前記ユーザの耳の外側から、前記ユーザの対耳珠に当接して、前記振動を対耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせることを特徴とする。
また本発明に係る集音型音響再生機器は、
さらにマイク部を備え、
該マイク部と前記振動部との間に、前記ユーザの耳が位置することを特徴とする。
また本発明に係る集音型音響再生機器は、
前記振動部により、前記ユーザの耳の内部で、外耳道放射音を発生させることを特徴とする。
また本発明に係る集音型音響再生機器は、
前記振動部は、前記ユーザの耳に、0.1Nから3Nの力で押圧されていることを特徴とする。
また本発明に係る集音型音響再生機器は、
前記圧電素子が、板状をなし、
前記パネルは、前記圧電素子の主面の面積の、0.8倍から10倍の面積を有することを特徴とする。
また本発明に係る集音型音響再生機器は、
前記保持部は所定の自重を有し、前記自重により前記振動部がユーザの耳に当接する方向の力を生じさせることを特徴とする。
本発明における音響再生機器及び集音型音響再生機器によれば、音量感及び快適性の、相反する2つを共に大きく損なうことがない。
本発明の一実施形態に係る補聴器を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る補聴器のパネル及び圧電素子の湾曲を示す模式図である。 押付部材を外した場合の補聴器1の状態を示す図である。 振動部の厚さ方向の側面図である。 本発明の一実施形態に係る補聴器をユーザの耳に装着した状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る補聴器からの音の伝達を示す概略図である。 各経路の音響特性の概要を示す図である。 本発明の一実施形態に係る補聴器に係る音響特性の実測値を示す図である。 本発明の一実施形態に係る補聴器の振動部とマイク部の関係図である。 従来の補聴器の概略図である。 従来の補聴器に係る音響特性の概要を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態)
図1は本発明の一実施形態に係る音響再生機器1のブロック図である。音響再生機器1は、例えば補聴器1であって、振動部10と、マイク部20と、制御部30と、音量・音質調整インタフェース部40と、記憶部50とを備える。
振動部10は、湾曲する圧電素子101と該圧電素子101によって直接的に曲げられて振動するパネル102とを備える。図2に圧電素子101によりパネル102が湾曲する様子を模式的に示す。振動部10は、振動による気導音と人体振動音とをユーザに対して聞かせる。気導音とは、物体の振動に起因する空気の振動が外耳道を通って鼓膜に伝わり、鼓膜が振動することによって利用者の聴覚神経に伝わる音である。人体振動音とは、振動する物体に接触する利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介して利用者の聴覚神経に伝わる音である。
圧電素子101は、電気信号(電圧)を印加することで、構成材料の電気機械結合係数に従い伸縮または屈曲(湾曲)する素子である。これらの素子は、例えばセラミック製や水晶からなるものが用いられる。圧電素子101は、ユニモルフ、バイモルフまたは積層型圧電素子であってよい。積層型圧電素子には、ユニモルフを積層した(たとえば16層または24層積層した)積層型ユニモルフ素子、またはバイモルフを積層した(例えば16層または24層積層した)積層型バイモルフ素子が含まれる。積層型の圧電素子は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる複数の誘電体層と、該複数の誘電体層間に配置された電極層との積層構造体から構成される。ユニモルフは、電気信号(電圧)が印加されると伸縮し、バイモルフは、電気信号(電圧)が印加されると屈曲する。
パネル102は、例えばガラス、またはアクリル等の合成樹脂により形成される。好適にはパネル102の形状は板状であり、以下パネル102の形状が板状であるものとして説明する。
マイク部20は音源からの音、具体的にはユーザの耳に到来した音を集音する。
制御部30は、補聴器1に係る各種制御を行う。制御部30は、圧電素子101に所定の電気信号(音信号に応じた電圧)を印加する。具体的には制御部30において、マイク部20で集音した音信号を、アナログデジタル変換部31がデジタル信号に変換する。そして信号処理部32は、音量・音質調整インタフェース部40による音量や音質に係る情報及び記憶部50に格納された情報に基づき、振動部10を駆動するデジタル信号を出力する。デジタルアナログ変換部33は当該デジタル信号をアナログの電気信号に変換し、圧電アンプ34により増幅処理をして電気信号を圧電素子101に印加する。制御部30が圧電素子101に対して印加する電圧は、例えば、人体振動音ではなく気導音による音の伝導を目的とした所謂パネルスピーカの印加電圧である±5Vよりも高い、±15Vであってよい。これにより、パネル102に十分な振動を発生させ、利用者の体の一部を介する人体振動音を発生させることができる。なお、どの程度の印加電圧を用いるかは、パネル102の固定強度もしくは圧電素子101の性能に応じて適宜調整可能である。制御部30が圧電素子101に電気信号を印加すると、圧電素子101は長手方向に伸縮または屈曲する。
このとき、圧電素子101が取り付けられたパネル102は、圧電素子101の伸縮または屈曲にあわせて変形し、パネル102が振動する。パネル102は、圧電素子101の伸縮または屈曲によって湾曲する。パネル102は、圧電素子101によって直接的に曲げられる。ここで「パネル102が圧電素子101によって直接的に曲げられる」とは、従来のパネルスピーカで採用されているような、圧電素子101をケーシング内に配設して構成される圧電アクチュエータの慣性力によりパネル102の特定の領域が加振されてパネル102が変形する現象とは異なる。「パネル102が圧電素子101によって直接的に曲げられる」とは、圧電素子101の伸縮または屈曲(湾曲)が、接合部材を介して直にパネル102を曲げることを意味する。
以上説明したようにパネル102が振動するため、パネル102は、気導音を発生させるとともに、利用者が耳珠を接触させた場合、耳珠を介する人体振動音を発生させる。好適にはパネル102は、当該パネル102の両端近傍を節、中央を腹として振動し、パネル102の中央近傍が耳珠や対耳珠に当接する。このようにすることで、パネル102の振動を効率よく耳珠や対耳珠に伝達することができる。
図3は、本発明の一実施形態に係る補聴器1の構成を示す概略図である。図3に示すように、振動部10は、押付部材11と、押付部材の取付部12とを備える。押付部材11は振動部10取り付けられ、例えば振動部10がユーザの耳珠に当接する場合、耳珠に対向する外耳道の一部、例えば対耳珠近傍に当接することにより、振動部10を耳珠の当接する位置に押し付ける。ここで振動部10がユーザの耳に当接する位置は、例えば耳珠、対耳珠、耳甲介、耳介であってもよい。以下、本実施の形態では、ユーザの耳に当接する位置が耳珠(耳珠側の外耳道内壁)である例について説明する。
押付部材の取付部12は、振動部10に押付部材11を取り付けるための部材である。押付部材11と取付部12は、互いに嵌合する形状である。好適には押付部材11は凹形状の切込部111を有し、取付部12は、当該切込部111と嵌合する凸形状である。押付部材11は、幅方向にスライドして振動部10に着脱可能である。好適には振動部10の大きさは、厚さ(D)が4mm、幅(W)が15mm以内である。この大きさの範囲内である場合、性別年齢を限らず(幼児以下は除く)、ユーザの耳の外耳道内に振動部10を収めることができる。また好適には押付部材11は、3種類のサイズ(小サイズ、中サイズ、大サイズ)があり、ユーザの耳の大きさに合わせて押付部材11、11b、11cのいずれかを選択して押付部材の取付部12に取り付けるようにする。
保持部60は、支持部61と、耳かけ部62と、本体部63とを備え、振動部10がユーザの耳に当接する位置(耳珠側の外耳道内壁)に振動部10を保持する。支持部61の端部は振動部10に接続される。支持部61は中空構造であり、振動部10へのリード処理は当該中空構造を通して行う。また支持部61は、振動部10の角度が変わらない程度の剛性を有する。支持部61の他端は耳かけ部62の端部に接続される。
耳かけ部62は、ユーザの耳介の外側に当接し、補聴器1をユーザの耳に装着する。好適には耳かけ部62はユーザの耳介に沿うフック形状とし、補聴器1がユーザの耳に安定的に装着されるようにする。耳かけ部62の他端は本体部63に接続される。本体部63は、マイク部20、制御部30、音量・音質調整インタフェース部40、及び記憶部50を内蔵する。
図4は、振動部10を厚さ方向からみた側面図である。上述したように振動部10は、圧電素子101と、パネル102とを備える。好適には図4に示すように圧電素子101は板状である。
圧電素子101はパネル102に、接合部材により接合される。接合部材は、圧電素子101の主面とパネル102の主面との間に設けられる。接合部材は、非加熱型硬化性の接着材、または両面テープであるとよい。
また圧電素子101のうち、パネル102との接合面以外はモールド103により覆われる。モールド103の上部には、押付部材11及び押付部材の取付部12が備えられる。
好適にはパネル102の主面は、圧電素子101の主面の面積の0.8倍から10倍の面積を有する。パネル102の主面が圧電素子101の主面の0.8倍から10倍の範囲の面積であれば、圧電素子101の伸縮または屈曲にあわせて変形でき、かつユーザの耳への接触面積が十分に確保できる。尚、圧電素子と、パネルの面積は、例えば0.8倍から5倍がより好適である。
図5は、本発明の一実施形態に係る補聴器1をユーザの耳に装着した状態を示す図である。図5(a)は耳を正面から見た図であり、図5(b)は顔側の側面から見た図である。本発明に係る補聴器1は、振動部10をユーザの耳の内側から、ユーザの耳珠や対耳珠に当接させ、振動を耳珠や対耳珠に伝達させることにより音をユーザに聞かせる。ここで振動部10を「ユーザの耳の内側から、ユーザの耳珠や対耳珠に当接させ」るとは、耳の外耳道内に振動部10を埋入させた時に、外耳道入り口付近から耳珠や対耳珠に当接させることをいう。図5に示す例では、振動部10をユーザの耳の内側からユーザの耳珠に当接させている。またこのとき押付部材11は、耳珠に対向する外耳道の一部に当接している。
また図5(a)に示すように振動部10は、保持部60の自重、すなわち耳かけ部62の端部に接続された本体部63の自重により、支持部61を介して矢印601の方向に引っ張られる。図5(b)に示すように、振動部10は耳珠に引っ掛かるように当接しているため、振動部10が引っ張られると、振動部10がユーザの耳に当接する方向(矢印602の方向)の力が働く。つまり保持部60の自重により、振動部10がユーザの耳に当接する方向の力(押付力)を生じさせる。このように保持部60は、振動部10に押付力を生じさせ、振動部10の振動による音の伝達をより確実にする。
好適には振動部10は、ユーザの耳に0.1Nから3Nの力で押圧される。振動部10が0.1Nから3Nの範囲で押圧される場合、振動部10による振動が耳に十分伝達される。また押圧が3N未満の小さい力であれば、補聴器1を長時間装着してもユーザの疲労感は少なく、装着時の快適性を維持することができる。
また図5(a)に示すように、本発明の補聴器1は、振動部10及び押付部材11により外耳道が密閉されていない。このため本発明の補聴器1は、こもり感が生じず、装着時の快適性を維持することができる。
続いて本発明の一実施形態に係る補聴器1について、図6から図8を用いて音響特性を説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る補聴器1からの音の伝達を示す概略図である。図6では補聴器1については振動部10及びマイク部20のみを図示している。マイク部20は、音源からの音を集音し、振動部10は、マイク部20が集音した音を、振動によりユーザに聞かせる。
図6に示すように、音源からの音は、振動部10により覆われていない部分から外耳道を通って、直接鼓膜に到来する(経路I)。また振動部10の振動による気導音が、外耳道を通って鼓膜に到来する(経路II)。また振動部10の振動により少なくとも外耳道内壁が振動し、当該外耳道の振動による音(外耳道放射音)が鼓膜に到来する(経路III)。さらに振動部10の振動により人体振動音が、鼓膜を介さずに聴覚神経に直接到来する(経IV)。なお振動部10から生じた一部の気導音は、外界へ逃げる(経路V)。
図7は、各経路の音響特性の概要図を示す。図7(a)は、経路Iの音の音響特性であり、図7(b)は、経路II及びIIIによる音の音響特性である。経路II及びIIIによる音は、経路Vにより低音が逃げてしまうため、低音の領域の音圧が低い。図7(c)は経IVの音響特性である。図7(c)に示すように、人体振動音は、低音即ち周波数の低い領域の振動であるため、減衰しにくく、従って、高音に比較して伝達されやすい。従って相対的に、低音が十分に伝達する。図7(d)は、経路IかIVの音の合成、すなわち補聴器1を装着しているユーザが聞く実際の音響特性である。図7(d)に示すように、経路Vで低音の音圧が外界へ逃げてしまうものの、人体振動音により低音の音圧、特に、本実施例においては1kHz以下の低音の音圧が確保できるため、音量感を維持することができる。
図8は、本発明の補聴器1の周波数特性の実測値である。“air”は図6における経路II及び経路IIIの音の周波数特性であり、“vib”は、図6における経路IVの音の周波数特性である。また“air+vib”は、経路IIから経路IVの音を合成した音の周波数特性である。また“外部からの音”は、図6における経路Iの音の周波数特性である。これらの実測値が示すように、低音の音圧が人体振動音により伝達されるため、音量感を損なうことを抑制することができる。
図9は、本発明の一実施形態に係る補聴器1の振動部10とマイク部20の関係を示す図である。マイク部20は、保持部60の本体部63に備えられるため、耳介の外側に位置する。図9(a)は振動部10を、ユーザの耳の外側からユーザの耳珠に当接させている例である。この場合、振動部10により発せられた気導音は、マイク部20まで遮蔽するものがないため、マイク部20に戻る帰還量が多く、ハウリングがしやすくなり、補聴器1の性能(増幅量)を上げることができない。
これに対して図9(b)は振動部10を、ユーザの耳の内側からユーザの耳珠に当接させている。この場合、マイク部20と振動部10との間に、ユーザの耳(主に耳珠、耳輪脚)が位置することになる。そのため、振動部10により発せられた音は、ユーザの耳により反射が起こり、マイク部20に音が直接帰還する量が、図9(a)の場合よりも少ない。そのため、ハウリングがしにくくなり、補聴器1の性能を上げることができる。
ここでマイク部20と振動部10との間に、ユーザの耳が位置する好適な例としては、耳輪、耳介結節、耳垂等の耳の外周部が、間に存在していればよい。或いは、外周部の他に、対耳輪下脚、対耳輪等も間に存在していてもよい。
以上説明したように、本発明の補聴器1によれば、振動部10の振動によりユーザの耳に音を聞かせるため、低音の音圧が人体振動音により確保でき音量感を損なうことを抑制することができるとともに、低音が逃げることを防止するためのベントを備える必要がないため、装着時の快適性を損なうことを抑制することができる。
なお、本実施の形態では、音響再生機器が補聴器1である例を示したが、これに限られない。例えば音響再生機器はヘッドホンやイヤホンであってもよく、この場合マイク部20は備えない。またこの場合、音響再生機器の内部メモリに記憶された音楽データに基づく音や、外部サーバ等に記憶されている音楽データに基づく音がネットワークを介して音響再生機器により再生されるようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、振動部10をユーザの耳の内側から、前記ユーザの耳珠に当接させ、振動を耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせる例を示したがこれに限られない。例えば、振動部10をユーザの耳の内側から、前記ユーザの対耳珠に当接して振動を対耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせてもよい。また振動部10をユーザの耳の外側から、前記ユーザの耳珠や対耳珠に当接して、振動を耳珠や対耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせてもよい。なお「ユーザの耳の外側から、ユーザの耳珠や対耳珠に当接させ」るとは、振動部10を外耳道内に埋入させることなく、凡そ頬やこめかみと平行にして、耳珠や対耳珠に当接させることをいう。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各部材等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段や部材等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
1 音響再生機器(補聴器)
10 振動部
11 押付部材
12 取付部
20 マイク部
30 制御部
31 アナログデジタル変換部
32 信号処理部
33 デジタルアナログ変換部
34 圧電アンプ
40 音量・音質調整インタフェース部
50 記憶部
60 保持部
61 支持部
62 耳かけ部
63 本体部
90 補聴器
91 マイク部
92 イヤホン
93 ベント
101 圧電素子
102 パネル
103 モールド
111 切込部

Claims (15)

  1. 湾曲する圧電素子、及び、該圧電素子によって直接的に曲げられて振動するパネルを備えた振動部と、
    前記振動部がユーザの耳に当接する位置に当該振動部を保持する保持部と、を備え、
    前記ユーザに対して音を聞かせる音響再生機器。
  2. 前記振動部は、前記ユーザの耳の内側から、前記ユーザの耳珠に当接して、前記振動を耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせる
    請求項1に記載の音響再生機器。
  3. 前記振動部は、前記ユーザの耳の内側から、前記ユーザの対耳珠に当接して、前記振動を対耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせる
    請求項1に記載の音響再生機器。
  4. 前記振動部が前記ユーザの耳に当接する位置に、当該振動部を押し付ける、押付部材を備える
    請求項1に記載の音響再生機器。
  5. 前記押付部材は、前記振動部に対して、着脱可能に保持される
    請求項4に記載の音響再生機器。
  6. 当該音響再生機器によって、前記ユーザの外耳道が密閉されない請求項1乃至5のいずれかに記載の音響再生機器。
  7. 前記パネルは、当該パネルの中央を腹、該腹の両側を節として振動し、
    前記パネルの中央近傍が前記耳珠に当接する
    請求項2に記載の音響再生機器。
  8. 前記パネルは、当該パネルの中央を腹、該腹の両側を節として振動し、
    前記パネルの中央近傍が前記対耳珠に当接する
    請求項3に記載の音響再生機器。
  9. 前記振動部は、前記ユーザの耳の外側から、前記ユーザの耳珠に当接して、前記振動を耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせる
    請求項1に記載の音響再生機器。
  10. 前記振動部は、前記ユーザの耳の外側から、前記ユーザの対耳珠に当接して、前記振動を対耳珠に伝達させることにより、音をユーザに聞かせる
    請求項1に記載の音響再生機器。
  11. さらにマイク部を備え、
    該マイク部と前記振動部との間に、前記ユーザの耳が位置する
    請求項1乃至10のいずれかに記載の集音型音響再生機器。
  12. 前記振動部により、前記ユーザの耳の内部で、外耳道放射音を発生させる
    請求項1乃至11のいずれかに記載の集音型音響再生機器。
  13. 前記振動部は、前記ユーザの耳に、0.1Nから3Nの力で押圧されている
    請求項1乃至12のいずれかに記載の集音型音響再生機器。
  14. 前記圧電素子は、板状をなし、
    前記パネルは、前記圧電素子の主面の面積の、0.8倍から10倍の面積を有する
    請求項1乃至13のいずれかに記載の集音型音響再生機器。
  15. 前記保持部は所定の自重を有し、前記自重により前記振動部がユーザの耳に当接する方向の力を生じさせる
    請求項1乃至14のいずれかに記載の集音型音響再生機器。
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