JP2014216086A - 電池 - Google Patents

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Masato Mukoyama
真登 向山
淳子 天野
Junko Amano
淳子 天野
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Abstract

【課題】充放電を繰り返し行ったときに電池の内部抵抗が増加するのを抑制できる電池を提供すること。【解決手段】電池10は、電極体30の平板積層部30h内に配置され、又は電池ケース20内のうち平板積層部30hに重なって平板積層部30h外に配置された弾性スペーサ80を備える。この弾性スペーサ80は、平板積層部30h等が電池ケース20を介して平板積層部30hの積層方向FHに圧縮され、かつ電池ケース20の積層方向FHの寸法が定寸に保たれた圧縮定寸状態下で、電池10を充放電させても、第1活物質層43の空隙容積Vicが一定に保たれる圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaを有する。【選択図】図3

Description

本発明は、第1電極板、第2電極板及びセパレータを有する電極体と、この電極体を収容する電池ケースとを備える電池に関する。
従来より、第1電極板(例えば負極板)、第2電極板(例えば正極板)及びセパレータを有する電極体と、この電極体を収容する電池ケースとを備える電池が知られている。電極体としては、扁平状捲回型の電極体など、第1電極板の第1活物質層(例えば負極活物質層)と第2電極板の第2活物質層(例えば正極活物質層)とがセパレータを介して互いに平板状に重なる平板積層部を有するものがある。更に、第1活物質層を構成する第1活物質粒子(例えば負極活物質粒子)として、充放電に伴って膨張収縮するものを用いることが知られている。例えば特許文献1には、負極活物質粒子として、充電過程で膨張し放電過程で収縮する黒鉛粒子を用いることが開示されている。
特開平10−64515号公報
充放電に伴って膨張収縮する第1活物質粒子を含む第1活物質層は、充放電に伴ってその層内に含まれる空隙の容積(以下、空隙容積とも言う)が増減する。例えば、電池ケース自身が第1活物質層の厚み方向に高い剛性を有する場合や、電池ケースを外部から第1活物質層の厚み方向に剛に拘束するなど、使用時に電池ケースを定寸に拘束して電池を使用すると、充放電を行っても第1活物質層の厚みは増減し得なくなる(第1活物質層の厚みも定寸となる)。この場合には、充電または放電により第1活物質粒子が膨張すると、その分だけ第1活物質層内の空隙容積が減少する。すると、第1活物質層中の空隙内に満たされていた電解液が空隙容積が減少した分だけ第1活物質層から排出される。一方、放電または充電により第1活物質粒子が収縮すると、その分だけ第1活物質層内の空隙容積が増加する。すると、空隙容積が増加した分だけ電解液が第1活物質層内に吸収される。このような電池について充放電を繰り返し行うと、第1活物質層に保持された電解液の出入りに伴って電解液に濃度分布が生じ、電池の内部抵抗が増加して好ましくない。
一方、電池を定圧で拘束して(或いは自由状態にして)電池を使用する場合、充電または放電により第1活物質粒子が膨張すると、第1活物質層は第1活物質粒子の膨張分よりも大きく膨張する。隣り合う第1活物質粒子同士の間隔が大きくなるため、空隙容積も増加するためである。逆に、放電または充電により第1活物質粒子が収縮すると、第1活物質層は第1活物質粒子の収縮分よりも大きく収縮する。隣り合う第1活物質粒子同士の間隔が小さくなるため、空隙容積の容積も減少するためである。この場合も、電池の充放電に伴って第1活物質層から電解液が出入りするので、電解液に濃度分布が生じ、電池の内部抵抗が増加して好ましくないことが判ってきた。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、充放電を繰り返し行ったときに電池の内部抵抗が増加するのを抑制できる電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、第1電極箔、及び、この上に形成され充放電に伴って膨張収縮する第1活物質粒子を含む多孔質の第1活物質層を有する第1電極板と、第2電極箔、及び、この上に形成された第2活物質層を有する第2電極板と、セパレータとを有し、前記第1活物質層及び前記第2活物質層が前記セパレータを介して互いに平板状に重なる平板積層部を有する電極体、及び、前記電極体を収容する電池ケース、を備える電池であって、前記平板積層部内に配置され、または、前記電池ケース内のうち前記平板積層部に重なって前記平板積層部外に配置され、弾性材からなる1又は複数層の弾性スペーサを備え、前記弾性スペーサは、前記平板積層部及び前記弾性スペーサが前記電池ケースを介して前記平板積層部の積層方向に圧縮され、かつ、前記電池ケースの前記積層方向の寸法が定寸に保たれた圧縮定寸状態下で、前記電池を充放電させても、前記第1活物質層の空隙容積Vicが一定に保たれる圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaを有する電池である。
この電池は、電極体の平板積層部内に配置され、または、電池ケース内のうち平板積層部に重なって平板積層部外に配置された弾性スペーサを備える。この弾性スペーサは、圧縮定寸状態で電池を充放電させたときでも、第1活物質層(例えば負極活物質層)の空隙容積Vicが一定に保たれる圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaを有する。このため、充電または放電により第1活物質粒子(例えば負極活物質粒子)が膨張または収縮しても、第1活物質層の空隙容積Vicは一定に保たれる。従って、この電池では、平板積層部において充放電に伴って第1活物質層の空隙容積Vicが変化するのを防止し、充放電に伴って電解液が第1活物質層から出入り(排出/吸収)するのを抑制できる。よって、充放電を繰り返し行ったときに電池の内部抵抗が増加するのを抑制できる。
なお、「電極体」としては、平板積層部を有する、扁平状捲回型の電極体や積層型の電極体が挙げられる。
また、「電池ケースの積層方向の寸法が定寸に保たれた」状態としては、電池ケース自身が充放電に伴って積層方向に変形しない高い剛性を有する状態や、充放電に伴って電池ケースが積層方向に変形しない形態に電池ケースを外部から積層方向に剛に拘束した状態が挙げられる。
更に、上記の電池であって、前記平板積層部において前記積層方向に重なる前記第1活物質層の総厚みのうち、前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時の総厚みをTfc、前記圧縮定寸状態でかつSOC100%時の総厚みをTfd、前記圧縮定寸状態における前記第1活物質層の総厚み変化率Atを、At=(Tfd−Tfc)/Tfcとし、前記第1活物質層の単位面積あたりの前記第1活物質粒子の体積のうち、前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時の体積をVrc、前記圧縮定寸状態でかつSOC100%時の体積をVrd、前記圧縮定寸状態における前記第1活物質粒子の体積変化率Bvを、Bv=(Vrd−Vrc)/Vrcとし、前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時における、前記第1活物質層の単位面積あたりの前記第1活物質層の見かけの体積をVfc、前記第1活物質層中の前記第1活物質粒子の充填率Dcを、Dc=Vrc/Vfcとしたとき、前記弾性スペーサは、At=Bv×Dcを満たす前記圧縮弾性率Ks及び前記自由総厚みTsaを有する電池とすると良い。
この電池に係る弾性スペーサは、At=Bv×Daを満たす圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaを有する。このため、充電または放電により第1活物質粒子が膨張して、第1活物質層の厚みが増すと、弾性スペーサが押し縮められることで生じる(増加する)反力により、第1活物質層の厚みの増加が抑制される(厚みの増加が第1活物質粒子の膨張分だけに止められる)。従って、第1活物質粒子が膨張しても、第1活物質層の空隙容積Vicは一定に保たれる。
一方、放電または充電により第1活物質粒子が収縮して、第1活物質層の厚みが減ると、その分だけ弾性スペーサの厚みが増して弾性スペーサによる押圧力(反力)が減少するので、第1活物質層の厚みの減少が抑制される(厚みの減少が第1活物質粒子の収縮分だけに止められる)。このため、第1活物質粒子が収縮しても、第1活物質層の空隙容積Vicは一定に保たれる。従って、この電池では、平板積層部において充放電に伴って第1活物質層の空隙容積Vicが変化するのを防止し、充放電に伴って電解液が第1活物質層から出入り(排出/吸収)するのを抑制できる。
更に、上記の電池であって、前記第1活物質層の前記総厚みのうち、自由状態でかつSOC0%時の総厚みをTfa、自由状態でかつSOC100%時の総厚みをTfbとし、SOC0%時の前記第1活物質層の圧縮弾性率をKfaとしたとき、前記弾性スペーサは、Tsa/Ks=(Bv×Dc×Tfc)/(Tfb−Tfa−Bv×Dc×Tfc)×(Tfa/Kfa)を満たす前記圧縮弾性率Ks及び前記自由総厚みTsaを有する電池とすると良い。
この電池に係る弾性スペーサは、上記の式を満たす圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaを有する。このような弾性スペーサは、At=Bv×Dcを満たすので、前述のように、充放電に伴って第1活物質粒子が膨張または収縮しても、第1活物質層の空隙容積Vicは一定に保たれる。従って、この電池では、平板積層部において充放電に伴って第1活物質層の空隙容積Vicが変化するのを防止し、充放電に伴って電解液が第1活物質層から出入り(排出/吸収)するのを抑制できる。
また、他の態様は、第1電極箔、及び、この上に形成され充放電に伴って膨張収縮する第1活物質粒子を含む多孔質の第1活物質層を有する第1電極板と、第2電極箔、及び、この上に形成された第2活物質層を有する第2電極板と、セパレータとを有し、前記第1活物質層及び前記第2活物質層が前記セパレータを介して互いに平板状に重なる平板積層部を有する電極体、及び、前記電極体を収容する電池ケース、を備える電池であって、前記平板積層部内に配置され、または、前記電池ケース内のうち前記平板積層部に重なって前記平板積層部外に配置され、厚みが厚い厚部と、この厚部よりも厚みが薄い薄部とを有する1又は複数層のスペーサを備え、前記平板積層部内の前記第1活物質層のうち、前記厚部と前記積層方向に重なる部位を第1部位、前記薄部と前記積層方向に重なる部位を第2部位とし、前記第1部位の総厚みのうち、前記平板積層部及び前記スペーサの前記厚部が前記電池ケースを介して前記積層方向に圧縮され、前記電池ケースの前記積層方向の寸法が定寸に保たれた圧縮定寸状態で、かつ、SOC0%時の総厚みをTfc、前記圧縮定寸状態でかつSOC100%時の総厚みをTfd、前記圧縮定寸状態における前記第1部位の総厚み変化率Atを、At=(Tfd−Tfc)/Tfcとし、前記第1部位の単位面積あたりの前記第1活物質粒子の体積のうち、前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時の体積をVrc、前記圧縮定寸状態でかつSOC100%時の体積をVrd、前記圧縮定寸状態における前記第1活物質粒子の体積変化率Bvを、Bv=(Vrd−Vrc)/Vrcとし、前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時における、前記第1部位の単位面積あたりの前記第1部位の見かけの体積をVfc、前記第1部位中の前記第1活物質粒子の充填率Dcを、Dc=Vrc/Vfcとしたとき、前記スペーサは、前記電池を前記圧縮定寸状態下で充放電させた場合に、前記厚部が、At<Bv×Dcを満たし、前記薄部が、前記第2部位を押圧せず、かつ、前記第1部位の面積Sa及び前記第2部位の面積Sbが、0.67≦Sa/Sb≦1.5を満たす、形態を有する電池である。
この電池では、電極体の平板積層部内に配置され、または、電池ケース内のうち平板積層部に重なって平板積層部外に配置され、厚部と薄部とを有するスペーサを備える。このスペーサは、圧縮定寸状態下で電池を充放電させた場合に、厚部がAt<Bv×Dcを満たし、薄部が第2部位を押圧せず、かつ、0.67≦Sa/Sb≦1.5を満たす形態を有する。
この電池では、平板積層部内の第1活物質層全体で見たときに、充放電に伴って第1活物質層の空隙容積Vicが増減するのを抑制できる。即ち、充電または放電により第1活物質粒子が膨張して、第1活物質層の厚みが増すと、スペーサの厚部が第1活物質層の第1部位で押圧されることで生じる強い反力により、第1部位における厚みの増加が抑制される。この第1部位はAt<Bv×Daを満たすので、空隙容積Vicが減少して(第1活物質粒子の膨張分の一部が空隙容積Vicの減少でまかなわれて)、電解液が排出される。
一方で、スペーサの薄部では反力を生じないので、第1活物質層の第2部位においては厚みの増加が抑制されない。このため、第2部位では、空隙容積Vicは増加して、電解液が吸収される。かくして、平板積層部内の第1活物質層全体で見ると、第1部位における空隙容積Vicの減少分と第2部位における空隙容積Vicの増加分とが相殺されるので、空隙容積Vicの変化が抑制される。従って、この電池では、平板積層部において充放電に伴って電解液が第1活物質層から出入りするのを抑制でき、充放電を繰り返し行ったときに電池の内部抵抗が増加するのを抑制できる。
実施形態1に係る電池の斜視図である。 実施形態1に係る電池を電池横方向CH及び電池縦方向DHに沿う平面で切断した断面図である。 実施形態1に係る電池を電池厚み方向BH及び電池縦方向DHに沿う平面で切断した断面図である。 実施形態1に係る電池を電池厚み方向BH及び電池横方向CHに沿う平面で切断した断面図である。 実施形態1に係り、蓋部材、正極端子部材及び負極端子部材等の分解斜視図である。 実施形態1に係り、電極体の斜視図である。 実施形態1に係り、正極板と負極板とをセパレータを介して互いに重ねた状態を示す、電極体の展開図である。 実施形態1に係り、組電池の側面図である。 負極活物質層に掛かる面圧と負極活物質層の総厚みとの関係を示すグラフである。 実施形態2に係る電池を電池厚み方向BH及び電池縦方向DHに沿う平面で切断した断面図である。 実施形態2に係る電池を電池厚み方向BH及び電池横方向CHに沿う平面で切断した断面図である。 実施例1,2及び比較例に係る各電池の充放電サイクル試験に関し、充放電のサイクル数と電池の内部抵抗との関係を示すグラフである。
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1〜図4に、本実施形態1に係る電池10を示す。また、図5に、電池ケース20の蓋部材23、正極端子部材60及び負極端子部材70等を示す。また、図6及び図7に、電極体30及びこれを展開した状態を示す。なお、以下では、電池10の電池厚み方向BH、電池横方向CH及び電池縦方向DHを、図1〜図4に示す方向と定めて説明する。また、電極体30の軸線方向EH、電極体厚み方向(積層方向)FH及び電極体幅方向GHを、図2〜図4、図6及び図7に示す方向と定めて説明する。なお、図3においては、正極端子部材60等の記載を省略してある。
この電池10は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両などに搭載される角型で密閉型のリチウムイオン二次電池である。この電池10は、後述するように、複数の電池10を拘束部材110で拘束した組電池100として利用される(図8参照)。なお、図8においては、電池10の正極端子部材60及び負極端子部材70の記載を省略してある。
この電池10は、直方体状の電池ケース20と、この電池ケース20内に収容された扁平状捲回型の電極体30と、電池ケース20に支持された正極端子部材60及び負極端子部材70等から構成されている。電池ケース20内には、非水系の電解液27が保持されている。また、この電池10では、電池ケース20と電極体30との間に板状の弾性スペーサ80が配置されている。
このうち電池ケース20は、金属(具体的にはアルミニウム)により形成されている。この電池ケース20は、上側のみに矩形状の開口部21hを有する有底角筒状のケース本体21と、このケース本体21の開口部21hを封口する矩形板状の蓋部材23とから構成されている(図1〜図4参照)。蓋部材23のうち、その長手方向(電池横方向CH)の中央付近には、非復帰型の安全弁23vが設けられている。また、この安全弁23vの近傍には、電解液27を電池ケース20内に注入する際に用いられる注液孔23hが設けられており、封止部材25で気密に封止されている。
また、蓋部材23のうち、その長手方向の両端近傍には、電池ケース20の内部から外部に延出する形態の正極端子部材60及び負極端子部材70がそれぞれ固設されている(図1、図2及び図5参照)。具体的には、正極端子部材60及び負極端子部材70は、それぞれ、電池ケース20内で電極体30に接続する一方、蓋部材23を貫通して電池ケース20の外部に延出する第1端子部材61,71と、蓋部材23上に配置されて第1端子部材61,71に加締め固定されたクランク状の第2端子部材62,72とから構成されている。正極端子部材60及び負極端子部材70は、これらにバスバや圧着端子など電池外の接続端子を締結するための金属製の締結部材65,75と共に、蓋部材23の内側(ケース内側)に配置された樹脂製の第1絶縁部材67,77、及び、蓋部材23の外側(ケース外側)に配置された樹脂製の第2絶縁部材68,78を介して、蓋部材23に固定されている。
次に、電極体30について説明する(図2〜図4、図6及び図7参照)。この電極体30は、その軸線方向EHが電池横方向CHと一致し、電極体厚み方向FHが電池厚み方向BHと一致し、電極体幅方向GHが電池縦方向DHと一致する形態で、電池ケース20内に収容されている(図2及び図4参照)。電極体30は、帯状の正極板(第2電極板)31と帯状の負極板(第1電極板)41とを、帯状で多孔質樹脂からなる一対のセパレータ51,51を介して互いに積層し(図7参照)、軸線AX周りに捲回して、扁平状に圧縮したものである(図6参照)。
正極板31は、芯材として、アルミニウムからなる帯状の正極電極箔(第2電極箔)32を有する。この正極電極箔32の表裏面のうち幅方向(図6及び図7中、上下方向)の一部(図6及び図7中、下方の部位)の上には、それぞれ長手方向(図7中、左右方向)に帯状に延びる、多孔質の正極活物質層(第2活物質層)33,33が形成されている。この正極活物質層33は、正極活物質粒子と導電材と結着剤から形成されている。本実施形態1では、正極活物質としてリチウム・コバルト・ニッケル・マンガン複合酸化物を、導電材としてアセチレンブラック(AB)を、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いている。
負極板41は、芯材として、銅からなる帯状の負極電極箔(第1電極箔)42を有する。この負極電極箔42の表裏面のうち幅方向(図6及び図7中、上下方向)の一部(図6及び図7中、上方の部位)の上には、それぞれ長手方向(図7中、左右方向)に帯状に延びる、多孔質の負極活物質層(第1活物質層)43,43が形成されている。この負極活物質層43は、負極活物質粒子(第1活物質粒子)と結着剤と増粘剤から形成されている。本実施形態1では、負極活物質粒子として天然黒鉛粒子を、結着剤としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いている。この負極活物質粒子は、後述するように、充電過程で膨張し、放電過程で収縮する。
正極板31の一部は、セパレータ51から軸線方向EHの一方側EC(図6中、上方、図2及び図4中、左方)に向けて扁平渦巻き状をなして突出し、電極体30の正極突出捲回部30cを形成している。この正極突出捲回部30cには、正極端子部材60の第1端子部材61が接続(溶接)されている。また、負極板41の一部は、セパレータ51から軸線方向EHの他方側ED(図6中、下方、図2及び図4中、右方)に向けて扁平渦巻き状をなして突出し、電極体30の負極突出捲回部30dを形成している。この負極突出捲回部30dには、負極端子部材70の第1端子部材71が接続(溶接)されている。
電極体30のうち、これら正極突出捲回部30c及び負極突出捲回部30dよりも軸線方向EHの内側(中央)に位置し、正極活物質層33及び負極活物質層43がセパレータ51を介して互いに重なる部位を、中央捲回部30eとする(図2、図4、図6及び図7参照)。この中央捲回部30eは、更に、電極体幅方向GHについて、一方側湾曲端部30fと他方側湾曲端部30gと平板積層部30hに分けられる(図3及び図6参照)。
このうち一方側湾曲端部30fは、電極体幅方向GHの一方側GAの端に位置し、正極活物質層33、負極活物質層43及びセパレータ51が半円筒状に曲げられて互いに重なる部位である。また、他方側湾曲端部30gは、電極体幅方向GHの他方側GBの端に位置し、正極活物質層33、負極活物質層43及びセパレータ51が半円筒状に曲げられて互いに重なる部位である。
また、平板積層部30hは、一方側湾曲端部30fと他方側湾曲端部30gの間に位置し、正極活物質層33、負極活物質層43及びセパレータ51が平板状に電極体厚み方向(積層方向)FHに重なる部位である。具体的には、この平板積層部30hは、30枚の正極板31と30枚の負極板41とがセパレータ51を介して互いに重なっている。従って、この平板積層部30hには、全部で60層の正極活物質層33と60層の負極活物質層43が積層されている。
次に、弾性スペーサ80について説明する(図2〜図4参照)。この弾性スペーサ80は、電池ケース20内のうち、電極体30の電極体幅方向GHの両側にそれぞれ配置されている。これら2枚(2層)の弾性スペーサ80は、電極体30の平板積層部30hよりも若干面積の広い(軸線方向EH及び電極体幅方向GHの寸法がそれぞれ大きい)矩形板状であり、平板積層部30hに重なって平板積層部30h外に配置されている。この弾性スペーサ80は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)からなり、圧縮弾性率Ksは、Ks=10.0MPaである。また、弾性スペーサ80の1枚あたりの自由厚みは0.475mmであるので、自由総厚みTsaは、Tsa=0.475mm×2枚=0.950mmである。
この電池10は、前述のように、組電池100として利用される(図8参照)。この組電池100は、複数の電池10と複数の電池間スペーサ130と拘束部材110とを備える。複数の電池10は電池厚み方向BH(電極体厚み方向FH)に列置されており、隣り合う電池10同士は図示しないバスバにより電気的に直列に接続されている。また、電池間スペーサ130は、矩形板状をなし、隣り合う電池10同士の間にそれぞれ配置されている。
また、拘束部材110は、これら電池10及び電池間スペーサ130を電池厚み方向BHに押圧しつつ剛に拘束する。なお、「剛に拘束する」とは、SOC0%〜100%の充放電に伴う電池ケース20の電池厚み方向BHの寸法の変化が、0.005mm以下に抑えられている状態を言う。
拘束部材110は、一対のエンドプレート111と、4本の拘束バンド113と、8本の締結ボルト115とを有する。エンドプレート111は、矩形板状をなし、列置された電池10及び電池間スペーサ130の両側にそれぞれ配置されている。拘束バンド113は、円筒状をなし、一対のエンドプレート111の間に配置されて、エンドプレート111同士の間を接続している。締結ボルト115は、エンドプレート111に設けられた図示外の貫通孔に挿通され、拘束バンド113の端部113tをエンドプレート111に締結している。
この組電池100を構成した状態では、各電池10の電極体30の平板積層部30h及び弾性スペーサ80は、電池ケース20を介して積層方向(電極体厚み方向)FHに圧縮され、かつ、電池10を充放電して負極活物質粒子が膨張収縮しても、電池ケース20の積層方向FH(電池厚み方向BH)の寸法が定寸に保たれた圧縮定寸状態となる。本実施形態1では、この圧縮定寸状態でかつSOC0%時に、平板積層部30h及び弾性スペーサ80にPc=1.00MPaの面圧が生じる。一方、この圧縮定寸状態でかつSOC100%時には、平板積層部30h及び弾性スペーサ80にPd=3.02MPaの面圧が生じる。なお、面圧Pc,Pdは、例えば感圧紙等を電池10同士の間や電池10とエンドプレート111との間に挟むことで測定できる。
ここで、負極活物質層43に掛かる面圧と、負極活物質層43の総厚みとの関係について説明する(図9参照)。
まず、SOC0%の状態について説明する。自由状態(負極活物質層43に面圧が掛かっていない状態)で、かつ、SOC0%(負極活物質層43にリチウムが挿入されていない状態)時の負極活物質層43の総厚み(自由総厚み)をTfa(mm)とする。本実施形態1では、このときの負極活物質層43の1層の厚み(自由厚み)が0.0550mmであり、電極体30の平板積層部30hには前述のように60層の負極活物質層43が積層されているので、負極活物質層43の総厚みTfaは、Tfa=0.0550mm×60層=3.30mmである。
なお、負極活物質層43の厚みは、SOC0%の状態の電池10を解体して負極板41を取り出し、マイクロメータで負極活物質層43の厚みを測定することで得られる。また、負極活物質層43の断面を電子顕微鏡等で観察することで、負極活物質層43の厚みを測定することもできる。
負極活物質層43は、面圧が上がると厚みが減少する。その際、負極活物質層43はその内部に空隙を有しているので、負極活物質層43をなす負極活物質粒子の寸法が減少するよりも、負極活物質層43内の空隙の寸法が減少し易い。つまり、主に空隙容積が減少することによって負極活物質層43の厚みが減少する。
SOC0%で負極活物質層43に面圧Pc(=1.00MPa)が掛かった状態、即ち、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の総厚みをTfc(mm)とする。本実施形態1では、このときの負極活物質層43の1層の厚みが0.0530mmであるので、負極活物質層43の総厚みTfcは、Tfc=0.0530mm×60層=3.18mmである。
なお、この負極活物質層43の厚みは、材料試験機等を用いて負極活物質層43に面圧Pcを掛けた状態で、負極活物質層43の厚みを測定することで得られる。
また、負極活物質層43に掛かる面圧を変化させながら、負極活物質層43の厚みを測定することで、負極活物質層に掛かる面圧と負極活物質層の総厚みとの関係を調べることができる。図9のうち下側に実線で示すグラフは、その結果を示したものである。このグラフから、SOC0%時における負極活物質層43の圧縮弾性率Kfaを求めることができる。
なお、この圧縮弾性率Kfaは、実際には面圧が高くなるほど大きくなる。但し、負極活物質層43に掛かる面圧と総厚みとの関係は、電池10の使用時に負極活物質層43に生じ得る面圧の範囲を含む、1.0〜10MPa程度の範囲では、直線で近似することができる。従って、この面圧の範囲では、圧縮弾性率Kfaを一定と考えることができる。本実施形態1では、負極活物質層43の圧縮弾性率Kfaは、Kfa=48.0MPaである。
次に、自由状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の充填率をDaとする。この充填率Daは、自由状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の見かけの体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質層43の見かけの体積)Vfa(mm3/mm2 )と、自由状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質粒子の体積)Vra(mm3/mm2 )から求めることができる。
Da=Vra/Vfa …(1)
このうち、負極活物質層43の見かけの体積Vfaは、前述した負極活物質層43の総厚みTfaから求めることができる。負極活物質層43の総厚みTfaは、Tfa=0.0550mm×60層であるので、負極活物質層43の見かけの体積Vfa=0.0550mm3/mm2 である。
また、負極活物質粒子の体積Vraは、負極活物質粒子の比重と重量から求めることができる。本実施形態1では、負極活物質粒子の体積Vraは、Vra=0.0319mm3/mm2 である。
これらVfa,Vraの値を式(1)に代入すると、負極活物質粒子の充填率Da=0.58(58%)が得られる。
なお、負極活物質粒子の体積Vraは、前述した負極活物質層43の見かけの体積Vfaと、自由状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の空隙容積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質層43の空隙容積)Via(mm3/mm2 )から求めることもできる。
Vra=Vfa−Via …(2)
負極活物質層43の空隙容積Viaは、水銀ポロシメータ等により測定できる。本実施形態1では、負極活物質層43の空隙容積Via=0.0231mm3/mm2 である。従って、この場合でも、式(2)より負極活物質粒子の体積Vra=0.0319mm3/mm2 が得られる。
なお、負極活物質層43には、前述のように、負極活物質粒子の他に結着剤及び増粘剤が含まれるが、結着剤及び増粘剤の体積は負極活物質粒子の体積に比して十分に小さいので、ここでは、結着剤及び増粘剤の体積を無視して負極活物質粒子の体積のみを考える。
次に、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の空隙容積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質層43の空隙容積)をVic(mm3/mm2 )とし、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の見かけの体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質層43の見かけの体積)をVfc(mm3/mm2 )とすると、次の式(3)が成立する。
Via−Vic=Vfa−Vfc …(3)
また、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質粒子の体積)をVrc(mm3/mm2 )とすると、負極活物質層43の空隙容積Vicは、次の式(4)で表すことができる。
Vic=Vfc−Vrc …(4)
また、前述した負極活物質層43の見かけの体積Vfcは、前述した負極活物質層43の総厚みTfaと、前述した負極活物質層43の総厚みTfcと、前述した負極活物質層43の見かけの体積Vfaから求めることができる。
Vfc=Vfa×Tfc/Tfa …(5)
この式(5)にVfa、Tfc、Tfaの各値を代入すると、負極活物質層43の見かけの体積Vfc=0.0530mm3/mm2 が得られる。
更に、式(3)にVia、Vfa、Vfcの各値を代入すると、負極活物質層43の空隙容積Vic=0.0211mm3/mm2 が得られる。
次に、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の充填率をDcとする。この充填率Dcは、前述した負極活物質層43の見かけの体積Vfcと、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質粒子の体積)Vrc(mm3/mm2 )から求めることができる。
Dc=Vrc/Vfc …(6)
ここで、負極活物質粒子は圧縮されると体積が減少するが、前述のように、空隙容積の減少に比して十分に小さいので、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の体積Vrcは、自由状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の体積Vraと等しいと考えることができる。従って、負極活物質粒子の体積Vrcは、Vrc=Vra=0.0319mm3/mm2 である。また、式(6)と式(7)から式(8)が導かれる。
Vrc=Vra …(7)
Dc=Vra/Vfc …(8)
この式(8)にVra、Vfcの各値を代入すると、負極活物質層の充填率Dc=0.60(60%)が得られる。
次に、SOC100%の状態について説明する。自由状態でかつSOC100%時の負極活物質層43の総厚み(自由総厚み)をTfb(mm)とする。本実施形態1では、このときの負極活物質層43の1層の厚み(自由厚み)は0.0605mmであるので、負極活物質層43の総厚みTfbは、Tfb=0.0605mm×60層=3.63mmである。
なお、この負極活物質層43の厚みは、SOC100%の状態の電池10を解体し、大気に暴露することなく負極板41を取り出し、マイクロメータで負極活物質層43の厚みを測定することで得られる。また、負極活物質層43の厚みは、その断面を電子顕微鏡等で観察して測定することもできる。
負極活物質層43は、前述のように、面圧が掛かると厚みが減少する。SOC100%で負極活物質層43に面圧Pd(=3.02MPa)が掛かった状態、即ち、電池10が圧縮定寸状態でかつSOC100%時の負極活物質層43の総厚みをTfd(mm)とする。本実施形態1では、このときの負極活物質層43の1層の厚みが0.0562mmであるので、負極活物質層43の総厚みTfdは、Tfd=0.0562mm×60層=3.37mmである。
なお、この負極活物質層43の厚みは、材料試験機等を用いて負極活物質層43に面圧Pdを掛けた状態で、負極活物質層43の厚みを測定することで得られる。
また、負極活物質層43に掛かる面圧を変化させながら、負極活物質層43の厚みを測定することで、負極活物質層に掛かる面圧と負極活物質層の総厚みとの関係を調べることができる。図9のうち上側に破線で示すグラフは、その結果を示したものである。また、このグラフから、SOC100%時における負極活物質層43の圧縮弾性率Kfbを求めることができる。
なお、この圧縮弾性率Kfbは、実際には面圧が高くなるほど大きくなる。但し、負極活物質層43に掛かる面圧と総厚みとの関係は、電池10の使用時に負極活物質層43に生じ得る面圧の範囲を含む、1.0〜10MPa程度の範囲では、直線で近似することができる。従って、この面圧の範囲では、圧縮弾性率Kfbを一定と考えることができる。また、このSOC100%時の圧縮弾性率Kfbは、前述したSOC0%時の圧縮弾性率Kfaと等しいと考えることができる。従って、本実施形態1では、圧縮弾性率Kfb=Kfa=48.0MPaである。
Kfb=Kfa …(9)
次に、自由状態でかつSOC100%時の負極活物質粒子の充填率をDbとする。この充填率Dbは、自由状態でかつSOC100%時の負極活物質層43の見かけの体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質層43の見かけの体積)Vfb(mm3/mm2 )と、自由状態でかつSOC100%時の負極活物質粒子の体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質粒子の体積)Vrb(mm3/mm2 )から求めることができる。
Db=Vrb/Vfb …(10)
このうち、負極活物質層43の見かけの体積Vfbは、前述した負極活物質層43の総厚みTfbから求めることができる。負極活物質層43の総厚みTfbは、Tfb=0.0605mm×60層であるので、負極活物質層43の見かけの体積Vfb=0.0605mm3/mm2 である。
また、負極活物質粒子の体積Vrbは、負極活物質粒子の比重と重量から求めることができる。本実施形態1では、負極活物質粒子の体積Vrbは、Vrb=0.0351mm3/mm2 である。
これらVfb,Vrbの値を式(10)に代入すると、負極活物質粒子の充填率Db=0.58(58%)が得られる。
なお、負極活物質粒子の体積Vrbは、前述した負極活物質層43の見かけの体積Vfbと、自由状態でかつSOC100%時の負極活物質層43の空隙容積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質層43の空隙容積)Vib(mm3/mm2 )から求めることもできる。
Vrb=Vfb−Vib …(11)
負極活物質層43の空隙容積Vibは、水銀ポロシメータ等により測定できる。本実施形態1では、負極活物質層43の空隙容積Vib=0.0254mm3/mm2 である。従って、この場合でも、式(11)より負極活物質粒子の体積Vrb=0.0351mm3/mm2 が得られる。
次に、圧縮定寸状態でかつSOC100%時の負極活物質層43の空隙容積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質層43の空隙容積)をVid(mm3/mm2 )とし、圧縮定寸状態でかつSOC100%時の負極活物質層43の見かけの体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質層43の見かけの体積)をVfd(mm3/mm2 )とすると、次の式(12)が成立する。
Vib−Vid=Vfb−Vfd …(12)
また、圧縮定寸状態でかつSOC100%時の負極活物質粒子の体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質粒子の体積)をVrd(mm3/mm2 )とすると、負極活物質層43の空隙容積Vidは、次の式(13)で表すことができる。
Vid=Vfd−Vrd …(13)
また、前述した負極活物質層43の見かけの体積Vfdは、前述した負極活物質層43の総厚みTfbと、前述した負極活物質層43の総厚みTfdと、前述した負極活物質層43の見かけの体積Vfbから求めることができる。
Vfd=Vfb×Tfd/Tfb …(14)
この式(14)にVfb、Tfd、Tfbの各値を代入すると、負極活物質層43の見かけの体積Vfd=0.0562mm3/mm2 が得られる。
更に、式(12)にVib、Vfb、Vfdの各値を代入すると、負極活物質層43の空隙容積Vid=0.0211mm3/mm2 が得られる。
前述のように、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の空隙容積Vic=0.0211mm3/mm2 であるので、本実施形態1の電池10では、Vic=Vidが成立している。つまり、この電池10は、圧縮定寸状態下で電池10を充放電させても、負極活物質層43の空隙容積Vic(Vid)が常に一定の大きさに保たれる。
Vic=Vid …(15)
次に、圧縮定寸状態でかつSOC100%時の負極活物質粒子の体積(1層の負極活物質層43における単位面積あたりの負極活物質粒子の体積)をVrd(mm3/mm2 )とする。前述のように、負極活物質粒子は圧縮されると体積が減少するが、空隙容積の減少に比して十分に小さいので、この負極活物質粒子の体積Vrdは、前述した自由状態でかつSOC100%時の負極活物質粒子の体積Vrbに等しいと考えることができる。従って、負極活物質粒子の体積Vrdは、Vrd=Vrb=0.0351mm3/mm2 である。
Vrd=Vrb …(16)
次に、圧縮定寸状態における負極活物質粒子の体積変化率Bvを、式(17)で定義する。
Bv=(Vrd−Vrc)/Vrc …(17)
この式(17)と前述の式(7)、式(16)より、次の式(18)を導くことができる。
Bv=(Vrb−Vra)/Vra …(18)
この式(18)にVra、Vrbの各値を代入すると、負極活物質粒子の体積変化率Bv=0.100(10.0%)が得られる。
また、式(4)、式(7)、式(13)、式(15)及び式(16)より、次の式(19)を導くことができる。
Vfc−Vra=Vfd−Vrb …(19)
更に、この式(19)と前述の式(8)、式(17)、式(19)より、次の式(20)を導くことができる。
(Vfd−Vfc)/Vfc=Bv×Dc …(20)
更に、負極活物質層43の見かけの体積Vfcと総厚みTfc、及び、見かけの体積Vfdと総厚みTfdの関係と考慮すると、式(20)は次の式(21)で表すことができる。
(Tfd−Tfc)/Tfc=Bv×Dc …(21)
ここで、圧縮定寸状態における負極活物質層43の総厚み変化率Atを、式(22)で定義する。
At=(Tfd−Tfc)/Tfc …(22)
この式(22)にTfc、Tfdの各値と代入すると、負極活物質層43の総厚み変化率At=0.060(6.0%)が得られる。
また、式(21)と式(22)から、次の式(23)を導くことができる。
At=Bv×Dc …(23)
この式(23)を満たすとき、式(15)も満たされるので、圧縮定寸状態で電池10を充放電させても、負極活物質層43の空隙容積Vic(Vid)が一定となる。
次に、負極活物質層43と弾性スペーサ80との関係を説明する。前述の圧縮定寸状態では、負極活物質層43の厚みの変化に対して、正極板31やセパレータ51、負極電極箔42、電池ケース20の寸法変化は十分に小さいため、負極活物質層43の厚みの変化のみを考える。
電池10をSOC0%からSOC100%の範囲で充電または放電させたとき、負極活物質層43に掛かる面圧の面圧変化量ΔPは、ΔP=Pd−Pcである。また、このときの負極活物質層43の総厚みの変化量ΔTfは、ΔT=Tfd−Tfcであるので、弾性スペーサ80の総厚みの変化量ΔTsも、ΔTs=Tfd−Tfcとなる。従って、弾性スペーサ80の圧縮弾性率Ks、自由総厚みTsaに対し、フックの法則より、次の式(24)が成立する。
Pd−Pc=Ks×(Tfd−Tfc)/Tsa …(24)
更に、この式(24)と前述の式(21)より、次の式(25)を導くことができる。
Tsa/Ks=(Bv×Dc×Tfc)/(Pd−Pc) …(25)
また、図9から、次の関係式を導くことができる。
Tfd=Tfc+(Tfb−Tfa)−(Pd−Pc)×Tfa/Kfa …(26)
更に、式(21)、式(25)、式(26)より、次の式(27)を導くことができる。
Tsa/Ks=(Bv×Dc×Tfc)/(Tfb−Tfa−Bv×Dc×Tfc)×(Tfa/Kfa) …(27)
弾性スペーサ80の圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaがこの式(27)を満たすとき、式(15)も満たされるので、圧縮定寸状態で電池10を充放電させても、負極活物質層43の空隙容積Vic(Vid)が一定となる。
この式(27)の左辺に前述した各値を代入すると、次の式(28)が得られる。
Tsa/Ks=0.095 …(28)
本実施形態1では、前述のように、弾性スペーサ80の圧縮弾性率KsをKs=10.0MPaとし、弾性スペーサ80の自由総厚みTsaをTsa=0.950mmとしているので、この式(28)を満たしている。
次いで、上記電池10の製造方法について説明する。正極板31と負極板41とセパレータ51,51をそれぞれ用意し、正極板31及び負極板41をセパレータ51,51を介して互いに重ね(図7参照)、巻き芯を用いて軸線AX周りに捲回する。更に、これを扁平状に圧縮して電極体30を形成する(図6参照)。
また別途、蓋部材23と、第1端子部材61,71と、第2端子部材62,72と、締結部材65,75と、第1絶縁部材67,77と、第2絶縁部材68,78をそれぞれ用意する。そして、これらを用いて、蓋部材23に正極端子部材60及び負極端子部材70をそれぞれ固設する(図5参照)。その後、正極端子部材60及び負極端子部材70をそれぞれ電極体30に溶接する。
次に、弾性スペーサ80,80を用意し、これらの弾性スペーサ80,80を電極体30の平板積層部30hの両側にそれぞれ重ねる。そして、別途用意したケース本体21内に電極体30及び弾性スペーサ80を収容した後、ケース本体21と蓋部材23を溶接して電池ケース20を形成する(図1〜図4参照)。その後、電解液27を注液孔23hから電池ケース20内に注液し、封止部材25で注液孔23hを気密に封止する。その後は、この電池について、初充電や各種検査を行う。かくして、電池10が完成する。
以上で説明したように、電池10は、電池ケース20内のうち電極体30の平板積層部30hに重なって平板積層部30h外に配置された弾性スペーサ80を備える。この弾性スペーサ80は、圧縮定寸状態で電池10を充放電させたときでも、負極活物質層43の空隙容積Vic(Vid)が一定に保たれる圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaを有する。このため、充電により負極活物質粒子が膨張し、または、放電により負極活物質粒子が収縮しても、負極活物質層43の空隙容積Vicは一定に保たれる。従って、この電池10では、平板積層部30hにおいて充放電に伴って負極活物質層43の空隙容積Vicが変化するのを防止し、充放電に伴って電解液27が負極活物質層43から出入り(排出/吸収)するのを抑制できる。よって、充放電を繰り返し行ったときに電池10の内部抵抗が増加するのを抑制できる。
また、この電池10に係る弾性スペーサ80は、At=Bv×Daを満たす圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaを有する。このため、充電により負極活物質粒子が膨張して、負極活物質層43の厚みが増すと、弾性スペーサ80が押し縮められることで生じる(増加する)反力により、負極活物質層43の厚みの増加が抑制される(厚みの増加が負極活物質粒子の膨張分だけに止められる)。従って、負極活物質粒子が膨張しても、負極活物質層43の空隙容積Vicは一定に保たれる。
一方、放電により負極活物質粒子が収縮して、負極活物質層43の厚みが減ると、その分だけ弾性スペーサ80の厚みが増して弾性スペーサ80による押圧力(反力)が減少するので、負極活物質層43の厚みの減少が抑制される(厚みの減少が負極活物質粒子の収縮分だけに止められる)。このため、負極活物質粒子が収縮しても、負極活物質層43の空隙容積Vicは一定に保たれる。従って、この電池10では、平板積層部30hにおいて充放電に伴って負極活物質層43の空隙容積Vicが変化するのを防止し、充放電に伴って電解液27が負極活物質層43から出入り(排出/吸収)するのを抑制できる。
また、弾性スペーサ80は、Tsa/Ks=(Bv×Dc×Tfc)/(Tfb−Tfa−Bv×Dc×Tfc)×(Tfa/Kfa)を満たす圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaを有する。このような弾性スペーサ80は、At=Bv×Dcを満たすので、前述のように、充放電に伴って負極活物質粒子が膨張または収縮しても、平板積層部30hにおいて負極活物質層43の空隙容積Vicは一定に保たれる。従って、充放電を繰り返し行ったときに電池10の内部抵抗が増加するのを抑制できる。
(実施形態2)
次いで、第2の実施の形態について説明する。本実施形態2に係る電池210では、実施形態1に係る弾性スペーサ80の代わりに、スペーサ280を用いている点が、実施形態1の電池10と異なる(図10及び図11参照)。それ以外は、実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。
本実施形態2に係るスペーサ280は、実施形態1の弾性スペーサ80と同様に、電池ケース20内のうち、電極体30の電極体幅方向GHの両側にそれぞれ配置されている(図10及び図11参照)。また、これらのスペーサ280は、実施形態1の弾性スペーサ80と同様に、電極体30の平板積層部30hよりも若干面積の広い(軸線方向EH及び電極体幅方向GHの寸法がそれぞれ大きい)矩形板状であり、平板積層部30hに重なって平板積層部30h外に配置されている。
このスペーサ280は、EPDMから形成されており、圧縮弾性率は0.10GPaである。このスペーサ280は、電池縦方向DHに延び電池横方向CHに交互に並ぶストライプ状で、相対的に厚みが厚い複数の厚部280aと、この厚部280aよりも厚みが薄い複数の薄部280bとからなる。各々の厚部280aは、幅5.0mm、厚み0.655mmである。また、各々の薄部280bは、幅5.0mm、厚み0.40mmである。
ここで、電極体30の平板積層部30h内の負極活物質層43のうち、スペーサ280の厚部280aと積層方向FHに重なる部位を第1部位43a、薄部280bと積層方向FHに重なる部位を第2部位43bとする。第1部位43aの面積Saと第2部位43bの面積Sbは、0.67≦Sa/Sb≦1.5を満たしている。具体的には、本実施形態2では、スペーサ280の厚部280aと薄部280bは、前述のように幅が等しく交互に配置されているので、第1部位43aの面積Saと第2部位43bの面積Sbは等しい(Sa/Sb=1.0)。
また、スペーサ280の厚部280aは、電池210を圧縮定寸状態下で充放電させたときに第1部位43aを押圧する。一方、スペーサ280の薄部280bは、十分に薄いため、電池210を圧縮定寸状態下で充放電させたとき、電極体30に当接せず、第2部位43bを押圧しない。
まず、第1部位43aについて説明する。第1部位43aにおける、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の総厚みTfcは、Tfc=3.18mmである。
また、第1部位43aにおける、圧縮定寸状態でかつSOC100%時の負極活物質層43の総厚みTfdは、Tfd=3.23mmである。
また、圧縮定寸状態における第1部位43aの総厚み変化率Atを、At=(Tfd−Tfc)/Tfcとする。本実施形態2では、At=0.017(1.7%)である。
また、第1部位43aにおける、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の体積Vrcは、自然状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の体積Vraに等しいと考えることができ、Vrc=Vra=0.0319mm3/mm2 である。
また、第1部位43aにおける、圧縮定寸状態でかつSOC100%時の負極活物質粒子の体積Vrdは、自由状態でかつSOC100%時の負極活物質粒子の体積Vrbに等しいと考えることができ、Vrb=Vrd=0.0351mm3/mm2 である。
また、圧縮定寸状態における第1部位43aの負極活物質粒子の体積変化率Bvを、Bv=(Vrd−Vrc)/Vrcとする。本実施形態2では、Bv=0.10(10%)である。
また、第1部位43aにおける、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の見かけの体積Vfcは、Vfc=Vfa×Tfc/Tfaにより求めることができる。本実施形態2では、Vfc=0.0530mm3/mm2 である。
また、第1部位43aにおける、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の充填率Dcを、Dc=Vrc/Vfc=Vra/Vfcとする。本実施形態2では、Dc=0.60(60%)である。
従って、負極活物質層43の第1部位43aにおいては、At<Bv×Dcを満たしている。
次に、第2部位43bについて説明する。前述のように第2部位43bは、スペーサ280によって押圧されないので、第2部位43bにおける、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の総厚みTfc’は、自由状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の総厚み(=Tfa)と等しく、Tfc’=Tfa=3.30mmである。
また、第2部位43bにおける、圧縮定寸状態でかつSOC100%時の負極活物質層43の総厚みTfd’は、自由状態でかつSOC100%時の負極活物質層43の総厚み(=Tfb)と等しく、Tfd’=Tfb=3.63mmである。
また、圧縮定寸状態における第2部位43bの総厚み変化率At’は、At’=(Tfd’−Tfc’)/Tfc’より、At’=0.10(10%)である。
また、第2部位43bにおける、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の体積(=Vrc)、及び、自然状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の体積(=Vra)は、第1部位43aと同様であり、Vrc=Vra=0.0319mm3/mm2 である。
また、第2部位43bにおける、圧縮定寸状態でかつSOC100%時の負極活物質粒子の体積(=Vrd)、及び、自由状態でかつSOC100%時の負極活物質粒子の体積(=Vrb)も、第1部位43aと同様であり、Vrd=Vrb=0.0351mm3/mm2 である。
従って、圧縮定寸状態における第2部位43bの負極活物質粒子の体積変化率Bv’も、第1部位43aの体積変化率Bvに等しく、Bv’=Bv=0.10(10%)である。
また、第2部位43bにおける、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質層43の見かけの体積Vfc’は、Vfc’=Vfa×Tfc’/Tfaより、Vfc’=0.0550mm3/mm2 である。
また、第2部位43bにおける、圧縮定寸状態でかつSOC0%時の負極活物質粒子の充填率Dc’は、Dc’=Vrc/Vfc’=Vra/Vfc’より、Dc’=0.58(58%)である。
従って、負極活物質層43の第2部位43bにおいては、At’>Bv’×Dc’の関係となっている。
以上で説明したように、この電池210では、電池ケース20内のうち平板積層部30hに重なって平板積層部30h外に配置され、厚部280aと薄部280bとを有するスペーサ280を備える。このスペーサ280は、その厚部280aがAt<Bv×Dcを満たし、薄部280bが電池210を圧縮定寸状態下で充放電させた場合に第2部位43bを押圧せず、かつ、0.67≦Sa/Sb≦1.5を満たす形態を有する。
この電池210では、平板積層部30h内の負極活物質層43全体で見たときに、充放電に伴って負極活物質層43の空隙容積Vic(Vid)が増減するのを抑制できる。即ち、充電により負極活物質粒子が膨張して、負極活物質層43の厚みが増すと、スペーサ280の厚部280aが負極活物質層43の第1部位43aで押圧されることで生じる強い反力により、第1部位43aにおける厚みの増加が抑制される。この第1部位43aはAt<Bv×Daを満たすので、空隙容積Vicが減少して(負極活物質粒子の膨張分の一部が空隙容積Vicの減少でまかなわれて)、電解液27が排出される。
一方で、スペーサ280の薄部280bでは反力を生じないので、負極活物質層43の第2部位43bにおいては厚みの増加が抑制されない。このため、第2部位43bでは、空隙容積Vicは増加して、電解液27が吸収される。かくして、平板積層部30h内の負極活物質層43全体で見ると、第1部位43aにおける空隙容積Vicの減少分と第2部位43bにおける空隙容積Vicの増加分とが相殺されるので、空隙容積Vicの変化が抑制される。従って、この電池210では、充放電に伴って電解液27が負極活物質層43から出入りするのを抑制でき、充放電を繰り返し行ったときに電池210の内部抵抗が増加するのを抑制できる。
(実施例及び比較例)
次いで、実施形態1,2に係る電池10,210の効果を検証するために行った試験の結果について説明する。
実施例1として、実施形態1に係る電池10を用意した。この電池10では、前述のように、電極体30と電池ケース20との間に弾性スペーサ80を配置している。
また、実施例2として、実施形態2に係る電池210を用意した。この電池210では、前述のように、電極体30と電池ケース20との間にスペーサ280を配置している。
一方、比較例として、電極体と電池ケースとの間に弾性スペーサ80もスペーサ280も配置せず、それ以外は実施例1,2の電池10,210と同様な形態とした電池を用意した。
次に、実施例1,2及び比較例の各電池について、「充放電サイクル試験」を行って、充放電のサイクル数と電池の内部抵抗との関係を調査した。具体的には、各電池をそれぞれ拘束部材で外部から電池厚み方向BHに剛に拘束して圧縮定寸状態とした。そして、各電池をSOC60%に充電した。次に、これらの電池について、25℃の環境温度下で、10Cで10秒間放電し、10秒間休止した。その後、2.5Cで40秒間充電し、10秒間休止した。この充放電を1サイクルとして、充放電を繰り返した。そして、60サイクル後、2640サイクル後、3840サイクル後、5040サイクル後、6240サイクル後に、各電池の内部抵抗をそれぞれ測定した。その結果を図12に示す。なお、縦軸の内部抵抗は、充放電サイクル試験前の内部抵抗を基準(100%)として記載してある。
図12から判るように、実施例1,2の各電池では、比較例の電池に比して、充放電サイクルの繰り返しによる内部抵抗の増加が抑制された。例えば、内部抵抗が初期の2割増しに達するまでのサイクル数が、比較例の電池では約3000サイクルであったのに対し、実施例1,2の各電池では、その約2倍の約6000サイクルであった。
その理由は、以下であると考えられる。即ち、比較例の電池は、弾性スペーサ80やスペーサ280を有しないので、拘束部材により剛に拘束された圧縮定寸状態では、充放電を行っても負極活物質層43の厚みは増減しない(負極活物質層43の厚みも定寸である)。このため、充電により負極活物質粒子が膨張すると、その分だけ負極活物質層43の空隙容積が減少する。すると、負極活物質層43の空隙内に満たされていた電解液27が空隙容積が減少した分だけ負極活物質層43から流出する。一方、放電により負極活物質粒子が収縮すると、その分だけ負極活物質層43の空隙容積が増加する。すると、空隙容積が増加した分だけ電解液27が負極活物質層43内に流入する。このため、充放電サイクルを繰り返し行うと、電解液27に濃度分布が生じ、電池の内部抵抗が大きく増加したと考えられる。
これに対し、実施例1の電池10では、弾性スペーサ80を有するので、圧縮定寸状態下で電池10を充放電させたときに、充放電に伴って負極活物質粒子が膨張収縮しても、その分だけ負極活物質層43の厚みも増減する。従って、充放電を行っても負極活物質層43の空隙容積Vicが一定に保たれるので、充放電に伴って電解液27が負極活物質層43から出入り(排出/吸収)するのを抑制できる。よって、電池10の内部抵抗が増加するのを抑制できたと考えられる。
また、実施例2の電池210では、充電により負極活物質粒子が膨張して、負極活物質層43の厚みが増すと、スペーサ280の厚部280aにより第1部位43aにおける厚みの増加が抑制される。この第1部位43aはAt<Bv×Daを満たすので、空隙容積Vicが減少して、電解液27が排出される。一方で、スペーサ280の薄部280bでは反力を生じないので、第2部位43bにおいては厚みの増加が抑制されない。このため、第2部位43bでは、空隙容積Vicは増加して、電解液27が吸収される。かくして、平板積層部30h内の負極活物質層43全体で見ると、第1部位43aにおける空隙容積Vicの減少分と第2部位43bにおける空隙容積Vicの増加分とが相殺されるので、空隙容積Vicの変化が抑制される。従って、充放電に伴って電解液27が負極活物質層43から出入りするのを抑制でき、電池210の内部抵抗が増加するのを抑制できたと考えられる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態1,2では、弾性スペーサ80またはスペーサ280を、電池ケース20内のうち電極体30の平板積層部30hに重ねて平板積層部30h外に配置する形態を例示したが、これに限られない。弾性スペーサやスペーサは、電極体の平板積層部内に配置することもできる。
また、実施形態1,2では、弾性スペーサ80またはスペーサ280を電極体30の電極体厚み方向FHの両側にそれぞれ配置したが、これに限られない。弾性スペーサやスペーサは、電極体の電極体厚み方向GHの片側のみに配置してもよい。
また、実施形態2では、樹脂からなるスペーサ280を例示したが、これに限られず、弾性材以外の材質からなるものを用いることもできる。スペーサの材質としては、例えば、銅やアルミニウムなどの金属や、アルミナなどのセラミックや、ガラスが挙げられる。
10,210 電池
20 電池ケース
27 電解液
30 電極体
30h 平板積層部
31 正極板(第2電極板)
32 正極電極箔(第2電極箔)
33 正極活物質層(第2活物質層)
41 負極板(第1電極板)
42 負極電極箔(第1電極箔)
43 負極活物質層(第1活物質層)
43a 第1部位
43b 第2部位
51 セパレータ
80 弾性スペーサ
100 組電池
110 拘束部材
280 スペーサ
280a 厚部
280b 薄部
FH 電極体厚み方向(積層方向)

Claims (4)

  1. 第1電極箔、及び、この上に形成され充放電に伴って膨張収縮する第1活物質粒子を含む多孔質の第1活物質層を有する第1電極板と、第2電極箔、及び、この上に形成された第2活物質層を有する第2電極板と、セパレータとを有し、前記第1活物質層及び前記第2活物質層が前記セパレータを介して互いに平板状に重なる平板積層部を有する電極体、及び、
    前記電極体を収容する電池ケース、を備える
    電池であって、
    前記平板積層部内に配置され、または、前記電池ケース内のうち前記平板積層部に重なって前記平板積層部外に配置され、弾性材からなる1又は複数層の弾性スペーサを備え、
    前記弾性スペーサは、
    前記平板積層部及び前記弾性スペーサが前記電池ケースを介して前記平板積層部の積層方向に圧縮され、かつ、前記電池ケースの前記積層方向の寸法が定寸に保たれた圧縮定寸状態下で、前記電池を充放電させても、前記第1活物質層の空隙容積Vicが一定に保たれる圧縮弾性率Ks及び自由総厚みTsaを有する
    電池。
  2. 請求項1に記載の電池であって、
    前記平板積層部において前記積層方向に重なる前記第1活物質層の総厚みのうち、前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時の総厚みをTfc、前記圧縮定寸状態でかつSOC100%時の総厚みをTfd、前記圧縮定寸状態における前記第1活物質層の総厚み変化率Atを、At=(Tfd−Tfc)/Tfcとし、
    前記第1活物質層の単位面積あたりの前記第1活物質粒子の体積のうち、前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時の体積をVrc、前記圧縮定寸状態でかつSOC100%時の体積をVrd、前記圧縮定寸状態における前記第1活物質粒子の体積変化率Bvを、Bv=(Vrd−Vrc)/Vrcとし、
    前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時における、前記第1活物質層の単位面積あたりの前記第1活物質層の見かけの体積をVfc、前記第1活物質層中の前記第1活物質粒子の充填率Dcを、Dc=Vrc/Vfcとしたとき、
    前記弾性スペーサは、
    At=Bv×Dcを満たす前記圧縮弾性率Ks及び前記自由総厚みTsaを有する
    電池。
  3. 請求項2に記載の電池であって、
    前記第1活物質層の前記総厚みのうち、自由状態でかつSOC0%時の総厚みをTfa、自由状態でかつSOC100%時の総厚みをTfbとし、
    SOC0%時の前記第1活物質層の圧縮弾性率をKfaとしたとき、
    前記弾性スペーサは、
    Tsa/Ks=(Bv×Dc×Tfc)/(Tfb−Tfa−Bv×Dc×Tfc)×(Tfa/Kfa)
    を満たす前記圧縮弾性率Ks及び前記自由総厚みTsaを有する
    電池。
  4. 第1電極箔、及び、この上に形成され充放電に伴って膨張収縮する第1活物質粒子を含む多孔質の第1活物質層を有する第1電極板と、第2電極箔、及び、この上に形成された第2活物質層を有する第2電極板と、セパレータとを有し、前記第1活物質層及び前記第2活物質層が前記セパレータを介して互いに平板状に重なる平板積層部を有する電極体、及び、
    前記電極体を収容する電池ケース、を備える
    電池であって、
    前記平板積層部内に配置され、または、前記電池ケース内のうち前記平板積層部に重なって前記平板積層部外に配置され、厚みが厚い厚部と、この厚部よりも厚みが薄い薄部とを有する1又は複数層のスペーサを備え、
    前記平板積層部内の前記第1活物質層のうち、前記厚部と前記積層方向に重なる部位を第1部位、前記薄部と前記積層方向に重なる部位を第2部位とし、
    前記第1部位の総厚みのうち、前記平板積層部及び前記スペーサの前記厚部が前記電池ケースを介して前記積層方向に圧縮され、前記電池ケースの前記積層方向の寸法が定寸に保たれた圧縮定寸状態で、かつ、SOC0%時の総厚みをTfc、前記圧縮定寸状態でかつSOC100%時の総厚みをTfd、前記圧縮定寸状態における前記第1部位の総厚み変化率Atを、At=(Tfd−Tfc)/Tfcとし、
    前記第1部位の単位面積あたりの前記第1活物質粒子の体積のうち、前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時の体積をVrc、前記圧縮定寸状態でかつSOC100%時の体積をVrd、前記圧縮定寸状態における前記第1活物質粒子の体積変化率Bvを、Bv=(Vrd−Vrc)/Vrcとし、
    前記圧縮定寸状態でかつSOC0%時における、前記第1部位の単位面積あたりの前記第1部位の見かけの体積をVfc、前記第1部位中の前記第1活物質粒子の充填率Dcを、Dc=Vrc/Vfcとしたとき、
    前記スペーサは、前記電池を前記圧縮定寸状態下で充放電させた場合に、
    前記厚部が、At<Bv×Dcを満たし、
    前記薄部が、前記第2部位を押圧せず、かつ、
    前記第1部位の面積Sa及び前記第2部位の面積Sbが、0.67≦Sa/Sb≦1.5を満たす、形態を有する
    電池。
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