JP2014215187A - ペプチドの解析法 - Google Patents
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Abstract
【課題】MS/MSイオンサーチにより高いスコアが得られ同定率の向上したペプチドの解析法を提供する。とりわけ、翻訳後修飾ペプチドの同定率向上のために有用なペプチドの解析法を提供する。【解決手段】解析すべきペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与する工程と、前記塩基が付与されたペプチド鎖を質量分析に供し、MSn(n≧2)解析を行う工程と、MSn(n≧2)解析により得られたフラグメントイオンデータと、アミノ酸配列データベースとの照合を行う工程とを含む、ペプチド解析法。前記解析すべきペプチドは、翻訳後修飾が付加していてもよい。【選択図】図3
Description
本発明は、ライフサイエンス分野及び質量分析分野に属する。具体的には、本発明は、ペプチドの質量分析による解析法に関する。特に本発明は、翻訳後修飾ペプチドの同定率向上のために有用なペプチドの質量分析による解析法に関する。
糖ペプチドの構造解析においては、MALDI−MS/MSによって糖鎖構造解析を行い、MS3解析により糖鎖に結合しているペプチド鎖の配列情報の取得を行う。例えば、Nature Protocols, Vol.6, 253-269 (2011)(非特許文献1)によれば、生体サンプルの解析を行うに際して、まず、二次元クロマトグラフィによりタンパク質をある程度分離精製し、トリプシン(Trypsin)消化の後、LC−MS/MSでフラクションごとのタンパク質の同定を行う。その後に、MALDI−MS/MS、及びMALDI−MS3解析により糖ペプチドの配列情報由来のフラグメントを取得し、LC−MS/MSで同定したタンパク質の情報と組み合わせて糖ペプチドの同定を行う。データベースとの照合・検索によるアミノ酸配列同定手法は、MS/MSイオンサーチ法と呼ばれている。
上記のMALDI−MS/MS、及びMALDI−MS3解析については、糖ペプチドをMS/MSに供して糖鎖開裂由来のフラグメントイオンを検出し、N−グリカン結合ペプチドの特徴的な開裂を示すトリプレットピーク(120Da及び83Daの質量差で出現する3本のピーク)によって、GlcNAcのみが結合した糖ペプチドのイオンを認識し、このイオンをプリカーサイオンとしてMS3に供してペプチド鎖開裂由来のフラグメントイオンを検出することによって、ペプチド配列情報を取得する。
Hong Wang, Chee-Hong Wong, Alice Chin, Ayumu Taguchi, Allen Taylor, Samir Hanash, Sadanori Sekiya, Hidenori Takahashi, Masaki Murase, Shigeki Kajihara, Shinichi Iwamoto and Koichi Tanaka. "Integrated mass spectrometry-based analysis of plasma glycoproteins and their glycan modifications", Nature Protocols, Vol.6, 253-269 (2011)
図1は、上記のMALDI−MS/MS、及びMALDI−MS3解析を説明するための図であって、トリプシン消化物由来糖ペプチドについて模式的に表す。図1において、MS測定において検出される糖ペプチドイオンすなわち分子量関連イオン(A)、MS測定によって得られたスペクトル(a)、分子量関連イオン(A)をプリカーサとして実施したMS/MS測定における糖ペプチドイオンの開裂(B)、MS/MS測定によって得られたスペクトル(b)、MS/MS測定において得られた、ペプチド鎖に糖が1個結合した構造を有する糖ペプチドプロダクトイオンをプリカーサとして実施したMS3測定における糖ペプチドイオンの開裂(C)、及びMS3測定によって得られたスペクトル(c)を示す。図1においては、糖鎖部分、及びペプチド鎖部分を模式的に示しており、C末端側のみにリジン(K)残基もしくはアルギニン(R)残基が存在する。
(B)に示すように、モバイルプロトンはMS/MS測定において糖鎖部分に移動し、開裂に必要なプロトンが糖鎖部分に供給される。その結果、(b)に示すように、MS/MS解析では糖鎖開裂由来のフラグメントイオンを得て、糖鎖構造の解析が可能になる。さらに(C)に示すように、モバイルプロトンはMS3測定においてペプチド部分に移動し、開裂に必要なプロトンがペプチド鎖部分に供給される。その結果、(c)に示すように、MS3解析ではペプチド鎖開裂由来のフラグメントイオンを得て、アミノ酸配列の解析が可能になる。
糖ペプチドのMALDI−MS3解析のフラグメントデータからMS/MSイオンサーチを行ってもスコアが低く同定に至らないという問題がある。このため、上記非特許文献1では、前もって二次元クロマトグラフィによりタンパクを単離して、消化した後、LC−MS/MSでタンパク質同定を行わなければならない。ここで、スコアとは、MS/MSイオンサーチにおいて、試料イオンと、データベース中のペプチドとの一致度を表す数値であり、スコアが高いほど、その一致度が高いことを表している。
図1(C)を参照して、例えば、トリプシンを用いた消化物由来糖ペプチドのMALDI−MS3スペクトルでは、C末端側のみにリジン(K)残基もしくはアルギニン(R)残基が存在するため、出現するイオン種がy系列に偏りやすい。そのため、配列情報に起因するイオン種が少なくなり、結果としてMS/MSイオンサーチのスコアが低くなる傾向がある。さらに、糖鎖結合位置がC末端側に近い場合、GlcNAcはMS/MSで外れやすいため、GlcNAcの外れたフラグメントイオンが増加してフラグメントイオンが複雑となり、結果としてスコアがさらに低下して、ペプチド配列及び翻訳後結合位置の同定が困難となる問題がある。
そこで、本発明の目的は、MS/MSイオンサーチにより高いスコアが得られ同定率の向上したペプチドの解析法を提供することにある。とりわけ、本発明の目的は、翻訳後修飾ペプチドの同定率向上のために有用なペプチドの解析法を提供することにある。
本発明者らは、解析すべきペプチド鎖の末端に塩基を付与し、前記塩基が付与されたペプチド鎖を質量分析に供することにより、MS/MSイオンサーチのスコアが向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明を含む。
(1)解析すべきペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与する工程と、
前記塩基が付与されたペプチド鎖を質量分析に供し、MSn (n≧2)解析を行う工程と、
MSn (n≧2)解析により得られたフラグメントイオンデータと、アミノ酸配列データベースとの照合を行う工程とを含む、ペプチド解析法。
(1)解析すべきペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与する工程と、
前記塩基が付与されたペプチド鎖を質量分析に供し、MSn (n≧2)解析を行う工程と、
MSn (n≧2)解析により得られたフラグメントイオンデータと、アミノ酸配列データベースとの照合を行う工程とを含む、ペプチド解析法。
ここで、ペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与するとは、N末端又はC末端に塩基を含む修飾試薬(すなわち、ラベル化剤)を導入すること、あるいは、N末端又はC末端の塩基性を高めることをも含む意味である。
また、質量分析におけるMSn (nは2以上の整数)分析は当業者によく知られている。質量分析装置によって行われる分析において、試料の1回目の分析をMS分析とし、MS分析において得られたスペクトルのイオンピークから特定のイオンを選択し、選択された特定のイオンをプリカーサイオンとして2回目の分析を行うことをMS/MS分析又はMS2分析と表記する。同様に、MS2分析において得られたスペクトルのイオンピークから特定のイオンを選択し、選択された特定のイオンをプリカーサイオンとして3回目の分析を行うことをMS3分析と表記する。同様に、MSn-1分析において得られたスペクトルのイオンピークから特定のイオンを選択し、選択された特定のイオンをプリカーサイオンとしてn回目の分析を行うことをMSn分析と表記する。
(2)前記解析すべきペプチドは、翻訳後修飾が付加しているものである、上記(1)に記載のペプチド解析法。
(3)前記翻訳後修飾が、糖、糖鎖、シトルリン残基、ニトロシル基、ニトロ基、硫酸化又はリン酸基である、上記(2)に記載のペプチド解析法。
(4)前記糖鎖が、N結合型糖鎖である、上記(3)に記載のペプチド解析法。
(5)前記塩基を付与する工程は、アミノ基を標的として行われる、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のペプチド解析法。
(6)前記アミノ基は、α−アミノ基である、上記(5)に記載のペプチド解析法。
(7)前記解析すべきペプチドは、タンパク質のトリプシン、LysC、又はArgCを用いた消化物である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のペプチド解析法。
(8)前記質量分析を、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)法を用いて行う、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のペプチド解析法。
本発明において、解析すべきペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与し、前記塩基が付与されたペプチド鎖を質量分析に供する。N末端又はC末端に塩基が付与されたペプチド鎖を質量分析に供すると、フラグメントイオンの強度が高くなり、MS/MSイオンサーチにより高いスコアが得られ、ペプチドの同定率が向上する。これによりペプチド鎖のアミノ酸配列を決定することができ、消化前の元のタンパク質を同定することができる。
ペプチド鎖のN末端に塩基を導入する場合、タンパク質のプロテアーゼ処理により生成したペプチド鎖には、切断により生じたN末端にα−アミノ基が出現するため、N末端α−アミノ基に、塩基を含むラベル化剤により塩基が付加される。そうすると、MS/MSフラグメントにおいてN末端の塩基にプロトンが付加するため、y系列のイオンに加えてb系列のイオンも出現するようになる。その結果、配列情報を含むイオン種が増加するためMS/MSイオンサーチによりスコアが高くなり、より正確なペプチドの同定及びタンパク質同定を行うことができる。
また、解析すべきペプチドが糖鎖付加ペプチドであり、その糖鎖結合位置がC末端側に偏っている場合は、b系列のイオンは糖鎖の脱落したイオンがほとんど出現しないため、配列決定に有効なフラグメントイオンを補完することができる。
このように、本発明によれば、MS/MSイオンサーチにより高いスコアが得られ同定率の向上したペプチドの解析法が提供される。とりわけ、本発明は、解析すべきペプチドが翻訳後修飾ペプチドの場合に有用である。
[1.解析対象ペプチド]
本発明において、解析対象とされるペプチドには、翻訳後修飾が付加していない通常のペプチド、及び翻訳後修飾が付加しているペプチドの両者が含まれる。前記翻訳後修飾としては、糖、糖鎖、リン酸化、硫酸化、アルキル化、カルバミル化、ニトロシル化、ニトロ化、シトルリン残基化等が含まれる。前記糖鎖としては、O結合型糖鎖(セリン残基又はスレオニン残基結合型)、及びN結合型糖鎖(アスパラギン残基結合型)が含まれる。本発明は、複雑な構造であるN結合型糖鎖にも、好適に適用される。
本発明において、解析対象とされるペプチドには、翻訳後修飾が付加していない通常のペプチド、及び翻訳後修飾が付加しているペプチドの両者が含まれる。前記翻訳後修飾としては、糖、糖鎖、リン酸化、硫酸化、アルキル化、カルバミル化、ニトロシル化、ニトロ化、シトルリン残基化等が含まれる。前記糖鎖としては、O結合型糖鎖(セリン残基又はスレオニン残基結合型)、及びN結合型糖鎖(アスパラギン残基結合型)が含まれる。本発明は、複雑な構造であるN結合型糖鎖にも、好適に適用される。
本発明において、解析対象とされるペプチドは、通常、同定したいタンパク質の酵素消化物である。消化に用いられる酵素は、特に限定されるものではないが、本発明は、解析対象とされるペプチドが、トリプシン、LysC、又はArgCを用いた消化物である場合にも好適に適用される。解析対象とされるペプチドが、トリプシン、LysC、又はArgCを用いた消化物である場合には、C末端側のみにリジン(K)残基もしくはアルギニン(R)残基が存在する。そのため、消化物由来ペプチドのMALDI−MS3スペクトルでは、出現するイオン種がy系列に偏りやすい。しかしながら、本発明によれば、このような場合にも、b系列イオン種を出現させることができ、結果としてMS/MSイオンサーチのスコアを高くすることができる。
[2.塩基の付与]
まず、解析対象とされるペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与する。ここで、ペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与するとは、N末端又はC末端に塩基を含む修飾試薬(すなわち、ラベル化剤)を導入すること、あるいは、N末端又はC末端の塩基性を高めることをも含む意味である。
まず、解析対象とされるペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与する。ここで、ペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与するとは、N末端又はC末端に塩基を含む修飾試薬(すなわち、ラベル化剤)を導入すること、あるいは、N末端又はC末端の塩基性を高めることをも含む意味である。
ペプチド鎖のN末端に塩基を導入する場合、タンパク質のプロテアーゼ処理により生成したペプチド鎖には、切断により生じたN末端にα−アミノ基が出現するため、N末端α−アミノ基に、塩基を含むラベル化剤を反応させることにより塩基が付加される。
塩基を含むラベル化剤としては、特に限定されるものではないが、サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のタンデムマスタグ試薬 (TMT;Tandem Mass Tag Reagent) を用いることができる。TMTは、マスレポーター(Mass reporter)部と、開裂リンカー(Cleavable linker)部と、マスノーマライザー(Mass normalizer)部と、反応基(Reactive group)とから構成されている化合物である。開裂リンカー(Cleavable linker)部は、MS/MS分析において優先的に切断され、レポーターイオン(Mass reporter ion)を生成する。反応基(Reactive group)は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)活性エステルであり、ペプチド鎖のアミノ基に対して高い効率で反応し脱離する。ペプチド鎖N末端のα−アミノ基とアミド結合が形成される。
TMT:
N-succinimidyl 4-aza-6-(2,6-Dimethyl-1-piperidinyl)-5-oxohexanoate
N-succinimidyl 4-aza-6-(2,6-Dimethyl-1-piperidinyl)-5-oxohexanoate
上記TMTに限らず、ペプチド鎖のN末端α−アミノ基に、塩基を導入し得る試薬を用いることができる。例えば、iTRAQ(登録商標)試薬、4−アミノベンゾイルオキシスクシンイミド(4-midinobenzoyloxysuccinimide)、5-FAM Succinimidylester、ダンシルクロライドなどが挙げられる。
上記のようにペプチド鎖のN末端に塩基を導入する場合の他に、ペプチド鎖のN末端の塩基性を高くするには、例えば、N末端α−アミノ基のHをアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)で置換してアミノ基自体の塩基性を高くしてもよい。
ペプチド鎖のC末端に塩基を導入する場合、例えば、脱水縮合剤(WSC:水溶性カルボジイミド(Water Soluble Carbodiimide)など)を用いてジラールD試薬(N,N−ジメチルグリシンヒドラジド・塩酸塩)を反応させると、C末端のカルボキシル基に三級アミンを付与することができる。
あるいは、ペプチド鎖のN末端又はC末端の側鎖アミノ基に塩基を導入することも考えられる。例えば、リジン残基のε−アミノ基への塩基の導入が考えられる。また、アルギニン側鎖のグアジニノ基をアセチルアセトンなどで修飾し、修飾後に生じたアミノ基に塩基導入ラベル化反応を行うことも考えられる。
塩基の付与における反応条件は、当業者が適宜決定することができる。
プロトコルとしては、同定したいタンパク質を酵素(例えば、トリプシン、LysC、又はArgC)を用いて消化して、消化物ペプチド混合物を得る。消化物ペプチド混合物をサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を用いて精製を行う。消化物ペプチドの分取を行い、得られたペプチドをNaHCO3に溶解する。この溶液に塩基を含む修飾試薬溶液(例えば、TMT溶液)を加え、例えば超音波処理によって反応させる。この反応溶液をZip−Tip処理や逆相クロマトグラフィによって脱塩精製し、その後、マトリックス(例えば、DHB)溶液と混合し、以下に説明するMALDI−MS,MALDI−MS/MS,MALDI−MS3解析を行う。
プロトコルとしては、同定したいタンパク質を酵素(例えば、トリプシン、LysC、又はArgC)を用いて消化して、消化物ペプチド混合物を得る。消化物ペプチド混合物をサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)を用いて精製を行う。消化物ペプチドの分取を行い、得られたペプチドをNaHCO3に溶解する。この溶液に塩基を含む修飾試薬溶液(例えば、TMT溶液)を加え、例えば超音波処理によって反応させる。この反応溶液をZip−Tip処理や逆相クロマトグラフィによって脱塩精製し、その後、マトリックス(例えば、DHB)溶液と混合し、以下に説明するMALDI−MS,MALDI−MS/MS,MALDI−MS3解析を行う。
[3.質量分析]
上記の方法によって得られた塩基が付与されたペプチドを質量分析工程MSn (nは2以上の整数)に供する。ペプチドが糖ペプチドの場合には、質量分析工程においては、糖鎖開裂由来のフラグメントイオンと、ペプチド鎖開裂由来のフラグメントイオンとを得る。
上記の方法によって得られた塩基が付与されたペプチドを質量分析工程MSn (nは2以上の整数)に供する。ペプチドが糖ペプチドの場合には、質量分析工程においては、糖鎖開裂由来のフラグメントイオンと、ペプチド鎖開裂由来のフラグメントイオンとを得る。
[3−1.イオン化法]
質量分析におけるイオン化法としては、具体的には、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization; MALDI)法及びエレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization; ESI)法が挙げられる。マトリックスとしては、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸(3−CHCA)、3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸(3H4NBA)、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(4−CHCA)、2,5−ジヒドロ安息香酸(DHB)等が用いられる。
質量分析におけるイオン化法としては、具体的には、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization; MALDI)法及びエレクトロスプレーイオン化(Electrospray ionization; ESI)法が挙げられる。マトリックスとしては、α−シアノ−3−ヒドロキシケイ皮酸(3−CHCA)、3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸(3H4NBA)、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(4−CHCA)、2,5−ジヒドロ安息香酸(DHB)等が用いられる。
[3−2.開裂法]
質量分析における開裂法としては、具体的にはポストソース型である。イオン化法に応じて当業者によって適宜選択されるが、より具体的には、ポストソース分解(Post Source Decay; PSD)、衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation; CID)、高エネルギー衝突解離(High energy Collision Dissociation; HCD)、赤外多光子解離(infraredmultiphoton dissociation;IRMPD)、及び光誘起解離(photo-induced dissociation;PID)によるものが挙げられる。
質量分析における開裂法としては、具体的にはポストソース型である。イオン化法に応じて当業者によって適宜選択されるが、より具体的には、ポストソース分解(Post Source Decay; PSD)、衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation; CID)、高エネルギー衝突解離(High energy Collision Dissociation; HCD)、赤外多光子解離(infraredmultiphoton dissociation;IRMPD)、及び光誘起解離(photo-induced dissociation;PID)によるものが挙げられる。
CID、HCD、IRMPD及びPIDを実施可能な質量分析装置としては、衝突室、又は、衝突室の機能を持つ四重極、イオントラップ、もしくはHCDコリジョンセルを有する質量分析装置が挙げられる。具体的には、イオントラップ型質量分析計、三連四重極型質量分析計、四重極飛行時間型質量分析計、四重極−イオントラップ型質量分析計、四重極−フーリエ変換型質量分析計、四重極−オービトラップ型質量分析計が挙げられる。PSDを実施可能な質量分析装置としては、具体的には飛行時間型質量分析計が挙げられる。
[3−3.質量分析適用例]
本発明において、質量分析及びMS/MSイオンサーチは、とりわけ糖ペプチドの構造解析に適用されることが好ましい。糖ペプチド構造解析においては、アミノ酸配列決定及び/又は糖鎖配列決定が行われる。一方、本発明の質量分析及びMS/MSイオンサーチは、糖ペプチドの構造解析を行わない分析にも適用されることができる。そのような分析としては、Multiple Reaction Monitoring (MRM)による定量等、種々の定量分析が挙げられる。
本発明において、質量分析及びMS/MSイオンサーチは、とりわけ糖ペプチドの構造解析に適用されることが好ましい。糖ペプチド構造解析においては、アミノ酸配列決定及び/又は糖鎖配列決定が行われる。一方、本発明の質量分析及びMS/MSイオンサーチは、糖ペプチドの構造解析を行わない分析にも適用されることができる。そのような分析としては、Multiple Reaction Monitoring (MRM)による定量等、種々の定量分析が挙げられる。
[3−4.糖鎖開裂由来フラグメントイオン]
[3−4−1.糖鎖開裂由来フラグメントイオンの具体例]
糖鎖開裂由来フラグメントイオンは、分子量関連イオンから生じる。糖鎖開裂由来のフラグメントイオンは、分子量関連イオンのペプチド鎖全体を少なくとも含む。ペプチド鎖全体を少なくとも含むプロダクトイオンは、分子量関連イオンのペプチド鎖部分で切断が生じていないプロダクトイオンであり、分子量関連イオンにおけるアミノ酸残基数と同じ数のアミノ酸残基を有する。
[3−4−1.糖鎖開裂由来フラグメントイオンの具体例]
糖鎖開裂由来フラグメントイオンは、分子量関連イオンから生じる。糖鎖開裂由来のフラグメントイオンは、分子量関連イオンのペプチド鎖全体を少なくとも含む。ペプチド鎖全体を少なくとも含むプロダクトイオンは、分子量関連イオンのペプチド鎖部分で切断が生じていないプロダクトイオンであり、分子量関連イオンにおけるアミノ酸残基数と同じ数のアミノ酸残基を有する。
ペプチド鎖全体を少なくとも含むプロダクトイオンの具体例として、まず、糖鎖構造を決定するためのプロダクトイオンが挙げられる。これは、分子量関連イオンにおける構成糖間の結合が切断されることにより生じるものであり、ペプチド鎖に糖が1個、2個、3個、及び/又は(n−1)個(nは分子量関連イオンが有する構成糖の数を表す整数)結合した構造を有する糖ペプチドプロダクトイオンである。このような糖ペプチドプロダクトイオンにおいては、糖の環構造が開裂していてもよい。好ましい態様においては、糖鎖部分から構成糖が1個ずつ脱落し構成糖間のすべての結合が切断されることにより、糖鎖構造決定に必要なすべてのプロダクトイオンを得ることができる。
ペプチド鎖全体を少なくとも含むプロダクトイオンの具体例として、次に、ペプチド鎖に糖が1個結合した構造を有する糖ペプチドプロダクトイオンを識別するための指標となるプロダクトイオンが挙げられる。具体的には、ペプチド鎖に糖(一例を挙げるとN−アセチルグルコサミン)が1個結合したプロダクトイオンの低質量側に検出されうる、当該糖が環開裂した構造がペプチド鎖に結合したプロダクトイオン、及び糖鎖を含まないペプチド鎖のみからなるプロダクトイオンである。
ペプチド鎖に糖が1個結合した構造を有する糖ペプチドプロダクトイオンと、その低質量側の2種のプロダクトイオンとを含む合計3種のプロダクトイオンが、トリプレットピークとして、特定の質量差で生じる特徴的なパターンで検出されうる。この特徴的なパターンで検出されたトリプレットピークを指標として、ペプチド鎖に糖が1個結合した構造を有する糖ペプチドプロダクトイオンを識別し、識別された当該プロダクトイオンの相対的な検出強度を考慮して、アミノ酸配列決定のためのプリカーサイオンとして選択されるべきプロダクトイオンを決定することができる。
あるいは、当該トリプレットピークを構成するプロダクトイオンのうち、糖が環開裂した構造がペプチド鎖に結合したプロダクトイオンが十分な強度で検出されない場合がある。この場合、ペプチド鎖に糖が1つ結合した糖ペプチドイオンと、ペプチド鎖のみからなるプロダクトイオンとの合計2種のイオンを指標とすることもできる。すなわちこの合計2種のイオンを指標として、ペプチド鎖に糖が1個結合した構造を有する糖ペプチドプロダクトイオンを識別し、識別された当該プロダクトイオンの相対的な検出強度を考慮して、アミノ酸配列決定のためのプリカーサイオンを選択することができる。
なお、ペプチド鎖に糖が1個結合したプロダクトイオンが、糖が2個以上結合した他のプロダクトイオンに比べて十分に強い強度で検出されている場合、糖が1個結合したプロダクトイオンをプリカーサイオンとして選択することができる。ペプチド鎖に糖が1個結合したプロダクトイオンよりも、糖が2個以上(2個〜(n−1)個)結合した他のプロダクトイオンの方が十分に強い強度で検出されている場合、糖が2個以上結合した他のプロダクトイオンをプリカーサイオンとして選択することができる。
[3−5.ペプチド鎖開裂由来フラグメントイオン]
ペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンは、分子量関連イオンの開裂により、上記の糖鎖開裂由来フラグメントイオンと同時に生じることができる。この場合におけるペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンは、分子量関連イオンのペプチド鎖の一部と、1個又は2個の糖と、を有する。ペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンにおいては、糖の環構造が開裂していてもよい。
ペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンは、分子量関連イオンの開裂により、上記の糖鎖開裂由来フラグメントイオンと同時に生じることができる。この場合におけるペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンは、分子量関連イオンのペプチド鎖の一部と、1個又は2個の糖と、を有する。ペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンにおいては、糖の環構造が開裂していてもよい。
上記の場合におけるペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンは、糖の数が1個又は2個と少ないため、同時に検出されている糖鎖開裂由来フラグメントイオンの質量域より低質量側に検出される。このため、上記のペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンは、糖鎖開裂由来フラグメントイオンとはマススペクトル上で明確に区別されることができる。
ペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンは、分子量関連イオンの開裂により生じた糖ペプチドプロダクトイオンをプリカーサイオンとして生じることもできる。より具体的には、ペプチド鎖由来フラグメントイオンは、プリカーサイオンのペプチド鎖の一部と、1個又は2個以上の糖とを有する。ペプチド鎖由来フラグメントイオンにおける糖の数は、プリカーサイオンにおける糖の数と同じであってもよいし、少なくてもよい。また、糖は、環構造が開裂していてもよい。
また、ペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンとして、上記の他に、糖を有しないペプチド鎖のみのフラグメントイオンが生じることもある。
[4.アミノ酸配列データベースとの照合]
以上のペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンに基づいて、アミノ酸配列データベースとの照合(MS/MSイオンサーチ)を行い、ペプチド鎖のアミノ酸配列決定を行うことができる。
以上のペプチド鎖開裂由来フラグメントイオンに基づいて、アミノ酸配列データベースとの照合(MS/MSイオンサーチ)を行い、ペプチド鎖のアミノ酸配列決定を行うことができる。
アミノ酸配列データベースとしては、例えば、マトリクスサイエンス社が提供している検索エンジンであるタンパク質同定システム(商品名MASCOT Server Version 2.4)を用いることができる。データベースとの照合は、各データベースの手順に従って行うことができる。
MASCOTを用いて、ペプチドのMALDI−MS3解析のフラグメントデータからMS/MSイオンサーチを行って、スコアを得る。スコアとは、MS/MSイオンサーチにおいて、試料イオンと、データベース中のペプチドとの一致度を表す数値であり、スコアが高いほど、その一致度が高いことを表している。ここで、ペプチドの同定効率の正確さを表す指標として、誤同定率の指標であるExpectation Valueが用いられる。
Expectation Value (E)は、
E=Pthreshold * (10 ** ((Sthreshold−Score) /10))
で算出される。
Pthreshold は、Significance threshold (有意性の閾値)を表し、Sthresholdは、Score threshold (スコアの閾値)を表す。
Expectation Valueの値が小さいほど正確に同定されていることが示され、スコアがXだけ大きくなると、同定の正確さは10(X/10)倍上昇させられる。
Expectation Value (E)は、
E=Pthreshold * (10 ** ((Sthreshold−Score) /10))
で算出される。
Pthreshold は、Significance threshold (有意性の閾値)を表し、Sthresholdは、Score threshold (スコアの閾値)を表す。
Expectation Valueの値が小さいほど正確に同定されていることが示され、スコアがXだけ大きくなると、同定の正確さは10(X/10)倍上昇させられる。
本発明においては、上述のように、解析すべきペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与し、前記塩基が付与されたペプチド鎖を質量分析に供し、MSn (n≧2)解析を行うので、MSn(糖ペプチドにおいてはMS3)解析のフラグメントデータから高いスコアを得ることができ、より正確なペプチドの同定及びタンパク質同定を行うことができる。
このことを、図2及び図3を参照しながら、トリプシン消化物由来糖ペプチドを例として説明する。図2は、解析すべきペプチド鎖のN末端に塩基を付与しないで質量分析を行う場合(比較)を模式的に表す図であり、図3、解析すべきペプチド鎖のN末端に塩基を付与して、その後、質量分析を行う場合(本発明)を模式的に表す図である。
図2(a)は、N末端が塩基ラベル化されていないペプチド鎖のMS/MS測定において得られた、ペプチド鎖に糖(GlcNAc)が1個結合した構造を有する糖ペプチドプロダクトイオンをプリカーサとして実施したMS3測定における糖ペプチドイオンの開裂を表し[図1の(C)に相当する]、図2(b)は、MS3測定によって得られたスペクトルを表し[図1の(c)に相当する]、図2(c)は、MS/MSイオンサーチによる結果(縦軸:ヒット数、横軸:タンパク質スコア)を表す。ペプチド鎖のN末端は塩基ラベル化されておらず、C末端のみにリジン(K)残基もしくはアルギニン(R)残基が存在する。図2(b)に示すように、C末端のみにリジン(K)残基もしくはアルギニン(R)残基が存在するため、MS3スペクトルにおいて、出現するイオン種がy系列に偏りやすい。そのため、配列情報に起因するイオン種が少なくなり、結果としてMS/MSイオンサーチのスコアが低くなる傾向がある。さらに、糖鎖結合位置がC末端側に近い場合、GlcNAcはMS/MSで外れやすいため、GlcNAcの外れたフラグメントイオンが増加してフラグメントイオンが複雑となり、結果としてスコアがさらに低下して、ペプチド配列及び翻訳後結合位置の同定が困難となる問題がある。
図3(a)は、N末端が塩基ラベル化されたペプチド鎖のMS/MS測定において得られた、ペプチド鎖に糖(GlcNAc)が1個結合した構造を有する糖ペプチドプロダクトイオンをプリカーサとして実施したMS3測定における糖ペプチドイオンの開裂を表し、図3(b)は、MS3測定によって得られたスペクトルを表し、図3(c)は、MS/MSイオンサーチによる結果(縦軸:ヒット数、横軸:タンパク質スコア)を表す。ペプチド鎖のN末端は塩基ラベル化されており、C末端のみにリジン(K)残基もしくはアルギニン(R)残基が存在する。図3(b)に示すように、C末端のみにリジン(K)残基もしくはアルギニン(R)残基が存在するが、一方で、ペプチド鎖のN末端に導入された塩基にもプロトンが付加するため、MS3スペクトルにおいて、y系列イオン種に加えて、b系列イオン種も出現する。その結果、配列情報を含むイオン種が増加するためMS/MSイオンサーチによりスコアが高くなり、より正確なペプチドの同定及びタンパク質同定を行うことができる。
また、図3を参照して、解析すべきペプチドにおいてその糖鎖結合位置がC末端側に偏っている場合は、b系列のイオンは糖鎖の脱落したイオンがほとんど出現しないため、配列決定に有効なフラグメントイオンをさらに補完することができる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
標的とするタンパク質(牛由来フェチュイン)20nmolを8M Urea 15μL及び100mM NaHCO3 78.5μLの溶液に溶解した。この溶液に、1μLの1M DTT(ジチオトレイトール)を添加し、56℃で20分間反応させ、ジスルフィド結合の還元を行った。次に、550mM IAA(インドール酢酸)溶液を2.7μL添加し、暗所で15分間反応させ、チオールのカルバミドメチル化を行った。この溶液にTrypsinを滴下して、37℃で一晩反応させ、酵素消化を実施した。この消化物からSEC (Size Exclusion Chromatography)を用いて糖ペプチドの分取を行い、分取溶液をSpeedVacで除去した。得られた糖ペプチド1nmolを100mM NaHCO3 溶液25μLに溶解した。
標的とするタンパク質(牛由来フェチュイン)20nmolを8M Urea 15μL及び100mM NaHCO3 78.5μLの溶液に溶解した。この溶液に、1μLの1M DTT(ジチオトレイトール)を添加し、56℃で20分間反応させ、ジスルフィド結合の還元を行った。次に、550mM IAA(インドール酢酸)溶液を2.7μL添加し、暗所で15分間反応させ、チオールのカルバミドメチル化を行った。この溶液にTrypsinを滴下して、37℃で一晩反応させ、酵素消化を実施した。この消化物からSEC (Size Exclusion Chromatography)を用いて糖ペプチドの分取を行い、分取溶液をSpeedVacで除去した。得られた糖ペプチド1nmolを100mM NaHCO3 溶液25μLに溶解した。
次に、得られた糖ペプチドの溶液に57mMのTMT(Tandem Mass Tag;サーモサイエンティフィック社)のアセトニトリル溶液を1.5μL滴下し、5分間超音波処理を行った後に、50℃で30分間反応させた(TMTラベル化)。この反応により、N−ヒドロキシスクシンイミジルオキシド基が脱離し、ペプチド鎖N末端のα−アミノ基にアミド結合によりTMTが導入された。
この反応溶液をZip-Tip処理を行って脱塩精製した後、DHBをマトリックスとして用いて、AXIMA-Resonance(登録商標)(島津製作所製)を用いたMALDI−MS,MALDI−MS/MS,MALDI−MS3解析を行った。取得したMS3スペクトルについてはMASCOT検索を行い、糖ペプチドの同定を行った。
得られた結果を図4に示す。図4(a)は、MASCOTを用いたMS/MSイオンサーチによる結果(縦軸:ヒット数、横軸:タンパク質スコア)を表す。図4(b)は、MALDI−MS3スペクトルを表す。MASCOTによる高いスコア52が得られ、消化物ペプチドは、(TMTラベル化された)Fetuin glycopeptides(127-141)であると同定された。
TMTラベル化されたFetuin glycopeptides (127-141)の配列は、次のとおりである:
TMT-LCPDCPLLAPLNDSR(配列番号1;1番目のロイシン残基のN末端にはTMTが導入されており、12番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
ここで、TMTの導入(TMTラベル化)とは、より正確には、3-[(2,6-Dimethyl-1-piperidinyl) acetyl amino] propanoyl-基の導入である。以下においても同じである。
TMT-LCPDCPLLAPLNDSR(配列番号1;1番目のロイシン残基のN末端にはTMTが導入されており、12番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
ここで、TMTの導入(TMTラベル化)とは、より正確には、3-[(2,6-Dimethyl-1-piperidinyl) acetyl amino] propanoyl-基の導入である。以下においても同じである。
[比較例1]
実施例1において、TMTのアセトニトリル溶液の滴下及び反応(TMTラベル化)を行わなかった以外は、実施例1と全く同様の操作を行った。
実施例1において、TMTのアセトニトリル溶液の滴下及び反応(TMTラベル化)を行わなかった以外は、実施例1と全く同様の操作を行った。
得られた結果を図5に示す。図5(a)は、MASCOTを用いたMS/MSイオンサーチによる結果(縦軸:ヒット数、横軸:タンパク質スコア)を表す。図5(b)は、MALDI−MS3スペクトルを表す。消化物ペプチドは、Fetuin glycopeptides(127-141)であると同定されたが、スコアは18と非常に低かった。
Fetuin glycopeptides (127-141)の配列は、次のとおりである:
LCPDCPLLAPLNDSR(配列番号2;12番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
LCPDCPLLAPLNDSR(配列番号2;12番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
比較例1と実施例1とを比較すると、TMTラベル化によりMASCOTスコアが18から52まで向上したことが確認された。このMASCOT結果について詳細な解析を行うと、TMTラベル化を行わないとy系列のイオンがヒットして同定が行われているのに対し、TMTラベル化を行うとTMT-Fetuin glycopeptides(127-141)ではb系列とy系列のイオン種が混在して同定が行われていることが分かる。しかも糖鎖結合部位がC末端に近い部位(C末端から4番目)にあるため、b系列のイオン種の方が(y系列のイオン種に比べて)糖鎖の外れたイオンが出現せず、有効なフラグメントが多く高いスコアが得られたと考えられる。
次の実施例2及び比較例2においては、標的とするヒト血漿α1酸性糖タンパク質オロソムコイドAGP(alpha 1-acid glycoprotein-1およびalpha 1-acid glycoprotein-2)由来の7種の糖ペプチドについて、TMTラベル化の有無でのMASCOTスコアの比較を行った。
[実施例2]
標的とするタンパク質(AGP)20nmolを8M Urea 15μL及び100mM NaHCO3 78.5μLの溶液に溶解した。この溶液に、1μLの1M DTTを添加し、56℃で20分間反応させ、ジスルフィド結合の還元を行った。次に、550mM IAA溶液を2.7μL添加し、暗所で15分間反応させ、チオールのカルバミドメチル化を行った。この溶液にTrypsinを滴下して、37℃で一晩反応させ、酵素消化を実施した。この消化物からSEC(Size Exclusion Chromatography)を用いて糖ペプチド混合物の分取を行い、分取溶液をSpeedVacで除去した。得られた糖ペプチド混合物(各糖ペプチド1nmol)を100mM NaHCO3 溶液25μLに溶解した。
標的とするタンパク質(AGP)20nmolを8M Urea 15μL及び100mM NaHCO3 78.5μLの溶液に溶解した。この溶液に、1μLの1M DTTを添加し、56℃で20分間反応させ、ジスルフィド結合の還元を行った。次に、550mM IAA溶液を2.7μL添加し、暗所で15分間反応させ、チオールのカルバミドメチル化を行った。この溶液にTrypsinを滴下して、37℃で一晩反応させ、酵素消化を実施した。この消化物からSEC(Size Exclusion Chromatography)を用いて糖ペプチド混合物の分取を行い、分取溶液をSpeedVacで除去した。得られた糖ペプチド混合物(各糖ペプチド1nmol)を100mM NaHCO3 溶液25μLに溶解した。
次に、得られた糖ペプチド混合物の溶液に57mMのTMT(Tandem Mass Tag;サーモサイエンティフィック社)のアセトニトリル溶液を1.5μL滴下し、5分間超音波処理を行った後に、50℃で30分間反応させた(TMTラベル化)。
この反応溶液について、逆相クロマトグラフィを用いて各糖ペプチドの単離精製を行った。その後、各糖ペプチドについてDHBをマトリックスとして用いて、AXIMA-Resonance(登録商標)(島津製作所製)を用いたMALDI−MS,MALDI−MS/MS,MALDI−MS3解析を行った。取得したMS3スペクトルについてはMASCOT検索を行い、糖ペプチドの同定を行う共に、MASCOTスコアを得た。
[比較例2]
実施例2において、TMTのアセトニトリル溶液の滴下及び反応(TMTラベル化)を行わなかった以外は、実施例2と全く同様の操作を行った。
実施例2において、TMTのアセトニトリル溶液の滴下及び反応(TMTラベル化)を行わなかった以外は、実施例2と全く同様の操作を行った。
AGP由来の7種の糖ペプチドの名称及び配列は以下のとおりである:
(Nは糖鎖結合アスパラギン残基を表す)
T1-1:
alpha 1-acid glycoprotein-1 (26-42): LVPVPITNATLDQITGK(配列番号4;8番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T2 :
alpha 1-acid glycoprotein-1 (52-57): NEEYNK(配列番号6;5番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T4-1:
alpha 1-acid glycoprotein-1 (87-101): QDQCIYNTTYLNVQR(配列番号8;7番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T5-1:
alpha 1-acid glycoprotein-1 (102-108): ENGTISR(配列番号10;2番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T1-2:
alpha 1-acid glycoprotein-2 (26-38): LVPVPITNATLDR(配列番号12;8番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T4-2:
alpha 1-acid glycoprotein-2 (87-101): QNQCFYNSSYLNVQR(配列番号14;7番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T5-2:
alpha 1-acid glycoprotein-2 (102-108): ENGTVSR(配列番号16;2番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
(Nは糖鎖結合アスパラギン残基を表す)
T1-1:
alpha 1-acid glycoprotein-1 (26-42): LVPVPITNATLDQITGK(配列番号4;8番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T2 :
alpha 1-acid glycoprotein-1 (52-57): NEEYNK(配列番号6;5番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T4-1:
alpha 1-acid glycoprotein-1 (87-101): QDQCIYNTTYLNVQR(配列番号8;7番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T5-1:
alpha 1-acid glycoprotein-1 (102-108): ENGTISR(配列番号10;2番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T1-2:
alpha 1-acid glycoprotein-2 (26-38): LVPVPITNATLDR(配列番号12;8番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T4-2:
alpha 1-acid glycoprotein-2 (87-101): QNQCFYNSSYLNVQR(配列番号14;7番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T5-2:
alpha 1-acid glycoprotein-2 (102-108): ENGTVSR(配列番号16;2番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
なお、上記T2:alpha 1-acid glycoprotein-1 (52-57)については、alpha1-acid glycoprotein-1およびalpha 1-acid glycoprotein-2の消化物として同じ配列である。
TMTラベル化されたAGP由来の上記7種の糖ペプチドの配列は以下のとおりである:
(Nは糖鎖結合アスパラギン残基を表す)
T1-1:
TMT-LVPVPITNATLDQITGK(配列番号3;1番目のロイシン残基のN末端にはTMTが導入されており、8番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T2 :
TMT-NEEYNK(配列番号5;1番目のアスパラギン残基のN末端にはTMTが導入されており、5番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T4-1:
TMT-QDQCIYNTTYLNVQR(配列番号7;1番目のグルタミン残基のN末端にはTMTが導入されており、7番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T5-1:
TMT-ENGTISR(配列番号9;1番目のグルタミン酸残基のN末端にはTMTが導入されており、2番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T1-2:
TMT-LVPVPITNATLDR(配列番号11;1番目のロイシン残基のN末端にはTMTが導入されており、8番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T4-2:
TMT-QNQCFYNSSYLNVQR(配列番号13;1番目のグルタミン残基のN末端にはTMTが導入されており、7番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T5-2:
TMT-ENGTVSR(配列番号15;1番目のグルタミン酸残基のN末端にはTMTが導入されており、2番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
(Nは糖鎖結合アスパラギン残基を表す)
T1-1:
TMT-LVPVPITNATLDQITGK(配列番号3;1番目のロイシン残基のN末端にはTMTが導入されており、8番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T2 :
TMT-NEEYNK(配列番号5;1番目のアスパラギン残基のN末端にはTMTが導入されており、5番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T4-1:
TMT-QDQCIYNTTYLNVQR(配列番号7;1番目のグルタミン残基のN末端にはTMTが導入されており、7番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T5-1:
TMT-ENGTISR(配列番号9;1番目のグルタミン酸残基のN末端にはTMTが導入されており、2番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T1-2:
TMT-LVPVPITNATLDR(配列番号11;1番目のロイシン残基のN末端にはTMTが導入されており、8番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T4-2:
TMT-QNQCFYNSSYLNVQR(配列番号13;1番目のグルタミン残基のN末端にはTMTが導入されており、7番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
T5-2:
TMT-ENGTVSR(配列番号15;1番目のグルタミン酸残基のN末端にはTMTが導入されており、2番目のアスパラギン残基は糖鎖を有する)
結果を図6に示す。図6は、AGP由来の7種の各糖ペプチドについて、TMTラベル化の有(実施例2; TMT Labeled)の場合と無(比較例2; No labeled)の場合とのMASCOTスコアの比較を示す図である。図6より、いずれの糖ペプチドに対しても、TMTラベル化により4から47のスコア上昇効果が見られた。
Claims (8)
- 解析すべきペプチド鎖のN末端又はC末端に塩基を付与する工程と、
前記塩基が付与されたペプチド鎖を質量分析に供し、MSn (n≧2)解析を行う工程と、
MSn (n≧2)解析により得られたフラグメントイオンデータと、アミノ酸配列データベースとの照合を行う工程とを含む、ペプチド解析法。 - 前記解析すべきペプチドは、翻訳後修飾が付加しているものである、請求項1に記載のペプチド解析法。
- 前記翻訳後修飾が、糖、糖鎖、ニトロシル基、ニトロ基、シトルリン残基、硫酸基又はリン酸基である、請求項2に記載のペプチド解析法。
- 前記糖鎖が、N結合型糖鎖である、請求項3に記載のペプチド解析法。
- 前記塩基を付与する工程は、アミノ基を標的として行われる、請求項1〜4のいずれかに記載のペプチド解析法。
- 前記アミノ基は、α-アミノ基である、請求項5に記載のペプチド解析法。
- 前記解析すべきペプチドは、タンパク質のトリプシン、LysC、又はArgCを用いた消化物である、請求項1〜6のいずれかに記載のペプチド解析法。
- 前記質量分析を、MALDI法を用いて行う、請求項1〜7のいずれかに記載のペプチド解析法。
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Citations (2)
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JP2009503485A (ja) * | 2005-07-26 | 2009-01-29 | エレクトロフォレティクス リミテッド | 質量標識体 |
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2013
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160531 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20161206 |