JP2014215066A - 長尺物品の位置測定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このため、都市においてビルの建造などの掘削をともなう工事を行う前には、工事現場の周辺において過去に所在不明となった埋設物の探査を行って、工事の際に誤って上記埋設物を破損させることがないようにする必要がある。上記した埋設物の探査においては、地中レーダーを用いた地中レーダー探査や超音波センサーを用いた超音波探査など、種々の探査方法が適宜選択される。
上記した電磁誘導探査に関する技術としては、例えば特許文献1に記載された技術が従来から知られている。この技術では、互いに垂直に組み合わされた信号検出用コイルおよび同期信号検出用コイルのそれぞれにおいて、地下に埋設された地下ケーブルの周方向に発生される交番磁界による誘導起電力の検出を行う。そして、信号検出用コイルにおける誘導起電力が最小となり同期信号検出用コイルにおける誘導起電力が最大となる場合に、信号検出用コイルの軸方向上に地下ケーブルがあると判定する。これにより、地上の複数の測定ポイントにおいて地下ケーブルがある方向を探査することで、この地下ケーブルの埋設位置および埋設深さを知ることができる。
本発明は、電磁誘導探査により長尺物品の位置を導出する際に、この長尺物品の周方向に発生される交番磁界において互いに直交する2方向の各成分に基づいて測定ポイントに対する長尺物品の方向を推定することで、この長尺物品の方向を知るためにコイルを種々の方向に傾けて試行錯誤をする必要をなくして、長尺物品の位置の導出を容易に行うことを可能とするものである。
まず、第1の発明は、長手方向が判明しており、かつ、周方向に交番磁界が発生されている長尺物品の位置を、この長尺物品から離間された測定ポイントにおける上記交番磁界に基づいて測定する長尺物品の位置測定方法である。この長尺物品の位置測定方法は、上記交番磁界のうち、上記長手方向に対して直交されるX方向の成分に応じた誘導起電力を発生させる第1コイルと、上記交番磁界のうち、上記長手方向および上記X方向に対して直交されるY方向の成分に応じた誘導起電力を発生させる第2コイルとを、それぞれ測定ポイントの周辺に配置するコイル配置ステップと、第1コイルに上記交番磁界が発生させる誘導起電力の実効値である第1実効値と、第2コイルに上記交番磁界が発生させる誘導起電力の実効値である第2実効値とを、それぞれ導出する誘導起電力実効値導出ステップとを有している。また、第1の発明においては、測定ポイントから長尺物品までの上記X方向の距離であるX方向距離と、測定ポイントから長尺物品までの上記Y方向の距離であるY方向距離との比が、第1実効値と第2実効値との比に所定の係数を掛けた値に等しいとみなして、上記測定ポイントから見た長尺物品の方向を推定する。
本発明者は、長尺物品の周方向に発生される交番磁界において互いに直交するX方向成分とY方向成分との比が、測定ポイントから長尺物品までのX方向距離とY方向距離との比に等しいことに着目して上記第1の発明に至ったものである。この第1の発明によれば、上記X方向成分および上記Y方向成分に応じて第1コイルおよび第2コイルにそれぞれ発生される誘導起電力の実効値を求め、求めた各実効値の比に所定の係数を掛けた値をX方向距離とY方向距離との比とすることで、測定ポイントに対する長尺物品の方向を第1コイルおよび第2コイルを傾けることなく推定することができる。これにより、長尺物品の方向を知るためにコイルを種々の方向に傾けて試行錯誤をする必要をなくして、長尺物品の位置の導出を容易に行うことが可能となる。
この第2の発明によれば、第1コイルおよび第2コイルのそれぞれを互いに離間された2つの部分コイルを組み合わせた差動コイルとする。このため、上記各コイルに発生される誘導起電力からは、長尺物品に発生される交番磁界よりも磁界傾度が小さい環境磁界によるノイズが低減される。これにより、誘導起電力実効値導出ステップにおいて導出される第1実効値および第2実効値における上記ノイズの影響を減少させて、測定ポイントに対する長尺物品の方向の推定精度を向上させることができる。
本発明者は、上述した第2の発明を実施したシミュレーション実験から、算定された第1実効値と第2実効値との比に含まれる誤差の大きさと上述したX方向距離との間には、近似的に比例関係が成立することを見出して、上記第3の発明に至ったものである。この第3の発明によれば、上記X方向距離が判明している場合に、簡単な計算によりX方向距離とY方向距離との比に含まれる誤差を算定してこの誤差の補正を行い、上記測定ポイントに対する長尺物品の方向および上述したY方向距離の推定精度を向上させることができる。
この第4の発明によれば、1箇所の測定ポイントにおいて各コイルに発生される誘導起電力のみに基づいて、上記測定ポイントに対する長尺物品のY方向距離を導出することが可能となる。これにより、長尺物品の位置をさらに容易に導出することができる。
この第5の発明によれば、1箇所の測定ポイントにおいて各コイルに発生される誘導起電力のみに基づいて、上記測定ポイントに対する長尺物品のY方向距離およびX方向距離を導出することが可能となる。これにより、長尺物品の位置を1箇所の測定ポイントにおける測定結果のみから導出することができる。
〈第1の実施形態〉
始めに、第1の実施形態にかかる長尺物品の位置測定方法について、図1ないし図3を用いて説明する。第1の実施形態にかかる長尺物品の位置測定方法は、図1および図2に示すように、大地91の中に地表面91Bに沿って埋設された金属ケーブル90を測定対象の長尺物品として、この金属ケーブル90の位置を電磁誘導探査により導出する方法である。
なお、金属ケーブル90を交流電流90Aが印加された状態とする方法としては、例えば金属ケーブル90が埋設されていると思われる場所に交番磁界発生装置により交番磁界を印加することで金属ケーブル90に誘導電流を発生させる方法、もしくは、金属ケーブル90の一部が地上に露出されている場合にはこの露出部分に直接交流電流を印加する方法など、公知の方法を適宜選択して使用することができる。
ケーブルロケーター10は、交番磁界90Bに応じて誘導起電力を発生させる第1コイル11および第2コイル12と、この各コイル11、12において発生された誘導起電力のデータ13C、13D(図2参照)を処理してその処理結果を探査者10Aに表示する処理表示装置13とを備えている。
なお、本明細書においては、便宜的に、固定板10Bにおいて各コイル11、12が配置される側(図2で見て紙面手前側)をケーブルロケーター10の前側として説明を行う。
また、第1部分コイル11Aおよび第2部分コイル11Bは、それぞれ同じ巻き方向および特性となるように形成されて、ループをなすように差動接続されている。ここで、第1部分コイル11Aおよび第2部分コイル11Bには、電圧計13Aが並列に接続されている。そして、電圧計13Aは、交番磁界90Bに応じて第1コイル11に発生される誘導起電力を測定して、測定した誘導起電力のデータ13Cを処理表示装置13に送信する。
また、第3部分コイル12Aおよび第4部分コイル12Bは、それぞれ同じ巻き方向および特性となるように形成されて、ループをなすように差動接続されている。ここで、第3部分コイル12Aおよび第4部分コイル12Bには、電圧計13Bが並列に接続されている。そして、電圧計13Bは、交番磁界90Bに応じて第2コイル12に発生される誘導起電力を測定して、測定した誘導起電力のデータ13Dを処理表示装置13に送信する。
また、第3部分コイル12Aおよび第4部分コイル12Bは、その各軸が軸線11Cと平行となるように配置されている。
ここで、上記長手方向の判別は、例えば金属ケーブル90の一部が地上に露出されていてこの露出部分の近傍における金属ケーブル90の埋設深さを測定する場合など、金属ケーブル90の長手方向が前もって判明している場合には省略することができる。
すなわち、ケーブルロケーター10の第2コイル12に交番磁界90Bが発生させる誘導起電力は、ケーブルロケーター10の前後方向が金属ケーブル90の長手方向からずれている場合に、このずれ角度の余弦に比例して減少される。このため、ケーブルロケーター10を旋回させて第2コイル12に発生される誘導起電力を最大とすると、この状態においてケーブルロケーター10の前後方向と金属ケーブル90の長手方向とが一致されるということができる。
そして、探査者10A(図2では図示省略)は、ケーブルロケーター10を、その前後方向が金属ケーブル90の長手方向に一致された状態を保つように動かして、軸線11C上において第1部分コイル11Aおよび第2部分コイル11Bの各中心からの距離が等しくなるポイントと地表面91B上において設定される測定ポイント91Aとを一致させる。
また、第2コイル12は、その第3部分コイル12Aおよび第4部分コイル12Bによって測定ポイント91Aを図2で見て上下両側から挟みこむように配置される。そして、第2コイル12は、交番磁界90Bのうち、図2で見て上下方向(以下、「Y方向」とも称する。)の成分に応じて誘導起電力を発生させる。すなわち、上記操作は、本発明における「コイル配置ステップ」に相当する。
そして、処理表示装置13は、取得された各データ13C、13Dから、第1コイル11に交番磁界90Bが発生させる誘導起電力の実効値である第1実効値E1と、第2コイル12に交番磁界90Bが発生させる誘導起電力の実効値である第2実効値E2とを、それぞれ導出する。このステップは、本発明における「誘導起電力実効値導出ステップ」に相当する。
これにより、上記誘導起電力実効値導出ステップにおいて導出される第1実効値E1および第2実効値E2における上記ノイズの影響を減少させて、測定ポイント91Aに対する金属ケーブル90の方向の推定精度を向上させることができる。
上記(式1)において、X方向距離xは、測定ポイント91Aから金属ケーブル90までのX方向(図2で見て左右方向)の距離である。また、Y方向距離yは、測定ポイント91Aから金属ケーブル90までのY方向(図2で見て上下方向)の距離である。また、nは、前もって設定された定数であり、2nが本発明における「所定の係数」に相当する。
そして、探査者10Aは、上記比x/yの値が0になるポイントの真下(すなわちY方向大地91側)に金属ケーブル90が埋設されていると判定する。ここで、上記比x/yの値が0になるポイントは、金属ケーブル90の直上に位置されるポイントであるので、以下においては「直上ポイント」とも称する。
上述した各ステップによれば、金属ケーブル90の位置を電磁誘導探査により導出する際に、測定ポイント91Aに対する金属ケーブル90の方向をケーブルロケーター10の第1コイル11および第2コイル12を傾けることなく推定することができる。これにより、金属ケーブル90の方向を知るためにケーブルロケーターのコイルを種々の方向に傾けて試行錯誤をする必要をなくして、金属ケーブル90の位置の導出を容易に行うことが可能となる。
上記Y方向距離算定機能を使用する場合、探査者10Aは、まず、ケーブルロケーター10を使用して測定ポイント91Aにおける比x/yの値を導出するまでの各ステップを実行する。ついで、探査者10Aは、ケーブルロケーター10において上記Y方向距離算定機能を始動させ、ケーブルロケーター10の処理表示装置13に上記直上ポイントから測定ポイント91AまでのX方向距離xを入力する。この入力に対して、処理表示装置13は、以下の方程式(式2)と同等のデータ処理を行ってY方向距離yの値を算定し、算定したY方向距離yの値を探査者10Aに表示する。
上記(式2)において、X方向距離xは、測定ポイント91Aから金属ケーブル90までのX方向(図2で見て左右方向)の距離であり、上記直上ポイントから測定ポイント91AまでのX方向距離xとして処理表示装置13に入力された値をそのまま用いる。また、nは、前もって設定された定数であり、上述した(式1)におけるnと同じ値を用いる。また、aは、上述された誘導起電力実効値導出ステップにおいて導出された第1実効値E1および第2実効値E2の比に含まれる誤差を補正するための係数であり、前もって設定された所定の値を使用する。
図2に示す状態の第1コイル11において、その第1部分コイル11Aに交番磁界90Bが発生させる誘導起電力の実効値e0は、以下の(式3)により導出することができる。
上記(式3)において、xおよびyは、それぞれ、図2に示すX方向距離xおよびY方向距離yである。また、iは、交番磁界90Bを発生させている交流電流90Aの実効値である。また、k1は、第1部分コイル11Aの特性と空間の透磁率とを含めた比例定数である。また、L1は、第1部分コイル11Aと測定ポイント91Aとの間の距離である。
上記(式4)において、xおよびyは、それぞれ、図2に示すX方向距離xおよびY方向距離yであり、上記(式3)におけるxおよびyと同じパラメータである。また、iは、交番磁界90Bを発生させている交流電流90Aの実効値であり、上記(式3)におけるiと同じパラメータである。また、k1は、第2部分コイル11Bの特性と空間の透磁率とを含めた比例定数であり、上記(式3)におけるk1と同じ値である。また、L1は、第2部分コイル11Bと測定ポイント91Aとの間の距離であり、上記(式3)におけるL1と同じ値である。
ここで、第1部分コイル11Aと第2部分コイル11Bとの間の離間距離(すなわち2L1)は、上述もしたように、ケーブルロケーター10が電磁誘導探査の対象とする長尺物品の埋設深さよりも短い。このため、上記(式5)においてはy≫L1の条件が成立するとみなすことができ、上記(式5)は以下の近似式(式6)に置き換えることができる。
上記(式7)において、xおよびyは、それぞれ、図2に示すX方向距離xおよびY方向距離yであり、上述した(式3)におけるxおよびyと同じパラメータである。また、iは、交番磁界90Bを発生させている交流電流90Aの実効値であり、上述した(式3)におけるiと同じパラメータである。また、k2は、第3部分コイル12Aの特性と空間の透磁率とを含めた比例定数である。また、L2は、第3部分コイル12Aと測定ポイント91Aとの間の距離である。
上記(式8)において、xおよびyは、それぞれ、図2に示すX方向距離xおよびY方向距離yであり、上述した(式3)におけるxおよびyと同じパラメータである。また、iは、交番磁界90Bを発生させている交流電流90Aの実効値であり、上述した(式3)におけるiと同じパラメータである。また、k2は、第4部分コイル12Bの特性と空間の透磁率とを含めた比例定数であり、上記(式7)におけるk2と同じ値である。また、L2は、第4部分コイル12Bと測定ポイント91Aとの間の距離であり、上記(式7)におけるL2と同じ値である。
ここで、第3部分コイル12Aと第4部分コイル12Bとの間の離間距離(すなわち2L2)は、上述もしたように、ケーブルロケーター10が電磁誘導探査の対象とする長尺物品の埋設深さよりも短い。このため、上記(式9)においてはy≫L2の条件が成立するとみなすことができ、上記(式9)は以下の近似式(式10)により置き換えることができる。
上記(式11)において、nは、(k1L1/k2L2)と等しい値である。このnは、各部分コイル11A、11B、12A、12Bの各離間距離と、各部分コイル11A、11B、12A、12Bの各特性および空間の透磁率とによって定まるため、ケーブルロケーター10の製造時に前もって所定の定数として設定することができる。
このため、上記(式11)においてy≫xとして近似を行うと、この(式11)が上述した(式1)に式変形される。
このため、本発明者は、上記「−x/y」の項の影響を評価するシミュレーション実験を行った。このシミュレーション実験は、上述した各パラメータを種々の値に設定しながら、上述した(式1)および(式11)のそれぞれを用いて比x/yを算定し、(式11)によって算定された比x/yに対して(式1)によって算定された比x/yが有する誤差の割合(以下、「誤差割合」とも称する。)を算定することによって行われた。
また、上記性質は、シミュレーション実験における各パラメータを変更した場合でも、定性的には変化しない。例えば、y=1[m]、L1=L2=0.2[m]として、xを−0.8[m]から0.8[m]にまで変化させた場合、誤差割合の変化とこの誤差割合に対する比例近似式との間のずれは、最大±12[%]となる。また、y=2[m]、L1=L2=0.2[m]として、xを−1.6[m]から1.6[m]にまで変化させた場合、誤差割合の変化とこの誤差割合に対する比例近似式との間のずれは、最大±3[%]となる。
そして、X方向距離xが判明している場合にY方向距離yを導出する場合に上述した(式2)を使用することで、簡単な計算によりX方向距離xとY方向距離yとの比x/yに含まれる誤差を算定してこの誤差の補正を行い、測定ポイント91Aに対する金属ケーブル90の方向およびY方向距離yの推定精度を向上させることができる。
続いて、第2の実施形態にかかる長尺物品の位置測定方法について、図4ないし図7を用いて説明する。第2の実施形態にかかる長尺物品の位置測定方法は、図4に示すように、第1の実施形態にかかる長尺物品の位置測定方法と同様な金属ケーブル90の位置の導出を、ケーブルロケーター10の代わりにケーブルロケーター20を用いることで実現させる方法である。
ケーブルロケーター20は、ケーブルロケーター10の各コイル11、12における各部分コイル11A、11B、12A、12Bの差動接続を、処理表示装置23の内部で実現させたケーブルロケーターである。したがって、ケーブルロケーター20においてケーブルロケーター10の各構成と共通する構成については、ケーブルロケーター10の各構成に付した符号から、その十の位の数字を「2」に置き換えた符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略する。また、上述した第1の実施形態において使用したX方向およびY方向などの各設定は、第2の実施形態の説明において流用する。
また、ケーブルロケーター20の第2コイル22において、第3部分コイル22Aおよび第4部分コイル22Bには、それぞれ、各部分コイル22A、22Bに発生される誘導起電力を処理表示装置23に出力する(図4の誘導起電力23G、23Hを参照。)出力素子23C、23Dが接続されている。
なお、ケーブルロケーター20は、第1実効値E1および第2実効値E2からX方向距離xとY方向距離yとの比x/yを算定して表示する機能、および、上述したY方向距離算定機能を有している。ただし、これらの各機能は上述したケーブルロケーター10の各機能と同じ機能であるため、その詳細な説明を省略する。
上記単測定点Y方向距離導出機能によれば、金属ケーブル90の位置(すなわちY方向距離yおよびX方向距離x)をさらに容易に導出することができる。また、上記単測定点Y方向距離導出機能と上記単測定点X方向距離導出機能とを併用すると、金属ケーブル90の位置を1箇所の測定ポイント91Aにおける測定結果のみから導出することができる。
ついで、処理表示装置23は、出力素子23Cから取得した誘導起電力23Gから、第3部分コイル22Aに交番磁界90Bが発生させる誘導起電力の実効値である第3実効値e2を導出する。また、処理表示装置23は、出力素子23Dから取得した誘導起電力23Hから、第4部分コイル22Bに交番磁界90Bが発生させる誘導起電力の実効値である第4実効値e3を導出する。この各処理は、本発明における「部分コイル誘導起電力実効値導出ステップ」に相当する。
上記(式12)において、Yは、算定すべきY方向距離であり、X方向距離が0であると仮定した場合の値であることを明確にするために大文字で記載したものである。また、e2およびe3は、それぞれ上記第3実効値および第4実効値である。また、L2は、測定ポイント91Aから第3部分コイル22Aまたは第4部分コイル22Bまでの距離(図4参照)である。L2は、その値のデータが前もって処理表示装置23の記憶媒体(図示省略)に記憶されている。
なお、上記Y方向距離補正ステップにより補正されたY方向距離yの値は、上述した単測定点Y方向距離導出機能によって導出されたY方向距離yとして、処理表示装置23からケーブルロケーター20を使用して電磁誘導探査を行う探査者(図示省略)に表示される。
上記(式13)において、yは、算定すべき補正後のY方向距離の値である。また、Yは、上記Y方向距離算定ステップによって算定されたY方向距離である。また、E1およびE2は、それぞれ上述した第1実効値および第2実効値である。また、nは、上述した方程式(式1)と同等のデータ処理によって第1実効値E1と第2実効値E2との比E1/E2からX方向距離xとY方向距離yとの比x/yを算定する際に使用される係数であり、この比x/yの算定において使用されるnの値と同じ値を使用する。
続いて、処理表示装置23は、上記Y方向距離補正ステップにより補正されたY方向距離yと、上述した第1実効値E1と第2実効値E2との比E1/E2とに基づいて、以下の方程式(式14)と同等のデータ処理を行うことで、X方向距離xの算定を行う。このステップは、本発明における「X方向距離算定ステップ」に相当する。なお、以下の方程式(式14)における各パラメータは、算定すべきX方向距離xを除いて、全て上述した(式13)における各パラメータと同じパラメータであるので、その詳細な説明を省略する。
なお、上記X方向距離補正ステップにより補正されたX方向距離xの値は、上述した単測定点X方向距離導出機能によって導出されたX方向距離xとして、処理表示装置23からケーブルロケーター20を使用して電磁誘導探査を行う探査者(図示省略)に表示される。
図4に示す状態においてX方向距離xを0とみなした場合、第3部分コイル22Aに交番磁界90Bが発生させる誘導起電力の実効値(第3実効値e2)は、以下の(式15)により導出することができる。
上記(式15)において、Yは、X方向距離xを0とみなした場合に第3部分コイル22Aに発生される誘導起電力の実効値を第3実効値e2と等しくするY方向距離の値であり、X方向距離が0であると仮定した場合の値であることを明確にするために大文字で記載したものである。また、iは、交番磁界90Bを発生させている交流電流90Aの実効値である。また、k2は、第3部分コイル22Aの特性と空間の透磁率とを含めた比例定数である。また、L2は、第3部分コイル22Aと測定ポイント91Aとの間の距離である。
なお、以下の(式16)における各パラメータは、第4実効値e3を除いて、全て上記(式15)における各パラメータと同じパラメータであるので、その詳細な説明を省略する。
ここで、上述した(式15)および(式16)を連立させて、パラメータiおよびパラメータk2を消去するように式変形を行うと、上述した(式12)が導出される。なお、上述した(式12)は、上述したYの値を上述したe2、e3、L2の各パラメータを用いて表す際の厳密式である。
上記(式17)において、xおよびyは、それぞれ、図4に示すX方向距離xおよびY方向距離yである。また、iは、交番磁界90Bを発生させている交流電流の実効値であり、上述した(式15)におけるiと同じパラメータである。また、k2は、第3部分コイル22Aの特性と空間の透磁率とを含めた比例定数であり、上述した(式15)におけるk2と同じパラメータである。また、L2は、第3部分コイル22Aと測定ポイント91Aとの間の距離であり、上述した(式15)におけるL2と同じパラメータである。
上記(式18)において、xおよびyは、それぞれ、図4に示すX方向距離xおよびY方向距離yであり、上記(式17)におけるxおよびyと同じパラメータである。また、iは、交番磁界90Bを発生させている交流電流の実効値であり、上述した(式15)におけるiと同じパラメータである。また、k2は、第4部分コイル22Bの特性と空間の透磁率とを含めた比例定数であり、上述した(式15)におけるk2と同じパラメータである。また、L2は、第4部分コイル22Bと測定ポイント91Aとの間の距離であり、上述した(式15)におけるL2と同じパラメータである。
なお、以下の(式19)は、上述したYの値を上述したx、y、L2の各パラメータを用いて表す際の厳密式である。
ここで、第3部分コイル22Aと第4部分コイル22Bとの間の離間距離(すなわち2L2)は、ケーブルロケーター20が電磁誘導探査の対象とする長尺物品の埋設深さよりも短い。このため、上記(式19)においてはy≫L2の条件が成立するとみなすことができ、上記(式19)は以下の近似式(式20)により置き換えることができる。
ところで、上述した単測定点Y方向距離導出機能は、上述もしたように、y≫xの条件が成立すると判断できる場合に実現される機能である。このため、上記(式20)においてy≫xとして近似を行うと、この(式20)が以下の近似式(式21)に置き換えられる。
上記(式21)は、上述したYの値をパラメータyおよびパラメータの比x/yを用いて表す際の近似式である。そして、上記(式21)に、y≫xの条件が成立するときに上記パラメータの比x/yをパラメータの比E1/E2から算定する式(上述した(式1)を参照)を代入して式変形を行うと、上述した(式13)が導出される。また、上記(式13)の導出において上記(式21)に代入された式を式変形すると、上述した(式14)が導出される。
上記シミュレーション実験の結果の一例を図5ないし図7に示す。この図5ないし図7においては、n=1、L1=L2=0.2[m]、実際のY方向距離y=3[m]として、実際のX方向距離xを0[m]から2[m]にまで変化させてシミュレーション実験を行った際の実験結果を記載している。ここで、図5においては、上述した(式12)によって算定されたY方向距離をグラフにしている。また、図6においては、図5に記載されたY方向距離が上述した(式13)によって補正されたY方向距離をグラフにしている。また、図7においては、図6に記載されたY方向距離から上述した(式14)によって算定されたX方向距離をグラフにしている。
また、図7のグラフによれば、上述したX方向距離算定ステップにおいて算定されたX方向距離の大きさは、上記実際のX方向距離xの大きさとよく対応していることが分かる。これにより、上述した単測定点Y方向距離導出機能および単測定点X方向距離導出機能の妥当性は示されたといえる。
続いて、第3の実施形態にかかる長尺物品の位置測定方法について、図8ないし図10を用いて説明する。第3の実施形態にかかる長尺物品の位置測定方法は、図8に示すように、第1の実施形態にかかる長尺物品の位置測定方法と同様な金属ケーブル90の位置の導出を、ケーブルロケーター10の代わりにケーブルロケーター30を用いることで実現させる方法である。
ケーブルロケーター30は、ケーブルロケーター10の第1コイル11および第2コイル12を、それぞれが1つのコイルからなる第1コイル31および第2コイル32に置き換えたケーブルロケーターである。したがって、ケーブルロケーター30においてケーブルロケーター10の各構成と共通する構成については、その詳細な説明を省略する。また、上述した第1の実施形態において使用したX方向およびY方向などの各設定は、第3の実施形態の説明において流用する。
第1コイル31および第2コイル32は、図9および図10に示すように、第2コイル32の軸方向がX方向(図示左右方向)に一致され、かつ、第1コイル31の軸方向が上下方向(すなわちY方向)に一致された状態となるように、測定ポイント91Aの周辺に配置される。ここで、第1コイル31および第2コイル32の配置作業は、本発明における「コイル配置ステップ」に相当する。
すなわち、第2コイル32に交番磁界90Bが発生させる誘導起電力は、第2コイル32の軸方向がX方向からずれている場合に、このずれ角度の余弦に比例して減少される。このため、第2コイル32を旋回させてこの第2コイル32に発生される誘導起電力を最大とすると、この状態において第2コイル32の軸方向とX方向とが一致されるということができる。
上記操作に対して、処理表示装置33は、第1コイル31および第2コイル32において発生される誘導起電力の測定を行う。ついで、処理表示装置33は、第1コイル31に交番磁界90Bが発生させる誘導起電力の実効値である第1実効値E3と、第2コイル32に交番磁界90Bが発生させる誘導起電力の実効値である第2実効値E4とを、それぞれ導出する。このステップは、本発明における「誘導起電力実効値導出ステップ」に相当する。
処理表示装置33により表示された伏角θ1の値を確認した探査者は、図10に示すように、測定ポイント91AをX方向(図示左右方向)にずらして再設定し、上述したコイル配置ステップ以降の各ステップを再度実行する。そして、上記探査者は、2箇所の測定ポイント91Aにおいてそれぞれ算定された伏角θ1、θ2と、各測定ポイント91Aの位置関係とから、金属ケーブル90の埋設位置および埋設深さを導出する。
図9に示す状態において、第1コイル31に交番磁界90Bが発生させる誘導起電力の実効値(第1実効値E3)は、以下の(式22)により導出することができる。
上記(式22)において、xおよびyは、それぞれ、図9に示すX方向距離xおよびY方向距離yである。また、iは、交番磁界90Bを発生させている交流電流の実効値である。また、k3は、第1コイル31の特性と空間の透磁率とを含めた比例定数である。
上記(式23)において、xおよびyは、それぞれ、図9に示すX方向距離xおよびY方向距離yであり、上記(式22)におけるxおよびyと同じパラメータである。また、iは、交番磁界90Bを発生させている交流電流の実効値であり、上記(式22)におけるxおよびyと同じパラメータである。また、k4は、第2コイル32の特性と空間の透磁率とを含めた比例定数である。
(1)第1の実施形態において、第1コイルまたは第2コイルの各部分コイルと電圧計との接続は並列接続に限定されない。すなわち、第1コイルまたは第2コイルにおいて各部分コイルと電圧計とが直列接続されている場合でも、各部分コイルの巻き方向が互いに逆となるように設定されて上記第1コイルまたは第2コイルが差動コイルとなっているならば、上述した第1実施形態の計算処理と同様の計算処理により金属ケーブルの電磁誘導探査を行うことができる。
(2)本発明の長尺物品の位置測定方法において測定対象となる長尺物品は、長手方向に印加されている交流電流により周方向に交番磁界を発生させている金属ケーブルに限定されない。すなわち、本発明の長尺物品の位置測定方法は、例えば金属製の水道管など、長手方向に交流電流を印加して周方向に交番磁界を発生させることができる任意の長尺物品を測定対象とすることが可能である。また、測定対象の長尺物品が既知の開口を有する管である場合には、上記開口から管内部に交番磁界発生装置を入れて長尺物品の周方向に交番磁界を発生させる方法を採用することで、電流を印加することができない絶縁体の長尺物品を測定対象とすることもできる。
(3)本発明の長尺物品の位置測定方法において、測定対象とすることができる長尺物品は、大地の中に埋設された長尺物品に限定されない。すなわち、本発明の長尺物品の位置測定方法によれば、例えば壁または柱の中に埋め込まれた長尺物品または遮蔽物により外部から遮蔽された長尺物品など、任意の位置に配置された長尺物品を測定対象とすることができる。
10A 探査者
10B 固定板
11 第1コイル
11A 第1部分コイル
11B 第2部分コイル
11C 軸線
12 第2コイル
12A 第3部分コイル
12B 第4部分コイル
13 処理表示装置
13A 電圧計
13B 電圧計
13C データ
13D データ
20 ケーブルロケーター
20B 固定板
21 第1コイル
21A 第1部分コイル
21B 第2部分コイル
21C 軸線
22 第2コイル
22A 第3部分コイル
22B 第4部分コイル
23 処理表示装置
23A 出力素子
23B 出力素子
23C 出力素子
23D 出力素子
23E 誘導起電力
23F 誘導起電力
23G 誘導起電力
23H 誘導起電力
30 ケーブルロケーター
31 第1コイル
32 第2コイル
33 処理表示装置
90 金属ケーブル(長尺物品)
90A 交流電流
90B 交番磁界
91 大地
91A 測定ポイント
91B 地表面
92 誤差割合
92A 比例近似式
L1、L2 離間距離
x X方向距離
y Y方向距離
θ1、θ2 伏角
Claims (5)
- 長手方向が判明しており、かつ、周方向に交番磁界が発生されている長尺物品の位置を、当該長尺物品から離間された測定ポイントにおける前記交番磁界に基づいて測定する長尺物品の位置測定方法において、
前記交番磁界のうち、前記長手方向に対して直交されるX方向の成分に応じた誘導起電力を発生させる第1コイルと、前記交番磁界のうち、前記長手方向および前記X方向に対して直交されるY方向の成分に応じた誘導起電力を発生させる第2コイルとを、それぞれ前記測定ポイントの周辺に配置するコイル配置ステップと、
前記第1コイルに前記交番磁界が発生させる誘導起電力の実効値である第1実効値と、前記第2コイルに前記交番磁界が発生させる誘導起電力の実効値である第2実効値とを、それぞれ導出する誘導起電力実効値導出ステップと、
を有し、
前記測定ポイントから前記長尺物品までの前記X方向の距離であるX方向距離と、前記測定ポイントから前記長尺物品までの前記Y方向の距離であるY方向距離との比が、前記第1実効値と前記第2実効値との比に所定の係数を掛けた値に等しいとみなして、前記測定ポイントから見た前記長尺物品の方向を推定する、
長尺物品の位置測定方法。 - 請求項1に記載の長尺物品の位置測定方法であって、
前記コイル配置ステップにおいて、互いに離間された第1部分コイルと第2部分コイルとを組み合わせた差動コイルを前記第1コイルとして用意して、当該第1コイルを、前記第1部分コイルおよび前記第2部分コイルによって前記測定ポイントを前記X方向両側から挟みこむように配置し、かつ、互いに離間された第3部分コイルと第4部分コイルとを組み合わせた差動コイルを前記第2コイルとして用意して、当該第2コイルを、前記第3部分コイルおよび前記第4部分コイルによって前記測定ポイントを前記Y方向両側から挟みこむように配置する、
長尺物品の位置測定方法。 - 請求項2に記載の長尺物品の位置測定方法であって、
前記誘導起電力実効値導出ステップにおいて導出された前記第1実効値および前記第2実効値から算定される前記第1実効値と前記第2実効値との比には、前記X方向距離に比例する大きさの誤差が含まれているとみなして、前記測定ポイントから見た前記長尺物品の方向を推定する、
長尺物品の位置測定方法。 - 請求項2または請求項3に記載の長尺物品の位置測定方法であって、
前記第3部分コイルに前記交番磁界が発生させる誘導起電力の実効値である第3実効値と、前記第4部分コイルに前記交番磁界が発生させる誘導起電力の実効値である第4実効値とを、それぞれ導出する部分コイル誘導起電力実効値導出ステップと、
前記X方向距離が0であると仮定して、前記部分コイル誘導起電力実効値導出ステップにおいて導出された前記第3実効値および前記第4実効値に基づいて、前記Y方向距離の算定を行うY方向距離算定ステップと、
前記Y方向距離算定ステップにより算定された前記Y方向距離を、前記第1実効値と前記第2実効値との比に基づいて補正するY方向距離補正ステップと、
を有している、
長尺物品の位置測定方法。 - 請求項4に記載の長尺物品の位置測定方法であって、
前記Y方向距離補正ステップにより補正された前記Y方向距離と、前記第1実効値と前記第2実効値との比とに基づいて、前記X方向距離の算定を行うX方向距離算定ステップを有している、
長尺物品の位置測定方法。
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