JP2014214688A - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

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【課題】エンジンの燃料噴射制御装置に関し、微小噴射領域における燃料の噴射精度を効果的に向上する。【解決手段】入力される噴射指示信号のパルス幅に応じて気筒内に燃料を噴射するインジェクタ20と、インジェクタ20が燃料噴射を行う際に生じる作動振動を検出する振動加速度センサ31と、燃料噴射量とパルス幅との関係を示すインジェクタ特性マップに基づいて、インジェクタ20の燃料噴射を制御する噴射制御部41と、インジェクタ20にパルス幅が微小幅から段階的に増加される噴射指示信号を出力すると共に、検出される作動振動が、予め記憶した噴射開始を示す判定閾値を超えると、この時に出力したパルス幅を最小パルス幅として学習する最小パルス幅学習部42と、学習した最小パルス幅で、インジェクタ特性マップを補正するインジェクタ特性補正部43とを備えた。【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンの燃料噴射制御装置に関する。
従来、コモンレールに畜圧した高圧燃料をインジェクタからエンジンの各気筒内に直接噴射するコモンレール式の燃料噴射装置が知られている。一般的に、コモンレール式の燃料噴射装置では、燃焼音の低減や排ガス性能を向上させるべく、メイン噴射の前に微小量の燃料を噴射するパイロット噴射が行われている。
燃焼音の低減等を図るためには、パイロット噴射をより小さな噴射量で行うことが要求される。しかしながら、パイロット噴射はその噴射量が微小なため、インジェクタの個体差によるバラツキや、経年変化の影響を受けやすく、噴射量にある程度の余裕を持たせる必要がある。
このようなパイロット噴射の精度を向上させる技術として、ノックセンサにより各気筒の燃焼状態を検出してパイロット噴射量を補正する学習制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−173200号公報
ところで、上述の技術のように、微小噴射領域の燃焼状態をノックセンサで検出する手法では、その振動は非常に小さく、十分なS/Nを確保できないため、パイロット噴射量をより小さな噴射量に補正できない可能性がある。
本発明の目的は、微小噴射領域における燃料の噴射精度を効果的に向上することができるエンジンの燃料噴射制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明のエンジンの燃料噴射制御装置は、入力される噴射指示信号のパルス幅に応じてエンジンの気筒内に燃料を噴射するインジェクタと、前記インジェクタが燃料噴射を行う際に生じる作動振動を検出する振動検出手段と、予め記憶した燃料噴射量と噴射指示信号のパルス幅との関係を示すインジェクタ特性に基づいて、前記インジェクタの燃料噴射を制御する噴射制御手段と、前記インジェクタにパルス幅が微小幅から段階的に増加される噴射指示信号を出力すると共に、前記振動検出手段で検出される作動振動が、予め記憶した前記インジェクタの作動による噴射開始を示す判定閾値を超えると、この時に出力したパルス幅を燃料の微少噴射に必要な最小パルス幅として学習する学習手段と、学習した前記最小パルス幅で、前記インジェクタ特性の微小噴射量に対応するパルス幅を補正する補正手段と、を備えたことを特徴とする。
また、前記学習手段は、前記振動検出手段で検出される作動振動が前記判定閾値を超える前に、段階的に増加される前記パルス幅がインジェクタの故障を示す所定の上限値を超えると、最小パルス幅の学習を禁止するものであってもよい。
また、前記学習手段は、最小パルス幅の学習を前記エンジンの無負荷運転時に行うものであってもよい。
本発明のエンジンの燃料噴射制御装置によれば、微小噴射領域における燃料の噴射精度を効果的に向上することができる。
本発明の一実施形態に係るエンジンの燃料噴射制御装置を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係るインジェクタ特性マップの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るエンジンの燃料噴射制御装置による最小パルス幅の学習を説明するタイムチャートである。
以下、図1〜3に基づいて、本発明の一実施形態に係るエンジンの燃料噴射制御装置を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)10は複数の気筒#1〜#4を備える直列4気筒エンジンである。なお、エンジン10は4気筒以外の多気筒エンジンもしくは、単気筒エンジンであってもよい。
コモンレール12は、図示しない燃料タンクからサプライポンプ11を介して供給される高圧燃料を畜圧すると共に、畜圧した高圧燃料を各インジェクタ20に分配する。このコモンレール12には、燃料の噴射圧力に相当するコモンレール圧を検出可能なコモンレール圧センサ30が設けられている。コモンレール圧センサ30で検出されるコモンレール圧は、電気的に接続された電子制御ユニット(以下、ECU)40に出力される。
インジェクタ20は、エンジン10の各気筒にそれぞれ対応して設けられており、コモンレール12から供給される高圧燃料を各気筒の燃焼室内に直接噴射する。インジェクタ20の燃料噴射量や噴射時期は、ECU40から電磁ソレノイドに入力される噴射指示信号のパルス幅(時間幅)に応じて芯弁がリフトされ、ノズル先端の噴射孔を開閉することでコントロールされる。
振動加速度センサ31は、インジェクタ20が燃料を噴射する際に生じる機械的な作動振動を検出可能な、例えばノックセンサ等であって、各インジェクタ20にそれぞれ対応して設けられている。振動加速度センサ31で検出される各インジェクタ20の作動振動は、電気的に接続されたECU40に出力される。本実施形態において、振動加速度センサ31は、エンジン10のシリンダブロックCBに設けられているが、作動振動を検出できる位置であれば、シリンダヘッド等、他の部品に設けることもできる。また、各気筒にそれぞれ対応して設ける必要はなく、例えば#1気筒と#2気筒との間に一個、#2気筒と#3気筒との間に一個を設ければ、計二個のセンサで対応することも可能である。
ECU40は、エンジン10の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。この各種制御を行うために、ECU40には、コモンレール圧センサ30、振動加速度センサ31、エンジン回転センサ32、アクセル開度センサ33等の出力信号が入力される。
また、ECU40は、噴射制御部41と、最小パルス幅学習部42と、インジェクタ特性補正部43とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアであるECU40に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
噴射制御部41は、エンジン10の運転状態に基づいて、各インジェクタ20の燃料噴射を制御する。より詳しくは、ECU40のメモリには、図2に示すように、インジェクタ20に入力される噴射指示信号のパルス幅PWと燃料の噴射量Qとの関係を所定のコモンレール圧A〜C毎に示したインジェクタ特性マップが予め記憶されている。このインジェクタ特性マップは、インジェクタ20毎にそれぞれ別個に作成されている。また、ECU40のメモリには、エンジン10の運転状態と燃料の目標噴射量QTとの関係を示す目標噴射量設定マップ(不図示)が記憶されている。
噴射制御を行う際は、まず目標噴射量設定マップからエンジン回転数及びアクセル開度をパラメータとする運転状態に対応する目標噴射量QTが読み取られる。そして、インジェクタ特性マップから目標噴射量QTに対応するパルス幅PWが読み取られると共に、このパルス幅PWの噴射指示信号がインジェクタ20の電磁ソレノイドに入力される。これにより、インジェクタ20の芯弁がパルス幅PW(時間幅)だけリフトされ、目標噴射量QTに応じた燃料噴射が実行されるように構成されている。
最小パルス幅学習部42は、各インジェクタ20にパイロット噴射等の微小噴射を開始させるのに必要となる噴射指示信号の最小パルス幅PWMINを学習する。より詳しくは、ECU40のメモリには、予め実験等により計測したインジェクタ20が燃料噴射を開始した際に生じる機械的な作動振動の積算値(又はピーク値)が判定閾値FTHとして記憶されている。
最小パルス幅PWMINの学習を行う際は、図3に示すように、まず所定のコモンレール圧Aで、各インジェクタ20にパルス幅PWが微小幅から段階的に増加される噴射指示信号をサイクル毎に出力する(図示例では、1サイクル目:0.1msec、2サイクル目:0.2msec、3サイクル目:0.3msec)。そして、振動加速度センサ31で検出される作動振動の積算値(又はピーク値)Fが判定閾値FTHを超えると(F>FTH)、この時に出力された噴射指示信号のパルス幅(図示例では3サイクル目のパルス幅)を所定のコモンレール圧Aにおける微小噴射(例えば、パイロット噴射)の開始に必要な最小パルス幅PWMINとして学習(ECU40のメモリに記憶)する。その後、他のコモンレール圧B,C(図2参照)についても、同様の手順で最小パルス幅PWMINの学習を行うように構成されている。
なお、段階的に増加されるパルス幅PWが所定の上限幅(例えば、1.0msec)を超えても、振動加速度センサ31で検出される作動振動の積算値Fが判定閾値FTHを超えない場合は、インジェクタ20の機械的な故障等が考えられる。このような場合は、最小パルス幅PWMINの学習を禁止する。また、エンジン10の運転状態に影響を与えなように、燃料噴射を伴う最小パルス幅PWMINの学習は、エンジンブレーキ作動時等の無負荷運転時に限定して実行されることが好ましい。
インジェクタ特性補正部43は、最小パルス幅学習部42により学習した最小パルス幅PWMINに基づいて、各インジェクタ20のインジェクタ特性マップを補正する。例えば、図3に示すように、3サイクル目に出力したパルス幅PW(0.3msec)を最小パルス幅PWMINとして学習した場合は、この最小パルス幅PWMINでインジェクタ特性マップ(図2)の微小噴射領域を補正する。これにより、噴射制御部41の微小噴射領域における燃料噴射の制御精度が向上され、より微小量のパイロット噴射が可能になる。
次に、本実施形態に係る燃料噴射制御装置による作用効果を説明する。
本実施形態の燃料噴射制御装置では、噴射指示信号のパルス幅PWを微小幅から段階的に増加させながら、振動加速度センサ31を用いてインジェクタ20の作動振動Fを検出している。すなわち、本実施形態の燃料噴射制御装置は、微小噴射領域でも検出が容易な作動振動を検出することで、振動が小さな燃焼状態を検出する技術に比べて、各インジェクタ20の噴射状態(作動状態)が確実に検出される。
そして、振動加速度センサ31で検出される作動振動Fがインジェクタ20による燃料噴射の開始を示す判定閾値FTHを超えると、この時に出力していた噴射指示信号のパルス幅PWを微小噴射の開始に必要な最小パルス幅PWMINとして学習させる。さらに、学習した最小パルス幅PWMINにより、インジェクタ特性マップ上の対応する微小噴射領域のパルス幅を補正するように構成されている。
したがって、本実施形態の燃料噴射制御装置によれば、各インジェクタ20の微小噴射領域における燃料噴射の開始を確実に検出することが可能となり、インジェクタ特性マップの微小噴射領域を高精度に補正することができる。その結果、パイロット噴射量をより小さな噴射量で行うことが可能になると共に、各インジェクタ20の個体差によるバラツキや経年変化の影響を効果的に抑制することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
例えば、エンジン10はディーゼルエンジンに限定されず、ガソリンエンジン等、他のエンジンにも広く適用することが可能である。また、パルス幅の学習は、パイロット噴射以外のアフター噴射やポスト噴射にも適用することができる。
10 エンジン
20 インジェクタ
31 振動加速度センサ(振動検出手段)
40 ECU
41 噴射制御部(噴射制御手段)
42 最小パルス幅学習部(学習手段)
43 インジェクタ特性補正部(補正手段)

Claims (3)

  1. 入力される噴射指示信号のパルス幅に応じてエンジンの気筒内に燃料を噴射するインジェクタと、
    前記インジェクタが燃料噴射を行う際に生じる作動振動を検出する振動検出手段と、
    予め記憶した燃料噴射量と噴射指示信号のパルス幅との関係を示すインジェクタ特性に基づいて、前記インジェクタの燃料噴射を制御する噴射制御手段と、
    前記インジェクタにパルス幅が微小幅から段階的に増加される噴射指示信号を出力すると共に、前記振動検出手段で検出される作動振動が、予め記憶した前記インジェクタの作動による噴射開始を示す判定閾値を超えると、この時に出力したパルス幅を燃料の微少噴射に必要な最小パルス幅として学習する学習手段と、
    学習した前記最小パルス幅で、前記インジェクタ特性の微小噴射量に対応するパルス幅を補正する補正手段と、を備えた
    ことを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。
  2. 前記学習手段は、前記振動検出手段で検出される作動振動が前記判定閾値を超える前に、段階的に増加される前記パルス幅がインジェクタの故障を示す所定の上限値を超えると、最小パルス幅の学習を禁止する
    請求項1に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  3. 前記学習手段は、最小パルス幅の学習を前記エンジンの無負荷運転時に行う
    請求項1又は2に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
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