JP2014214660A - ソーラーガスタービン - Google Patents

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Abstract

【課題】受熱部内部に熱破損が生じないソーラーガスタービンを提供する。【解決手段】ヘリオスタット2で反射された太陽光Lを予め熱交換部材9で受け、そこに空気aを通して加熱空気bをつくり、その加熱空気bを受熱部4内に導入するため、受熱部4には太陽光Lが直接当たらない。加熱空気aは流れの中で分散して受熱部4に当たるため、受熱部4に部分的な熱破損が生じない。太陽光Lを直接受ける熱交換部材9は非金属耐熱材料製のため、そこに加熱温度分布が生じても熱破損することはない。【選択図】 図4

Description

本発明は、ソーラーガスタービンに関するものである。
ガスタービンの圧縮空気を太陽熱により加熱し、その加熱した圧縮空気によりタービンを駆動させ、タービンに直結された発電機から電力を得る技術が知られている。太陽集光装置により太陽光を受熱部に集光させ、そこに圧縮空気を通過させることにより圧縮空気を加熱する。受熱部の内部は、複数の金属パイプをパネル状に並設した構造になっており、受熱部の内部に取り入れた太陽光を金属パイプに照射することで光を熱に変換し、その内部を流れる圧縮空気を加熱する。金属パイプを構成する金属の耐熱性にもよるが一般に800°C程度の高温圧縮空気が得られる(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−7149号公報
しかしながら、このような従来の技術にあっては、圧縮空気を通過させる金属部品に太陽光を直接照射する構造のため、太陽光の集光状態に起因した加熱温度分布が金属部品に生じ、金属部品の均一な加温が行えない場合がある。そのため金属部品に一部分のみが過熱状態となるホットスポットが生じ、その部分を熱破損させるおそれがあった。
本発明は、このような従来の技術の課題に着目してなされたものであり、受熱部内部に熱破損が生じないソーラーガスタービンを提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、ヘリオスタットにより反射された太陽エネルギーを受ける受熱部と、大気を吸引圧縮する空気圧縮機と、空気圧縮機からの圧縮空気により回転するタービンとを含む圧縮空気の第1流路と、タービンに連結された発電機とを備え、前記受熱部が空気圧縮機とタービンとの間に設けられ、太陽エネルギーの入光側位置に設けられ貫通孔を有する非金属耐熱材料からなる熱交換部と、前記受熱部と、通風手段とを含む加熱空気の第2流路が設けられ、前記熱交換部は前記受熱部の上流に設けられ、前記受熱部において前記圧縮空気が熱交換により加熱されることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、熱交換部材及び受熱部を通風手段が設けられたハウジング内に収納し、且つハウジングの太陽光の入光部分に耐熱性を有する透明窓を設けたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、地上よりも高い位置に設置され下面に反射面を有するセンターミラーと、前記センターミラーの周囲の地上領域に設置されて太陽光を前記センターミラーに向けて反射する複数のヘリオスタットとを有し、ヘリオスタットで反射された太陽光をセンターミラーで下向きに反射させるビームダウン式太陽集光装置により地上位置に集光される構造で、受熱部及び熱交換部材が地上位置における太陽光の集光位置に設置されると共に、空気圧縮機とタービンと発電機が前記受熱部に近い地上位置に設置されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、センターミラーが、断面が回転楕円体に合致した湾曲面を有し、かつ、下方に第1焦点と第2焦点を持つものであり、上部開口よりも下部開口の方が小さく且つ内面が鏡面とされた筒型集光鏡を、前記上部開口の中心と前記第2焦点とを略一致させた状態で設置し、熱交換部材は前記筒型集光鏡の下部開口付近に設置されており、記ヘリオスタットは、反射光が前記第1焦点へ向かうように制御されることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、ヘリオスタットで反射された太陽光を予め熱交換部材で受け、そこに空気を通して加熱空気をつくり、その加熱空気を受熱部内に導入して受熱部を加熱するため、受熱部には太陽光が直接当たらない。熱交換部材を通過した加熱空気は流れの中で分散して受熱部に当たるため、受熱部に部分的な熱破損が生じない。太陽光を直接受ける熱交換部材は非金属耐熱材料製のため、それ自身に加熱温度分布が生じても熱破損することはない。受熱部が確実に加熱されるため、そこを通過する圧縮空気は確実に高温圧縮空気となりタービンを回転させる。
請求項2記載の発明によれば、熱交換部材と受熱部を一緒のハウジング内に収納したため、熱交換部材を通過した加熱空気を全て受熱部に導入することができる。受熱部の入光側に透明窓が設けられているため、入光のために大きな窓を開放する必要がなく熱交換部材への埃などの侵入を抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、集光装置がビームダウン型で、受熱部とタービンの両方とも地上位置にあるため、受熱部からタービンまでの高温圧縮空気の導入経路が短く、熱損失が小さい。
請求項4記載の発明によれば、センターミラーは断面が楕円に合致した湾曲面を有した形状であって、ヘリオスタットで反射した太陽光がセンターミラーの第1焦点を通過すれば、その太陽光は幾何光学的に必ず第2焦点に集光する。そのため、ヘリオスタットは反射光が常に第1焦点へ向かうように制御すれば良く、ヘリオスタットの制御が容易である。また、第2焦点の周囲に筒型集光鏡が位置するため、第2焦点から外れた太陽光も筒型集光鏡内に取り入れて内面で反射しながら確実に熱交換部材に導くことができる。
実施形態に係るソーラーガスタービンを示す側面図。 ソーラーガスタービンを示す平面図。 ガスタービンの構造を示す図。 筒型集光鏡及び受熱部の内部構造を示す断面図。 筒型集光鏡を示す平面図。 熱交換部材を示す平面図。 熱交換部材の構成部品を示す斜視図。 受熱部を示す平面図。 受熱部を示す斜視図。
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、太陽熱を得るためのビームダウン式太陽集光装置の説明をする。この実施形態では日本のような北半球の中緯度の地域の場合を例にして説明する。
ビームダウン式太陽集光装置の中心にはセンターミラー1が図示せぬ3本のタワーにより支持されている。センターミラー1は、日中に太陽が存在する方角とは反対側が切欠かれた部分回転楕円形状をしている。センターミラー1は図1に示すように、断面が楕円に合致した湾曲面を有し、下方に共焦点として第1焦点Aと第2焦点Bが存在する。
センターミラー1は図2に示すように、平面視で、半円よりも東側及び西側に所定の角度範囲だけ張り出した状態になっている。センターミラー1の北側及び東西両側には複数のヘリオスタット2が放射状に設置されている。
ヘリオスタット2は図示せぬセンサーにより太陽の動きに連動して向きを変化させる構造となっており、常に太陽光Lを第1焦点Aへ向けて反射するように制御される。第1焦点Aを通過した太陽光Lはセンターミラー1で反射されて第2焦点Bに集光する。
第2焦点Bには筒型集光鏡3が設置されている。筒型集光鏡3は上部開口よりも下部開口が狭い概略テーパー筒形状で、内面はマルチミラー式の複数のセグメントにより構成された鏡面になっている。ヘリオスタット2の反射光は、センターミラー1で反射された後に、すべてこの筒型集光鏡3内に導入される。筒型集光鏡3の下側には熱交換部材(熱交換部)9と受熱部4が一体的に設けられ、熱交換部材9は筒型集光鏡3の直近(入光側位置)に配置される。
筒型集光鏡3は周囲が角型のハウジング5により覆われていて、筒型集光鏡3とハウジング5との間には中空部6が存在する。ハウジング5の上部には中空部6への空気取入口7が形成されている。
筒型集光鏡3の下側の熱交換部材9と受熱部4は下部が細くなったロート状のハウジング8に収納されている。熱交換部材9と受熱部4はこのハウジング8の断面を塞ぐように設けられている。
筒型集光鏡3のハウジング5と、熱交換部材9及び受熱部4のハウジング8とは、通気路12を介して連結されている。筒型集光鏡3の下部開口に臨むハウジング8の上面には透明窓13が形成されている。この透明窓13は耐熱性を有する石英硝子で形成されている。ハウジング8の下部には通気手段としてのファン14が設けられている。
第1の熱交換器としての熱交換部材9は複数個から構成され、それぞれ非金属耐熱材料としての黒色で炭化珪素膜(SiC)製の多貫通孔構造をしており約1000℃以上の耐熱性を有している。個々の熱交換部材9は通過空気を均一化するためのロート状のカバー14(図7)内に収納されている。
第2の熱交換器としての受熱部4は後述する2つの流路の接点であり、二段で互い違いに配置された複数の金属パイプから構成されている。ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等の超耐熱金属製で、内部にガスタービン19の圧縮空気T2が通過する。
ここでガスタービン19の構造を説明する。ガスタービン19自体もビームダウン式太陽集光装置の集光点である地上位置に設置されている。ガスタービン19は受熱部4と空気圧縮機20とタービン21と発電機22とから基本的に構成されている。
空気を熱媒体とする圧縮空気の流路(第1流路)には大気T1が吸引される側から空気圧縮機20、受熱部4、タービン21が配置される。受熱部4は第1流路において空気圧縮機20とタービン21との間に設けられている。まず大気T1は空気圧縮機20に吸引されて、そこで圧縮されて圧縮空気T2となる。圧縮空気T2は空気圧縮機20から受熱部4へ供給される。圧縮空気T2は空気圧縮機20で圧縮されることにより大気T1よりも高温になるが、受熱部4を通過することにより更に加熱されて高温圧縮空気T3となる。受熱部4内の熱交換器を形成する金属の耐熱性にもよるが高温圧縮空気T3は800°C程度に加熱される。
高温圧縮空気T3は受熱部4からタービン21に導入される。タービン21に導入された高温圧縮空気T3は断熱膨張によりタービン21を回転させて、直結された発電機22から電力を取り出すことができる。タービン21を通過した排気T4は十分高温なため、その熱は空気圧縮機20に導入される大気T1の予熱等に再利用される。このガスタービン19は発電のために水を必要とせず、空気のみを作動流体として利用するため、水が貴重な砂漠地域等において特に有用である。更に空気だけで発電可能なため、二酸化炭素の排出を完全に抑制することもできる。
次にこのガスタービン19の受熱部4で圧縮空気T2を太陽光により加熱する過程を説明する。
まずセンターミラー1で反射された太陽光Lは全て筒型集光鏡3内に導入され、その内面で反射されて集光されるが、反射の際に筒型集光鏡3自体を加熱するため筒型集光鏡3が大変に高温になる。そのため、空気取入口7から取り入れられた空気aは中空部6内で筒型集光鏡3の裏面と接して予備的に加熱される。
ある程度加熱された空気aは通気路12を介して熱交換部材9の上部空間10に導入される。上部空間10に導入された空気aは熱交換部材9を通過して下部空間11に至る。この際、熱交換部材9には筒型集光鏡3の下部開口から透明窓13を経て高エネルギーの太陽光が照射されて熱に変換され、熱交換部材9が大変な高温になっている。そのため、熱媒体としての空気aは熱交換部材9を通過して第1の熱交換(エネルギー変換)をすることにより加熱空気bとなる。
この加熱空気bが複数の金属パイプで構成された受熱部4を通過するため、受熱部4が加熱され、その内部を通過する圧縮空気T2を加熱して高温圧縮空気T3にする。高温圧縮空気T3はタービン21を回転させて発電機22を稼働させる。受熱部4を通過した加熱空気bはファン14により外部排出される。尚、この排出される高温圧縮空気T3を再度、空気取入口7へ循環しても良い。
空気を熱媒体とする加熱空気の流路(第2流路)には上流側から中空部6、上部空間10、熱交換部9、下部空間11、受熱部4(第2熱交換部)、ファン14が配置される。したがって、圧縮空気の流路(第1流路)と加熱空気の流路(第2流路)は受熱部4で交わって第2の熱交換を行い圧縮空気T2が高温圧縮空気T3となる。
この実施形態によれば、以上説明したように、ヘリオスタット2で反射された太陽光Lを予め熱交換部材9で受け、そこに空気aを通して加熱空気bをつくり、その加熱空気bを受熱部4内に導入する。したがって、太陽光Lのエネルギーが熱媒体bを介して受熱部4に伝達されるため、受熱部4には太陽光Lが直接当たらない。加熱空気aは熱流体としてハウジング8内で分散して受熱部4に接触するため、受熱部4に不均一な温度分布による局所的な熱破損が生じずさらに熱変換効率も高い。太陽光Lを直接受ける熱交換部材9は非金属耐熱材料製のため、それ自身に加熱温度分布が生じても熱破損することはない。
また熱交換部材9と受熱部4を一緒のハウジング8内に収納したため、熱交換部材9を通過した加熱空気bを全て受熱部4に導入することができる。受熱部4の入光側に透明窓13が設けられているため、入光のために大きな窓を開放する必要がなく熱交換部材9への埃などの侵入を抑制することができる。
更に、集光装置がビームダウン型で、受熱部4とガスタービン19の両方とも地上位置にあるため、受熱部4からタービン21への高温圧縮空気T3の導入経路が短く、熱損失が小さい。従って、太陽エネルギーの効率的な利用が図れる。
加えて、センターミラー1は断面が楕円に合致した湾曲面を有した形状であって、ヘリオスタット2で反射した太陽光Lがセンターミラー1の第1焦点Aを通過すれば、その太陽光Lは幾何光学的に必ず第2焦点Bに集光する。そのため、ヘリオスタット2は反射光が常に第1焦点Aへ向かうように制御すれば良く、ヘリオスタット2の制御が容易である。また、第2焦点Bの周囲に筒型集光鏡3が位置するため、第2焦点Bから外れた太陽光Lも筒型集光鏡3内に取り入れて内面で反射しながら確実に熱交換部材9に導くことができる。
以上の実施形態では、ビームダウン式太陽集光装置により太陽光を熱交換部材9に対して集光する例を示したが、それに限定されず、どのような集光装置であっても良い。
1 センターミラー
2 ヘリオスタット
3 筒型集光鏡
4 受熱部
7 空気取入口
8 ハウジング
9 熱交換部材(熱交換部)
13 透明窓
14 ファン(通気手段)
19 ガスタービン
20 空気圧縮機
21 タービン
22 発電機
A 第1焦点
B 第2焦点
L 太陽光

Claims (4)

  1. ヘリオスタットにより反射された太陽エネルギーを受ける受熱部と、大気を吸引圧縮する空気圧縮機と、空気圧縮機からの圧縮空気により回転するタービンとを含む圧縮空気の第1流路と、タービンに連結された発電機とを備え、
    前記受熱部が第1流路における空気圧縮機とタービンとの間に設けられ、
    太陽エネルギーの入光側位置に設けられ貫通孔を有する非金属耐熱材料からなる熱交換部と、前記受熱部と、通風手段とを含む加熱空気の第2流路が設けられ、
    前記熱交換部は第2流路における前記受熱部の上流に設けられ、前記受熱部において前記圧縮空気が熱交換により加熱されることを特徴とするソーラーガスタービン。
  2. 熱交換部及び受熱部を通風手段が設けられたハウジング内に収納し、且つハウジングの太陽光の入光部分に耐熱性を有する透明窓を設けたことを特徴とする請求項1記載のソーラーガスタービン。
  3. 地上よりも高い位置に設置され下面に反射面を有するセンターミラーと、前記センターミラーの周囲の地上領域に設置されて太陽光を前記センターミラーに向けて反射する複数のヘリオスタットとを有し、ヘリオスタットで反射された太陽光をセンターミラーで下向きに反射させるビームダウン式太陽集光装置により地上位置に集光される構造を有し、
    受熱部及び熱交換部が地上位置における太陽光の集光位置に設置されると共に、空気圧縮機とタービンと発電機が前記受熱部に近い地上位置に設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のソーラーガスタービン。
  4. 前記センターミラーが、断面が回転楕円体に合致した湾曲面を有し、かつ、下方に第1焦点と第2焦点を持つものであり、
    上部開口よりも下部開口の方が小さく且つ内面が鏡面とされた筒型集光鏡を、前記上部開口の中心と前記第2焦点とを略一致させた状態で設置し、
    熱交換部材は前記筒型集光鏡の下部開口付近に設置されており、
    前記ヘリオスタットは、反射光が前記第1焦点へ向かうように制御されることを特徴とする請求項3記載のソーラーガスタービン。
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