JP2014214503A - 棒状構造体 - Google Patents
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Abstract
Description
第一の発明によれば、軸力部材をアルミニウム合金製としているので、棒状構造体の軽量化を図ることが可能になる。また、鋼のヤング係数は、アルミニウム合金のヤング係数の約3倍であることから、座屈拘束部材を鋼製とすれば、その断面二次モーメントの大きさをアルミニウム合金製の座屈拘束部材を用いた場合に必要となる断面二次モーメントの1/3にしても、必要なオイラー座屈荷重Pe(=π2EI/L2)を得ることができる。つまり、本発明によれば、必要な補剛効果を確保しつつも小断面化を図ることが可能になる。
このようにすると、鋼製の座屈拘束部材の全体が軸力部材によって覆われるようになるので、座屈拘束部材への雨水等の付着を防ぐことができ、ひいては、座屈拘束部材の腐食を防ぐことが可能になる。
座屈拘束部材の外形を中空材の内空断面形状と略同一にすると、軸力部材の中空材が如何なる方向に曲がろうとしても、座屈拘束部材の外面が中空材の内面に速やかに接触するので、中空材にオイラー座屈が発生する荷重を大きくすることが可能になる。また、中空材の内面と座屈拘束部材の外面との間にクリアランスを設けておけば、中空材の内面と座屈防止部材の外面との間に摩擦力が発生し難くなる結果、座屈拘束部材への軸力伝達を抑制することが可能になり、ひいては、座屈拘束部材がオイラー座屈すること(すなわち、補剛効果が損なわれること)を防止することが可能になる。
このようにすると、当接部材と支持部材とによって座屈拘束部材が中空材内部の所定位置に位置決めされることになるが、エンド材を介して当接部材および支持部材に大きな軸力が作用したときには、当接部材および支持部材の少なくとも一方に塑性変形が発生するようになる。すなわち、当接部材および支持部材の少なくとも一方が塑性変形するように構成しておけば、座屈拘束部材に軸力が伝わりに難くなるので、軸力部材に大きな軸力が作用したときでも、座屈拘束部材にオイラー座屈が発生することを抑制することが可能になり、したがって、座屈拘束部材の小断面化を図っても、軸力部材に対する必要な補剛効果を確保することが可能になる。
このようにすると、簡易な構成でありながらも、雄ねじ部のねじ込み操作によって当接部材の位置(すなわち、座屈拘束部材の位置)を調整することが可能になり、さらには、プレート材からなる当接部材が塑性変形することによって、座屈拘束部材への軸力伝達を抑制することが可能になる。
このようにすると、簡易な構成でありながらも、雄ねじ部のねじ込み操作によって当接部材の位置(座屈拘束部材の位置)を調整することが可能になり、さらには、プレート材からなる当接部材が塑性変形することによって、座屈拘束部材への軸力伝達を抑制することが可能になる。
6000系アルミニウム合金を用いる場合には、高い耐力を有するA6061−T6合金(溶体化処理後に焼入れ処理をし、その後に人工時効処理をしたAl−Mg−Si系合金)が好適である。
7000系アルミニウム合金を用いる場合には、A7003−T5合金(常温まで冷却した後に人工時効処理をしたAl−Zn−Mg系合金)が好適である。A7003−T5合金は、耐力が高くヤング係数が低いため、強度型の復元力特性を実現することが可能になる。
まず、中空材11の一方の端部にエンド部材12を接合する。具体的には、蓋部1aの小径部を中空材11の内部に挿入しつつ、蓋部1aの大径部を中空材11の端面に突き合わせ、蓋部1aの大径部と中空材11との突き合わせ部を全周に亘って溶接接合または摩擦攪拌接合を施せばよい。あるいは、中空材11とエンド部材12とを相対回転させつつ突き合わせて両者を摩擦圧接してもよい。なお、当接部材3および支持部材4は、エンド部材12を中空材11に接合する前にエンド部材12に装着しておく。
棒状構造体Aでは、軸力部材1をアルミニウム合金製としているので、棒状構造体Aの軽量化を図ることが可能になる。
実施例においても、軸力部材1はアルミニウム合金製(中空材11:A5083−O合金、エンド材12:A7003−T5合金)であり、座屈拘束部材2は鋼製(STK400)である。また、当接部材3および支持部材4はオーステナイト系のステンレス鋼製(SUS304)である。棒状構造体Aの諸元は、表1に示すとおりである。
なお、比較例1に係る棒状構造体では、軸力部材1の中空材11をA5083−O合金、エンド材12をA7003−T5合金とし、比較例2に係る棒状構造体では、軸力部材1の中空材11をA7003−T5合金、エンド材12をA7003−T5合金としている。
比較例1,2における軸力部材1の諸元は、表1に示すものと同じである。
また、比較例2に係る棒状構造体では、耐力が高くヤング係数が低いA7003−T5合金を用いて中空材を形成しているので、比較例1よりも大きな軸力まで耐えることができるが、中空材に作用する圧縮応力が250(N/mm2)となった時点で中空材にオイラー座屈が発生してしまい、その後は耐力が低下してしまったので、地震エネルギーの吸収量は、実施例に係る棒状構造体Aに比べて大幅に小さくなった。
B 枠状フレーム(構造物)
1 軸力部材
11 中空材
12 エンド材
1b 雌ねじ孔
2 座屈拘束部材
3 当接部材
4 支持部材
41 段付きボルト
4a 第一雄ねじ部
4b 第二雄ねじ部
Claims (7)
- 構造物に接合されるアルミニウム合金製の軸力部材と、
前記軸力部材の座屈を防止する鋼製の座屈拘束部材とを備えることを特徴とする棒状構造体。 - 前記軸力部材は、パイプ状の中空材と、前記中空材の両端部を閉塞するエンド材とを有し、
前記座屈拘束部材は、前記中空材に挿通されている、ことを特徴とする請求項1に記載の棒状構造体。 - 前記座屈拘束部材は、前記中空材の内空断面形状と略同一の外形を有する鋼管からなり、
前記中空材の内面と前記座屈拘束部材の外面との間にクリアランスが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の棒状構造体。 - 前記座屈拘束部材の開口端に当接する当接部材と、
前記エンド材から前記当接部材に至る支持部材とを備えており、
前記当接部材および前記支持部材の少なくとも一方は、前記座屈拘束部材のオイラー座屈荷重よりも小さい荷重で塑性変形する、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の棒状構造体。 - 前記エンド材には、前記中空材の内部に通じる雌ねじ孔が形成されており、
前記支持部材は、前記雌ねじ孔に螺合する雄ねじ部を有し、
前記当接部材は、前記支持部材から押抜力を受けて塑性変形するプレート材からなる、ことを特徴とする請求項4に記載の棒状構造体。 - 構造物に接合される中空の軸力部材と、
前記軸力部材に収容された座屈拘束部材と、
前記座屈拘束部材の端面に当接する当接部材と、
前記軸力部材の端部から前記当接部材に至る支持部材とを備える棒状構造体であって、
前記当接部材および前記支持部材の少なくとも一方は、前記座屈拘束部材のオイラー座屈荷重よりも小さい荷重で塑性変形する、ことを特徴とする棒状構造体。 - 前記軸力部材は、パイプ状の中空材と、前記中空材の両端部を閉塞するエンド材とを有し、
前記エンド材には、前記中空材の内部に通じる雌ねじ孔が形成されており、
前記支持部材は、前記雌ねじ孔に螺合する雄ねじ部を有し、
前記当接部材は、前記支持部材から押抜力を受けて塑性変形するプレート材からなる、ことを特徴とする請求項6に記載の棒状構造体。
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