JP2014211344A - 炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維の観察方法、及びそれに用いるx線ctトレーサー、並びに炭素繊維強化プラスチック - Google Patents

炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維の観察方法、及びそれに用いるx線ctトレーサー、並びに炭素繊維強化プラスチック Download PDF

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Azusa Iida
あずさ 飯田
和明 岡本
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和明 岡本
征 原田
Tadashi Harada
征 原田
裕司 堀田
Yuji Hotta
裕司 堀田
祐介 今井
Yusuke Imai
祐介 今井
太介 島本
Tasuke Shimamoto
太介 島本
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Abstract

【課題】炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維の分散性や配向性を観察する方法、それに用いる炭素繊維、及び炭素繊維の分散性や配向性を観察することが可能な炭素繊維強化プラスチックを提供することを解決すべき課題とする。【解決手段】本発明の炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維の観察方法は、金属被覆炭素繊維が分散された炭素繊維強化プラスチックを用意する準備工程と、炭素繊維強化プラスチックのX線CTを撮影するX線CT工程とを備えている。こうして、炭素繊維の表面が金属で被覆されている炭素繊維をX線CTのトレーサーとして用いることにより、炭素繊維の分散性や配向性を明確に把握することができる。マトリックスを熱可塑性プラスチックとすることにより、射出成形品の品質管理や最適な成形条件を見出すことが容易となる。【選択図】図13

Description

本発明は、炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維の観察方法、及びそれに用いるX線CTトレーサー、並びに炭素繊維強化プラスチックに関する。
炭素繊維強化プラスチックは、高い機械的強度と軽量性を併せ持つ材料であり、この特性を利用して、スポーツ、レジャー、航空、宇宙等の用途に幅広く用いられている。炭素繊維プラスチックのマトリックスにはプリプレグなどに使われる長繊維にはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が、射出成形ペレットなどに使われる短繊維には熱可塑性プラスチックが主に使われている。最近では、リサイクル性や高速成型性の観点から、長繊維のマトリックス樹脂として熱可塑性プラスチックを用いることも試みられている(例えば特許文献1)。
熱可塑性プラスチックをマトリックスとする炭素繊維複合材料は、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、スタンピング成形などにより成形されるが、こうして成形された樹脂中において炭素繊維の分散性や配向性が、機械的特性に重大な影響を及ぼしたり、外観に影響したりする。このため、炭素繊維の分散性や配向性を観察する方法の確立が求められている。
ガラス強化プラスチック中におけるガラス繊維の分散性や配向性を調べる方法としては、従来からX線CTが利用されている(特許文献2)。X線CTは、物質ごとに異なるX線吸収係数の違いを画像化するため、一体化したものでも材料が異なれば画像コントラストの差として区別可能となる。そのため、様々な複合材料中に分散している物体の形状を3次元画像データとして、非破壊でコンピュータに取り込むことができる。
また、ガラス繊維とともに、X線吸収係数の大きい物質をトレーサーとして少量添加した試料のX線CTを撮影することにより、高コントラストの画像を得るという技術も開発されている(非特許文献1)。トレーサーとしては、銅ワイヤや銅めっきしたガラス繊維やニッケルめっきしたガラス繊維が用いられている。この方法によれば、ガラス繊維どうしが密に絡まっていて、画像の重なりによってガラス繊維の観察が困難となる場合であっても、トレーサーの添加量を適宜調製することにより、ガラス繊維の分散性や配向性に関する適切な情報を容易に得ることができる。また、CT画像の画素数の制限(100万画素程度)により、小さな範囲でしか繊維の判別ができなかった試料に対しても、トレーサーを用いることにより、大きな範囲における繊維の判別が可能となり、分散性や配向性の解析を大きな範囲で行うことができる。
なお、本願の発明に関係する技術として炭素繊維にめっきを施す方法が特許文献3に記載されている。
特開2006-22441号公報 特開2012-2547号公報 特開2010-37623号公報
岡本和明ら、「トレーサーを利用したガラス繊維複合材料のX線CT観察」、2012.11.30発表 成形加工シンポジウム‘12 予稿集 2012.11.30〜2012.12.1開催 主催:一般社団法人プラスチック成形加工学会
しかし、炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維の分散性及び配向性をX線CTで測定しようとした場合、ガラス繊維強化プラスチックとは異なり、次のような問題が生じる。すなわち、炭素繊維のX線吸収係数と、マトリックスであるプラスチックのX線吸収係数の差が小さいため、上記特許文献2に記載されているような、一般的なX線CTに用いられているX線源(加速電圧範囲50kV-225kV程度)を用いたX線CTでは、プラスチックと炭素繊維とのコントラストを得ることができず、炭素繊維の可視化が困難である。また、特殊な仕様のX線CTを用いれば炭素繊維の可視化も可能となるが、そのような装置では観察可能範囲が狭くなってしまう。
また、上記非特許文献1に記載されている、銅ワイヤをX線CTのトレーサーとして用いる技術を炭素繊維強化プラスチックに利用した場合、コントラストは得られるものの、炭素繊維と銅ワイヤとの間の特性(弾性率、硬さ、剛性等)が大きく異なる。また、炭素繊維は樹脂中でほぼ直線状で存在するのに対し、金属ワイヤは折れ曲がったときの復元性に欠けるため樹脂中でまがりくねってしまう(後述する図17参照)。このため、銅ワイヤの分散性や配向性から炭素繊維の分散性や配向性を推定できるとは限らない。
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維の分散性や配向性を把握することが可能な観察方法、及びそれに用いる炭素繊維強化プラスチック用X線CTトレーサー、並びに炭素繊維の分散性や配向性を観察することが可能な炭素繊維強化プラスチックを提供することを解決すべき課題とする。
本発明の炭素繊維の観察方法は、金属被覆炭素繊維が分散された炭素繊維強化プラスチックを用意する準備工程と、該炭素繊維強化プラスチックのX線CTを撮影するX線CT工程とを備えた炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維の観察方法である。
本発明の炭素繊維の観察方法では、準備工程において用意された炭素繊維強化プラスチック中には、金属被覆炭素繊維が分散されている。そして、金属被覆炭素繊維はマトリックスのプラスチックや炭素繊維よりもX線吸収係数の大きな金属が被覆されているため、X線CT工程におけるX線の吸収がマトリックスのプラスチックや炭素繊維よりも大きくなる。このため、X線CTにおけるコントラストを得るためのトレーサーとしての機能が発揮され、金属被覆炭素繊維のX線CT画像を得ることができる。また、金属被覆炭素繊維は炭素繊維と表面が異なるだけであり、内部は同じ炭素からなるため、プラスチック中における分散や配向の挙動も、炭素繊維とほぼ同様の挙動を示す。このため、金属被覆炭素繊維の分散や配向を把握することにより、プラスチック中における金属被覆されていない炭素繊維の分散や配向を把握することができる。さらには、金属被覆炭素繊維の分散量を適宜調整することにより、金属被覆炭素繊維どうしの重なりによって個々の繊維が判別困難になることを防ぐことが出来る。このため、例え炭素繊維強化プラスチック中に金属被覆炭素繊維以外に金属を被覆していない炭素繊維が大量に分散されていても、その分散性や配向性を把握することができる。さらには、一般的なX線CT装置を用いたとしても、広い範囲で観察することができるため、金属被覆炭素繊維の含有量を適宜調整することにより、低倍率でのX線CT画像においても分散性や配向性を把握でき、炭素繊維強化プラスチック試料が大きくても、X線CT画像を得ることができる。
金属被覆炭素繊維の含有量は0.1重量%以上10重量%以下とされていることが好ましい。0.1重量%未満ではX線CT画像中における金属被覆炭素繊維の数が少なくなり、分散性や配向性を把握し難くなる。また、10重量%より多いと、金属被覆炭素繊維どうしが重なってしまって分散性や配向性を把握し難くなる。さらに好ましいのは、1重量%以上5重量%以下である。
金属被覆炭素繊維における金属被覆層の厚さは0.1μm以上5μm未満とされていることが好ましい。0.1μm以上であれば、X線CTにおけるコントラストが明確となる。また、5μm未満であれば、炭素繊維とほぼ同様の分散性及び配向性となるため、炭素繊維の分散性及び配向性の良い指針となる。さらに好ましいのは0.2μm以上0.5μm未満である。
また、マトリックスとなるプラスチックとしては、熱硬化性プラスチックのみならず、熱可塑性プラスチックも用いることができる。
熱硬化性プラスチックとしては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性のポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを使用するのが好ましく、これら2種以上を混合して用いても良い。中でも、成形が容易で物性に優れたエポキシ樹脂が好ましい。
また、熱可塑性プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、EVA樹脂、EVA樹脂のケン化樹脂、ポリアミド6、66、6/66、610、612、11、12、1212等の結晶性ポリアミド、非晶性ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ(エチレン・テトラフルオロエチレン)共重合体、ポリ(プロピレン、テトラフルオロエチレン)共重合体、熱可塑性のポリウレタン樹脂、これらの樹脂にゴム成分を入れて衝撃強度を改良した樹脂等を例示することができる。
また、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等をマトリックスとして用いてもよい。
熱可塑性プラスチックをマトリックスとする炭素繊維複合材料であれば、射出成型、射出圧縮成型、押出成型、スタンピング成型などにより成型することができ、短時間に大量かつ安価に製造することができる。また、こうして成形された樹脂中における炭素繊維の分散性や配向性は、機械的特性に重大な影響を及ぼしたり、外観に影響したりする。熱可塑性プラスチック中の炭素繊維の分散性や配向性が適切であるか否かを非破壊で3次元観察することにより、設計や成形条件の最適化を図ったり、品質管理において有用な情報を得たりすることができる。
金属被覆炭素繊維を被覆する金属は特に限定はなく、合金であってもよいし、多層膜であってもよい。被覆金属が銅であることも好ましい。銅は無電解Cuめっき浴によって炭素繊維に密着性良く被覆させることができる。また、被覆金属はNiであることも好ましい。Niも無電解Niめっき浴によって炭素繊維に密着性良く被覆させることができる。
無電解Cuめっき方法としては、炭素繊維をカチオン系界面活性剤溶液に浸漬する前処理工程と、前記前処理工程を経た前処理済み炭素繊維をPdとSnのコロイド溶液に浸漬する触媒浸漬工程と、前記触媒浸漬工程を経た触媒付着炭素繊維を酸溶液に浸漬する酸処理工程と、無電解Cuめっき工程を備えることが好ましい。こうであれば、炭素繊維の上に密着性の良い銅めっき層を形成することができる。
また、無電解Cuめっき浴の代わりに、無電解Niめっき浴を用いてもよい。こうであれば、炭素繊維の上に密着性の良いNiめっき層を形成することができる。
さらには、めっきを行う際、炭素繊維は長繊維のままでも、短く切断された短繊維のどちらでもかまわない。
また、無電解Cuめっきや無電解Niめっきを行った後、さらに電気めっきを施してもよい。電気めっきであれば、めっき速度が速いため、めっき層の厚さを短時間でさらに厚くすることができるとともに、電流や電解時間を制御することによってめっき層の厚みを正確に制御することができる。
炭素繊維と本発明の金属被覆炭素繊維とをプラスチックに分散させることにより、本発明の炭素繊維強化プラスチックとなる。プラスチックは熱可塑性プラスチックであることが好ましい。こうであれば、射出成形時に炭素繊維及び金属被覆炭素繊維を添加させることにより、本発明の炭素繊維強化プラスチックを容易に成形することができる。
Cu被覆炭素繊維の製造方法を示す工程図である。 実施例1で用いたPAN系の炭素繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で用いたピッチ系の炭素繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例3で用いたPAN系の炭素繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で作製したCu被覆炭素繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で作製したCu被覆炭素繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で作製したCu被覆炭素繊維(Cu被覆の破れ部分)の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例3で作製したCu被覆炭素繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例の試験片1のX線CTによる断層画像及び3次元画像である。 実施例の試験片2のX線CTによる断層画像及び3次元画像である。 実施例の試験片3のX線CTによる断層画像及び3次元画像である。 実施例の試験片4のX線CTによる断層画像及び3次元画像である。 実施例の試験片5のX線CTによる断層画像及び3次元画像である。 実施例の試験片6のX線CTによる断層画像及び3次元画像である。 実施例の試験片7〜10のX線CTによる断層画像である。 比較例の試験片1のX線CTによる断層画像である。 比較例の試験片2のX線CTによる断層画像及び3次元画像である。
以下、本発明の実施例を比較例と比較しつつ詳細に説明する。
<Cu被覆炭素繊維の調製>
実施例1〜3として、本発明の金属被覆炭素繊維であるCu被覆炭素繊維を、図1に示す工程図にしたがって調製した。
1)前処理工程(S1)
まず、下記表1に示す3種類の炭素繊維1gを用意し、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)1gをイオン交換水500mLに溶解して得た0.2重量% CTAB溶液中に入れ、30℃で15分間浸漬した後、ろ過し、水洗を行った。
2)触媒浸漬工程(S2)
次に、前処理(S1)を行った炭素繊維をSn−Pdコロイド分散液に室温で15分間浸漬した後、ろ過し、水洗を行った。
Sn−Pdコロイド液は次のようにして調製した。すなわち、12%塩酸45mLに塩化パラジウム(PdCl2)50mgを溶解し、ついで塩化錫(II)2水和物(SnCl2・2H2O)2.5gを加えて15分撹拌した。その後、12%塩酸を用いて10倍に希釈してSn−Pdコロイド分散液を得た。
3)酸処理工程(S3)
さらに、触媒浸漬工程(S2)を経た炭素繊維を、500gの10%硫酸溶液中に室温で15分間浸漬した後、ろ過し、水洗を行った。
4)無電解Cuめっき工程(S4)
最後に、60℃の無電解Cuめっき浴中に30分間(ただし、実施例3については5分間)浸漬した後、ろ過し、水洗を行うことにより、実施例1〜3のCu被覆炭素繊維を得た。無電解Cuめっき浴は次のようにして調製した。すなわち、イオン交換水400mLに、硫酸銅5水和物3g、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム2水和物12g、水酸化ナトリウム4g、及び2,2'-ビピリジル4mg、ポリエチレングリコール(平均分子量1000)100mg、及びホルムアルデヒド11gを逐次溶解し、これを無電解Cuめっき浴とした。
Cu被覆前の炭素繊維及びCu被覆後の炭素繊維の電子顕微鏡写真を図2〜図8に示す。これらの写真から、無電解Cuめっき後は、炭素繊維の全面にCuが均一に被覆されていることが分かる。また、図7におけるCu被覆の破断面から、実施例2におけるCu被覆の厚さは数百nmであることが分かった。さらに、図8におけるCu被覆の破断面から、実施例3におけるCu被覆の厚さは、約100nmであることが分かった。
<炭素繊維強化プラスチックの成形>
(実施例の試験片1〜6)
以上のようにして調製した実施例1及び実施例2のCu被覆炭素繊維をトレーサーとして、炭素繊維強化プラスチックからなる試験片を作製した。以下にその詳細を述べる。
マトリックスとなるプラスチックとしては、汎用ポリスチレンペレット(PSジャパン社製 商品名:PSJ−ポリスチレン GPPS HF55)を用いた。
このポリスチレンペレットと、実施例1又は実施例2のCu被覆炭素繊維とを下記表2に示す割合で全体が1.5 gになるように調製し、混合物を射出成形機(mini maxmolder CS-183mmx / Custom Scientific
Instruments,Inc.製)の溶融釜(200℃に設定)に投入した。そして、目視で樹脂が溶融したことを確認した後、60秒間混練を行った後、溶融混合物を引張試験の試験片製造用の金型中に射出した。その後、金型を銅板にはさんで冷却した後、金型から取り出し、実施例としての試験片1〜5とした。また、Cu被覆炭素繊維以外にCuを被覆する前の炭素繊維も添加し、同様にして成形したものを実施例としての試験片6とした。実施例の試験片1〜6の組成を纏めて表2に示す。
(実施例の試験片7〜10)
実施例の試験片7〜10では、マトリックスとなる樹脂をポリプロピレンペレット(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP MH4)とした。その他の作製条件については、試験片7は試験片3と同様であり、試験片8及び試験片9は試験片5と同様であり、さらに試験片10は試験片4と同様であり、説明を省略する。実施例の試験片7〜10の組成を纏めて表3に示す。
(比較例の試験片1)
比較例の試験片1では、Cuめっき被覆炭素繊維は添加せず、Cuを被覆する前の炭素繊維を1重量%添加した。その他の作製条件については実施例の試験片8と同様であり、説明を省略する。比較例の試験片1の組成を表4に示す。
(比較例の試験片2)
比較例の試験片2では、Cuめっき被覆炭素繊維の代わりに、短く切断した銅ワイヤ(径:25μm、長さ4-5mm)を10
重量%添加した。その他については実施例の試験片4と同様であり、説明を省略する。比較例の試験片2の組成を表5に示す。
<X線CTの測定>
上記のようにして得られた実施例の試験片1〜10及び比較例の試験片1,2について、X線CTによる断層画像及び3次元画像を撮影した。撮影に用いたX線CT装置及び撮影条件を以下に示す。
X線CT装置:東芝ITコントロールシステム(株)製
マイクロCTスキャナ TOSCANER 32252-μhd
撮影条件
[共通条件]
管電圧:50 kV、管電流:400μA、FID:800 mm、ビュー数:1000
積算枚数:16、
[拡大率32倍のときの条件]
FCD:25
mm、スライスピッチ:0.003 mm、1画素サイズ:0.0046 mm
[拡大率3.2倍のときの条件]
FCD:250
mm、スライスピッチ:0.030 mm、1画素サイズ:0.048 mm
<結 果>
実施例の試験片1〜10のX線CTによる断層画像及び3次元画像を図9〜図15に示す。また、比較例の試験片1及び2のX線CTによる断層画像及び3次元画像を図16及び図17に示す。
その結果、ポリスチレンにCu被覆炭素繊維のみを1~10重量%分散させた場合には、図9〜図13に示すように、炭素繊維の種類(PAN系かピッチ系)にかかわらず、倍率を32倍にした場合、Cu被覆炭素繊維の一本ごとを識別することができ、その配向性を観察できることが分かった。また、倍率を3.2倍にした場合は、試験片全体におけるCu被覆炭素繊維の配向性が明瞭に観察できることが分かった。さらに、Cu被覆炭素繊維の含有量が10重量%と最も多い場合である実施例の試験片4では、図12の倍率3.2倍の写真に示すように、Cu被覆炭素繊維の一部が左側周縁近くに多く存在している(明部)ことが分かった。また、炭素繊維の種類がPAN系である実施例の試験片5では、図13の倍率3.2倍の写真に示すように、Cu被覆炭素繊維どうしがくびれ部やや左上で絡み合っていることが分かった。さらに、図14から、Cuめっきを施していない炭素繊維及びCuめっき被覆炭素繊維の双方をポリスチレンに分散させた試験片6では、配向性や分散性を観察できることが分かった。
また、ポリプロピレンにCu被覆炭素繊維のみを1~10重量%分散させた場合においても、図15に示すように、Cu被覆炭素繊維の一本ごとを識別することができ、その配向性を観察できることが分かった。
一方、ポリプロピレンにCu被覆のない炭素繊維を1重量%分散させた比較例の試験片1では、図16に示すように、炭素繊維の形状を認識することはできなかった。
また、ポリプロピレンにCuワイヤを10重量%分散させた比較例の試験片2では、図17に示すように、Cuワイヤの形状を認識できるものの、形状が折れ曲がっており、炭素繊維とは明らかに異なる挙動を示した。このことから、Cuワイヤの配向性や分散性から炭素繊維の配向性や分散性を推定することは困難であることが分かった。
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
S1…前処理工程、S2…触媒浸漬工程、S3…酸処理工程、
S4…無電解Cuめっき工程

Claims (11)

  1. 金属被覆炭素繊維が分散された炭素繊維強化プラスチックを用意する準備工程と、
    該炭素繊維強化プラスチックのX線CTを撮影するX線CT工程と、
    を備えた炭素繊維強化プラスチック中の炭素繊維の観察方法。
  2. 前記金属被覆炭素繊維の含有量は0.1重量%以上10重量%以下とされていることを特徴とする請求項1記載の観察方法。
  3. マトリックスとなるプラスチックは熱可塑性プラスチックであることを特徴とする請求項1又は2に記載の観察方法。
  4. 前記金属被覆炭素繊維は炭素繊維が銅によって被覆されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の観察方法。
  5. 前記金属被覆炭素繊維における金属被覆層の厚さは0.1μm以上5μm未満とされている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の観察方法。
  6. 炭素繊維の表面が金属で被覆されていることを特徴とする炭素繊維強化プラスチック用X線CTトレーサー。
  7. 前記金属は無電解Cuめっきによって被覆された銅である請求項6に記載の炭素繊維強化プラスチック用X線CTトレーサー。
  8. 前記無電解Cuめっきは、
    炭素繊維をカチオン系界面活性剤溶液に浸漬する前処理工程と、
    該前処理工程を経た前処理済み炭素繊維をPdとSnのコロイド溶液に浸漬する触媒浸漬工程と、
    該触媒浸漬工程を経た触媒付着炭素繊維を酸溶液に浸漬する酸処理工程と、
    該酸処理工程を経た酸処理炭素繊維を無電解めっきするめっき工程と、
    を備えたことを特徴とする請求項8に記載の炭素繊維強化プラスチック用X線CTトレーサー。
  9. 無電解Cuめっき表面に、更に電気めっきが施されている請求項6乃至8のいずれか1項に記載の炭素繊維強化プラスチック用X線CTトレーサー。
  10. 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の炭素繊維強化プラスチック用X線CTトレーサーがプラスチックに分散されている炭素繊維強化プラスチック。
  11. 前記プラスチックは熱可塑性プラスチックである請求項10に記載の炭素繊維強化プラスチック。
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