JP2014210421A - ガラスシートフッ素樹脂積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】薄くて軽量であり、ガスバリア性、屈曲性および耐久性に優れ、かつ平坦性に優れるガラスシートフッ素樹脂積層体、該積層体を有する保護板および光電変換素子の提供。【解決手段】厚さが10〜500μmであるガラスシートと、含フッ素共重合体組成物から得られる硬化膜とを有するガラスシートフッ素樹脂積層体であって、含フッ素共重合体組成物が含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体、アルコキシシラン化合物、溶媒および加水分解・縮合触媒を含有する組成物である、ガラスシートフッ素樹脂積層体。【選択図】なし

Description

本発明はガラスシートフッ素樹脂積層体に関する。
液晶ディスプレイや携帯端末等の表示部材には保護のためにカバーガラスが用いられている。また太陽電池、LED等の光電変換素子の表面にも同様に保護のためにカバーガラスが用いられている。これらはガラスの持つ優れた耐久性、透明性等を利用した用途である。
近年、表示部材や光電変換素子には著しい軽量化が求められている。このためガラスを薄くする技術が開発されている。しかしガラスを薄くすると割れやすくなるという問題がある。このため樹脂材料との複合体で、軽量化、耐衝撃性、耐久性、ガスバリア性、屈曲性等の課題を解決する技術が提案されている(特許文献1〜4を参照。)。
特開2010−42588号公報 特開2011−16708号公報 特開2011−51278号公報 国際公開第2008/149793号
特許文献1〜3に記載の技術においては、樹脂として炭化水素系樹脂を用いているため長期間の耐久性、耐候性が充分でなく、樹脂の変色や劣化が起きる場合があった。また特許文献4に記載の技術においては、フッ素樹脂を用いて上記の樹脂の劣化の問題は抑制されている。しかし当該技術においてはフッ素樹脂フィルムを熱圧着法により積層している。この場合に積層体が平坦にならないという問題があった。具体的には、積層体の厚さの偏差を小さくすることは可能であるが、積層体全体における自立的な平坦性を確保することは困難であった。例えば平面上に積層体を置いた場合に、所々で平面から浮き上がるような、いわゆる「うねり」が観察されることがあった。
本発明においては、上記の問題を解決し、薄くて軽量であり、ガスバリア性、屈曲性および耐久性に優れ、かつ平坦性に優れる積層体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の[1]〜[11]の構成を有するガラスシートフッ素樹脂積層体、保護板および光電変換素子である。
[1] 厚さが10〜500μmであるガラスシートと、含フッ素共重合体組成物から得られる硬化膜とを有するガラスシートフッ素樹脂積層体であって、
前記含フッ素共重合体組成物が含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体、アルコキシシラン化合物、溶媒および加水分解・縮合触媒を含有する組成物であることを特徴とするガラスシートフッ素樹脂積層体。
[2] 400〜700nmの波長における透過率が80%以上である[1]のガラスシートフッ素樹脂積層体。
[3] 前記硬化膜の厚さが1〜1,000μmである[1]または[2]のガラスシートフッ素樹脂積層体。
[4] 前記アルコキシシラン化合物が、下式(1)で表される化合物および該化合物のオリゴマーのうちの少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれかのガラスシートフッ素樹脂積層体。
Si(OR4−x (1)
(ただし、式(1)中、xは0〜2の整数、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のフルオロアルキル基および炭素数6〜12のアリール基からなる群より選ばれる基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基である。)
[5] 前記溶媒が、炭素数3〜10のケトン化合物、炭素数2〜10のニトリル化合物、窒素原子に結合した水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜10のアミド化合物および下式(2)で表されるエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である、[1]〜[4]のいずれかのガラスシートフッ素樹脂積層体。
−(OCHCHR−OR (2)
(ただし、式(2)中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子またはメチル基、nは1〜5の整数である。)
[6] 前記含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の質量平均分子量が50,000〜1,000,000である、[1]〜[5]のいずれかのガラスシートフッ素樹脂積層体。
[7] 前記含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体が、下式(3)で表される単位と下式(4)で表される単位とを含む共重合体である、[1]〜[6]のいずれかのガラスシートフッ素樹脂積層体。
−(CFCFX)− (3)
−(CHCH(OH))− (4)
(ただし、式(3)中、Xはフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基または−OC2a+1(aは1〜3の整数である。)である。)
[8] 前記含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体において、式(3)で表される単位と式(4)で表される単位とのモル比が40/60〜60/40である、[7]のガラスシートフッ素樹脂積層体。
[9] 前記含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体において、式(3)で表される単位と式(4)で表される単位との交互共重合率が95%以上である、[7]または[8]のガラスシートフッ素樹脂積層体。
[10] 前記[1]〜[9]のいずれかのガラスシートフッ素樹脂積層体からなる保護板。
[11] 前記[1]〜[9]のいずれかのガラスシートフッ素樹脂積層体を有する光電変換素子。
本発明のガラスシートフッ素樹脂積層体は、薄くて軽量であり、ガスバリア性、屈曲性および耐久性に優れ、かつ平坦性に優れる。また本発明の保護板は、保護性能、耐久性に優れる。また本発明の光電変換素子は、耐久性に優れる。
[ガラスシートフッ素樹脂積層体]
本発明のガラスシートフッ素樹脂積層体(以下、単に「積層体」ともいう。)は、厚さが10〜500μmであるガラスシート(以下、単に「ガラスシート」ともいう。)と、後述する含フッ素共重合体組成物から得られる硬化膜(以下、単に「硬化膜」ともいう。)とを有する。
(ガラスシート)
本発明の積層体に用いるガラスシートは、厚さが10〜500μmである。当該厚さが10μm未満では積層体にした場合でも耐衝撃性が不充分となり破損しやすくなる場合があり好ましくない。また当該厚さが500μmを超える場合、積層体の屈曲性が不足する場合があり好ましくない。当該厚さは、20〜300μmが特に好ましい。
本発明に用いるガラスシートの表面は平坦であることが好ましい。特に表面の粗度は、JIS B0601で規定される算術平均粗さ(Ra)で、30nm以下が好ましく、1nm以下が特に好ましい。平坦であれば光線透過率が高く、また、ガラス表面に透明導電膜等の電極を積層した場合であっても膜抵抗が均一となり欠陥が生じにくく好ましい。
ガラスシートの厚さは均一であることが好ましい。具体的には厚さの偏差は、PV(Peak to Valley)値で15%以下(例えば厚さが100μmに対して、偏差が15μm以下)が好ましい。厚さが均一であれば外観が良好となり好ましい。またガラスシートの光線透過率は、波長が400〜700nmの範囲において90%以上が好ましい。またガラスシートの誘電率は10kHzにおいて5〜7が好ましい。またガラスシートのヤング率は、70〜95GPaが好ましく、75〜90GPaが特に好ましい。さらにガラスシートの線膨張係数は、0〜200℃において、3〜5×10−6/℃(3〜5ppm/℃)が好ましい。これらの特性を有していれば光電変換素子および表示素子等の保護板として優れるため好ましい。
ガラスシートの材質、組成としては特に制限はない。例えばソーダライムガラス、アルカリ−ホウケイ酸ガラス、無アルカリ−ホウケイ酸ガラス、無アルカリ−アルミノシリケートガラス等が挙げられる。このうち耐久性が高く、弾性率が高く、線膨張係数が低い点から無アルカリ−ホウケイ酸ガラスまたは無アルカリ−アルミノシリケートガラスが好ましい。以下では、無アルカリ−ホウケイ酸ガラスおよび無アルカリ−アルミノシリケートガラスを合わせて「無アルカリガラス」ということがある。無アルカリガラスであると、ガラスの上に半導体素子を形成する場合に、アルカリによる素子の不良が発生することがなく好ましい。なお無アルカリガラスとは、ガラス組成を酸化物で表した場合に、アルカリ金属酸化物の含有割合が1モル%未満である(0モル%であってもよい。)ガラスをいう。
なおガラスシートは強化処理が施されたものであってもよい。強化処理としては化学強化が好ましい。化学強化であれば、薄いガラスシートに対しても有効な強化処理を施すことができる。この場合に薄く、軽量であっても積層体が破損しにくいという効果が得られる。
(含フッ素共重合体組成物)
本発明における含フッ素共重合体組成物は、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体、アルコキシシラン化合物、溶媒および加水分解・縮合触媒を含有する組成物である。
<含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体>
本発明における含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体は、式(3)で表される単位と式(4)で表される単位とを含む共重合体であるのが好ましい。
−(CFCFX)− (3)
−(CHCH(OH))− (4)
(ただし、式(3)中、Xはフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基または−OC2a+1(aは1〜3の整数である。)である。)
含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の質量平均分子量(Mw)は、50,000〜1,000,000が好ましく、85,000〜1,000,000がより好ましく、85,000〜700,000がさらに好ましく、85,000〜300,000が特に好ましい。含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体のMwが前記下限値以上であれば、分子鎖間の絡み合いが充分に確保され、強靭な硬化膜の成形が容易になる。一方、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体のMwが前記上限値以下であれば、成形時に流動性が確保され、均質な硬化膜の成形が容易となる。含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準を用いたゲル濾過クロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)により測定できる。
含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1〜5が好ましく、1〜3が特に好ましい。含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体のMw/Mnが前記上限値以下のものは、ゲル物質も少なく、均一で強靭な硬化膜を形成できる。
含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体としては、ランダム、交互およびブロック共重合体のいずれであってよく、耐熱性、耐薬品性に優れる点から、ランダムおよび交互共重合体が好ましく、交互共重合体が特に好ましい。交互共重合体であると、式(3)で表される単位と式(4)で表される単位とが均一に配置されるため、共重合体の透明性が高く、かつ耐候性および耐水性が高い。共重合体の組成の均一性が高く、透明性の高い含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体とアルコキシシラン化合物とを含有する組成物から形成される硬化膜は、透明性、耐候性および耐水性に優れる。また、水酸基が均一に分布しているために、反応性が安定する。
含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体は、式(3)で表される単位と式(4)で表される単位との交互共重合率が95%以上の交互共重合体であることが好ましい。該交互共重合率が95%以上であると、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体とアルコキシシラン化合物とを含有する組成物から形成される硬化物の耐熱性、耐候性および耐水性が良好になる。なお、前記交互共重合率とは、隣り合う2つの単位の組み合わせ数の合計に対する、異なる単量体に基づく単位が隣り合っている組み合わせ数の比率である。例えば、共重合体が34344343434で表される共重合体(ただし、3は式(3)で表される単位を示し、4は式(4)で表される単位を示す。)である場合、隣り合う2つの単位の組み合わせ数は10であり、異なる単量体に基づく単位が隣り合っている組み合わせ数が9であるので、交互共重合率は90%である。交互共重合率は単量体の反応性比を用いてモンテカルロ法により計算することが可能であるため、交互共重合率は、単量体の組み合わせにより調整できる。
含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体において、式(3)で表される単位と式(4)で表される単位とのモル比((3)/(4))は、40/60〜60/40が好ましく、45/55〜55/45がより好ましく、50/50が特に好ましい。
該含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の製造方法としては、(1)含フッ素オレフィン/酢酸ビニル共重合体を、酸または塩基下で加水分解する方法、および(2)含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体を脱保護する方法が挙げられる。本発明においては、交互共重合性が高い点で、(2)の方法が好ましい。(1)の方法の例としては、M.Ragazzini et.al.,Eur.Polym.J.,3,5(1967)に記載された方法が挙げられる。該方法では、過硫酸アンモニウムを開始剤として含フッ素オレフィンと酢酸ビニルとを共重合させて、含フッ素オレフィン/酢酸ビニル共重合体を得て、次に、該共重合体を水酸化ナトリウムで加水分解する。得られる含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体は、ランダム共重合体である。
(1)および(2)の方法における原料となる含フッ素オレフィン/酢酸ビニル共重合体または含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体の重合法としては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等が採用できる。生産性に優れる点から、溶液重合または乳化重合が好ましく、分子量の高い共重合体が得られる点から、特に乳化重合が好ましい。
溶液重合の場合、重合媒体としては、キシレン、トルエン等の芳香族化合物、t−ブチルアルコール等のアルコール類、エステル類、フルオロロクロロカーボン類等が挙げられる。重合媒体の量は、共重合に用いる単量体の合計質量に対して、10〜200質量%が好ましく、50〜100質量%が特に好ましい。
上記いずれの共重合方法も、回分式、連続式、半連続式のいずれの形式で行ってもよい。
共重合温度は、重合開始源、重合媒体等に応じて適宜最適値が選択でき、0〜100℃が好ましく、20〜70℃が特に好ましい。
共重合圧力も同様に、重合開始源、重合媒体等に応じて適宜選択でき、0.1〜10MPaが好ましく、0.2〜3MPaが特に好ましい。
共重合時間は、1〜24時間が好ましく、2〜12時間がより好ましい。
共重合体の分子量は、単量体と重合媒体の比率の制御、あるいは連鎖移動剤の採用により調節できる。
(2)の方法を、乳化重合で行う場合の例としては、例えば、下記工程(i)および(ii)を含む方法が挙げられる。
工程(i):水性媒体および乳化剤の存在下に、下式(6)で表される含フッ素オレフィン(以下、「含フッ素オレフィン(6)」ともいう。)と下式(7)で表されるビニルエーテル(以下、「ビニルエーテル(7)」ともいう。)とを共重合させて含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体(以下、「共重合体(B)」ともいう。)を得る工程。
工程(ii):前記共重合体(B)におけるビニルエーテル(7)に基づく単位中のRを水素原子に置換し(脱保護)、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体(以下、「共重合体(A)」ともいう。)を得る工程。
CF=CFX (6)
CH=CHOR (7)
(ただし、式(6)中、Xはフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基または−OC2a+1(aは1〜3の整数である。)である。また、式(7)中、Rは工程(ii)で水素原子に置換される基である。)
含フッ素オレフィン(6)としては、含フッ素アルケンまたはペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。含フッ素アルケンしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンが挙げられる。ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)が挙げられる。これらのうち、得られる含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の耐熱性に優れる点から、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンが好ましく、テトラフルオロエチレンが特に好ましい。含フッ素オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニルエーテル(7)としては、式(7)において、Rが水素原子に置換可能であれば特に限定されない。好ましくは、Rが、炭素数4〜12の第三級アルキル基またはアルコキシアルキル基、炭素数4〜6のエーテル酸素原子を含む脂環式炭化水素基、炭素数6〜10のアリール基、および−Si(R)(Rは炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基である)からなる群より選ばれる基である。これらのうち、入手容易性の点から、第三級アルキル基、なかでも−CR(R、R、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基である。)で表される第三級アルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されたメチル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、またはRが炭素数1〜6のアルキル基もしくはアリール基であるトリアルキルシリル基が好ましく、−CRで表される第三級アルキル基が特に好ましい。
ビニルエーテル(7)としては、t−ブチルビニルエーテル、1,1−ジメチルプロピルビニルエーテル、メトキシメチルビニルエーテル、テトラヒドロフリルビニルエーテル、テトラヒドロピラニルビニルエーテル、ビニロキシトリメチルシランまたはビニロキシジメチルフェニルシランが好ましく、入手容易性の点から、t−ブチルビニルエーテルが特に好ましい。ビニルエーテル(7)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
含フッ素オレフィン(6)とビニルエーテル(7)との交互共重合性は高く、得られる含フッ素オレフィン/ビニルエーテル共重合体の交互共重合率が、両者の反応性比からモンテカルロ法により計算すると95%以上となる。
共重合体(B)の交互共重合率が95%以上であることで、含フッ素オレフィン(6)に基づく単位とビニルアルコール(7)に基づく単位との交互共重合率が95%以上の共重合体(A)が得られる。該交互共重合率の高い共重合体(A)は、含フッ素オレフィン(6)に基づく単位と、ビニルアルコール(7)に基づく単位が均一に配置されているため、耐熱性、耐候性および耐水性に優れる。
工程(i)においては、含フッ素オレフィン(6)およびビニルエーテル(7)に加えて、下式(8)で表されるビニルエーテル(以下、「ビニルエーテル(8)」ともいう。)をさらに共重合させてもよい。
CH=CHOR10 (8)
(ただし、式(8)中、R10は水酸基もしくはフッ素原子で置換されていてよい、炭素数1〜6の第一級または第二級アルキル基および炭素数6〜12のシクロアルキル基からなる群より選ばれる基である。)
ビニルエーテル(8)は、後続の工程(ii)においてR10が不活性であるビニルエーテルである。工程(ii)においてR10が不活性であるとは、ビニルエーテル(7)のRを水素原子に置換する反応条件においてR10が変化を受けないことを意味する。ただし、R10は、Rを水素原子に置換する反応条件以外の条件下では、活性な基であってもよい。ビニルエーテル(8)を用いれば、工程(ii)において、共重合体(B)におけるビニルエーテル(8)に基づく単位のR10は変化を受けず、得られる共重合体(A)においてビニルエーテル(8)に基づく単位がそのまま維持される。ビニルエーテル(7)とビニルエーテル(8)との比率を調節することにより、得られる共重合体(A)の親水性を調節できる。
ビニルエーテル(8)におけるR10は、炭素数1〜6の第1級もしくは第2級アルキル基、または該アルキル基の水素原子の1個以上が置換基で置換された基が好ましい。該置換基としては、水酸基またはフッ素原子が好ましい。
ビニルエーテル(8)の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等の官能基含有ビニルエーテル;ヘプタフルオロペンチルビニルエーテル等の含フッ素ビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエーテル(8)を用いる場合、ビニルエーテル(7)またはビニルエーテル(8)のいずれかのビニルエーテルと、含フッ素オレフィン(6)が交互に重合した共重合体(B)が得られる。ビニルエーテル(7)とビニルエーテル(8)の重合反応性はほぼ等しいため、共重合体(B)における含フッ素オレフィン(6)に基づく単位の両側が、ビニルエーテル(7)に基づく単位とビニルエーテル(8)に基づく単位のいずれになるかは確率の問題となる。ビニルエーテル(8)を用いる場合、共重合体(B)におけるビニルエーテル(8)に基づく単位では置換反応が生じない。そのため、ビニルエーテル(7)とビニルエーテル(8)の比率を調節することにより、工程(ii)後の共重合体(A)におけるビニルアルコールに基づく単位の比率を調節できる。これにより、共重合体(A)における水酸基の量を調節することで、共重合体(A)の親水性を調節できる。
ビニルエーテル(8)を用いない場合、共重合に用いる含フッ素オレフィン(6)とビニルエーテル(7)とのモル比((6)/(7))は、40/60〜60/40が好ましく、45/55〜55/45がより好ましく、50/50が特に好ましい。モル比((6)/(7))が前記範囲内であれば、含フッ素オレフィン(6)とビニルエーテル(7)が交互に共重合した交互共重合体が得られやすい。
また、ビニルエーテル(8)を用いる場合、共重合に用いる含フッ素オレフィン(6)と、ビニルエーテル(7)およびビニルエーテル(8)の合計のモル比((6)/((7)+(8)))は、40/60〜60/40が好ましく、45/55〜55/45がより好ましく、50/50が特に好ましい。モル比((6)/((7)+(8)))が前記範囲内であれば、含フッ素オレフィン(6)と、ビニルエーテル(7)またはビニルエーテル(8)とが交互に共重合した交互共重合体が得られやすい。また、この場合、ビニルエーテル(7)とビニルエーテル(8)とのモル比((7)/(8))は、45/5〜10/40が好ましく、40/10〜25/25が特に好ましい。
工程(i)に用いる水性媒体としては、入手容易な点から水のみが好ましい。水性媒体の使用量は、ビニルエーテル(7)の水性媒体に対する質量比として、5/95〜70/30であり、10/90〜50/50が好ましく、10/90〜35/65が特に好ましい。ビニルエーテル(7)の量が前記下限値以上であると、重合反応を進行でき、一方、前記上限値以下であると、安定に乳化状態を維持できる。
工程(i)に用いる乳化剤としては、種々の界面活性剤、例えば陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、およびノニオン性界面活性剤等を使用することができるが、なかでも陰イオン性界面活性剤、例えばスルホン酸型界面活性剤、カルボン酸型界面活性剤、およびリン酸エステル型界面活性剤等が好ましい。
スルホン酸型界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
カルボン酸型界面活性剤としては、含フッ素オレフィン(6)との親和性から含フッ素系カルボン酸型界面活性剤がより好ましく、入手容易性の点から、下式(9)で表される化合物が特に好ましい。
11−(CH−COOX (9)
(ただし、R11は酸素原子を含んでもよい炭素数1〜9のペルフルオロアルキル基、mは0〜2の整数、Xは水素原子、NHまたはアルカリ金属原子を表す。)
良好なミセル構造を形成する点から、R11の炭素数は5〜9が好ましい。また、重合中の連鎖移動反応を防ぐ効果が高い点で、mは0が好ましい。Xは水素原子またはNHが好ましく、NHが特に好ましい。
乳化剤としては、ペルフルオロオクタン酸アンモニウム、F(CFOCFCFOCFCOONH、F(CFOCFCFOCFCOONHまたはF(CFOCFCFOCFCOONHが好ましい。
乳化剤の使用量は、その種類、反応条件等に応じて適宜変更できる。ビニルエーテル(8)を用いない場合は、含フッ素オレフィン(6)とビニルエーテル(7)の合計質量に対して、0.005〜5質量%が好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。ビニルエーテル(8)を用いる場合は、含フッ素オレフィン(6)、ビニルエーテル(7)およびビニルエーテル(8)の合計質量に対して、0.005〜5質量%が好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。該量が前記下限値以上であると、安定な乳化状態を形成でき、前記上限値以下であると、激しく泡立つことがなく、安定に重合を進行できる。
工程(i)は、ラジカル重合開始源、必要に応じて塩基性化合物を反応系に付与して行う。ラジカル重合開始源としては、ラジカル重合開始剤あるいは電離性放射線が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、乳化重合に好適な、水溶性開始剤が好ましい。水溶性開始剤としては、(3−カルボキシプロピオニル)ペルオキシド(HOC(=O)CHCHC(=O)OOC(=O)CHCHC(=O)OH)、ビス(4−カルボキシブチリル)ペルオキシド(HOC(=O)CHCHCHC(=O)OOC(=O)CHCHCHC(=O)OH)等の有機過酸化物または過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物が単独でまたは併用して用いられる。また、上記の過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤との組み合わせからなるレドックス開始剤や、該レドックス開始剤に少量の鉄、第一鉄塩、硝酸銀等を共存させた無機系開始剤が挙げられる。上記ラジカル重合開始剤のなかでも、取り扱いの容易性等の点から、無機過酸化物が好ましく、過硫酸アンモニウムが特に好ましい。ラジカル重合開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、反応の初期に全量添加しても良く、反応途中で間欠的、または連続的に添加してもよい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、その種類、反応条件等に応じて適宜変更できる。ビニルエーテル(8)を用いない場合は、含フッ素オレフィン(6)とビニルエーテル(7)の合計質量に対して、0.005〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量%が特に好ましい。ビニルエーテル(8)を用いる場合は、含フッ素オレフィン(6)、ビニルエーテル(7)およびビニルエーテル(8)の合計質量に対して、0.005〜5質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%が特に好ましい。
工程(i)における共重合反応は、塩基性条件下でも酸性条件下でも行うことができる。しかし、酸性条件下では塩基性条件下に比べて、異性化、分解あるいは単独カチオン重合を起こす可能性が高い。そこで、重合を安定に進行させる点から、塩基性条件下で重合を行うことが好ましく、反応系に塩基性化合物を添加して、塩基性、例えば水相のpHを8〜9とすることが特に好ましい。
該塩基性化合物としては、乳化重合に好適な、水溶性の無機化合物が好ましい。例えば、炭酸またはリン酸の、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩が挙げられる。入手容易性の観点から、炭酸ナトリウム、炭酸水素2ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素2カリウム、炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸アンモニウム等が好ましい。塩基性化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物の使用量は、その種類、反応条件等に応じて適宜変更できる。ビニルエーテル(8)を用いない場合は、含フッ素オレフィン(6)とビニルエーテル(7)の合計質量に対して、0.005〜5質量%が好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。ビニルエーテル(8)を用いる場合は、含フッ素オレフィン(6)、ビニルエーテル(7)およびビニルエーテル(8)の合計質量に対して、0.005〜5質量%が好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。
工程(i)における共重合反応の反応温度は、重合開始源に応じて適宜最適値が選択でき、0〜100℃が好ましく、20〜70℃が特に好ましい。共重合反応の反応圧力も同様に、重合開始源に応じて適宜選択でき、0.1〜10MPaが好ましく、0.2〜3MPaが特に好ましい。共重合反応の反応時間は、1〜24時間が好ましく、2〜12時間が特に好ましい。
共重合体(B)の分子量を調節するため、さらに、連鎖移動剤を添加してもよい。
共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、50,000〜1,000,000が好ましく、85,000〜1,000,000がより好ましく、85,000〜700,000がさらに好ましく、85,000〜300,000が特に好ましい。共重合体(B)のMwが前記下限値以上であれば、分子鎖間の絡み合いが充分に確保され、強靭な硬化膜の成形が容易になる。一方、共重合体(B)のMwが前記上限値以下であれば、成形時に流動性が確保され、均質な硬化膜の成形が容易となる。共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン標準を用いたGPCにより測定できる。
該共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、1〜5が好ましく、1〜3が特に好ましい。共重合体(B)のMw/Mnが前記上限値以下のものは、ゲル物質も少なく、強靭な硬化膜を形成できる。
工程(ii)は、前記工程(i)で得られた共重合体(B)におけるビニルエーテル(7)に基づく単位中のRを水素原子に置換し、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体を得る工程である。これにより、ビニルエーテル(7)に基づく単位がビニルアルコールに基づく単位に変換され、含フッ素オレフィン(6)に基づく単位とビニルアルコールに基づく単位を有する共重合体(A)が得られる。共重合体(B)にビニルエーテル(8)に基づく単位が含まれている場合は、該ビニルエーテル(8)に基づく単位のR10は変化を受けることなくそのまま維持されるので、含フッ素オレフィン(6)に基づく単位、ビニルアルコールに基づく単位、およびビニルエーテル(8)に基づく単位を有する共重合体(A)が得られる。
を水素原子に置換する方法としては、酸、熱あるいは光を用いた反応を採用できる。なかでも、得られる共重合体(A)に着色がほとんど無い点から、酸によってRを水素原子に置換することが好ましい。該酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸、酪酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸等が挙げられる。
酸による反応は、水系で行っても、非水系で行ってもよく、例えば、(1)硫酸/エタノール/水の混合溶液中での反応、(2)塩酸/ジオキサンの混合溶液中での反応、または(3)トリフルオロ酢酸/塩化メチレンの混合溶液中での反応が好ましい。
また、光の照射により酸を発生する光酸発生剤を用いて行ってもよい。光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物等が挙げられる。具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−トリスフェナシルスルホン、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフレート等が挙げられる。
工程(ii)においては、共重合体(A)に求められる用途に応じて、共重合体(B)が有する全てのRが置換される前に反応を終了することにより、含フッ素オレフィン(6)に基づく単位と、ビニルエーテル(7)に基づく単位と、ビニルアルコールに基づく単位とを有する共重合体(A)としてもよい。脱保護反応を途中で終了させて、ビニルエーテル(7)に基づく単位とビニルアルコールに基づく単位との比率を調節することにより、得られる共重合体(A)の親水性、結晶性等を調節できる。
<アルコキシシラン化合物>
本発明におけるアルコキシシラン化合物は、下式(1)で表される化合物および該化合物のオリゴマーのうちの少なくとも1種である。
Si(OR4−x (1)
式(1)中、xは0〜2の整数、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のフルオロアルキル基および炭素数6〜12のアリール基からなる群より選ばれる基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基である。
アルコキシシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシランまたはジアルコキシシランが好ましく、そのオリゴマーであってもよい。オリゴマーとしては、例えば2〜8量体が好ましく、2量体、3量体および4量体等が好ましい。なお、オリゴマーは、2〜8量体の混合物であってもよく、その場合、平均2〜4量体になることが特に好ましい。テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、およびテトラエトキシシランが挙げられる。トリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランおよびフェニルトリメトキシシランが挙げられる。ジアルコキシシランとしては、メチルフェニルジメトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラヘキソキシシランおよびジフェニルジメトキシシランが挙げられる。なかでも、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランまたはそれらのオリゴマーが好ましい。アルコキシシラン化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体とアルコキシシラン化合物の使用量の質量比は、5:95〜95:5であることが好ましく、30:70〜90:10であることが特に好ましい。また、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体とアルコキシシラン化合物との合計質量と溶媒の質量比が95:5〜1:99であることが好ましい。本発明の組成物の保存安定性に優れる点からは50:50〜10:90が好ましい。
<溶媒>
本発明における溶媒は、炭素数3〜10のケトン化合物、炭素数2〜10のニトリル化合物、窒素原子に結合した水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜10のアミド化合物および式(2)で表されるエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
−(OCHCHR−OR (2)
式(2)中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子またはメチル基、nは1〜5の整数である。Rは含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の溶解性の点からは、水素原子が好ましく、本発明における組成物の保存安定性の点からは、メチル基が好ましい。
これらの溶媒を用いることによって、後述する本発明における組成物から得られる硬化膜の製造において、相分離等を起こすことがないため、透明な膜を得られる。相分離を起こさない理由は定かではないが、これらの溶媒は、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体を溶解し、かつ、シラノール基と該共重合体中の水酸基との相互作用を阻害しないためであると推定される。
炭素数3〜10のケトン化合物としては、脂肪族ケトンまたは脂環式ケトンが好ましい。脂肪族ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンが挙げられる。脂環式ケトンとしては、シクロヘキサノンおよびジアセトンアルコールが挙げられる。
炭素数2〜10のニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルおよび2−メトキシプロピオニトリルが挙げられる。
窒素原子に結合した水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜10のアミド化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
式(2)で表されるエーテル化合物としては、エチレングリコールモノエーテル、エチレングリコールジエーテルまたはプロピレングリコールモノエーテルが好ましい。エチレングリコールモノエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルアルコールが挙げられる。エチレングリコールジエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。プロピレングリコールモノエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルおよびプロピレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
なかでも、アセトン、アセトニトリル、2−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルおよびプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
溶媒としては、上記以外の溶媒も使用できる。このような溶媒としては、イソプロパノール、エタノール、t−ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、上記例示の溶媒と併用してもよい。その場合、全溶媒中における、炭素数3〜10のケトン化合物、炭素数2〜10のニトリル化合物、窒素原子に結合した水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜10のアミド化合物および式(2)で表されるエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる溶媒の割合が、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。
溶媒の使用量は、含フッ素共重合体組成物中の20〜99.9質量%が好ましく、50〜99質量%が特に好ましい。
<加水分解・縮合触媒>
本発明における加水分解・縮合触媒としては、アルコキシシラン化合物同士の縮合を促進させる化合物が好ましい。
加水分解・縮合触媒としては、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチレート等の有機金属化合物、非水溶媒系において酢酸よりも酸解離定数が大きな有機酸が用いられる。このような有機酸としては、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロ安息香酸、ヘキサフロログルタール酸、オクタフロロアジピン酸等が好ましく、使用量が少なくとも縮合を促進できる点で、p−トルエンスルホン酸が特に好ましい。
加水分解・縮合触媒の使用量は、アルコキシシラン化合物に対して0.01〜5質量%が好ましく、硬化速度と含フッ素共重合体組成物の保存安定性の点で0.05〜4質量%が特に好ましい。
<その他の添加剤>
本発明における含フッ素共重合体組成物は、さらに水を含んでもよい。
アルコキシシラン化合物中のアルコキシ基は、一般に、水が存在すると、加水分解してSi−OH基(シラノール基)になる。該シラノール基はアルコキシシラン化合物の分子間で反応してSi−O−Si結合が形成される。加水分解・縮合触媒が存在すると、アルコキシ基の加水分解および/またはシラノール基同士の縮合反応の速度が向上する。なお、本発明で用いる組成物において、該シラノール基と含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体中の水酸基は、相互作用しており、これにより該共重合体とポリシロキサンが相溶状態を保って透明な硬化膜が得られると考えられる。
本発明における組成物において水の使用量が多いとSi−OH基の存在量が多くなり、ポリシロキサン間の相互作用が強まり含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体が相分離して白濁しやすくなる。
したがって、水の使用量はできるだけ少ない方が、含フッ素共重合体組成物から形成される硬化膜の透明性が良好となるため好ましい。アルコキシシラン化合物中のアルコキシ基1当量に対して1当量以下が好ましく、0.5当量以下がより好ましく、0.1当量以下が特に好ましい。なお、水の添加は加水分解・縮合触媒と同時でもよく、該硬化膜製造の直前でもよいが、保存安定性の点で硬化膜製造の直前が好ましい。
本発明における含フッ素共重合体組成物は、必要に応じてシリカ、アルミナ、ジルコニア等の微粒子を用いてもよく、硬化膜の硬度を高めるために有用である。特に、コロイダルシシリカを用いた場合には透明性を損なうことなく硬度の高い硬化膜が得られる。添加量は、本発明で得られる硬化膜中の0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。
また、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルトリシクロシラザン、ポリヒドロシラザン等のシラザン類やアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類等の塩基性ケイ素化合物の添加も有用である。特に、加水分解・縮合触媒として上記のチタネート系化合物と併用した場合には透明性を維持したまま高硬度の硬化膜が得られる。
(硬化膜)
本発明における含フッ素共重合体組成物は、溶媒で希釈されているため室温では硬化せず、密封状態では1カ月以上安定であるが、溶媒を除去することで硬化し、硬化膜が得られる。
溶媒を除去する方法としては、減圧、加熱が挙げられ、減圧のみ、加熱のみ、減圧下で加熱する方法が挙げられる。加熱をすることで、溶媒の除去と同時に、アルコキシシラン化合物同士の縮合反応や、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体中の水酸基との脱水縮合反応がさらに進行し、硬い硬化膜が得られる。装置が簡便な点で加熱のみの方法が好ましい。加熱温度は40〜200℃が好ましく、加熱時間は1〜100時間が好ましい。ミクロボイド、ミクロクラック等のない外観が良好で平滑な硬化膜が得られる点で、40〜60℃で0.1〜5時間加熱した後、徐々に温度を上げて60〜90℃で1〜5時間、さらに100〜150℃で1〜5時間加熱し、さらに必要に応じて200℃程度で10分〜1時間の加圧・加熱することが好ましい。ここで、溶媒の除去とは、硬化膜中に含まれる溶媒が該組成物中に1質量%以下となったことを表す。
本発明における硬化膜の製造方法としては、ガラスシート上に上述の含フッ素共重合体組成物を塗布して塗膜を形成した後、溶媒を除去する方法等が挙げられる。
本発明において、含フッ素共重合体組成物の塗布方法は、公知の手法を適宜用いることができる。塗布方法としては、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法またはグラビアコート法が挙げられ、特に厚さが50μm以下の硬化膜を製造する際にはスピンコート法が好ましく、厚さが50μmを超えて1,000μmの硬化膜を製造する際にはキャスト法が好ましい。
硬化膜は、JIS K5600−5−4に準じた方法に従って測定する鉛筆硬度が2H以上であり、4H以上が好ましく、6H以上の硬さを有することが特に好ましい。
(積層体)
本発明の積層体は前記ガラスシートと硬化膜との積層体である。積層体の構成としては、典型的には以下の4例が挙げられる。
(1)ガラスシートの単層と硬化膜の単層との組み合わせの構成。すなわち、ガラスシートの片面に硬化膜を設けた構成。
(2)ガラスシートの単層と硬化膜の二層との組み合わせの構成。すなわち、ガラスシートの両面に硬化膜を設けた構成。
(3)ガラスシートの二層と硬化膜の単層との組み合わせの構成。すなわち、2層のガラスシートで硬化膜を挟んだ構成。
(4)ガラスシートの複層と硬化膜の複層との組み合わせの構成。すなわち、ガラスシートと硬化膜を交互に多層に設けた構成。
これらの構成の中では薄くて軽量であり、かつ、ガラスシート表面の平坦性が活かせる点で(1)の構成が好ましい。
本発明の積層体において、硬化膜の厚さは1〜1,000μmが好ましく、5〜500μmが特に好ましい。上記範囲にすることにより、ガラスシートに傷が付くことを抑制でき、破損が抑制でき、また割れた場合であっても飛散防止が可能となる。
前記(1)の構成において、積層体の厚さは11〜1,500μmが好ましく、30〜800μmが特に好ましい。
本発明の積層体の厚さは均一であることが好ましい。具体的には厚さの標準偏差は50%以下が好ましく、35%以下が特に好ましい。厚さが均一であれば外観が良好となり好ましい。
本発明の積層体において、ガラスシートと硬化膜との厚さの比率は、ガラスシートを1とした場合の硬化膜の厚さが0.01〜10であることが好ましく、0.1〜5であることが特に好ましい。なお複数の層がある場合にはそれらの合計で考慮する。
本発明の積層体は、波長が400〜700nmにおける透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。上記波長範囲、すなわち可視光の範囲において透明であることが好ましい。透明であれば表示素子等の保護板に好適に用いられる。また光電変換素子として用いた場合に、発光素子であった場合には、発光効率を下げることがなく、また、発電素子であった場合には、発電効率を下げることがなく好ましい。
本発明の積層体は、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体、アルコキシシラン化合物、溶媒および加水分解・縮合触媒を含有する含フッ素共重合体組成物から得られる硬化膜を有するため、耐候性および耐熱性に優れ、かつ該硬化膜が最表面になる積層体においても積層体の表面が傷つきにくい。耐熱性に優れると、例えば光電変換素子の製造において高温プロセスを伴う場合の反りや素子のはく離などの不具合の発生が抑制されて歩留まりが高くなる。
また、本発明の積層体は、ガラスシートに基づくガスバリア性を備え、硬化膜に基づく耐久性にも優れる。一般に厚さの薄いガラスシートは曲げに弱いが、硬化膜の柔軟性による保護効果により、積層体は曲げに強くなり、また、万が一割れた場合にもガラスが飛散することを防げるというメリットがある。
[ガラスシートフッ素樹脂積層体の製造方法]
(含フッ素共重合体組成物の塗布)
本発明の積層体は、ガラスシートと硬化膜を有する。ここで含フッ素共重合体組成物はガラスシートに直接塗布してもよく、別の基材に塗布して塗膜を形成した後でガラスシートに転写してもよい。硬化膜の表面が平坦になりやすいことから直接塗布することが好ましい。
ガラスシートに含フッ素共重合体組成物を塗布する際には特に処理をしなくてもよいが、ガラスシートの表面適性向上化処理を行ってもよい。具体的な表面適性向上化処理としては、洗浄処理、接着性向上処理等が例示できる。洗浄処理としては、水洗浄、水蒸気洗浄、溶剤洗浄、UV/オゾン洗浄等が例示できる。接着性向上処理としては、コロナ処理、プライマ処理等が例示できる。プライマ処理に用いるプライマとしては、アミノシラン類、エポキシシラン類が例示できる。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体は、ガラスシートの形態により様々な製造方法が採用できる。ガラスシートが連続した長いシート状である場合には、連続法が好適である。連続法は、必要に応じて表面適性向上化処理を行った後、フッ素樹脂溶液の塗布、加熱(溶媒除去)を連続で行い、得られた積層体をロール状に巻き取る方法である。特に前記(1)の構成(ガラスシートの片面に硬化膜を設けた構成)である場合には、この製造方法が好適である。またガラスシートが裁断され一定の大きさ・形状で扱われる場合には、毎葉法が好適である。特に前記(2)〜(4)の構成である場合には、この製造方法が好適である。
<保護板>
本発明はまた、前述の積層体からなる保護板を提供する。本発明の積層体は透明性、耐久性に優れることから、光電変換素子、表示素子等の保護板に好適である。保護板として用いる際には、前記(1)〜(4)のいずれの構成でも適用可能である。本発明の積層体は、フッ素樹脂を用いるため耐久性が高く、特に透明性の高いフッ素樹脂を用いた場合には表示の色調を長期間にわたって維持可能である。また太陽電池等の屋外で使用する装置等の保護板としても、軽量で耐久性(耐光性・耐候性)が高い点で好適である。
<光電変換素子>
本発明はまた、前述の積層体を有する光電変換素子を提供する。本発明の積層体は透明性、耐久性に優れることから、光電変換素子の基板や保護板に好適である。なお光電変換素子とは、有機薄膜太陽電池のような光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子、有機LEDのような電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子の双方を合わせていう。
特に基板として用いた場合に、以下の特徴で好適である。ガラスシートの特性を活かしガスバリア性が高いので有機半導体材料を用いた光電変換素子における有機半導体材料の劣化(酸素、水分等による)を抑制できる。積層体全体としての特性を活かし基板自体がフレキシブルであり屈曲性に優れる。このため光電変換素子自体の屈曲性を高くすることができる。フッ素樹脂の特性を活かし、高温における樹脂の劣化が少ないことから、比較的高温となる光電変換素子作製のプロセス温度に耐えられる。フッ素樹脂の特性を活かし、耐久性(特に耐光性)に優れ樹脂の劣化がおきにくい。また、硬化膜は含フッ素共重合体組成物から得られるものであるため、積層体の平坦性が高い。樹脂フィルムをガラスシートに貼合した場合は、フィルムの凹凸や、残留応力等の影響により積層体が平坦になりにくい場合があった。特にガラスシートが薄い場合には、その影響が顕著であった。溶液の塗布というプロセスを経るために厚さが均一であるばかりでなく、樹脂がガラスシートに与える影響も少なく積層体の平坦性が高くなる。例えば平坦な金属鏡面に積層体を載せて干渉縞を観察すると積層体のうねりに基づく光学干渉が見られることがあるが、本発明の積層体ではこの干渉がほとんど見られない。
<開口部材>
本発明の積層体は、屈曲性を利用して、意匠性の高い各種の開口部材、農業用採光部材等への適用も可能である。
本発明をより具体的に示すために以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、例1および2は実施例、例3は比較例である。
[測定方法]
実施例で使用した各測定方法は以下のとおりである。
(質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn))
各例で得られた共重合体の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、東ソー社製の高速GPC装置「HLC−8220GPC」を使用し、ポリスチレンゲル換算のゲル濾過クロマトグラフィーで測定した。溶離液はテトラヒドロフランを用いた。
(含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の構造および組成)
各例で得られた共重合体の構造および組成については、H NMRおよび19F NMRスペクトルの測定から同定し、算出した。
(含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の熱特性)
各例で得られた含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体のガラス転移点(Tg)は、ティー・エイ・インスツルメント社製の示差走査熱量計「Q100」を用いて測定し、10%重量減量温度(Td10)は、ブルカー・エイエックスエス社製の示差熱・熱重量同時測定装置「TG−DTA2000SA」を用いて測定した。
[評価]
実施例で行った各評価方法は以下のとおりである。
(屈曲性)
積層体試料(硬化膜付きガラスシート)の対向する2辺を両手で保持し、非常に容易に曲げられる場合を◎(優秀);容易に曲げられる場合を○(良好);曲げにくく、無理に曲げようとすると破損した場合を×(不良)とした。
(平坦性)
研磨された金属鏡面に積層体試料をガラスシートが金属鏡面側、樹脂が大気側になるように静かに置いた。干渉縞を目視で観測することによって平坦性を評価した。ほとんど観測されないものを○(良好)、観測されたものを×(不良)とした。
(透明性)
ヘイズメータ(BYKガードナー社製)を用いてヘイズ値および全光線透過率を測定した。(硬化膜の鉛筆硬度)
JIS K5600−5−4に準じて測定した。
(初期外観)
積層体試料の外観を目視で評価した。異物欠陥、黄変のないものを○(良好)、これらの欠点の少なくとも1種類があるものを×(不良)とした。
(試験後外観)
積層体試料についてメタルウェザー試験機(ダイプラウィンテス社製、商品名:メタルウェザー)を用いて、促進耐候性曝露試験を行った。以下の条件の曝露サイクルを17回行った場合を100時間相当とし、合計500時間相当の曝露試験を行った。この暴露試験後の外観を目視で評価した。評価基準は初期外観と同じである。
曝露サイクル
・モード:L+D(L:照射、D:暗黒結露)
・L:温度63℃、湿度50%、時間5hr
・D:温度30℃、湿度98%、時間1hr
・RESTモード:結露なし
・光量:50.0mW/cm(365nm)
・シャワー有り:Dの前後10sec
[材料]
(ガラスシート)
旭硝子社製の無アルカリガラス(商品名:AN100)のガラスシート(10cm×10cm、厚さ100μm。)を用いた。
(含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の製造)
<工程(i)>
内容積1Lのステンレス製攪拌機付きオートクレーブ(耐圧3.4MPa)に、イオン交換水の500.0g、ビニルエーテル(7)であるt−ブチルビニルエーテル(以下、「TBVE」という。)の125.0g、乳化剤であるペルフルオロオクタン酸アンモニウムの2.5g、リン酸水素2ナトリウムの9.1gおよび過硫酸アンモニウムの5.0gを仕込み、液体窒素で凍結脱気を行い、系内の酸素を除去した。
次に、含フッ素オレフィン(6)であるテトラフルオロエチレン(以下、「TFE」という。)の126.5gをオートクレーブ中に導入し、50℃まで加熱した。この時点での圧力は2.43MPaであった。その後、7.5時間反応を続行し、圧力が1.09MPaまで低下したところでオートクレーブを水冷し、未反応ガスをパージして反応を停止させた。得られた重合溶液をメタノール中に投入し、生成した含フッ素共重合体(a1)(共重合体(B)に相当。)を析出させた後、真空乾燥を行った。含フッ素共重合体(a1)の収量は69.0g、単量体の反応率は66%であった。
得られた含フッ素共重合体(a1)のMwは136,000、Mnは65,000、Mw/Mnは2.1であった。H NMRスペクトルおよび19F NMRスペクトルから、共重合組成比はTFE/TBVE=49/51(モル%)であった。また両単量体の反応性比を用いてモンテカルロ法により計算し、実質的に交互構造(交互共重合率95%以上)を有していることが分かった。
<工程(ii)>
100mLフラスコに、前記含フッ素共重合体(a1)の4.0g、36質量%濃塩酸の4.0g、エタノールの52gを入れ、内温78℃で加熱攪拌し、脱保護反応を行った。反応を8時間続行した後、反応液を水中に滴下し、共重合体を析出させ、水で洗浄した後、90℃で真空乾燥を行い、2.5gの含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体(a2)(共重合体(A)に相当。)を得た。本工程において着色は見られなかった。
前記含フッ素共重合体(a1)および得られた含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体(a2)について、H NMRスペクトルおよび19F NMRを測定した結果から、含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体(a2)においては、加水分解により99%以上のR(t−ブチル基)が水素に置換されて水酸基が生成したことが確認され(Rが水素で置換された単位を以下、「VAl」ともいう。)、共重合組成比はTFE/VAl=46/54(モル%)、Mwは110,000、Mnは39,000、Mw/Mn=2.8であった。また、Tgは90℃、Td10は394℃であった。
[例1]
含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体(a2)の0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルの2.0g、イソプロパノール(IPA)の1.5gに室温で溶解した。次に、アルコキシシラン化合物としてのメチルシリケートオリゴマー(平均4量体、多摩化学工業社製、製品名:MS51)の0.2gおよびオルガノシリカゾル(30質量%IPA溶液:日産化学社製)の0.2g、触媒としてのチタネート化合物(信越化学社製、商品名:D−20)の0.01g、さらにヘキサメチルシクロトリシラザンの0.03gを室温で攪拌しながら加えて、含フッ素共重合体組成物Aを製造した。
上記ガラスシート上にスピンコーターを用いて、該組成物Aを毎分500回転で10秒間、さらに毎分1,000回転で10秒間回転させて塗布した後、50℃で30分間、次いで70℃で2時間、さらに100℃で1時間乾燥させることにより厚さ15μmの硬化膜を得た。
得られた硬化膜付きガラスシートについて、特性評価を行った。結果を表1に示す。
[例2]
共重合体(a2)の0.2gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルの1.4g、IPAの0.7gに室温で溶解した。次に、MS51の0.1gおよびオルガノシリカゾル(30質量%IPA溶液:日産化学社製)の0.4g、触媒としてのD−20の0.01g、さらにヘキサメチルシクロトリシラザンの0.03gを室温で攪拌しながら加えて、含フッ素共重合体組成物Bを製造した。
上記ガラスシート上にスピンコーターを用いて、該組成物Bを毎分500回転で10秒間、さらに毎分1,000回転で10秒間回転させて塗布した後、50℃で30分間、次いで70℃で5時間、さらに100℃で1時間乾燥させることにより厚さ30μmの硬化膜を得た。
得られた硬化膜付きガラスシートについて、特性評価を行った。結果を表1に示す。
[例3]
メタクリル酸メチルポリマー(シグマアルドリッチ社製、質量平均分子量120,000)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解し炭化水素系樹脂溶液P(固形分:10質量%)を得た。
上記ガラスシート上にスピンコーターを用いて、該炭化水素系樹脂溶液Pを毎分500回転で10秒間、さらに毎分1,000回転で10秒間回転させて塗布した後、100℃で10分間、ホットプレートを用いて加熱し、さらに100℃で1時間、次いで200℃で1時間、オーブンを用いて加熱することにより厚さ10μmの硬化膜を得た。
得られた硬化膜付きガラスシートについて、特性評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014210421
<結果>
本発明の積層体である例1および2は屈曲性、平坦性、透明性、外観、耐候性(試験後外観)に優れ、さらに表面硬度も高い。透明性については、表1に示すように高い全光線透過率が得られ、このような高い全光線透過率から、400〜700nmの波長における透過率は80%以上であることが理解できる。一方、例3では耐候性に劣っている。このことから、本発明の積層体は、光電変換素子、表示素子等の保護板としての使用に好適であることが理解できる。
<光電変換素子>
上記例1の積層体試料を用いた光電変換素子を作成した。具体的には、厚さが100μmのガラスシートの一面にITO(Indium Tin Oxide)をスパッタ成膜した。ITO膜が無い側に含フッ素共重合体組成物Aをスピンコートで塗布し、例1と同じ条件で乾燥させることにより厚さ15μmの硬化膜を形成した。またITO膜の上にバッファ層と有機活性層を成膜し、アルミ電極を蒸着した。これをアニール処理し有機薄膜太陽電池とした。得られた有機薄膜太陽電池は柔軟であった。
本発明によれば、軽量で屈曲性が高く、耐久性が良好で光学的に有用な積層体が提供できる。特に保護板や光電変換素子に適用できる。さらに屈曲性を利用して意匠性の高い各種の開口部材、農業用採光部材等への適用も可能である。

Claims (11)

  1. 厚さが10〜500μmであるガラスシートと、含フッ素共重合体組成物から得られる硬化膜とを有するガラスシートフッ素樹脂積層体であって、
    前記含フッ素共重合体組成物が含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体、アルコキシシラン化合物、溶媒および加水分解・縮合触媒を含有する組成物であることを特徴とするガラスシートフッ素樹脂積層体。
  2. 400〜700nmの波長における透過率が80%以上である請求項1に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体。
  3. 前記硬化膜の厚さが1〜1,000μmである請求項1または2に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体。
  4. 前記アルコキシシラン化合物が、下式(1)で表される化合物および該化合物のオリゴマーのうちの少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体。
    Si(OR4−x (1)
    (ただし、式(1)中、xは0〜2の整数、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のフルオロアルキル基および炭素数6〜12のアリール基からなる群より選ばれる基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはシクロアルキル基である。)
  5. 前記溶媒が、炭素数3〜10のケトン化合物、炭素数2〜10のニトリル化合物、窒素原子に結合した水素原子が炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい、炭素数3〜10のアミド化合物および下式(2)で表されるエーテル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体。
    −(OCHCHR−OR (2)
    (ただし、式(2)中、Rは炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは水素原子またはメチル基、nは1〜5の整数である。)
  6. 前記含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体の質量平均分子量が50,000〜1,000,000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体。
  7. 前記含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体が、下式(3)で表される単位と下式(4)で表される単位とを含む共重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体。
    −(CFCFX)− (3)
    −(CHCH(OH))− (4)
    (ただし、式(3)中、Xはフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基または−OC2a+1(aは1〜3の整数である。)である。)
  8. 前記含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体において、式(3)で表される単位と式(4)で表される単位とのモル比が40/60〜60/40である、請求項7に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体。
  9. 前記含フッ素オレフィン/ビニルアルコール共重合体において、式(3)で表される単位と式(4)で表される単位との交互共重合率が95%以上である、請求項7または8に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体からなる保護板。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラスシートフッ素樹脂積層体を有する光電変換素子。
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CN105860027A (zh) * 2016-04-15 2016-08-17 江苏利田科技股份有限公司 一种2官能度聚酯基聚氨酯丙烯酸酯及其制备方法和应用

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