JP2014209200A - マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 - Google Patents

マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014209200A
JP2014209200A JP2014048489A JP2014048489A JP2014209200A JP 2014209200 A JP2014209200 A JP 2014209200A JP 2014048489 A JP2014048489 A JP 2014048489A JP 2014048489 A JP2014048489 A JP 2014048489A JP 2014209200 A JP2014209200 A JP 2014209200A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
translucent substrate
main surface
light
mask blank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014048489A
Other languages
English (en)
Inventor
和也 酒井
Kazuya Sakai
和也 酒井
雅広 橋本
Masahiro Hashimoto
雅広 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2014048489A priority Critical patent/JP2014209200A/ja
Publication of JP2014209200A publication Critical patent/JP2014209200A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F1/00Originals for photomechanical production of textured or patterned surfaces, e.g., masks, photo-masks, reticles; Mask blanks or pellicles therefor; Containers specially adapted therefor; Preparation thereof
    • G03F1/60Substrates
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/04Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer
    • H01L21/18Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer the devices having semiconductor bodies comprising elements of Group IV of the Periodic Table or AIIIBV compounds with or without impurities, e.g. doping materials
    • H01L21/30Treatment of semiconductor bodies using processes or apparatus not provided for in groups H01L21/20 - H01L21/26

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)

Abstract

【課題】薄膜の内部応力を小さくすることのできるマスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法を提供する。【解決手段】透光性基板上に薄膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、前記透光性基板は、水素を含有するガラス材料からなり、対向する1組の主表面71を有する透光性基板を準備する工程と、前記透光性基板の主表面71に、ケイ素又は金属の少なくとも一方を含有する材料からなる前記薄膜を形成する工程と、前記薄膜の表面に対して過熱水蒸気を当てることにより前記薄膜の内部応力を低減する過熱水蒸気処理工程とを有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法に関する。
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。この微細パターンの形成には、通常、何枚ものフォトマスク等の転写用マスクが使用されている。この転写用マスクは、一般に、透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィー法が用いられている。
フォトリソグラフィー法による転写用マスクの製造には、マスクブランクが用いられる。マスクブランクは、一般に、合成石英ガラス等からなる透光性基板の主表面上に、スパッタリング法で薄膜を形成することによって製造される。このマスクブランクの薄膜は、内部応力を有した状態で基板の主表面上に形成される傾向がある。
マスクブランクの主表面には、高い平坦度が求められる。マスクブランク用基板として用いられる透光性基板の主表面にも、高い平坦度が求められる。そのため、マスクブランク用基板の主表面には、研削や研磨等の加工が施される。しかし、そのような平坦度の高い主表面を有する透光性基板上に、内部応力が大きい薄膜を形成した場合、透光性基板の主表面が変形してしまい、透光性基板の主表面の平坦度が悪化するという問題があった。
他方、薄膜が転写パターンを形成するためのものである場合、エッチング等によって薄膜の一部(光透過部)が除去されてパターンが形成される。薄膜が大きな内部応力を有する場合、エッチング等によって薄膜の一部(光透過部となる部分)が除去されたときに、薄膜が内部応力から解放されることにより、透光性基板上でのパターンの位置が移動してしまうことがある(パターンの位置ずれ)。
近年の転写用マスクでは、パターンの位置精度に対する要求がますます厳しくなっている。特に、ダブルパターニング技術が適用される転写用マスクの製造においては、許容される位置ずれ量は非常に小さい。
ダブルパターニング技術では、半導体デバイス上に形成する非常に微細な転写パターンを、2つの比較的疎なパターンに分割する。そして、その分割された各パターンを有する2枚の転写用マスクを作製し、その2つの転写用マスクを用いて半導体デバイス上にパターンを露光転写する。これにより、半導体デバイス上に非常に微細なパターンを形成することができる。しかし、ダブルパターニング技術では、2枚の転写用マスクに形成されたパターンの設計パターンからの位置ずれ量が大きいと、半導体デバイス上に2枚の転写用マスクを用いてパターンを露光転写した時に、パターンが断線や短絡した状態で形成されてしまう場合がある。
以上のような問題があることから、以前より、マスクブランクの薄膜の内部応力を小さくするための技術については研究されていた。
例えば、薄膜の内部応力を低減する方法として、特許文献1には、透光性基板上にスパッタリング法で薄膜を形成した後、その薄膜に対して150℃以上の温度で熱処理を行う方法が記載されている。特許文献2には、透光性基板上に形成された薄膜に対して、閃光ランプを用いて高エネルギー線を照射する方法が記載されている。
しかし、特許文献3に記載されている通り、閃光ランプを用いて高エネルギー線を薄膜に照射する方法の場合、高エネルギー線の照射量によっては、ガラス基板に大きな影響を与えてしまい、合成石英ガラス基板の主表面形状が変形してしまう問題があることが判明している。
一方、特許文献4には、合成石英ガラスに対してエキシマレーザー光、特にArFエキシマレーザー光が照射されたときに、ガラス内部のSi−O−Siの結合がレーザー光の強いエネルギーによって開裂し、E’センターと呼ばれる常磁性欠陥が生成されることで215nmの波長帯で吸収域が生じてしまい、その結果、ArFエキシマレーザー光に対する透過率の低下を招くことが示されている。また、合成石英ガラス中における水素分子濃度をあるレベル以上にすることで、この常磁性欠陥の発生を低減できることが開示されている。
特開2002−162726号公報 特開2004−199035号公報 特開2010−237502号公報 特開2008− 63181号公報
本発明者の鋭意研究の結果、マスクブランクの薄膜の内部応力を低減する手段として加熱処理を行う場合において、以下のような問題があることが判明した。
従来、加熱処理によって薄膜の内部応力が低減されたことを確認する方法として、差分形状から算出した平坦度が用いられていた。この差分形状とは、薄膜を形成する前における透光性基板の主表面を平坦度測定装置で測定して得られた主表面形状と、薄膜を形成し、さらに加熱処理を行った後における薄膜の表面を平坦度測定装置で測定して得られた表面形状との間の差分をとった形状のことをいう。この差分形状の平坦度が小さいほど、薄膜の内部応力は低減されていると思われていた。
しかし、加熱処理を行って差分形状の平坦度を十分に小さくしたマスクブランクを用いて、薄膜にテストパターンを形成して検証を行ったところ、比較的大きなパターンの位置ずれが発生することが判明した。この検証は、以下の手順で行われた。
最初に、マスクブランクの薄膜上に、レジスト膜を塗布形成した。そのレジスト膜にテストパターンを露光描画し、次いで現像処理を行い、テストパターンを有するレジストパターンを形成した。そして、パターン位置測定装置を用いて、レジストパターンの位置を測定した。
次に、レジストパターンをマスクとして用いて、薄膜をドライエッチングし、薄膜にテストパターンを形成した。レジストパターンを除去後、パターン位置測定装置を用いて、薄膜に形成されたテストパターンの位置を測定した。
最後に、レジストパターンの位置と薄膜に形成されたテストパターンの位置とを比較し、薄膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を算出した。
上記の検証の結果、マスクブランクの加熱処理前後での表面形状の差分形状の平坦度からみると薄膜の内部応力は十分に低減されているはずであるにもかかわらず、実際に薄膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量は、許容範囲外の大きさとなっていた。
このように、加熱処理後のマスクブランクの薄膜に実際にパターンを形成すると、そのパターンのレジストパターンからの位置ずれ量が許容範囲外になってしまう現象が発生しており、問題となっていた。
また、このような問題は、薄膜の内部応力を低減するための処理として、加熱処理ではなく、閃光ランプによって高エネルギー線を照射する処理を行った場合であっても、同様に発生することが確認された。
本発明者の鋭意研究の結果、マスクブランクに対して加熱処理を行うことによって加熱処理前の透光性基板の主表面形状と加熱処理後の薄膜の表面形状との差分形状の平坦度を小さくした場合であっても、透光性基板の主表面形状が加熱処理によって変形しているために、薄膜の内部応力が十分に低減されていないことを突き止めた。
この現象は、具体的には、以下の方法によって確認された。
最初に、研削および研磨が施されることで高い平坦度の主表面を有している透光性基板を準備した。この透光性基板の主表面形状を、平坦度測定装置を用いて測定した。
次に、形状を測定した側の透光性基板の主表面上に、スパッタリング法を用いて薄膜を形成した。そして、その薄膜の表面形状を、平坦度測定装置を用いて測定した。
続いて、薄膜を形成する前に測定した透光性基板の主表面形状と、薄膜の表面形状との差分形状を導出し、薄膜を形成する前後での平坦度変化量を算出した。
予め実験で導出しておいたマスクブランクの加熱条件と平坦度変化量との相関関係に基づいて、変化したマスクブランクの薄膜の表面形状を元に戻すための加熱条件を選定し、薄膜が形成された透光性基板に対して加熱処理を行った。そして、加熱処理後の薄膜の表面形状を、平坦度測定装置を用いて測定した。
次に、ドライエッチングによって、透光性基板上の薄膜を全面除去した。そして、薄膜を除去した後の透光性基板の主表面形状を、平坦度測定装置を用いて測定した。
これらの測定結果から、加熱処理後の薄膜の表面形状は、薄膜を形成する前の透光性基板の主表面形状とほぼ同じになっていることがわかった。しかし、薄膜を除去した後に測定した透光性基板の主表面形状は、薄膜を形成する前に測定した透光性基板の主表面形状との間で明らかに異なっていた。このことは、透光性基板の主表面形状が、薄膜を形成する前に平坦度を測定した時点から、薄膜を除去後に平坦度を測定した時点の間に変化したことを意味する。
透光性基板の主表面形状を変形させる可能性のある要因としては、いくつか考えられる。まず、スパッタリング法で基板の主表面にスパッタ粒子を堆積させて薄膜を形成するプロセスの影響が考えられる。また、薄膜を除去するときのドライエッチングによる影響も考えられる。しかし、加熱処理のみを除いて前記と同一の手順で測定を行った場合、薄膜を除去した後に測定した透光性基板の主表面形状と、薄膜を形成する前に測定した透光性基板の主表面形状との間で、測定装置の誤差範囲を超えるような差は生じていなかった。つまり、透光性基板の主表面に薄膜を形成するときのスパッタリングによる影響と、薄膜を除去するときのドライエッチングによる影響は、透光性基板の主表面形状の変形には関係していなかった。
透光性基板の主表面形状を変形させる可能性のある要因としては、加熱処理も考えられる。しかし、薄膜が形成されていない透光性基板に対して前記と同一の条件で加熱処理を行った場合、加熱処理の前後で透光性基板の主表面形状には測定装置の誤差範囲を超えるような差は生じていなかった。
本発明者は、これらの検証の結果から、透光性基板の主表面に薄膜が形成されている状態で、その透光性基板に対して加熱処理を行ったときに、薄膜が形成されている側の透光性基板の主表面形状が変形する(薄膜を形成する前に平坦度を測定した時点から、薄膜を除去後に平坦度を測定した時点の間で、透光性基板の主表面形状の変化量が大きく(例えば100nm以上)なる要因が生じている)ことを突き止めた。
また、本発明者は、上記と同様の検証を行うことによって、透光性基板の主表面に薄膜が形成されている状態で、その透光性基板に対して閃光ランプを用いて高エネルギー線を照射する処理を行ったときに、薄膜が形成されている側の透光性基板の主表面形状が変形することを突き止めた。
そして、本発明者は、このような現象が発生する要因について、さらなる検証を行った。その結果、透光性基板中に水素が含まれていることによって、透光性基板の主表面形状が変形していることを突き止めた。また、透光性基板中に含まれている水素含有量が多いと、前記の加熱処理前後における主表面形状の変形量が変化することを突き止めた。具体的には、後に詳しく説明するように、加熱処理や高エネルギー線の照射処理のような高エネルギーを透光性基板上の薄膜へ与える処理を行うと、薄膜だけでなく透光性基板へもその高エネルギーが伝わる。この高エネルギーが透光性基板に伝わることで透光性基板中の水素が外に抜け出してしまい、基板主表面の変形が生じるものと推測される。
しかし、前記のとおり、合成石英ガラス等からなる透光性基板の水素含有量を少なくしてしまうと、ArFエキシマレーザー光に対する耐性(ArF耐光性)が低下するという別の問題が発生する。このため、透光性基板中の水素含有量を少なくすることなく、透光性基板上の薄膜の内部応力を低減する方法が望まれる。
本発明は、透光性基板中の水素含有量を少なくすることなく、透光性基板上の薄膜の内部応力を小さくすることができ、ArFエキシマレーザー光に対する耐性(ArF耐光性)が良好なマスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、さらに鋭意研究を行った結果、薄膜の表面に対して過熱水蒸気を当てる処理を行って薄膜の内部応力を低減すれば、透光性基板中の水素の外部への移動が抑制され、透光性基板の薄膜が形成されている側の主表面の形状変化も抑制でき、かつ薄膜の内部応力を十分に低減できるという結論に至った。過熱水蒸気による処理は、従来の加熱処理に比べ、短時間で多くの熱量(エネルギー)を薄膜に与えることができる。このため、処理時間が短く、過熱水蒸気によって付与される熱量のうち、薄膜から透光性基板に伝わってしまう熱量を大幅に少なくすることができる。そして、透光性基板に伝わる熱量が少ないため、透光性基板中の水素が外部に移動することが従来よりも抑制されるものと推測される。
本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)
透光性基板上に薄膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記透光性基板は、水素を含有するガラス材料からなり、対向する1組の主表面を有する透光性基板を準備する工程と、
前記透光性基板の主表面に、ケイ素又は金属の少なくとも一方を含有する材料からなる前記薄膜を形成する工程と、
前記薄膜の表面に対して過熱水蒸気を当てることにより前記薄膜の内部応力を低減する過熱水蒸気処理工程とを有する
ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。
(構成2)
前記透光性基板は、水素含有量が2.0×1017分子数/cm以上であるガラス材料からなることを特徴とする構成1記載のマスクブランクの製造方法。
(構成3)
前記ガラス材料は、合成石英ガラスであることを特徴とする構成1または2に記載のマスクブランクの製造方法。
(構成4)
前記過熱水蒸気処理工程後の透光性基板は、前記薄膜の表面形状から前記薄膜を除去した後に露出する前記透光性基板の主表面の表面形状を差し引いて得られる表面形状の差分から算出される所定領域内の平坦度変化量が、絶対値で100nm以下であることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成5)
前記過熱水蒸気の温度は、500℃以上であることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成6)
前記薄膜は、薄膜の内部応力が360MPa以下であることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成7)
前記薄膜は、遷移金属とケイ素を含有する材料からなることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成8)
前記薄膜は、モリブデン、ケイ素及び窒素を含有する材料からなり、
前記過熱水蒸気処理工程後の前記薄膜に対してラマン分光分析を行って1000cm−1付近で規格化したときに、250cm−1および500cm−1付近にピークが検出されることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
(構成9)
構成1から8のいずれかに記載の製造方法で製造されたマスクブランクにおける前記薄膜に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
本発明によれば、透光性基板中の水素含有量を少なくすることなく、透光性基板上の薄膜の内部応力を小さくすることができ、ArFエキシマレーザー光に対する耐性(ArF耐光性)が良好なマスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法を提供できる。
透光性基板の斜視図である。 過熱水蒸気処理の一例について説明するための模式図である。
本発明は、透光性基板上に薄膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
前記透光性基板は、水素を含有するガラス材料からなり、対向する1組の主表面を有する透光性基板を準備する工程と、
前記透光性基板の主表面に、ケイ素又は金属の少なくとも一方を含有する材料からなる前記薄膜を形成する工程と、
前記薄膜の表面に対して過熱水蒸気を当てることにより前記薄膜の内部応力を低減する過熱水蒸気処理工程とを有する
ことを特徴とするマスクブランクの製造方法である。
本発明のマスクブランクの製造方法は、水素を含有するガラス材料からなり、対向する1組の主表面を有する透光性基板を準備する工程を有している。
本発明は、水素を含有するガラス材料からなる透光性基板に適用される。水素を含有するガラス材料は、水素を実質的に含有するガラス材料である。不純物として水素を含有するガラス材料や水素フリーのガラス材料は、水素を含有するガラス材料に含まれない。
前述したように、加熱処理や高エネルギー線の照射処理のような高エネルギーを透光性基板上の薄膜へ与える処理を行うと、薄膜だけでなく透光性基板へもその高エネルギーが伝わる。この高エネルギーが透光性基板に伝わることで透光性基板中の水素が外に抜け出してしまい、基板主表面の変形が生じるものと推測される。本発明は、このような基板主表面の変形が実質的に生じる程度に水素を含有するガラス材料に適用することが好ましい。このような場合に、本発明を適用する意義があるからである。
本発明において、前記透光性基板は、水素含有量が2.0×1017分子数/cm以上であるガラス材料からなることが好ましい。
本発明において、前記透光性基板は、水素含有量が、好ましくは5.0×1017分子数/cm以上、より好ましくは1.0×1018分子数/cm以上、さらに好ましくは7.4×1018分子数/cm以上、であることが好ましい。
本願出願人は、透光性基板中の水素含有量が低い方が、薄膜が形成された基板に対して加熱炉等による熱処理を行った際に生じる基板の平坦度変化量が小さいことを突き止めた。具体的には、本願出願人は、透光性基板の水素含有量が7.4×1018分子数/cm未満(好ましくは1.0×1018分子数/cm以下、より好ましくは6.0×1017分子数/cm以下、さらに好ましくは2.0×1017分子数/cm以下)であれば、透光性基板の主表面の平坦度変化量を100nm以下(好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下)に制御できることを突き止めている。
本発明では、透光性基板中の水素が加熱処理によって外部に移動することで生じる「透光性基板の薄膜が形成されている側の主表面の形状変化」を抑制するために、透光性基板中の水素含有量を少なくする必要がない。透光性基板の主表面の平坦度変化量を低減するために最も好ましくは、透光性基板の水素含有量が2.0×1017分子数/cm以下とすることであるが、本願発明では、2.0×1017分子数/cm以上とすることができる。また、透光性基板の主表面の平坦度変化量を低減するためには、透光性基板の水素含有量が7.4×1018分子数/cm未満とすることが必要であるが、本願発明では、7.4×1018分子数/cm以上とすることができる。
本発明において、透光性基板の水素含有量が2.0×1017分子数/cm以上であると、露光光の照射によって透光性基板の透過率が低下する問題の発生を低減できる。
本発明において、前記透光性基板の水素含有量が、5.0×1017分子数/cm以上、1.0×1018分子数/cm以上、さらには7.4×1018分子数/cm以上であると、露光光の照射によって透光性基板の透過率が低下する問題の発生をより低減できる。
透光性基板の材料中に含まれる水素含有量は、レーザーラマン散乱分光法によって測定することが可能である。例えば、日本分光社製 HQS−1000を用い、フォトンカウント法によって測定することができる。
本発明において、透光性基板の材料としては、例えば、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、低熱膨張ガラス(例えばSiO−TiO系ガラス)、β石英固溶体を析出させた結晶化ガラス、CaF基板等のガラス材料を用いることが可能である。
本発明は、透光性基板の材料が合成石英ガラスである場合に特に適する。合成石英ガラスでは、露光光の照射によって透光性基板の透過率が低下する問題がより生じやすいためである。
本発明のマスクブランクの製造方法は、透光性基板の一方の主表面に、薄膜の内部応力(膜応力ともいう)を有するケイ素又は金属の少なくとも一方を含有する材料からなる薄膜を形成する工程を有している。なお、ここでいう「主表面」とは、例えば図1において、透光性基板の側面72及び面取面73を除く一対の主表面71のことを意味する。なお、この薄膜は、一方の主表面のみに形成されている構成、一方の主表面およびその主表面に隣接する面取面にまで連続的に形成されている構成、さらにそれらの面取面に隣接する側面の一部にまで連続的に形成されている構成を含む。
透光性基板の一方の主表面へ形成する薄膜としては、例えば、遮光膜、位相シフト膜(ハーフトーン型位相シフト膜)、光半透過膜、多層反射膜、吸収体膜等を挙げることができる。
透光性基板の一方の主表面への薄膜の形成には、公知の方法を用いることが可能であるが、スパッタリング法を用いることが好ましく、反応性スパッタリング法を用いることが特に好ましい。スパッタリング法を用いることで、形成される薄膜をアモルファス構造や微結晶構造とすることができる。また、スパッタリング法で形成される薄膜は薄膜の内部応力が高くなる傾向があるため、本発明のマスクブランクの製造方法を好適に用いることができる。
薄膜の材料である「ケイ素又は金属の少なくとも一方を含有する材料」としては、例えば、ケイ素を含む材料、ケイ素以外の金属を含む材料、ケイ素とケイ素以外の金属とを含む材料、更にはこれらに酸素、窒素、炭素、水素、及び不活性ガス(ヘリウム,アルゴン,キセノン等)のうちいずれか1種以上を含む材料等を挙げることができる。ケイ素以外の金属としては、遷移金属、例えば、W、Mo、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、V、Co、Cr、Ni等を例として挙げることができる。このような材料としては、例えば、モリブデンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)、モリブデンシリサイド炭化物(MoSiC)、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)、モリブデンシリサイド酸化炭化物(MoSiOC)、モリブデンシリサイド酸化窒化炭化物(MoSiONC)等を挙げることができる。
本発明では、透光性基板から水素が脱離する現象が起こるような条件での加熱処理や光加熱処理を行ったときに大きく劣化してしまうような材料であっても、本発明を適用できる。このような材料としては、クロム金属、クロム酸化物(CrO)、クロム窒化物(CrN)、クロム炭化物(CrC)、クロム酸窒化物(CrON)、クロム酸化炭化物(CrOC)、クロム炭化窒化物(CrCN)、クロム酸窒化炭化物(CrOCN)などが挙げられる。
本発明のマスクブランクの製造方法は、薄膜が形成された透光性基板に対して薄膜の内部応力を低減するための「過熱水蒸気処理」を行う工程を有している。なお、ここでいう薄膜の内部は、膜応力と呼ばれることもある。薄膜の内部応力は、圧縮応力の場合もあるし、引張応力の場合もある。
過熱水蒸気とは、水蒸気(飽和水蒸気)を常圧のまま100℃以上に加熱した水蒸気(飽和水蒸気)である。
大気圧下では水は100℃で沸騰し水蒸気(飽和水蒸気)に変わる。水蒸気(飽和水蒸気)に外部から熱エネルギーを与えて定圧膨張させながら温度を上げていくと過熱状態になる。
過熱水蒸気は、加熱空気に比べて熱容量が大きい(約4倍)ので、被処理物を急速に加熱することができ、加熱時間を短縮できる。空気による伝熱は対流伝熱に限られるが、過熱水蒸気では対流伝熱が空気の10倍以上であることに加え、放射伝熱及び凝縮伝熱を含む複合伝熱作用が生じるため、熱効率がよい。
凝縮伝熱とは、過熱水蒸気が被処理物に接触すると直ちに凝縮し、被処理物に凝縮水が付着するとともに、凝縮熱による大量の熱が伝達されることである。その後、水分が蒸発し始め、被処理物の乾燥が始まる。
本発明によれば、前記薄膜に、薄膜の内部応力を低減するための過熱水蒸気処理を施すことによって、薄膜の内部応力が低減される。
過熱水蒸気による処理は、従来の加熱処理に比べ、短時間で多くの熱量(エネルギー)を薄膜に与えることができる。また、薄膜の内部応力を低減するために必要な処理時間が短いので、過熱水蒸気によって付与される熱量のうち、薄膜から透光性基板に伝わってしまう熱量を大幅に少なくすることができる。
過熱水蒸気による処理では、透光性基板に伝わる熱量が少ないため、透光性基板中の水素が外部に移動することが従来よりも抑制されるものと推測される。本発明では、透光性基板中の水素が加熱処理によって外部に移動することで生じる「透光性基板の薄膜が形成されている側の主表面の形状変化」を抑制するために、透光性基板中の水素含有量を少なくする必要がない。
これに対し、電気炉による空気を媒体とした従来の加熱方式では、基板を伝わって薄膜を温める方式を利用している。このため、透光性基板中の水素が加熱処理によって外部に移動することで生じる「透光性基板の薄膜が形成されている側の主表面の形状変化」を抑制するためには、透光性基板中の水素含有量を少なくする必要がある。
過熱水蒸気処理よると、透光性基板中の水素の外部への移動が抑制され、透光性基板の薄膜が形成されている側の主表面の形状変化(例えば「薄膜除去後−薄膜形成前」、「薄膜熱処理後−薄膜除去後」など)も抑制できる。これについては後述する。
本発明によれば、前記薄膜に、薄膜の内部応力を低減するための過熱水蒸気処理を施すことによって、薄膜の内部応力が低減される。薄膜の内部応力を低減するために適する過熱水蒸気処理の温度は、薄膜の材料や薄膜の成膜条件(薄膜の膜質等)により異なるので一概に言えないが、過熱水蒸気処理の温度は、400℃以上であることが好ましく、500℃以上がより好ましく、550℃以上がさらに好ましい。また、過熱水蒸気処理の温度は、900℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。高温過ぎると、薄膜の内部応力を制御することが難しくなり、面内での応力の均一性が得られにくくなるためである。過熱水蒸気処理の温度は、薄膜の温度が650℃以上となる温度が好ましい。
本発明によれば、膜の内部応力を低減するために適する過熱水蒸気処理としては、例えば、過熱水蒸気が吐出されるスリット状のノズルを薄膜の表面に対して走査していくことで過熱水蒸気処理が行われる態様が好ましく用いられる。薄膜の全面に対して過熱水蒸気を一度に均一に当てることが難しいためである。薄膜の内部応力を低減するために適する過熱水蒸気処理の単位面積当たりの処理時間は、過熱水蒸気処理の温度により異なるので一概に言えないが、4sec/mm以上であることが好ましく、6sec/mm以上であるとより好ましく、8sec/mm以上であることがさらに好ましい。また、過熱水蒸気処理の単位面積当たりの処理時間は、60sec/mm以下であることが好ましく、40sec/mm以下であるとより好ましく、30sec/mm以下であるとさらに好ましい。過熱水蒸気処理の単位面積当たりの処理時間は、過熱水蒸気処理の温度により異なるので一概に言えないが、60sec/mm以下であれば、基板の温度上昇を抑える(例えば400℃以下に抑制する)ことが可能である。
上記の条件によると、例えば遷移金属とケイ素を含む薄膜に関し、薄膜の内部応力を十分に低減できるとともに、露光光に対する薄膜の耐候性の向上を十分に図ることができる。過熱水蒸気処理を行う雰囲気は、特に制限されない。過熱水蒸気処理は、過熱水蒸気が主体の雰囲気で行うことができる。過熱水蒸気が主体の雰囲気は、空気や、窒素、酸素などを含むことができる。
本発明において、過熱水蒸気を発生させる手段や装置としては、水蒸気の温度を上昇させ、過熱水蒸気を得る公知の手段や装置などが、使用できる。
過熱水蒸気処理を施す装置としては、例えば、図2に示す装置が例示される。図2に示す装置では、ボイラで発生させた水蒸気(例えば100℃)を、過熱水蒸気を得る手段である過熱手段によって加熱して、過熱水蒸気(例えば500〜950℃)を発生させ、チャンバー内の所定位置に配置された基板上の薄膜に、過熱水蒸気を供給し、薄膜と過熱水蒸気を接触させる。
過熱手段としては、誘導加熱(高周波誘導加熱、電磁誘導加熱)を用いる手法、ランプ加熱を用いる手法、など外部から熱エネルギーを与える手法が挙げられる。高周波誘導加熱を用いる手法では、例えば、コイルに高周波電流(交流)を流したときに発生するジュール熱で、過熱水蒸気を得る。
チャンバーは、メタルフリーな材料(例えば石英など)で構成することが好ましい。過熱手段によって発生させた過熱水蒸気は、ノズルから吹き出させ、チャンバー内に供給することができる。チャンバー内は、大気圧(開放系)とし、過熱水蒸気供給手段(例えば供給口、供給管等)および排気手段(例えば排気口、排気管等)を設けることが好ましい。この場合、チャンバー内に過熱水蒸気を吹き込むと、チャンバー内にあった空気は過熱水蒸気で押し出される。その結果、チャンバー内の空気は追い出されて低酸素状態、すなわち無酸素状態になる。
なお、ボイラや過熱手段の処理能力等によって、過熱水蒸気の量は調整できる。本発明においては、本発明の効果が十分に得られるような過熱水蒸気の量とすることが好ましい。
過熱水蒸気処理後の薄膜の冷却方法としては、公知の冷却方法を適用できる。冷却方法としては、例えば、冷却手段を用いた強制冷却や、室温等に放置する自然冷却、などを適用できる。
前記のとおり、薄膜に対して行う過熱水蒸気による処理では、透光性基板に伝わる熱量が少ないため、透光性基板中の水素が薄膜へ移動する(さらに、薄膜から外部に移動する)ことが従来よりも抑制されるものと推測される。しかし、透光性基板中の水素含有量が多くなるほど、過熱水蒸気による処理を採用することによって、従来の加熱処理や光照射処理を用いた場合よりも水素が薄膜へ移動することを抑制できる効果が薄れていく。この点を考慮した場合、透光性基板を構成するガラス材料の水素含有量は、5.0×1019分子数/cm以下とすることが好ましく、4.0×1019分子数/cm以下とするとより好ましく、2.0×1019分子数/cm以下とするとさらに好ましい。
本発明においては、薄膜の内部応力の低減を目的として、前記薄膜が形成された透光性基板に対して加熱処理または閃光ランプから発せられる光を照射する光照射処理を行う工程は、必要ないが、これらの工程を有してもよい。
ただし、本発明においては、透光性基板の温度が、400℃以上となるような条件で、基板の処理は行わないことが好ましい。透光性基板の温度が400℃以上であって、透光性基板の温度が高くなるにしたがって、本願課題が顕在化する(透光性基板から水素が脱離する現象の影響が大きくなり、基板変形が大きくなる)からである。
本発明において、前記過熱水蒸気処理工程後の透光性基板は、前記過熱水蒸気処理工程後の前記薄膜の表面形状から前記薄膜を除去した後に露出する前記透光性基板の主表面の表面形状を差し引いて得られる表面形状の差分から算出される所定領域内の平坦度変化量が、絶対値で100nm以下であることが好ましい。
本発明において、平坦度変化量の絶対値は、好ましくは80nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下である。
過熱水蒸気処理よると、透光性基板中の水素の外部への移動が抑制され、透光性基板の薄膜が形成されている側の主表面の形状変化を抑制できる。これにより、上記平坦度変化量を達成できる。
本発明において、前記過熱水蒸気処理は、前記薄膜を形成する前の前記透光性基板の一方の主表面形状と、前記薄膜を除去した後に露出する前記透光性基板の一方の主表面形状とから得られる差分形状を基に算出される所定領域内の平坦度変化量が、絶対値で100nm以下となるように、行うことが好ましい。
本発明において、平坦度変化量の絶対値は、好ましくは80nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下である。
過熱水蒸気処理よると、透光性基板中の水素の外部への移動が抑制され、透光性基板の薄膜が形成されている側の主表面の形状変化を抑制できる。これにより、上記平坦度変化量を達成できる。
薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状の測定は、表面形状解析装置(表面形状測定装置)を用いて行うことができる。薄膜を除去した後に露出する透光性基板の一方の主表面形状の測定も、表面形状解析装置(表面形状測定装置)を用いて行うことができる。また、薄膜形成前及び薄膜除去後における透光性基板の主表面形状の差分形状、および、差分形状に基づく平坦度変化量の算出も、表面形状解析装置を用いて行うことができる。表面形状解析装置としては、例えば、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いることができる。なお、差分形状に基づく平坦度変化量の算出は、公知の方法を用いて行うことが可能であり、例えば特開2010−237502号公報に開示された方法を用いて行うことが可能である。
差分形状に基づく平坦度変化量を算出する所定領域は、少なくとも薄膜で転写パターンを形成する領域が含まれる必要がある。所定領域は、透光性基板の主表面の中心を基準とした一辺が132mmの四角形の内側領域(以下、この領域を「132mm四方の内側領域」という。)であることが好ましく、一辺が142mmの四角形の内側領域(以下、この領域を「142mm四方の内側領域」という。)であるとより好ましい。また、差分形状を算出する領域は、所定領域を含む領域である必要がある。さらに、主表面や薄膜の表面形状を表面形状測定装置で測定する領域も、所定領域を含む領域である必要がある。
薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面は、高い平坦度を有することが望ましい。132mm四方の内側領域で算出した一方の主表面の平坦度が、0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であるとより好ましく、0.1μm以下であるとさらに好ましい。また、142mm四方の内側領域で算出した一方の主表面の平坦度が、0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であるとより好ましく、0.1μm以下であるとさらに好ましい。なお、一方の主表面に対向する側にある他方の主表面についても、同等以上の平坦度を有することが望ましい。
薄膜の除去は、薄膜にパターンを形成するときに用いられるドライエッチングと同様の方法で行うことができる。例えば、薄膜がケイ素(Si)及び遷移金属(例えばMo)を含む材料からなる場合には、フッ素系ガスを含むエッチングガスを用いたドライエッチングによって薄膜を除去することが可能である。また、薄膜を構成する材料の組成によっては、酸素を含有しない塩素系ガスを含むエッチングガスを用いたドライエッチングや、塩素系ガスと酸素ガスを含むエッチングガスを用いたドライエッチングによって薄膜を除去することも可能である。また、薄膜を構成する材料の組成によっては、薄膜の除去にウェットエッチングを適用してもよい。
本発明のマスクブランクの製造方法によれば、薄膜を形成する前(一方の主表面の上に何も設けられていない状態)の透光性基板の一方の主表面形状と、薄膜を除去した後に露出する前記透光性基板の一方の主表面形状とから得られる差分形状を基に算出される所定領域内の平坦度変化量が、絶対値で100nm以下とすることができる。この場合、透光性基板の薄膜が設けられる側の主表面形状における過熱水蒸気処理の前後での変化量を大幅に抑制できていることから、薄膜を形成する前の透光性基板の主表面形状と、過熱水蒸気処理後の薄膜の表面形状との差分形状を、薄膜が有する内部応力を見るためのより正確な指標として用いることが可能になる。
本発明のマスクブランクの製造方法では、差分形状の算出方法は、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状から、薄膜を除去した後に露出する前記透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて差分形状を得る方法と、薄膜を除去した後に露出する前記透光性基板の一方の主表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて差分形状を得る方法のいずれも適用可能である。
上述したように、従来技術を用いた場合には、透光性基板の薄膜が形成されている一方の主表面形状自体が加熱処理又は光照射処理によって大きく変化してしまっている。このため、透光性基板に対して加熱処理又は光照射処理を行った後における薄膜の表面形状と薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面の表面形状との差分形状を指標に加熱処理または光照射処理の処理条件を調整して薄膜の内部応力を低減しようとしても、実際の薄膜の内部応力を十分に低減することはできていなかった。
これに対して、本発明のマスクブランクの製造方法によれば、過熱水蒸気処理の前後における基板の一方の主表面形状の変化を大幅に抑制できている。このため、過熱水蒸気処理を行った後における薄膜の表面形状と薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面の表面形状との差分形状を指標に過熱水蒸気処理の処理条件を調整して薄膜の内部応力を低減する方法を用いても、過熱水蒸気処理後の透光性基板の一方の主表面に形成された薄膜の内部応力を、360MPa以下、好ましくは300MPa以下、より好ましくは180MPa以下に低減することができる。
短波長のパルスレーザー光であるKrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーが露光光として適用される転写用マスクに用いる透光性基板は、ガラス材料にある程度の水素が含有されたものを使用することが一般的である。これは、特にエネルギーの高い光のArFエキシマレーザーは、ガラス材料中を透過する際に内部構造にダメージを与えることがあり、水素がそのダメージを修復する役割を持つためである。一方、従来、透光性基板のガラス材料には、水素を含有させるデメリットについては特に見つかっていなかった。
前述したように、本発明者は、透光性基板を形成するガラス材料中の水素が、加熱処理または光照射処理の前後における透光性基板の主表面形状の変化に影響を与えている可能性を疑った。そして、その可能性を確認すべく、水素含有量が異なる複数の透光性基板を準備し、以下の検証を行った。最初に各透光性基板の薄膜を形成する前の主表面の形状を平坦度測定装置で測定した。次に、準備した各透光性基板に同条件で薄膜を一方の主表面にのみ形成した。続いて、薄膜が形成された後の各透光性基板に対し同条件で加熱処理を行った。次に、加熱処理後の各透光性基板の薄膜をエッチングによって全面除去し、薄膜を除去後の主表面の形状を平坦度測定装置で測定した。さらに、薄膜を形成する前の主表面形状と薄膜を除去した後の主表面形状とから差分形状を算出し、差分形状から算出される所定領域内の主表面の平坦度変化量と水素含有量との相関性を検証した。
その結果、透光性基板を形成するガラス材料の水素含有量が多くなるほど、主表面の平坦度変化量が大きくなることが判明した。さらに、透光性基板を形成するガラス材料の水素含有量を少なくとも7.4×1018分子数/cm未満とすることで、主表面の平坦度変化量を絶対値で100nm以下に抑制することができることも突き止めた。また、前記の検証のうち、他方の主表面に対しても同条件の薄膜を形成したマスクブランク(2つの主両面のいずれにも同じ薄膜を形成したマスクブランク)を適用して検証を行った場合、差分形状から算出される所定領域内の平坦度変化量は、透光性基板の水素含有量に関係なく、いずれも平坦度測定装置の測定誤差範囲内であった。
これらの検証結果から、透光性基板の水素含有量が主表面の形状変化に影響を与える原因は以下のように推測される。なお、以下の考察は、出願時点における本発明者らの推測に基づくものであり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
水素を含有するガラス材料からなる透光性基板を加熱処理すると、表面(特に表面積の大きい2つの主表面)から水素が脱離していく。水素が脱離していく前までその水素と結合していたSi等の元素は別の元素と結合しようとする。このとき、水素が脱離して生じた内部空間の隙間が縮まることで、内部構造が縮まる方向に働く応力(引張応力)が生じる。すべての表面に薄膜を全く設けてない状態(すべての表面が大気中に露出した状態)の透光性基板の場合、基板の内部に比べ表面近傍の表層の方が水素含有量は少なく、表層に引張応力が生じやすい。しかし、この場合、2つの主表面近傍の表層の両方ともに、水素含有量は同程度に低下しており、表層に生じる引張応力も同程度になり、バランスが保たれ、どちらかの主表面の形状が顕著に変化するようなことにはなりにくい。
一方、水素を含有するガラス材料からなる透光性基板に対して、一方の主表面にのみ薄膜が形成されている状態で加熱処理を行った場合、薄膜が形成された主表面側では、薄膜によって水素の大気中への脱離が抑制される。このため、薄膜が形成された主表面側の表層の水素含有量は、薄膜が形成されていない他方の主表面(表面が大気中に露出した状態の主表面)側の表層の水素含有量よりも多くなる傾向が生じる。同時に、薄膜が形成された主表面側の表層の引張応力は、薄膜が形成されていない他方の主表面側の表層の引張応力よりも小さくなる傾向が生じる。この結果、薄膜が形成された側の主表面が凸形状の傾向に変形し、薄膜が形成されていない側の主表面が凹形状の傾向に変形する。
透光性基板を形成するガラス材料に存在していた水素の含有量が多くなるほど、加熱処理で脱離する水素の量も多くなる。この結果、透光性基板の主表面側の表層に生じる引張応力も大きくなる。薄膜が形成された一方の主表面側の引張応力と、薄膜が形成されていない他方の主表面に生じる引張応力との差も、ガラス材料の水素含有量が多くなるほど大きくなる。逆に、透光性基板を形成するガラス材料の水素含有量を7.4×1018分子数/cm未満と少なくすることで、薄膜が形成された一方の主表面側の引張応力と、薄膜が形成されていない他方の主表面に生じる引張応力との差が大幅に小さくなり、主表面の平坦度変化量を絶対値で100nm以下に抑制することができる。
なお、上記の検証や考察では、透光性基板における他方の主表面が露出した状態で加熱処理や光照射処理を行う場合について述べた。しかし、他方の主表面にも薄膜が形成されている場合であっても、透光性基板を形成するガラス材料の水素含有量を7.4×1018分子数/cm未満としないと、一方の主表面に大きな形状変化が生じる場合もある。たとえば、一方の主表面に形成された薄膜に比べ、他方の主表面に形成された薄膜が水素を大幅に通過しやすい特性を有してしまっている場合(薄膜を形成する材料の相違、膜厚の大幅な相違、薄膜の積層構造の大幅な相違等)があげられる。
一方、加熱処理の場合と同様に、閃光ランプから発せられる光を照射する光照射処理を適用する場合の検証を行った。光照射処理の前後で透光性基板における一方の主表面の形状自体が変化することや、透光性基板の水素含有量を7.4×1018分子数/cm未満とすることで、その主表面の形状変化を大幅に低減することができることまでは、加熱処理の場合と同様であった。しかし、光照射処理の場合、透光性基板における一方の主表面の形状が、凹形状に変化する傾向がある点が、加熱処理の場合と大きく異なる。これは、以下のように推測される。なお、以下の考察も、出願時点における本発明者らの推測に基づくものであり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
閃光ランプから発せられる光を照射する光照射処理を行う時間は、加熱処理を行う時間に比べて大幅に短い(光照射処理が秒単位であるのに対し、加熱処理は、数十分〜数時間。)。薄膜が形成された透光性基板に対して光照射処理を行ったときに、水素が脱離する温度まで加熱されるのは薄膜とその薄膜が形成されている側である一方の主表面側の表層までである。閃光ランプの光が照射されない他方の主表面は水素が脱離する温度までには加熱されない。透光性基板の薄膜が形成されている一方の主表面側の表層からは水素が脱離し、それによって引張応力が強くなる傾向が生じるが、水素が脱離しない他方の主表面の内部応力には実質的な変化は生じない。この結果、薄膜が形成されている側の主表面は、その引張応力の影響で凹形状の傾向に変形し、それに伴い、薄膜が形成されていない側の他方の主表面は凸形状の傾向に変形する。
上記加熱処理または光照射処理を伴うマスクブランクの製造方法では、水素含有量が7.4×1018分子数/cm未満、好ましくは1.0×1018分子数/cm以下、より好ましくは6.0×1017分子数/cm以下、さらに好ましくは2.0×1017分子数/cm以下である透光性基板を用いている。これにより、一方の主表面に薄膜が形成されている透光性基板を加熱処理した場合であっても、透光性基板からの水素の脱離が少なく、透光性基板の一方の主表面形状が凸形状に変形することを抑制することができる。また、透光性基板の一方の主表面に形成された薄膜に対して閃光ランプから発せられる光を照射した場合であっても、透光性基板からは水素がほとんど脱離しないために、透光性基板の一方の主表面形状が凹形状に変形することを抑制することができる。
本発明では、薄膜の表面に対して過熱水蒸気を当てる処理を行って薄膜の内部応力を低減すれば、透光性基板中の水素の外部への移動が抑制され、透光性基板の薄膜が形成されている側の主表面の形状変化も抑制でき、かつ薄膜の内部応力を十分に低減できるという結論に至った。
過熱水蒸気による処理は、従来の加熱処理に比べ、短時間で多くの熱量(エネルギー)を薄膜に与えることができる。このため、処理時間が短く、過熱水蒸気によって付与される熱量のうち、薄膜から透光性基板に伝わってしまう熱量を大幅に少なくすることができる。そして、透光性基板に伝わる熱量が少ないため、透光性基板中の水素が外部に移動することが従来よりも抑制されるものと推測される。
本発明のマスクブランクの製造方法は、露光光を透過させる透過型マスクを作製するための透過型マスクブランク、あるいは、露光光を反射する反射型マスクを作製するための反射型マスクブランクに適用することが可能である。また、本発明のマスクブランクの製造方法は、位相シフトマスクを作製するための位相シフトマスクブランクに適用することが可能である。さらに、本発明のマスクブランクの製造方法は、ダブルパターニング技術が適用される転写用マスクを作製するためのマスクブランクに好ましく適用することが可能である。
本発明のマスクブランクの製造方法は、以下の(1)〜(4)に示すマスクブランクに適用することができる。
(1)遷移金属を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
かかるバイナリマスクブランクは、透光性基板上に遮光膜(薄膜)を有する形態のものであり、この遮光膜は、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム等の遷移金属単体あるいはその化合物を含む材料からなる。例えば、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成した遮光膜が挙げられる。
かかるバイナリマスクブランクは、遮光膜を、遮光層と表面反射防止層の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層を加えた3層構造としたものなどがある。
また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
(2)遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる光半透過膜を備えた位相シフトマスクブランク
かかる位相シフトマスクブランクとしては、透光性基板上に光半透過膜(薄膜)を有する形態のものであって、該光半透過膜をパターニングしてシフタ部を設けるタイプであるハーフトーン型位相シフトマスクが作製される。かかる位相シフトマスクにおいては、光半透過膜を透過した光に基づき転写領域に形成される光半透過膜パターンによる被転写基板のパターン不良を防止するために、透光性基板上に光半透過膜とその上の遮光膜(遮光帯)とを有する形態とするものが挙げられる。また、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのほかに、透光性基板をエッチング等により掘り込んでシフタ部を設ける基板掘り込みタイプであるレベンソン型位相シフトマスク用やエンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクが挙げられる。
前記ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を有するものである。この光半透過膜をパターニングした光半透過部と、光半透過膜が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト即ち解像度を向上させるものである。
この光半透過膜は、例えば遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイドを含む)の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
また、光半透過膜上に遮光膜を有する形態の場合、上記光半透過膜の材料が遷移金属及びケイ素を含むので、遮光膜の材料としては、光半透過膜に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成することが好ましい。
レベンソン型位相シフトマスクは、バイナリマスクブランクと同様の構成のマスクブランクから作製されるため、パターン形成用の薄膜の構成については、バイナリマスクブランクの遮光膜と同様である。エンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものではあるが、透過する露光光に生じさせる位相差が小さい膜(例えば、位相差が30度以下。好ましくは0度。)であり、この点が、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜とは異なる。この光半透過膜の材料は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜と同様の元素を含むが、各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率と所定の小さな位相差となるように調整される。
(3)遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
この遮光膜(薄膜)は、遷移金属及びケイ素の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。また、遮光膜は、遷移金属と、酸素、窒素及び/又はホウ素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
特に、遮光膜をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSi等)と表面反射防止層(MoSiON等)の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層(MoSiON等)を加えた3層構造がある。
また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
また、レジスト膜の膜厚を薄膜化して微細パターンを形成するために、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する構成としてもよい。このエッチングマスク膜は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。このとき、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせることにより、遮光膜上にエッチングマスク膜を残した状態で転写用マスクを作製してもよい。
(4)ケイ素の化合物を含み、かつ遷移金属を含まない材料からなる光半透過膜を備えた位相シフトマスクブランク
この光半透過膜は、遷移金属を含まないケイ素系材料からなる。このようなケイ素系材料としては、ケイ素および窒素からなる材料、またはこの材料に半金属元素、非金属元素および希ガスから選ばれる1以上の元素を含む材料などが挙げられる。このケイ素系材料に含有させるのに好適な半金属元素としては、ホウ素、ゲルマニウム、アンチモン、テルルなどが挙げられる。また、このケイ素系材料に含有させるのに好適な非金属元素としては、酸素、炭素、フッ素、水素などが挙げられる。このケイ素系材料に含有させるのに好適な希ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどが挙げられる。この半透過膜は、単層構造であってもよいが、複数層の積層構造であってもよい。その他の点については、(2)の光半透過膜の場合と同様である。
本発明において、過熱水蒸気処理後の前記薄膜は、モリブデン、ケイ素及び窒素を主成分とする材料からなり、
前記薄膜のラマン分光分析において、1000cm−1付近で規格化したときに、250cm−1付近及び500cm−1付近にピークを有する態様が含まれる(構成8)。
ラマン分光分析結果から、モリブデン、ケイ素及び窒素を主成分とする材料からなる薄膜は、ピークがブロードであることから非晶質(アモルファス)構造と言える。過熱水蒸気処理により、Si−N結合に由来する1000cm−1付近のラマンバンドの半値幅が若干小さくなっており、アモルファスSiN構造の秩序性が高くなっていると考えられる。
また、250cm−1付近又は500cm−1付近のラマンバンドが相対的に大きくなっており、アモルファスモリブデン窒化物及び/又はモリブデンシリサイド等が形成されたと考えられる。
本発明において、例えば、上記構成8のマスクブランクは、構成1〜7記載のマスクブランクの製造方法によって作製できる。
なお、モリブデン、ケイ素及び窒素を主成分とする材料からなる薄膜は、過熱水蒸気処理により、Si−N結合に由来する1000cm−1付近のラマンバンドの左側の領域(低波数側の領域)、例えば、150cm−1〜700cm−1の領域、又は、200cm−1〜600cm−1の領域に、(1)モリブデンの構造(例えば、MoSi、MoSiN、など)に由来するラマンバンドが相対的に大きくなっている箇所が2つ出現しており、過熱水蒸気処理を施さない場合に比べ、安定的な物質(例えば、アモルファスモリブデン窒化物、及び/又はモリブデンシリサイド)が相対的に多く形成されたと考えられ、あるいは、(2)(i)過熱水蒸気処理を施さない場合に比べ、新たな構造(例えばモリブデンを含む構造、即ち、例えばMo−Si結合、Mo−Si−N結合)が相対的に多く形成され、モリブデンの構造がより安定になったと考えられ、又は、(ii)モリブデンを含む結晶構造の変化が起こっており、モリブデンの構造がより安定になったと考えられる。これにより、耐光性等を顕著に向上できると考えられる。
本発明において、モリブデン、ケイ素及び窒素を主成分とする材料からなる薄膜は、Si−N結合に由来する1000cm−1付近のラマンバンドの左側の領域(低波数側の領域)、例えば、150cm−1〜700cm−1の領域、又は、200cm−1〜600cm−1の領域に、結合状態等の薄膜自体の構造に変化(例えば、前記モリブデンの構造、前記新たな構造、又は結晶構造の変化)に由来するラマンバンドが相対的に大きくなっている箇所を2つ有することを特徴とする。
本発明において、モリブデン、ケイ素及び窒素を主成分とする材料からなる薄膜は、Si−N結合に由来する1000cm−1付近のラマンバンドの左側の領域(低波数側の領域)、例えば、150cm−1〜700cm−1の領域、又は、200cm−1〜600cm−1の領域に、過熱水蒸気処理に由来するラマンバンドが相対的に大きくなっている箇所を2つ有することを特徴とする。過熱水蒸気処理に由来するラマンバンドは、過熱水蒸気処理を施さない場合には認められないか又はピークの絶対値の小さいラマンバンドが認められるに過ぎず耐光性向上との関連性も認められない状態から、過熱水蒸気処理に由来すると認められるラマンバンドが出現したと認められ耐光性向上との関連性も認められる状態に至るときに認められるラマンバンドである。
本発明のマスクブランクの製造方法によって製造されたマスクブランクの薄膜に転写パターンを形成することによって、転写用マスクを製造することができる。薄膜への転写パターンの形成は、公知の方法を用いて行うことが可能である。
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。併せて、実施例に対する比較例についても説明する。
[実施例1]
まず、主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.35mmの合成石英ガラスからなる透光性基板を準備した。この透光性基板は、主表面を所定の平坦度および表面粗さに研磨され、その後、所定の洗浄処理および乾燥処理を施されたものであった。なお、この透光性基板は、薄膜が形成される側の主表面(一方の主表面)の142mm四方の内側領域における平坦度は、0.3μm以下であり、表面形状は凸形状であった。また、主表面の表面粗さは、一辺が1μmの四角形内の測定領域での自乗平方根平均粗さRqで0.2nm以下であった。この透光性基板の材料中の水素濃度をレーザーラマン分光光度法によって測定したところ、7.4×1018[分子数/cm]であった。そして、この透光性基板の一方の主表面形状を、表面形状解析装置(UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製))を用いて測定した(測定領域は、透光性基板の中心を基準とした一辺が142mmの四角形の内側領域。以降、表面形状解析装置で測定している表面形状の測定領域は同じ。)。
つぎに、合成石英ガラスからなる透光性基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、スパッタターゲットにモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(原子%比 Mo:Si=6:94)を用い、アルゴンと窒素とヘリウムとの混合ガス雰囲気(ガス圧0.3Pa,ガス流量比 Ar:N:He=12.5:50:100)で、DC電源の電力を3.0kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、MoSiN膜を膜厚67nmで成膜し、ArFエキシマレーザー(波長193nm)用のハーフトーン型位相シフト膜(薄膜)を形成した。このハーフトーン型位相シフト膜は、ArFエキシマレーザーの波長において、透過率が6.1%、位相差が177.1度の光学特性を有していた。そして、透光性基板の主表面上に形成されたハーフトーン型位相シフト膜(薄膜)の表面形状を、上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定した。
次に、この薄膜を備えた透光性基板における薄膜に対して図2に示す装置を用いて750℃(チャンバーに過熱水蒸気を供給するノズルの吹き出し口における温度)で、16sec/mmの単位面積当たりの処理時間となる処理条件となるように過熱水蒸気を当て、過熱水蒸気処理を行い、薄膜の内部応力を低減させる処理を行った。そして、加熱処理後の薄膜の表面形状を、上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定した。
次に、エッチングガスとしてSFとHeの混合ガスを用い、ドライエッチングにより、透光性基板の一方の主表面上に形成された薄膜を全面除去した。そして、薄膜の全面除去後の透光性基板の一方の主表面形状を、上記と同一の表面形状解析装置を用いて測定した。
この実施例1と同様の工程で、材料中の水素濃度が7.4×1018[分子数/cm]の透光性基板を準備し、この透光性基板の一方の主表面形状を、表面形状解析装置を用いて測定した。次に、この透光性基板の一方の主表面上に、同様の条件でMoSiN膜からなるハーフトーン型位相シフト膜(薄膜)を反応性スパッタリングによって形成した。この薄膜が形成された後の透光性基板に対し、同様の条件で過熱水蒸気処理を行った。そして、過熱水蒸気処理後の薄膜の表面形状を、同様に表面形状解析装置で測定した。この薄膜が形成された透光性基板は、過熱水蒸気処理後の薄膜の表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量が、−0.019[μm]であった。
次に、このハーフトーン型位相シフト膜(薄膜)の上に、クロム系材料からなる遮光膜(透光性基板側から、CrOCN層/CrN層/CrOCN層が積層した構造であり、3層の合計膜厚が48nm。)を形成し、透光性基板上にハーフトーン位相シフト膜と遮光膜が積層したマスクブランクを製造した。続いて、遮光膜上にレジスト膜をスピン塗布法によって形成した。次に、レジスト膜にテストパターンを描画露光し、現像処理等を行い、レジストパターンを形成した。テストパターンが形成されたレジスト膜に対し、パターン位置測定装置(KLA−Tencor社製 LMS IPRO Series)を用いてテストパターンの測定を行った。このレジストパターンをマスクとしたドライエッチングを行い、遮光膜にテストパターンを形成した。
続いて、レジスト膜を剥離し、テストパターンが形成された遮光膜をマスクとしたドライエッチングを行い、ハーフトーン位相シフト膜にテストパターンを形成した。これらの工程により、透光性基板上にテストパターンが形成されたハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜の積層構造を有するパターンテスト用の転写用マスクを作製した。この転写用マスクのテストパターンが形成されたハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に対し、パターン位置測定装置を用いてテストパターンの測定を行った。
そして、パターン位置測定装置で、レジスト膜に形成されたテストパターンとハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、ハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めたところ、最大で1.3nmであった。この位置ずれ量は、ダブルパターニング技術が適用される転写用マスクであっても、十分許容できる範囲内であった。
[実施例2]
実施例2では、材料中の水素濃度が2.0×1017[分子数/cm]である透光性基板を用いた以外は、上記実施例1と同一の条件及び手順により、透光性基板の主表面形状及び薄膜の表面形状の測定を行った。
[比較例1]
比較例1では、薄膜の内部応力を低減するための処理として、薄膜が形成された透光性基板に対して過熱水蒸気処理を行う代わりに、薄膜が形成された透光性基板に対して加熱炉によって450℃の温度で30分間の加熱処理を行った。それ以外は、上記実施例1と同一の条件及び手順により、透光性基板の主表面形状及び薄膜の表面形状の測定を行った。
なお、比較例1において、後述の「(1)加熱処理後の薄膜の表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量」を小さくしようとすると、後述の「(2)加熱処理後の薄膜の表面形状から、薄膜を全面除去した後の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量」が大きくなってしまうことを確認した。
後述の(2)が大きい場合は、パターン位置測定装置で、レジスト膜に形成されたテストパターンとハーフトーン型位相シフト膜と遮光膜に形成されたテストパターンを比較させ、ハーフトーン型位相シフト膜に形成されたテストパターンの位置ずれ量を求めると、位置ずれ量が大きく、ダブルパターニング技術が適用される転写用マスクに関し許容できる範囲外であることを確認した。
[比較例2]
比較例2では、薄膜の内部応力を低減するための処理として、薄膜が形成された透光性基板に対して過熱水蒸気処理を行う代わりに、薄膜が形成された透光性基板に対して加熱炉で450℃で30分間の加熱処理を行った。それ以外は、上記実施例2と同一の条件及び手順により、透光性基板の主表面形状及び薄膜の表面形状の測定を行った。
[参考例1]
参考例1では、材料中の水素濃度が1.0×1017[分子数/cm]である透光性基板を用いた以外は、上記実施例1と同一の条件及び手順により、透光性基板の主表面形状及び薄膜の表面形状の測定を行った。
実施例1、2及び比較例1、2のそれぞれについて、以下の(1)〜(5)の平坦度変化量([μm])を算出した。これらの平坦度変化量は、いずれも142mm四方の内側領域で算出されたものである。なお、平坦度変化量が正の数値の場合は表面形状が凸方向に変化したことを意味し、負の数値の場合は表面形状が凹方向に変化したことを意味する。
(1)過熱水蒸気処理後または加熱処理後の薄膜の表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量
(2)過熱水蒸気処理後または加熱処理後の薄膜の表面形状から、薄膜を全面除去した後の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量
(3)薄膜を全面除去した後の透光性基板の一方の主表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量
(4)過熱水蒸気処理前または加熱処理前の薄膜の表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量
(5)過熱水蒸気処理後または加熱処理後の薄膜の表面形状から、過熱水蒸気処理前または加熱処理前の薄膜の表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量
表1に示す結果を見れば分かる通り、実施例1では、水素含有量が多い基板を用いた場合であっても、薄膜を全面除去した後に露出する透光性基板の一方の主表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量が、0.034μm(過熱水蒸気処理によって表面形状が凸方向に微小変化)となっており、絶対値で100nm以下となっていた。
本発明によれば、上記(1)、(2)、(3)がいずれも小さい(例えば100nm以下)ことを利用した(そのような特性を有する薄膜および基板用い、薄膜の内部応力を低減する所定の処理を行って得られた基板を用いた)マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法を提供できる。
これに対して、比較例1では、水素含有量が多い基板を用いた場合には、薄膜を全面除去した後に露出する透光性基板の一方の主表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量が、0.112μm(加熱処理によって表面形状が凸方向に大幅変化)となっており、絶対値で100nm以下となっていなかった。
実施例2では、水素含有量が少ない基板を用いた場合についても、薄膜を全面除去した後に露出する透光性基板の一方の主表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量が、0.025μm(過熱水蒸気処理によって表面形状が凸方向に微小変化)となっており、絶対値で100nm以下となっていた。
比較例2では、水素含有量が少ない基板を用いた場合については、薄膜を全面除去した後に露出する透光性基板の一方の主表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量が、0.023μm(過熱水蒸気処理によって表面形状が凸方向に微小変化)となっており、絶対値で100nm以下となっていた。
参考例1では、水素含有量がより少ない基板を用いた場合であり、薄膜を全面除去した後に露出する透光性基板の一方の主表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量が、0.021μm(過熱水蒸気処理によって表面形状が凸方向に微小変化)となっており、絶対値で100nm以下となっていた。
(薄膜の耐光性評価)
実施例1、2における過熱水蒸気処理後のハーフトーン型位相シフト膜と、比較例1、2における加熱処理後のハーフトーン型位相シフト膜に対して、ArFエキシマレーザー照射耐性を調べた。
ArFエキシマレーザーの照射条件は、ArFエキシマレーザーの発振周波数:300Hz、1パルス当たりのエネルギー密度:10mJ/cm/pulse、積算露光量:10kJ/cm、とした。
過熱水蒸気処理品(実施例1、2の試料)では、ArFエキシマレーザーを照射した前後において、膜厚変化は殆ど認められず、透過率変化量(レーザー照射前の値に正規化した透過率の変化)は約−5%、位相差変化量(レーザー照射前の値に正規化した位相差の変化)は約−0.25%であった。
加熱処理品(比較例1、2の試料)では、ArFエキシマレーザーを照射した前後において、膜厚変化量は約7nm、透過率変化量は約44.9%、位相差変化量は約−5.3%であった。
(透光性基板の耐光性評価)
実施例1、2および比較例1、2における転写マスク作製後の透光部(透光性基板露出部)と、参考例1における転写マスク作製後の透光部(透光性基板露出部)に対して、ArFエキシマレーザー照射耐性を調べた。
ArFエキシマレーザーの照射条件は、ArFエキシマレーザーの発振周波数:300Hz、1パルス当たりのエネルギー密度:10mJ/cm/pulse、積算露光量:10kJ/cm、とした。
実施例1、2および比較例1、2では、ArFエキシマレーザーを照射した前後において、透光部(透光性基板露出部)におけるArFエキシマレーザー光の透過率変化は殆ど認められなかった。
参考例1では、ArFエキシマレーザーを照射した前後において、透光部(透光性基板露出部)におけるArFエキシマレーザー光の透過率変化の低下が認められた。
透光性基板上に形成された薄膜の内部応力をより正確に特定するには、「(2)加熱処理後または光照射処理後の薄膜の表面形状から、薄膜を全面除去した後の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量」を指標にすることが望ましい。しかし、この平坦度変化量の指標を用いるには、薄膜を剥離しなければならないという問題がある。「(1)加熱処理後または光照射処理後の薄膜の表面形状から、薄膜を形成する前の透光性基板の一方の主表面形状を差し引いて得られる差分形状から算出される平坦度変化量」を薄膜の内部応力を特定する指標とすれば、薄膜を除去する必要がなくなる。
比較例1のマスクブランクは、加熱処理後における基板の主表面形状が大きく変化してしまっていることに起因し、(1)の平坦度変化量と(2)の平坦度変化量との差が大きくなりすぎており、(1)の平坦度変化量は、薄膜の内部応力を特定する指標として適用することはできない。これに対し、実施例1や実施例2のマスクブランクは、過熱水蒸気処理後における基板の主表面形状の変化が小さいことから、(1)の平坦度変化量と(2)の平坦度変化量との差が微小である。このため、実施例1や実施例2のマスクブランクは、薄膜の内部応力を特定する指標として(1)の平坦度変化量を適用しても実用上問題が生じない。
71 主表面
72 側面
73 面取面

Claims (9)

  1. 透光性基板上に薄膜を備えるマスクブランクの製造方法であって、
    前記透光性基板は、水素を含有するガラス材料からなり、対向する1組の主表面を有する透光性基板を準備する工程と、
    前記透光性基板の主表面に、ケイ素又は金属の少なくとも一方を含有する材料からなる前記薄膜を形成する工程と、
    前記薄膜の表面に対して過熱水蒸気を当てることにより前記薄膜の内部応力を低減する過熱水蒸気処理工程とを有する
    ことを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  2. 前記透光性基板は、水素含有量が2.0×1017分子数/cm以上であるガラス材料からなることを特徴とする請求項1記載のマスクブランクの製造方法。
  3. 前記ガラス材料は、合成石英ガラスであることを特徴とする請求項1または2に記載のマスクブランクの製造方法。
  4. 前記過熱水蒸気処理工程後の透光性基板は、前記薄膜の表面形状から前記薄膜を除去した後に露出する前記透光性基板の主表面の表面形状を差し引いて得られる表面形状の差分から算出される所定領域内の平坦度変化量が、絶対値で100nm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  5. 前記過熱水蒸気の温度は、500℃以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  6. 前記薄膜は、薄膜の内部応力が360MPa以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  7. 前記薄膜は、遷移金属とケイ素を含有する材料からなることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  8. 前記薄膜は、モリブデン、ケイ素及び窒素を含有する材料からなり、
    前記薄膜に対してラマン分光分析を行って1000cm−1付近で規格化したときに、250cm−1および500cm−1付近にピークが検出されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の製造方法で製造されたマスクブランクにおける前記薄膜に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
JP2014048489A 2013-03-22 2014-03-12 マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法 Pending JP2014209200A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014048489A JP2014209200A (ja) 2013-03-22 2014-03-12 マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013060153 2013-03-22
JP2013060153 2013-03-22
JP2014048489A JP2014209200A (ja) 2013-03-22 2014-03-12 マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014209200A true JP2014209200A (ja) 2014-11-06

Family

ID=51903437

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014048489A Pending JP2014209200A (ja) 2013-03-22 2014-03-12 マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014209200A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016160128A (ja) * 2015-02-27 2016-09-05 AvanStrate株式会社 ガラス基板の製造方法
WO2018020994A1 (ja) * 2016-07-27 2018-02-01 Hoya株式会社 マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、半導体デバイスの製造方法、マスクブランク用基板、マスクブランク及び転写用マスク
WO2021187189A1 (ja) * 2020-03-19 2021-09-23 Hoya株式会社 マスクブランク、転写用マスク、及び半導体デバイスの製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002154827A (ja) * 2000-11-13 2002-05-28 Shin Etsu Chem Co Ltd 合成石英ガラスの製造方法
JP2003201559A (ja) * 2002-01-10 2003-07-18 Shin Etsu Chem Co Ltd スパッタターゲット、該スパッタターゲットを用いた位相シフトマスクブランク及び位相シフトマスクの製造方法
WO2003080525A1 (fr) * 2002-03-25 2003-10-02 Nikon Corporation Element de verre de quartz synthetique et procede de production de celui-ci
JP2005298330A (ja) * 1998-10-28 2005-10-27 Asahi Glass Co Ltd 合成石英ガラスおよびその製造方法
JP2009104174A (ja) * 2000-09-12 2009-05-14 Hoya Corp 位相シフトマスクブランクの製造方法、位相シフトマスクの製造方法、及びパターン転写方法
US20110287346A1 (en) * 2010-05-19 2011-11-24 Hoya Corporation Mask blank manufacturing method, transfer mask manufacturing method, mask blank, and transfer mask
JP2012141583A (ja) * 2010-12-17 2012-07-26 Hoya Corp マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法、及び半導体デバイスの製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005298330A (ja) * 1998-10-28 2005-10-27 Asahi Glass Co Ltd 合成石英ガラスおよびその製造方法
JP2009104174A (ja) * 2000-09-12 2009-05-14 Hoya Corp 位相シフトマスクブランクの製造方法、位相シフトマスクの製造方法、及びパターン転写方法
JP2002154827A (ja) * 2000-11-13 2002-05-28 Shin Etsu Chem Co Ltd 合成石英ガラスの製造方法
JP2003201559A (ja) * 2002-01-10 2003-07-18 Shin Etsu Chem Co Ltd スパッタターゲット、該スパッタターゲットを用いた位相シフトマスクブランク及び位相シフトマスクの製造方法
WO2003080525A1 (fr) * 2002-03-25 2003-10-02 Nikon Corporation Element de verre de quartz synthetique et procede de production de celui-ci
US20110287346A1 (en) * 2010-05-19 2011-11-24 Hoya Corporation Mask blank manufacturing method, transfer mask manufacturing method, mask blank, and transfer mask
JP2012003255A (ja) * 2010-05-19 2012-01-05 Hoya Corp マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法、並びにマスクブランク及び転写用マスク
JP2012141583A (ja) * 2010-12-17 2012-07-26 Hoya Corp マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法、及び半導体デバイスの製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016160128A (ja) * 2015-02-27 2016-09-05 AvanStrate株式会社 ガラス基板の製造方法
WO2018020994A1 (ja) * 2016-07-27 2018-02-01 Hoya株式会社 マスクブランク用基板の製造方法、マスクブランクの製造方法、転写用マスクの製造方法、半導体デバイスの製造方法、マスクブランク用基板、マスクブランク及び転写用マスク
JP2018106186A (ja) * 2016-07-27 2018-07-05 Hoya株式会社 マスクブランク用基板、マスクブランク、転写用マスク及び半導体デバイスの製造方法
CN109463000A (zh) * 2016-07-27 2019-03-12 Hoya株式会社 掩模坯料用基板的制造方法、掩模坯料的制造方法、转印用掩模的制造方法、半导体器件的制造方法、掩模坯料用基板、掩模坯料及转印用掩模
US10983427B2 (en) 2016-07-27 2021-04-20 Hoya Corporation Method for manufacturing a mask blank substrate, method for manufacturing a mask blank, method for manufacturing a transfer mask, method for manufacturing a semiconductor device, a mask blank substrate, a mask blank, and a transfer mask
WO2021187189A1 (ja) * 2020-03-19 2021-09-23 Hoya株式会社 マスクブランク、転写用マスク、及び半導体デバイスの製造方法
JP7354032B2 (ja) 2020-03-19 2023-10-02 Hoya株式会社 マスクブランク、転写用マスク、及び半導体デバイスの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5762819B2 (ja) マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法、並びにマスクブランク及び転写用マスク
JP6482608B2 (ja) マスクブランクおよび転写用マスク
JP6371221B2 (ja) マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法
JP4462423B2 (ja) フォトマスクブランクの製造方法
JP6767551B2 (ja) マスクブランク、及びインプリントモールドの製造方法
JP7062573B2 (ja) マスクブランク、位相シフトマスク、及び半導体デバイスの製造方法
JP2014209200A (ja) マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法
TWI784139B (zh) 遮罩基底、相位轉移遮罩及半導體元件之製造方法
JP5356784B2 (ja) フォトマスクブランクの製造方法及びフォトマスクの製造方法
JP4371230B2 (ja) フォトマスクブランクの製造方法
JP6964115B2 (ja) マスクブランク、転写用マスク、及び半導体デバイスの製造方法
TWI827878B (zh) 光罩基底、相偏移光罩及半導體裝置之製造方法
JP6153820B2 (ja) マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法
JP6336792B2 (ja) マスクブランクの製造方法および転写用マスクの製造方法
US20230142180A1 (en) Mask blank, transfer mask, and method of manufacturing semiconductor device
TW557409B (en) Photomask and method for manufacturing the same

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171206

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180530