以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る遊技台(例えば、パチンコ機100等の弾球遊技機やスロット機等の回胴遊技機)について詳細に説明する。
<全体構成>
まず、図1を用いて、本発明の実施形態1に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。
パチンコ機100は、外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、球貯留皿付扉108と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備える。
外枠102は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備等)へと固定させるための縦長方形状から成る木製の枠部材である。
本体104は、外枠102の内部に備えられ、ヒンジ部112を介して外枠102に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。また、本体104は、枠状に形成され、内側に空間部114を有している。
前面枠扉106は、ロック機能付きで且つ開閉自在となるようにパチンコ機100の前面側となる本体104の前面に対しヒンジ部112を介して装着され、枠状に構成されることでその内側を開口部116とした扉部材である。なお、この前面枠扉106には、開口部116にガラス製又は樹脂製の透明板部材118が設けられ、前面側には、スピーカ120や枠ランプ122が取り付けられている。前面枠扉106の後面と遊技盤200の前面とで遊技領域124を区画形成する。
球貯留皿付扉108は、パチンコ機100の前面において本体104の下側に対して、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。球貯留皿付扉108は、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能で且つ発射装置110へと遊技球を案内させる通路が設けられている上皿126と、上皿126に貯留しきれない遊技球を貯留する下皿128と、遊技者の操作によって上皿126に貯留された遊技球を下皿128へと排出させる球抜ボタン130と、遊技者の操作によって下皿128に貯留された遊技球を不図示の遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させる球排出レバー132と、遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す球発射ハンドル134と、遊技者の操作によって各種演出装置206(図3参照)の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、遊技店に設置された不図示のカードユニット(CRユニット)に対して球貸し指示を行う球貸操作ボタン140と、カードユニットに対して遊技者の残高の返却指示を行う返却操作ボタン142と、遊技者の残高やカードユニットの状態を表示する球貸表示部144と、を備える。
発射装置110は、本体104の下方に取り付けられ、球発射ハンドル134が遊技者に操作されることによって回動する発射杆146と、遊技球を発射杆146の先端で打突する発射槌148と、を備える。
遊技盤200は、前面に遊技領域124を有し、本体104の空間部114に臨むように、所定の固定部材を用いて本体104に着脱自在に装着されている。なお、遊技領域124は、遊技盤200を本体104に装着した後、開口部116から観察することができる。
図2は、図1のパチンコ機100を背面側から見た外観図である。
パチンコ機100の背面上部には、上方に開口した開口部を有し、遊技球を一時的に貯留するための球タンク150と、この球タンク150の下方に位置し、球タンク150の底部に形成した連通孔を通過して落下する球を背面右側に位置する払出装置152に導くためのタンクレール154とを配設している。
払出装置152は、筒状の部材からなり、その内部には、不図示の払出モータとスプロケットと払出センサとを備えている。
スプロケットは、払出モータによって回転可能に構成されており、タンクレール154を通過して払出装置152内に流下した遊技球を一時的に滞留させると共に、払出モータを駆動して所定角度だけ回転することにより、一時的に滞留した遊技球を払出装置152の下方へ1個ずつ送り出すように構成している。
払出センサは、スプロケットが送り出した遊技球の通過を検知するためのセンサであり、遊技球が通過しているときにハイまたはローの何れか一方の信号を、遊技球が通過していないときはハイまたはローの何れか他方の信号を不図示の払出制御部600へ出力する。なお、この払出センサを通過した遊技球は、不図示の球レールを通過してパチンコ機100の表側に配設した上皿126に到達するように構成しており、パチンコ機100は、この構成により遊技者に対して球の払い出しを行う。
払出装置152の図中左側には、遊技全般の制御処理を行う主制御部300を構成する主基板156を収納する主基板ケース158、主制御部300が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第1副制御部400を構成する第1副基板160を収納する第1副基板ケース162、第1副制御部400が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第2副制御部500を構成する第2副基板164を収納する第2副基板ケース166、遊技球の払出に関する制御処理を行う払出制御部600を構成するとともに遊技店員の操作によってエラーを解除するエラー解除スイッチ168を備える払出基板170を収納する払出基板ケース172、遊技球の発射に関する制御処理を行う発射制御部630を構成する発射基板174を収納する発射基板ケース176、各種電気的遊技機器に電源を供給する電源管理部660を構成するとともに遊技店員の操作によって電源をオンオフする電源スイッチ178と電源投入時に操作されることによってRAMクリア信号を主制御部300に出力するRAMクリアスイッチ180とを備える電源基板182を収納する電源基板ケース184、および、払出制御部600とカードユニットとの信号の送受信を行うCRインタフェース部186を配設している。
図3は、遊技盤200を正面から見た略示正面図である。
遊技盤200には、外レール202と内レール204とを配設し、遊技球が転動可能な遊技領域124を区画形成している。
遊技領域124の略中央には、演出装置206を配設している。この演出装置206には、略中央に装飾図柄表示装置208を配設し、装飾図柄表示装置208の下部に、普通図柄表示装置210と、第1特別図柄表示装置212と、第2特別図柄表示装置214と、普通図柄保留ランプ216と、第1特別図柄保留ランプ218と、第2特別図柄保留ランプ220と、高確中ランプ222と、を配設し、装飾図柄表示装置208の右側に演出可動体224を配設している。なお、以下、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」と称する場合がある。
装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置であり、本実施例では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。この装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域208a、208b、208c、208dの位置や大きさは、装飾図柄表示装置208の表示画面内で自由に変更することを可能としている。なお、装飾図柄表示装置208として液晶表示装置を採用しているが、液晶表示装置でなくとも、種々の演出や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、リール(ドラム)式表示装置、リーフ式表示装置、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含む他の表示デバイスを採用してもよい。
普図表示装置210は、普図の表示を行うための表示装置であり、本実施例では7セグメントLEDによって構成する。第1特図表示装置212および第2特図表示装置214は、特図の表示を行うための表示装置であり、本実施例では7セグメントLEDによって構成する。
普図保留ランプ216は、保留している普図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施例では、普図変動遊技を所定数(例えば、2つ)まで保留することを可能としている。第1特図保留ランプ218および第2特図保留ランプ220は、保留している特図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施例では、特図変動遊技を所定数(例えば、4つ)まで保留することを可能としている。高確中ランプ222は、遊技状態が大当りが発生し易い高確率状態であること、または高確率状態になることを示すためのランプであり、遊技状態を大当りが発生し難い低確率状態から高確率状態にする場合に点灯し、高確率状態から低確率状態にする場合に消灯する。
また、この演出装置206の周囲には、一般入賞口226と、普図始動口228と、第1特図始動口230と、第2特図始動口232と、可変入賞口234と、を配設している。
一般入賞口226は、本実施例では遊技盤200に複数配設しており、この一般入賞口226への入球を所定の球検出センサ(図示省略)が検出した場合(一般入賞口226に入賞した場合)、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、10個)の球を賞球として上皿126に排出する。上皿126に排出した球は遊技者が自由に取り出すことが可能であり、これらの構成により、入賞に基づいて賞球を遊技者に払い出すようにしている。
なお、一般入賞口226に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。本実施例では、入賞の対価として遊技者に払い出す球を「賞球」、遊技者に貸し出す球を「貸球」と区別して呼ぶ場合があり、「賞球」と「貸球」を総称して「球(遊技球)」と呼ぶ。
普図始動口228は、ゲートやスルーチャッカーと呼ばれる、遊技領域124の所定の領域を球が通過したか否かを判定するための装置で構成しており、本実施例では遊技盤200の左側に1つ配設している。普図始動口228を通過した球は一般入賞口226に入球した球と違って、遊技島側に排出することはない。球が普図始動口228を通過したことを所定の玉検出センサが検出した場合、パチンコ機100は、普図表示装置210による普図変動遊技を開始する。
第1特図始動口230は、本実施例では遊技盤200の中央に1つだけ配設している。この第1特図始動口230への入球を所定の球検出センサが検出した場合、後述する払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、3個)の球を賞球として上皿126に排出するとともに、第1特図表示装置212による特図変動遊技を開始する。なお、第1特図始動口230に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
第2特図始動口232は、電動チューリップ(電チュー)と呼ばれ、本実施例では第1特図始動口230の真下に1つだけ配設している。この第2特図始動口232は、左右に開閉自在な羽根232aを備え、羽根232aの閉鎖中は球の入球が不可能であり、普図変動遊技に当選し、普図表示装置210が当たり図柄を停止表示した場合に羽根232aが所定の時間間隔、所定の回数で開閉する。第2特図始動口232への入球を所定の球検出センサが検出した場合、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、4個)の球を賞球として上皿126に排出するとともに、第2特図表示装置214による特図変動遊技を開始する。なお、第2特図始動口232に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
可変入賞口234は、大入賞口またはアタッカーと呼ばれ、本実施例では遊技盤200の中央部下方に1つだけ配設している。この可変入賞口234は、開閉自在な扉部材234aを備え、扉部材234aの閉鎖中は球の入球が不可能であり、特図変動遊技に当選して特図表示装置212、214が大当たり図柄を停止表示した場合に扉部材234aが所定の時間間隔(例えば、開放時間29秒、閉鎖時間1.5秒)、所定の回数(例えば15回)で開閉する。
可変入賞口234への入球を所定の球検出センサが検出した場合、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、15個)の球を賞球として上皿126に排出する。なお、可変入賞口234に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
さらに、これらの入賞口や始動口の近傍には、風車と呼ばれる円盤状の打球方向変換部材236や、遊技釘238を複数個、配設していると共に、内レール204の最下部には、いずれの入賞口や始動口にも入賞しなかった球をパチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出するためのアウト口240を設けている。
このパチンコ機100は、遊技者が上皿126に貯留している球を発射レールの発射位置に供給し、遊技者の球発射ハンドル134の操作量に応じた強度で発射モータを駆動し、発射杆146および発射槌148によって外レール202、内レール204を通過させて遊技領域124に打ち出す。そして、遊技領域124の上部に到達した球は、打球方向変換部材236や遊技釘238等によって進行方向を変えながら下方に落下し、入賞口(一般入賞口226、可変入賞口234)や始動口(第1特図始動口230、第2特図始動口232)に入賞するか、いずれの入賞口や始動口にも入賞することなく、または普図始動口228を通過するのみでアウト口240に到達する。
<演出装置206>
次に、パチンコ機100の演出装置206について説明する。演出装置206は、第1副制御部400や第2副制御部500により駆動制御される。
この演出装置206の前面側には、遊技球の転動可能な領域にワープ装置242およびステージ244を配設し、遊技球の転動不可能な領域に演出可動体224を配設している。また、演出装置206の背面側には、装飾図柄表示装置208および遮蔽装置246(以下、扉と称する場合がある)を配設している。すなわち、演出装置206において、装飾図柄表示装置208および遮蔽装置246は、ワープ装置242、ステージ244、および演出可動体224の後方に位置することとなる。
ワープ装置242は、演出装置206の左上方に設けたワープ入口242aに入った遊技球を演出装置206の前面下方のステージ244にワープ出口242bから排出する。
ステージ244は、ワープ出口242bから排出された球や、遊技盤200の遊技釘238などによって乗り上げた球などが転動可能であり、ステージ244の中央部には、通過した球が第1特図始動口230へ入球し易くなるスペシャルルート244aを設けている。
演出可動体224は、本実施例では人間の右腕の上腕と前腕を模した上腕部224aと前腕部224bとからなり、肩の位置に上腕部224aを回動させる不図示の上腕モータと肘の位置に前腕部224bを回動させる不図示の前腕モータを備える。演出可動体224は、上腕モータと前腕モータによって装飾図柄表示装置208の前方を移動する。
遮蔽装置246は、格子状の左扉246aおよび右扉246bからなり、装飾図柄表示装置208および前面ステージ244の間に配設する。左扉246aおよび右扉246bの上部には、不図示の2つのプーリに巻き回したベルトをそれぞれ固定している。すなわち、左扉246aおよび右扉246bは、モータによりプーリを介して駆動するベルトの動作に伴って左右にそれぞれ移動する。
遮蔽装置246は、左扉246aおよび右扉246bを閉じた状態ではそれぞれの内側端部が重なり、遊技者が装飾図柄表示装置208を視認し難いように遮蔽する。左扉246aおよび右扉246bを開いた状態ではそれぞれの内側端部が装飾図柄表示装置208の表示画面の外側端部と若干重なるが、遊技者は装飾図柄表示装置208の表示の全てを視認可能である。また、左扉246aおよび右扉246bは、それぞれ任意の位置で停止可能であり、例えば、表示した装飾図柄がどの装飾図柄であるかを遊技者が識別可能な程度に、装飾図柄の一部だけを遮蔽するようなことができる。
なお、左扉246aおよび右扉246bは、格子の孔から後方の装飾図柄表示装置208の一部を視認可能にしてもよいし、格子の孔の障子部分を半透明のレンズ体で塞ぎ、後方の装飾図柄表示装置208による表示を漠然と遊技者に視認させるようにしてもよいし、格子の孔の障子部分を完全に塞ぎ(遮蔽し)、後方の装飾図柄表示装置208を全く視認不可にしてもよい。
<制御部>
次に、図4を用いて、このパチンコ機100の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。
パチンコ機100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、主制御部300が送信するコマンドに応じて主に遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部600と、遊技球の発射制御を行う発射制御部630と、パチンコ機100に供給される電源を制御する電源管理部660と、によって構成している。
<主制御部>
まず、パチンコ機100の主制御部300について説明する。
主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、この基本回路302には、CPU304と、制御プログラムや各種データを記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312と、プログラム処理の異常を監視するWDT314を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400についても同様である。この基本回路302のCPU304は、水晶発振器316bが出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。
また、基本回路302には、水晶発振器316aが出力するクロック信号を受信する度に0〜65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用しているカウンタ回路318(この回路には2つのカウンタを内蔵しているものとする)と、所定の球検出センサ、例えば各始動口、入賞口、可変入賞口を通過する遊技球を検出するセンサや、前面枠扉開放センサや内枠開放センサや下皿満タンセンサを含む各種センサ320が出力する信号を受信し、増幅結果や基準電圧との比較結果をカウンタ回路318および基本回路302に出力するためのセンサ回路322と、所定の図柄表示装置、例えば第1特図表示装置212や第2特図表示装置214の表示制御を行うための駆動回路324と、所定の図柄表示装置、例えば普図表示装置210の表示制御を行うための駆動回路326と、各種状態表示部328(例えば、普図保留ランプ216、第1特図保留ランプ218、第2特図保留ランプ220、高確中ランプ222等)の表示制御を行うための駆動回路330と、所定の可動部材、例えば第2特図始動口232の羽根部材232aや可変入賞口234の扉部材234a等を開閉駆動する各種ソレノイド332を制御するための駆動回路334を接続している。
なお、第1特図始動口230に球が入賞したことを球検出センサ320が検出した場合には、センサ回路322は球を検出したことを示す信号をカウンタ回路318に出力する。この信号を受信したカウンタ回路318は、第1特図始動口230に対応するカウンタのそのタイミングにおける値をラッチし、ラッチした値を、第1特図始動口230に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶する。また、カウンタ回路318は、第2特図始動口232に球が入賞したことを示す信号を受信した場合も同様に、第2特図始動口232に対応するカウンタのそのタイミングにおける値をラッチし、ラッチした値を、第2特図始動口232に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶する。
さらに、基本回路302には、情報出力回路336を接続しており、主制御部300は、この情報出力回路336を介して、外部のホールコンピュータ(図示省略)等が備える情報入力回路350にパチンコ機100の遊技情報(例えば、遊技状態)を出力する。
また、主制御部300には、電源管理部660から主制御部300に供給している電源の電圧値を監視する電圧監視回路338を設けており、この電圧監視回路338は、電源の電圧値が所定の値(本実施例では9v)未満である場合に電圧が低下したことを示す低電圧信号を基本回路302に出力する。
また、主制御部300には、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路(リセット信号出力回路)340を設けており、CPU304は、この起動信号出力回路340から起動信号を入力した場合に、遊技制御を開始する(後述する主制御部メイン処理を開始する)。
また、主制御部300は、第1副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースと、払出制御部600にコマンドを送信するための出力インタフェースをそれぞれ備えており、この構成により、第1副制御部400および払出制御部600との通信を可能としている。なお、主制御部300と第1副制御部400および払出制御部600との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は第1副制御部400および払出制御部600にコマンド等の信号を送信できるように構成しているが、第1副制御部400および払出制御部600からは主制御部300にコマンド等の信号を送信できないように構成している。
<副制御部>
次に、パチンコ機100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402には、CPU404と、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412と、プログラム処理の異常を監視するWDT414を搭載している。この基本回路402のCPU404は、水晶発振器415が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。なお、ROM406は、制御プログラムと各種演出データとを別々のROMに記憶させてもよい。
また、基本回路402には、スピーカ120(およびアンプ)の制御を行うための音源IC416と、各種ランプ418(例えば、チャンスボタンランプ138)の制御を行うための駆動回路420と、遮蔽装置246の駆動制御を行うための駆動回路432と、遮蔽装置246の現在位置を検出する遮蔽装置センサ430やチャンスボタン136の押下を検出するチャンスボタン検出センサ426からの検出信号を基本回路402に出力するセンサ回路428と、CPU404からの信号に基づいてROM406に記憶された画像データ等を読み出してVRAM436のワークエリアを使用して表示画像を生成して装飾図柄表示装置208に画像を表示するVDP(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサー)434と、を接続している。
次に、パチンコ機100の第2副制御部500について説明する。第2副制御部500は、第1副制御部400が送信した制御コマンドを入力インタフェースを介して受信し、この制御コマンドに基づいて第2副制御部500の全体を制御する基本回路502を備えており、この基本回路502は、CPU504と、一時的にデータを記憶するためのRAM508と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O510と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ512を搭載している。基本回路502のCPU504は、水晶発振器514が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。また、第2副制御部500には、第2副制御部500の全体を制御するための制御プログラム及びデータ、画像表示用のデータ等が記憶されたROM506が設けられている。
また、基本回路502には、演出可動体224の駆動制御を行うための駆動回路516と、演出可動体224の現在位置を検出する演出可動体センサ424からの検出信号を基本回路502に出力するセンサ回路518と、遊技盤用ランプ532の制御を行うための遊技盤用ランプ駆動回路530と、遊技台枠用ランプ542の制御を行うための遊技台枠用ランプ駆動回路540と、遊技盤用ランプ駆動回路530と遊技台枠用ランプ駆動回路540との間でシリアル通信による点灯制御を行うシリアル通信制御回路520と、を接続している。
<払出制御部、発射制御部、電源管理部>
次に、パチンコ機100の払出制御部600、発射制御部630、電源管理部660について説明する。
払出制御部600は、主に主制御部300が送信したコマンド等の信号に基づいて払出装置152の払出モータ602を制御すると共に、払出センサ604が出力する制御信号に基づいて賞球または貸球の払い出しが完了したか否かを検出すると共に、インタフェース部606を介して、パチンコ機100とは別体で設けられたカードユニット608との通信を行う。
発射制御部630は、払出制御部600が出力する、発射許可または停止を指示する制御信号や、球発射ハンドル134内に設けた発射強度出力回路が出力する、遊技者による球発射ハンドル134の操作量に応じた発射強度を指示する制御信号に基づいて、発射杆146および発射槌148を駆動する発射モータ632の制御や、上皿126から発射装置110に球を供給する球送り装置634の制御を行う。
電源管理部660は、パチンコ機100に外部から供給される交流電源を直流化し、所定の電圧に変換して主制御部300、第1副制御部400等の各制御部や払出装置152等の各装置に供給する。さらに、電源管理部660は、外部からの電源が断たれた後も所定の部品(例えば主制御部300のRAM308等)に所定の期間(例えば10日間)電源を供給するための蓄電回路(例えば、コンデンサ)を備えている。なお、本実施形態では、電源管理部660から払出制御部600と第2副制御部500に所定電圧を供給し、払出制御部600から主制御部300と第2副制御部500と発射制御部630に所定電圧を供給しているが、各制御部や各装置に他の電源経路で所定電圧を供給してもよい。
<図柄の種類>
次に、図5(a)〜(c)を用いて、パチンコ機100の第1特別図柄表示装置212、第2特別図柄表示装置214、装飾図柄表示装置208、普通図柄表示装置210が停止表示する特図および普図の種類について説明する。
図5(a)は特図の停止図柄態様の一例を示したものである。
第1特図始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され、第2特図始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として特図2変動遊技が開始される。
特図1変動遊技が開始されると、第1特別図柄表示装置212は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図1の変動表示」を行う。また、特図2変動遊技が開始されると、第2特別図柄表示装置214は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図2の変動表示」を行う。これらの「特図1の変動表示」および「特図2の変動表示」が本発明にいう図柄の変動表示の一例に相当する。
そして、特図1の変動開始前に決定した変動時間(本発明にいう変動時間が相当)が経過すると、第1特別図柄表示装置212は特図1の停止図柄態様を停止表示し、特図2の変動開始前に決定した変動時間(これも本発明にいう変動時間が相当)が経過すると、第2特別図柄表示装置214は特図2の停止図柄態様を停止表示する。
したがって、「特図1の変動表示」を開始してから特図1の停止図柄態様を停止表示するまで、あるいは「特図2の変動表示」を開始してから特図2の停止図柄態様を停止表示するまでが本発明にいう図柄変動停止表示の一例に相当し、以下、この「特図1又は2の変動表示」を開始してから特図1又は2の停止図柄態様を停止表示するまでの一連の表示を図柄変動停止表示と称する。後述するように、図柄変動停止表示は複数回、連続して行われることがある。
図5(a)には、図柄変動停止表示における停止図柄態様として「特図A」から「特図J」までの10種類の特図が示されている。図5(a)においては、図中の白抜きの部分が消灯するセグメントの場所を示し、黒塗りの部分が点灯するセグメントの場所を示している。
「特図A」は15ラウンド(15R)特別大当たり図柄であり、「特図B」は15R大当たり図柄である。本実施形態のパチンコ機100では、後述するように、特図変動遊技における大当りか否かの決定はハードウェア乱数の抽選によって行い、特別大当りか否かの決定はソフトウェア乱数の抽選によって行う。大当りと特別大当りの違いは、次回の特図変動遊技で、大当りに当選する確率が高い(特別大当り)か、低い(大当り)かの違いである。以下、この大当りに当選する確率が高い状態のことを特図高確率状態と称し、その確率が低い状態のことを特図低確率状態と称する。また、15R特別大当たり遊技終了後および15R大当たり遊技終了後はいずれも時短状態に移行する。時短については詳しくは後述するが、時短状態に移行する状態のことを普図高確率状態と称し、時短状態に移行しない状態のことを普図低確率状態と称する。15R特別大当たり図柄である「特図A」は、特図高確率普図高確率状態であり、15R大当たり図柄である「特図B」は、特図低確率普図高確率状態である。これらの「特図A」および「特図B」は、遊技者に付与する利益量が相対的に大きな利益量になる図柄である。
「特図C」は突然確変と称される2R大当たり図柄であり、特図高確率普図高確率状態である。すなわち、15Rである「特図A」と比べて、「特図C」は2Rである点が異なる。「特図D」は突然時短と称される2R大当たり図柄であり、特図低確率普図高確率状態である。すなわち、15Rである「特図B」と比べて、「特図D」は2Rである点が異なる。
「特図E」は隠れ確変と称される2R大当たり図柄であり、特図高確率普図低確率状態である。「特図F」は突然通常と称される2R大当たり図柄であり、特図低確率普図低確率状態である。これら「特図E」および「特図F」はいずれも、2Rであるとともに、時短状態に移行しない状態である。
「特図G」は第1小当たり図柄であり、「特図H」は第2小当たり図柄であり、何れも特図低確率普図低確率状態である。ここにいう小当たりは、2R時短無し大当たりと同じものに相当する。すなわち、この「特図G」、「特図H」は「特図F」と同じ状態であるが、両者では装飾図柄表示装置208に表示される演出が異なり、あえて、同じ状態でも「特図G」、「特図H」と「特図F」を設けておくことで、遊技の興趣を高めている。
また、「特図I」は第1はずれ図柄であり、「特図J」は第2はずれ図柄であり、遊技者に付与する利益量が相対的に小さな利益量になる図柄である。
なお、本実施形態のパチンコ機100には、15R特別大当たり図柄として「特図A」以外の図柄も用意されており、15R大当たり図柄等の他の図柄についても同様である。
図5(b)は装飾図柄の一例を示したものである。本実施形態の装飾図柄には、「装飾1」〜「装飾10」の10種類がある。第1特図始動口230または第2特図始動口232に球が入賞したこと、すなわち、第1特図始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したこと、あるいは第2特図始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件にして、装飾図柄表示装置208の左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、「装飾1」→「装飾2」→「装飾3」→・・・・「装飾9」→「装飾10」→「装飾1」→・・・の順番で表示を切り替える「装飾図柄の変動表示」を行う。
そして、「特図B」の15R大当たりを報知する場合には、図柄表示領域208a〜208cに15R大当たりに対応する、同じ装飾図柄が3つ並んだ図柄組合せ(例えば「装飾1−装飾1−装飾1」や「装飾2−装飾2−装飾2」等)を停止表示する。「特図A」の15R特別大当たりを報知する場合には、同じ奇数の装飾図柄が3つ並んだ図柄組合せ(例えば「装飾3−装飾3−装飾3」や「装飾7−装飾7−装飾7」等)を停止表示する。
また、「特図E」の隠れ確変と称される2R大当たり、「特図F」の突然通常と称される2R大当たり、あるいは「特図G」の第1小当たり、「特図H」の第2小当たりを報知する場合には、「装飾1−装飾2−装飾3」を停止表示する。さらに、「特図C」の突然確変と称される2R大当たり、あるいは「特図D」の突然時短と称される2R大当たりを報知する場合には、「装飾1−装飾3−装飾5」を停止表示する。
一方、「特図I」の第1はずれ、「特図J」の第2はずれを報知する場合には、図柄表示領域208a〜208cに図5(b)に示す図柄組合せ以外の図柄組合せを停止表示する。
図5(c)は普図の停止表示図柄の一例を示したものである。本実施形態の普図の停止表示態様には、当たり図柄である「普図A」と、外れ図柄である「普図B」の2種類がある。普図始動口228を球が通過したことを上述のゲートセンサが検出したことに基づいて、普通図柄表示装置210は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「普図の変動表示」を行う。そして、普図変動遊技の当選を報知する場合には「普図A」を停止表示し、普図変動遊技の外れを報知する場合には「普図B」を停止表示する。この図5(c)においても、図中の白抜きの部分が消灯するセグメントの場所を示し、黒塗りの部分が点灯するセグメントの場所を示している。
<主制御部メイン処理>
次に、図6を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部メイン処理について説明する。なお、同図は主制御部メイン処理の流れを示すフローチャートである。
上述したように、主制御部300には、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路(リセット信号出力回路)340を設けている。この起動信号を入力した基本回路302のCPU304は、リセット割込によりリセットスタートしてROM306に予め記憶している制御プログラムに従って図6に示す主制御部メイン処理を実行する。
ステップ1001では、初期設定1を行う。この初期設定1では、CPU304のスタックポインタ(SP)へのスタック初期値の設定(仮設定)、割込マスクの設定、I/O310の初期設定、RAM308に記憶する各種変数の初期設定、WDT314への動作許可及び初期値の設定等を行う。なお、本実施形態では、WDT314に、初期値として32.8msに相当する数値を設定する。
ステップ1003では、WDT314のカウンタの値をクリアし、WDT314による時間計測を再始動する。
ステップ1005では、低電圧信号がオンであるか否か、すなわち、電圧監視回路338が、電源管理部660から主制御部300に供給している電源の電圧値が所定の値(本実施形態では9v)未満である場合に電圧が低下したことを示す低電圧信号を出力しているか否かを監視する。そして、低電圧信号がオンの場合(CPU304が電源の遮断を検知した場合)にはステップ1003に戻り、低電圧信号がオフの場合(CPU304が電源の遮断を検知していない場合)にはステップ1007に進む。なお、電源が投入された直後で未だ上記所定の値(9V)に達しない場合にもステップ1003に戻り、供給電圧がその所定の値以上になるまで、ステップ1005は繰り返し実行される。
ステップ1007では、初期設定2を行う。この初期設定2では、後述する主制御部タイマ割込処理を定期毎に実行するための周期を決める数値をカウンタタイマ312に設定する処理、I/O310の所定のポート(例えば試験用出力ポート、第1副制御部400への出力ポート)からクリア信号を出力する処理、RAM308への書き込みを許可する設定等を行う。
ステップ1009では、電源の遮断前(電断前)の状態に復帰するか否かの判定を行い、電断前の状態に復帰しない場合(主制御部300の基本回路302を初期状態にする場合)には初期化処理(ステップ1013)に進む。
具体的には、最初に、電源基板に設けたRAMクリアスイッチ180を遊技店の店員などが操作した場合に送信されるRAMクリア信号がオン(操作があったことを示す)であるか否か、すなわちRAMクリアが必要であるか否かを判定し、RAMクリア信号がオンの場合(RAMクリアが必要な場合)には、基本回路302を初期状態にすべくステップ1013に進む。一方、RAMクリア信号がオフの場合(RAMクリアが必要でない場合)には、RAM308に設けた電源ステータス記憶領域に記憶した電源ステータスの情報を読み出し、この電源ステータスの情報がサスペンドを示す情報であるか否かを判定する。そして、電源ステータスの情報がサスペンドを示す情報でない場合には、基本回路302を初期状態にすべくステップ1013に進み、電源ステータスの情報がサスペンドを示す情報である場合には、RAM308の所定の領域(例えば全ての領域)に記憶している1バイトデータを初期値が0である1バイト構成のレジスタに全て加算することによりチェックサムを算出し、算出したチェックサムの結果が特定の値(例えば0)であるか否か(チェックサムの結果が正常であるか否か)を判定する。そして、チェックサムの結果が特定の値(例えば0)の場合(チェックサムの結果が正常である場合)には電断前の状態に復帰すべくステップ1011に進み、チェックサムの結果が特定の値(例えば0)以外である場合(チェックサムの結果が異常である場合)には、パチンコ機100を初期状態にすべくステップ1013に進む。同様に電源ステータスの情報が「サスペンド」以外の情報を示している場合にもステップ1013に進む。
ステップ1011では、復電時処理を行う。この復電時処理では、電断時にRAM308に設けられたスタックポインタ退避領域に記憶しておいたスタックポインタの値を読み出し、スタックポインタに再設定(本設定)する。また、電断時にRAM308に設けられたレジスタ退避領域に記憶しておいた各レジスタの値を読み出し、各レジスタに再設定した後、割込許可の設定を行う。以降、CPU304が、再設定後のスタックポインタやレジスタに基づいて制御プログラムを実行する結果、パチンコ機100は電源断時の状態に復帰する。すなわち、電断直前にタイマ割込処理(後述)に分岐する直前に行った(ステップ1015内の所定の)命令の次の命令から処理を再開する。また、図4に示す主制御部300における基本回路302に搭載されているRAM308には、送信情報記憶領域が設けられている。このステップ1011では、その送信情報記憶領域に、復電コマンドをセットする。この復電コマンドは、電源断時の状態に復帰したことを表すコマンドであり、後述する、主制御部300のタイマ割込処理におけるステップ2033において、第1副制御部400へ送信される。
ステップ1013では、初期化処理を行う。この初期化処理では、割込禁止の設定、スタックポインタへのスタック初期値の設定(本設定)、RAM308の全ての記憶領域の初期化などを行う。さらにここで、主制御部300のRAM308に設けられた送信情報記憶領域に正常復帰コマンドをセットする。この正常復帰コマンドは、主制御部300の初期化処理(ステップ1013)が行われたことを表すコマンドであり、復電コマンドと同じく、主制御部300のタイマ割込処理におけるステップ2033において、第1副制御部400へ送信される。
ステップ1015では、割込禁止の設定を行った後、基本乱数初期値更新処理を行う。この基本乱数初期値更新処理では、普図当選乱数カウンタ、および特図乱数値カウンタの初期値をそれぞれ生成するための2つの初期値生成用乱数カウンタと、普図タイマ乱数値、および特図タイマ乱数値それぞれを生成するための2つの乱数カウンタを更新する。例えば、普図タイマ乱数値として取り得る数値範囲が0〜100とすると、RAM308に設けた普図タイマ乱数値を生成するための乱数カウンタ記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元の乱数カウンタ記憶領域に記憶する。このとき、取得した値に1を加算した結果が101であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に記憶する。他の初期値生成用乱数カウンタ、乱数カウンタもそれぞれ同様に更新する。なお、初期値生成用乱数カウンタは、後述するステップ2007でも更新する。
主制御部300は、所定の周期ごとに開始するタイマ割込処理を行っている間を除いて、ステップ1015の処理を繰り返し実行する。
<主制御部タイマ割込処理>
次に、図7を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する。なお、同図は主制御部タイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。
主制御部300は、所定の周期(本実施形態では約2msに1回)でタイマ割込信号を発生するカウンタタイマ312を備えており、このタイマ割込信号を契機として主制御部タイマ割込処理を所定の周期で開始する。
ステップ2001では、タイマ割込開始処理を行う。このタイマ割込開始処理では、CPU304の各レジスタの値をスタック領域に一時的に退避する処理などを行う。
ステップ2003では、WDT314のカウント値が初期設定値(本実施形態では32.8ms)を超えてWDT割込が発生しないように(処理の異常を検出しないように)、WDTを定期的に(本実施形態では、主制御部タイマ割込の周期である約2msに1回)リスタートを行う。
ステップ2005では、入力ポート状態更新処理を行う。この入力ポート状態更新処理では、I/O310の入力ポートを介して、上述の前面枠扉開放センサや内枠開放センサや下皿満タンセンサ、各種の球検出センサを含む各種センサ320の検出信号を入力して検出信号の有無を監視し、RAM308に各種センサ320ごとに区画して設けた信号状態記憶領域に記憶する。球検出センサの検出信号を例にして説明すれば、前々回のタイマ割込処理(約4ms前)で検出した各々の球検出センサの検出信号の有無の情報を、RAM308に各々の球検出センサごとに区画して設けた前回検出信号記憶領域から読み出し、この情報をRAM308に各々の球検出センサごとに区画して設けた前々回検出信号記憶領域に記憶し、前回のタイマ割込処理(約2ms前)で検出した各々の球検出センサの検出信号の有無の情報を、RAM308に各々の球検出センサごとに区画して設けた今回検出信号記憶領域から読み出し、この情報を上述の前回検出信号記憶領域に記憶する。また、今回検出した各々の球検出センサの検出信号を、上述の今回検出信号記憶領域に記憶する。
また、ステップ2005では、上述の前々回検出信号記憶領域、前回検出信号記憶領域、および今回検出信号記領域の各記憶領域に記憶した各々の球検出センサの検出信号の有無の情報を比較し、各々の球検出センサにおける過去3回分の検出信号の有無の情報が入賞判定パターン情報と一致するか否かを判定する。一個の遊技球が一つの球検出センサを通過する間に、約2msという非常に短い間隔で起動を繰り返すこの主制御部タイマ割込処理は何回か起動する。このため、主制御部タイマ割込処理が起動する度に、上述のステップ2005では、同じ遊技球が同じ球検出センサを通過したことを表す検出信号を確認することになる。この結果、上述の前々回検出信号記憶領域、前回検出信号記憶領域、および今回検出信号記領域それぞれに、同じ遊技球が同じ球検出センサを通過したことを表す検出信号が記憶される。すなわち、遊技球が球検出センサを通過し始めたときには、前々回検出信号無し、前回検出信号有り、今回検出信号有りになる。本実施形態では、球検出センサの誤検出やノイズを考慮して、検出信号無しの後に検出信号が連続して2回記憶されている場合には、入賞があったと判定する。図4に示す主制御部300のROM306には、入賞判定パターン情報(本実施形態では、前々回検出信号無し、前回検出信号有り、今回検出信号有りであることを示す情報)が記憶されている。このステップ2005では、各々の球検出センサにおいて過去3回分の検出信号の有無の情報が、予め定めた入賞判定パターン情報(本実施形態では、前々回検出信号無し、前回検出信号有り、今回検出信号有りであることを示す情報)と一致した場合に、一般入賞口226、可変入賞口234、第1特図始動口230、および第2特図始動口232への入球、または普図始動口228の通過があったと判定する。すなわち、これらの入賞口226、234やこれらの始動口230、232、228への入賞があったと判定する。例えば、一般入賞口226への入球を検出する一般入賞口センサにおいて過去3回分の検出信号の有無の情報が上述の入賞判定パターン情報と一致した場合には、一般入賞口226へ入賞があったと判定し、以降の一般入賞口226への入賞に伴う処理を行うが、過去3回分の検出信号の有無の情報が上述の入賞判定パターン情報と一致しなかった場合には、以降の一般入賞口226への入賞に伴う処理を行わずに後続の処理に分岐する。なお、主制御部300のROM306には、入賞判定クリアパターン情報(本実施形態では、前々回検出信号有り、前回検出信号無し、今回検出信号無しであることを示す情報)が記憶されている。入賞が一度あったと判定した後は、各々の球検出センサにおいて過去3回分の検出信号の有無の情報が、その入賞判定クリアパターン情報に一致するまで入賞があったとは判定せず、入賞判定クリアパターン情報に一致すれば、次からは上記入賞判定パターン情報に一致するか否かの判定を行う。
ステップ2007およびステップ2009では、基本乱数初期値更新処理および基本乱数更新処理を行う。これらの基本乱数初期値更新処理および基本乱数更新処理では、上記ステップ1015で行った初期値生成用乱数カウンタの値の更新を行い、次に主制御部300で使用する、普図当選乱数値、特図1乱数値、および特図2乱数値をそれぞれ生成するための2つの乱数カウンタを更新する。例えば、普図当選乱数値として取り得る数値範囲が0〜100とすると、RAM308に設けた普図当選乱数値を生成するための乱数カウンタ記憶領域から値を取得し、取得した値に1を加算してから元の乱数カウンタ記憶領域に記憶する。このとき、取得した値に1を加算した結果が101であれば0を元の乱数カウンタ記憶領域に記憶する。また、取得した値に1を加算した結果、乱数カウンタが一周していると判定した場合にはそれぞれの乱数カウンタに対応する初期値生成用乱数カウンタの値を取得し、乱数カウンタの記憶領域にセットする。例えば、0〜100の数値範囲で変動する普図当選乱数値生成用の乱数カウンタから値を取得し、取得した値に1を加算した結果が、RAM308に設けた所定の初期値記憶領域に記憶している前回設定した初期値と等しい値(例えば7)である場合に、普図当選乱数値生成用の乱数カウンタに対応する初期値生成用乱数カウンタから値を初期値として取得し、普図当選乱数値生成用の乱数カウンタにセットすると共に、普図当選乱数値生成用の乱数カウンタが次に1周したことを判定するために、今回設定した初期値を上述の初期値記憶領域に記憶しておく。また、普図当選乱数値生成用の乱数カウンタが次に1周したことを判定するための上述の初期値記憶領域とは別に、特図乱数生成用の乱数カウンタが1周したことを判定するための初期値記憶領域をRAM308に設けている。なお、本実施形態では特図1の乱数値を取得するためのカウンタと特図2の乱数値を取得するためのカウンタとを別に設けたが、同一のカウンタを用いてもよい。
ステップ2011では、演出乱数更新処理を行う。この演出乱数更新処理では、主制御部300で使用する演出用乱数値を生成するための乱数カウンタを更新する。
ステップ2013では、タイマ更新処理を行う。このタイマ更新処理では、普通図柄表示装置210に図柄を変動・停止表示する時間を計時するための普図表示図柄更新タイマ、第1特別図柄表示装置212に図柄を変動・停止表示する時間を計時するための特図1表示図柄更新タイマ、第2特図表示装置214に図柄を変動・停止表示する時間を計時するための特図2表示図柄更新タイマ、所定の入賞演出時間、所定の開放時間、所定の閉鎖時間、所定の終了演出期間などを計時するためのタイマなどを含む各種タイマを更新する。
ステップ2015では、入賞口カウンタ更新処理を行う。この入賞口カウンタ更新処理では、入賞口226、234や始動口230、232、228に入賞があった場合に、RAM308に各入賞口ごと、あるいは各始動口ごとに設けた賞球数記憶領域の値を読み出し、1を加算して、元の賞球数記憶領域に設定する。
また、ステップ2017では、入賞受付処理を行う。この入賞受付処理では、第1特図始動口230、第2特図始動口232、普図始動口228および可変入賞口234への入賞があったか否かを判定する。ここでは、ステップ2003における入賞判定パターン情報と一致するか否かの判定結果を用いて判定する。第1特図始動口230へ入賞があった場合且つRAM308に設けた対応する保留数記憶領域が満タンでない場合、カウンタ回路318の当選用カウンタ値記憶用レジスタから値を特図1当選乱数値として取得するとともに特図1乱数値生成用の乱数カウンタから値を特図1乱数値として取得して対応する乱数値記憶領域に格納する。第2特図始動口232へ入賞があった場合且つRAM308に設けた対応する保留数記憶領域が満タンでない場合、カウンタ回路318の当選用カウンタ値記憶用レジスタから値を特図2当選乱数値として取得するとともに特図2乱数値生成用の乱数カウンタから値を特図2乱数値として取得して対応する乱数値記憶領域に格納する。普図始動口228へ入賞があった場合且つRAM308に設けた対応する保留数記憶領域が満タンでない場合、普図当選乱数値生成用の乱数カウンタから値を普図当選乱数値として取得して対応する乱数値記憶領域に格納する。可変入賞口234へ入賞があった場合には、可変入賞口用の入賞記憶領域に、可変入賞口234に球が入球したことを示す情報を格納する。
ステップ2019では、払出要求数送信処理を行う。なお、払出制御部600に出力する出力予定情報および払出要求情報は、例えば1バイトで構成しており、ビット7にストローブ情報(オンの場合、データをセットしていることを示す)、ビット6に電源投入情報(オンの場合、電源投入後一回目のコマンド送信であることを示す)、ビット4〜5に暗号化のための今回加工種別(0〜3)、およびビット0〜3に暗号化加工後の払出要求数を示すようにしている。
ステップ2021では、普図状態更新処理を行う。この普図状態更新処理は、普図の状態に対応する複数の処理のうちの1つの処理を行う。例えば、普図変動表示の途中(上述する普図表示図柄更新タイマの値が1以上)における普図状態更新処理では、普通図柄表示装置210を構成する7セグメントLEDの点灯と消灯を繰り返す点灯・消灯駆動制御を行う。この制御を行うことで、普通図柄表示装置210は普図の変動表示(普図変動遊技)を行う。
また、普図変動表示時間が経過したタイミング(普図表示図柄更新タイマの値が1から0になったタイミング)における普図状態更新処理では、当りフラグがオンの場合には、当たり図柄の表示態様となるように普通図柄表示装置210を構成する7セグメントLEDの点灯・消灯駆動制御を行い、当りフラグがオフの場合には、外れ図柄の表示態様となるように普通図柄表示装置210を構成する7セグメントLEDの点灯・消灯駆動制御を行う。また、主制御部300のRAM308には、普図状態更新処理に限らず各種の処理において各種の設定を行う設定領域が用意されている。ここでは、上記点灯・消灯駆動制御を行うとともに、その設定領域に普図停止表示中であることを示す設定を行う。この制御を行うことで、普通図柄表示装置210は、当り図柄(図5(c)に示す普図A)および外れ図柄(図5(c)に示す普図B)いずれか一方の図柄の確定表示を行う。さらにその後、所定の停止表示期間(例えば500ms間)、その表示を維持するためにRAM308に設けた普図停止時間管理用タイマの記憶領域に停止期間を示す情報を設定する。この設定により、確定表示された図柄が所定期間停止表示され、普図変動遊技の結果が遊技者に報知される。
また、普図変動遊技の結果が当りであれば、後述するように、普図当りフラグがオンされる。この普図当りフラグがオンの場合には、所定の停止表示期間が終了したタイミング(普図停止時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)における普図状態更新処理では、RAM308の設定領域に普図作動中を設定するとともに、所定の開放期間(例えば2秒間)、第2特図始動口232の羽根部材232aの開閉駆動用のソレノイド332に、羽根部材232aを開放状態に保持する信号を出力するとともに、RAM308に設けた羽根開放時間管理用タイマの記憶領域に開放期間を示す情報を設定する。
また、所定の開放期間が終了したタイミング(羽根開放時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)で開始する普図状態更新処理では、所定の閉鎖期間(例えば500ms間)、羽根部材の開閉駆動用のソレノイド332に、羽根部材を閉鎖状態に保持する信号を出力するとともに、RAM308に設けた羽根閉鎖時間管理用タイマの記憶領域に閉鎖期間を示す情報を設定する。
また、所定の閉鎖期間が終了したタイミング(羽根閉鎖時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)で開始する普図状態更新処理では、RAM308の設定領域に普図非作動中を設定する。さらに、普図変動遊技の結果が外れであれば、後述するように、普図外れフラグがオンされる。この普図外れフラグがオンの場合には、上述した所定の停止表示期間が終了したタイミング(普図停止時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)における普図状態更新処理でも、RAM308の設定領域に普図非作動中を設定する。普図非作動中の場合における普図状態更新処理では、何もせずに次のステップ2023に移行するようにしている。
ステップ2023では、普図関連抽選処理を行う。この普図関連抽選処理では、普図変動遊技および第2特図始動口232の開閉制御を行っておらず(普図の状態が非作動中)、且つ、保留している普図変動遊技の数が1以上である場合に、上述の乱数値記憶領域に記憶している普図当選乱数値に基づいた乱数抽選により普図変動遊技の結果を当選とするか、不当選とするかを決定する当り判定をおこない、当選とする場合にはRAM308に設けた当りフラグにオンを設定する。不当選の場合には、当りフラグにオフを設定する。また、当り判定の結果に関わらず、次に上述の普図タイマ乱数値生成用の乱数カウンタの値を普図タイマ乱数値として取得し、取得した普図タイマ乱数値に基づいて複数の変動時間のうちから普図表示装置210に普図を変動表示する時間を1つ選択し、この変動表示時間を、普図変動表示時間として、RAM308に設けた普図変動時間記憶領域に記憶する。なお、保留している普図変動遊技の数は、RAM308に設けた普図保留数記憶領域に記憶するようにしており、当り判定をするたびに、保留している普図変動遊技の数から1を減算した値を、この普図保留数記憶領域に記憶し直すようにしている。また当り判定に使用した乱数値を消去する。
次いで、特図1および特図2それぞれについての特図状態更新処理を行うが、最初に、特図2についての特図状態更新処理(特図2状態更新処理)を行う(ステップ2025)。この特図2状態更新処理は、特図2の状態に応じて、次の8つの処理のうちの1つの処理を行う。例えば、特図2変動表示の途中(上述の特図2表示図柄更新タイマの値が1以上)における特図2状態更新処理では、第2特別図柄表示装置214を構成する7セグメントLEDの点灯と消灯を繰り返す点灯・消灯駆動制御を行う。この制御を行うことで、第2特別図柄表示装置214は特図2の変動表示(特図2変動遊技)を行う。
また、コマンド設定送信処理(後述のステップ2033)で回転開始設定送信処理を実行させることを示す所定の送信情報を上述の送信情報記憶領域に追加記憶してから処理を終了する。
また、主制御部300のRAM308には、15R大当りフラグ、2R大当たりフラグ、第1小当たりフラグ、第2小当たりフラグ、第1はずれフラグ、第2はずれフラグ、特図確率変動フラグ、および普図確率変動フラグそれぞれのフラグが用意されている。特図2変動表示時間が経過したタイミング(特図2表示図柄更新タイマの値が1から0になったタイミング)で開始する特図2状態更新処理では、15R大当りフラグはオン、特図確率変動フラグもオン、普図確率変動フラグもオンの場合には図5(a)に示す特図A、15R大当りフラグはオン、特図確率変動フラグはオフ、普図確率変動フラグはオンの場合には特図B、2R大当りフラグはオン、特図確率変動フラグもオン、普図確率変動フラグもオンの場合には特図C、2R大当りフラグはオン、特図確率変動フラグはオフ、普図確率変動フラグはオンの場合には特図D、2R大当りフラグはオン、特図確率変動フラグもオン、普図確率変動フラグはオンの場合には特図E、2R大当りフラグはオン、特図確率変動フラグはオフ、普図確率変動フラグもオフの場合には特図F、第1小当たりフラグがオンの場合には特図G、第2小当たりフラグがオンの場合には特図H、第1はずれフラグがオンの場合には特図I、第2はずれフラグがオンの場合には特図Jそれぞれの態様となるように、第2特別図柄表示装置214を構成する7セグメントLEDの点灯・消灯駆動制御を行い、RAM308の設定領域に特図2停止表示中であることを表す設定を行う。この制御を行うことで、第2特別図柄表示装置214は、15R特別大当たり図柄(特図A)、15R大当たり図柄(特図B)、突然確変図柄(特図C)、突然時短図柄(特図D)、隠れ確変図柄(特図E)、突然通常図柄(特図F)、第1小当たり図柄(特図G)、第2小当たり図柄(特図H)、第1はずれ図柄(特図I)、および第2はずれ図柄(特図J)のいずれか一つの図柄の確定表示を行う。さらにその後、所定の停止表示期間(例えば500ms間)その表示を維持するためにRAM308に設けた特図2停止時間管理用タイマの記憶領域に停止期間を示す情報を設定する。この設定により、確定表示された特図2が所定期間停止表示され、特図2変動遊技の結果が遊技者に報知される。また、RAM308に設けられた時短回数記憶部に記憶された時短回数が1以上であれば、その時短回数から1を減算し、減算結果が1から0となった場合は、特図確率変動中(詳細は後述)でなければ、時短フラグをオフする。さらに、大当り遊技中(特別遊技状態中)にも、時短フラグをオフする。
また、コマンド設定送信処理(後述のステップ2033)で回転停止設定送信処理を実行させることを示す所定の送信情報を上述の送信情報記憶領域に追加記憶するとともに、変動表示を停止する図柄が特図2であることを示す特図2識別情報を、後述するコマンドデータに含める情報としてRAM308に追加記憶してから処理を終了する。
また、特図2変動遊技の結果が大当りであれば、後述するように、大当りフラグがオンされる。この大当りフラグがオンの場合には、所定の停止表示期間が終了したタイミング(特図2停止時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)における特図2状態更新処理では、RAM308の設定領域に特図2作動中を設定するとともに、所定の入賞演出期間(例えば3秒間)すなわち装飾図柄表示装置208による大当りを開始することを遊技者に報知する画像を表示している期間待機するためにRAM308に設けた特図2待機時間管理用タイマの記憶領域に入賞演出期間を示す情報を設定する。また、コマンド設定送信処理(後述のステップ2033)で入賞演出設定送信処理を実行させることを示す所定の送信情報を上述の送信情報記憶領域に追加記憶する。
また、所定の入賞演出期間が終了したタイミング(特図2待機時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)で開始する特図2状態更新処理では、所定の開放期間(例えば29秒間、または可変入賞口234に所定球数(例えば10球)の遊技球の入賞を検出するまで)可変入賞口234の扉部材234aの開閉駆動用のソレノイド332に、扉部材234aを開放状態に保持する信号を出力するとともに、RAM308に設けた扉開放時間管理用タイマの記憶領域に開放期間を示す情報を設定する。また、コマンド設定送信処理(後述のステップ2033)で大入賞口開放設定送信処理を実行させることを示す所定の送信情報を上述の送信情報記憶領域に追加記憶する。
また、所定の開放期間が終了したタイミング(扉開放時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)で開始する特図2状態更新処理では、所定の閉鎖期間(例えば1.5秒間)可変入賞口234の扉部材234aの開閉駆動用のソレノイド332に、扉部材234aを閉鎖状態に保持する信号を出力するとともに、RAM308に設けた扉閉鎖時間管理用タイマの記憶領域に閉鎖期間を示す情報を設定する。また、コマンド設定送信処理(後述のステップ2033)で大入賞口閉鎖設定送信処理を実行させることを示す所定の送信情報を上述の送信情報記憶領域に追加記憶する。
また、この扉部材の開放・閉鎖制御を所定回数(本実施例では15ラウンドか2ラウンド)繰り返し、終了したタイミングで開始する特図2状態更新処理では、所定の終了演出期間(例えば3秒間)すなわち装飾図柄表示装置208による大当りを終了することを遊技者に報知する画像を表示している期間待機するように設定するためにRAM308に設けた演出待機時間管理用タイマの記憶領域に演出待機期間を示す情報を設定する。また、普図確率変動フラグがオンに設定されていれば、この大当たり遊技の終了と同時に、RAM308に設けられた時短回数記憶部に時短回数100回をセットするともに、RAM308に設けられた時短フラグをオンする。なお、その普図確率変動フラグがオフに設定されていれば、時短回数記憶部に時短回数をセットすることもなく、また時短フラグをオンすることもない。ここにいう時短とは、特図変動遊技における大当りを終了してから、次の大当りを開始するまでの時間を短くするため、パチンコ機が遊技者にとって有利な状態になることをいう。この時短フラグがオンに設定されていると、普図高確率状態である。普図高確率状態では普図低確率状態に比べて、普図変動遊技に大当りする可能性が高い。また、普図高確率状態の方が、普図低確率状態に比べて普図変動遊技の変動時間および特図変動遊技の変動時間は短くなる。さらに、普図高確率状態では普図低確率状態に比べて、第2特図始動口232の一対の羽根部材232aの1回の開放における開放時間が長くなりやすい。加えて、普図高確率状態では普図低確率状態に比べて、一対の羽根部材232aは多く開きやすい。また、上述のごとく、時短フラグは、大当り遊技中(特別遊技状態中)にはオフに設定される。したがって、大当たり遊技中には、普図低確率状態が維持される。これは、大当たり遊技中に普図高確率状態であると、大当たり遊技中に可変入賞口234に所定の個数、遊技球が入球するまでの間に第2特図始動口232に多くの遊技球が入球し、大当たり中に獲得することができる遊技球の数が多くなってしまい射幸性が高まってしまうという問題があり、これを解決するためのものである。
さらに、コマンド設定送信処理(後述のステップ2033)で終了演出設定送信処理を実行させることを示す所定の送信情報を上述の送信情報記憶領域に追加記憶する。
また、所定の終了演出期間が終了したタイミング(演出待機時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)で開始する特図2状態更新処理では、RAM308の設定領域に特図2非作動中を設定する。さらに、特図2変動遊技の結果が外れであれば、後述するように、はずれフラグがオンされる。このはずれフラグがオンの場合には、上述した所定の停止表示期間が終了したタイミング(特図2停止時間管理用タイマの値が1から0になったタイミング)における特図2状態更新処理でも、RAM308の設定領域に特図2非作動中を設定する。特図2非作動中の場合における特図2状態更新処理では、何もせずに次のステップ2027に移行するようにしている。
続いて、特図1についての特図状態更新処理(特図1状態更新処理)を行う(ステップ2027)。この特図1状態更新処理では、特図1の状態に応じて、上述の特図2状態更新処理で説明した各処理を行う。この特図1状態更新処理で行う各処理は、上述の特図2状態更新処理で説明した内容の「特図2」を「特図1」と読み替えた処理と同一であるため、その説明は省略する。なお、特図2状態更新処理と特図1状態更新処理の順番は逆でもよい。
ステップ2025およびステップ2027における特図状態更新処理が終了すると、今度は、特図1および特図2それぞれについての特図関連抽選処理を行う。ここでも先に、特図2についての特図関連抽選処理(特図2関連抽選処理)を行い(ステップ2029)、その後で、特図1についての特図関連抽選処理(特図1関連抽選処理)を行う(ステップ2031)。これらの特図関連抽選処理についても、主制御部300が特図2関連抽選処理を特図1関連抽選処理よりも先に行うことで、特図2変動遊技の開始条件と、特図1変動遊技の開始条件が同時に成立した場合でも、特図2変動遊技が先に変動中となるため、特図1変動遊技は変動を開始しない。また、装飾図柄表示装置208による、特図変動遊技の大当り判定の結果の報知は、第1副制御部400によって行われ、第2特図始動口232への入賞に基づく抽選の抽選結果の報知が、第1特図始動口230への入賞に基づく抽選の抽選結果の報知よりも優先して行われる。
ステップ2033では、コマンド設定送信処理を行い、各種のコマンドが第1副制御部400に送信される。なお、第1副制御部400に送信する出力予定情報は例えば16ビットで構成しており、ビット15はストローブ情報(オンの場合、データをセットしていることを示す)、ビット11〜14はコマンド種別(本実施形態では、基本コマンド、図柄変動開始コマンド、図柄変動停止コマンド、入賞演出開始コマンド、終了演出開始コマンド、大当りラウンド数指定コマンド、復電コマンド、RAMクリアコマンドなどコマンドの種類を特定可能な情報)、ビット0〜10はコマンドデータ(コマンド種別に対応する所定の情報)で構成している。
具体的には、ストローブ情報は上述のコマンド設定送信処理でオン、オフするようにしている。また、コマンド種別が図柄変動開始コマンドの場合であればコマンドデータに、15R大当りフラグや2R大当たりフラグの値、特図確率変動フラグの値、特図関連抽選処理で選択したタイマ番号などを示す情報を含み、図柄変動停止コマンドの場合であれば、15R大当りフラグや2R大当たりフラグの値、特図確率変動フラグの値などを含み、入賞演出コマンドおよび終了演出開始コマンドの場合であれば、特図確率変動フラグの値などを含み、大当りラウンド数指定コマンドの場合であれば特図確率変動フラグの値、大当りラウンド数などを含むようにしている。コマンド種別が基本コマンドを示す場合は、コマンドデータにデバイス情報、第1特図始動口230への入賞の有無、第2特図始動口232への入賞の有無、可変入賞口234への入賞の有無などを含む。
また、上述の回転開始設定送信処理では、コマンドデータにRAM308に記憶している、15R大当りフラグや2R大当たりフラグの値、特図確率変動フラグの値、特図1関連抽選処理および特図2関連抽選処理で選択したタイマ番号、保留している第1特図変動遊技または第2特図変動遊技の数などを示す情報を設定する。
上述の回転停止設定送信処理では、コマンドデータにRAM308に記憶している、15R大当りフラグや2R大当たりフラグの値、特図確率変動フラグの値などを示す情報を設定する。
上述の入賞演出設定送信処理では、コマンドデータに、RAM308に記憶している、入賞演出期間中に装飾図柄表示装置208・各種ランプ418・スピーカ120に出力する演出制御情報、特図確率変動フラグの値、保留している第1特図変動遊技または第2特図変動遊技の数などを示す情報を設定する。
上述の終了演出設定送信処理では、コマンドデータに、RAM308に記憶している、演出待機期間中に装飾図柄表示装置208・各種ランプ418・スピーカ120に出力する演出制御情報、特図確率変動フラグの値、保留している第1特図変動遊技または第2特図変動遊技の数などを示す情報を設定する。
上述の大入賞口開放設定送信処理では、コマンドデータにRAM308に記憶している大当りラウンド数、特図確率変動フラグの値、保留している第1特図変動遊技または第2特図変動遊技の数などを示す情報を設定する。
上述の大入賞口閉鎖設定送信処理では、コマンドデータにRAM308に記憶している大当りラウンド数、特図確率変動フラグの値、保留している第1特図変動遊技または第2特図変動遊技の数などを示す情報を設定する。
また、このステップ2033では一般コマンド特図保留増加処理も行われる。この一般コマンド特図保留増加処理では、コマンドデータにRAM308の送信用情報記憶領域に記憶している特図識別情報(特図1または特図2を示す情報)、予告情報(事前予告情報、偽事前予告情報、または事前予告無情報のいずれか)を設定する。
第1副制御部400では、受信した出力予定情報に含まれるコマンド種別により、主制御部300における遊技制御の変化に応じた演出制御の決定が可能になるとともに、出力予定情報に含まれているコマンドデータの情報に基づいて、演出制御内容を決定することができるようになる。
ステップ2035では、外部出力信号設定処理を行う。この外部出力信号設定処理では、RAM308に記憶している遊技情報を、情報出力回路336を介してパチンコ機100とは別体の情報入力回路350に出力する。
ステップ2037では、デバイス監視処理を行う。このデバイス監視処理では、ステップ2005において信号状態記憶領域に記憶した各種センサの信号状態を読み出して、所定のエラーの有無、例えば前面枠扉開放エラーの有無または下皿満タンエラーの有無などを監視し、前面枠扉開放エラーまたは下皿満タンエラーを検出した場合に、第1副制御部400に送信すべき送信情報に、前面枠扉開放エラーの有無または下皿満タンエラーの有無を示すデバイス情報を設定する。また、各種ソレノイド332を駆動して第2特図始動口232や、可変入賞口234の開閉を制御したり、駆動回路324、326、330を介して第1特別図柄表示装置212、第2特別図柄表示装置214、普通図柄表示装置210、各種状態表示部328などに出力する表示データを、I/O310の出力ポートに設定する。また、払出要求数送信処理(ステップ2019)で設定した出力予定情報を出力ポート(I/O310)を介して第1副制御部400に出力する。
ステップ2039では、低電圧信号がオンであるか否かを監視する。そして、低電圧信号がオンの場合(電源の遮断を検知した場合)にはステップ2043に進み、低電圧信号がオフの場合(電源の遮断を検知していない場合)にはステップ2041に進む。
ステップ2041では、タイマ割込終了処理を行う。このタイマ割込終了処理では、ステップ2001で一時的に退避した各レジスタの値を元の各レジスタに設定したり、割込許可の設定などを行い、その後、図6に示す主制御部メイン処理に復帰する。
一方、ステップ2043では、復電時に電断時の状態に復帰するための特定の変数やスタックポインタを復帰データとしてRAM308の所定の領域に退避し、入出力ポートの初期化等の電断処理を行い、その後、図6に示す主制御部メイン処理に復帰する。
<第1副制御部400の処理>
図8を用いて、第1副制御部400の処理について説明する。
なお、図8(a)は、第1副制御部400のCPU404が実行するメイン処理のフローチャートである。図8(b)は、第1副制御部400のコマンド受信(ストローブ)割込み処理のフローチャートである。図8(c)は、第1副制御部400のタイマ割込処理のフローチャートである。図8(d)は、第1副制御部400の画像制御処理のフローチャートである。
図8(a)を参照すると、第1副制御部400では、電源投入が行われると、まず、ステップ3001で初期化処理が実行される。この初期化処理では、入出力ポートの初期設定や、RAM408内の記憶領域の初期化処理等を行う。
ステップ3003では、タイマ変数が10以上か否かを判定し、タイマ変数が10となるまでこの処理を繰り返し、タイマ変数が10以上となったときには、ステップ3005の処理に移行する。
ステップ3005では、タイマ変数に0を代入する。
ステップ3007では、コマンド処理を行う。第1副制御部400のCPU404は、主制御部300からコマンドを受信したか否かを判別する。
ステップ3009では、演出制御処理を行う。例えば、3007で新たなコマンドがあった場合には、このコマンドに対応する演出データをROM406から読み出す等の処理を行い、演出データの更新が必要な場合には演出データの更新処理を行う。
ステップ3011では、チャンスボタン136の押下を検出していた場合、ステップ3009で更新した演出データをチャンスボタン136の押下に応じた演出データに変更する処理を行う。
ステップ3013では、3009で読み出した演出データの中にVDP434への命令がある場合には、この命令をVDP434に出力する(詳細は後述)。
ステップ3015では、3009で読み出した演出データの中に音源IC416への命令がある場合には、この命令を音源IC416に出力する。
ステップ3017では、3009で読み出した演出データの中に各種ランプ418への命令がある場合には、この命令を駆動回路420に出力する。
ステップ3019では、3009で読み出した演出データの中に遮蔽装置246への命令がある場合には、この命令を駆動回路432に出力する。
ステップ3021では、3009で読み出した演出データの中に第2副制御部500に送信する制御コマンドがある場合には、この制御コマンドを出力する設定を行う。
ステップ3021を実行した後、ステップ3003へ戻り、処理を繰り返す。
次に、図8(b)を用いて、第1副制御部400のコマンド受信割込処理について説明する。このコマンド受信割込処理は、第1副制御部400が、主制御部300が出力するストローブ信号を検出した場合に実行する処理である。コマンド受信割込処理のステップ4001では、主制御部300が出力したコマンドを未処理コマンドとしてRAM408に設けたコマンド記憶領域に記憶する。
次に、図8(c)を用いて、第1副制御部400のCPU404によって実行する第1副制御部タイマ割込処理について説明する。第1副制御部400は、所定の周期(本実施例では2msに1回)でタイマ割込を発生するハードウェアタイマを備えており、このタイマ割込を契機として、第1副制御部タイマ割込処理を所定の周期で実行する。
第1副制御部タイマ割込処理のステップ5001では、図8(a)に示す第1副制御部メイン処理におけるステップ3003において説明したRAM408のタイマ変数記憶領域の値に、1を加算して元のタイマ変数記憶領域に記憶する。従って、ステップ3003において、タイマ変数の値が10以上と判定されるのは20ms毎(2ms×10)となる。
第1副制御部タイマ割込処理のステップ5003では、ステップ3019で設定された第2副制御部500への制御コマンドの送信や、演出用乱数値の更新処理等を行う。
ステップ5005では、WDT414のカウント値が初期設定値を超えてWDT割込が発生しないように(処理の異常を検出しないように)、WDTを定期的に(本実施形態では、第1副制御部タイマ割込の周期である約2msに1回)リスタートを行う。
次に、図8(d)を用いて、第1副制御部400のメイン処理におけるステップ3013の画像制御処理について説明する。図8(d)は、画像制御処理の流れを示すフローチャートを示した図である。
ステップ6001では、画像データの転送指示を行う。ここでは、CPU404は、まず、VRAM436の表示領域Aと表示領域Bの描画領域の指定をスワップする。これにより、描画領域に指定されていない表示領域に記憶された1フレームの画像が装飾図柄表示装置208に表示される。次に、CPU404は、VDP434のアトリビュートレジスタに、位置情報等テーブルに基づいてROM座標(ROM406の転送元アドレス)、VRAM座標(VRAM436の転送先アドレス)などを設定した後、ROM406からVRAM436への画像データの転送開始を指示する命令を設定する。VDP434は、アトリビュートレジスタに設定された命令に基づいて画像データをROM406からVRAM436に転送する。その後、VDP434は、転送終了割込信号をCPU404に対して出力する。
ステップ6003では、VDP434からの転送終了割込信号が入力されたか否かを判定し、転送終了割込信号が入力された場合はステップ6005に進み、そうでない場合は転送終了割込信号が入力されるのを待つ。
ステップ6005では、演出シナリオ構成テーブルおよびアトリビュートデータなどに基づいて、パラメータ設定を行う。ここでは、CPU404は、ステップ6001でVRAM436に転送した画像データに基づいてVRAM436の表示領域AまたはBに表示画像を形成するために、表示画像を構成する画像データの情報(VRAM436の座標軸、画像サイズ、VRAM座標(配置座標)など)をVDP434に指示する。VDP434はアトリビュートレジスタに格納された命令に基づいてアトリビュートに従ったパラメータ設定を行う。
ステップ6007では、描画指示を行う。この描画指示では、CPU404は、VDP434に画像の描画開始を指示する。VDP434は、CPU404の指示に従ってフレームバッファにおける画像描画を開始する。
ステップ6009では、画像の描画終了に基づくVDP434からの生成終了割込み信号が入力されたか否かを判定し、生成終了割込み信号が入力された場合はステップ6011に進み、そうでない場合は生成終了割込み信号が入力されるのを待つ。
ステップ6011では、RAM408の所定の領域に設定され、何シーンの画像を生成したかをカウントするシーン表示カウンタをインクリメント(+1)して処理を終了する。
<主基板ケース158の封印シール(シール部材)>
ここで、図2に示した、主基板156を収納した主基板ケース158を封印する封印シールに係る構成について説明する。
図9は、主基板ケース158の構成を示す図であり、(a)は主基板ケース158を開いた状態を示す斜視図であり、(b)は主基板ケース158を閉じた状態を示す斜視図である。
主基板ケース158は、上ケース158aと下ケース158bとから成り、この上ケース158aと下ケース158bとの間に主基板156を収容し、外部からの主基板156に対するアクセスを不可とする。
また、主基板156を収容して上ケース158aと下ケース158bとを閉じて、上ケース158aのカシメ部670aと下ケース158bのカシメ部670bとをカシメることによって、一旦閉じた主基板ケース158を開けた際にその痕跡を残すよう構成している。
さらに、上ケース158aにシール貼付部671を設けるとともに、下ケース158bにシール貼付部672を設け、主基板156を収容して上ケース158aと下ケース158bとを閉じた後に、このシール貼付部671およびシール貼付部672に跨るように封印シール673を貼付する。
上ケース158aと下ケース158bとに跨って封印シール673を貼付する構成において、シール貼付部671やシール貼付部672は必須ではなく、他の箇所に封印シール673を貼付してもよい。ここでは、封印シール673を貼付すべき位置を明示したり、封印シール673との密着面積を確保したりするために、シール貼付部671やシール貼付部672を設けている。
シール貼付部671やシール貼付部672は、上ケース158aや下ケース158bの複数の面に跨って形成されていてもよい。
封印シール673は、上ケース158aと下ケース158bとに跨って貼付し、上ケース158aと下ケース158bとを開く際に剥がされるものであり、本発明の封印シールは複数の部材に跨って貼り付けられ、この複数の部材を引き離す際に剥がされるものである。
<<実施例1>>
図10は、実施例1に係り、封印シール673を貼付する、シール貼付部671やシール貼付部672の構成を示す図であり、(a)は封印シール673を貼付する前の状態を示す斜視図であり、(b)は封印シール673を貼付した後の状態を示す斜視図である。図10(a)においては、円Aで囲んだ部分を右上に拡大して示している。
傷付け部674は、シール貼付部672上に凹凸形状を形成して成り、例えばパチンコ機100や主基板156の型式、バージョン、メーカロゴ等の所定の情報を表示するように形成してもよい。
このシール貼付部671およびシール貼付部672に跨るように封印シール673を貼付すると、図10(b)に示すように、封印シール673は、傷付け部674の形状に応じて変形し変形部675が形成される。この変形部675の変形が、傷付け部674による封印シール673の傷付けに相当する。
封印シール673は、シール貼付部671およびシール貼付部672から剥がした後にも、傷付け部674の形状に応じた変形の痕跡(シワや傷等)を残すため、一旦貼られた封印シール673を剥がして、主基板ケース158を開け、主基板156にアクセスするという不正行為を抑止可能である。
実施例1では、下ケース158bのシール貼付部672に傷付け部674を設けているが、上ケース158aのシール貼付部671に傷付け部674を設けてもよいし、両方に設けてもよい。
傷付け部674は、平面である封印シール673を、シール貼付部671およびシール貼付部672に隙間なく貼り付けることを困難にする凹凸を有するものである場合がある。
<<実施例2>>
図11は、実施例2に係り、封印シール673を貼付する、シール貼付部671やシール貼付部672の構成を示す図であり、(a)は封印シール673を貼付する前の状態を示す斜視図であり、(b)は封印シール673を貼付した後の状態を示す斜視図であり、(c)はシール貼付部671およびシール貼付部672から剥がした封印シール673を示す斜視図である。図11(b)においては、円Bで囲んだ部分を右上に拡大して示している。
実施例2では、傷付け部676を、シール貼付部671上に2つ、シール貼付部672上に2つ設けている。
傷付け部676は、シール貼付部671およびシール貼付部672の、封印シール673が貼られる他の面よりも突出した形状であり、貼られた封印シール673に圧力を与え続けるものである。これにより、封印シール673は、傷付け部676の形状に応じて変形し変形部677が形成される。この変形部677の変形が、傷付け部676による封印シール673の傷付けに相当する。
封印シール673は、シール貼付部671およびシール貼付部672から剥がした後にも、傷付け部676の形状に応じた変形の痕跡(シワや傷等)を残すため、一旦貼られた封印シール673を剥がして、主基板ケース158を開け、主基板156にアクセスするという不正行為を抑止可能である。
また、傷付け部676は先端が鋭利な形状とすれば、例えば力の掛け方、鋭利な先端の大きさや向き等によって、シール貼付部671およびシール貼付部672に封印シール673を張った時点で、傷付け部676で封印シール673に切り傷をつけることも可能であるし、封印シール673を剥がす際に切り傷を大きくすることも可能であるし、または、貼った時点では切り傷は付かずに、剥がすと切り傷が付くようにすることもできる。
なお、傷付け部676は三角錐形状にしているが、本発明はこれに限られるものではなく、傷付け部は、所定の形状の凸部、すなわちN角錐(Nは3以上の自然数)、N角柱(Nは3以上の自然数)、N角錐台(Nは3以上の自然数)、円錐、円柱、半球やそのほかのドーム形状など、いかなる形状であってもよい場合がある。また、これらは中空であっても、中実であってもよい場合がある。
<<実施例3>>
図12は、実施例3に係り、封印シール673を貼付する、シール貼付部671やシール貼付部672の構成を示す図であり、(a)は封印シール673を貼付する前の状態を示す斜視図であり、(b)は封印シール673を貼付した後の状態を示す斜視図であり、(c)はシール貼付部671およびシール貼付部672から剥がした封印シール673を示す斜視図である。図12(b)においては、円Cで囲んだ部分を右上に拡大して示している。
実施例3では、傷付け部678を、シール貼付部671上に2つ、シール貼付部672上に2つ設けている。
この4つの傷付け部678は、互いに向きの異なる鋭利な先端を有する形状であり、封印シール673が貼られた際に、容易に切り傷を付けて(破壊して)変形させ変形部679が形成される。この変形部679の変形が、傷付け部678による封印シール673の傷付けに相当する。
また、この4つの傷付け部678同士の間に跨って、封印シール673が貼られることによって、傷付け部678同士の間の封印シール673に張力を生じさせ、封印シール673に、容易に切り傷を付けて(破壊して)変形させ変形部679が形成される。この変形部679の変形が、傷付け部678による封印シール673の傷付けに相当する。
傷付け部678は、封印シール673が貼られただけで傷付けるものであってもよい場合もあるし、封印シール673が貼られた状態で外力が加わると傷付けるものであってもよい場合もあるし、封印シール673が貼られた後に剥がされるときに傷付けるものであってもよい場合もあるし、封印シール673が貼られた後に剥がされるときに傷をより大きくするものであってもよい場合もある。
封印シール673は、シール貼付部671およびシール貼付部672から剥がした後にも、傷付け部678の形状に応じた変形の痕跡(シワや傷等)を残すため、一旦貼られた封印シール673を剥がして、主基板ケース158を開け、主基板156にアクセスするという不正行為を抑止可能である。
<<実施例4>>
図13は、実施例4に係り、封印シール673を貼付する、シール貼付部671やシール貼付部672の構成を示す図であり、(a)は封印シール673を貼付した後の状態を示す斜視図であり、(b)は封印シール673を剥がす状態を示す斜視図であり、(c)はシール貼付部671およびシール貼付部672から剥がした封印シール673を示す斜視図である。図13(a)においては、円Dで囲んだ部分を右上に拡大して示している。また、図13(b)においては、円Eで囲んだ部分を右上に拡大して示している。
実施例4では、円柱形状の傷付け部680を、シール貼付部671上に1つ設けている。
シール貼付部671およびシール貼付部672に封印シール673を貼る際には、傷付け部680のほぼ真上から被せることによって、封印シール673には、傷付け部680の円形状に応じて破断した変形部681が形成される。
この貼られた封印シール673を剥がすときには、封印シール673の一方の端部を引き上げるようにして剥がすため、傷付け部680の円柱形状の高さに応じて変形部681はより大きく破断することになる。この傷付け部680の円柱形状の高さに応じて破断した変形部681の変形が、傷付け部680による封印シール673の傷付けに相当する。
封印シール673は、シール貼付部671およびシール貼付部672から剥がした後にも、傷付け部680の円柱形状の高さに応じて大きく破断した変形の痕跡(シワや傷等)を残すため、一旦貼られた封印シール673を剥がして、主基板ケース158を開け、主基板156にアクセスするという不正行為を抑止可能である。
また、封印シール673が複数面に跨って貼り付けされる場合、傷付け部680は封印シール673が跨って貼り付けられる複数の面の境界近傍に設けられることが好ましい、封印シール673を剥離させる場合、貼り付けられた面に垂直な力を掛ける必要があり、境界近傍のシールを剥離させる際には封印シール673に掛ける力の方向を変更する必要がある。よって、前記傷付け部680を境界近傍に設けることで、封印シール673の剥離を阻害することができる。
<<実施例5>>
図14は、実施例5に係り、封印シール673を貼付する、シール貼付部671やシール貼付部672の構成を示す図であり、(a)は封印シール673を貼付する前の状態を示す斜視図であり、(b)は(a)の傷付け部周辺を拡大して示す斜視図であり、(c)は封印シール673を貼付した後の状態の傷付け部周辺を示す側断面図である。
実施例5の傷付け部682は、無秩序な凹凸から成り、封印シール673が貼られた際に、シワを形成して変形させ変形部683が形成される。この変形部683の変形が、傷付け部682による封印シール673の傷付けに相当する。
この変形部683が形成された封印シール673を、再貼付した場合、シワが増えたことが一目瞭然に判明し、不正行為に気付きやすい。このことから、一旦貼られた封印シール673を剥がして、主基板ケース158を開け、主基板156にアクセスするという不正行為を抑止可能である。
傷付け部682を凹凸に形成することで、封印シール673の面のうち、シール貼付部671やシール貼付部672に面一で貼り付けられた部分と、傷付け部682上に貼り付けられた部分とで粘着力の差が生じる(凹凸により粘着されず中空に浮く部分ができる)ため、封印シール673を均一の力で剥離しようとすると封印シール673が破れやすい。また、剥離できても凹凸による形状変更が封印シール673に残る場合がある。
<<実施例6>>
図15は、実施例6に係り、封印シール673を貼付する、シール貼付部671やシール貼付部672の構成を示す図であり、(a)は封印シール673を貼付する前の状態を示す斜視図であり、(b)は上ケース158aや下ケース158bと別体の傷付け部および傷付け部の固定部を示す側面図であり、(c)は上ケース158aに傷付け部を取り付けた状態を示す斜視図であり、(d)は封印シール673を貼付した後の状態を示す斜視図であり、(e)は封印シール673を貼付した後の状態の傷付け部周辺を示す側断面図である。
上ケース158aのシール貼付部671や、下ケース158bのシール貼付部672には、貫通孔である複数の取付け孔684を設けてあり、この複数の取付け孔684の少なくとも1つに傷付け部685を取り付け、その後、封印シール673を貼付する。
傷付け部685は、取付け孔684よりも小径の胴部685aと、取付け孔684よりも大径の頭部685bと、を有する。取付け孔684に胴部685aを挿入したとき、頭部685bは、シール貼付部671やシール貼付部672の表面よりも突出する。
固定部686は、傷付け部685の胴部685a内の空洞に嵌まる返し部686aと、取付け孔684よりも大径の頭部686bと、を有する。
取付け孔684に傷付け部685を取り付ける際には、シール貼付部671やシール貼付部672の上部から取付け孔684に胴部685aを挿入し、下部から、傷付け部685の胴部685a内の空洞に、固定部686の返し部686aを挿入する。返し部686aは、傷付け部685の胴部685a内の空洞に嵌まり、返しによって固定部686は傷付け部685から抜けなくされ(カシメ構造)、これによって、取付け孔684に傷付け部685が取り付けられる。
この傷付け部685を取り付けたシール貼付部671およびシール貼付部672に跨るように封印シール673を貼付すると、図15(d)に示すように、封印シール673は、傷付け部685の形状に応じて変形し変形部687が形成される。この変形部687の変形が、傷付け部685による封印シール673の傷付けに相当する。
封印シール673は、シール貼付部671およびシール貼付部672から剥がした後にも、傷付け部685の形状に応じた変形の痕跡(シワや傷等)を残すため、一旦貼られた封印シール673を剥がして、主基板ケース158を開け、主基板156にアクセスするという不正行為を抑止可能である。
また、傷付け部685の取付け位置は、複数の取付け孔684のうちのいずれかで変更するようにすれば、他から剥がした封印シール673を、再貼付しようとしても、傷付け部685の取付け位置が異なって、その痕跡をより見つけやすい場合がある。
また、取付け孔684に取り付けた傷付け部685を取り外して、取り付ける取付け孔684を変更するには、傷付け部685および固定部686は破壊する必要があり手間がかかるので、不正行為を抑止可能である。
<<実施例7>>
図16は、実施例7に係り、封印シール673を貼付する、シール貼付部671やシール貼付部672の構成を示す図であり、(a)は封印シール673を貼付する前であって複数の傷付け部すべてを残した状態を示す斜視図であり、(b)はシール貼付部671上の複数の傷付け部を見た側面図であり、(c)は封印シール673を貼付する前であって複数の傷付け部のうちの1つだけを残して他を除去した状態を示す斜視図であり、(d)は封印シール673を貼付した後の状態を示す斜視図であり、(e)は一旦貼った封印シール673を剥がした状態を示す斜視図であり、(f)は剥がした封印シール673を他の上ケース158aおよび下ケース158bに貼付する状態を示す斜視図であり、(g)は(f)の状態から封印シール673を貼付した後の状態を示す斜視図である。
上ケース158aのシール貼付部671や、下ケース158bのシール貼付部672には、突起状の複数の傷付け部688を設けてあり、この複数の傷付け部688の少なくとも1つを残して、他を除去し、その後、封印シール673を貼付する。すべての傷付け部688を残したまま封印シール673を貼付する場合もある。
傷付け部688は、上ケース158aまたは下ケース158bと一体に形成されており、シール貼付部671やシール貼付部672の表面よりも突出している。また、傷付け部688は、シール貼付部671やシール貼付部672との間にくびれ部688bを有する。傷付け部688を除去する際には、このくびれ部688bをひねることによって容易に除去可能に構成している。傷付け部688を一度除去すると、再取り付けは不可能である。
また、除去方法によっては、シール貼付部671に傷付け部688の一部がバリとして残され、特異な形状を有する傷付け部688としての機能が生じる。該形状は意図的に成形することが非常に困難なため、封印シール673に設けられた傷についても特異な形状となる。
複数の傷付け部688のうち所定の傷付け部688だけを残し、他を取り除いたシール貼付部671およびシール貼付部672に跨るように封印シール673を貼付すると、図16(d)に示すように、封印シール673は、残っている傷付け部688の形状に応じて変形し変形部689aが形成される。この変形部689aの変形が、傷付け部688による封印シール673の傷付けに相当する。
封印シール673は、シール貼付部671およびシール貼付部672から剥がした後にも、傷付け部688の形状に応じた変形の痕跡(シワや傷等)を残し、場合によっては破断した変形部690aとなるため、一旦貼られた封印シール673を剥がして、主基板ケース158を開け、主基板156にアクセスするという不正行為を抑止可能である。
また、傷付け部688を残す位置は、複数の傷付け部688のうちのいずれかで変更するようにすれば、他から剥がした封印シール673を、再貼付しようとしても、残っている傷付け部685の位置が異なって、その痕跡をより見つけやすい場合がある(図16(f)、図16(g)参照)。
また、傷付け部688は一度除去すると、再取り付けは不可能であるので、不正行為を抑止可能である。
<<実施例8>>
図17は、実施例8に係り、封印シール673を貼付する、シール貼付部671やシール貼付部672の構成を示す図であり、(a)は封印シール673を貼付する前の状態を示す斜視図であり、(b)は封印シール673を貼付した後に傷付け部を取り付けた状態を示す斜視図であり、(c)は(b)のXVIIC−XVIIC断面図である。
また、図18は、実施例8に係り、封印シール673を貼付する、シール貼付部671やシール貼付部672の構成を示す図であり、(a)は封印シール673を貼付し傷付け部を取り付けた後に、封印シール673を剥がした状態を示す斜視図であり、(b)は(a)のXVIIIB−XVIIIB断面図である。
上ケース158aのシール貼付部671には、貫通孔である取付け孔691および傷付け部692を設けてあり、取付け孔691に傷付け部692を取り付ける前に封印シール673を貼付し、その後、傷付け部692を取付け孔691に挿入することによって、傷付け部692が取付け孔691上の封印シール673を貫通して封印シール673に破断部693を形成する。取付け孔691に挿入した傷付け部692は、取付け孔691においてカシメて固定される。
傷付け部692は上ケース158aと完全に別体としてもよいし、図17(a)に示すように紐部材等によって連結しておいてもよい。この連結によって、取付け孔691への取り付け前に傷付け部692を紛失してしまうことを防ぎ、作業性を向上させるとともに、封印シール673が剥がされたときに破断を大きくすることができる場合がある。
また、本実施例では、取付け孔691および傷付け部692の両方を同一の上ケース158aに設けるようにしているが、取付け孔691と傷付け部692とを、一方を上ケース158aに設け、他方を下ケース158bに設けるようにしてもよい。これにより、封印シール673を半分剥がした状態で基板ケース158を開封し、不正行為を行った後、再度封止を行うといった不正行為の実行をより困難にすることができる場合がある。または、上下ケース158a、158bのそれぞれにカシメを取り付けてもよい。
シール貼付部671およびシール貼付部672に跨るように封印シール673を貼付した後に、傷付け部692を取付け孔691に取り付けると、図17(c)に示すように、封印シール673は、傷付け部692の形状に応じて破断して変形し破断部693が形成される。この破断部693の変形が、傷付け部692による封印シール673の傷付けに相当する。
封印シール673は、シール貼付部671およびシール貼付部672から剥がすと、図18(a)、図18(b)に示すように、封印シール673は、傷付け部692の形状に応じてさらに破断して変形し破断部694が形成される。この破断部694の変形が、傷付け部692による封印シール673の傷付けに相当する。
このため、一旦貼られた封印シール673を剥がして、主基板ケース158を開け、主基板156にアクセスするという不正行為を抑止可能である。
<<実施例9>>
図19は、実施例9に係り、2つの部材に跨って貼付する封印シールに対し、貼付後に操作がされた場合に痕跡を残す構成を示す図であって、(a)は2つの部材を分離して開いた状態を示す斜視図であり、(b)は2つの部材を組み合わせて閉じた状態を示す斜視図である。
また、図20は、実施例9に係り、2つの部材に跨って貼付する封印シールに対し、貼付後に操作がされた場合に痕跡を残す構成を示す図であって、(a)は2つの部材を閉じて封印シールを貼付した状態を示す斜視図であり、(b)は(a)のXXB−XXB断面図である。
また、図21は、実施例9に係り、2つの部材に跨って貼付する封印シールに対し、貼付後に操作がされた場合に痕跡を残す構成を示す図であって、(a)は2つの部材を閉じて封印シールを貼付した状態に被せるカバー部材を示す斜視図であり、(b)、(c)、(d)はカバー部材を被せる様子の概略を示す概略側面図である。
また、図22は、実施例9に係り、2つの部材に跨って貼付する封印シールに対し、貼付後に操作がされた場合に痕跡を残す構成を示す図であって、(a)は2つの部材を閉じて封印シールを貼付した上でカバー部材を被せた状態を示す斜視図であり、(b)は(a)のXXIIB−XXIIB断面図である。
さらに、図23は、実施例9に係り、2つの部材に跨って貼付する封印シールに対し、貼付後に操作がされた場合に痕跡を残す構成を示す図であって、(a)は2つの部材を閉じて封印シールを貼付した上でカバー部材を被せた状態を示す斜視図であり、(b)は(a)のXXIIIB−XXIIIB断面図であり、(c)は(a)の状態からカバー部材を引き抜く途中を示す斜視図であり、(d)は(c)の状態を示す(b)と同様の断面図であり、(e)は(c)の状態からさらにカバー部材を引き抜いた状態を示す斜視図であり、(f)は(e)の状態を示す(b)と同様の断面図である。
本実施例では、図19(a)に示すように、2つの部材として上基板ケース701および下基板ケース702を用いている。上基板ケース701と下基板ケース702とで基板ケース700を成す。
上基板ケース701と下基板ケース702との間には、封印シール800を破壊する破壊手段703を収容する。
下基板ケース702は、図中の左右方向ほぼ全域にわたる凸部707および708を有し、凸部707と凸部708とはほぼ平行にその間隔をほぼ均一に設けている。また、凸部707と凸部708との間に貫通孔を有する(図20(b)参照)。
破壊手段703は、下面に、図中の左右方向ほぼ全域にわたる凸部706を有し、凸部706は、凸部707と凸部708との間に嵌まり、破壊手段703と下基板ケース702とは、凸部706、707、708の長さ方向にスライド可能にしている。また、破壊手段703の上面には、突出する破壊部705を有する。
上基板ケース701には、上基板ケース701と下基板ケース702との間に破壊手段703を収容したとき、破壊部705の逃げとなる貫通孔704を有する。破壊手段703と下基板ケース702とがスライドしたとき、上基板ケース701は下基板ケース702に固定されており、貫通孔704は、このスライド時に破壊部705が移動する方向に長さを有する。
破壊手段703を収容して上基板ケース701と下基板ケース702とを閉じた後、上基板ケース701と下基板ケース702とに跨るとともに、貫通孔704を塞ぐように封印シール800を貼付する(図20(a)参照)。
その後、図21(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、カバー部材805を被せる。なお、図21(b)、(c)、(d)では、簡単のため、上基板ケース701および下基板ケース702の図示を省略している。
カバー部材805は、開口端に係合部808を有し、この開口端から基板ケース700をスライド挿入する。カバー部材805は、凸部707と凸部708との間の貫通孔に嵌まる持ち上げ部807を有し、開口端から基板ケース700を挿入すると、持ち上げ部807の上部が、破壊手段703の凸部706の下部に当接して破壊手段703を持ち上げる。この持ち上げによって破壊手段703の破壊部705は、上基板ケース701の貫通孔704を貫通し、さらに貫通孔704上に貼付されている封印シール800を突き破り(図22(b)参照)、破断部810を形成する。また、このとき、カバー部材805の開口端の係合部808は、破壊手段703の破壊部705側の端部に係合する(図21(d)、図23(b)参照)。
この後、例えば不正行為者が、閉じた上基板ケース701と下基板ケース702とを開こうとして、基板ケース700からカバー部材805を外そうとスライドさせると、カバー部材805の係合部808が破壊手段703の端部に係合しているため、カバー部材805に連れられて破壊手段703が基板ケース700内から引き抜かれる(図23(d)参照)。このとき、封印シール800を破断部810で突き破っている破壊部705は、貫通孔704に沿って移動し、破断を拡大させ、貫通孔704に沿った破断部811を封印シール800に形成する。すなわち、カバー部材805の移動に伴い破断が拡大する。
本実施例においては、破断部810および破断部811のそれぞれが破壊部705による封印シール800の傷付けに相当する。
本実施例によれば、貼られた封印シール800を傷付けることによって、基板ケース700を開け、内部にアクセスするという不正行為を抑止可能である。
本実施例においては、破壊部705が貫通孔704及び806に持ち上げられることで上基板ケース701に貼り付けられた封印シール800を突き破り、カバー部材805の取り外し動作に応じて、破断を拡大させる例を記載したが、これに限らず、例えば上基板ケース701と下基板ケース702との間に貫通孔を備えても良い。これにより、カバー部材805の取り外しに応じて、上基板ケースと下基板ケースに跨り貼り付けられた封印シール800が破断するため基板ケースを取り外すことができる。
<遊技台の別の例>
本発明に係る遊技台は、図24に示す「複数種類の図柄が施され、回転駆動される複数のリール21002と、リールの回転を指示するためのスタートレバー21004と、各々のリールに対応して設けられ、リールの回転を個別に停止させるための停止ボタン21006と、複数種類の役の内部当選の当否を抽選により判定する抽選手段(入賞役内部抽選)と、抽選手段の抽選結果に基づいてリールの回転の停止に関する停止制御を行うリール停止制御手段(リール停止制御処理)と、抽選手段の抽選結果に基づいて停止されたリールによって表示される図柄組合せが、内部当選した役に対応して予め定めた図柄組合せであるか否かの判定をする判定手段(入賞判定処理)と、図柄の停止態様が所定の入賞態様である場合、所定の入賞態様に対応する遊技媒体を払出す遊技媒体払出処理を行う払出制御手段(メダル払出処理21008)と、に加え、抽選手段の抽選結果に基づいて演出を実行する演出手段21010を備え、この演出手段が、所定の遊技領域21012に球を発射する発射装置21014と、発射装置から発射された球を入球可能に構成された入賞口21016と、入賞口21016に入球した球を検知する検知手段21018と、検知手段21018が球を検知した場合に球を払出す払出手段21020と、所定の図柄(識別情報)を変動表示する可変表示装置21022と、可変表示装置21022を遮蔽する位置に移動可能なシャッタ21024と、所定動作態様で動作する可動体21026と、を備え、入賞口に遊技球が入って入賞することを契機として、可変表示装置21022が図柄を変動させた後に停止表示させて、遊技を演出するような演出装置21010、であるスロットマシン21000」にも好適である。
<その他>
ところで、複数の部材に跨ってシールの貼り付けを行うこと、カバー部材の取り外しに応じてICタグシールを破壊することが考えられる。
本発明においては、貼付状態においてシールに痕跡を残す点に特徴を有する場合がある。
また、本発明においては、貼付状態にある構成に対して外力が加えられた場合に、痕跡が拡大する点に特徴を有する場合がある。
また、本発明においては、シール自体の剥離及び再貼付に特徴を有する場合がある。
また、本発明においては、封印シールの貼付状態から、破壊部によって封印シールの一部を破壊するとともに、カバー部材の開放動作に伴い破壊部を移動させることで、封印シールを確実に破壊可能な構成に特徴を有する場合がある。
傷付け部は、貼り付けられたシール部材(封印シール)に対して押圧を加え、シール部材の塑性変形を促す、貼付部から突出する突部からなる(突出する方向は、貼付部が備えられた面から鉛直方向)。
傷付け部がシール部材に与える押圧は不定である。これは、シールの貼り付け方に応じて異なるためである。ただし、貼付部に対してシール部材を面一に貼り付けることは阻止することが可能である。
シール部材が跨って貼り付けされる複数の部材は、内部に基板が収納される基板ケースからなる場合がある。他の部材であってもよい。また、基板ケースにあっては、上述の主基板ケース158、副基板ケース162及び166、払出基板ケース172、発射基板ケース176及び電源基板ケース184等を例に挙げることが可能であるが、遊技者の利益に関する制御を行う主基板が格納される主基板ケース158等に発明を適用することが好ましい。
痕跡残し手段は、錐からなる場合がある。これは、シール粘着面がシール貼付部に貼り付けされずに中空に位置することを防ぐ。
シール貼付部において、領域毎にシールの粘着面と接する表面積をそれぞれで異ならせる場合がある。粘着面との接触面積を異ならせることで、貼付強度を一定とせず、一定の力で剥がそうとしても上手に剥がすことが出来ず、作業が困難になる場合がある。
痕跡残し手段により複数の部材を跨ぐ部分の強度が低下する場合がある。複数部材の接合状態を解除する動作に基づいてシール部材が破断されるため、不正行為ではない接合解除動作が容易に行える場合がある。また、部材を跨いでシールが貼り付けされるため、不正行為を行った場合、外力が最もシールに伝わりやすい場合がある。
シール部材はICタグを備える場合がある。
シール部材は、識別情報が記憶されると共に前記記憶された識別情報を所定の機器により非接触の状態で読み取ることができる読取機能が付加され、前記傷付け部材は、貼り付けに基づき前記シール部材に第一の傷を付けると共に、剥離に基づき第二の傷を付け、前記第一の傷は、前記識別情報を読み取り可能に付けられ、前記第二の傷は、前記識別情報の読み取りを困難に付けられる。
カバー部材の取り付けに応じて破壊部材がシール部材の一部を破壊、カバー部材の取り外しに応じて破壊部材がシール部材の複数領域を破壊する場合がある。カバー部材の着脱に応じてシール部材を破壊することで、作業短縮できる場合がある。破壊部材によるシール部材の破壊が均一に行われ、個体差が生じにくく、不正行為の判別も容易に行うことが可能となる場合がある。
本発明において、傷付け部は、シールが貼り付けされる貼付部が備えられた所定の面から突出する場合がある。この場合、積極的にシール部材を変形させる。また、発明においては、貼付状態にあるシール部材に外力が与えられた場合には、傷付け部によりシール部材が破壊されるように構成されている場合がある。
「傷付け」は、シール部材を塑性変形させる(元の形状への変形、復帰を困難とする)ものである場合がある。シール部材は、可撓性を有し形状が一定でない物体であるが、「傷付け」により、少なくとも所定時間、元の形状への変形、復帰を困難とする。
傷付け部による傷付けは、外力が加えられるとシール部材が破壊される、その直前の状態であり、このギリギリの状態で保たれている状態である場合がある。
傷付け部材は、第一の部材及び第二の部材のそれぞれに設けられていてもよい。
傷付け部材による傷は、シール部材の表面における1又は複数の点に設けられる。又点の集合により直線上に傷を設ける場合には、シール部材の表面において、該直線上の傷が設けられた領域以外にも傷を設けておくことが好ましい。これにより、シール部材を剥離させる際に単方向からの力のみではシール部材の剥離が困難になるため、更に不正行為を抑止することができる場合がある。
<付記1>
なお、以上説明した本発明は、
1. 所定の位置に貼り付けられるシール部材と、
隣設する第一の部材及び第二の部材と、
を備えた遊技台であって、
前記シール部材に傷を付ける傷付け部材を有し、該傷付け部材により傷つけられた前記シール部材が前記第一の部材及び第二の部材に跨って貼り付けられたことを特徴とする遊技台、としたので、
シール部材が新品で無いことが分かりやすいという効果を奏する。
また、シール部材が剥離後に再使用されたものであることが分かりやすいという効果を奏する。
すなわち、シール部材が使用済みのものであることが痕跡により判別可能であるという効果を奏する。
これにより、不正行為を抑止可能な遊技台を提供することができる。
2. 1.に記載の遊技台において、
前記傷付け部材による傷は、前記シール部材の少なくとも一部の破壊であることを特徴とする遊技台、としたので、
破壊によってシール部材が使用済みであることがより判別容易である場合がある。
また、不正行為者による傷の修正を困難とする場合がある。
3. 1.または2.に記載の遊技台であって、
前記傷付け部材は、貼り付けに基づき第一の傷を前記シール部材に付けると共に、剥離に基づき第二の傷を該シール部材に付け、前記第二の傷は、前記第一の傷よりも大きいことを特徴とする遊技台、としたので、
シール部材の剥離により傷の大きさを広げることで該シール部材が再利用された場合の発見が容易である場合がある。
4. 1.ないし3.のうちのいずれか1項に記載の遊技台であって、
前記傷付け部材は、複数の中から選択的に一又は複数の位置に備えることが可能であることを特徴とする遊技台、としたので、
異なる位置に傷付け部材を設ける構成間での再貼付を抑止可能な場合がある。
5. 1.ないし4.のうちのいずれか1項に記載の遊技台であって、
前記第一の部材及び前記第二の部材の分離を規制すると共に該複数の部材の少なくとも一部を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記複数の部材の分離を規制する第一の位置と、前記複数の部材の分離を規制しない第二の位置と、を移動可能に構成され、
前記傷付け部材は、前記カバー部材の第一の位置から第二の位置への移動動作に伴い、前記傷を連続的に広げることを特徴とする遊技台、としたので、
第一の部材及び第二の部材の連結が解除されたことを明確にするため、シール部材への傷付けをより確実に行う場合がある。
また、貼り付け時に傷が付けられる位置とは異なる位置に傷が付けられるため、再貼付に気付きやすい場合がある。
再貼付に気付きやすい構成とすることで、剥離及び再貼付等の不正行為自体の抑止可能な場合がある。
<付記2>
なお、以上説明した本発明は、
1. 所定の位置に貼り付けられるシール部材と、
隣設する第一の部材及び第二の部材と、
を備えた遊技台であって、
前記シール部材に傷を付ける傷付け部材を有し、該傷付け部材により傷つけられた前記シール部材が前記第一の部材及び第二の部材に跨って貼り付けられ、
前記傷付け部材は、貼り付けに基づき第一の傷を前記シール部材に付けると共に、剥離に基づき第二の傷を該シール部材に付け、前記第二の傷は、前記第一の傷よりも大きい、
ことを特徴とする遊技台、とした。
また本発明は、
2. 1.に記載の遊技台であって、
前記傷付け部材は、複数の中から選択的に一又は複数の位置に備えることが可能である、
ことを特徴とする遊技台、とした。
また本発明は、
3. 1.または2.に記載の遊技台であって、
前記第一の部材及び前記第二の部材の分離を規制すると共に該複数の部材の少なくとも一部を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記複数の部材の分離を規制する第一の位置と、前記複数の部材の分離を規制しない第二の位置と、を移動可能に構成され、
前記傷付け部材は、前記カバー部材の前記第一の位置から前記第二の位置への移動動作に伴い、前記傷を連続的に広げる、
ことを特徴とする遊技台、とした。
また本発明は、
4. 1.乃至3.のいずれか一項に記載の遊技台であって、
前記傷付け部材による傷は、前記シール部材の少なくとも一部の破壊である、
ことを特徴とする遊技台、とした。
<付記3>
なお、以上説明した本発明は、
1. 制御基板を収容する基板ケース(例えば、基板ケース700)と、
前記基板ケースに少なくとも一部が貼り付けられたシール(例えば、封印シール800)と、
前記シールを破損させることが可能な破損手段(例えば、破壊部705)と、
を備えた遊技台であって、
前記基板ケースは、第一のカバー体(例えば、上基板ケース701)を少なくとも含んで構成されたケースであり、
前記基板ケースは、第二のカバー体(例えば、下基板ケース702)を少なくとも含んで構成されたケースであり、
前記シールは、前記第一のカバー体の外面の少なくとも一部を覆う第一の部位を含むシールであり、
前記シールは、前記基板ケースに貼り付けられていない第二の部位を含むシールであり、
前記シールは、前記第二のカバー体の外面の少なくとも一部を覆う第三の部位を含むシールであり、
前記破損手段は、前記第一のカバー体とは別体に構成された手段であり、
前記破損手段は、前記第二のカバー体とは別体に構成された手段であり、
前記破損手段は、前記シールの前記第二の部位を少なくとも破損させることが可能な手段であり、
前記シールは、前記破損手段の少なくとも一部を覆うシールである、
ことを特徴とする遊技台、としたので、
破損手段によって、安全にシールのみを破損させることができ、シールの再利用を防止することができる場合がある。すなわち、店員がシールを破損する際に、シールの破損にカッター等を用意する必要が無く、カッター等でシールを破損する場合と比べて、他の部品を傷つける恐れや店員が怪我を負う恐れが無くなる。また、シールが破損手段の一部を覆うことで、破損手段の存在に気付かない不正者の不正行為があった場合の痕跡を発見し易くなる場合がある。
また本発明は、
2. 1.に記載の遊技台であって、
前記第一の部位は、該第一の部位の面積が前記第二の部位の面積よりも大きい部位であり、
前記第三の部位は、該第三の部位の面積が前記第二の部位の面積よりも大きい部位である、
ことを特徴とする遊技台、としたので、
第二の部位の面積より第一の部位や第三の部位の面積が大きく、シールを破損手段で破損させやすくなる場合がある。
また本発明は、
3. 1.または2.に記載の遊技台であって、
前記シールの少なくとも一部を覆う被覆手段を備え、
前記被覆手段は、第一の位置から第二の位置に少なくとも移動可能な手段であり、
前記第一の位置は、前記第二の位置と異なる位置であり、
前記破損手段は、前記被覆手段の前記第一の位置から前記第二の位置への移動に伴って移動可能とされる手段であり、
前記破損手段は、前記被覆手段の前記第一の位置から前記第二の位置への移動に伴って、前記シールを破損可能な手段である、
ことを特徴とする遊技台、とした。
また本発明は、
4. 1.乃至3.のいずれか一項に記載の遊技台であって、
前記遊技台は、ぱちんこ機またはスロットマシンである、
ことを特徴とする遊技台、とした。
本発明の態様は、上述した個々の実施例に限定されるものではなく、個々の実施例の各要素のいかなる組合せも本発明に含み、また、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。