JP2014207727A - 車両走行装置およびこの車両走行装置を備える電動車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】低回転領域において動力系の総合効率の低下を抑制することが可能な車両走行装置およびこの車両走行装置を備える電動車両を提供する。
【解決手段】車両走行装置10は、前輪2を駆動する前輪駆動モータ21と、後輪3を駆動する後輪駆動モータ31とを備えている。前輪駆動モータ21は、前輪駆動モータ21の高回転領域かつ低トルク領域における鉄損が大きく、かつ前輪駆動モータ21の低回転領域かつ高トルク領域における銅損が小さく設定されている。後輪駆動モータ31は、後輪駆動モータ31の低回転領域かつ高トルク領域における銅損が大きく、かつ後輪駆動モータ31の高回転領域かつ低トルク領域における鉄損が小さく設定されている。そして、前輪駆動モータ21により駆動される前輪2の車輪回転数の上限値は、後輪駆動モータ31により駆動される後輪3の他方の車輪回転数の上限値よりも小さい。
【選択図】図1
【解決手段】車両走行装置10は、前輪2を駆動する前輪駆動モータ21と、後輪3を駆動する後輪駆動モータ31とを備えている。前輪駆動モータ21は、前輪駆動モータ21の高回転領域かつ低トルク領域における鉄損が大きく、かつ前輪駆動モータ21の低回転領域かつ高トルク領域における銅損が小さく設定されている。後輪駆動モータ31は、後輪駆動モータ31の低回転領域かつ高トルク領域における銅損が大きく、かつ後輪駆動モータ31の高回転領域かつ低トルク領域における鉄損が小さく設定されている。そして、前輪駆動モータ21により駆動される前輪2の車輪回転数の上限値は、後輪駆動モータ31により駆動される後輪3の他方の車輪回転数の上限値よりも小さい。
【選択図】図1
Description
本発明は、第1車輪および第2車輪のそれぞれを駆動する駆動モータを備える車両走行装置およびこの車両走行装置を備える電動車両に関する。
従来の車両走行装置は、一対の第1車輪のそれぞれを駆動する2個の第1駆動モータおよび一対の第2車輪のそれぞれを駆動する2個の第2駆動モータが各第1車輪および各第2車輪のそれぞれに内蔵された構成を有する。従来の車両走行装置は、全駆動モータにおける総合的な消費電力が最小となるように、電動車両の走行時に必要とされるトルクを第1駆動モータおよび第2駆動モータに分配している。すなわち、従来の車両走行装置は、第1駆動モータ単体の効率が高くなるトルクと第2駆動モータ単体の効率が高くなるトルクを合算して電動車両の走行時に必要とされるトルクを出力している。なお、特許文献1は、従来の車両走行装置の一例を示している。
従来の車両走行装置においては、第1駆動モータ単体の効率が高い領域および第2駆動モータ単体の効率が高い領域がともに高回転領域に偏っている。このため、例えば、渋滞時に電動車両の発進および停止を繰り返す場合のような各車輪の車輪回転数が低回転領域においては、全駆動モータの総合した効率が低くなる。このため、動力系の総合効率についても低回転領域で低くなる。なお、動力系の総合効率は、第1車輪および第2車輪に伝達される駆動力を電動車両のバッテリの消費電力で除した値として算出される。第1車輪および第2車輪に伝達される駆動力は、第1駆動モータおよび第2駆動モータのトルクに基づいて算出されるため、動力系の総合効率は全駆動モータの総合した効率と類似した傾向を示す。
本発明は、上記課題を解決するため、低回転領域において動力系の総合効率の低下を抑制することが可能な車両走行装置およびこの車両走行装置を備える電動車両を提供することを目的とする。
本手段は、「第1車輪を駆動する第1駆動モータを有する第1走行ユニットと、第2車輪を駆動する第2駆動モータを有する第2走行ユニットとを備え、前記第1駆動モータは、前記第1駆動モータの高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が大きく、かつ前記第1駆動モータの低回転領域かつ高トルク領域において銅損が小さく設定され、前記第2駆動モータは、前記第2駆動モータの低回転領域かつ高トルク領域において銅損が大きく、かつ前記第2駆動モータの高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が小さく設定され、前記第1駆動モータにより駆動される前記第1車輪の車輪回転数の上限値は、前記第2駆動モータにより駆動される前記第2車輪の車輪回転数の上限値よりも小さい車両走行装置」を有する。
この車両走行装置においては、第1駆動モータが低回転領域かつ高トルク領域におけるモータ効率が高くなる。このため、従来の車両走行装置と比較して、低回転領域においてモータ効率が高くなる。加えて、第1駆動モータにより駆動される第1車輪の車輪回転数の上限値が第2駆動モータにより駆動される第2車輪の車輪回転数の上限値よりも小さい。このため、本車両走行装置は、第1駆動モータにより駆動される第1車輪の車輪回転数の上限値が第2駆動モータにより駆動される第2車輪の車輪回転数の上限値と等しいと仮定した場合と比較して、より低回転領域におけるモータ効率が高くなる。したがって、本車両走行装置は、より低回転領域における動力の総合効率が高くなる。
上記手段の一形態は、「前記第1駆動モータの回転数を減速した状態で前記第1駆動モータのトルクを前記第1車輪に伝達する減速機をさらに備える車両走行装置」を有する。
上記手段の一形態は、「前記第1車輪は、前輪であり、前記第2車輪は、後輪であり、当該車両走行装置は、前記前輪の転舵角を変更する転舵機構をさらに備える車両走行装置」を有する。
上記手段の一形態は、「前記第1車輪は、前輪であり、前記第2車輪は、後輪であり、当該車両走行装置は、前記前輪の転舵角を変更する転舵機構をさらに備える車両走行装置」を有する。
一般的に、駆動モータの出力するトルクを大きくする場合、駆動モータの導電線の巻数(ターン数)を増加させることが挙げられる。この場合、導電線が巻き付けられるステータコアのスロット間に導電線を挿入するためのスペースが必要となるため、ステータコアが駆動モータの径方向に大型化する。このため、駆動モータがその径方向に大型化する。
一方、第1駆動モータには減速機が連結するため、減速後の第1駆動モータの最大トルクと、第1車輪(前輪)を直接的に駆動すると仮定した仮想駆動モータの最大トルクとが互いに等しい場合、第1駆動モータの単体の最大トルクは、仮想駆動モータの最大トルクよりも小さくなる。したがって、第1駆動モータは、仮想駆動モータよりも体格が小さくなる。
そして、車両走行装置においては、第1駆動モータが前輪を駆動するため、仮想駆動モータが前輪を駆動する構成と比較して、前輪と第1駆動モータとの間に空きスペースを広く形成することができる。このため、前輪への転舵機構の取り付けの際に、前輪に対する転舵機構の配置の自由度が高くなる。
上記手段の一形態は、「前記第1走行ユニットは、前記第1駆動モータのトルクを前記第1車輪に伝達することが可能な接続状態と、前記第1駆動モータのトルクを前記第1車輪に伝達することが不能な切断状態とを切り替えるクラッチをさらに備える車両走行装置」を有する。
上記手段の一形態は、「前記第2駆動モータのみが駆動するとき、前記クラッチを前記切断状態とする車両走行装置」を有する。
この車両走行装置においては、電動車両の走行に必要なトルクが第2駆動モータのみに分配される場合、クラッチにより第1車輪と第1駆動モータとの間のトルクの伝達が切断される。これにより、第2駆動モータが発生するトルクが第1車輪を介して第1駆動モータを回転させることによる損失の発生が抑制される。
この車両走行装置においては、電動車両の走行に必要なトルクが第2駆動モータのみに分配される場合、クラッチにより第1車輪と第1駆動モータとの間のトルクの伝達が切断される。これにより、第2駆動モータが発生するトルクが第1車輪を介して第1駆動モータを回転させることによる損失の発生が抑制される。
上記手段の一形態は、「前記車両走行装置を備える電動車両」を有する。
本車両走行装置および本電動車両は、低回転領域において動力系の総合効率の低下を抑制することができる。
図1を参照して、電動車両1の構成について説明する。
電動車両1は、第1車輪としての一対の前輪2、第2車輪としての一対の後輪3、操舵部品4、車両走行装置10、およびバッテリ60を有する。電動車両1は、車両走行装置10を構成する1組の前輪走行ユニット20および1組の後輪走行ユニット30の駆動力により走行する4輪駆動方式を有する。なお、前輪走行ユニット20は「第1走行ユニット」に相当する。後輪走行ユニット30は「第2走行ユニット」に相当する。
電動車両1は、第1車輪としての一対の前輪2、第2車輪としての一対の後輪3、操舵部品4、車両走行装置10、およびバッテリ60を有する。電動車両1は、車両走行装置10を構成する1組の前輪走行ユニット20および1組の後輪走行ユニット30の駆動力により走行する4輪駆動方式を有する。なお、前輪走行ユニット20は「第1走行ユニット」に相当する。後輪走行ユニット30は「第2走行ユニット」に相当する。
各前輪2は、タイヤ2Aおよびホイール2Bを有する。各後輪3は、タイヤ3Aおよびホイール3Bを有する。
車両走行装置10は、1組の前輪走行ユニット20、1組の後輪走行ユニット30、制御装置40、および転舵機構50を有する。車両走行装置10は、制御装置40により各前輪走行ユニット20および各後輪走行ユニット30を制御する。
車両走行装置10は、1組の前輪走行ユニット20、1組の後輪走行ユニット30、制御装置40、および転舵機構50を有する。車両走行装置10は、制御装置40により各前輪走行ユニット20および各後輪走行ユニット30を制御する。
前輪走行ユニット20は、各前輪2のホイール2Bに内蔵されている。前輪走行ユニット20は、前輪駆動モータ21、減速機22、クラッチ23、およびハブユニット(図示略)を有する。前輪走行ユニット20は、前輪駆動モータ21が減速機22、クラッチ23、およびハブユニットを介して前輪2を間接的に駆動する構成を有する。なお、前輪駆動モータ21は「第1駆動モータ」に相当する。
前輪駆動モータ21は、埋込磁石型の3相ブラシレスモータが用いられている。前輪駆動モータ21は、永久磁石を含むロータと、導電線がステータコアに巻き付けられることにより構成されるステータとを有する。前輪駆動モータ21は、減速機22に連結されている。
減速機22は、遊星歯車機構が用いられている。減速機22は、クラッチ23に取り付けられている。減速機22は、前輪駆動モータ21の回転を減速した状態で前輪駆動モータ21のトルクをホイール2Bにクラッチ23を介して伝達する。
クラッチ23は、ハブユニットを介してホイール2Bに取り付けられている。クラッチ23は、前輪駆動モータ21(減速機22)のトルクをホイール2Bに伝達することが可能な接続状態と、前輪駆動モータ21(減速機22)のトルクをホイール2Bに伝達することが不能な切断状態とを切り替える。
後輪走行ユニット30は、各後輪3のホイール3Bに内蔵されている。後輪走行ユニット30は、後輪駆動モータ31およびハブユニットを有する。後輪走行ユニット30は、後輪駆動モータ31が後輪3を直接的に駆動する構成を有する。なお、後輪駆動モータ31は「第2駆動モータ」に相当する。
後輪駆動モータ31は、埋込磁石型の3相ブラシレスモータが用いられている。後輪駆動モータ31は、永久磁石を含むロータと、導電線がステータコアに巻き付けられることにより構成されるステータとを有する。後輪駆動モータ31は、前輪駆動モータ21および減速機22を合わせた体格よりも大きな体格を有する。
制御装置40は、ECU41(Electronic Control Unit)およびインバータ42を有する。制御装置40は、バッテリ60と電気的に接続されている。制御装置40は、バッテリ60から電力が供給される。
ECU41は、クラッチ23およびインバータ42と電気的に接続されている。ECU41は、クラッチ23およびインバータ42の動作を制御する制御信号をクラッチ23およびインバータ42に送信する。具体的には、ECU41は、クラッチ制御信号により各クラッチ23の接続状態および切断状態の切替動作を制御する。ECU41は、モータ制御信号により各前輪駆動モータ21および各後輪駆動モータ31の回転数およびトルクを可変制御する。
インバータ42は、バッテリ60の直流電力を3相交流に変換する。インバータ42は、3相交流の電力を各前輪駆動モータ21および各後輪駆動モータ31に供給する。インバータ42は、各前輪駆動モータ21および各後輪駆動モータ31への電力の供給態様を個別に変更可能とする。
転舵機構50は、各前輪2に接続されている。転舵機構50は、ステアリングシャフト51、ラックシャフト52、ラックアンドピニオン機構53、および2個のタイロッド54を有する。ステアリングシャフト51の一方の端部は、操舵部品4に接続されている。ステアリングシャフト51の他方の端部は、ラックシャフト52に接続されている。ラックシャフト52の両端部は、タイロッド54等を介して各前輪2に接続されている。転舵機構50においては、操舵部品4の回転操作にともないステアリングシャフト51が一体に回転する。転舵機構50においては、ラックアンドピニオン機構53によりステアリングシャフト51の回転をラックシャフト52の往復動に変換する。転舵機構50においては、ラックシャフト52の往復動により各タイロッド54を介して各前輪2の転舵角を変更する。
図2を参照して、前輪走行ユニット20および後輪走行ユニット30の特性について説明する。なお、図2を参照する以下の説明においては、符号が付された電動車両1の構成要素は、図1に記載された構成要素を示す。また、「モータ効率」は、各駆動モータ21,31単体の効率を示す。モータ効率は、各駆動モータ21,31に供給された電力と、各駆動モータ21,31が出力するトルクおよび回転数の積とに基づいて算出される。
図2においては、図面の簡略化のために図示を省略しているが、図2(a)におけるモータ効率が「88%」以下の領域および図2(b)におけるモータ効率が「84%」以下の領域では、実際にはモータ効率が低下する方向に大きく変化している。また、図2(c)におけるモータ効率が「88%」以下の領域および図2(d)におけるモータ効率が「84%」以下の領域についても同様である。
まず、図2(a)および図2(b)を参照して、前輪駆動モータ21および後輪駆動モータ31のモータ特性について説明する。
図2(a)および図2(b)に示されるように、前輪駆動モータ21は、後輪駆動モータ31と比較して、高回転低トルク型のモータとして構成されている。すなわち、各駆動モータ21,31に同一の電圧および電流が供給されたときの前輪駆動モータ21の無負荷回転数が後輪駆動モータ31の無負荷回転数(図2(b)の破線の交点)よりも大きい。各駆動モータ21,31に同一の電圧および電流が供給されたときの前輪駆動モータ21の最大トルクTFが後輪駆動モータ31の最大トルクTRよりも小さい。なお、本実施形態の前輪駆動モータ21は、電動車両1の走行に用いられるとき、回転数の上限値が「7000rpm」に設定され、最大トルクTFが「25N・m」に設定されている。
図2(a)および図2(b)に示されるように、前輪駆動モータ21は、後輪駆動モータ31と比較して、高回転低トルク型のモータとして構成されている。すなわち、各駆動モータ21,31に同一の電圧および電流が供給されたときの前輪駆動モータ21の無負荷回転数が後輪駆動モータ31の無負荷回転数(図2(b)の破線の交点)よりも大きい。各駆動モータ21,31に同一の電圧および電流が供給されたときの前輪駆動モータ21の最大トルクTFが後輪駆動モータ31の最大トルクTRよりも小さい。なお、本実施形態の前輪駆動モータ21は、電動車両1の走行に用いられるとき、回転数の上限値が「7000rpm」に設定され、最大トルクTFが「25N・m」に設定されている。
また、前輪駆動モータ21は、後輪駆動モータ31と比較して、鉄損による損失が大きく、銅損による損失が小さいモータとして構成されている。このような構成の前輪駆動モータ21は、永久磁石の量を多くすること、永久磁石の配置を変更すること、および前輪駆動モータ21に印加される電圧を高くすることにより鉄損が大きくなるように設定されている。また前輪駆動モータ21は、ステータコアに巻き付けられる導電線の抵抗を小さくすることおよび前輪駆動モータ21に供給される電流を小さくすることにより銅損が小さくなるように設定されている。
図2(a)に示されるように、前輪駆動モータ21は、前輪駆動モータ21における高回転領域(例えば、5000rpm〜7000rpm)かつ低トルク領域(例えば、0〜5N・m)において損失(鉄損)が大きい。前輪駆動モータ21は、前輪駆動モータ21における低回転領域(例えば、500rpm〜3000rpm)かつ高トルク領域(例えば、15〜25N・m)において損失(銅損)が小さい。このため、前輪駆動モータ21は、前輪駆動モータ21にける低回転領域かつ高トルク領域において高いモータ効率を有する。
図2(a)および図2(b)に示されるように、後輪駆動モータ31は、前輪駆動モータ21と比較して、低回転高トルク型のモータとして構成されている。すなわち、各駆動モータ21,31に同一の電圧および電流が供給されたときの後輪駆動モータ31の無負荷回転数が前輪駆動モータ21の無負荷回転数よりも小さい。各駆動モータ21,31に同一の電圧および電流が供給されたときの後輪駆動モータ31の最大トルクTRが前輪駆動モータ21の最大トルクTFよりも大きい。なお、本実施形態の後輪駆動モータ31は、電動車両1の走行に用いられるとき、回転数の上限値が「1000rpm」に設定され、最大トルクTRが「250N・m」に設定されている。
また、後輪駆動モータ31は、前輪駆動モータ21と比較して、鉄損による損失が小さく、銅損による損失が大きいモータとして構成されている。このような構成の後輪駆動モータ31は、永久磁石の量を少なくすること、永久磁石の配置を変更すること、および後輪駆動モータ31に印加される電圧を低くすることにより鉄損が小さくなるように設定されている。また後輪駆動モータ31は、ステータコアに巻き付けられる導電線の抵抗を大きくすることおよび後輪駆動モータ31に供給される電流が大きくすることにより銅損が大きくなるように設定されている。
図2(b)に示されるように、後輪駆動モータ31は、後輪駆動モータ31における低回転領域(例えば、0〜300rpm)かつ高トルク領域(例えば、150〜250N・m)において損失(銅損)が大きい。後輪駆動モータ31は、後輪駆動モータ31における高回転領域(例えば、700〜1000rpm)かつ低トルク領域(例えば、50〜100N・m)において損失(鉄損)が小さい。このため、後輪駆動モータ31は、後輪駆動モータ31における高回転領域かつ低トルク領域において高いモータ効率を有する。
次に、図2(c)および図2(d)を参照して、減速機22の単体特性、および前輪駆動モータ21および減速機22の合算特性について説明する。
図2(c)に示されるように、減速機22単体の効率は、減速機22が出力する回転数に対する依存性が低く、減速機22が出力するトルクに対する依存性が高い。減速機22単体の効率は、減速機22が出力するトルクが高くなるにつれて高くなる。この理由としては以下のように考えられる。すなわち、減速機22内には、減速機22が出力する回転数にかかわらず一定の大きさの引きずりトルクが発生している。このため、減速機22が出力するトルクが高くなるにつれて、減速機22が出力するトルクに対する引きずりトルクの割合が小さくなる。したがって、減速機22が出力するトルクが高くなるにつれて減速機22単体の効率が高くなる。なお、本実施形態の減速機22は、減速比RRを「10」として設定されている。
図2(c)に示されるように、減速機22単体の効率は、減速機22が出力する回転数に対する依存性が低く、減速機22が出力するトルクに対する依存性が高い。減速機22単体の効率は、減速機22が出力するトルクが高くなるにつれて高くなる。この理由としては以下のように考えられる。すなわち、減速機22内には、減速機22が出力する回転数にかかわらず一定の大きさの引きずりトルクが発生している。このため、減速機22が出力するトルクが高くなるにつれて、減速機22が出力するトルクに対する引きずりトルクの割合が小さくなる。したがって、減速機22が出力するトルクが高くなるにつれて減速機22単体の効率が高くなる。なお、本実施形態の減速機22は、減速比RRを「10」として設定されている。
図2(d)に示される前輪駆動モータ21および減速機22の合算特性(以下、「減速後の前輪駆動モータ21の特性」)は、図2(a)に示される前輪駆動モータ21のモータ効率と、図2(c)に示される減速機22単体の効率とを掛け合わせることにより算出される。減速後の前輪駆動モータ21の特性は、図2(a)に示される前輪駆動モータ21単体のモータ特性に対し、減速比RRにより回転数領域が10分の1となり、かつトルク領域が10倍となる。減速後の前輪駆動モータ21の効率は、前輪駆動モータ21のモータ効率と同様に、低回転領域かつ高トルク領域において高くなる。これは、前輪駆動モータ21のモータ効率における高いモータ効率の領域が減速機22単体の効率における高い効率の領域と重複するためと考えられる。
以上により、減速後の前輪駆動モータ21、および後輪駆動モータは、次のような特性を有する。すなわち、減速後の前輪駆動モータ21の回転数領域の上限値(700rpm)は、後輪駆動モータ31の回転数領域の上限値(1000rpm)よりも小さい。このため、前輪駆動モータ21により駆動される前輪2の車輪回転数の上限値(700rpm)は、後輪駆動モータ31により駆動される後輪3の車輪回転数の上限値(1000rpm)よりも小さい。なお、本実施形態の電動車両1は、前輪2および後輪3の車輪回転数が「1000rpm」のとき、最高速度となる。電動車両1が最高速度の場合、後輪駆動モータ31のみが駆動する。
また、図2(d)に示される減速後の前輪駆動モータ21の最大トルクTFR、および図2(b)に示される後輪駆動モータ31の最大トルクTRはともに「250N・m」である。すなわち、本実施形態の減速機22の減速比RRは、前輪駆動モータ21の最大トルクTF(25N・m)が後輪駆動モータ31の最大トルクTR(250N・m)と等しくなるように設定されている。すなわち、本実施形態の減速機22の減速比RRは、後輪駆動モータ31の最大トルクTRを前輪駆動モータ21の最大トルクTFで除した値として算出される。
減速後の前輪駆動モータ21は、後輪駆動モータ31の高いモータ効率の領域に相当する回転数領域(700〜1000rpm)において使用することができない。加えて、減速後の前輪駆動モータ21は、後輪駆動モータ31の高いモータ効率の領域に相当する回転数領域(例えば、400〜700rpm)およびトルク領域(例えば、50〜150N・m)において低効率となる。また、後輪駆動モータ31は、減速後の前輪駆動モータ21の高い効率の領域に相当する回転数領域(例えば、100〜300rpm)およびトルク領域(例えば、150〜250N・m)において低効率となる。このように、減速後の前輪駆動モータ21および後輪駆動モータ31は、回転数とトルクに対する高効率領域の位置に差を有している。
本実施形態の制御装置40は、電動車両1における動力系の総合効率を高めるため、要求される電動車両1の走行速度(車速)における総トルク(総駆動力)を効率特性の異なる減速後の前輪駆動モータ21および後輪駆動モータ31に分配する。
動力系の総合効率は、電動車両1(車両走行装置10)におけるエネルギー効率を示す。動力系の総合効率は、前輪2および後輪3に伝達される動力をバッテリ60の消費電力で除することにより算出される。詳細には、動力系の総合効率は、以下の(数1)、(数2)、および(数3)により算出される。
ここで、「NFR」は、右前輪の車輪回転数を示す。「NFL」は、左前輪の車輪回転数を示す。「NRR」は、右後輪の車輪回転数を示す。「NRL」は、右後輪の車輪回転数を示す。「TFR」は、右前輪の出力トルクを示す。「TFL」は、左前輪の出力トルクを示す。「TRR」は、右後輪の出力トルクを示す。「TRL」は、左後輪の出力トルクを示す。「IBAT」は、バッテリ60の出力電流を示す。「VBAT」は、バッテリ60の出力電圧を示す。「PBAT」は、バッテリ60の消費電力を示す。「Pv」は、電動車両駆動力を示す。「ηP」は、動力系の総合効率を示す。「SIGNBAT」は、無次元数である。SIGNBATは、バッテリ60が電力を消費して各前輪駆動モータ21および各後輪駆動モータ31を駆動するときには「1」となる。SIGNBATは、各前輪駆動モータ21および各後輪駆動モータ31からバッテリ60に電力が回生されるときには「−1」となる。
図3を参照して、動力系の総合効率について説明する。
図3(a)のグラフは、電動車両1の車速における総トルクの最適なトルク配分が行われたときの車速および総トルクと動力系の総合効率との関係を示す。図3(a)のグラフの横軸は、減速後の前輪駆動モータ21および後輪駆動モータ31の回転数と前輪2および後輪3の車輪直径とに基づいて算出される車速(km/h)を示す。図3(a)のグラフの縦軸は、各前輪2および各後輪3が出力するトルクの合算値として算出される総トルク(N・m)を示す。
図3(a)のグラフは、電動車両1の車速における総トルクの最適なトルク配分が行われたときの車速および総トルクと動力系の総合効率との関係を示す。図3(a)のグラフの横軸は、減速後の前輪駆動モータ21および後輪駆動モータ31の回転数と前輪2および後輪3の車輪直径とに基づいて算出される車速(km/h)を示す。図3(a)のグラフの縦軸は、各前輪2および各後輪3が出力するトルクの合算値として算出される総トルク(N・m)を示す。
図3(b)のグラフは、図3(a)の動力系の総合効率を得るときに、減速後の前輪駆動モータ21と後輪駆動モータ31とがそれぞれ出力するトルクの配分比を示す。図3(b)により示される配分比は、電動車両1が要求する総トルク(以下、「要求トルク」)に対する減速後の前輪駆動モータ21の出力トルクの割合を示す。具体的には、配分比が「100%」のとき、減速後の前輪駆動モータ21のトルクのみで要求トルクを出力することを示す。配分比が「50%」のとき、減速後の前輪駆動モータ21のトルクおよび後輪駆動モータ31のトルクのそれぞれが要求トルクの半分を出力することを示す。配分比が「0%」のとき、後輪駆動モータ31のトルクのみで要求トルクを出力することを示す。なお、要求トルクは、例えばアクセルペダルの踏み込み量に基づいて算出される。
図3(b)のグラフにおいて、車速が低速領域〜中速領域(10〜50km/h)かつ総トルクが中トルク領域(400〜800N・m)において配分比が高くなる。すなわち、低速領域〜中速領域かつ中トルク領域において効率の高い減速後の前輪駆動モータ21にトルクが主に配分される。また、車速が高速領域(70〜100km/h)かつ総トルクが低トルク領域(100〜250N・m)において配分比が低くなる。すなわち、高速領域かつ低トルク領域においてモータ効率の高い後輪駆動モータ31にトルクが主に配分される。
図3(b)のように配分比が設定されるため、図3(a)に示されるように、動力の総合効率は、車速が低速領域〜中速領域(10〜50km/h)かつ総トルクが中トルク領域(400〜800N・m)、および車速が高速領域(70〜100km/h)かつ総トルクが低トルク領域(100〜250N・m)において高くなっている。
図3〜図5を参照して、電動車両1の走行状態および動力の総合効率の関係について説明する。
図4に示されるように、電動車両1の走行状態として、第1走行状態DC1〜第4走行状態DC4が挙げられる。第1走行状態DC1としては、渋滞時、または信号における電動車両1の停止および発進の場合のように電動車両1の停止および発進が繰り返される状態が挙げられる。第2走行状態DC2としては、電動車両1が急激な上り坂を走行する状態が挙げられる。第3走行状態DC3としては、電動車両1が高速道路を高速で走行する状態が挙げられる。第4走行状態DC4としては、電動車両1が市街地を走行する状態が挙げられる。
図4に示されるように、電動車両1の走行状態として、第1走行状態DC1〜第4走行状態DC4が挙げられる。第1走行状態DC1としては、渋滞時、または信号における電動車両1の停止および発進の場合のように電動車両1の停止および発進が繰り返される状態が挙げられる。第2走行状態DC2としては、電動車両1が急激な上り坂を走行する状態が挙げられる。第3走行状態DC3としては、電動車両1が高速道路を高速で走行する状態が挙げられる。第4走行状態DC4としては、電動車両1が市街地を走行する状態が挙げられる。
第1走行状態DC1のとき、電動車両1は、車速が低速領域かつ総トルクが中トルク領域において走行する。第2走行状態DC2のとき、電動車両1は、車速が低速領域かつ総トルクが高トルク領域において走行する。第3走行状態DC3のとき、電動車両1は、車速が高速領域かつ総トルクが低トルク領域において走行する。第4走行状態DC4のとき、電動車両1は、車速が中速領域かつ総トルクが低トルク領域において走行する。
第1走行状態DC1として、例えば電動車両1が低速(20km/h)かつ中トルク(600N・m)で走行するときのトルク配分および動力の総合効率について説明する。
図3(a)に示されるように、第1走行状態DC1においては、動力の総合効率が「93%」以上となる。図3(b)に示されるように、第1走行状態DC1においては、要求トルク(600N・m)のうち90%のトルク(540N・m)が前輪2に配分され、10%のトルク(60N・m)が後輪3に配分される。
図3(a)に示されるように、第1走行状態DC1においては、動力の総合効率が「93%」以上となる。図3(b)に示されるように、第1走行状態DC1においては、要求トルク(600N・m)のうち90%のトルク(540N・m)が前輪2に配分され、10%のトルク(60N・m)が後輪3に配分される。
図5(a)に示されるように、第1走行状態DC1においては、前輪駆動モータ21および後輪駆動モータ31の両方が駆動する。このため、前輪走行ユニット20のクラッチ23は接続状態となる。そして、前輪2が「540N・m」のトルクを出力し、後輪3が「60N・m」のトルクを出力する。
第2走行状態DC2として、例えば電動車両1が低速(20km/h)かつ高トルク(900N・m)で走行するときのトルク配分および動力の総合効率について説明する。
図3(a)に示されるように、第2走行状態DC2においては、動力の総合効率が「87%」以上かつ「89%」未満となる。図3(b)に示されるように、第2走行状態DC2においては、要求トルク(900N・m)のうち50%のトルク(450N・m)が前輪2に分配され、50%のトルク(450N・m)が後輪3に分配される。
図3(a)に示されるように、第2走行状態DC2においては、動力の総合効率が「87%」以上かつ「89%」未満となる。図3(b)に示されるように、第2走行状態DC2においては、要求トルク(900N・m)のうち50%のトルク(450N・m)が前輪2に分配され、50%のトルク(450N・m)が後輪3に分配される。
第2走行状態DC2においては、第1走行状態DC1と同様に、前輪駆動モータ21および後輪駆動モータ31の両方が駆動する。このため、制御装置40は、前輪走行ユニット20のクラッチ23を接続状態とする。そして、前輪2および後輪3がともに「450N・m」のトルクを出力する。
第3走行状態DC3として、例えば電動車両1が高速(100km/h)かつ低トルク(100N・m)で走行するときのトルク配分および動力の総合効率について説明する。
図3(a)に示されるように、第3走行状態DC3においては、動力の総合効率が「93%」以上となる。図3(b)に示されるように、第3走行状態DC3においては、要求トルク(100N・m)のうちの全トルクが後輪3に配分される。
図3(a)に示されるように、第3走行状態DC3においては、動力の総合効率が「93%」以上となる。図3(b)に示されるように、第3走行状態DC3においては、要求トルク(100N・m)のうちの全トルクが後輪3に配分される。
図5(b)に示されるように、第3走行状態DC3においては、後輪駆動モータ31のみが駆動する。このため、制御装置40は、前輪走行ユニット20のクラッチ23を切断状態とする。これにより、クラッチ23は、後輪3の回転により従動回転する前輪2を介して前輪駆動モータ21および減速機22へのトルクの伝達を切断する。すなわち、クラッチ23は、前輪2により前輪駆動モータ21および減速機22が回転することによる損失の発生を抑制する。
第4走行状態DC4として、例えば電動車両1が中速(50km/h)かつ中トルク(500N・m)で走行するときのトルク配分および動力の総合効率について説明する。
図3(a)に示されるように、第4走行状態DC4においては、動力の総合効率が「93%」以上となる。図3(b)に示されるように、第4走行状態DC4においては、要求トルク(500N・m)のうちの全トルクが前輪2に配分される。
図3(a)に示されるように、第4走行状態DC4においては、動力の総合効率が「93%」以上となる。図3(b)に示されるように、第4走行状態DC4においては、要求トルク(500N・m)のうちの全トルクが前輪2に配分される。
図5(c)に示されるように、第4走行状態DC4においては、前輪駆動モータ21のみが駆動する。このため、制御装置40は、前輪走行ユニット20のクラッチ23を接続状態とする。一方、後輪3は、電動車両1の走行にともない従動回転する。このため、後輪駆動モータ31は、後輪3を介して回転する。このとき、後輪駆動モータ31は、図5(c)の矢印のように入力される回転エネルギーにより回生される。また、後輪駆動モータ31は、前輪駆動モータ21と比較して、鉄損が少ないため、引きずりトルクが小さい。加えて、後輪駆動モータ31には、減速機が連結されていない。このため、後輪駆動モータ31は、後輪駆動モータ31の回転により発生する損失が前輪駆動モータ21の回転により発生する損失よりも小さくなる。
図6を参照して、本実施形態の車両走行装置10の作用について説明する。なお、図6(a)においては、比較例として、前輪駆動モータ21の回転数の上限値が10000rpmと仮定したときの駆動モータ(以下、「比較モータ」)のモータ効率のグラフを破線により示している。なお、前輪駆動モータ21は、比較モータと比較して、永久磁石の量が多くかつ印加される電圧が低い。また、図6(b)においては、比較モータを備える車両走行装置(以下、「比較走行装置」)の動力の総合効率のグラフを破線により示している。
図6(a)に示されるように、本実施形態の前輪駆動モータ21のモータ効率が「96%」以上となる領域RE1の回転数範囲の下限値を示す線LE1が比較モータのモータ効率が「96%」以上となる領域RAR1の回転数範囲の下限値を示す線LAR1よりも低回転数側に位置する。このため、図6(b)に示されるように、減速後の前輪駆動モータ21における効率が「93%」以上となる領域RE2の回転数範囲の下限値を示す線LE2が比較モータの効率が「93%」以上となる領域RAR2の回転数範囲の下限値を示す線LAR2がよりも低回転数側に位置する。なお、前輪駆動モータ21のモータ効率が「94%」および「92%」についても同様に減速後の前輪駆動モータ21における効率が低回転数側に位置する。
例えば、第1走行状態DC1として電動車両1が低速(20km/h)かつ中トルク(600N・m)で走行するとき、比較走行装置の動力の総合効率が「91%」以上かつ「93%」未満に対して、本実施形態の車両走行装置10の動力の総合効率は、「93%」以上となる。このように、本実施形態の車両走行装置10においては、比較走行装置と比較して、より低回転領域における動力の総合効率が向上する。このため、本実施形態の車両走行装置10においては、比較走行装置と比較して、広い回転数領域にわたり高い動力の総合効率を有することができる。したがって、車両走行装置10は、電動車両1の渋滞時、市街地の走行時、および高速道路における高速走行時において高い動力の総合効率を有することができる。
本実施形態の車両走行装置10は、以下の効果を奏する。
(1)前輪駆動モータ21は、前輪駆動モータ21における高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が大きく、前輪駆動モータ21における低回転領域かつ高トルク領域において銅損が小さくなるように設定されている。後輪駆動モータ31は、後輪駆動モータ31における低回転領域かつ高トルク領域において銅損が大きく、後輪駆動モータ31における高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が小さくなるように設定されている。加えて、前輪駆動モータ21により駆動される前輪2の車輪回転数の上限値が後輪駆動モータ31により駆動される後輪3の車輪回転数の上限値よりも小さい。
(1)前輪駆動モータ21は、前輪駆動モータ21における高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が大きく、前輪駆動モータ21における低回転領域かつ高トルク領域において銅損が小さくなるように設定されている。後輪駆動モータ31は、後輪駆動モータ31における低回転領域かつ高トルク領域において銅損が大きく、後輪駆動モータ31における高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が小さくなるように設定されている。加えて、前輪駆動モータ21により駆動される前輪2の車輪回転数の上限値が後輪駆動モータ31により駆動される後輪3の車輪回転数の上限値よりも小さい。
この構成によれば、前輪駆動モータ21が前輪駆動モータ21における低回転領域かつ高トルク領域においてモータ効率が高くなる。また、後輪駆動モータ31が後輪駆動モータ31における高回転領域かつ低トルク領域においてモータ効率が高くなる。加えて、前輪駆動モータ21により駆動される前輪2の車輪回転数の上限値が後輪駆動モータ31により駆動される後輪3の車輪回転数の上限値と等しいと仮定した構成と比較して、減速後の前輪駆動モータ21は、より低回転領域において効率が高くなる。したがって、車両走行装置10は、より低回転領域において動力の総合効率が高くなる。
また、減速後の前輪駆動モータ21および後輪駆動モータ31は、回転数とトルクに対する高効率領域の位置に差を有している。このため、車両走行装置10は、従来の車両走行装置と比較して、広い回転数領域および広いトルク領域において、動力系の総合効率が高くなるトルク配分を行うことができる。
(2)前輪走行ユニット20は、前輪駆動モータ21および減速機22を有する。転舵機構50は、前輪2に接続されている。この構成によれば、前輪駆動モータが直接的に前輪を駆動させると仮定した構成(以下、「仮想走行ユニット」)と比較して、減速機22により前輪駆動モータ21の最大トルクTFを小さくすることができる。これにより、前輪駆動モータ21の体格は、仮想走行ユニットの前輪駆動モータの体格よりも小さくなる。このため、仮想走行ユニットと比較して、前輪2および前輪駆動モータ21の間の空きスペースが大きく形成される。したがって、転舵機構50が前輪2に取り付けられる際に、前輪2に対する転舵機構50の配置の自由度が高くなる。
(3)前輪走行ユニット20は、クラッチ23を有する。クラッチ23は、要求トルクのうちの全トルクが後輪駆動モータ31に配分されるとき、切断状態となる。この構成によれば、後輪駆動モータ31のトルクが前輪2を介して前輪駆動モータ21を回転させることによる損失の発生を抑制することができる。
(4)減速後の前輪駆動モータ21のトルク領域(0〜250N・m)は、後輪駆動モータ31のトルク領域(0〜250N・m)と等しくなるように設定されている。この構成によれば、各駆動モータ21,31により駆動される前輪2および後輪3のいずれかのみでしか要求トルクを発生することができないということを抑制することができる。
本車両走行装置および本電動車両は、上記実施形態とは別の実施形態を含む。以下、本車両走行装置および本電動車両のその他の実施形態としての上記実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
・実施形態の減速機22の減速比RRは、「10」に設定されている。ただし、減速比RRの設定は上記実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の減速機22の減速比RRは、前輪駆動モータ21の最大トルクTFおよび後輪駆動モータ31の最大トルクTRに基づいて、次の(数4)から設定される。なお、「CT」は、正の定数であり、一例として「0.5〜2.0」の間の値を取ることが好ましい。
[数4]
RR=CT×(TR/TF) …(数4)
上記式によれば、前輪駆動モータ21の最大トルクTFが「25N・m」、および後輪駆動モータ31の最大トルクTRが「250N・m」のとき、減速比RRは、「5〜20」の間の値となる。なお、上記式において、最大トルクTF,TRに代えて、定格トルク、始動トルク等の各駆動モータ21,31における他のトルクを用いてもよい。
RR=CT×(TR/TF) …(数4)
上記式によれば、前輪駆動モータ21の最大トルクTFが「25N・m」、および後輪駆動モータ31の最大トルクTRが「250N・m」のとき、減速比RRは、「5〜20」の間の値となる。なお、上記式において、最大トルクTF,TRに代えて、定格トルク、始動トルク等の各駆動モータ21,31における他のトルクを用いてもよい。
・実施形態の車両走行装置10において、前輪駆動モータ21の最大トルクTFおよび後輪駆動モータ31の最大トルクTRが互いに異なる値とすることもできる。
・実施形態の前輪駆動モータ21は、埋込磁石型の3相ブラシレスモータが用いられている。ただし、前輪駆動モータ21の構成は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の前輪駆動モータ21は、表面磁石型の3相ブラシレスモータが用いられる。また、別の変形例の前輪駆動モータ21は、誘導モータ等の他の構成の交流モータが用いられる。なお、後輪駆動モータ31についても同様に変更することができる。
・実施形態の前輪駆動モータ21は、埋込磁石型の3相ブラシレスモータが用いられている。ただし、前輪駆動モータ21の構成は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の前輪駆動モータ21は、表面磁石型の3相ブラシレスモータが用いられる。また、別の変形例の前輪駆動モータ21は、誘導モータ等の他の構成の交流モータが用いられる。なお、後輪駆動モータ31についても同様に変更することができる。
・実施形態の前輪走行ユニット20においてクラッチ23を省略することもできる。
・実施形態の前輪走行ユニット20において減速機22を省略することもできる。この場合、前輪駆動モータ21により駆動される前輪2の車輪回転数の上限値は、「700rpm」等の後輪駆動モータ31により駆動される後輪3の車輪回転数未満の値に設定される。
・実施形態の前輪走行ユニット20において減速機22を省略することもできる。この場合、前輪駆動モータ21により駆動される前輪2の車輪回転数の上限値は、「700rpm」等の後輪駆動モータ31により駆動される後輪3の車輪回転数未満の値に設定される。
・実施形態の後輪走行ユニット30においてクラッチ23を追加することもできる。
・実施形態の後輪走行ユニット30において減速機を追加することもできる。なお、後輪走行ユニット30の減速機の減速比は、減速機22の減速比よりも小さいことが好ましい。
・実施形態の後輪走行ユニット30において減速機を追加することもできる。なお、後輪走行ユニット30の減速機の減速比は、減速機22の減速比よりも小さいことが好ましい。
・実施形態の前輪走行ユニット20は、各前輪駆動モータ21が各前輪2を直接駆動する構成を有する。ただし、前輪走行ユニット20の構成は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の前輪走行ユニット20は、各前輪2を互いに連結するドライブシャフトと、このドライブシャフトを回転させる駆動モータとを有する。変形例の前輪走行ユニット20は、駆動モータがドライブシャフトを回転させることにより各前輪2が回転する。なお、後輪走行ユニット30についても同様に変更することができる。
・実施形態の車両走行装置10は、転舵機構50を有する。ただし、車両走行装置10の構成は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の車両走行装置10は、転舵機構50を有していない。変形例の電動車両1は、転舵機構50を有する。
・実施形態の車両走行装置10は、前輪駆動モータ21として高回転低トルク型のモータが用いられ、後輪駆動モータ31として低回転高トルク型のモータが用いられている。ただし、各駆動モータ21,31のモータ特性は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の車両走行装置10は、前輪駆動モータ21として低回転高トルク型のモータが用いられ、後輪駆動モータ31として高回転低トルク型のモータが用いられる。変形例の車両走行装置10においては、前輪走行ユニット20から減速機22およびクラッチ23が省略され、後輪走行ユニット30に減速機22およびクラッチ23が追加される。
・実施形態の車両走行装置10は、前輪駆動モータ21、減速機22、および後輪駆動モータ31における回転数、トルク、およびモータ効率にかかる特性を実施形態におけるグラフ(図2、3参照)に限られない。本車両走行装置は、前輪駆動モータ21が前輪駆動モータ21における高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が大きく、低回転領域かつ高トルク領域において銅損が小さくなることを踏まえたうえで、前輪駆動モータ21および減速機22における回転数、トルク、およびモータ効率にかかる特性のグラフを自由に変更することができる。本車両走行装置は、後輪駆動モータ31が後輪駆動モータ31における低回転領域かつ高トルク領域において銅損が大きく、高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が小さくなることを踏まえたうえで、後輪駆動モータ31における回転数、トルク、およびモータ効率にかかる特性のグラフを自由に変更することができる。
1…電動車両、2…前輪(第1車輪)、3…後輪(第2車輪)、10…車両走行装置、20…前輪走行ユニット(第1走行ユニット)、21…前輪駆動モータ(第1駆動モータ)、22…減速機、23…クラッチ、30…後輪走行ユニット(第2走行ユニット)、31…後輪駆動モータ(第2駆動モータ)、50…転舵機構。
Claims (6)
- 第1車輪を駆動する第1駆動モータを有する第1走行ユニットと、
第2車輪を駆動する第2駆動モータを有する第2走行ユニットと
を備え、
前記第1駆動モータは、前記第1駆動モータの高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が大きく、かつ前記第1駆動モータの低回転領域かつ高トルク領域において銅損が小さく設定され、
前記第2駆動モータは、前記第2駆動モータの低回転領域かつ高トルク領域において銅損が大きく、かつ前記第2駆動モータの高回転領域かつ低トルク領域において鉄損が小さく設定され、
前記第1駆動モータにより駆動される前記第1車輪の車輪回転数の上限値は、前記第2駆動モータにより駆動される前記第2車輪の車輪回転数の上限値よりも小さい
車両走行装置。 - 前記第1駆動モータの回転数を減速した状態で前記第1駆動モータのトルクを前記第1車輪に伝達する減速機をさらに備える
請求項1に記載の車両走行装置。 - 前記第1車輪は、前輪であり、
前記第2車輪は、後輪であり、
当該車両走行装置は、前記前輪の転舵角を変更する転舵機構をさらに備える
請求項2に記載の車両走行装置。 - 前記第1走行ユニットは、前記第1駆動モータのトルクを前記第1車輪に伝達することが可能な接続状態と、前記第1駆動モータのトルクを前記第1車輪に伝達することが不能な切断状態とを切り替えるクラッチをさらに備える
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両走行装置。 - 前記第2駆動モータのみが駆動するとき、前記クラッチを前記切断状態とする
請求項4に記載の車両走行装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両走行装置を備える電動車両。
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