JP2014207394A - 圧電体薄膜積層基板の製造方法および圧電体薄膜素子の製造方法 - Google Patents

圧電体薄膜積層基板の製造方法および圧電体薄膜素子の製造方法 Download PDF

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文正 堀切
柴田 憲治
Kenji Shibata
憲治 柴田
末永 和史
Kazufumi Suenaga
和史 末永
渡辺 和俊
Kazutoshi Watanabe
和俊 渡辺
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不二男 菊地
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Abstract

【課題】短時間かつ高い再現性で所望パターンの微細加工が可能となるKNN圧電体薄膜積層基板およびKNN圧電体薄膜素子の製造方法を提供する。【解決手段】基板上に下部電極膜を形成する下部電極膜形成工程と、前記下部電極膜上にKNNからなる圧電体薄膜を形成する圧電体薄膜形成工程と、前記圧電体薄膜上にCrからなるエッチングマスクを所望のパターンとなるように形成するエッチングマスクパターン形成工程と、前記圧電体薄膜に対してフッ酸と強酸との混合液からなるエッチング液を用いたウェットエッチングを行うことによって、前記圧電体薄膜に所望パターンの微細加工を行う圧電体薄膜エッチング工程とを有し、前記圧電体薄膜エッチング工程は、密閉されたエッチング槽内で行われ、前記エッチング液中のフッ素濃度が5mol/L以上30mol/L以下であり、かつフッ素濃度の単位時間当たりの平均変化率が10%/h以下であること。【選択図】図3

Description

本発明は、圧電体薄膜素子に関し、特に、非鉛系圧電体を具備する圧電体薄膜積層基板および圧電体薄膜素子を製造する方法に関するものである。
圧電素子は、圧電体の圧電効果を利用する素子であり、圧電体への電圧印加に対して変位や振動を発生するアクチュエータや、圧電体への応力変形に対して電圧を発生する応力センサなどの機能性電子部品として広く利用されている。これまでアクチュエータや応力センサに利用される圧電体としては、大きな圧電特性を有するチタン酸ジルコン酸鉛系のペロブスカイト型強誘電体(組成式:Pb(Zr1-xTix)O3、PZTと呼ばれる)が広く用いられてきた。
PZTは、鉛を含有する特定有害物質であるが、現在のところ圧電材料として代替できる適当な市販品が存在しないため、RoHS指令(電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会及び理事会指令)の適用免除対象となっている。しかしながら、世界的に地球環境保全の要請はますます強まっており、鉛を含有しない圧電体(非鉛系圧電材料)を使用した圧電素子の開発が強く望まれている。また、近年における各種電子機器への小型化・軽量化の要求に伴って、薄膜技術を利用した圧電体薄膜素子の要求が高まっている。
非鉛系圧電材料を使用した圧電体薄膜素子として、例えば特許文献1には、基板上に、下部電極、圧電薄膜、及び上部電極を有する圧電薄膜素子において、上記圧電薄膜を、組成式(NaxKyLiz)NbO3(0<x<1、0<y<1、0≦z<1、x+y+z=1)で表記されるアルカリニオブ酸化物系のペロブスカイト化合物で構成される誘電体薄膜とし、その圧電薄膜と上記下部電極の間に、バッファ層として、ペロブスカイト型結晶構造を有し、かつ、(001)、(100)、(010)、及び(111)のいずれかの面方位に高い配向度で配向され易い材料の薄膜を設けたことを特徴とする圧電薄膜素子が開示されている。特許文献1によると、鉛フリーのニオブ酸リチウムカリウムナトリウム薄膜を用いた圧電薄膜素子で、十分な圧電特性が得られるとされている。
圧電素子は、圧電体が2枚の電極で挟まれた構成を基本構造とし、用途に応じて梁状や音叉状の形状に微細加工されて作製される。そのため、非鉛系圧電材料を用いた圧電素子の実用化に際し、微細加工プロセスは非常に重要な技術の一つである。
例えば特許文献2には、基板上に圧電体薄膜(組成式:(K1-xNax)NbO3、0.4≦x≦0.7)を備えた圧電体薄膜ウェハに、Arを含むガスを用いてイオンエッチングを行う第1の加工工程と、前記第1の加工工程に続いて、フッ素系反応性ガスとArとを混合した混合エッチングガスを用いて反応性イオンエッチングを行う第2の加工工程とを実施することを特徴とする圧電体薄膜ウェハの製造方法が開示されている。特許文献2によると、圧電体薄膜を高精度に微細加工することができ、また、信頼性の高い圧電体薄膜素子と、安価な圧電体薄膜デバイスが得られるとされている。
また特許文献3には、基板上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に組成式(K1-xNax)NbO3で表されるアルカリニオブ酸化物系ペロブスカイト構造の圧電膜を形成する工程と、前記圧電膜にウェットエッチングを行う工程とを備え、前記ウェットエッチング工程において、Cr膜をマスクとして用いることを特徴とする圧電膜素子の製造方法が開示されている。特許文献3によると、Cr膜をマスクとしてフッ酸系エッチング液を用い、圧電膜層をウェットエッチングすることで、下部電極層において選択的に加工を停止することができるとともに、圧電膜層を短時間で精度よく微細加工することができるとされている。
特開2007−19302号公報 特開2012−33693号公報 特開2012−244090号公報
一般的に、ウェットエッチングプロセスは、ドライエチングプロセスよりもエッチング速度が高いため、製造コストの低減に有利である。例えば、特許文献2に記載のドライエッチング技術で最大2.1μm/hのエッチング速度が得られているのに対し、特許文献3に記載のウェットエッチング技術では最大200 nm/minのエッチング速度が得られている。
しかしながら、製造コスト低減の観点から、更に高いエッチング速度(例えば、300 nm/min以上)が求められている。加えて、エッチング再現性は、製造プロセス安定化の観点から非常に重要である。例えば、エッチング速度がバッチ毎に変化したり経時的に変化したりすると、エッチング不良(エッチング不足や過剰エッチング)を起こして製造歩留を低下させる要因となる(すなわち、コスト増の要因となる)。
したがって本発明の目的は、上記課題を解決し、非鉛系圧電材料であるニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を従来よりも短時間でかつ高い再現性で所望のパターンに微細加工する方法を提供し、その方法を利用することによって製造コストを下げることが可能な、所望のパターンに微細加工されたKNN圧電体薄膜を具備する基板の製造方法およびKNN圧電体薄膜素子の製造方法を提供することにある。
(I)本発明の1つの態様は、上記目的を達成するため、圧電体薄膜積層基板の製造方法であって、基板上に下部電極膜を形成する下部電極膜形成工程と、
前記下部電極膜上にニオブ酸カリウムナトリウムからなる圧電体薄膜を形成する圧電体薄膜形成工程と、
前記圧電体薄膜上にクロムからなるエッチングマスクを所望のパターンとなるように形成するエッチングマスクパターン形成工程と、
前記圧電体薄膜に対してフッ酸と強酸との混合液からなるエッチング液を用いたウェットエッチングを行うことによって、前記圧電体薄膜に所望パターンの微細加工を行う圧電体薄膜エッチング工程とを有し、
前記圧電体薄膜エッチング工程は、密閉されたエッチング槽内で行われ、前記エッチング液中のフッ素濃度が5 mol/L以上30 mol/L以下であり、かつそのフッ素濃度の単位時間当たりの平均変化率が10%/h以下であることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法を提供する。
また本発明は、上記の本発明に係る圧電体薄膜積層基板の製造方法において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記密閉されたエッチング槽には、前記エッチング液に加えてフッ化水素ガスおよび/または不活性ガスが充填されている。
(ii)前記密閉されたエッチング槽は、前記エッチング液で充満されている。
(iii)前記エッチング液は、フッ酸と塩酸との混合液、フッ酸と硫酸との混合液、フッ酸と硝酸との混合液の中から選ばれる一種である。
(iv)前記圧電体薄膜エッチング工程は、前記エッチング液の温度が常温以上80℃以下である。
(v)前記下部電極膜は、白金又は白金を主成分とする合金からなる。
(vi)前記圧電体薄膜形成工程は、前記圧電体薄膜が組成式(K1-xNax)NbO3(0.4≦ x ≦0.7)となるように、スパッタ法により行われる。
(vii)前記圧電体薄膜は、結晶系が擬立方晶であり、主表面が(001)面に優先配向するように形成される。
(viii)前記基板は、その表面に熱酸化膜を有するシリコン基板である。
(II)本発明の他の態様は、上記目的を達成するため、圧電体薄膜素子の製造方法であって、上記の本発明に係る圧電体薄膜積層基板の製造方法によって所望パターンに微細加工された前記圧電体薄膜上に上部電極膜を形成する上部電極膜形成工程と、
前記上部電極膜が形成された圧電体薄膜を具備する基板からチップ状の圧電体薄膜素子を切り出すダイシング工程とを有することを特徴とする圧電体薄膜素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、非鉛系圧電材料であるニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を従来よりも短時間でかつ高い再現性で所望のパターンに微細加工することが可能になり、その結果、製造コストを下げながら、所望のパターンに微細加工されたKNN圧電体薄膜を具備する基板の製造方法およびKNN圧電体薄膜素子の製造方法を提供することができる。
本発明に係るKNN圧電体薄膜積層基板の製造工程を示す拡大断面模式図である。 本発明に係るKNN圧電体薄膜素子の製造工程を示す拡大断面模式図である。 本発明に係る圧電体薄膜積層基板の製造方法における圧電体薄膜エッチング工程の一例を示す透視模式図である。 本発明に係る圧電体薄膜積層基板の製造方法における圧電体薄膜エッチング工程の他の一例を示す透視模式図である。
本発明者等は、PZT(Pb(Zr1-xTix)O3)と同等の圧電特性を期待できる非鉛系圧電材料としてKNN((K1-xNax)NbO3)に着目し、該材料のウェットエッチング方法について鋭意検討した。その結果、フッ酸と強酸との混合液からなるエッチング液を用いることによってKNNのエッチング性が劇的に向上することを見出した。しかしながら、当該エッチング液は、エッチング再現性が非常に悪いことが判った。
そこで、圧電体薄膜エッチング工程をより詳細に調査・検討したところ、当該エッチング液を大気開放状態に晒しておくと、エッチング液中のフッ素濃度が経時的に減少することを見出した。言い換えると、エッチング液中のフッ素濃度の変化を抑制することによって、高いエッチング速度と良好なエッチング再現性とを両立できることを見出した。本発明は、該知見に基づいて完成されたものである。
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態を説明する。ただし、本発明は、ここで取り上げた実施の形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
図1は、本発明に係るKNN圧電体薄膜積層基板の製造工程を示す拡大断面模式図である。なお、以下の説明では、洗浄工程や乾燥工程を省略するが、それらの工程は必要に応じて適宜行われることが好ましい。
はじめに、基板11を用意する。基板11の材料は、特に限定されず、圧電素子の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、シリコン(Si)、SOI(Silicon on Insulator)、石英ガラス、砒化ガリウム(GaAs)、サファイア(Al2O3)、ステンレス鋼等の金属、酸化マグネシウム(MgO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)を用いることができる。基板11が導電性材料からなる場合は、その表面に電気絶縁膜(例えば酸化膜)を有していることが好ましい。酸化膜の形成方法に特段の限定はないが、例えば、熱酸化処理や化学気相成長(Chemical Vapor Deposition、CVD)法を好適に用いることができる。
(下部電極膜形成工程)
本工程では、基板11上に下部電極膜12を形成する(図1(a)参照)。下部電極膜12の材料は、特に限定されないが、白金(Pt)又はPtを主成分とする合金を用いることが好ましい。Ptは、後述する圧電体薄膜エッチング工程で用いるエッチング液に対して不活性であるため、エッチングストッパーとして機能することができる。下部電極膜12の形成方法に特段の限定は無いが、例えば、スパッタ法を好適に用いることができる。下部電極膜12は、後述する圧電体薄膜が圧電特性を十分に発揮するため、算術平均表面粗さRaが0.86 nm以下であることが好ましい。
(圧電体薄膜形成工程)
本工程では、下部電極膜12上に圧電体薄膜13を形成する(図1(a)参照)。圧電体の材料としては、KNN((K1-xNax)NbO3、0.4≦ x ≦0.7)を用いることが好ましい。圧電体薄膜13の形成方法としては、KNN焼結体ターゲットを用いたスパッタ法や電子ビーム蒸着法が好ましい。スパッタ法や電子ビーム蒸着法は、成膜再現性、成膜速度及びランニングコストの面で優れていることに加えて、KNN結晶の配向性を制御することが可能であるためである。形成する圧電体薄膜13は、KNN結晶の結晶系が擬立方晶であり、薄膜の主表面が(001)面に優先配向されているものが、圧電特性上好ましい。
なお、圧電体薄膜13は、合計5原子%以下の範囲でリチウム(Li)、タンタル(Ta)、アンチモン(Sb)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)の不純物を含んでいてもよい。
(エッチングマスク形成工程)
本工程では、成膜した圧電体薄膜13上に、後述するウェットエッチングに対するエッチングマスクを形成する。まず、フォトリソグラフィプロセスにより、圧電体薄膜13上にフォトレジストパターン14を形成する(図1(b)参照)。次に、フォトレジストパターン14上にエッチングマスク膜15を成膜する(図1(c)参照)。次に、リフトオフプロセスにより、所望のパターンを有するエッチングマスクパターン15’を形成する(図1(d)参照)。エッチングマスク膜15(エッチングマスクパターン15’)としては、エッチング液に対して十分な耐性を有する限り特段の限定はないが、形成の簡便さ及びコストの観点から、例えば、スパッタ法によるクロム(Cr)膜の成膜が好ましい。なお、フォトリソグラフィ/リフトオフ以外のプロセスによってエッチングマスクパターン15’を形成してもよい。
(圧電体薄膜エッチング工程)
本工程では、圧電体薄膜13に対してウェットエッチングを行い、エッチングマスクパターン15’によって規定されるパターンに微細加工を行う。エッチング液としてフッ酸と強酸との混合液からなるエッチング液(具体的には、フッ酸と塩酸との混合液、フッ酸と硫酸との混合液、フッ酸と硝酸との混合液の中から選ばれる一種)を用いることが好ましい。これにより、KNNのエッチング速度を向上させることができる(例えば、300 nm/min以上)。
また、エッチング液中のフッ素濃度は、5 mol/L以上30 mol/L以下が好ましい。該フッ素濃度が5 mol/L未満だとエッチング速度が高くならず、30 mol/L超になるとエッチング速度が飽和する。なお、エッチング液の薬品としては、市販の電子工業用薬品(フッ酸(49質量%)、塩酸(36質量%)、硫酸(96質量%)、硝酸(61質量%))を用いることができる。
これらのエッチング液は、前述したCrからなるエッチングマスクパターン15’およびPt(Pt合金を含む)からなる下部電極膜12に対して不活性であるため、所望のパターンを有する圧電体薄膜パターン13’を形成することができる(図1(e)参照)。エッチング温度(エッチング液の温度)は、常温(例えば25℃)でもよいが、加熱すると(例えば、60℃に加熱すると)エッチング速度を更に高めることができる。ただし、高温ではエッチング液中のフッ素濃度を管理することが難しいことから、エッチング温度は80℃以下が好ましい。
ここで、前述したように、本発明で用いるエッチング液は、大気開放状態に晒しておくと、液中のフッ素濃度が経時的に減少してエッチング再現性が劣化する弱点がある。これは、本発明で用いるエッチング液がフッ酸と強酸との混合液からなることから、弱酸であるフッ酸の遊離(弱酸遊離)が生じ易いためと考えられる。一方、フッ酸のみからなるエッチング液および強酸のみからなるエッチング液では、十分に高いエッチング速度が得られないことから、フッ酸の弱酸遊離はKNNエッチング速度の向上に大きく貢献していると考えられる。
上記のような弱点を克服しかつ上記の利点を維持するため、次のようにウェットエッチングを行うことが好ましい。図3は、本発明に係る圧電体薄膜積層基板の製造方法における圧電体薄膜エッチング工程の一例を示す透視模式図である。図3に示したように、圧電体薄膜エッチング工程は、エッチング液33が大気開放状態にならないように、蓋32によって密閉されたエッチング槽31内で行われる。さらに、エッチング装置30は、エッチング液導入管34とエッチング液排出管35とを具備している。なお、エッチング液導入管34とエッチング液排出管35とは、エッチング液33が大気開放されないように、エッチング液タンク(図示せず)と接続されていることが好ましい。
具体的な手順としては、まず、エッチングする圧電体薄膜積層基板36を基板キャリア37に収容して該基板キャリア37をエッチング槽31内に設置し、蓋32でエッチング槽31を密閉する。エッチング液導入管34からエッチング液33を導入し、圧電体薄膜積層基板36をエッチング液33に浸漬する。所定時間のウェットエッチングの後、エッチング液排出管35からエッチング液33を排出する。その後、エッチング槽31から基板キャリア37を取り出す。このようにすることで、エッチング液33の大気開放状態を抑制してエッチング液からのフッ酸成分の離脱(フッ素濃度の低下)を抑制し、高いエッチング速度とエッチング再現性とを両立させることができる。また、フッ酸成分の離脱を更に抑制するため、エッチング液33の上方に残る空間をできるだけ小さくする(例えば、エッチング槽31をエッチング液33で充満する)ことは好ましい。
図4は、本発明に係る圧電体薄膜積層基板の製造方法における圧電体薄膜エッチング工程の他の一例を示す透視模式図である。図4に示したように、エッチング装置40は、エッチング装置30に加えて、ガス導入管41とガス排出管42とを具備している。ガス導入管41からフッ化水素ガスおよび/または不活性ガスを導入することにより、エッチング液からのフッ酸成分の離脱を更に抑制することができる。不活性ガスとしては、例えば、窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガスを好適に用いることができる。ガス導入(ガス導入によるエッチング槽31内のガス置換)は、エッチング液33の導入前に行うことが好ましい。また、エッチング液排出時にガス導入を行うと、エッチング液33の排出をよりスムーズに行うことができる。
上記のウェットエチング後、Cr膜用のエッチング液(例えば、第二硝酸セリウムアンモニウム、フェリシアン化カリウム)を用いてエッチングマスクパターン15’を除去することで、所望のパターンに微細加工されたKNN圧電体薄膜を具備する圧電体薄膜積層基板10を得ることができる(図1(f)参照)。
(上部電極膜形成工程)
図2は、本発明に係るKNN圧電体薄膜素子の製造工程を示す拡大断面模式図である。本工程では、先の工程によって得られた所望のパターンに微細加工された圧電体薄膜(圧電体薄膜パターン13’)上に上部電極膜を形成する。まず、フォトリソグラフィプロセスにより、上部電極膜の形成スペースを残してフォトレジストパターン21を形成し、フォトレジストパターン21上に上部電極膜22を成膜する(図2(a)参照)。次に、リフトオフプロセスにより、上部電極膜22’を残して他を除去する(図2(b)参照)。上部電極膜22(上部電極膜22’)の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、ニッケル(Ni)、Pt等を好適に用いることができる。
(ダイシング工程)
本工程では、上部電極膜22’が形成された圧電体薄膜パターン13’を具備する基板からチップ状の圧電体薄膜素子20を切り出す(図2(c)参照)。符号11’はチップ状基板を表し、符号12’は下部電極膜を表す。これにより、所望のパターンに微細加工されたKNN圧電体薄膜を具備する圧電体薄膜素子20を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(所望パターンに微細加工されたKNN圧電体薄膜積層基板の作製)
図1に示した製造工程に沿って、所望のパターンに微細加工されたKNN圧電体薄膜積層基板を作製した。基板11としては、熱酸化膜付きSi基板((100)面方位の4インチウェハ、ウェハ厚さ0.525 mm、熱酸化膜厚さ200 nm)を用いた。
はじめに、基板11と下部電極膜12との密着性を高めるための密着層として、厚さ2.2 nmのTi層をSi基板上にRFマグネトロンスパッタ法により成膜した。続いて、下部電極膜12として厚さ205 nmのPt層をTi層上にRFマグネトロンスパッタ法により成膜した(図1(a)参照)。密着層および下部電極膜のスパッタ成膜条件は、基板温度250℃、放電パワー200 W、Ar雰囲気、圧力2.5 Paとした。成膜した下部電極膜12に対して表面粗さを測定し、算術平均粗さRaが0.86 nm以下であることを確認した。
次に、下部電極膜12上に、圧電体薄膜13として厚さ2μmの(K0.35Na0.65)NbO3をRFマグネトロンスパッタ法により成膜した(図1(a)参照)。KNN薄膜のスパッタ成膜条件は、基板温度520℃、放電パワー700 W、酸素ガスとアルゴンガスの混合雰囲気(混合比:O2/Ar = 0.005)、圧力1.3 Paとした。
次に、圧電体薄膜13上に、フォトレジスト(東京応化工業株式会社製、OFPR-800)を塗布・露光・現像して、フォトレジストパターン14を形成した(図1(b)参照)。続いて、エッチングマスク膜15として厚さ200 nmのCr膜をRFマグネトロンスパッタ法により成膜した(図1(c)参照)。Cr膜の成膜条件は、基板温度25℃、放電パワー50 W、Ar雰囲気、圧力0.8 Paとした。その後、アセトン洗浄によりフォトレジストパターン14を除去し(リフトオフ)、エッチングマスクパターン15’を圧電体薄膜13上に形成した(図1(d)参照)。
次に、上記のエッチングマスクパターン15’を形成した圧電体薄膜積層基板から小片(5×10 mm)を切り出し、圧電体薄膜13に対して、種々のエッチング条件でウェットエッチングを行い、圧電体薄膜パターン13’を形成した(図1(e),(f)参照)。
(エッチング条件)
エッチング液32としては、フッ酸単体(49質量%)、塩酸単体(36質量%)、フッ酸と塩酸との混合液(49質量%フッ酸500 mL+36質量%塩酸32.5 mL)、フッ酸と硝酸との混合液(49質量%フッ酸500 mL+61質量%硝酸200 mL)、およびフッ酸と硫酸との混合液(49質量%フッ酸500 mL+96質量%硫酸300 mL)を用いた。エッチング温度(エッチング液の温度)は、常温(25℃)または60℃とした。
エッチング装置としては、図3に示したエッチング装置30を用い、蓋32でエッチング槽31を密閉してエッチング液33の大気開放を抑制した場合と、エッチング槽31を密閉せずにエッチング液33を大気開放した場合とについて実験を行った。なお、エッチング液33は、エッチング槽31を充満するように注入した。
また、エッチング液を調合した後、直ちに用いた場合、1時間静置してから用いた場合、3時間静置してから用いた場合について実験を行った。エッチング条件の具体的な組合せは、後述する表1に示した。
(エッチング性評価)
各エッチング実験において、圧電体薄膜13の膜厚とウェットエッチングに要した時間(下部電極膜12が露出するまでの時間)とから、平均エッチング速度(nm/min)を算出した。得られた平均エッチング速度を表1に併記する。平均エッチング速度が300 nm/min以上を「合格」と判定し、300 nm/min未満を「不合格」と判定した。
また、エッチング開始時のエッチング液中のフッ素濃度を測定し、初期濃度(調合時濃度)との比較から単位時間当たりの平均変化率(%/h)を算出した。なお、塩酸単体のエッチング液については、塩素濃度で評価した。得られた平均変化率を表1に併記する。平均変化率が10%/h以下のものを「合格」と判定し、10%/h超のものを「不合格」と判定した。
Figure 2014207394
(結果・考察)
表1に示したように、フッ酸単体のエッチング液および塩酸単体のエッチング液においては、エッチング槽を密閉せずにエッチング液を大気開放状態としても、液中のフッ素濃度および塩素濃度の平均変化率は十分小さいものであったが、平均エッチング速度自体が低く、不合格であった。これらの結果から、フッ酸単体や強酸単体のエッチング液では、十分なエッチング速度が得られないことが確認された。
フッ酸と塩酸との混合液からなるエッチング液、フッ酸と硝酸との混合液からなるエッチング液、およびフッ酸と硫酸との混合液からなるエッチング液においては、エッチング液を調合直後に用いた場合、十分に高いエッチング速度を示した。しかしながら、エッチング槽31を密閉しなかった場合(エッチング液を大気開放した状態で静置した場合)、時間の経過に伴って液中のフッ素濃度とエッチング速度とが急激に低下した。これらの結果から、フッ酸と強酸との混合液からなるエッチング液では、当該エッチング液を大気開放状態に晒しておくと、エッチング再現性が劣化することが確認された。
これに対し、フッ酸と強酸との混合液からなるエッチング液を用い、蓋32でエッチング槽31を密閉した場合、時間が経過しても液中のフッ素濃度が低下せず、高いエッチング速度が維持された。このときの液中フッ素濃度の平均変化率は10%/h以下であり、エッチング速度は300 nm/min以上であった。すなわち、本発明に係る圧電体薄膜エッチング工程によると、高いエッチング速度と良好なエッチング再現性とを両立できることが確認された。
また、フッ酸と硫酸との混合液からなるエッチング液を用い、60℃のエッチング温度でウェットエッチングを行った実験では、更に高いエッチング速度(2000 nm/min)が得られた。この結果から、エッチング温度を高めるとエッチング速度を更に高められることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、非鉛系圧電材料であるニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を、従来よりも短時間でかつ高い再現性で所望パターンに微細加工可能であることが実証された。その結果、製造コストを下げながら、所望のパターンに微細加工されたKNN圧電体薄膜積層基板の製造方法およびKNN圧電体薄膜素子の製造方法を提供することができる。
なお、上述した実施形態および実施例は、本発明の理解を助けるために具体的に説明したものであり、本発明は、説明した全ての構成を備えることに限定されるものではない。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。さらに、各実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
10…圧電体薄膜積層基板、
11…基板、11’…チップ状基板、12…下部電極膜、12’…下部電極膜、
13…圧電体薄膜、13’…圧電体薄膜パターン、14…フォトレジストパターン、
15…エッチングマスク膜、15’…エッチングマスクパターン、
20…圧電体薄膜素子、
21…フォトレジストパターン、22…上部電極膜、22’…上部電極膜、
30,40…エッチング装置、
31…エッチング槽、32…蓋、33…エッチング液、
34…エッチング液導入管、35…エッチング液排出管、
36…エッチングする圧電体薄膜積層基板、37…基板キャリア、
41…ガス導入管、42…ガス排出管。

Claims (10)

  1. 圧電体薄膜を具備する基板の製造方法であって、
    基板上に下部電極膜を形成する下部電極膜形成工程と、
    前記下部電極膜上にニオブ酸カリウムナトリウムからなる圧電体薄膜を形成する圧電体薄膜形成工程と、
    前記圧電体薄膜上にクロムからなるエッチングマスクを所望のパターンとなるように形成するエッチングマスクパターン形成工程と、
    前記圧電体薄膜に対してフッ酸と強酸との混合液からなるエッチング液を用いたウェットエッチングを行うことによって、前記圧電体薄膜に所望パターンの微細加工を行う圧電体薄膜エッチング工程とを有し、
    前記圧電体薄膜エッチング工程は、密閉されたエッチング槽内で行われ、前記エッチング液中のフッ素濃度が5 mol/L以上30 mol/L以下であり、かつそのフッ素濃度の単位時間当たりの平均変化率が10%/h以下であることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の圧電体薄膜積層基板の製造方法において、
    前記密閉されたエッチング槽には、前記エッチング液に加えてフッ化水素ガスおよび/または不活性ガスが充填されていることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法。
  3. 請求項1に記載の圧電体薄膜積層基板の製造方法において、
    前記密閉されたエッチング槽は、前記エッチング液で充満されていることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の圧電体薄膜積層基板の製造方法において、
    前記エッチング液は、フッ酸と塩酸との混合液、フッ酸と硫酸との混合液、フッ酸と硝酸との混合液の中から選ばれる一種であることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の圧電体薄膜積層基板の製造方法において、
    前記圧電体薄膜エッチング工程は、前記エッチング液の温度が常温以上80℃以下であることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の圧電体薄膜積層基板の製造方法において、
    前記下部電極膜は、白金又は白金を主成分とする合金からなることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の圧電体薄膜積層基板の製造方法において、
    前記圧電体薄膜形成工程は、前記圧電体薄膜が組成式(K1-xNax)NbO3(0.4≦ x ≦0.7)となるように、スパッタ法により行われることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の圧電体薄膜積層基板の製造方法において、
    前記圧電体薄膜は、結晶系が擬立方晶であり、主表面が(001)面に優先配向するように形成されることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の圧電体薄膜積層基板の製造方法において、
    前記基板は、その表面に熱酸化膜を有するシリコン基板であることを特徴とする圧電体薄膜積層基板の製造方法。
  10. 圧電体薄膜素子の製造方法であって、
    請求項1乃至請求項9に記載の製造方法によって所望パターンに微細加工された前記圧電体薄膜上に上部電極膜を形成する上部電極膜形成工程と、
    前記上部電極膜が形成された圧電体薄膜を具備する基板からチップ状の圧電体薄膜素子を切り出すダイシング工程とを有することを特徴とする圧電体薄膜素子の製造方法。
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