JP2014207106A - コネクタの止水構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】コネクタの止水構造を簡単に形成できるようにする。
【解決手段】電線端末に接続した端子が挿入係止されたコネクタの端子収容室の電線挿入開口の周縁内面と、前記端子の接続部に連続する前記電線の絶縁被覆の外周面との間が、硬化された暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなるシール材で密封されている。
【選択図】図1
【解決手段】電線端末に接続した端子が挿入係止されたコネクタの端子収容室の電線挿入開口の周縁内面と、前記端子の接続部に連続する前記電線の絶縁被覆の外周面との間が、硬化された暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなるシール材で密封されている。
【選択図】図1
Description
本発明はコネクタの止水構造に関し、特に、車両に配索されるワイヤハーネスの端末に接続されるコネクタにおいて、コネクタハウジングへの電線挿入口の隙間からの浸水を防水ゴム栓等の防水部品を用いることなく、簡単且つ確実に防止を図るものである。
従来、自動車のエンジンルーム等の浸水領域に配索するワイヤハーネスに接続するコネクタは防水コネクタとされている。該防水コネクタは、図6に示すように、コネクタ100に接続する各電線110に防水ゴム栓からなるワイヤシール120を外嵌すると共に、コネクタハウジング内にコネクタシール122を装着している場合が多い。
また、防水コネクタのキャビティには電線が挿入されない空きキャビティが発生しやすい。その場合、空きキャビティ内への浸水防止を図るために、ダミーゴム栓125で空きキャビティの電線挿入口を閉鎖している。
前記のように、各電線に防水ゴム栓からなるワイヤシールを取り付ける場合、および空きキャビティにダミーゴム栓を取り付ける場合、コネクタ及び電線の形状に対応した専用品が必要となり、汎用性がなく、かつ、コネクタの形状によっては複雑な形状になる場合もあり、製造コストが高くなる。さらに、該ワイヤシールやダミーゴム栓をコネクタハウジングの各端子収容室(キャビティ)の内周面に密着させる必要があるために、コネクタへの各電線およびダミーゴム栓の挿入力が強くなり、挿入作業性が悪くなる問題がある。
前記防水ゴム栓を用いずに、紫外線硬化樹脂を密封材として用いたコネクタが特許第3408391号公報(特許文献1)で提供されている。該特許文献1のコネクタは図7(A)(B)に示す構成で、コネクタ200のコネクタハウジング201に開閉自在に連結する左右対称の一対の断面半円環状のカバー202、203を備え、解放状態のカバー202、203に紫外線硬化樹脂205からなる密封材を充填し、該紫外線硬化樹脂を紫外線照射により半硬化状態のゲル状として、コネクタハウジング201をカバー202、203を被せて液密としている。
特許文献1に開示されたコネクタは、コネクタや電線の形状に応じた専用部品の防水ゴム栓を不要にできる利点があるが、コネクタに一対の開閉自在なカバー202、203を左右対称に設けている特殊な形状であり、汎用されているコネクタに適用することができない。また、一対のカバー202、203を断面半円環状として溶融状態の紫外線硬化樹脂を溜める形状とする必要がある。かつ、紫外線を照射して半硬化状態のゲル状とするために、紫外線硬化樹脂の全体に紫外線が照射されるように、一対のカバー202、203を解放状態にしておく必要があり、作業時間及び作業手数がかかる問題もある。
本発明は、防水コネクタのシール材として、防水ゴム栓に代えて、特許文献1と同様に紫外線硬化樹脂を用ることにより専用部品を無くしながら、コネクタ自体を特許文献1のような特殊な形状とすることなく、汎用のコネクタに適用出来るコネクタの止水構造を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、電線端末に接続した端子が挿入係止されたコネクタの端子収容室(キャビティ)の電線挿入開口の周縁内面と、前記端子の接続部に連続する前記電線の絶縁被覆の外周面との間が、硬化された暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなるシール材で密封されていることを特徴とするコネクタの止水構造を提供している。
前記コネクタの端子収容室の電線挿入開口に近接する内周面から薄肉の液漏れ防止弁が揺動可に突設され、前記端子収容室に挿入される前記電線外周面または接続した端子の相手方端子との電気接触部より後側の電線接続部の外周面に沿って前記液漏れ防止弁の先端が密着するように変形し、前記電線挿入開口から前記電線と端子収容室の内面との隙間に注入する前記紫外線硬化樹脂が前記液漏れ防止弁で遮断される位置まで充填され、前記端子の電気接触部側に漏れて付着しないようにしている。
あるいは、前記コネクタの端子収容室内において、前記電線挿入開口から前記電線と端子収容室の内面との隙間に注入する前記紫外線硬化樹脂が、前記コネクタに装着されるリテーナで遮断される位置まで充填され、前記端子の電気接触部側に漏れて付着しないようにしている。
また、前記コネクタの空きの端子収容室は、その前記電線挿入開口は硬化された暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなるシール材で密閉されている。
前記空きの端子収容室の電線挿入開口を密閉する前記シール材は、溶融した前記紫外線硬化樹脂を注入して充填して形成することができる。
前記空きの端子収容室の電線挿入開口を密閉する前記シール材は、溶融した前記紫外線硬化樹脂を注入して充填して形成することができる。
また、前記電線挿入開口から注入する前記シール材となる前記紫外線硬化樹脂は、注入時の粘度が5000〜8000mPa・sと比較的高粘度とし、挿入した電線端末の端子の電気接触部に付着する位置まで侵入しないようにしている。
前記空きの端子収容室内にダミーゴム栓の代わりに前記紫外線硬化樹脂からなるシール材を用いる場合、端子収容室の断面形状と同等な直方体形状の前記暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなる厚肉のゲル状シートを用意し、該ゲル状シートを前記電線挿入開口から押し込んで、該ゲル状シートの外周面を端子収容室の内周面に押圧保持しておき、その状態で紫外線を照射してもよい。
本発明は前記コネクタの止水構造の形成方法を提供しており、前記コネクタに電線端末の端子を端子収容室内に挿入係止した後、該コネクタの電線挿入開口から前記電線外周面と前記端子収容室の内周面の隙間に暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を注入して充填し、
その後、前記電線挿入開口の外方から紫外線を照射して、充填した前記紫外線硬化樹脂の外方露出面を照射し、該照射した部分の前記紫外線硬化樹脂を硬化すると共に紫外線が直接照射されない前記端子収容室内に充填されている紫外線硬化樹脂も硬化しているコネクタの止水構造の形成方法を提供している。
その後、前記電線挿入開口の外方から紫外線を照射して、充填した前記紫外線硬化樹脂の外方露出面を照射し、該照射した部分の前記紫外線硬化樹脂を硬化すると共に紫外線が直接照射されない前記端子収容室内に充填されている紫外線硬化樹脂も硬化しているコネクタの止水構造の形成方法を提供している。
本発明のコネクタの止水構造および止水方法で、シール材とする暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂は、
イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物に対し、水酸基を2つ以上有するポリオールの水酸基の2つ以上が(メタ)アクリレートとエステル結合を形成することにより、水酸基の数が1以下に設定されたポリオールの(メタ)アクリレートを主成分とする紫外線硬化材(A)と、
ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、含金属化合物とを含有する金属錯体化合物からなる連鎖移動剤(B)と、 紫外線重合開始剤(C)と、
を配合した組成物からなる。
イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物に対し、水酸基を2つ以上有するポリオールの水酸基の2つ以上が(メタ)アクリレートとエステル結合を形成することにより、水酸基の数が1以下に設定されたポリオールの(メタ)アクリレートを主成分とする紫外線硬化材(A)と、
ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、含金属化合物とを含有する金属錯体化合物からなる連鎖移動剤(B)と、 紫外線重合開始剤(C)と、
を配合した組成物からなる。
前記連鎖移動剤(B)を配合した暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂として、本出願人の先願に係わるWO2012/102299号公報に記載の紫外線硬化性組成物が好適に用いられる。該暗部硬化性の紫外線硬化性組成物は、紫外線を照射すると、照射光が届かない暗部に位置してラジカル発生が無い部分も硬化できる。
なお、有機・無機フィラー、カーボン・金属粒子、繊維、ポリマー・オリゴマー、各種改質添加剤等からなる紫外線透過抑制物を配合した場合も、全体を確実に硬化させることができる。
なお、有機・無機フィラー、カーボン・金属粒子、繊維、ポリマー・オリゴマー、各種改質添加剤等からなる紫外線透過抑制物を配合した場合も、全体を確実に硬化させることができる。
前記暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂からなる本発明のシール材は、熱処理や湿気硬化処理等を必要とせず、シール材の一部が紫外線で照射されて硬化すると、紫外線が遮られた暗部に位置する部分まで前記連鎖移動剤により硬化させることができ、重ねた状態のままで迅速に硬化することができる。
また、暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂からなるシール材は、前記のように、外部から紫外線を照射しただけで、コネクタ内の暗部側に位置するシール材の部分も硬化できる。よって、ワイヤハーネスの組立作業台上でコネクタに電線端末の端子を挿入した後に、前記暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を注入し、ついで、組立作業台上に設置した紫外線照射ランプで照射するだけで硬化でき、硬化作業を簡素化できる。具体的には、UVランプで10秒間紫外線照射を行うと、ランプにより照射された部分は瞬時に硬化し、かつ、UVランプの光が届かない暗部も数十秒の放置で硬化できる。
前記のように、本発明では、コネクタの止水構造において、コネクタの端子収容室内に挿入した電線外周面と端子収容室の内周面の隙間に、シール材とする暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を充填し、該端子収容室の電線挿入開口で外部に露出する前記紫外線硬化樹脂を紫外線で照射するだけで、端子収容室内の紫外線が照射できない部位の紫外線硬化樹脂も硬化して、コネクタの端子収容室内に浸水を確実に防止できるシール材を充填した構成とすることができる。このように、コネクタや電線の形状やサイズに関係なく、前記暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を用い、コネクタの端子収容室内に注入して一部の外部露出部に紫外線を照射するだけで良いため、止水部品の削減、止水構造とするための工程の簡素化を図って、簡単、確実且つ安価にコネクタを止水構造として形成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1、図2に第1実施形態を示す。
図1(A)〜(C)は本発明のコネクタの止水構造を示し、該コネクタ1は自動車のエンジンルーム等の浸水領域に配索されるワイヤハーネス2の電線3の端末に接続されるもので防水仕様としている。
図1、図2に第1実施形態を示す。
図1(A)〜(C)は本発明のコネクタの止水構造を示し、該コネクタ1は自動車のエンジンルーム等の浸水領域に配索されるワイヤハーネス2の電線3の端末に接続されるもので防水仕様としている。
コネクタ1は汎用されているコネクタであり、コネクタハウジング10内に複数の端子収容室11を備え、該端子収容室11の長さ方向の一端に設けた電線挿入開口12から端子5を接続した電線3を挿入し、端子5の前側の電気接触部5aの底面に設けた係止穴5bに端子収容室11内の底面から突設したランス13を挿入係止している。なお、図1のコネクタ1に挿入係止する電線端末の端子は雌型の端子5であるため、コネクタ1はオスコネクタとし、電線挿入開口12と反対側の端子収容室11の先端には相手方コネクタに挿入係止された雄型の端子が挿入する開口14を設けている。
前記コネクタ1の端子収容室11内に電線3の端子を挿入係止した状態で、端子5の電気接触部5aに連続する芯線バレル5cおよび絶縁被覆バレル5dで電線をかしめ圧着した電線接続部5eは端子収容室11の後半側に位置する。該端子5の絶縁被覆バレル5dから引き出す電線3の一部は端子収容室11内の電線挿入開口12の周縁に位置し、該電線挿入開口12より外部に引き出されている。
前記コネクタハウジング10の端子収容室11の内周面(端子5の底面が接触する端子収容室の下面を除く上面および両側面)には、前記端子5の電線接続部5eと対向する位置から液漏れ防止弁15を一体成形で突設している。該液漏れ防止弁15は薄肉として容易に変形する可撓性を持たせ、図1(B)に示すように、電線端末の端子5を端子収容室11内に挿入した時に端子5の表面に沿って撓みながら変形し、端子5がランスとの係止で位置決め保持された時、液漏れ防止弁15の先端が端子の電気接続部5eの外周面に密着し、電線挿入開口12に連続する電線3および端子5と端子収容室11の内周面との間の隙間を遮断するようにしている。
コネクタ1の端子収容室11内において、長さ方向で電線挿入開口12と液漏れ防止弁15の間で且つ電線3および端子5の外周面と端子収容室11の内周面の間の隙間Sに、暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20をシール材として充填している。該紫外線硬化樹脂20は電線挿入開口12の開口端まで位置させて、開口端の位置で紫外線硬化樹脂20を外部に露出させている。この紫外線硬化樹脂20の外部露出部20sに後述するように紫外線を照射して硬化させ、該硬化に連続してコネクタ1の内部の暗部に充填している紫外線硬化樹脂も硬化し、硬化したシール材として機能させている。該シール材により電線挿入開口12からの浸水防止を図っている。
また、図1(C)に示すように、前記コネクタ1の一部の端子収容室11には電線が挿入されず、空きの端子収容室11Nがある。この空きの端子収容室11Nの電線挿入開口12を、ダミーゴミ栓で閉鎖する代わりに、前記暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20を電線挿入開口12より注入して充填し、その後、紫外線を照射して硬化し、電線挿入開口12を閉鎖するシール材としている。
前記シール材とする暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂20はコネクタへの注入時は比較的高粘度の5000〜8000mPa・sとし、電線挿入開口12から前記隙間Sに注入した際に空隙を生じること無く充填でき、かつ、液漏れ防止弁15を越えて端子5の電気接触部5a側へ流れないようにしている。
前記暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂20は、紫外線硬化材(A)、連鎖移動剤(B)と、紫外線重合開始剤(C)を配合した暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂としている。
以下、紫外線硬化樹脂20について詳述する。
以下、紫外線硬化樹脂20について詳述する。
前記暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂の成分である前記連鎖移動剤(B)は、(a)ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、(b)含金属化合物とを含有する金属錯体化合物からなる。
前記連鎖移動剤(B)は発生したラジカルを安定化した上で、分子間または分子内伝達機能を発揮できる。よって、連鎖移動剤(B)が系内に発生したラジカルをラジカルの発生のない箇所にまで瞬時に伝達し、重合反応を開始してラジカル重合反応を進行させることができる。その結果、紫外線硬化材(A)に連鎖移動剤(B)を配合すると、従来、硬化させることが困難であった照射光が届かない内部や裏面側も確実に硬化することができる。かつ、硬化直前に硬化剤を混合する作業工程や、照射後に加熱や湿気硬化等により暗部を硬化させる工程等が不要であり、硬化作業を短時間で行うことができ、硬化作業性に優れている。
前記連鎖移動剤(B)は発生したラジカルを安定化した上で、分子間または分子内伝達機能を発揮できる。よって、連鎖移動剤(B)が系内に発生したラジカルをラジカルの発生のない箇所にまで瞬時に伝達し、重合反応を開始してラジカル重合反応を進行させることができる。その結果、紫外線硬化材(A)に連鎖移動剤(B)を配合すると、従来、硬化させることが困難であった照射光が届かない内部や裏面側も確実に硬化することができる。かつ、硬化直前に硬化剤を混合する作業工程や、照射後に加熱や湿気硬化等により暗部を硬化させる工程等が不要であり、硬化作業を短時間で行うことができ、硬化作業性に優れている。
連鎖移動剤(B)における前記(a)成分のウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基を含む化合物は、下記(式1)で示されるウレタン結合部、下記(式2)で示される尿素結合部、下記(式3)で示されるイソシアネート基から選択される少なくとも1種を1分子中に1個以上含有すればよい。
(式1)−NH−COO−
(式2)−NH−CO−NH−
(式3)−N=C=0
(式1)−NH−COO−
(式2)−NH−CO−NH−
(式3)−N=C=0
連鎖移動剤(B)を構成する前記(b)の含金属化合物は、スズ、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルから選択される少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。これらのうちでは、比較的高温(例えば120℃程度の温度)で活性化され、常温では暗部での硬化速度を向上させる効果が奏されにくいため、本組成物の保存安定性を高くできるなどの観点から、亜鉛系の金属錯体化合物や、銅系の金属錯体化合物などがより好ましい。
前記(b)の含金属化合物の具体例として、本出願人の先願に係わるWO2012/102299号公報の段落0010、段落0154に列挙された含金属化合物が挙げられる。
前記(b)の含金属化合物の具体例として、本出願人の先願に係わるWO2012/102299号公報の段落0010、段落0154に列挙された含金属化合物が挙げられる。
連鎖移動剤(B)において、前記(a)と(b)の配合比は、質量比で(a):(b)=100:0.001〜100:10、好ましくは100:0.005〜100:5であることが好ましい。
前記(a)と(b)とからなる連鎖移動剤(B)として機能する金属錯体化合物において、錫系の金属錯体化合物としては、ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫、ジブチル錫ビス(トリフルオロメタンスルホナート)、ジブチル錫ジアセタート、ジラウリン酸ジブチル錫、ジブチル錫マレアート、フタロシアニン錫(IV)ジクロリド、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニル錫、フタロシアニン錫(II)、トリブチル(2−ピリジル)錫、トリブチル(2−チエニル)錫、酢酸トリブチル錫、トリブチル(トリメチルシリルエチニル)錫、トリメチル(2−ピリジル)錫 などを挙げることができる。
銅系の金属錯体化合物としては、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(1,3−プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8−キノリノラト)銅(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム、フタロシアニン銅(II)、ジクロロ(1,10−フェナントロリン)銅(II)、フタロシアニン銅 、テトラ−4−tert−ブチルフタロシアニン銅、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、ナフテン酸銅などを挙げることができる。
亜鉛系の金属錯体化合物としては、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)亜鉛コンプレックス、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、フタロシアニン亜鉛、ナフテン酸亜鉛などを挙げることができる。
コバルト系の金属錯体化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(III)ヘキサフルオロホスファート、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]コバルト(II)ジクロリド、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)コバルト(II)、(1R,2R)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、(1S,2S)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、フタロシアニンコバルト(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムコバルト、ヘキサアンミンコバルト(III) クロリド、N,N’−ジサリチラルエチレンジアミンコバルト(II)、[5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)、ナフテン酸コバルトなどを挙げることができる。
ニッケル系の金属錯体化合物としては、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)コンプレックス、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ブロモ[(2,6−ピリジンジイル)ビス(3−メチル−1−イミダゾリル−2−イリデン)]ニッケルブロミド、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケルなどを挙げることができる。
前記金属錯体化合物の市販品として下記が挙げられる。
・BPDZ:[東京化成社製「ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)」]
・CDEDTC:[東京化成社製「ジエチルジチオカルバミン酸銅(II)」]
・DBTDL:[東京化成社製「ジラウリン酸ジブチル錫」]
銅系の金属錯体化合物としては、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(1,3−プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8−キノリノラト)銅(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム、フタロシアニン銅(II)、ジクロロ(1,10−フェナントロリン)銅(II)、フタロシアニン銅 、テトラ−4−tert−ブチルフタロシアニン銅、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、ナフテン酸銅などを挙げることができる。
亜鉛系の金属錯体化合物としては、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(1,3−ジチオール−2−チオン−4,5−ジチオラト)亜鉛コンプレックス、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(II)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、フタロシアニン亜鉛、ナフテン酸亜鉛などを挙げることができる。
コバルト系の金属錯体化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(III)ヘキサフルオロホスファート、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]コバルト(II)ジクロリド、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)コバルト(II)、(1R,2R)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、(1S,2S)−N,N’−ビス[3−オキソ−2−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ブチリデン]−1,2−ジフェニルエチレンジアミナトコバルト(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、ビス(トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)コバルト(II)、フタロシアニンコバルト(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムコバルト、ヘキサアンミンコバルト(III) クロリド、N,N’−ジサリチラルエチレンジアミンコバルト(II)、[5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)ポルフィリナト]コバルト(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルト(III)、ナフテン酸コバルトなどを挙げることができる。
ニッケル系の金属錯体化合物としては、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)ジクロリド、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(II)、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ニッケル(II)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)、ビス(テトラブチルアンモニウム)ビス(マレオニトリルジチオラト)ニッケル(II)コンプレックス、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ブロモ[(2,6−ピリジンジイル)ビス(3−メチル−1−イミダゾリル−2−イリデン)]ニッケルブロミド、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル(II)、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(II)、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケルなどを挙げることができる。
前記金属錯体化合物の市販品として下記が挙げられる。
・BPDZ:[東京化成社製「ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)」]
・CDEDTC:[東京化成社製「ジエチルジチオカルバミン酸銅(II)」]
・DBTDL:[東京化成社製「ジラウリン酸ジブチル錫」]
前記紫外線硬化材(A)は、イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物に対し、水酸基を2つ以上有するポリオールの水酸基の2つ以上が(メタ)アクリレートとエステル結合を形成することにより、水酸基の数が1以下に設定されたポリオールの(メタ)アクリレートを主成分とすることが好ましい。
前記ポリオールの(メタ)アクリレートは、水酸基の数が1以下に設定されているため、ポリイソシアネート化合物に配合された状態では、ポリイソシアネート化合物とのウレタン化反応が進行するのを抑えられている。これにより、本組成物の保存安定性が高められている。前記ポリオールの(メタ)アクリレートの水酸基の数は、1であっても良いし、0であっても良い。本組成物の保存安定性の点では、より好ましくは0である。
該ポリオールの(メタ)アクリレートとしては、ジプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1−アクリロイロキシ−3−メタクリロイロキシ−2−プロパノール(2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート)等が好ましい。該(メタ)アクリレートの具体例として、前記WO2012/102299号公報の段落0131に記載のものが挙げられる。
該(メタ)アクリレートの市販品としては、下記が挙げられる。
・DPGA:[東京化成社製「ジプロピレングリコールジアクリレート」]
・TEGDA:[東京化成社製「テトラエチレングリコールジアクリレート」]
・AMPOH:[東京化成社製「1−アクリロイロキシ−3−メタクリロイロキシ−2−プロパノール(2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート)」]
・IBA:[東京化成社製「イソボルニルアクリレート」]
該ポリオールの(メタ)アクリレートとしては、ジプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1−アクリロイロキシ−3−メタクリロイロキシ−2−プロパノール(2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート)等が好ましい。該(メタ)アクリレートの具体例として、前記WO2012/102299号公報の段落0131に記載のものが挙げられる。
該(メタ)アクリレートの市販品としては、下記が挙げられる。
・DPGA:[東京化成社製「ジプロピレングリコールジアクリレート」]
・TEGDA:[東京化成社製「テトラエチレングリコールジアクリレート」]
・AMPOH:[東京化成社製「1−アクリロイロキシ−3−メタクリロイロキシ−2−プロパノール(2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート)」]
・IBA:[東京化成社製「イソボルニルアクリレート」]
前記イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物としては、具体的には、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどを挙げることができる。また、これらのポリイソシアネートを水と反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートをトリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させて得られるアダクト型ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートを一部ポリエステルやポリエーテル誘導体と重合させた液状プレポリマー、これらのポリイソシアネートをイソシアヌレート化して得られる多量体などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート化合物の市販品として下記が挙げられる。
・N3600:[住化バイエルウレタン社製「デスモジュールN3600」]
・N3200:[住化バイエルウレタン社製「デスモジュールN3200」]
また、ウレタンプレポリマーの合成品として下記UP−1とUP−2が挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物の市販品として下記が挙げられる。
・N3600:[住化バイエルウレタン社製「デスモジュールN3600」]
・N3200:[住化バイエルウレタン社製「デスモジュールN3200」]
また、ウレタンプレポリマーの合成品として下記UP−1とUP−2が挙げられる。
前記ウレタンプレポリマーUP−1は下記の方法で合成される。
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が400のポリプロピレングリコール80質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート40質量部とジブチル錫ジラウレート0.1質量部を仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げる。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続ける。その吸収が無くなった時を反応終了とする。これをウレタンプレポリマーUP−1とする。
前記ウレタンプレポリマーUP−2は下記の方法で合成される。
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が1250の末端ジオール型ポリカプロラクトン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート13.5質量部とジブチル錫ジラウレート0.1質量部を仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げる。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続ける。その吸収が無くなった時を反応終了とする。これをウレタンプレポリマーUP−2とする。
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が400のポリプロピレングリコール80質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート40質量部とジブチル錫ジラウレート0.1質量部を仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げる。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続ける。その吸収が無くなった時を反応終了とする。これをウレタンプレポリマーUP−1とする。
前記ウレタンプレポリマーUP−2は下記の方法で合成される。
攪拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が1250の末端ジオール型ポリカプロラクトン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート13.5質量部とジブチル錫ジラウレート0.1質量部を仕込み、攪拌しながら液温度を室温から50℃まで1時間かけて上げる。その後少量をサンプリングしFT−IRを測定して2300cm−1付近のイソシアネートの吸収を確認しながら、50℃にて攪拌を続ける。その吸収が無くなった時を反応終了とする。これをウレタンプレポリマーUP−2とする。
前記紫外線硬化材(A)において、前記ポリイソシアネート化合物と前記ポリオールの(メタ)アクリレートの配合比が、質量比で、90:10〜10:90、好ましくは80:20〜20:80である。前記ポリオールの(メタ)アクリレートの配合量が質量比で90を超えると、ポリイソシアネート化合物の配合量に対して多過ぎるので、暗部での硬化反応を担うポリイソシアネート化合物の量が不十分となり、暗部での硬化速度が遅くなる傾向にある。一方、前記ポリオールの(メタ)アクリレートの配合量が質量比で10未満でも、ポリイソシアネート化合物を硬化させる活性種の発生量が不十分となり、暗部での硬化速度が遅くなる傾向にある。
前記紫外線硬化材(A)と連鎖移動剤(B)との配合比は、質量比で、(A):(B)=90:10〜10:90が好ましい。具体的には、前記紫外線硬化材(A)の(メタ)アクリレートが50〜70質量%、好ましくは、55〜65質量%、連鎖移動剤(B)が50〜30質量%、好ましくは45〜35質量%である。
前記紫外線重合開始剤(C)はポリオールの(メタ)アクリレートをラジカル反応させるなどの目的で用いられる。紫外線重合開始剤(C)は、紫外線を吸収してラジカル反応を開始させる化合物であれば特に制限されるものではない。該紫外線重合開始剤(C)として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−テイルアントラキノン等、前記WO2012/102299号公報の段落0133に記載のものが挙げられる。
該紫外線重合開始剤(C)の市販品としては、例えば、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173、LucirinTPO(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)などを挙げることができる。
該紫外線重合開始剤(C)の市販品としては、例えば、IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173、LucirinTPO(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)などを挙げることができる。
前記紫外線重合開始剤(C)の配合量としては、前記紫外線硬化材(A)100質量部に対し、0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.1〜7質量部の範囲である。紫外線重合開始剤の配合量が0.01質量部未満では、紫外線重合開始剤の量が少な過ぎて、紫外線による硬化反応が開始しにくい。一方、紫外線重合開始剤の配合量が10質量部を超えると、不溶物を生じ、硬化物の物性を損なうおそれがある。
紫外線硬化樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記各種成分以外に、必要に応じて、各種の配合剤を配合することができる。配合剤としては、前記WO2012/102299号公報の段落0117〜0126に記載の安定化剤、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、増感剤、分散剤、溶剤、抗菌抗カビ剤などを挙げることができる。各配合剤は適宜、組み合わせて用いることができる。また、配合剤の配合量は、用途等に合わせて適宜定めることができる。
前記紫外線硬化樹脂の製造方法は、特に限定されないが、上記各成分を、例えば減圧下または窒素等の不活性ガス雰囲気下で、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させる方法が好ましい。
次に、前記暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20からなるシール材を用いたコネクタの止水構造の形成方法を説明する。
図2(A)に示すように、防水仕様とする必要がある浸水領域に配置するコネクタ1の端子収容室11に、ワイヤハーネス2を構成する電線3の端末に接続した端子5を電線挿入開口12より挿入する。
図2(A)に示すように、防水仕様とする必要がある浸水領域に配置するコネクタ1の端子収容室11に、ワイヤハーネス2を構成する電線3の端末に接続した端子5を電線挿入開口12より挿入する。
図2(B)に示すように、端子5は端子収容室11内でランス13で係止する。この状態で、端子収容室11の内周面から突設した液漏れ防止弁15の先端側が端子5の電線接続部5eの外周面に密着している。
この状態で、暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20を注入器を用いて電線挿入開口12から端子収容室11内に注入する。具体的には、端子収容室11の内周面と端子5の電線接続部5eの外周面の隙間および該電線接続部5eに連続する電線3の絶縁被覆の外周面の隙間に紫外線硬化樹脂20を空隙(ボイド)が生じないように充填する。該充填時に紫外線硬化樹脂20を粘度5000〜8000mPa・sとして比較的流れにくくしているため、液漏れ防止弁15と端子5との密着部を越えて端子5の電気接触部5aまで流れない。かつ、電線挿入開口12の開口端まで紫外線硬化樹脂20を充填し、紫外線硬化樹脂の充填部の先端を外部に露出させている。なお、端子5を接続した電線3が挿入された端子収容室11への紫外線硬化樹脂20の注入量は予め測定しておき、測定した定量を各端子収容室11に注入することで、液漏れ防止弁15で遮蔽された位置から電線挿入開口12の開口端に達する位置まで隙間無く充填している。
この状態で、暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20を注入器を用いて電線挿入開口12から端子収容室11内に注入する。具体的には、端子収容室11の内周面と端子5の電線接続部5eの外周面の隙間および該電線接続部5eに連続する電線3の絶縁被覆の外周面の隙間に紫外線硬化樹脂20を空隙(ボイド)が生じないように充填する。該充填時に紫外線硬化樹脂20を粘度5000〜8000mPa・sとして比較的流れにくくしているため、液漏れ防止弁15と端子5との密着部を越えて端子5の電気接触部5aまで流れない。かつ、電線挿入開口12の開口端まで紫外線硬化樹脂20を充填し、紫外線硬化樹脂の充填部の先端を外部に露出させている。なお、端子5を接続した電線3が挿入された端子収容室11への紫外線硬化樹脂20の注入量は予め測定しておき、測定した定量を各端子収容室11に注入することで、液漏れ防止弁15で遮蔽された位置から電線挿入開口12の開口端に達する位置まで隙間無く充填している。
また、空きの端子収容室11Nには、電線挿入開口12より前記紫外線硬化樹脂20と同一の暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20を注入し、前記液漏れ防止弁15の位置から電線挿入開口12が閉鎖されるまで充填する。空きの端子収容室11Nへの注入量は端子を接続した電線を挿入する端子収容室11への注入量より当然のことながら多くなる。
前記のように、端子接続電線を挿入した端子収容室11および空きの端子収容室11Nに紫外線硬化樹脂20を充填した後に、図2(C)に示すように電線挿入開口12に充填した紫外線硬化樹脂20を紫外線照射ランプ40(SEN特殊光源社製)で外方から照射する。
紫外線が照射される電線挿入開口12に面する部分の紫外線硬化樹脂20から硬化が開始する。該紫外線硬化樹脂20は暗部硬化性としているため、端子収容室11の内部に位置する部分も連鎖移動剤(B)により硬化が進み、数十秒程度で全体が硬化する。これにより、図1に示すように、硬化した紫外線硬化樹脂20からなるシール材が端子収容室11の隙間に充填された状態となり、コネクタ1の電線挿入開口12からの浸水を確実に防止できる。
前記のように、暗部硬化性の紫外線硬化樹脂20を用いると、紫外線が照射できない暗部となるコネクタの端子収容室11の内部まで紫外線硬化樹脂を硬化させることができるため、安定したシール材として機能させ、永年にわたるコネクタの防水信頼性を保つことができる。かつ、防水ゴム栓を用いと、コネクタ、電線、端子の形状やサイズに対応させた専用品が必要となるが、紫外線硬化樹脂を隙間に充填するだけであるため、安価かつ簡単にコネクタを防水仕様にできる。
図3(A)(B)に第2実施形態を示す。
第2実施形態のコネクタ50は、コネクタハウジング51の端子収容室52に挿入する電線端末の端子5を二重係止するため、コネクタハウジング51に設けた開口51aにリテーナ55を端子挿入後に組みつけるタイプである。
前記リテーナ55は、端子収容室52内に挿入される端子5の電気接触部5aの後端面に当接する係止突起55aを備えている。該係止突起55aに第1実施形態の液漏れ防止弁15と同様な機能をさせ、端子収容室52の電線挿入開口12から注入する紫外線硬化樹脂20が端子5の電気接触部5aへ漏れて付着するのを防止している。
他の構成および紫外線硬化樹脂による止水方法は第1実施形態と同様であるため、同様の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態のコネクタ50は、コネクタハウジング51の端子収容室52に挿入する電線端末の端子5を二重係止するため、コネクタハウジング51に設けた開口51aにリテーナ55を端子挿入後に組みつけるタイプである。
前記リテーナ55は、端子収容室52内に挿入される端子5の電気接触部5aの後端面に当接する係止突起55aを備えている。該係止突起55aに第1実施形態の液漏れ防止弁15と同様な機能をさせ、端子収容室52の電線挿入開口12から注入する紫外線硬化樹脂20が端子5の電気接触部5aへ漏れて付着するのを防止している。
他の構成および紫外線硬化樹脂による止水方法は第1実施形態と同様であるため、同様の符号を付して説明を省略する。
図4(A)〜(C)および図5(A)(B)に第3実施形態を示す。
第3実施形態では、暗部硬化性の紫外線硬化樹脂をゲル状シートとして用いている。図4(A)(B)に示すように、端子5を接続した電線3には、端子5の電線接続部5eから電線挿入開口12に位置する電線3の外周面にかけて薄肉としたゲル状シート25Aを巻き付けている。この巻き付け時に端子5の底面側はゲル状シート25Aは1回巻きとして薄肉とし、上面は巻付部を重ねて2回巻きとして厚肉としている。図4(C)に示すように、巻付状態で端子5を接続した電線3をコネクタ1の端子収容室11内に挿入する。挿入時にゲル状シート25Aは撓みながら挿入し、その外周面を端子収容室11の内周面に密着させる。
図5(A)(B)に示すように、空きの端子収容室11Nの電線挿入開口12に、止水シートとして、厚肉としたゲル状シート25Bを押し込み、その外周面を端子収容室の内周面に密着させる。
その後、紫外線照射ランプ40で電線挿入開口12に面するゲル状シート25A、25Bを照射して硬化する。
第3実施形態では、暗部硬化性の紫外線硬化樹脂をゲル状シートとして用いている。図4(A)(B)に示すように、端子5を接続した電線3には、端子5の電線接続部5eから電線挿入開口12に位置する電線3の外周面にかけて薄肉としたゲル状シート25Aを巻き付けている。この巻き付け時に端子5の底面側はゲル状シート25Aは1回巻きとして薄肉とし、上面は巻付部を重ねて2回巻きとして厚肉としている。図4(C)に示すように、巻付状態で端子5を接続した電線3をコネクタ1の端子収容室11内に挿入する。挿入時にゲル状シート25Aは撓みながら挿入し、その外周面を端子収容室11の内周面に密着させる。
図5(A)(B)に示すように、空きの端子収容室11Nの電線挿入開口12に、止水シートとして、厚肉としたゲル状シート25Bを押し込み、その外周面を端子収容室の内周面に密着させる。
その後、紫外線照射ランプ40で電線挿入開口12に面するゲル状シート25A、25Bを照射して硬化する。
前記のように、紫外線硬化樹脂をゲル状シートとして電線および端子に巻き付け、また、空きの端子収容室内にはゲル状シートで電線挿入開口を閉鎖する構成とすると、第1実施形態の液漏れ防止弁は不要であり、第2実施形態のリテーナを液漏れ防止に利用する必要はない。
1 コネクタ
2 ワイヤハーネス
3 電線
10 コネクタハウジング
11 端子収容室
11N 空きの端子収容室
12 電線挿入開口
20 暗部硬化性の紫外線硬化樹脂(シール材)
2 ワイヤハーネス
3 電線
10 コネクタハウジング
11 端子収容室
11N 空きの端子収容室
12 電線挿入開口
20 暗部硬化性の紫外線硬化樹脂(シール材)
Claims (7)
- 電線端末に接続した端子が挿入係止されたコネクタの端子収容室の電線挿入開口の周縁内面と、前記端子の接続部に連続する前記電線の絶縁被覆の外周面との間が、硬化された暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなるシール材で密封されていることを特徴とするコネクタの止水構造。
- 前記暗部硬化性を有する紫外線硬化樹脂は、
イソシアネート基を2つ以上有するポリイソシアネート化合物に対し、水酸基を2つ以上有するポリオールの水酸基の2つ以上が(メタ)アクリレートとエステル結合を形成することにより、水酸基の数が1以下に設定されたポリオールの(メタ)アクリレートを主成分とする紫外線硬化材(A)と、
ウレタン結合、尿素結合、イソシアネート基から選択される少なくとも1種を1個以上含む化合物と、含金属化合物とを含有する金属錯体化合物からなる連鎖移動剤(B)と、 紫外線重合開始剤(C)
とを配合した組成物からなる請求項1に記載のコネクタの止水構造。 - 前記コネクタの端子収容室の電線挿入開口に近接する内周面から薄肉の液漏れ防止弁が揺動可に突設され、前記端子収容室に挿入される前記電線外周面または接続した端子の相手方端子との電気接触部より後側の電線接続部の外周面に沿って前記液漏れ防止弁の先端が密着するように変形し、前記電線挿入開口から前記電線と端子収容室の内面との隙間に注入する前記紫外線硬化樹脂が前記液漏れ防止弁で遮断される位置まで充填され、前記端子の電気接触部側に漏れて前記紫外線硬化樹脂を付着させない構成としている請求項1または請求項2に記載のコネクタの止水構造。
- 前記コネクタの端子収容室内において、前記電線挿入開口から前記電線と端子収容室の内面との隙間に注入する前記紫外線硬化樹脂が、前記コネクタに装着されるリテーナで遮断される位置まで充填され、前記端子の電気接触部側に漏れて前記紫外線硬化樹脂を付着させない構成としている請求項1または請求項2に記載のコネクタの止水構造。
- 前記コネクタの空きの端子収容室では、前記電線挿入開口を硬化された暗部硬化性の紫外線硬化樹脂からなるシール材で密閉している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコネクタの止水構造。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコネクタの止水構造の形成方法であって、
前記コネクタに電線端末の端子を端子収容室内に挿入係止した後、該コネクタの電線挿入開口から前記電線外周面と前記端子収容室の内周面の隙間に暗部硬化性の紫外線硬化樹脂を注入して充填し、
その後、前記電線挿入開口の外方から紫外線を照射して、充填した前記紫外線硬化樹脂の外方露出面を照射し、該照射した部分の前記紫外線硬化樹脂を硬化すると共に紫外線が直接照射されない前記端子収容室内に充填されている紫外線硬化樹脂も硬化しているコネクタの止水構造の形成方法。 - 前記電線挿入開口から注入する前記シール材となる前記紫外線硬化樹脂は、注入時の粘度を5000〜8000mPa・sとしている請求項6に記載のコネクタの止水構造の形成方法。
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