JP2014206460A - タンパク質固定ゲルマイクロアレイ - Google Patents

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Chuhei Otsuki
宙平 大槻
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Abstract

【課題】生体試料中の微量タンパク質を感度よく検出するマイクロアレイを提供すること。【解決手段】界面活性剤を含む溶液で抽出されたタンパク質が固定化されたゲルを有するマイクロアレイ。【選択図】 図1

Description

本発明は、タンパク質を検出するためのマイクロアレイに関する。
近年、ライフサイエンスの研究分野において、多数の生体情報を一括して解析する分析手法として、マイクロアレイ法が開発されている。
マイクロアレイとは、マイクロチップのような微小な基板上に、キャプチャープローブとして調べたい物質(標的物質)と結合する物質をアレイ状に複数配置させたものである。
検体をマイクロアレイの基板に配置したプローブに接触させて、標的物質とプローブを反応させた後、結合したものを検出することで、検体中に多数存在する標的物質の有無もしくはその存在量を一括して調べることができる。
既に様々な形態のマイクロアレイが開発されており、基板の2次元表面上でフォトリソグラフィーによりキャプチャープローブ(DNA(デオキシリボ核酸)、ペプチドなど)が逐次的に合成されたマイクロアレイ(特許文献1)、予め合成しておいたキャプチャープローブが基板の2次元表面上にスポッティングされたマイクロアレイ(特許文献2)などがある。
他の例として、複数の区画を有し、各区画が孔や中空繊維により形成されており、キャプチャープローブを含むゲル状物が各区画に保持されている生体関連物質検出用マイクロアレイが提案されている(特許文献3及び特許文献4参照)。この製造方法は、フォトリソグラフィー法やスポッティング法と比較して、高価な製造設備を必要とせず、安定した品質のマイクロアレイが大量に生産できるという利点を有する。
また、この方法で製造されたマイクロアレイは、キャプチャープローブを含むゲル状物を中空繊維の中空部に保持するため、単に平面基板にキャプチャープローブを保持するマイクロアレイと比較して、一区画により多くの量のキャプチャープローブを保持することができる。さらには電気泳動によるハイブリダイゼーション反応を行うことができるので、検査時間の短縮も可能である。
このようなマイクロアレイの内、DNAをプローブとして配置したものは、特にDNAマイクロアレイと呼ばれる。DNAの他にも、タンパク質、ペプチド、糖鎖、その他の化合物などを標的物質としてそれらが結合する物質を配置させた様々な生体関連物質検出用マイクロアレイが製造され、基礎研究分野を中心に利用されている。
このようなマイクロアレイ法を臨床診断分野に応用として、既存の臨床診断をマイクロアレイで行う試みもなされている。例えば、マイクロアレイを使って癌マーカーを検出する方法が報告されている。血中タンパク質である膵臓癌マーカータンパク質を、マイクロアレイ基板上に配置したキャプチャープローブと反応させた後、プローブに結合した膵臓癌マーカータンパク質を質量分析により分析する方法が開示されている(特許文献5)。肺癌患者の検体中に存在する自己抗体のエピトープとなるペプチドを配置したマイクロアレイを使って肺癌マーカーを検出する方法が開示されている(特許文献6)。
癌マーカー検出の他に、アレルギー検査を、マイクロアレイを使って行う方法も報告されている。具体的には、アレルギー反応を起こすアレルゲンタンパク質を配置したマイクロアレイを作製し、血清中に存在するアレルギーに特異的なIgEの量を調べる方法が開示されている(特許文献7)。
アレルギー判定を行う検査は、血液中に存在するアレルゲンタンパク質に特異的に結合する抗体、即ち種々のアレルゲンに対する特異的IgEの量を調べる検査であるが、現在行われている方法では、1検査キットに対して、1種類のアレルギー項目しか検査できない。
米国特許第5405783号明細書 米国特許第5601980号明細書 国際公開第00/40942号パンフレット 国際公開第01/98781号パンフレット 国際公開第06/98087号パンフレット 特表2010−507069号公報 特開2010−266448号公報 特開2001−133453号公報 特開平11−108928号公報
しかしながら、臨床診断に供される生体試料は、標的物質の他に多くの夾雑物を含んでおり、その中から極微量の標的物質を精度よく検出することは既存のマイクロアレイ技術では容易なことではない。従って、実際には臨床診断の場ではマイクロアレイ法は使われず、従来からある生化学的手法を使った単項目毎の検査(CAP_RAST法)がまだ主流となっているのが実情である。
そこで、本発明の主な目的は、極微量の生体試料から数百種類の標的物質を同時に且つ安定的に検出する診断用途に用いるマイクロアレイを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、基板(マイクロアレイ)に保持させたゲルに、標的物質(標的タンパク質)を捕捉するための物質を固定化することにより上記課題を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、界面活性剤を含む溶液で抽出されたタンパク質が固定化されたゲルを有するマイクロアレイに関する。
また、本発明は、前記マイクロアレイと検体とを接触させることにより、マイクロアレイに固定化されたタンパク質と検体中の標的物質とを結合させる工程、及び、当該タンパク質に結合した標的物質を定量する工程を含む、生体関連物質の検出方法に関する。
本発明によれば、検体中に存在する複数の微量な標的物質(標的タンパク質)を、感度よく検出するマイクロアレイを提供することができる。
配列固定器具の概念図である。 大豆から抽出したタンパク質のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動図である。 小麦から抽出したタンパク質のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動図である。 落花生から抽出したタンパク質のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動図である。
本発明のマイクロアレイは、界面活性剤を含む溶液で抽出されたタンパク質が固定化されたゲルを有するマイクロアレイである。このマイクロアレイは、上記タンパク質が固定化されたゲルを有する。本発明において、ゲルに固定するタンパク質は、界面活性剤を含む溶液で抽出されたものである。使用される界面活性剤に限定されるものではなく、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などを単独で、又は適宜組み合わせて使用することができる。抽出の対象となるタンパク質は限定されるものではないが、例えばアレルギーの原因となるアレルゲンであることが好ましい。
当該マイクロアレイは、薄片プレートに貫通孔を形成して得ることもできるが、複数の線条体又は貫通穴を含むブロックを、線条体又は貫通穴の長手方向と交差する方向で切断して得るのが好ましい。安定した品質のマイクロアレイを大量生産することができるからである。
各構成について、以下に詳細に説明する。
(1)複数の線条体又は貫通孔を含むブロックの形成
線条体又は貫通孔を含むブロックとは、同軸方向に配向した線条体又は貫通孔を有するブロックである。貫通孔を形成する方法に特に限定はなく、例えば、特許文献8に記載されたような中空繊維を同軸方向に配列させた後、樹脂で固める方法を利用することができる。
(1−1)中空繊維
中空繊維は、種々の材料を用いることができるが、有機材料が好ましい。
有機材料からなる中空繊維としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系中空繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート等のポリエステル系中空繊維、ポリアクリロニトリル等のアクリル系中空繊維、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系中空繊維、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート系中空繊維、ポリビニルアルコール系中空繊維、ポリ塩化ビニリデン系中空繊維、ポリ塩化ビニル系中空繊維、ポリウレタン系中空繊維、フェノール系中空繊維、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等からなるフッ素系中空繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系中空繊維等が挙げられる。
当該中空繊維の製造方法は限定されず、特許文献9に記載されたような公知の方法で製造することができる。例えば、溶融紡糸法が好ましく、ノズルとしては馬蹄型やC型ノズル、2重管ノズルなどを使用することができる。本発明においては、連続した均一な中空部を形成させることができる点で2重管ノズルを用いるのが好ましい。
本発明で使用する中空繊維は多孔質であってもよく、溶融紡糸法又は溶液紡糸法に延伸法、ミクロ相分離法、抽出法などの公知の多孔化技術を組み合わせることにより得ることができる。多孔度は特に限定されるものではないが、繊維材料単位長さ辺りに固定化される生体高分子の密度を高めるという観点から、比表面積が大きくなるように高い多孔度であることが望ましい。
中空繊維の内径は任意に設定できる。好ましくは10〜2000μm、より好ましくは150〜1000μmとすることができる。
また、必要に応じて、中空繊維にはカーボンブラック等の黒色顔料を適量含有させたものを用いることもできる。黒色顔料を含有することにより、検出する際にゴミ等の夾雑物由来の光学的ノイズを軽減することができたり、樹脂の強度を上げたりすることができる。顔料の含有量は限定されず、中空繊維のサイズやマイクロアレイの使用目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%とすることができる。
(1−2)ブロック
ブロックに貫通孔を形成させるには、上記中空繊維の複数本を、中空繊維の各繊維軸が同一方向となるように3次元に配列し、その配列が乱れないように接着剤等の樹脂で固定する方法が利用できる。
例えば、粘着シート等のシート状物に複数本の中空繊維を所定の間隔をもって平行に配置し、シート状とした後、このシートを螺旋状に巻き取る方法(特許文献9)が挙げられる。
また、複数の孔が所定の間隔をもって設けられた多孔板2枚を孔部が一致するように重ねあわせ、それらの孔部に、中空繊維を通過させ、2枚の多孔板の間隔を開き、2枚の多孔板間の、中空繊維の周辺に硬化性樹脂原料を充満させ硬化させる方法(特許文献8)が挙げられる。
硬化性樹脂原料としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の有機材料からなるものが好ましい。具体的には、有機高分子等から構成される1種類以上の材料から形成されているものが好ましい。
有機高分子としては、ポリウレタン、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などのゴム材料や、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等からなるフッ素系樹脂、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系樹脂等が挙げられる。
有機高分子にはカーボンブラック等の黒色顔料を適量含有させることもできる。黒色顔料を添加することにより、検出する際にゴミ等の夾雑物由来の光学的ノイズを軽減することができたり、また、樹脂の強度を上げたりすることができる。顔料の含有量は限定されず、中空繊維のサイズやマイクロアレイの使用目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%とすることができる。
また、有機系のブロックを使用することもでき、有機系ブロックにレーザー等により複数の貫通孔を形成させることもできる。各貫通孔は有機系のブロックに互いに平行に配置され、所定の間隔をもって形成されることが好ましい。貫通孔の形状は、正方形、長方形、円形等である。円形の場合、その直径は10〜2000μm程度である。また貫通孔の配置は、同心円状、らせん状等である。貫通孔は10〜10,000孔/cmの密度でブロックに形成される。
更に、隣接する中空繊維の外表面を相互に融着することによって中空繊維束を製造することもできる。
配列の固定は、配列した中空繊維の全長又は所定部分に対して行う。配列した中空繊維の少なくとも一方の端部から適当な長さの部分は固定しない状態とすることもできる。
本発明で配列する中空繊維の数、すなわちスポットの数は限定されず、目的とする実験等に応じて適宜選択することができる。従って、中空繊維同士の距離も、マイクロアレイの面積と配列する中空繊維の数等に応じて適宜選択することができる。
(2)ブロックの薄片化
上記の方法で得られた貫通孔を有するブロックの各貫通孔中に、標的物質と結合するタンパク質を、ゲルを介して保持させた後、貫通孔が配向する方向と垂直方向に切断することにより、基板に貫通孔が配列されたマイクロアレイを得ることができる。
切断方法は、薄片化することができれば限定されない。例えば、ミクロトーム、レーザー等により行うことができる。得られる薄片の厚みは限定されず、実験の目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、5mm以下、好ましくは0.1〜1mmとすることができる。
(3)タンパク質又は当該タンパク質のエピトープの固定化
(3−1)タンパク質又は当該タンパク質のエピトープ
本発明のマイクロアレイでは、標的物質と結合する(標的物質を捕捉するための)タンパク質又は当該タンパク質のエピトープを、ゲルを介して貫通孔に保持させる。
標的物質とは、検体に含まれる、本発明のマイクロアレイにおいて検出対象となる生体から採取された生体関連物質を意味し、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質、ポリサッカライドなどの生体高分子、ヌクレオチド、ヌクレオシド、糖、アミノ酸、ビタミン、脂質などの生体内に存在する低分子有機化合物、無機化合物などを含む。なお、ここでいうタンパク質は、酵素、抗体、抗原の他、糖鎖が結合した糖タンパク質なども含まれる。これらの中でも、本発明ではアレルギー反応に関与する生体関連物質を標的物質として検出することが好ましい。
本発明のマイクロアレイの貫通孔に保持させるタンパク質又は当該タンパク質のエピトープの種類については特に限定されず、標的物質の種類に応じて適宜選択することができる。標的物質と結合する認識部位を有するタンパク質だけでなく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体などの抗体タンパク質、抗体と特異的に結合する抗原タンパク質の他、レクチンタンパク質などがある。また、標的物質と結合する特異的な認識部位、すなわちエピトープでもよい。
タンパク質又は当該タンパク質のエピトープを調製する方法は、「タンパク質精製と取り扱いのコツ」森山達哉編 羊土社」に記載されているような一般的手法を用いることができる。例えば、天然物から抽出したものを精製してもよく、また蚕などの昆虫、大腸菌から生産したものでもよい。また、自動合成装置で人工合成してもよい。
本発明においては、界面活性剤を含む溶液で抽出されたタンパク質を用いる。抽出に使用する界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
陰イオン性界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸リチウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、タウロデオキシコール酸ナトリウム水和物、タウロコール酸ナトリウム水和物、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム水和物などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばCHAPS、CHAPSO、ASB−14、C7BzO、3−(N,N−ジメチルオクチルアンモニオ)プロパンスルホン酸分子内塩、3−(デシルジメチルアンモニオ)プロパンスルホナート分子内塩、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホン酸、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホン酸、3−(N,N−ジメチルパルミチルアンモニオ)プロパンスルホン酸、3−(N,N−ジメチルオクタデシルアンモニオ)プロパンスルホナートなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えばTrironX−100、Tween20、N,N−ビス[3−(D−グルコンアミド)プロピル]デオキシコールアミド、BriJ35、BriJ58、Ter
gitol、TritonX−305、TritonN101などが挙げられる。
これらの界面活性剤は市販されており、容易に入手することができる。
界面活性剤の使用量(濃度)は以下の通りである。
陰イオン性界面活性剤:0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.05質量%〜2質量%。
両性界面活性剤:0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.05質量%〜2質量%。
非イオン性界面活性剤:0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.05質量%〜2質量%。
一例として、大豆からタンパク質を抽出する方法を以下に挙げる。まずまず界面活性剤を超純水に溶解して界面活性剤含有溶液を得て、これをミルにかけてすり潰した大豆に加え、均一になるまでスパテラで混ぜ30分後にガーゼで包んで圧搾し、タンパク質抽出液を抽出する。
得られた抽出液中のタンパク質量は、界面活性剤による影響を受けずタンパク質量を測定できるキットで定量化することにより、濃度既知のタンパク質抽出液を調製することができる。
本発明では、アレルギー反応に関与する生体関連物質を標的物質として検出することが好ましいので、ゲルに固定化するタンパク質又は当該タンパク質のエピトープとしては、アレルゲンタンパク質又は当該アレルゲンタンパク質のエピトープが好ましい。アレルゲンタンパク質の種類は特に限定されず、検出目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、ハウスダスト、コナヒョウダニダニ、ヤケヒョウダニ、アシブトコナダニ、サヤアシニクダニ、ケナガコナダニ等のダニ、スギ、ヒノキ、ビャクシン(属)、ハンノキ(属)、カバ(シラカンバ属)、コナラ(属)、ブナ(属)、マツ(属)、ニレ(属)、ヤナギ(属)、カエデ(属)、クルミ(属)、クワ(属)、アカシア(属)、オリーブ、カモガヤ、オオアワガエリ、ハルガヤ、ギョウギシバ、ナガハグサ、オオスズメノテッポウ、セイバンモロコシ、ホソムギ、ヒロハウシノケグサ、アシ、コムギ(属)、オオブタクサ、スズメノヒエ(属)、コヌカグサ(属)、ヨモギ、ブタクサモドキ、ブタクサ、タンポポ(属)、ニガヨモギ、アキノキリンソウ、シロザ、カナムグラ、フランスギク、イラクサ(属)、ヘラオオバコ、カンジダ、アスペルギルス、ペニシリウム、ムコール、ヒメスイバ、ヘルミントスポリウム、マラセチア(属)、アルテルナアリア、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンA、ピティロスポリウム(マラセチア)、クラドスポリウム、ネコ(上皮)、ネコ(フケ)、モルモット(上皮)、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンB、トリコフィトン、ハムスター(上皮)、イヌ(上皮)、イヌ(フケ)、家兎(上皮)、ヤギ(上皮)、マウス、ラット、ブタ(上皮)、セキセイインコのふん、ウマ(フケ)、ウシ(フケ)、セキセイインコ(羽毛)、ガチョウ(羽毛)、ヒツジ(上皮)、アヒル(羽毛)、ユスリカ(成虫)、ニワトリ(羽毛)、ゴキブリ、スズメバチ、ヤブカ(属)、ハトのふん、ミツバチ、回虫、アシナガバチ、ガ、綿、包虫、アニサキス、オオバコ種子、イソシアネートTDI、イソシアネートMDI、イソシアネートHDI、無水フタル酸、エチレンオキサイド、ホルマリン、絹、ラテックス、卵黄、牛乳、卵白、ソバ、オボムコイド(耐熱性卵蛋白)、米、オオムギ、コムギ、ω−5、アワ、オートムギ、ライムギ、ヒエ、ピーナッツ、クルミ、アーモンド、キビ、トウモロコシ、インゲン、カシューナッツ、ココナッツ、エンドウ、ハシバミ、イチゴ、大豆、オレンジ、モモ、ブラジルナッツ、トマト、マンゴ、リンゴ、玉ネギ、セロリ、バナナ、メロン、ヤマイモ、スイカ、グレープフルーツ、ニンニク、カボチャ、キウイ、チーズ、ゴマ、アボガド、洋ナシ、β-ラクトグロブリン、麦芽、パセリ、牛肉、モールドチーズ、ニンジン、羊肉、カゼイン、グルテン、ジャガイモ、カニ、豚肉、サツマイモ、アワビ、カキ(牡蠣)、エビ、ホウレンソウ、タケノコ、タコ、ホタテ、マスタード、イワシ、サバ、ビール酵母、カカオ、サケ、イクラ、マグロ、α-ラクトアルブミン、タラコ、鶏肉、ロブスター、アサリ、ムラサキイガイ、イカ、アジ、タラ、カレイ、マツタケ、ヒトインスリン、ゼラチンを使用することができる。これらの中でも、エビ、カニ、コムギ、ソバ、卵黄、白卵、牛乳、ピーナッツ、アワビ、イカ、イクラ、オレンジ、キウイ、牛肉、クルミ、サケ、サバ、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マツタケ、モモ、ヤマイモ、リンゴ、ゼラチンが好ましい。
ゲルに固定化するタンパク質や当該タンパク質のエピトープの量は、当該タンパク質の種類等に応じて適宜選択することができる。0.25〜250pmol/μLの濃度範囲で保持させることが好ましい。濃度範囲は、1〜150pmol/μLがより好ましく、2.5〜100pmol/μLが更に好ましく、5〜50pmol/μLが特に好ましい。この範囲内であると標的タンパク質を捕捉する機能を維持しつつ、安定的にゲルに固定できる。
タンパク質や当該タンパク質のエピトープをゲルに固定化させる方法としては、そのままゲルに包埋させる方法の他、タンパク質をゲル中に分散させた後、加熱してタンパク質の熱変性による構造変化を利用してゲル中に絡ませて固定する方法でもよい。また、タンパク質中の複数の官能基を利用してポリマー結合させてもよい(H. Tanaka, et al., Macromolecular Rapid Communication , 31(14), 1267-1271 (2010))。また、タンパク質にゲルと結合性のある官能基を導入して、ゲルと共有結合させてもよい。例えば、タンパク質にビニル基を導入して、ゲル形成性重合性モノマーと共重合させる方法が利用できる(後頁の実施例参照のこと)。
(3−2)ゲル
本発明に用いるゲルの種類は、特に限定されず、天然物から得られるゲルであれば、アガロース、アルギン酸ナトリウムなどの多糖類の他、ゼラチン、ポリリジン等のタンパク質などが利用できる。
好ましい合成高分子としては、例えば、ポリアクロイルスクシンイミドなど反応性官能基を有するポリマーと、反応性を示す架橋剤を反応させて得られるゲルが利用できる。他には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルアミノエトキシエタノール、N−アクリロイルアミノプロパノール、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸及びアリルデキストリン等の重合性モノマーを単量体として、多官能性単量体、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等との共重合により得られる合成高分子ゲルが好ましい。
本発明のマイクロアレイに用いるゲルの濃度は特には限定されず、使用するタンパク質等の種類や量、標的物質の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、単量体成分の濃度に換算して、2質量%以上が好ましく、より好ましくは2〜10質量%、更により好ましくは3〜7質量%、特に好ましくは、3.5〜5質量%である。2質量%以上で、タンパク質等を確実に固定化することができ、標的物質の検出を効率良く行うことができる。また、該濃度を10質量%以上としても飛躍的な効果が得られにくい傾向がある。
合成高分子ゲルを前記の貫通孔基板のマイクロアレイに保持させる場合は、前記ブロックに合成高分子のゲル前駆体溶液を充填させた後、ブロック内でゲル化させて保持させることができる。その後、ブロックの貫通孔の配向方向に対し、垂直な方向に薄片化することで、貫通孔基板にゲルを保持させたマイクロアレイを得ることができる。ここでゲル前駆体溶液とは、架橋構造を形成してゲル化をもたらす化学物質を含む溶液をいう。例えば、単量体、多官能性単量体、重合開始剤及び水等を含む溶液と定義することができる。
ゲル前駆体溶液をブロックの貫通孔内に充填する方法は、例えば、微細な針を有するシリンジに前記溶液を吸引し、各中空繊維の中空部に針を差し込むことにより導入することができる。
また、中空繊維束を樹脂で固めて製造するブロックを用いる場合において、中空繊維束の一方の端部が固定されていない場合は、次の方法によりゲル前駆体溶液を中空繊維内へ導入することもできる。まず中空繊維束の固定されている端部の中空部を封止し、もう一方の固定されていない端部の中空部を開放しておく。次に標的物質と結合する前記タンパク質、又はエピトープとなる該タンパク質のアミノ酸配列断片を含むゲル前駆体溶液を調製し、該ゲル前駆体溶液及び前記中空繊維束をデシゲーター内に設置し、次いで中空繊維束の中空繊維が固定されていない端部を、この溶液中に浸し、デシゲーター内を減圧状態にした後、常圧に戻すことにより、中空繊維の溶液に浸した端部より、この溶液を中空繊維中空部へ導入することができる。
中空繊維の中空部に導入されたゲル前駆体溶液を重合(反応)させることにより、タンパク質又は当該タンパク質のエピトープを含むゲル状物を中空繊維の中空部に保持させる。重合条件は特には限定されず、使用したゲル前駆体の種類等により適宜選択することができる。例えば、アクリルアミド系の単量体であれば、ラジカル開始剤を使用して重合することができ、好ましくは、アゾ系開始剤を利用した熱重合反応により重合させることができる。
(4)本発明マイクロアレイの使用
本発明のマイクロアレイの使用方法は、検体中の標的物質が検出できれば特には限定されない。
(4−1)マイクロアレイと検体との接触(反応)
例えば、まず、マイクロアレイと検体とを接触させる。このとき、マイクロアレイに検体を滴下するなどしてマイクロアレイに検体を接触させても良いし、検体にマイクロアレイを浸漬することにより検体をマイクロアレイに接触させても良い。
検体溶液の調製方法は特には限定されず、一般的に使用されている方法(公知の方法)を用いることができる。当業者であれば、マイクロアレイに適した検体溶液を調製することができる。検体溶液は、必要に応じて、塩や界面活性剤等の添加物を含むことができる。塩の種類は限定されず、実験の目的等に応じて適宜選択することができる。
塩としては、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが好ましい。検体溶液中の塩濃度は、0.001〜0.1Mが好ましく、0.005〜0.08Mがより好ましく、0.01〜0.05Mがさらに好ましい。検体溶液中の塩濃度を0.001M以上とすることにより、マイクロアレイと生体関連物質との非特異的な相互作用が形成されにくい。また0.1M以下とすることにより、生体関連物質とプローブとの特異的な相互作用による結合が形成されやすい。
界面活性剤の種類は、起泡性や標準物質の検体溶液への溶解度などを考慮して選択するが、検体溶液が種々の緩衝液を含むことから、陰イオン系界面活性剤又は非イオン系界面活性剤から選択することが好ましい。界面活性剤濃度は0.01〜0.04質量%が好ましく、0.015〜0.038質量%がより好ましく、0.02〜0.035質量%がさらに好ましい。この範囲内であると、タンパク質を偏りなく抽出できるので好ましい。さらには、ゲルが安定的にマイクロアレイに保持されるので好ましい。
接触させる際の検体の温度は限定されず、4〜35℃、好ましくは20〜30℃程度とすることができる。また、接触させる時間も限定されず、標的物質などの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、60秒〜18時間、好ましくは1〜8時間、より好ましくは2〜4時間とすることができる。
(4−2)マイクロアレイの洗浄
その後、必要に応じて、マイクロアレイを洗浄すればよい。洗浄することにより、マイクロアレイ中のゲルやタンパク質等に非特異的に結合した検体中の標的物質以外の物質が洗い流され、プローブに特異的に結合している標的物質だけを検出することができる。
当該洗浄に使用する洗浄液の種類は、マイクロアレイや貫通孔内に非特異的に結合した生態関連物質を効率良く洗い流すことができれば、特には限定されない。例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどの塩を含むことが好ましい。洗浄液中の塩濃度は0.12〜0.4Mが好ましく、0.13〜0.3Mがより好ましく、0.15〜0.25Mがさらに好ましい。0.1M以上とすることにより、効率良く非特異的に結合した物質を除去することができる。また、0.4M以下とすることにより、特異的に結合した生体関連物質が除去されるのを避けることができる。
洗浄の方法は限定されない。例えば、0.05% Tween−20を含む0.12MTris−HCl、0.12M塩化ナトリウム溶液中に浸漬させ、20〜30℃の室温下で、10〜20分間振とうさせる操作を、1〜3回程度繰り返すなどの方法により洗浄することができる。
(4−3)検出
洗浄後、マイクロアレイに結合した標的物質を種々の標識剤で標識する。例えば、標識剤の水溶液を調整し、標識剤溶液中に洗浄後のマイクロアレイを10分間から30分間浸漬させることで標識することができる。標識剤溶液の濃度は任意に決めることができる。標識剤は限定されず、例えば一般に市販されている西洋ワサビペルオキシダーゼのような発光性の標識剤、Cy3、Cy5、アレクサ680などの蛍光標識剤を利用することができる。また蛍光や発光を検出することができる機器、例えば蛍光顕微鏡または蛍光スキャナーなどが利用できる。ただし、検出する場合は、検出環境を暗室にするなど遮光することが好ましい。外部からの光が検出環境に照射されると、それがノイズとなり、標識剤の光量を正確に検出できないことがあるからである。
以下、実施例及び調製例により本発明を具体的に説明する。
<調製例1:マイクロアレイ固定用タンパク質の抽出>
小麦粉、大豆、落花生から以下の方法でマイクロアレイに固定するタンパク質を抽出した。
小麦粉10gに表1に示す組成の各抽出液を加え、均一になるまでスパテラで混ぜた後、振とう機を使って30分間緩やかに振とうした。
ミルにかけて粉砕した大豆10gに各抽出液を加え、均一になるまでスパテラで混ぜた後、振とう機を使って30分間緩やかに振とうした。
殻をむいた後、ミルで粉砕した落花生10gに各抽出液を加え、均一になるまでスパテラで混ぜた後、振とう機を使って30分間緩やかに振とうした。
これらの各溶液からネルを使って残渣を除き、3000rpmで10分間遠心した上清をタンパク質抽出液とした。なお、これらの抽出液中のタンパク質量(濃度)は、2D Quant Kit(GEヘルスケア社製)を使用して求めた。

抽出したタンパク質の分子量による分離は、最も一般的な手法である支持体にポリアクリルアミドゲルを使った電気泳動法(SDS−PAGE)を用いて行った。分子量マーカーにはFull−Range Rainbow Molecular Weight Marker(GEヘルスケア社製)を使い、電気泳動により分離したタンパク質はクイックCBB(WAKO社製により染色して可視化した(図 2〜4)。
<調製例2>
小麦粉、大豆、落花生から以下の方法でマイクロアレイに固定するタンパク質を抽出した。
小麦粉10gに表2に示す組成の各抽出液を加え、均一になるまでスパテラで混ぜた後、振とう機を使って30分間緩やかに振とうした。
ミルにかけて粉砕した大豆10gに各抽出液を加え、均一になるまでスパテラで混ぜた後、振とう機を使って30分間緩やかに振とうした。
殻をむいた後、ミルで粉砕した落花生10gに各抽出液を加え、均一になるまでスパテラで混ぜた後、振とう機を使って30分間緩やかに振とうした。
これらの各溶液からネルを使って残渣を除き、3000rpmで10分間遠心した上清をタンパク質抽出液とした。なお、これらの抽出液中のタンパク質量(濃度)は、2D Quant Kit(GEヘルスケア社製)を使用して求めた。

抽出したタンパク質の分子量による分離は、最も一般的な手法である支持体にポリアクリルアミドゲルを使った電気泳動法(SDS−PAGE)を用いて行った。分子量マーカーにはFull−Range Rainbow Molecular Weight Marker(GEヘルスケア社製)を使い、電気泳動により分離したタンパク質はクイックCBB(WAKO社製により染色して可視化した(図 2〜4)。
<アレルゲンタンパク質固定化マイクロアレイ>
アレルゲンタンパク質の調製
ゲルに固定化するアレルゲンタンパク質として、ソバ、小麦、ピーナッツ、ダイズ、コメ、エビ、カニ、ミルク、卵白を選択し、各タンパク質の抽出を以下の方法で行った。
<ソバ>そば粉20gに蒸留水50mLを加え、均一になるまでスパテラで混ぜた。
<小麦>小麦粉20g(日清製粉社製)に蒸留水50mLを加え、均一になるまでスパテラで混ぜた。
<ピーナッツ>ピーナツ20gに蒸留水50mLを加え、ミルにかけた後、ガーゼで包んで圧搾した。
<ダイズ>大豆5gに蒸留水50mLを加え、3.5時間浸水させミルにかけた後、ガーゼで包んで圧搾した。
<コメ>米75gに蒸留水75mLを加え、3.5時間浸水させミルにかけた後、ガーゼで包んで圧搾した。
<エビ>エビ(ブラックタイガー)の可食部40gに蒸留水50mLを加え、ミルにかけた。
<カニ>カニの可食部30gに蒸留水50mLを加え、ミルにかけた。
<ミルク>市販の牛乳を用いた。
<卵白>卵白4mLに蒸留水8mLを加え、よく攪拌した。
これらの各液体について、Bradford法により濃度を求めた後、蒸留水で20mg/mLに調製し、表3に示す組成の抽出液と1:1の質量比で混合した後、3000rpmで10分間遠心した上清を各アレルゲンタンパク質抽出液とした。なお、これらの抽出液中のタンパク質量(濃度)は、2D Quant Kit(GEヘルスケア社製)を使用して求めた。
アレルゲンタンパク質へのビニル基導入
アレルゲンタンパク質のビニル化反応を行うにあたり、反応させるアレルゲンタンパク質とビニル化剤の反応量比をモル比で換算するために、まずアレルゲンタンパク質の分子量を以下の手順で決定した。
タンパク質の分子量による分離は、最も一般的な手法である支持体にポリアクリルアミドゲルを使った電気泳動法(SDS−PAGE)を用いて行った。有色分子量マーカー(GE社製;Full−Range Rainbow Molecular Weight Markers)をLaemmli法(U.K.Laemmli. Nature,1970,227,680)に準じて、電気泳動により分離し、各マーカータンパク質の泳動距離と分子量との相関曲線を作成した。
次に、調製した各アレルゲンタンパク質抽出液を先と同様電気泳動により構成タンパク質を分離し、得られた構成タンパク質の各バンドをSYPRO−ORANGEで染色した。各バンドの蛍光強度を蛍光顕微鏡で測定し、その強度比から構成タンパク質の量比を決定した。
先に作成したマーカーの分子量−泳動距離の相関曲線を使って各バンドの分子量を決定した後、それぞれの求めた分子量の値に、構成タンパク質の量比を掛けたものを足し合わせた値を抽出物中に含まれるタンパク質の平均分子量とした。
ビニル化反応
(1)ビニル化アレルゲンタンパク質の製造
界面活性剤を用いて抽出されたアレルゲンタンパク質をゲルに固定するために当該アレルゲンタンパク質へのビニル基の導入を以下の方法で行った。
ビニル化剤の調製
和光純薬製特級試薬ジメチルスルホキシド(998.5μL)をマイクロピペットで1cc容量のマイクロチューブに計り取り、そこにアルドリッチ社製メタクリル酸無水物(無水メタ酸)を同じくマイクロピペットで1.5μL加えて、無水メタ酸のジメチルスルホキシド溶液(10mM)を調製した(ビニル化剤)。
アレルゲンタンパク質のビニル化
次にアレルゲンタンパク質を秤量し、マイクロチューブに入れ、超純水(ミリQ水)1.5mLに溶解させた。
当該アレルゲンタンパク質溶液(20μL)をマイクロピペットで反応用の容量100μLマイクロチューブに投入し、次いでナカライテクス社製炭酸塩緩衝液(10μL)及び上で調製したビニル化剤(10μL)を順次添加した。混合液が均一になるようにボルテックスミキサーで攪拌した後、チューブ壁面に付着した液を遠心分離機でチューブの底部に集めた。その後、室温にて30分間静置させ、反応させた。
ビニル化アレルゲンタンパク質の単離・精製
このようにして得られた反応液40μLを、スピンカラム(ミリポア社製MICROCON(登録商標)、YM−30)に移し、超純水60μLを添加して総量を100μLにした。次に、反応液を入れたスピンカラムを遠心分離機にセットし、10000Gで10分間処理した。その後、スピンカラムの濃縮部に超純水100μL添加して、更に10000Gで10分間遠心分離する処理を5回繰り返した。
スピンカラムを取り出し、スピンカラムの濃縮部で濃縮されているビニル化アレルゲンタンパク質溶液を超純水20μLで希釈した。スピンカラムの濃縮部を一旦チューブ本体から取り外し、逆さにして再度本体に取り付け、10000Gで10分間遠心分離処理を行った。チューブに集められたビニル化タンパク質溶液を遠心エバポレーターで常温乾燥させて、ビニル化タンパク質約16を得た。
マイクロアレイの作製
(2)中空繊維束の製造
図1に示す配列固定器具を利用して中空繊維束を製造した。なお、図中のx、y、zは直交の3次元軸であり、x軸は繊維の長手方向と一致する。
まず、直径0.32mmの孔が、孔の中心間距離を0.12mmとして、縦横各16列で合計256個設けられた厚さ0.1mmの多孔板2枚を準備した。これらの多孔板を重ね合わせて、そのすべての孔に、外径280μm、内径180μm、長さ150mmのポリカーボネート中空繊維を1本づつ、通過させた。
X軸方向に各繊維に0.1Nの張力をかけた状態で2枚の多孔板の位置を移動させて、中空繊維の一方の端部から20mmの位置と100mmの位置の2ヶ所に固定した。即ち、2枚の多孔板の間隔を80mmとした。次いで、多孔板間の空間の周囲3面を板状物で囲った。このようにして上部のみが開口状態にある容器を得た。
次に、この容器の上部から容器内に樹脂原料を流し込んだ。樹脂としては、ポリウレタン樹脂接着剤(日本ポリウレタン工業(株)ニッポラン4276、コロネート4403)の総質量に対し、2.5質量%のカーボンブラックを添加したものを使用した。25℃で1週間静置して樹脂を硬化させた。次いで多孔板と板状物を取り除き、中空繊維束を得た。得られた中空繊維束をデシケーター中に入れ内部を窒素置換した後、16時間静置した。
(3)タンパク質の固定化
表4に示す通り、ビニル化アレルゲンタンパク質の濃度水準に応じてゲル前駆体溶液を4種類調製し、濃度水準毎に30セットを準備し、ウェルプレートの各ウェルに80μL分注した。当該ウェルプレートをデシゲーター内に設置し、端部から各ウェルに分注したゲル前駆体溶液を吸引し、中空繊維の中空部に導入した。
次いで、前記の中空繊維束を前記デシケーター内に設置し、デシケーター内を窒素雰囲気下、55℃まで昇温して、55℃で3時間、重合反応を実施した。
重合反応終了後、ミクロトームを用い、中空繊維束を中空繊維の長手方向に直角方向に厚さ250μmで薄片化した。このようにして、256個のキャプチャープローブを含むゲルスポットを搭載した厚さ250μmのマイクロアレイを100枚作製した。
マイクロアレイの評価
作製したマイクロアレイを使って、アレルゲン特異的IgE抗体の検出を試みた。
検体の調製及び反応
MASTII検査により、表5に示すアレルギー判定結果が得られたInternational enzymes社製のヒト血清を三菱レイヨン社製ジェノパール(登録商標)用ハイブリチャンバーに200μL注入し、先に作製したマイクロアレイを1枚挿入し、チャンバーの蓋を閉め、室温で2時間ほど静置反応させた。

反応後の洗浄
容量8mLのチューブ(SARSTEDT社製)に0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl/0.05% Tween−20溶液を6mL注入し、そこに反応後にチャンバーから取り出したマイクロアレイを完全に液中に浸漬するように挿入した。
次に、チューブの蓋を閉めて室温で、20分間ローテーターを使って回転させた(10rpm)。その後、マイクロアレイをチューブから取り出し、0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl溶液の入ったチューブに入れ替えて、室温で10分間ローテーターを使って回転させた(10rpm)。
ビオチン標識抗体との反応
KPL社製ビオチン標識・抗ヒトIgE抗体を0.012MのTNT緩衝液を加えて100倍希釈し、ピペッティングにより均一になるように混合して、総量200μLの反応溶液を調製した。
三菱レイヨン社製ジェノパール(登録商標)用ハイブリチャンバーに、この反応溶液を注入し、先に作製したマイクロアレイを1枚ゆっくり挿入し、チャンバーの蓋を閉め、室温で2時間ほど静置反応させた。
反応後の洗浄
容量8mLのチューブ(SARSTEDT社製)に0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl/0.05% Tween−20溶液を6mL注入し、そこに反応後にチャンバーから取り出したマイクロアレイを完全に液中に浸漬するように挿入した。
次に、チューブの蓋を閉めて室温で、20分間ローテーターを使って回転させた(10rpm)。その後、マイクロアレイをチューブから取り出し、0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl溶液の入ったチューブに入れ替えて、室温で10分間ローテーターを使って回転させた(10rpm)。
反応後の標識
Jackson Immunoresearch Laboratoies,Inc.社製Streptavidin−Cy5(1mg)にNuclease−free waterを1mL加えて、溶解させた。10000Gで3分間遠心処理して、沈殿物を除いた後、Streptavidin−Cy5溶液12μLを調整した。
Streptavidin−Cy5溶液12μLを、0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl溶液6mLで希釈して標識液とした。
先に洗浄したマイクロアレイを標識液中に浸漬させ、室温で30分間静置した。標識処理後のマイクロアレイを0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl/0.05% Tween−20溶液に浸漬させ、室温下で20分間ローテーターを用いて回転させた(10rpm)。その後、マイクロアレイを0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl溶液に浸漬させた。
検出
レーザー式蛍光顕微鏡(横河電機社製 MB−03)の試料台に、標識後のマイクロアレイを載せ、波長633nmの励起光を露光させ、マイクロアレイの各スポットの蛍光シグナルを検出した。露光時間は、0.1秒、1秒、4秒、40秒の4条件で測定を行い、単位秒当りの蛍光シグナル強度を蛍光シグナル強度データとして採用した。測定したマイクロアレイの各スポットの蛍光シグナル強度を表6に示した。

アレルギー判定結果で抗体反応が高かったアレルゲン項目について、本マイクロアレイにおいても、表6に示すとおり、抗体特異的なシグナルを確認することができた。
1 配列固定器具
11 孔部
21 多孔板
31 中空繊維
41 板状物

Claims (5)

  1. 界面活性剤を含む溶液で抽出されたタンパク質が固定化されたゲルを有するマイクロアレイ。
  2. タンパク質がアレルゲンである請求項1記載のマイクロアレイ。
  3. 界面活性剤が陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1記載のマイクロアレイ。
  4. 界面活性剤が陰イオン性界面活性剤である請求項1記載のマイクロアレイ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイクロアレイと検体とを接触させることにより、マイクロアレイに固定化されたタンパク質と検体中の標的物質とを結合させる工程、及び、当該タンパク質に結合した標的物質を定量する工程を含む、生体関連物質の検出方法。
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JP2018072209A (ja) * 2016-10-31 2018-05-10 プリマハム株式会社 チョコレート試料中の小麦アレルゲンの検出方法

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