JP2014205873A - 成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】輪ハースの磁力の調整を容易に行うことができる成膜装置を提供する。【解決手段】成膜装置1は、非磁性の磁石収容体23が複数の第1の貫通孔27を有しており、当該第1の貫通孔27に磁石24が配置される。複数の第1の貫通孔27のうち、一部の第1の貫通孔27には磁石24が配置され、他の第1の貫通孔27には磁石24が配置されることなく空隙29が形成される。従って、輪ハース6の永久磁石部20の磁力を調整する際、一部の第1の貫通孔27に配置されている磁石24を取り除くことにより、容易に磁力を弱めることが可能となり、空隙29となっている他の第1の貫通孔27に磁石24を配置することで容易に磁力を強めることが可能となる。以上によって、輪ハース6の磁力の調整を容易に行うことができる。【選択図】図3
Description
本発明は、成膜装置に関する。
成膜対象物の表面に膜を形成する成膜装置として、例えばイオンプレーティング法を用いたものがある。イオンプレーティング法では、蒸発させた成膜材料を真空チャンバー内に拡散させて、成膜対象物の表面に成膜材料を付着させる。このような成膜装置は、成膜材料を保持する主陽極である主ハースと、当該主ハースを取り囲む補助電極である輪ハースと、を備える。特許文献1に記載の成膜装置では、環状の永久磁石と環状のコイルとを用いた輪ハースが採用されている。
ここで、イオンプレーティング法では、成膜材料の膜厚分布は外部コイルと、輪ハースによって作られる磁場分布の影響を受ける。輪ハースは、環状の永久磁石及び環状のコイルを備えており、永久磁石の磁力及びコイルの磁力によって膜厚分布を調整することができる。しかしながら、一体化された永久磁石を輪ハースに適用した場合、磁力の調整を行うことが困難であるという問題が生じる。
そこで、本発明は、輪ハースの磁力の調整を容易に行うことができる成膜装置を提供することを目的とする。
本発明に係る成膜装置は、真空チャンバー内でプラズマビームによって成膜材料を加熱し、成膜材料の粒子を成膜対象物に付着させる成膜装置であって、真空チャンバー内でプラズマビームを生成するプラズマ源と、成膜材料が充填されると共に、プラズマビームを成膜材料へ導く、またはプラズマビームが導かれる主陽極である主ハースと、主ハースの周囲に配置されると共に、プラズマビームを誘導する補助陽極である輪ハースと、を備え、輪ハースは、一対の磁性板と、一対の磁性板の間に設けられ、磁石を配置可能な複数の第1の貫通孔を有する、非磁性の磁石収容体と、磁石収容体の第1の貫通孔に配置される磁石と、を有し、複数の第1の貫通孔のうち、一部の第1の貫通孔には磁石が配置され、他の第1の貫通孔には磁石が配置されることなく空隙が形成される。
本発明に係る成膜装置は、非磁性の磁石収容体が複数の第1の貫通孔を有しており、当該第1の貫通孔に磁石が配置される。これによって一対の磁性板の間に磁石が配置される構成となり、磁石の磁力線は磁性板で均一化されることによって、磁性板、磁石収容体、及び磁石の組み合わせが輪ハースの永久磁石部として機能することができる。ここで、複数の第1の貫通孔のうち、一部の第1の貫通孔には磁石が配置され、他の第1の貫通孔には磁石が配置されることなく空隙が形成される。従って、輪ハースの永久磁石部の磁力を調整する際、一部の第1の貫通孔に配置されている磁石を取り除くことにより、容易に磁力を弱めることが可能となり、空隙となっている他の第1の貫通孔に磁石を配置することで容易に磁力を強めることが可能となる。以上によって、輪ハースの磁力の調整を容易に行うことができる。
本発明に係る成膜装置において、磁石収容体は、第1の磁性部材を配置可能な第2の貫通孔を有し、第2の貫通孔には、一対の磁性板を接続する第1の磁性部材が配置されてよい。これによって、第1の磁性部材を介して一対の磁性板同士の間で一部の磁力線がバイパスされ、輪ハースの永久磁石部としての磁力を弱めることが可能となる。これによって、輪ハースの磁力の調整を容易に行うことができる。
本発明に係る成膜装置において、少なくとも一方の磁性板には、第2の貫通孔に対応する位置に、第2の貫通孔より孔径が大きい第3の貫通孔が形成されてよい。これによって、磁石収容体に磁性板が取り付けられた状態であっても、第3の貫通孔を介して、第2の貫通孔に対する第1の磁性部材の挿入と取り外しが可能となる。
本発明に係る成膜装置において、複数の第1の貫通孔に配置される複数の磁石のうち、一部の磁石は、他の磁石に比して小さくてよい。このように、第1の貫通孔の一部の磁石を小さくすることにより、磁力の更なる微調整が可能となる。
本発明に係る成膜装置において、一部の磁石は、他の磁石に比して径が小さく、一部の磁石と磁石収容体との間には、非磁性のスペーサが配置されてよい。このように、一部の磁石を径方向に小さくすることで、磁力の微調整を可能とすると共に、非磁性のスペーサを配置することで、小さい磁石が第1の貫通孔内でがたつくことを抑制できる。
本発明に係る成膜装置において、一部の磁石は、他の磁石に比して厚みが小さく、一部の磁石と少なくとも一方の磁性板との間には、第2の磁性部材が配置されてよい。このように、一部の磁石の厚みを小さくすることで、磁力の微調整を可能とすると共に、第2の磁性部材を配置することで、厚みの小さい磁石が当該第2の磁性部材を介して両方の磁性板と接合されることが可能となる。
本発明によれば、輪ハースの磁力の調整を容易に行うことができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による成膜装置の一実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の成膜装置の一実施形態の構成を示す断面図である。本実施形態の成膜装置1は、いわゆるイオンプレーティング法に用いられるイオンプレーティング装置である。なお、説明の便宜上、図1には、XYZ座標系を示す。Y軸方向は、後述する成膜対象物が搬送される方向である。X軸方向は、成膜対象物と後述するハース機構とが対向する方向である。Z軸方向は、X軸方向とZ軸方向とに直交する方向である。
図1に示すように、本実施形態の成膜装置1は、成膜対象物の板厚方向が水平方向となるように、成膜対象物を直立又は直立させた状態から傾斜した状態で、成膜対象物が真空チャンバー内に配置されて搬送される、いわゆる縦型の成膜装置である。この場合には、X軸方向は水平方向且つ成膜対象物の板厚方向であり、Y軸方向は水平方向であり、Z軸方向は鉛直方向となる。一方、本発明による成膜装置の一実施形態では、成膜対象物の板厚方向が略鉛直方向となるように成膜対象物が真空チャンバー内に配置されて搬送されるいわゆる横型の成膜装置であってもよい。この場合には、Z軸及びY軸方向は水平方向であり、X軸方向は鉛直方向且つ板厚方向となる。なお、以下の実施形態では、縦型の場合を例に、本発明の成膜装置の一実施形態を説明する。
本実施形態の成膜装置1は、ハース機構2、搬送機構3、輪ハース6、プラズマ源7、圧力調整装置8及び真空チャンバー10を備えている。
真空チャンバー10は、成膜材料の膜が形成される成膜対象物11を搬送するための搬送室10aと、成膜材料Maを拡散させる成膜室10bと、プラズマ源7から照射されるプラズマビームPを真空チャンバー10に受け入れるプラズマ口10cとを有している。搬送室10a、成膜室10b、及びプラズマ口10cは互いに連通している。搬送室10aは、所定の搬送方向(図中の矢印A)に(Y軸に)沿って設定されている。また、真空チャンバー10は、導電性の材料からなり接地電位に接続されている。
搬送機構3は、成膜材料Maと対向した状態で成膜対象物11を保持する成膜対象物保持部材16を搬送方向Aに搬送する。搬送機構3は、搬送室10a内に設置された複数の搬送ローラ15によって構成されている。搬送ローラ15は、搬送方向Aに沿って等間隔に配置され、成膜対象物保持部材16を支持しつつ搬送方向Aに搬送する。なお、成膜対象物11は、例えばガラス基板やプラスチック基板などの板状部材が用いられる。
プラズマ源7は、圧力勾配型であり、その本体部分が成膜室10bの側壁に設けられたプラズマ口10cを介して成膜室10bに接続されている。プラズマ源7は、真空チャンバー10内でプラズマビームPを生成する。プラズマ源7において生成されたプラズマビームPは、プラズマ口10cから成膜室10b内へ出射される。プラズマビームPは、プラズマ口10cに設けられたステアリングコイル(不図示)によって出射方向が制御される。
圧力調整装置8は、真空チャンバー10に接続され、真空チャンバー10内の圧力を調整する。圧力調整装置8は、例えば、ターボ分子ポンプやクライオポンプ等の減圧部と、真空チャンバー10内の圧力を測定する圧力測定部とを有している。
ハース機構2は、成膜材料Maを保持するための機構である。ハース機構2は、真空チャンバー10の成膜室10b内に設けられ、搬送機構3から見てX軸方向の負方向に配置されている。ハース機構2は、プラズマ源7から出射されたプラズマビームPを成膜材料Maに導く主陽極又はプラズマ源7から出射されたプラズマビームPが導かれる主陽極である主ハース17を有している。
主ハース17は、成膜材料Maが充填されたX軸方向の正方向に延びた筒状の充填部17aと、充填部17aから突出したフランジ部17bとを有している。主ハース17は、真空チャンバー10が有する接地電位に対して正電位に保たれているため、プラズマビームPを吸引する。このプラズマビームPが入射する主ハース17の充填部17aには、成膜材料Maを充填するための貫通孔17cが形成されている。そして、成膜材料Maの先端部分が、この貫通孔17cの一端において成膜室10bに露出している。
輪ハース6は、プラズマビームPを誘導するための電磁石を有する補助陽極である。輪ハース6は、成膜材料Maを保持する主ハース17の充填部17aの周囲に配置されている。輪ハース6は、環状のコイル9と環状の永久磁石部20と環状の容器12とを有し、コイル9及び永久磁石部20は容器12に収容されている。輪ハース6は、コイル9に流れる電流の大きさに応じて、成膜材料Maに入射するプラズマビームPの向き、または、主ハース17に入射するプラズマビームPの向きを制御する。また、永久磁石部20は、所望の膜厚分布を得ることができるように、磁力の調整を行い易い構造となっている。永久磁石部20の詳細な構造については後述する。
成膜材料Maには、ITOやZnOなどの透明導電材料や、SiONなどの絶縁封止材料が例示される。成膜材料Maが絶縁性物質からなる場合、主ハース17にプラズマビームPが照射されると、プラズマビームPからの電流によって主ハース17が加熱され、成膜材料Maの先端部分が蒸発し、プラズマビームPによりイオン化された成膜材料粒子Mbが成膜室10b内に拡散する。また、成膜材料Maが導電性物質からなる場合、主ハース17にプラズマビームPが照射されると、プラズマビームPが成膜材料Maに直接入射し、成膜材料Maの先端部分が加熱されて蒸発し、プラズマビームPによりイオン化された成膜材料粒子Mbが成膜室10b内に拡散する。成膜室10b内に拡散した成膜材料粒子Mbは、成膜室10bのX軸正方向へ移動し、搬送室10a内において成膜対象物11の表面に付着する。なお、成膜材料Maは、所定長さの円柱形状に成形された固体物であり、一度に複数の成膜材料Maがハース機構2に充填される。そして、最先端側の成膜材料Maの先端部分が主ハース17の上端との所定の位置関係を保つように、成膜材料Maの消費に応じて、成膜材料Maがハース機構2のX負方向側から順次押し出される。
次に、図2〜図5を参照して、本実施形態に係る成膜装置1の輪ハース6の永久磁石部20の詳細な構成について説明する。図2は、本実施形態に係る成膜装置1の輪ハース6の永久磁石部20の斜視図である。図3は、図2に示すIII−III線に沿った断面図である。図4(a)は、図3に示すIVa―IVa線に沿った断面図である。図4(b)は、図3に示すIVb−IVb線に沿った断面図である。
図2、図3、及び図4に示すように、輪ハース6の永久磁石部20は、一対の磁性板21,22と、一対の磁性板21,22の間に設けられる非磁性の磁石収容体23と、磁石収容体23内に配置される磁石24と、磁石収容体23内に配置される第1の磁性部材26と、を備えている。永久磁石部20は、軸線CLを中心線として円環状に形成されている。また、磁石収容体23は、磁性板21,22間で磁力を発生する磁石24を配置可能な第1の貫通孔27と、磁性板21,22を接続する第1の磁性部材26を配置可能な第2の貫通孔28と、を有している。
磁性板21,22は、円環状に形成された磁性部材によって構成されている。磁性板21及び磁性板22は、それぞれの中心線が軸線CLに一致するように配置されている。磁性板21は、磁石収容体23の軸線方向における一端側の端面23aを覆うように配置される。磁性板22は、磁石収容体23の軸線方向における他端側の端面23bを覆うように配置される。磁性板21の内径は、磁性板22の内径と同一であってもよく、大きくてもよく、小さくてもよい。磁性板21の外径は、磁性板22の外径と同一であってもよく、大きくてもよく、小さくてもよい。磁性板21,22の材料は、磁性材料であれば特に限定されないが、例えば、鉄、フェライト系ステンレス材料、マルテンサイト系ステンレス材料などを適用することができる。
磁石収容体23は、円環状に形成された非磁性部材によって構成されている。磁石収容体23は、中心線が軸線CLに一致するように配置されている。磁石収容体23の厚さ(軸線方向の大きさ)は、磁性板21,22よりも大きい。磁石収容体23の内径は、磁性板21,22の内径と同一であってもよく、大きくてもよく、小さくてもよい。磁石収容体23の外径は、磁性板21,22の外径と同一であってもよく、大きくてもよく、小さくてもよい。磁石収容体23の材料は、非磁性材料であれば特に限定されないが、例えば、樹脂、アルミニウム、真鍮、チタンなどを適用することができる。
第1の貫通孔27は、磁石収容体23に複数形成されている。第1の貫通孔27は、磁石収容体23の一端面23aから他端面23bへ向かって軸線CLに平行に貫通する円形の貫通孔である。第1の貫通孔27の孔径の大きさは特に限定されないが、少なくとも磁石収容体23の幅(外径と内径の差に係る大きさ)より小さければよい。第2の貫通孔28は、磁石収容体23に複数形成されている。第2の貫通孔28は、磁石収容体23の一端面23aから他端面23bへ向かって軸線CLに平行に貫通する円形の貫通孔である。第2の貫通孔28の孔径の大きさは特に限定されないが、少なくとも磁石収容体23の幅(外径と内径の差に係る大きさ)より小さければよく、本実施形態では、第1の貫通孔27の孔径よりも小さい。なお、貫通孔27,28の大きさや配置は特に限定されない。図3に示す例では、それぞれの貫通孔27,28は、隣り合う貫通孔27,28と連通しないように、軸線CLと直交する方向において、互いに離間している。すなわち、一の貫通孔27,28と隣り合う他の貫通孔27,28との間には、磁石収容体23を構成する非磁性材料が介在している。
図3には、第1の貫通孔27及び第2の貫通孔28の配置パターンの一例が示されている。具体的には、磁石収容体23に対して、軸線CL周りに等角度θで径方向に延びる仮想線PLを設定した場合、当該仮想線PL上に中心が配置されるように、第1の貫通孔27及び第2の貫通孔28が形成される。一の仮想線PL1上には2つの第1の貫通孔27が形成される。この仮想線PL1に隣り合う他の仮想線PL2上には、内周側に1つの第1の貫通孔27が形成され、外周側に1つの第2の貫通孔27が形成される。また、仮想線PL2に更に隣り合う他の仮想線PL3上には、2つの第1の貫通孔27が形成される。仮想線PL2上の第1の貫通孔27の中心P2は、径方向において、仮想線PL1,PL3上の内周側の第1の貫通孔27の中心P1と、仮想線PL1,PL3上の外周側の第1の貫通孔27の中心P3との間に配置される。仮想線PL2上の第2の貫通孔28の中心P4は、径方向において、仮想線PL1,PL3上の外周側の第1の貫通孔27の中心P3と同位置、または中心P3より外周側に配置される。このような2つの第1の貫通孔27と、1つの第1の貫通孔27及び1つの第2の貫通孔28とが交互に形成されるパターンが軸線CL周りの全周に亘って繰り返される。貫通孔27,28の配置を、図3に示すようなパターンとすることによって、磁石収容体23に対して、貫通孔27,28を高密度に形成することができる。
複数の第1の貫通孔27のうち、一部の第1の貫通孔27には、磁石24が配置され、他の第1の貫通孔27には、磁石24が配置されることなく空隙29が形成される。一部の第1の貫通孔27に配置される磁石24は、(例えば、接着、圧入、一体成形などによって第1の貫通孔27に固定されておらず、)第1の貫通孔27対して取り外し可能である。永久磁石部20の磁力を弱くする場合は、第1の貫通孔27から磁石24を取り外すことによって、磁力を調整することができる。また、空隙29が形成されている第1の貫通孔27に対しても、磁石24を取り外し可能に配置することができ、永久磁石部20の磁力を強くする場合は、空隙29内に磁石24を嵌め込むことで、磁力を調整することができる。なお、空隙29は、磁石収容体23の端面23aから端面23bに亘って形成されている(図4(b)参照)。
複数の第2の貫通孔28のうち、一部の第2の貫通孔28には、第1の磁性部材26が配置され、他の第2の貫通孔28には、第1の磁性部材26が配置されることなく空隙30が形成される。一部の第2の貫通孔28に配置される第1の磁性部材26は、(例えば、接着、圧入、一体成形などによって第2の貫通孔28に固定されておらず、)第2の貫通孔28対して取り外し可能である。永久磁石部20の磁力を強くする場合は、第2の貫通孔28から第1の磁性部材26を取り外すことによって、磁力が第1の磁性部材26を介してバイパスする箇所を減らすことによって、磁力を調整することができる。また、空隙30が形成されている第2の貫通孔28に対しても、第1の磁性部材26を取り外し可能に配置することができ、永久磁石部20の磁力を弱くする場合は、空隙30内に第1の磁性部材26を嵌め込むことで、磁力を調整することができる。なお、空隙30は、磁石収容体23の端面23aから端面23bに亘って形成されている。
複数の第1の貫通孔27のうち、どの第1の貫通孔27に磁石24を配置し、複数の第2の貫通孔28のうち、どの第2の貫通孔27に第1の磁性部材26を配置するかは、特に限定されず、所望の磁力に応じて適宜変更してよい。ただし、永久磁石部20による磁力が均一となるように、軸線CL周りにおいて、空隙29,30が一部の箇所に密集することなく、略均等に磁石24及び第1の磁性部材26を配置することが好ましい。図3に示す例では、径方向に二つ並んでいる第1の貫通孔27(仮想線PL1や仮想線PL3上の第1の貫通孔27)には全部に磁石24が配置されている。また、径方向に並んでいる第1の貫通孔27及び第2の貫通孔28(仮想線PL2上の第1の貫通孔27及び第2の貫通孔28)に対しては、第1の貫通孔27に磁石24が配置されると共に第2の貫通孔28に空隙30が形成されるパターンと、第1の貫通孔27に空隙29が形成されると共に第2の貫通孔28に第1の磁性部材26が配置されるパターンとが、周方向において交互に繰り返されている。
次に、図4(a)及び図5を参照して、磁石24の構成について説明する。図4(a)に示すように、第1の貫通孔27内には、当該第1の貫通孔27の内部空間の略全域を埋めるように、磁石24Aが配置される。磁石24Aは、第1の貫通孔27の孔径と略同一の外径を有する円柱状に構成されており、軸線方向の一方の端部24aが磁性板21と接合され、他方の端部24bが磁性板22と接合される。磁石24Aは、磁石片31(一の塊に係る磁石)を複数重ね合わせることによって一の磁石として構成されている。なお、図4(a)に示す例では、二つの磁石片31を重ね合わせることによって磁石24Aが構成されているが、三つ以上でもよい。また、一つの磁石片31で磁石24Aが構成されていてもよい。
複数の第1の貫通孔27に配置される磁石24の全部が上述のような図4(a)に示す構成を有する磁石24Aであってもよいが、複数の第1の貫通孔27に配置される複数の磁石24のうち、図5に示す一部の磁石24B,24Cは、他の磁石24Aに比して小さくてよい。
具体的には、図5に示すように、小径磁石24Bは、磁石24Aに比して径が小さい。図5(b)に示すように、小径磁石24Bは、第1の貫通孔27の孔径及び磁石24Aよりも小さい外径を有する円柱状に構成されており、軸線方向の一方の端部24aが磁性板21と接合され、他方の端部24bが磁性板22と接合される。小径磁石24Bは、磁石24Aを構成する磁石片31よりも径が小さい磁石片32を複数重ね合わせることによって構成されている。なお、図5(b)に示す例では、二つの磁石片32を重ね合わせることによって小径磁石24Bが構成されているが、三つ以上でもよい。また、一つの磁石片32で小径磁石24Bが構成されていてもよい。また、小径磁石24Bと磁石収容体23(すなわち、第1の貫通孔27の内周面)との間には、非磁性のスペーサ33が配置される。スペーサ33は、小径磁石24Bを取り囲む円筒形の部材であって、第1の貫通孔27の孔径と略同一の外径を有すると共に、小径磁石24Bの外径と略同一の内径を有する。スペーサ33の材料は、非磁性材料であれば特に限定されないが、例えば、樹脂、アルミニウム、真鍮、チタンなどを適用することができる。
また、図5に示すように、薄型磁石24Cは、磁石24Aに比して厚み(すなわち、軸線方向の大きさ)が小さい。また、薄型磁石24Cと少なくとも一方の磁性板21,22との間には、第2の磁性部材34が配置される。図5(b)に示すように、薄型磁石24Cは、第1の貫通孔27の孔径と略同一の外径を有する円柱状に構成されており、軸線方向の一方の端部24aが磁性板21と接合され、他方の端部24bが第2の磁性部材34と接合される。薄型磁石24Cは、磁石収容体23の厚みよりも小さい厚みを有する磁石片35によって構成されている。なお、図5(b)に示す例では、一つの磁石片35によって薄型磁石24Cが構成されているが、複数の磁石片35を重ね合わせてもよい。第2の磁性部材34は、第1の貫通孔27の孔径と略同一の外径を有する円柱状に構成されており、軸線方向の一方の端部34aが薄型磁石24Cと接合され、軸線方向の他方の端部34bが磁性板22と接合される。第2の磁性部材34の材料は、磁性材料であれば特に限定されないが、例えば、鉄、フェライト系ステンレス材料、マルテンサイト系ステンレス材料などを適用することができる。なお、第2の磁性部材34が磁性板21と接合されて、薄型磁石24Cが磁性板22と接合されてもよい。また、一の薄型磁石24Cが一対の第2の磁性部材34に挟まれ、一方の第2の磁性部材34が磁性板21と接合され、他方の第2の磁性部材34が磁性板22と接合されてもよい。また、一の第2の磁性部材34が一対の薄型磁石24Cに挟まれ、一方の薄型磁石24Cが磁性板21と接合され、他方の薄型磁石24Cが磁性板22と接合されてもよい。
次に、図4(b)を参照して、第1の磁性部材26について説明する。第1の磁性部材26は、磁性板21,22を接続することによって、磁石24が発生する磁力線の一部をバイパス(本来、磁性板21,22から外部へ通り抜ける磁力線を、通り抜けさせることなく第1の磁性部材26を通過させる)させることによって、永久磁石部20の外部に出て行く磁力線の本数を減らす機能を有する。第1の磁性部材26は、第2の貫通孔28内において軸線方向に延びる、略円柱状の部材である。図4(b)に示す例では、磁性板21には、第2の貫通孔28に対応する位置に、当該第2の貫通孔28より孔径が大きい第3の貫通孔36が形成される。また、第1の磁性部材26の軸線方向の一方の端部26aは、磁性板21の外側の端面21a(磁石収容体23と接する面とは反対側の面)側まで延びている。第1の磁性部材26の軸線方向の他方の端部26bは、磁性板22と接合されている。第1の磁性部材26の一方の端部26aには、タップ孔37が形成されている。これによって、当該タップ孔37にネジを嵌め込むことにより、第1の磁性部材26を第2の貫通孔28から容易に取り外すことができる。また、第1の磁性部材26の外周面の一部には内周側へ凹となるようなくびれ部38が形成されていてよい。くびれ部38の部分では、第1の磁性部材26の外周面と第2の貫通孔28の内周面との間は離間しており空間が形成される。これによって、第2の貫通孔28に対して第1の磁性部材26の取り外しを行い易くなる。また、くびれ部38の大きさが異なる複数種類の第2の貫通孔28を準備することにより、第1の磁性部材26を介してバイパスされる磁力線の本数を変更することが可能となり、永久磁石部20の磁力の微調整を行うことが可能となる。なお、第3の貫通孔36は、他方の磁性板22に設けられてよく、磁性板21,22の両方に設けられていてもよい。あるいは、第3の貫通孔36が磁性板21,22のいずれにも設けられていなくともよい。
次に、本実施形態に係る成膜装置1の作用・効果について説明する。
ここで、イオンプレーティング法に係る成膜装置1では、成膜材料の膜厚分布は外部コイル(不図示)と、輪ハース6によって作られる磁場分布の影響を受ける。輪ハース6は、環状のコイル9及び環状の永久磁石部20を備えており、永久磁石部20の磁力及びコイル9の磁力によって膜厚分布を調整することができる。具体的には、図6(a)に示すように、永久磁石部20の磁力に対してコイル9の磁力を相対的に弱めると蒸発蒸気は広がる傾向を示し、図6(b)に示すように、永久磁石部20の磁力に対してコイル9の磁力を相対的に強めると蒸発蒸気は直進方向への指向性が強まる傾向を示す。
上述のような輪ハース6の磁場分布の調整は、コイル9の磁力の調整のみならず、永久磁石部20の磁力の調整も行うことによって、より正確な調整を行うことが可能となる。また、メンテナンスの際に永久磁石部20の交換を行う場合、新たな永久磁石部20の磁力を交換前のものと同等なものに調整することにより、コイル9の磁力の再調整を行うことなく、メンテナンス前と同様な膜厚分布にて成膜を行うことが可能となる。しかしながら、輪ハース6の環状に形成されると共に一体化された永久磁石を輪ハース6の永久磁石部20に適用した場合、磁力の調整を行うことが困難であるという問題が生じる。また、メンテナンス前と同じ構造・形状の永久磁石20を用意しても、個々の永久磁石20では微妙にその磁力が異なることがあるため、メンテナンス前後で永久磁石20の磁力が異なるようになってしまう。
これに対し、本実施形態に係る成膜装置1は、非磁性の磁石収容体23が複数の第1の貫通孔27を有しており、当該第1の貫通孔27に磁石24が配置される。これによって一対の磁性板21,22の間に磁石24が配置される構成となり、磁石24の磁力線は磁性板21,22で均一化されることによって、磁性板21,22、磁石収容体23、及び磁石24の組み合わせが輪ハース6の永久磁石部20として機能することができる。ここで、複数の第1の貫通孔27のうち、一部の第1の貫通孔27には磁石24が配置され、他の第1の貫通孔27には磁石24が配置されることなく空隙29が形成される。従って、輪ハース6の永久磁石部20の磁力を調整する際、一部の第1の貫通孔27に配置されている磁石24を取り除くことにより、容易に磁力を弱めることが可能となり、空隙29となっている他の第1の貫通孔27に磁石24を配置することで容易に磁力を強めることが可能となる。以上によって、輪ハース6の磁力の調整を容易に行うことができる。
本実施形態に係る成膜装置1において、磁石収容体23は、第1の磁性部材26を配置可能な第2の貫通孔28を有し、第2の貫通孔28には、一対の磁性板21,22を接続する第1の磁性部材26が配置されている。これによって、第1の磁性部材26を介して一対の磁性板21,22同士の間で一部の磁力線がバイパスされ、輪ハース6の永久磁石部20としての磁力を弱めることが可能となる。これによって、輪ハース6の磁力の調整を容易に行うことができる。
本実施形態に係る成膜装置1において、磁性板21には、第2の貫通孔28に対応する位置に、第2の貫通孔28より孔径が大きい第3の貫通孔36が形成されている。これによって、磁石収容体23に磁性板21が取り付けられた状態であっても、第3の貫通孔36を介して、第2の貫通孔28に対する第1の磁性部材26の挿入と取り外しが可能となる。また、第3の貫通孔36の孔径が大きいため、第3の貫通孔36の位置が第2の貫通孔28に対して多少ずれたとしても、第1の磁性部材26を通過させることができる。
本実施形態に係る成膜装置1において、複数の第1の貫通孔27に配置される複数の磁石24のうち、一部の磁石24B,24Cは、他の磁石24Aに比して小さい。このように、第1の貫通孔27の一部の磁石24B,24Cを小さくすることにより、磁力の更なる微調整が可能となる。
本実施形態に係る成膜装置1において、一部の小径磁石24Bは、他の磁石24Aに比して径が小さく、一部の小径磁石24Bと磁石収容体23との間には、非磁性のスペーサ33が配置されている。このように、一部の小径磁石24Bを径方向に小さくすることで、磁力の微調整を可能とすると共に、非磁性のスペーサ33を配置することで、小さい小径磁石24Bが第1の貫通孔27内でがたつくことを抑制できる。
本実施形態に係る成膜装置1において、一部の薄型磁石24Cは、他の磁石24Aに比して厚みが小さく、一部の薄型磁石24Cと少なくとも一方の磁性板21,22との間には、第2の磁性部材34が配置されている。このように、一部の磁石の厚みを小さくすることで、磁力の微調整を可能とすると共に、第2の磁性部材34を配置することで、薄型磁石24Cが当該第2の磁性部材34を介して両方の磁性板21,22と接合されることが可能となる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、各貫通孔27,28の形状(及びそれに対応する磁石24等の形状)は円形状であったが、特に限定されず、あらゆる形状(例えば、楕円形状や多角形状)を採用してもよい。また、全ての各貫通孔27,28の形状が同じでなくともよいが、同じとすることで共通の形状の磁石24、第1の磁性部材26を用いることができる。また、各貫通孔27,28の個数や配置も適宜変更してよい。
また、少なくとも第1の貫通孔27及び磁石24があればよく、第2の貫通孔28及び第1の磁性部材26が省略されていてもよい。
1…成膜装置、6…輪ハース、7…プラズマ源、10…真空チャンバー、11…成膜対象物、17…主ハース、20…永久磁石部、21,22…磁性板、23…磁石収容体、24…磁石、27…第1の貫通孔、28…第2の貫通孔、29…空隙、33…スペーサ、34…第2の磁性部材、36…第3の貫通孔。
Claims (6)
- 真空チャンバー内でプラズマビームによって成膜材料を加熱し、前記成膜材料の粒子を成膜対象物に付着させる成膜装置であって、
前記真空チャンバー内で前記プラズマビームを生成するプラズマ源と、
前記成膜材料が充填されると共に、前記プラズマビームを前記成膜材料へ導く、または前記プラズマビームが導かれる主陽極である主ハースと、
前記主ハースの周囲に配置されると共に、前記プラズマビームを誘導する補助陽極である輪ハースと、を備え、
前記輪ハースは、
一対の磁性板と、
一対の前記磁性板の間に設けられ、磁石を配置可能な複数の第1の貫通孔を有する、非磁性の磁石収容体と、
前記磁石収容体の前記第1の貫通孔に配置される前記磁石と、を有し、
複数の前記第1の貫通孔のうち、一部の前記第1の貫通孔には前記磁石が配置され、他の前記第1の貫通孔には前記磁石が配置されることなく空隙が形成される、成膜装置。 - 前記磁石収容体は、第1の磁性部材を配置可能な第2の貫通孔を有し、
前記第2の貫通孔には、一対の前記磁性板を接続する前記第1の磁性部材が配置される、請求項1に記載の成膜装置。 - 少なくとも一方の前記磁性板には、前記第2の貫通孔に対応する位置に、前記第2の貫通孔より孔径が大きい第3の貫通孔が形成される、請求項2に記載の成膜装置。
- 複数の前記第1の貫通孔に配置される複数の前記磁石のうち、一部の磁石は、他の磁石に比して小さい、請求項1〜3の何れか一項に記載の成膜装置。
- 前記一部の磁石は、前記他の磁石に比して径が小さく、
前記一部の磁石と前記磁石収容体との間には、非磁性のスペーサが配置される、請求項4に記載の成膜装置。 - 前記一部の磁石は、前記他の磁石に比して厚みが小さく、
前記一部の磁石と少なくとも一方の前記磁性板との間には、第2の磁性部材が配置される、請求項4に記載の成膜装置。
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