JP2014203052A - 反射低減方法および反射低減構造 - Google Patents

反射低減方法および反射低減構造 Download PDF

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Mamoru Kikuta
守 菊田
圭介 長藤
Keisuke Nagafuji
圭介 長藤
中尾 政之
Masayuki Nakao
政之 中尾
大介 末弘
Daisuke Suehiro
大介 末弘
竜太朗 藤澤
Ryutaro Fujisawa
竜太朗 藤澤
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Abstract

【課題】主に、安価且つ簡便にモスアイ技術を用いた超低反射技術(または無反射技術)を実現し得るようにする。
【解決手段】表面に金属薄膜22を有する基材11の、少なくとも金属薄膜22の部分を加熱して、金属薄膜22の表面にナノワイヤ25を生成させるナノワイヤ生成工程26と、このナノワイヤ25を形状変化させて、屈折率傾斜を有する微細な錐体27を形成する錐体形成工程28と、を行う。そして、上記錐体形成工程28が、ナノワイヤ25の表面にターゲット粒子を付着させるスパッタリング現象と、ナノワイヤ25の表面に付着したターゲット粒子の一部を弾き飛ばす逆スパッタ現象と、を同時に発生させるバイアススパッタ法によるものとされる。
【選択図】図6

Description

この発明は、安価且つ簡便にモスアイ技術を利用した超低反射技術(または無反射技術)を実現し得るようにした反射低減方法および反射低減構造に関するものである。
自動車などの車両には、車室内の前部に、運転情報などを表示するための計器装置、いわゆるメータ装置が設けられている。このような計器装置には、表面側に透明なフロントカバーが備えられている。
また、車室内の前部には、ディスプレイなどの車載用表示装置が設けられている。
そして、上記した計器装置のフロントカバーや車載用表示装置などでは、視認性を向上するために、その表面における光の反射(表面反射)を抑制することが、重要な課題となっている。
即ち、自動車などの車両に用いられるフロントカバーや車載用表示装置は、車体に固定されていることが多いため、直射日光などの強い日差しを受けた場合に、角度調整によって直射日光の影響を避けるようにすることができない、または、容易ではないので、表面反射を有効に抑える技術(超低反射技術や無反射技術)が強く望まれている。
そして、このような超低反射技術(無反射技術を含む)の1つに、モスアイ(蛾の目)技術が存在する。このモスアイ技術は、要するに、蛾の目が有している、光の波長λよりも細かいピッチdの微細な凹凸の構造(ナノ構造、図12参照)を人工的に模倣することによって、屈折率を傾斜させ、光を反射させないようにするものである。
このモスアイ技術は、他の低反射技術と比べて、反射率が格段に低く、広帯域に平坦な低反射特性が得られて、しかも、角度依存性がない、という様々な優れた特徴を有しているので、現在のところ最も理想的なものとされている。
このような、モスアイ技術におけるナノ構造は、例えば、半導体の製造などに用いられるリソグラフィ装置などを用いて作成することができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−203812号公報
しかし、上記した半導体製造用のリソグラフィ装置は、非常に高価なものであるため、上記したような計器装置のフロントカバーや車載用表示装置に対する超低反射技術に用いるのにはコスト的に適していないという問題がある。また、上記したリソグラフィ装置によって得られるナノ構造は、比較的規則的なものであるため、光の回折による干渉縞が発生するという問題がある。そこで、仮に、上記したナノ構造を不揃いなものにしようとしても、人為的に不揃いにした程度では十分な干渉縞発生防止効果を得るのが難しいという問題がある。更に、上記したナノ構造は、繋ぎ目の処理が難しいので、大面積化には向いていないという問題も存在する。
上記課題を解決するために、請求項1に記載された反射低減方法は、
表面に金属薄膜を有する基材の、少なくとも金属薄膜の部分を加熱して、金属薄膜の表面にナノワイヤを生成させるナノワイヤ生成工程と、
該ナノワイヤを形状変化させて、屈折率傾斜を有する微細な錐体を形成する錐体形成工程と、を行うことを特徴とする。
請求項2に記載された反射低減方法は、上記において、
前記錐体形成工程が、
ナノワイヤの表面にターゲット粒子を付着させるスパッタリング現象と、
ナノワイヤの表面に付着したターゲット粒子の一部を弾き飛ばす逆スパッタ現象と、を同時に発生させるバイアススパッタ法によるものであることを特徴とする。
請求項3に記載された反射低減構造は、
ナノワイヤの表面に、スパッタリング現象によってターゲット粒子が付着されると共に、付着したターゲット粒子の一部が逆スパッタ現象によって弾き飛ばされることによって成る、屈折率傾斜を有する微細な錐体を備えたことを特徴とする。
請求項1に記載された反射低減方法によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
まず、ナノワイヤ生成工程では、表面に金属薄膜を有する基材の、少なくとも金属薄膜の部分を加熱して、金属薄膜の表面にナノワイヤを生成させる。
そして、錐体形成工程では、ナノワイヤを形状変化させることで、屈折率傾斜を有する微細な錐体を形成する。
このように、ナノワイヤを芯材(または母体)にして、このナノワイヤを形状変化させることにより、屈折率傾斜を有する微細な錐体を得ることができる。このナノワイヤを芯材(母体)とする微細な錐体は、視感波長帯域でフラットな反射特性を持つ低反射構造となり、モスアイ技術を用いた超低反射技術(または無反射技術)を実現することができる。
このような、ナノワイヤを用いた微細な錐体では、ナノワイヤの配置が不規則となるため、光の回折による干渉縞の問題も解消することができる。また、ナノワイヤの生成プロセスは、煩雑さと生成時間とが生成面積に依存しないため、大面積化が容易である。
更に、上記した屈折率傾斜を有する微細な錐体は、ほぼスパッタリング装置のみによって得ることができるので、複数の設備を用いる必要や、高価な設備を使う必要がなく、比較的安価且つ簡便に得ることができて、しかも、安全性が高い。
請求項2に記載された反射低減方法によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、錐体形成工程として、バイアススパッタ法を行うことにより、ナノワイヤの表面にターゲット粒子を付着させるスパッタリング現象と、ナノワイヤの表面に付着したターゲット粒子の一部を弾き飛ばす逆スパッタ現象とが同時に発生されて、屈折率傾斜を有する微細な錐体を得ることができる。
請求項3に記載された反射低減構造によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、ナノワイヤにスパッタリング現象と逆スパッタ現象とを生じさせることで得られた、上記屈折率傾斜を有する微細な錐体により、安価且つ簡便にモスアイ技術を用いた超低反射技術(または無反射技術)を実現した低反射構造を得ることができる。
本発明の実施例にかかる反射低減方法の処理工程図である。 (a)は第1の薄膜形成工程を示す構成図、(b)は(a)で得られた金属薄膜を有する基材の斜視図である。 (a)は第2の薄膜形成工程を示す構成図、(b)は(a)で得られた金属薄膜を有する基材の斜視図である。 ナノワイヤ生成工程を示す構成図であり、(a)は加熱工程、(b)は冷却工程である。 ナノワイヤ生成工程で生成されたナノワイヤの側面図である。 錐体形成工程を示す構成図である。 錐体形成工程で形成された錐体を示す図であり、(a)は加熱時間10分の場合の側面図、(b)は加熱時間10分の場合の上面図、(c)は加熱時間20分の場合の側面図、(d)は加熱時間20分の場合の上面図、(e)は加熱時間30分の場合の側面図、(f)は加熱時間30分の場合の上面図である。 屈折率傾斜の説明図であり、(a)は屈折率傾斜を有する微細な錐体の側面図、(b)はその屈折率傾斜を示すグラフである。 通常の平坦な表面における屈折率の説明図であり、(a)平坦な表面を示す側面図、(b)はその屈折率傾斜を示すグラフである。 ナノインプリント装置の概略構成図である。 この実施例の反射低減構造にかかる全光線反射率を示すグラフである。 リソグラフィ装置を用いて作成された反射低減構造の斜視図である。
自動車などの車両には、車室内の前部に、運転情報などを表示するための計器装置、いわゆるメータ装置が設けられている。このような計器装置には、表面側に透明なフロントカバーが備えられている。
また、車室内の前部には、ディスプレイなどの車載用表示装置(例えば、カーナビなど)が各種設けられている。
そして、視認性を向上するために、上記した計器装置のフロントカバーや各種の車載用表示装置などの表面部に対して、光(外光)の反射(表面反射)を抑制し得るようにする。
また、上記以外の一般的なディスプレイ(例えば、テレビや、パソコンや、携帯電話や、ゲーム機や、その他の機器の表示装置)などの表面部に対しても、光の反射(表面反射)を抑制することができるようにする。なお、車両用機器の上記した表面部は、上記した一般用機器の表面部よりも、反射抑制に対して厳しい要求が課せられているのは勿論である。
以下、本実施の形態を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図11は、この実施例およびその変形例を示すものである。
<構成>以下、構成について説明する。
この実施例の反射低減方法では、図1に示すように、前処理工程10や、本処理工程20や、後処理工程30などが、必要に応じて行われる。
この実施例では、本処理工程20に、図2〜図7に示す、以下のような構成を備えるようにしている。
(構成1)
まず、表面に金属薄膜22を有する基材11を用意する。そのために、必要に応じて、例えば、図2、図3に示すように、基材11上に、金属を付着させて、金属薄膜21,22を形成する薄膜形成工程23,24を行う(特に、図3の薄膜形成工程24)。
次に、図4に示すように、表面に金属薄膜22を有する基材11の少なくとも金属薄膜22の部分を加熱して、金属薄膜22の表面に、(不規則な配置および不規則な立設角度で延びる)ナノワイヤ25(金属ナノワイヤ、図5参照)を生成させるナノワイヤ生成工程26を行う。
更に、図6に示すように、このナノワイヤ25を形状変化させて、屈折率傾斜を有する微細な錐体27(図7参照)を形成する錐体形成工程28を行う。
(補足説明1)
ここで、上記した「基材11」には、例えば、半導体の製造などで使用されるシリコンウェーハを使用する。このシリコンウェーハは、平坦度が高く、また、各工程で安定した特性を示すので、基材11として使用するには最適である。但し、平坦度が高く、各工程で安定して使用できるのであれば、基材11は、シリコンウェーハに限るものではない。例えば、基材11には、平坦度の高い光学ガラスなどを使用することもできる。
または、平坦度が高く、各工程で安定して使用できるのであれば、ナノワイヤ25の母材によって基材11を作っても良く、この場合には、金属薄膜22は、特に形成しなくても良いことになる。例えば、この場合には、鏡面加工を施したFe(鉄)のバルク材などを基材11とすることができる。この場合、基材11の鏡面加工が施された部分が上記した金属薄膜22に相当する。
そして、上記した前処理工程10(図1参照)として、まず、基材11を洗浄する洗浄工程12を行う。この洗浄工程12は、特に詳細には図示しないが、例えば、基材11をエタノールなどの洗浄液で5分〜15分間超音波洗浄し、ついで、洗浄液を変更して、アセトンなどの別の洗浄液で5分〜15分間超音波で洗浄するものなどとされる。但し、洗浄の仕方については、これに限るものではない。次に、洗浄した基材11を乾燥する乾燥工程13を行う。
上記した「金属薄膜21,22」には、例えば、Cr(クロム)とFe(鉄)との二種類の金属を順番に用いるようにしている。このうち、後から施されるFeの金属薄膜22が、上記したナノワイヤ25の母材(母材層)となるものである。なお、母材層は、ナノワイヤ25を生成できるのであれば、Feに限るものではない。
また、先に施されるCrの金属薄膜21は、基材11とFeの金属薄膜22(母材層)との密着性を良くするための補助的なものである(密着層)。よって、例えば、基材11と母材層との密着性が良い場合や、上記したように母材層がそのまま基材11となる場合には、この密着層は特に必要ない。
上記した「薄膜形成工程23,24」は、例えば、図2、図3に示すような、スパッタリングによるものとされる。スパッタリングを行う装置(スパッタリング装置14)は、チャンバー15の内部に、上下などに間隔を有して一対の電極16,17を離間配置し、この電極16,17やチャンバー15などに対してスパッタリングを行うための電源18を接続可能としたものとされる。また、チャンバー15は、内部の雰囲気を適宜調整可能なものとされている。この場合には、Ar(アルゴン)ガス雰囲気となるようにしている。
そして、まず、図2に示すように、Crを成膜する薄膜形成工程23では、下側の電極16に基材11(被覆対象)をセットする。また、上側の電極17にスパッタリングのターゲット(被覆材料)としてのCr材をセットする。そして、上側の電極17(ターゲット側)に、電源18として、高周波電源を接続する。そして、上記したように、チャンバー15内部をArガス雰囲気にして、80Wの出力で、5分〜15分間スパッタリングを行う。これにより、基材11の表面に、Crの金属薄膜21が成膜される。この金属薄膜21は、例えば、膜厚が500nm〜1000nm程度またはそれ以上のものとする。
次に、図3に示すように、Feを成膜する薄膜形成工程24では、下側の電極16に対し、Crの金属薄膜21が成膜された基材11(被覆対象)をセットする。また、上側の電極17にスパッタリングのターゲット(被覆材料)としてのFe材をセットする。そして、上側の電極17(ターゲット側)に、電源18として、高周波電源を接続する。そして、上記したように、チャンバー15内部をArガス雰囲気にして、80Wの出力で、15分〜60分間スパッタリングを行う。これにより、基材11(のCrの金属薄膜21)の表面に、Feの金属薄膜22が成膜される。この金属薄膜22(母材層)は、例えば、膜厚が1000nm程度またはそれ以上のものとする。なお、この場合、上記した薄膜形成工程23と同じスパッタリング装置14をそのまま使用することができる。
上記した「ナノワイヤ25」は、図5に示すように、得ようとする錐体27の芯材または母体となるものである。ナノワイヤ25は、ナノワイヤ生成工程26によって、Feの金属薄膜22の表面に多数生成される。ナノワイヤ25は、得ようとする錐体27よりも細い針状体として生成されるため、そのままでは、屈折率傾斜を有する錐体27にはなっていないものである。なお、このナノワイヤ25は、様々な金属を母材として生成することが可能である(各種の金属ナノワイヤ)。この場合には、ナノワイヤ25は、酸化鉄ナノワイヤとしている。この酸化鉄ナノワイヤは、生成プロセスが容易で(後述するように、大気雰囲気下で約400度に加熱することで生成される)、しかも、得ようとする錐体27に近い形状を有しているので、錐体27の芯材または母体とするのには、最適である。
上記した「ナノワイヤ生成工程26」は、図4に示すように、大気雰囲気下で、基材11表面のFeの金属薄膜22を加熱するものとされる。基材11の加熱には、例えば、赤外線加熱装置19が使用される。但し、赤外線加熱装置19以外の加熱装置を用いても良いことは勿論である。この時の加熱条件は、例えば、0.1MPa(大気圧下)で、ガス流量が2.5L/分、1分間で375℃にまで昇温する加熱状況で、10分〜30分加熱するものとされる。また、加熱後の冷却は、上記と同じ雰囲気および同じ圧力下で自然冷却するものとされる。
そして、最適なナノワイヤ25を生成するために、各種の実験を繰り返したところ、加熱温度を約400度とした時に、ナノワイヤ25が最も長く、かつ、高密度に成長することが確認された。
また、加熱温度が300度以下、および、500度以上では、ナノワイヤ25は、ほとんど生成しないことが確認された。
そして、純酸素雰囲気下にすると、圧力を各種変化させても、ナノワイヤ25は、ほとんど生成しないことが確認された。
更に、加熱温度を370度に固定して、加熱時間の影響について調べたところ、加熱時間が10分までは、ナノワイヤ25は、加熱時間に応じて成長することが確認された。また、加熱時間が10分以上になると、ナノワイヤ25は、それ以上成長せず、10分でほぼ最大長さに達することが確認された。
加えて、加熱時間に応じて、母材(金属薄膜22)のFeが酸化され、ナノワイヤ25の根元の酸化鉄の膜厚が厚くなることも確認された。
例えば、加熱温度を370度、加熱時間を10分とした場合には、得られたナノワイヤ25の長さは、200nm〜2μmとなり、太さは、100nm〜500nm程度となった。そして、加熱時間を10分とした場合には、得られたナノワイヤ25は、長さのバラ付きが比較的少なかった。
これに対し、加熱時間を20分とした場合、または、30分とした場合には、得られたナノワイヤ25に、長さのバラ付きが比較的多く見られた。
これにより、加熱時間の最適化によって、(不規則な配置および不規則な立設角度で延びる)所望の長さのナノワイヤ25が得られることが実際に確認された。
上記した「形状変化」は、文字通り、ナノワイヤ25の形状を変化させて屈折率傾斜を有する錐体27(図7参照)にすることである。形状変化には、ナノワイヤ25自体の形状を変化させることや、ナノワイヤ25の形状を他の物質(例えば、後述するCr)などによって間接的に変化させることや、これらを組合せることなどが含まれる。
上記した「屈折率傾斜」は、図8に示すように、屈折率n1,n2が滑らかな傾斜を持って変化することである。これにより、反射を抑えることができる。これに対し、通常の平坦な表面状態の場合、図9に示すように、屈折率n1,n2が急変することにより、急変する箇所で反射が起こるものと考えられている。
上記した「微細」は、図8に示すように、光の波長λ(1〜10000nm)よりも小さい、ナノピッチレベル(ピッチd)の(超微細な)ナノワイヤ25によるものとされる。また、ナノワイヤ25の高さは、上記ピッチdの1〜3倍程度のものとされる。
上記した「錐体27」は、上記した屈折率傾斜を持つための形状(コーン形状またはこれに近似した形状、例えば、図12参照)のものとされる(図7参照)。この場合、錐体27は、Feの金属薄膜22の表面にナノワイヤ25を芯材または母体として多数形成されることになる。例えば、錐体27は、ピッチdがほぼ200nmで高さがほぼ300nmのものなどとされる。また、例えば、錐体27は、角度が0°〜45°の高アスペクト比(縦横比)のものなどとされる。
上記した「錐体形成工程28」については、後述する。
(構成2)
上記錐体形成工程28が、図6に示すように、ナノワイヤ25の表面にターゲット粒子を付着させるスパッタリング現象と、ナノワイヤ25の表面に付着したターゲット粒子の一部を弾き飛ばす逆スパッタ現象と、を同時に発生させるバイアススパッタ法によるものとされる。
(補足説明2)
ここで、上記した「ターゲット粒子」は、文字通り、スパッタリングのターゲットとなる粒子のことである。この場合、例えば、ターゲットには、密着層と同じCrが使用される。よって、ターゲット粒子は、Crの粒子になる。Crは、後述する逆スパッタ現象を生じ易いことにより、錐体27を得るには最適なものである。但し、ターゲット粒子は、逆スパッタ現象を生じ易いものであれば、Crに限るものではない。
上記した「バイアススパッタ法」は、バイアス電圧を掛けながら、スパッタリングを行うものであり、上記したバイアス電圧によって、プラズマ空間でイオン化された雰囲気ガス(Arイオン)を、ナノワイヤ25(が形成された基材11)の側へ引き寄せるようにする。
上記した「スパッタリング現象」は、プラズマ空間でイオン化された雰囲気ガス(Arイオン)によってターゲットから叩き出されたターゲット粒子が、ナノワイヤ25の先端側に選択的に付着する現象である。このスパッタリング現象により、ナノワイヤ25は、主に、太くなる方向に形状変化して行くが、このスパッタリング現象だけでは、ナノワイヤ25を、得ようとする錐体27の形状にすることはできない。
上記した「逆スパッタ現象」は、プラズマ空間でイオン化された雰囲気ガス(Arイオン)の衝突によって、ナノワイヤ25に付着したターゲット粒子が、ナノワイヤ25の先端側から選択的に弾き飛ばされる現象である。この逆スパッタリング現象により、ナノワイヤ25は錐体27へと形状変化される。
この場合のスパッタリング装置14については、薄膜形成工程23,24で使用したものと同じものを利用することができる。
この場合、図6に示すように、下側の電極16にナノワイヤ25が生成された基材11をセットする。また、上側の電極17にスパッタリングのターゲットとしてCr材をセットする。そして、上側の電極17(ターゲット側)とチャンバー15との間に、スパッタリングを行うための電源18として、高周波電源を接続する。また、下側の電極16(基材11側)とチャンバー15との間に、バイアス電圧を掛けて逆スパッタリング現象を生じさせるための別の電源18aを接続する。
そして、チャンバー15内部を4Pa〜5PaのArガス雰囲気にして、電源18により、ターゲット側に5Wの出力の高周波電力を印加してプラズマ放電を発生させ、スパッタリング現象を生じさせると共に、上記した別の電源18aにより、基材11側に0Vよりも大きく500V程度よりも小さい正または負のバイアス電圧を印加して逆スパッタリング現象を生じさせる。このバイアススパッタリングは、約10分〜30分間程度行う。
このバイアススパッタリングにより、上記したスパッタリング現象と逆スパッタ現象とが同時に生じて、ナノワイヤ25が、概略形状を保持しながら、長さや、外径などの特徴が処理時間に応じて変化されて、屈折率傾斜を持つ錐体27となる。
ここで、図7(a)(b)は、10分間バイアススパッタリングを行ったものであり、図7(c)(d)は、20分間バイアススパッタリングを行ったものであり、図7(e)(f)は、30分間バイアススパッタリングを行ったものである。いずれの場合も、屈折率傾斜を持つ良好な錐体27を得ることができた。
(構成3)
上記したように、ナノワイヤ25の表面に、スパッタリング現象によってターゲット粒子(この場合には上記したCr)が付着されると共に、付着したターゲット粒子の一部が逆スパッタ現象によって弾き飛ばされることによって、屈折率傾斜を有する微細な錐体27を備えた反射低減構造を形成する。
(補足説明3)
この反射低減構造を製品化するために、例えば、後処理工程30として、屈折率傾斜を有する微細な錐体27が形成された基材11を、例えば、電気鋳造法(Ni電鋳など)によって精密に反転し、製品の金型を作成するようにする。そして、この金型を用いて、反射低減構造を有する製品(樹脂部品など)を成形するようにする。
または、後処理工程30として、屈折率傾斜を有する微細な錐体27が形成された基材11を、例えば、フィルムに転写して、(超)低反射フィルムまたは無反射フィルムを作成するようにする。そして、この(超)低反射フィルムまたは無反射フィルムを、製品の表面に貼着することによって、製品に後から反射低減構造または反射低減機能を付与させるようにする。
即ち、低反射フィルムを作成する場合、例えば、後処理工程30として、図1に示すように、少なくとも、離型処理工程31と、フィルム転写工程32と、酸洗浄工程33とを行うようにする。
ここで、上記した「離型処理工程31」は、屈折率傾斜を有する微細な錐体27が形成された基材11の表面に、離型剤を塗布して離型性を確保するためのものである。離型剤には、例えば、DURASURF DS−5210Z130などを使用することができる。
また、上記した「フィルム転写工程32」は、離型剤を塗布した基材11を型にして、図10に示すような、ナノインプリント装置34にて、COPフィルム(COP:シクロオレフィンポリマー)などの透明性が高く複屈折率の低いフィルム材35に転写するものである。ナノインプリント装置34には、例えば、SCIVAX VX−1000N−NNなどの熱ナノインプリント装置を使用することができる。COPフィルムは、例えば、厚さが100μm程度のものなどを使用することができる。
具体的な処理手順としては、例えば、ナノインプリント装置34の上下の金型36,37の間に、下側から順に、シリコーンゴム38(例えば、厚さ1000μm程度のもの)、錐体27が形成された基材11、COPフィルム(フィルム材35)、鏡面シリコンウェーハ39を積層配置する。そして、上下の金型36,37を160℃に加熱して、圧力が5MPaになるまで押し込み、そのまま60秒間保持して、更に、圧力を保持したまま上下の金型36,37を70℃以下に冷却し、最後に離型させるようにする。
そして、上記した「酸洗浄工程33」は、COPフィルムの表面から、錐体27が形成された基材11を塩酸でエッチングして溶解させるものである。なお、COPフィルムは、塩酸に対する耐性を有しているので、酸洗浄を行っても問題はない。
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
まず、(予備工程としての)薄膜形成工程23,24では、基材11上に、金属を付着させて、金属薄膜21,22を形成する。この場合には、少なくとも、ナノワイヤ25(酸化鉄ナノワイヤ)の母材となるFeの金属薄膜22(母材層)を形成する。また、必要に応じて、基材11とFeの金属薄膜22(母材層)との間に、両者の密着性を良くするための補助的なCrの金属薄膜21を形成する。
次に、ナノワイヤ生成工程26では、表面に金属薄膜22を有する基材11の、少なくとも金属薄膜22の部分を加熱して、金属薄膜22を加熱して、金属薄膜22の表面に、(不規則な配置および不規則な立設角度で延びる)ナノワイヤ25を生成する。
そして、錐体形成工程28では、ナノワイヤ25を形状変化させることで、屈折率傾斜を有する微細な錐体27を形成する。
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(作用効果1)
ナノワイヤ25を芯材(または母体)にして、このナノワイヤ25を形状変化させることにより、屈折率傾斜を有する微細な錐体27を得ることができる。このナノワイヤ25を芯材(母体)とする微細な錐体27(を転写したCOPフィルム)は、図11に示すように、視感波長帯域でフラット(平坦)な反射特性を持つ低反射構造(反射率2%程度)となり、モスアイ技術を用いた超低反射技術(または無反射技術)を実現することができる。
このような、ナノワイヤ25を用いた微細な錐体27では、ナノワイヤ25が不規則な配置および不規則な立設角度で延びるため、また、ナノワイヤ25の配置も不規則となるため、光の回折による干渉縞の問題も解消することができる。また、ナノワイヤ25の生成プロセスは、煩雑さと生成時間とが生成面積に依存しないため、大面積化が容易である。
更に、上記した屈折率傾斜を有する微細な錐体は、ほぼスパッタリング装置14のみによって得ることができるので、複数の設備を用いる必要や、高価な設備を使う必要がなく、比較的安価且つ簡便に得ることができて、しかも、安全性が高い。
(作用効果2)
錐体形成工程28として、バイアススパッタ法を行うことにより、ナノワイヤ25の表面にターゲット粒子を付着させるスパッタリング現象と、ナノワイヤ25の表面に付着したターゲット粒子の一部を弾き飛ばす逆スパッタ現象とが同時に発生されて、屈折率傾斜を有する微細な錐体27を得ることができる。
(作用効果3)
ナノワイヤ25にスパッタリング現象と逆スパッタ現象とを生じさせることで得られた、上記屈折率傾斜を有する微細な錐体27により、安価且つ簡便にモスアイ技術を用いた超低反射技術(または無反射技術)を実現した低反射構造を得ることができる。
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
11 基材
21 金属薄膜
22 金属薄膜
23 薄膜形成工程
24 薄膜形成工程
25 ナノワイヤ
26 ナノワイヤ生成工程
27 錐体
28 錐体形成工程

Claims (3)

  1. 表面に金属薄膜を有する基材の、少なくとも金属薄膜の部分を加熱して、金属薄膜の表面にナノワイヤを生成させるナノワイヤ生成工程と、
    該ナノワイヤを形状変化させて、屈折率傾斜を有する微細な錐体を形成する錐体形成工程と、を行うことを特徴とする反射低減方法。
  2. 前記錐体形成工程が、
    ナノワイヤの表面にターゲット粒子を付着させるスパッタリング現象と、
    ナノワイヤの表面に付着したターゲット粒子の一部を弾き飛ばす逆スパッタ現象と、を同時に発生させるバイアススパッタ法によるものであることを特徴とする請求項1に記載の反射低減方法。
  3. ナノワイヤの表面に、スパッタリング現象によってターゲット粒子が付着されると共に、付着したターゲット粒子の一部が逆スパッタ現象によって弾き飛ばされることによって成る、屈折率傾斜を有する微細な錐体を備えたことを特徴とする反射低減構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019015826A (ja) * 2017-07-05 2019-01-31 学校法人東京理科大学 モスアイパターン付き物品の製造方法、モスアイパターン付き反転型、型セット、及びモスアイパターン付き反転型の製造方法

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