JP2014201953A - 構造物傾動及び地盤改良の工法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、近年では、軟弱地盤の上方に構造物を建築する例もあり、経時的に不等沈下(不同沈下)などの問題が表面化するケースが比較的多く見られるようになってきた。ここで、不等沈下とは構造物が不揃いに沈下を起こすことをいう。すなわち、構造物全体が均等に沈下するのではなく、一方向に斜めに傾くような状態のことをいう。
この不等沈下が生じると、本来、水平・垂直を保っていなければならない、構造物の構造を支える部材が平行四辺形や台形などに歪み、一ヵ所に荷重が集中して、無理が集中するため構造物に大きなダメージを与えることとなる。また、不等沈下により構造物が傾くと、窓から雨が吹き込んだり、ドアやサッシの鍵が掛けられなくなったり、気密性が失われてエアコンの効きが悪くなったりしてしまうという不都合が発生する。
また、東日本大震災以降、0.5%以上の傾斜構造物内で生活をすることにより、健康被害の発生も数多く報告されている。
そもそも、構造物の新築時にわざわざ支持杭などを形成するのであれば、構造物が傾かないように、本来的な軟弱地盤対策を行うことも十分可能であるのだから、本来的な対策を優先して十分に実施することが可能である。現実的にはコストの面からも特許文献1に開示されている技術を適用することは困難な場合が多い。
さらに、特許文献2に開示されている技術は、構造物の下方全体の地盤改良がなされるわけではなく、沈下していない箇所の下方の地盤は軟弱なままなので将来的に沈降などの不具合が発生するおそれがある。
軟弱地盤の上方に構築される構造物であって基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた前記構造物を略水平姿勢状態へ修正するとともに、前記軟弱地盤の地盤改良を行う構造物傾動及び地盤改良の工法であって、
前記傾いた基礎が形成されていた領域に対応する前記軟弱地盤の中央部近傍に対して、支持体を形成する工程と、
前記支持体の形成により、前記傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げて、前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態に支持して前記傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする工程と、
前記傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるように、平面視において前記支点を中心とした略同心円状に拡がる位置に、かつ、地中の深い位置から浅い位置に向かって、さらに前記支持体を形成することにより、前記傾いた基礎の持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げて、前記傾いた基礎を持ち上げて支持する工程とを備え、
前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記天秤状態となっている前記傾いた基礎の全体を、任意の方向に傾動させながら傾きを調整して、これに伴い前記構造物も傾動させて略水平姿勢状態とするとともに、前記セメント改良体の築造により前記軟弱地盤の地盤改良を行うことを特徴とする。
このような工程を経ることにより、軟弱地盤に対してセメント系注入材(液状材料)を注入して支持体としてのセメント改良体を築造し、その体積の増加に伴う圧力伝達・圧密などにより、既存地盤の構造物(対応する基礎)中央部の土を盛り上げ、構造物(対応する基礎)自体を天秤状態(ヒンジ状態)にした後、構造物(対応する基礎)の傾きを修正するために持ち上げたい位置に対応する地盤にセメント改良をさらに行い、その体積の増加によって、自由に構造物の傾きを修正して略水平姿勢状態へ戻すことができる。
天秤状態(ヒンジ状態)にするため、従来の方法より、構造物に与える外的荷重が小さくて済み、その結果として回転モーメント(構造物荷重W×距離L)を小さくできるとともに、無理なく構造物の傾きの修正ができる。
また、中央をあらかじめ持ち上げて支点としているため、隙間量が小さく、発生ひずみ量を従来の建物沈下修正方法(i−LIFT工法など)よりも小さくできるため、構造物への影響(建具へのひずみの発生やコンクリート等の亀裂など)を抑える効果がある。さらにひずみ量が小さいと構造物の仕上がりが良くなる効果がある。
また、構造物の沈下修正をしながら構造物の直下やその周囲全体の地盤改良もできる利点も同時に持ち合わせている。そのため従来、別々に行いコストも嵩んでいたが、同時に行うことによりコストも低減できる。
地中の深い所から浅い方に向かって深さを変えて段階的に注入操作を行う工程を経ることにより、地中の深い所から浅い方に向かって深さを変えて段階的に注入操作を行うことにより、固化した地盤が次々と積み重なっていき、このことにより地盤を押し上げる大きな上昇力を発揮させることができ、構造物の沈下や傾きを確実に修正することができる。
また、本発明の第2の構造物傾動及び地盤改良の工法は、
軟弱地盤の上方に構築される構造物であって基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた前記構造物を略水平姿勢状態へ修正するとともに、前記軟弱地盤の地盤改良を行う構造物傾動及び地盤改良の工法であって、
前記傾いた基礎が形成されていた領域に対応する前記軟弱地盤の中央部近傍に対して、支持体を形成する工程と、
前記支持体の形成により、前記傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げて、前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態に支持して前記傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする工程と、
前記傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるように、さらに前記支持体を形成することにより、前記傾いた基礎の持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げて、前記傾いた基礎を持ち上げて支持する工程とを備え、
前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記天秤状態となっている前記傾いた基礎の全体を、任意の方向に傾動させながら傾きを調整して、これに伴い前記構造物も傾動させて略水平姿勢状態とするとともに、前記セメント改良体の築造により前記軟弱地盤の地盤改良を行うことを特徴とする。
また、必ずしも地盤改良を目的・効果としなくともよい、本発明の構造物傾動工法は、
基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた構造物を略水平姿勢状態へ修正する構造物傾動工法であって、
前記傾いた基礎が形成されていた領域に対応する地盤の中央部近傍に対して、支持体を形成する工程と、
前記支持体の形成により、前記傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げて、前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態に支持して前記傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする工程と、
前記傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるように、さらに前記支持体を形成することにより、前記傾いた基礎の持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げて、前記傾いた基礎を持ち上げて支持する工程とを備え、
前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記天秤状態となっている前記傾いた基礎の全体を、任意の方向に傾動させながら傾きを調整して、これに伴い前記構造物も傾動させて略水平姿勢状態とすることを特徴とする。
図1に示すように、本実施の形態の構造物傾動及び地盤改良の工法は、構造物として家屋などの建物を前提として、軟弱地盤の上方に建築される建物であって不等沈下により基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた建物を略水平姿勢状態へ修正するとともに、その建物の下方の軟弱地盤の全体的な地盤改良をも行うことが可能な工法である。
概略としては、建物本体の下方には土台があり、そして土台の下方には基礎があり、さらに基礎の下方には地盤がある。
土台は、建物本体の骨組みと建物本体を支える基礎をしっかりとつなぐためのものである。木造の建物であっても基礎は多くの場合コンクリート造のため、木材の土台を介した方が接合しやすくなる。建物本体の荷重は、柱を伝って柱の底面に集中的にかかるが、その重みにより、地盤が部分的に沈んだり、滑り出したりする不等沈下が起きないように、柱からの荷重を均等にし、基礎全体でバランス良く建物本体を支える。
基礎は、建物重量を有効に地盤に伝えるための構造体である。建物の一番下の部分である基礎には、建物の重さを地盤に伝えて支え、建物と地盤をしっかりと固定する役割がある。布基礎とは、設ける位置は、建築物の外周部や主要な間仕切壁の骨組(軸組)の下などであり、断面は逆T字形で、基礎底面を広くする。この幅は、上部からの荷重と地耐力の大小により決定される。例えば、地盤調査の結果、1平方メートル当たり5t以上まで耐えられる地耐力があると診断されれば標準の布基礎を使う。また、地盤調査の結果、地耐力が1平方メートル当たり3t以上5t未満のやや軟弱な地盤の場合は基礎形状を基礎と地盤面が接するベースの幅を広げるようにして、接地面を増やして荷重が分散されることにより、建物が軽くなるのと同じ効果を得て沈下をより小さくする。さらに、ベースの拡幅で対応できるのは地耐力が1平方メートル当たり3tが限度であるので、地耐力が2〜3tまでの軟弱地盤の場合は、床下全面にコンクリートを打つ、ベタ基礎にして不等沈下を均等化させる。
なお、本実施の形態の構造物傾動及び地盤改良の工法における使用機械としては、以下のものが挙げられる。
ダンプトラック 2t 1台
ユニック車 4t 2台
エアーコンプレッサー 25HP 1台
削岩機 2台
モルタルミキサー 500リットル練 2台
注入ポンプ 3台
注入計測器(注入管理用モニター) 3台
電動ピック(ハンマー) 1台
コンクリート切断機 1台
注入機械 手元圧力計 3台
複数の二重管ロッド(長さ寸法:9.25m)
などが用いられてよい。
深さ0.25mではN値は2.0である。推定土質は砂質盛土である。
深さ0.50mではN値は1.0である。推定土質は砂質盛土である。
深さ0.75mではN値は2.5である。推定土質は砂質盛土である。
深さ1.00mではN値は3.3である。推定土質は砂質盛土である。
深さ1.25mではN値は6.2である。推定土質は砂質盛土である。
深さ1.50mではN値は4.4である。推定土質は砂質盛土である。
深さ1.75mではN値は3.3である。推定土質は砂質盛土である。
深さ2.00mではN値は3.3である。推定土質は砂質盛土である。
深さ2.25mではN値は3.0である。推定土質は砂質盛土である。
深さ2.50mではN値は3.0である。推定土質は砂質盛土である。
深さ2.75mではN値は3.8である。推定土質は砂質盛土である。
深さ3.00mではN値は2.5である。推定土質は砂質盛土である。
深さ3.25mではN値は0.7である。推定土質はシルトである。
深さ3.50mではN値は0.7である。推定土質はシルトである。
深さ3.75mではN値は3.0である。推定土質はシルトである。
深さ4.00mではN値は3.6である。推定土質はシルトである。
深さ4.25mではN値は6.0である。推定土質はシルトである。
深さ4.50mではN値は4.4である。推定土質はシルトである。
深さ4.75mではN値は3.2である。推定土質はシルトである。
深さ5.00mではN値は1.5である。推定土質はシルトである。
深さ5.25mではN値は2.2である。推定土質はシルトである。
深さ5.50mではN値は3.0である。推定土質は砂質である。
深さ5.75mではN値は4.4である。推定土質は砂質である。
深さ6.00mではN値は6.8である。推定土質は砂質である。
深さ6.25mではN値は7.6である。推定土質は砂質である。
深さ6.50mではN値は5.2である。推定土質は砂質である。
深さ6.75mではN値は4.1である。推定土質は砂質である。
深さ7.00mではN値は12.9である。推定土質は砂質である。
深さ7.25mではN値は13.5である。推定土質は砂質である。
深さ7.50mではN値は4.9である。推定土質は砂質である。
深さ7.75mではN値は15.1である。推定土質は砂質である。
上記の結果より、改良を開始する深さ(GL)を、N値15となっている7.75mの上層の7.50mからと決定する。なお、N値15は、固い土程度で液状化しないと言われる値である。また、予め建物の建築時に盛土されたと推定される層があるので7.75m〜2.50mまでの改良とする。
ここでの建物は、1F床面積約81.1平方メートルの建物(基礎はベタ基礎)であることを前提とし、その建物の沈下量は図3(平面視の領域)に示すとおりとする。すなわち、図3に示すような各箇所の沈下程度を各々測量し、四隅のうち、左上の領域が150mmと最も沈降しており、左下の領域は沈降していないので相対的に最も高い位置であり、右上の領域が140mm、右下の領域が30mmそれぞれ沈降している。なお、建物の基礎も建物の各箇所に対応する箇所において同程度の沈降量であるとみなすことができる。
そしてステップS04において、削孔位置掘削として、削孔する際、埋設物に損傷を与えないように先掘りを実施する。
さらに、ステップS05において、埋設物位置掘削として、ガス、水道、下水等が施工時に破断等がないよう先掘りに追従させる。
各箇所の各々の地中に所定の角度で注入管を埋め込んでセットする。このような注入管をセットする工事にはボーリングマシンを用いる。すなわち沈下して傾いた建物の基礎の各箇所の各々の下方の地中に、所定の深さ位置に開口先端が来るように注入管をセットする。注入管を埋め込む箇所の数はその時の状況判断によって増減してよい。また、注入管の注入角度を分度計測器を用いて確認する。
このような注入管の後端部には、注入プラントがホースを介して接続されており、この注入プラントは発電機を原動力として、注入材を注入ポンプを介して注入管に送り込むことができるようになっている。
注入材は少なくとも3方向・3箇所における同時注入を行う。このことにより、注入管の開口先端から注入材が地中に供給(ショット)され、供給された注入材は地中の空隙内に浸透して拡散して行く。地盤の構造は、下方に比べて上方の方が概して柔らかく、地上からの圧力も下方に比べて上方の方が低いため、地中に供給された注入材は主として地中の上方に向かって拡散して行く。
サンコハードAQ2−5秒 合計注入量 36・0立方メートル
内訳
A液の比 普通ポルトランドセメント125kg 対 サンコハードAQ2−5秒の促進剤16kg 対 水153リットル
B液の比 サンコハードAQ2−5秒の硬化剤20.8kg 対 水197リットル
このことと関連して、注入管はA液とB液が別々に通る二重構造となっていて、A液とB液は注入管から放出された後、地中で互いに混合してその拡散後に固体化するようになっている。A液とB液の泥水状のもの(注入材)が混合すると5〜10秒でゲル化(固化)する。
ここで、サンコハードAQ2−5秒の合計注入量は36・0立方メートルであるが、通常、地盤の含水比25%程度であればいわゆる締まった土であり、30%以上であると液状化し易いといわれている。そこで水を約10%減らして含水比25%程度としたいので、1F床面積約81.1平方メートルで高さ5m(深さ7.50m〜2.50mまで)の約400立方メートルの10%をコロイド作って水と置き換えるために36・0立方メートルの注入量としている。すなわち、注入材は地中でA液とB液が混合して拡散することにより、地中の空隙を充填して、そのA液とB液が反応して固体化する。このように注入材が地中の空隙を充填して固体化することにより、あたかもつぶれていた海綿体が水を含んで膨張して硬くなっていくように、その後の地中組織の体積や硬度を増加させていく。このようにして、膨張して硬くなった地盤がより上方の地盤を下方から押し上げて上昇させていき、このような固体化した地盤が深い所から浅い方に向かって何層も積み重なっていくことにより、建物の基礎を持ち上げる(上昇させる)ことができる。
そして、ステップS10において、建物の変状、埋設管の変状、近接構造物及び建物への影響確認の計測などを行う。
1日目の削孔、注入は、注入材4000リットルとする。各位置毎の注入深さは、(1)、(2)は7.5〜7.0mで、(3)は7.5〜5.5mとする。
2日目の削孔、注入は、注入材8000リットルとする。各位置毎の注入深さは、(1)、(2)は7.0〜6.0mで、(5)は7.5〜5.5mで、(3)は5.5〜4.0mとする。
このように、傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げ、略伏せ椀型の頂部を支点として傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態(比喩的にはグラグラできるような状態)に支持して、傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする。
そして、3日目以降で、傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるべく、平面視において支点を中心とした略同心円状に広がる位置に、地中の深い所から浅い方に向かって深さを変えて段階的に繰り返し注入材の注入を行う。セメント改良体をさらに築造し、その体積の増加により、傾いた基礎のうち持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げ傾いた基礎を持ち上げて支持する(図5(c)及び図5(d)参照)。なお、図3の左下の領域のように相対的に高い位置にも領域の全体的な地盤改良等のために注入材を注入していくが、持ち上がり難いように、圧力のバランスを考慮しながら、トンネル工事におけるいわゆるもぐら工法の要領で実施する。
4日目の削孔、注入は、注入材8000リットルとする。(1)、(2)は5.0〜4.0mで、ABCDEGILKは7.5mで、(5)は5.5〜4.0mで、(4)は5.5〜4.0mとする。
5日目の削孔、注入は、注入材6000リットルとする。(1)、(2)は5.0〜4.0mで、(3)〜(5)は4.0〜3.0mで、ABCDEFGHILKは7.5mとする。
6日目の削孔、注入は、注入材2000リットルとする。(1)〜(5)及びABCDEFGHILKは7.5m〜2.5mとする。
基礎の各箇所の各々における沈下量や地盤の構造は互いに異なっているため、各々の位置における注入材の注入量、注入速度、連続又は間欠注入、ゲル化するまでの時間、注入圧等の注入条件を変化させて調整しながら注入してもよい。材料を変えたり、A液とB液の混合比率を変えることによりゲル化するまでの時間が長くなるほど地中での注入材の拡散範囲は広がる。
軟弱地盤の上方に構築される構造物であって基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた前記構造物を略水平姿勢状態へ修正するとともに、前記軟弱地盤の地盤改良を行う構造物傾動及び地盤改良の工法であって、
前記傾いた基礎が形成されていた領域に対応する前記軟弱地盤の中央部近傍に対して、支持体を形成する工程と、
前記支持体の形成により、前記傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げて、前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態に支持して前記傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする工程と、
前記傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるように、平面視において前記支点を中心とした略同心円状に拡がる位置に、かつ、地中の深い位置から浅い位置に向かって、さらに前記支持体を形成することにより、前記傾いた基礎の持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げて、前記傾いた基礎を持ち上げて支持する工程とを備え、
前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記天秤状態となっている前記傾いた基礎の全体を、任意の方向に傾動させながら傾きを調整して、これに伴い前記構造物も傾動させて略水平姿勢状態とするとともに、前記支持体の築造により前記軟弱地盤の地盤改良を行うことを特徴とする。
このような工程を経ることにより、軟弱地盤に対してセメント系注入材(液状材料)を注入して支持体としてのセメント改良体を築造し、その体積の増加に伴う圧力伝達・圧密などにより、既存地盤の構造物(対応する基礎)中央部の土を盛り上げ、構造物(対応する基礎)自体を天秤状態(ヒンジ状態)にした後、構造物(対応する基礎)の傾きを修正するために持ち上げたい位置に対応する地盤にセメント改良をさらに行い、その体積の増加によって、自由に構造物の傾きを修正して略水平姿勢状態へ戻すことができる。
天秤状態(ヒンジ状態)にするため、従来の方法より、構造物に与える外的荷重が小さくて済み、その結果として回転モーメント(構造物荷重W×距離L)を小さくできるとともに、無理なく構造物の傾きの修正ができる。
また、中央をあらかじめ持ち上げて支点としているため、隙間量が小さく、発生ひずみ量を従来の建物沈下修正方法(i−LIFT工法など)よりも小さくできるため、構造物への影響(建具へのひずみの発生やコンクリート等の亀裂など)を抑える効果がある。さらにひずみ量が小さいと構造物の仕上がりが良くなる効果がある。
また、構造物の沈下修正をしながら構造物の直下やその周囲全体の地盤改良もできる利点も同時に持ち合わせている。そのため従来、別々に行いコストも嵩んでいたが、同時に行うことによりコストも低減できる。
地中の深い所から浅い方に向かって深さを変えて段階的に注入操作を行う工程を経ることにより、地中の深い所から浅い方に向かって深さを変えて段階的に注入操作を行うことにより、固化した地盤が次々と積み重なっていき、このことにより地盤を押し上げる大きな上昇力を発揮させることができ、構造物の沈下や傾きを確実に修正することができる。
また、本発明の第2の構造物傾動及び地盤改良の工法は、
軟弱地盤の上方に構築される構造物であって基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた前記構造物を略水平姿勢状態へ修正するとともに、前記軟弱地盤の地盤改良を行う構造物傾動及び地盤改良の工法であって、
前記傾いた基礎が形成されていた領域に対応する前記軟弱地盤の中央部近傍に対して、支持体を形成する工程と、
前記支持体の形成により、前記傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げて、前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態に支持して前記傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする工程と、
前記傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるように、さらに前記支持体を形成することにより、前記傾いた基礎の持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げて、前記傾いた基礎を持ち上げて支持する工程とを備え、
前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記天秤状態となっている前記傾いた基礎の全体を、任意の方向に傾動させながら傾きを調整して、これに伴い前記構造物も傾動させて略水平姿勢状態とするとともに、前記支持体の築造により前記軟弱地盤の地盤改良を行うことを特徴とする。
また、必ずしも地盤改良を目的・効果としなくともよい、本発明の構造物傾動工法は、
基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた構造物を略水平姿勢状態へ修正する構造物傾動工法であって、
前記傾いた基礎が形成されていた領域に対応する地盤の中央部近傍に対して、支持体を形成する工程と、
前記支持体の形成により、前記傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げて、前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態に支持して前記傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする工程と、
前記傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるように、さらに前記支持体を形成することにより、前記傾いた基礎の持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げて、前記傾いた基礎を持ち上げて支持する工程とを備え、
前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記天秤状態となっている前記傾いた基礎の全体を、任意の方向に傾動させながら傾きを調整して、これに伴い前記構造物も傾動させて略水平姿勢状態とすることを特徴とする。
Claims (3)
- 軟弱地盤の上方に構築される構造物であって基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた前記構造物を略水平姿勢状態へ修正するとともに、前記軟弱地盤の地盤改良を行う構造物傾動及び地盤改良の工法であって、
前記傾いた基礎が形成されていた領域に対応する前記軟弱地盤の中央部近傍に対して、支持体を形成する工程と、
前記支持体の形成により、前記傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げて、前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態に支持して前記傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする工程と、
前記傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるように、平面視において前記支点を中心とした略同心円状に拡がる位置に、かつ、地中の深い位置から浅い位置に向かって、さらに前記支持体を形成することにより、前記傾いた基礎の持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げて、前記傾いた基礎を持ち上げて支持する工程とを備え、
前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記天秤状態となっている前記傾いた基礎の全体を、任意の方向に傾動させながら傾きを調整して、これに伴い前記構造物も傾動させて略水平姿勢状態とするとともに、前記セメント改良体の築造により前記軟弱地盤の地盤改良を行うことを特徴とする構造物傾動及び地盤改良の工法。 - 軟弱地盤の上方に構築される構造物であって基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた前記構造物を略水平姿勢状態へ修正するとともに、前記軟弱地盤の地盤改良を行う構造物傾動及び地盤改良の工法であって、
前記傾いた基礎が形成されていた領域に対応する前記軟弱地盤の中央部近傍に対して、支持体を形成する工程と、
前記支持体の形成により、前記傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げて、前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態に支持して前記傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする工程と、
前記傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるように、さらに前記支持体を形成することにより、前記傾いた基礎の持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げて、前記傾いた基礎を持ち上げて支持する工程とを備え、
前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記天秤状態となっている前記傾いた基礎の全体を、任意の方向に傾動させながら傾きを調整して、これに伴い前記構造物も傾動させて略水平姿勢状態とするとともに、前記セメント改良体の築造により前記軟弱地盤の地盤改良を行うことを特徴とする構造物傾動及び地盤改良の工法。 - 基礎が傾いてこれに伴い自身も傾いた構造物を略水平姿勢状態へ修正する構造物傾動工法であって、
前記傾いた基礎が形成されていた領域に対応する地盤の中央部近傍に対して、支持体を形成する工程と、
前記支持体の形成により、前記傾いた基礎の略中央部に当接する地盤の表層を略中央部が盛り上がった略伏せ椀型に盛り上げて、前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記傾いた基礎の略中央部を持ち上げて天秤状態に支持して前記傾いた基礎の全体を傾動させ易い状態とする工程と、
前記傾いた基礎の持ち上げたい位置を持ち上げるように、さらに前記支持体を形成することにより、前記傾いた基礎の持ち上げたい位置に対応する部分の周辺に当接する地盤の表層を盛り上げて、前記傾いた基礎を持ち上げて支持する工程とを備え、
前記略伏せ椀型の頂部を支点として前記天秤状態となっている前記傾いた基礎の全体を、任意の方向に傾動させながら傾きを調整して、これに伴い前記構造物も傾動させて略水平姿勢状態とすることを特徴とする構造物傾動工法。
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