JP2014201881A - 熱橋キャップと熱橋キャップを用いた断熱方法 - Google Patents

熱橋キャップと熱橋キャップを用いた断熱方法 Download PDF

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Abstract

【課題】迅速かつ容易な作業性と確実な熱遮断効果とを両立した熱橋キャップと熱橋キャップを用いた断熱方法とを実現することを目的とする。【解決手段】軸部が骨材に嵌挿されて骨材を連結するボルトの頭部に嵌合する凹部を形成する中空円筒状の断熱材と、断熱材が凸設される円板状の底面部材と、を備え、骨材の建屋外側の壁面に凹設されたボルトの頭部に、凹部が嵌合した場合に、ボルトの頭部と骨材との間に配置されたワッシャに断熱材の端部が当接することでボルトの頭部を包含する密閉空間が形成されるとともに、骨材の建屋外側の壁面から底面部材が突出しないような断熱材の高さである熱橋キャップとする。【選択図】図1

Description

本発明は、取り付けが容易な熱橋キャップと熱橋キャップを用いた断熱方法とに関する。
従来、柱、梁、土台等の各骨材を連結し、これを骨格フレームとした木造家屋等が建築される。また、このような骨材、例えば柱と梁とを容易に連結するために、骨材に固定された板部の端部にボルトを突設した板部材と、対応するナットと、で構成される連結部材が使用される場合もある。
板部材のボルトを柱の貫通孔に内側から挿通し、板部を梁に釘などで固定し、柱外面に突出したボルト端部にナットを螺着することで、柱と梁とを連結する羽子板ボルトと呼ばれる連結板部材が知られている。
また、木造家屋に対する高機密性、高断熱性及び高耐久性の要求が増大するのに伴い、柱、梁、土台等の各骨材を連結板部材で連結した場合に生じる種々の問題点も無視できない解決課題となってきている。
例えば、羽子板ボルトを使用して骨材を連結する場合、骨材に連結板部材のボルトを挿通させる貫通孔を設けるので、この貫通孔及びボルトを介して熱が伝導され、施工後(連結後)の家屋は機密性及び断熱性に欠けることが懸念される。
すなわち、連結板部材を構成する金属製のボルトの両端部、または/およびナットが家屋の屋外側及び屋内側へ各々露出するので、特に家屋の屋外側と屋内側とで大きな寒暖の差が生じる冬場等の環境下においては、ボルトがそれを介して熱が伝導されるいわゆる熱橋となって、断熱効果が低減されることが懸念される
また、例えば屋外側の冷たい空気で冷やされたボルトの屋内側端部が、屋内側で暖かい空気及び湿気に触れ、屋内側の端部に結露が生じ、生じた結露に起因してボルトが錆びたり、結露による水分が骨材に浸透・滴下して腐食等の好ましくない状態を招来することが懸念される。
このため、特に気温差の激しい地域に建築される家屋の屋外側に位置する骨材の連結部等においては、骨材の老朽化や腐食が加速的に促進されたり、場合によっては家屋全体の耐久性を低下させる等の問題が生じる。
また、カバー体を骨材の表面に露出する連結部材の端部内面に設けた凹部を嵌合止着させることで当該端部を覆うようにして付設することで、連結部材の端部を露出したままにしておいた場合に比して機密性及び断熱性が良好となり、例えば冬場などの家屋の外側が冷たく且つ内側が暖かい環境下においては、内側の暖かい空気と冷たい外気とがボルト部材で連結されることがなくなり断熱効果が劣化してしまうことがなく、この連結部材の端部が直接外気に触れることがないため結露の発生を可及的に防止することができる技術思想が、例えば下記特許文献1等に開示されている。
また、木造建物の構成骨材(木材)の組付け、固定に用いられているボルトや釘或いは接合金物等の金属製物品は、その一部(例えば、ボルト頭部)が木材表面に露出し、かつ、露出したままの状態におかれているので結露し、多年に渉る該結露水によって当該物品が錆ついたり、木材部が腐食したりして当該物品の機能が劣化するとの問題点を解決するために、木造建物の木材表面に露出する金属製物品部分の表面を、該部分を取り囲んで木材表面に接着した、耐候性、断熱性および非透湿性のあるシート片で套装した構成とする技術思想が、例えば下記特許文献2に開示されている。
特開2000−027835号公報 特開2004−218205号公報
ボルトとナット等による連結箇所において、ボルトまたはナットが骨材から突出するか、ボルトまたはナットを被覆するカバー体やシート片が骨材から突出することは、例えば骨材に外壁を隣接して装着する場合などにおいて、好ましくなかった。また、骨材から突出したボルト端部等は、周囲の温度等環境変化の影響を特に受けやすいことが懸念される。
また、仮にボルト等に発泡断熱材を吹き付け塗布してこれを被覆した場合には、吹き付けた発泡断熱材が乾燥するまでに時間を要するとともに、吹きつけ後の過剰塗布分に対する削り取り作業工程が必要になるなど、作業効率が高いものではなかった。また、吹き付け塗布による発泡断熱材の断熱効果は充分なものではなかった。
本願発明は、上述の問題点に鑑み為された発明であって、迅速かつ容易な作業性と確実な熱遮断効果とを両立した熱橋キャップと熱橋キャップを用いた断熱方法とを実現することを目的とする。
本発明の熱橋キャップは、軸部が骨材に嵌挿されて骨材を連結するボルトの頭部に嵌合する凹部を形成する中空円筒状の断熱材と、断熱材が凸設される円板状の底面部材と、を備え、骨材の建屋外側の壁面に凹設されたボルトの頭部に、凹部が嵌合した場合に、ボルトの頭部と骨材との間に配置されたワッシャに断熱材の端部が当接することでボルトの頭部を包含する密閉空間が形成されるとともに、骨材の建屋外側の壁面から底面部材が突出しないような断熱材の高さであることを特徴とする。
また、本発明の熱橋キャップは好ましくは、ボルトの頭部と底面部材との間に断熱材を備えることを特徴とする。
また、本発明の熱橋キャップはさらに好ましくは、底面部材が白炭パウダーを含有する材質で形成されることを特徴とする。
また、本発明の熱橋キャップはさらに好ましくは、底面部材がアクリル系樹脂にゴム素材を含有する合成樹脂で形成されることを特徴とする。
また、本発明の熱橋キャップはさらに好ましくは、骨材の建屋外側の壁面に凹設されたボルトの頭部に凹部が嵌合した場合に、抜け落ちを防止する凸部を、底面部材の外周の少なくとも一カ所に備えることを特徴とする。
また、本発明の熱橋キャップはさらに好ましくは、断熱材がポリエチレンフォームであることを特徴とする。
また、本発明の熱橋キャップはさらに好ましくは、底面部材が、断熱材の内周壁または外周壁の少なくとも一部を覆うように底面部材から凸設された支持壁を備えることを特徴とする。
また、本発明の熱橋キャップを用いた断熱方法は、骨材に装着されたボルトの頭部に断熱材の凹部を嵌合させる工程と、断熱材の端部がワッシャに当接して、骨材の建屋外側の壁面から底面部材が突出しない状態まで熱橋キャップを押圧する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の熱橋キャップを用いた断熱方法はさらに好ましくは、骨材がプレカット工法により組み立てられることを特徴とする。
迅速かつ容易な作業性と確実な熱遮断効果とを両立した熱橋キャップと熱橋キャップを用いた断熱方法とを実現できる。
実施形態の熱橋キャップを、骨材を連結するボルトの頭部に取り付けた状態を説明する概念図である。 熱橋キャップを骨材の壁面に設けられた凹部に嵌合させようとする工程を説明する斜視図である。 熱橋キャップの構造概要を説明する概念図であって、(a)が熱橋キャップの斜視図であり、(b)が熱橋キャップの中央部に断熱材を配置してさらに断熱効果を向上させた構造を模式的に説明する図であり、(c)は(b)に説明する熱橋キャップのA−A’断面図を説明する図である。 上述した図3(c)に説明した熱橋キャップの断熱効果を他のキャップ等を比較して断熱効果を試験した結果を示す図である。
建屋の骨組みを構成する木またはセメント等の骨材は、比較的熱の伝導効率が低く、一定の断熱効果が期待できる一方、骨材同士を固定するボルト等の金属部材は、比較的熱の伝導効率が高い。
このため、冬場等外気温と内気温との建屋内外気温差が生じる環境下においては、建屋の外壁側に位置するボルト頭部から屋内の熱が逃げてこれが冷却されるので、建屋内側に位置するボルト軸端部やナット等が建屋内側の環境温度よりも低温となり、ここに結露が生じる一因となることが知られている。建屋形状を支える構造部材において、このような結露が生じることは骨材の耐久性や品質上好ましくない。
本実施形態において説明する熱橋キャップは、建屋の建築時等に骨材同士の結合などに使用されるボルトに装着し、ボルト頭部が冷却されたり加熱されたりすることを抑制し、すなわちボルト頭部を介した熱の伝導を遮断する。
図1は、実施形態の熱橋キャップ100を、骨材300を連結するボルト200の頭部に取り付けた断面の状態説明する概念図である。図1において、骨材300は、例えば4寸角程度の木材とすることができる。
図1から理解できるように、骨材300にはボルト200の頭部とワッシャ400とが配置される凹部320が設けられている。凹部320の深さは、ボルト200を完全に取り付けた状態で、ボルト200の頭部が骨材300の外壁側の壁面310から突出しない程度に、十分なクリアランスを設けられている。
また、図1には示していないが、ボルト200の軸部は骨材300内を貫通するとともに、ワッシャ400に対向する他のワッシャを介してナットが嵌め込まれて不図示の他の骨材等と締結される。この状態において、従来、ボルト200の頭部及びワッシャ400を含めた凹部320を充填するように、発泡断熱材をスプレー等によりウレタンフォームを吹き付け塗布する断熱対策も考えられる。
しかし、ウレタンフォーム等の発泡断熱材の吹きつけ塗布は、溶剤等が乾燥するまでの時間を要するだけではなく、凹部320からはみ出した過剰な発泡断熱材を、壁面310と面一になるように削り取る研磨工程が追加的に必要となる。また、吹き付けウレタンフォームの断熱効果は、備長炭入りアクリル樹脂製底面部材にポリエチレンフォームの断熱材を凸設した本発明の熱橋キャップの断熱効果には遠く及ばない。
また、発泡断熱材の吹きつけ塗布は、施工現場における作業効率が上述のように必ずしも良いとはいえない。この点、実施形態で提示する熱橋キャップ100は、ボルト200の頭部に嵌め込むだけでよいので、極めて簡易かつ短時間で容易にボルト200に対する断熱処理を極めて効果的に遂行することが可能である。
熱橋キャップ100は、底面部材110と、底面部材110に垂直に立設された断熱材160を備える。断熱材160の外径は、骨材300に設けられる凹部320の内径と略同一であるか、やや小さい程度とされる。また、断熱材160の内径は、ボルト200の頭部を包含可能な程度に大きく、かつ、ワッシャ400の外径よりは小さいものとする。
また、図1に示すように、熱橋キャップ100は、底面部材110と、底面部材110の底面に垂直に立設された外壁130と内壁120とを備えていてもよい。この場合には、外壁130の外径は、骨材300に設けられる凹部320の内径と略同一であるか、やや小さい程度とされる。また、内壁120の凸設高さは、断熱材160の凸設高さよりも低いものとする。これにより、断熱材160の先端が、ワッシャ400に効果的に当接し、ボルト200の頭部を包含する(ボルト200の頭部が外気に直接触れない程度の)密閉空間を形成することができる。なお、外壁130を備えない構成とする場合には、以下の説明において、外壁130の説明を断熱材160の外周壁に読み替えることができる。同様に、内壁120を備えない構成とする場合には、以下の説明において、内壁120の説明を断熱材160の内周壁に読み替えることができる。
また、外壁130の外周には3ミリメートル程度以内で外方に突出した凸部140が設けられており、凹部320との間で適切な摩擦力を生じて、凹部320に装着された熱橋キャップ100の脱落を防止する。
また、特に木材等の骨材300は、建屋の完成後時間の経過とともに、乾燥等が進むこと等によりある程度収縮することが知られている。このため、施工時に嵌合させた熱橋キャップ100は、骨材300が収縮するまでは、凸部140と凹部320との間の摩擦力等により脱落しない程度に保持され、その後骨材300の収縮が進行して凹部320の内径が小さくなれば、外壁130の外周全体が凹部320の内壁により支持されて強固に保持される。
また、凸部140の凸高さが高すぎれば、外壁130の外周と凹部320との間に過剰に空間が形成されることとなるので、好ましくない。凹部320の内径と外壁130の外径とが略一致することが理想的といえるが、製造上及び作業公差の観点からは、凸部140の凸高さは2mm〜3mmとすることが好ましい。また、凸部140は、熱橋キャップ100の装着時に不要な部分が、凹部320のエッジ部分と擦れて脱落する程度の強度となるように1mm程度以内の径(または厚さ)を有することが好ましい。
また、図1に示すように熱橋キャップ100を装着した状態においては、熱橋キャップ100の底面部材110は、骨材300の壁面310から突出することはない。これにより、外壁側の壁面310に隣接(典型的には接触)して外壁パネルや外壁ボード等種々の外壁材を安定して配置することができる。また、壁面310が曲面で構成される場合であれば、当該曲面に整合しかつ当該曲面から突出しないように、底面部材110を曲面形状とすることが好ましい。
凹部320の内径は、一般には規格によりφ60mm,φ50mm,φ40mm,φ30mm等が用いられるが、凹部320の内径に対応する規格外径を有する熱橋キャップ100を予め準備しておくことで、現実の組み立て工程における施工作業をスムースに遂行できる。
また、熱橋キャップ100の内壁120の内径は、ボルト200の頭部に整合してちょうどこれに嵌合する程度の径とすることが好ましい。また、熱橋キャップ100の断熱材160の底面部材110の底面からの高さは、ボルト200の頭部の高さよりやや高く、かつ内壁120の高さよりは高く構成する。
これにより、図1に示すように断熱材160の端部がワッシャ400に接触・当接した状態で、頭部200と底面部材110との間に、空間500が形成される。また、この空間500内の空気は、ワッシャ400と断熱材160と底面部材110に密閉されて、流動しないので当該空気が熱を運搬することがなく、頭部200を介した熱の伝導を遮断するのに極めて効果的である。
また、外壁130の高さは、内壁120の高さより高くしてもよく、内壁120の高さより低くしてもよい。しかし、外壁130の高さを内壁120の高さより高くする場合には、断熱材160の高さとワッシャ400の厚さとの和より低く構成することが好ましい。
すなわち、外壁130の高さが高すぎれば、断熱材160の端部がワッシャ400に当接するよりも先に、外壁130の端部が凹部320の底面に当接するので、断熱材160の端部とワッシャ400との当接等に基づく、空間500内等の空気の密閉効果が低減されてしまう。
好ましくは、熱橋キャップ100の断熱材160と底面部材110とワッシャ400とで空間500及びボルト200の頭部を包含する密閉空間を形成し、ボルト200の頭部を介した熱の伝導を遮断することが好ましい。
また、図2は、熱橋キャップ100を骨材300の壁面310に設けられた凹部320に嵌合させようとする工程を説明する斜視図である。
熱橋キャップ100の底面部材110は、アクリル樹脂等の素材により形成されてもよく、好ましくはゴム素材を含有するアクリル樹脂を用いて形成される。これにより、耐衝撃性にすぐれた熱橋キャップ100となるので、図2に示す装着時に木槌ハンマー等で底面部材110を叩いて凹部320に熱橋キャップ100を確実に嵌め込むことが可能となる。
例えば、通常良く知られたアクリル樹脂においては、引張弾性率が3200MPa(試験法:ISO527−2/1A/1)、曲げ強さが120Mpa(試験法:ISO178)、シャルビー衝撃強さ(ノッチなし)が20kJ/m(試験法:ISO179/1aU)、シャルビー衝撃強さ(ノッチあり)が1.9kJ/m(試験法:ISO179/1aA)である。
一方、ゴム素材を含有するアクリル樹脂として、例えば引張弾性率が2400MPa(試験法:ISO527−2/1A/1)、曲げ強さが100Mpa(試験法:ISO178)、シャルビー衝撃強さ(ノッチなし)が25kJ/m(試験法:ISO179/1aU)、シャルビー衝撃強さ(ノッチ付)が2.0kJ/m(試験法:ISO179/1aA)の素材を用いることで、より適切な熱橋キャップ100とすることができる。
熱橋キャップ100の底面部材110の材質としては、例えば旭化成ケミカルズ株式会社製のデルペット(登録商標)SR6200等を用いることができる。デルペットは優れた透明性・表面硬度・耐薬品性を備えたメタクリル樹脂成型材料として知られており、特にSR6200においては適度なゴム特性を有することで耐衝撃性にも優れていることが知られている。
図1と図2とにおいて説明するように、熱橋キャップ100を装着した状態においては、ボルト200の頭部が外気に触れる懸念が実質的にはなくなる。すなわち、ボルト200の頭部周辺の空気は、断熱材160により移動制限されるとともに、さらにその周囲の外壁130及び底面部材110により、凹部320内に保持される。これにより、熱橋キャップ100は、ボルト200の頭部を介した熱循環の形成を効果的に阻止することができる。
さらに、熱橋キャップ100は、断熱材160が例えばポリエチレンフォーム等の発泡体で形成されることにより、いわば弾性体のようにワッシャ400に柔軟にフィットすることができる。発泡体であるポリエチレンフォーム等の断熱材160は、一般にはいわゆる成形樹脂(例えば硬質プラスチック)よりも弾力性に富み、ワッシャ400の表面に例えば凹凸やキズ等が存在したとしても、ある程度はこれを吸収してワッシャ400と良好に当接し密封することが可能である。このため、断熱材160は、底面部材110よりも弾性的な性質が高い柔軟な部材で構成されることが好ましい。また、熱橋キャップ100を凹部320に嵌合させる場合にも、嵌め込む際の底面部材110への木槌等による押圧力に柔軟に対応して、多少の当接面不均一や不整合や異物挟み込み等があっても、断熱材160のワッシャ対向面全体においてワッシャ400と密着することが可能である。
図3は、熱橋キャップ100の構造概要を説明する概念図であって、図3(a)が熱橋キャップ100の斜視図であり、図3(b)が熱橋キャップ100の中央部に断熱材150を配置してさらに断熱効果を向上させた構造を模式的に説明する図であり、図3(c)は図3(b)に説明する熱橋キャップ100のA−A’断面図を説明する図である。
図3(b),(c)に説明する熱橋キャップ100においては、上述した空間500の少なくとも一部または全部を充填する断熱材150が配置されている。すなわち、内壁120(または断熱材160)により形成される円柱形状の中央の凹部の底面部材110側の少なくとも一部を被覆するように、断熱材150が設けられる。これにより、ボルト200の頭部を介した熱伝導をさらに効果的に遮断することが可能となる。
また、図3(b),(c)から理解できるようにさらに好ましくは、内壁120と外壁130との間に凹部の全部を充填し、内壁120よりも高く凸設された断熱材160が配置される。この場合に、断熱材160の底面部材110の底面からの高さは、断熱材150の底面部材110の底面からの高さよりも高くすることができる。
また、内壁120と外壁130との間の凹部内からの熱移動を効果的に遮断する観点から、断熱材160は、内壁120と外壁130との間の凹部内における底面部材110側と外壁130側と内壁側120との全部を被覆することが好ましい。これにより、ボルト200の頭部を介した熱伝導をさらに効果的に遮断することが可能となる。断熱材150,160は、例えばポリエチレンフォーム等の発泡樹脂で形成してもよい。
上述した熱橋キャップ100は、木造建築工法の一つである、いわゆるプレカット工法によるボルト頭に適用することができる。コンピュータ制御による高精度プレカットによって作られた集成材を軸組部分に採用し、予め設けられたボルト孔等に接合金物を使用することによって建築現場で容易組み立てることが可能であり強い構造強度を実現し、大空間や大開口が可能となる。また、熱橋キャップ100は、特に内断熱の建家に有効である。内断熱の建家の場合には、骨材のボルト頭が外気に近い環境に配置されるため、当該ボルトを介した熱の伝導を阻止することによる断熱効果は極めて高い。
また、熱橋キャップ100は、好ましくは白炭パウダー(典型的には備長炭パウダー)を5重量パーセント程度含有することが好ましい。白炭は、1000℃程度以上で焼成された炭であって、遠赤外線効果に優れることが知られている。
また、白炭を含有させた熱橋キャップ100とすることにより、優れた温熱特性が得られることが実証確認できた。すなわち、白炭入りの熱橋キャップ100を装着したボルト200頭部と、白炭入りではない熱橋キャップ100を装着したボルト200頭部と、熱橋キャップ100を装着しないボルト200頭部と、に対し、各々0.5℃の冷風を30分吹き付けた場合の直後のボルト200の頭部表面温度と、対向端に締結されたナット表面の温度とを測定して各々比較した。
その結果、白炭入りの熱橋キャップ100を装着した場合には、熱橋キャップ100を装着しない場合に比べてナットの温度下降を平均して1.5℃抑制できた。さらに、白炭入りの熱橋キャップ100を装着した場合には、白炭入りではない熱橋キャップ100を装着した場合に比べてナットの温度下降を平均して1.0℃抑制できることが確認された。
また、白炭入りの熱橋キャップ100を装着した場合には、熱橋キャップ100を装着しない場合に比べてボルト200頭部の温度下降を平均して0.5℃抑制できた。さらに、白炭入りの熱橋キャップ100を装着した場合には、白炭入りではない熱橋キャップ100を装着した場合に比べてボルト200頭部の温度下降を平均して0.2℃抑制できることが確認された。
また、上述した白炭入りの熱橋キャップ100による断熱効果の確認実験は、断熱材150,160を配置した熱橋キャップで実施したので、断熱材150,160を配置することによる白炭との相乗効果による高い断熱効果を有することが確認できた。
実施形態で説明した熱橋キャップ100は、別途切削・研磨工程を必要とせず高い施工効率を有しながら簡易かつ確実にボルト200を介した熱伝導を抑制することができる。また、実施形態で説明した熱橋キャップ100は、骨材300の外壁側壁面310から突出しないので、壁面310に隣接した状態で各種外壁材等を安定かつ確実に配置することが可能である。
また、実施形態で説明した熱橋キャップ100は、木槌等で底面部材110を叩いて装着嵌合させることができ、凸部140により凹部320と適切な摩擦力を有して保持される。
また、実施形態で説明した熱橋キャップ100は、装着後の時間経過とともに、骨材の収縮に起因して外壁130(または断熱材160)の外周全体が凹部320の内壁から押圧・固定されるので、確実かつ強固に保持されるとともに、その内部に略密閉された空気の外部との対流を遮断して高い断熱効果を奏することができる。
また、実施形態で説明した熱橋キャップ100は、ボルト200の頭部が、断熱材160とワッシャ400と底面部材110とにより空気の流動を阻止する程度に密閉されるので、好ましい断熱効果を奏することができる。
また、実施形態で説明した熱橋キャップ100は、ボルト200の頭部を直接覆う内壁120及び断熱材160と、内壁120から間隔を隔ててボルト200の頭部を間接的に覆う外壁130とを備えるので、ボルト200を介する熱伝導を効果的に遮断することができる。
上述した熱橋キャップ100は、実施形態での説明に限定されるものではなく、本実施形態で説明する技術思想の範囲内かつ自明な範囲内で、適宜その構成や材質及び装着方法等を変更することができる。
また、熱橋キャップ100は、凹部320への挿入をさらに容易とするため、外壁130(または/及び断熱材160)の外周にテーパーを設けてもよい。底面部材110側から断熱材160の端部側にかけて次第に外壁130(または/及び断熱材160)の外周がやや小さくなるようにテーパーを設けることで、嵌合作業がさらに容易となる。
(実証試験の結果について)
図4は、上述した図3(c)に説明した熱橋キャップ100の断熱効果を、他のキャップ等と比較して断熱効果を試験した結果を示す図である。図4に示すように、備長炭入りアクリル樹脂製底面部材にポリエチレンフォームを配置した図3(c)の構造の熱橋キャップ100は、従来の吹き付けウレタンフォームやポリプロピレン製の底面部材を使用した熱橋キャップやABS樹脂製の底面部材を使用した熱橋キャップに比較して、極めて良好な断熱効果を示すことが確認できた。
なお、実証試験で使用したボルトは、「鉄、ニッケルメッキM20×長さ150mm」であり、ナット及びワッシャは、「鉄、ニッケルメッキM20」を用いた。また、骨材として115ミリ□の木材を用いて、当該木材に貫通配置したボルトを介しての室内側と室外側との熱伝導を上述の六つの試験体について比較試験したものである。
図4から理解できるように、室外側の空気温度を低下させた場合(例えば−5℃)においても、室内側のボルト頭部の温度の低下は、備長炭入りアクリル樹脂製底面部材にポリエチレンフォームの断熱材を配置した図3(c)の構造の熱橋キャップ100が最も抑えられており(すなわち、最も温度が高い)、断熱効果が極めて高いことが確認できる。
本発明の熱橋キャップは、プレカット工法をはじめとする各種建築工法等に広く適用できる。
100・・熱橋キャップ、110・・底面部材、120・・内壁、130・・外壁、140・・凸部、150・・断熱材、160・・断熱材、200・・ボルト、300・・骨材、310・・壁面、400・・ワッシャ。

Claims (9)

  1. 軸部が骨材に嵌挿されて前記骨材を連結するボルトの頭部に嵌合する凹部を形成する中空円筒状の断熱材と、
    前記断熱材が凸設される円板状の底面部材と、を備え、
    前記骨材の建屋外側の壁面に凹設された前記ボルトの頭部に、前記凹部が嵌合した場合に、
    前記ボルトの頭部と前記骨材との間に配置されたワッシャに前記断熱材の端部が当接することで前記ボルトの頭部を包含する密閉空間が形成されるとともに、前記骨材の建屋外側の前記壁面から前記底面部材が突出しないような前記断熱材の高さである
    ことを特徴とする熱橋キャップ。
  2. 請求項1に記載の熱橋キャップにおいて、
    前記ボルトの頭部と前記底面部材との間に断熱材を備える
    ことを特徴とする熱橋キャップ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の熱橋キャップにおいて、
    前記底面部材が白炭パウダーを含有する材質で形成される
    ことを特徴とする熱橋キャップ。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の熱橋キャップにおいて、
    前記底面部材がアクリル系樹脂にゴム素材を含有する合成樹脂で形成される
    ことを特徴とする熱橋キャップ。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の熱橋キャップにおいて、
    前記骨材の建屋外側の壁面に凹設された前記ボルトの頭部に前記凹部が嵌合した場合に、抜け落ちを防止する凸部を、前記底面部材の外周の少なくとも一カ所に備える
    ことを特徴とする熱橋キャップ。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の熱橋キャップにおいて、
    前記断熱材はポリエチレンフォームである
    ことを特徴とする熱橋キャップ。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の熱橋キャップにおいて、
    前記底面部材は、前記断熱材の内周壁または外周壁の少なくとも一部を覆うように前記底面部材から凸設された支持壁を備える
    ことを特徴とする熱橋キャップ。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の熱橋キャップを用いた断熱方法であって、
    前記骨材に装着された前記ボルトの頭部に前記断熱材の前記凹部を嵌合させる工程と、
    前記断熱材の端部が前記ワッシャに当接して、前記骨材の建屋外側の前記壁面から前記底面部材が突出しない状態まで前記熱橋キャップを押圧する工程と、を有する
    ことを特徴とする熱橋キャップを用いた断熱方法。
  9. 請求項8に記載の熱橋キャップを用いた断熱方法において
    前記骨材はプレカット工法により組み立てられる
    ことを特徴とする熱橋キャップを用いた断熱方法。
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