JP2014200241A - 細胞培養リアクター - Google Patents

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【課題】本発明は、汚染の防止とともに効率的な体外培養を実現した細胞培養リアクター提供する。
【解決手段】移植等の再生治療を目的とした生体由来の細胞の体外培養に関する作業効率や品質管理の向上に関するものであり、マルチスケール培養液量対応、シングルユースで、マイクロキャリアーが付着しにくく、コンタミネーションの可能性がない薬液容器接続が可能なマイクロキャリアー法動物細胞培養リアクターを可能とするものである。さらには、マイクロキャリアーへの接着細胞状態の、コンタミネーションの可能性がないin situ細胞観察を可能とするマイクロキャリアー法動物細胞培養リアクターである。
【選択図】図4

Description

汚染の防止とともに効率的な体外培養を実現した細胞培養リアクター提供する。本発明は、細胞組織工学や遺伝子治療等の応用であるティッシュ・エンジニアリングに用いられる細胞培養技術に係り、人体の欠損組織の修復等に必要な細胞の、作業効率・品質管理上すぐれたマイクロキャリアー法細胞培養リアクターに関する。
生体細胞を体外で培養して得られた細胞を体内あるいは体表面の欠陥、欠損あるいは不全部位の修復にあてるという再生医療の可能性が種々の基礎的発見により高まり、期待されている。現在の研究では、皮膚、軟骨、骨、血管、肝臓、膵臓等多くの組織にその可能性があることが報告されている。その細胞あるいは組織の起源としては、皮膚、軟骨などの分化した組織あるいはその組織中の細胞、骨髄液中などに存在すると言われている造血幹細胞、間葉系幹細胞あるいは肝臓中にあるといわれている肝幹細胞などの体性幹細胞、さらには受精卵の内部細胞塊に由来し体内のほとんどすべての組織の細胞に分化する能力があるとされている胚性幹細胞(ES細胞)、や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などがある。
いずれの起源の細胞も生体から得られる細胞数には限りがあるため、それを再生医療に用いるためには一般に体外で培養して増殖させる必要がある。また、皮膚、軟骨などの組織に由来する表皮細胞、軟骨細胞などはそれらの分化状態を維持したままで増殖させるだけでよいが、体性幹細胞や胚性幹細胞を用いる場合は、一般に幹細胞を増殖させて細胞数を増やした後に治療部位に応じた細胞へと、例えば間葉系幹細胞を用いて軟骨再生治療を行なう場合には間葉系幹細胞から軟骨細胞へと、分化させる必要がある。また、増殖させて細胞数を増やした幹細胞を生体に移植して、体内で幹細胞からの分化や組織形成を行なわせる方法も提案されている。いずれにしても、生体から分離された細胞を培養により増殖させたり、分化させる必要がある。
また、生体細胞の由来には、患者自身の細胞や組織を用いる場合(自家細胞)と、患者以外のヒト個体由来の細胞や組織を用いる場合(他家細胞)がある。前者の場合、再生治療の際の拒絶反応の可能性が低いと言う利点があるが、患者ごとに材料となる細胞や組織を準備する必要がある。後者の場合、同じひとつの個体由来の細胞や組織を用いて多くの患者の再生治療を行なえる可能性がある。
最近になって、他人に移植しても免疫拒絶反応が起きにくい細胞や組織が報告されている。たとえば、骨髄移植に際してドナーから移植された骨髄細胞が患者細胞を攻撃するGvHD(グラフト・バーサス・ホスト・ディシース)に対して他家の骨髄間葉系幹細胞を移植することで症状が緩和されることが知られ、日本でも日本ケミカルリサーチ社により臨床研究が進んでいる。また、他家の軟骨細胞を患者に移植しても、患者のTリンパ球を活性化しないことも報告されている(再生医療学会要旨(日本再生医療学会雑誌、2012 Vol.11 Suppl,C−6−33,p.251))ように、他家軟骨移植の可能性は高いと考えられている。また、大日本住友社が他家間葉系幹細胞移植による脳梗塞治療薬を開発していると報じられている。このように、他家細胞を用いた移植治療の可能性が高まっている。
前述の様に、再生医療を行うためには、培養により、生体から分離された細胞を必要な数になるまで増殖させる要がある。必要な細胞の数は、自家移植の場合は比較的少ないが、他家移植の場合ではひとつのロットの細胞を大量に調製して多くの患者に移植することを目指すために必要な細胞の数は非常に多くなる。
たとえば、高木らが開発中の、骨髄間葉系幹細胞を用いた軟骨様細胞シートの作成には、移植片ひとつあたり1.8x10cellsの細胞が必要であり、移植片5つが一人の患者に必要で、1,000人の患者に移植するためには、約1x1010cellsの骨髄間葉系幹細胞が必要となる。(前田ら、J.Biosci.Bioeng.,111(4)April,489−492(2011))
このように今後は他家移植の需要が増大する可能性が高いと考えられている再生医療では、大量の細胞を1ロットとして一度に培養して保存する必要が生じる。ところが、移植用の細胞の大半は接着依存性であり、ディッシュなどの平面に細胞を接着させる静置培養法が採用されてきた。一般に、平面への接着細胞密度には上限(コンフルエント密度と呼ばれる)があり、およそ1x10cells/cmである。また、実験に多用される100mmφのディッシュの培養面積は約55cmであるが、長方形の細胞接着面を10段多層させた大型培養器であるセルファクトリー(商品名)では6,300cmである。しかし、大型化されたセルファクトリーを用いても、1基の培養器で培養できる細胞数は最大でも1x10x6,300=6.3x10cellsにすぎない。すなわち、他家移植、たとえば1,000人の患者の軟骨治療用の細胞1x1010cellsを培養により取得するためには、(1x1010)/(6.3x10)≒158台ものセルファクトリーが必要となり、作業効率的にも、また品質管理的にもきわめて困難と考えられる。
ところで、接着依存性の動物細胞を大量に培養する手法として、マイクロキャリアー培養法がある。直径0.1mm程度のビーズを培養液中に攪拌・懸濁し、ビーズ表面に細胞を接着させて培養する方法である。1980年代から主としてワクチン生産やタンパク製剤生産用(血栓溶解剤tPA、βインターフェロンなど)に開発された方法である。(高木ら、J.Ferment.Bioeng.,77(3)March,301−306(1994)など)一例として、デキストランビーズの表面にDEAE基を導入して正荷電させたマイクロキャリアー(商品名Cytodex1)にヒト胎児肺繊維芽細胞を接着させtPAを生産するプロセスでは、Cytodex1密度3g/Lでコンフルエント細胞密度が約1x10cells/mlであり、最大培養スケール800Lで商業運転された。
このマイクロキャリアー培養法を採用すると、上述の1x1010cellsは、(1x1010)/(1x10)=10ml=10Lの培養で取得できる。この10Lというスケールは、上述の商業運転800Lのわずか100分の1程度であり、容易に達成可能である。また、この場合、1基の10L培養器による培養を管理するだけで済み、作業効率的にも品質管理的にも、前述のセルファクトリーに代表される平面静置培養に比べて、はるかに実用性に富み有利であると考えられる。
しかし、このように有利なマイクロキャリアー培養法にも、作業効率・品質管理上の問題がある。
第1の問題は、継代増殖に伴い複数の培養器を使う必要があることである。前述の骨髄間葉系幹細胞を用いた軟骨治療を例に挙げて説明する。骨髄液中の有核細胞数にしめる骨髄間葉系幹細胞の割合は0.01%程度であり、ドナーから得られる10mlの骨髄液から得られる間葉系幹細胞の数は、3x10有核細胞/mlx10mlx0.01%=3x10cellsである。これを増殖させて約1x1010cellsを獲得したいのだが、その増殖倍率は、実に、(1x1010)/(3x10)≒300,000倍にもなる。しかし、マイクロキャリアーCytodex1を3g/Lの仕込み密度で用いる場合、細胞密度は播種密度1x10cells/mlからコンフルエント密度1x10cells/mlまでの約10倍しか増殖しない。播種密度をこれ以上に下げると、多数のマイクロキャリアー(MC)に均一に細胞が接着しないので下げれない。すなわち、細胞を300,000倍増殖させるためには、10倍の増殖を5回程度繰り返す必要がある。より具体的には、▲1▼ディッシュ底面培養で10倍増殖 → ▲2▼3g−Cytodex1/Lかつ10ml培養液スケールで培養し10倍増殖 → ▲3▼3g−Cytodex1/Lで100ml培養し10倍増殖 → ▲4▼3g−Cytodex1/Lで1L培養し10倍増殖 → ▲5▼3g−Cytodex1/Lで10L培養し10倍増殖 と言う具合に、4〜5種類のスケールの培養器を用いて継代培養する必要があり、煩雑である。(図1、図2)
第2の問題点として、リアクターの洗浄・滅菌などの管理の不確実さと煩雑さがある。従来のマイクロキャリアーを用いた培養器はガラスやステンレスでできており、培養後に洗浄・滅菌することで、次の培養に再利用していた。培養後に細胞やマイクロキャリアーを回収・排出後に培養器を洗浄するが、培養器には培地中のタンパク質が残存する。また、回収しきれなかったマイクロキャリアーも付着している。これらのタンパク質やマイクロキャリアーを完全に除去するには多大な労力を要する。また、これらのタンパク質やマイクロキャリアーの残存程度のばらつきが培養成績のばらつきにもつながる可能性が大きい。またリアクターには培養器以外に培養器に薬液を注入したり培養上清を除去したりするための管も付属しており、これらを毎回完全に滅菌するためにも多大な労力を要する。
第3の問題点として、マイクロキャリアーの培養器内部表面への付着がある。細胞表面がマイナスに荷電しているため、多くのマイクロキャリアーの表面は正に荷電されている。そのため、マイクロキャリアーは例えばガラス表面に非常に付着しやすく、ロスとなる。これを防ぐために、マイクロキャリアー培養に用いるガラス培養器の内部表面は、市販のコート液(シグマ社、製品名シグマコートなど)などを用いてシリコンコートする必要があり煩雑である。
第4の問題点として、培養器に接続すべき薬液容器の多さに起因するコンタミネーションの危険性がある。マイクロキャリアー培養法により細胞を継代・増殖するために必要な薬液としては、たとえば、培地、PBS、トリプシン、新鮮マイクロキャリアーなどがある。それらをクリーンベンチ内で操作して培養器に注入することによるコンタミネーションの危険性が無視できない。
第5の問題点として、培養中の細胞状態の観察の困難さがある。培地交換時期や継代時期の判定など細胞培養のプロセス管理には細胞状態の観察が重要である。従来のマイクロキャリアー培養では、培養中にマイクロキャリアーを含む培養液を少量サンプリングし、顕微鏡下で観察していた。しかし、サンプリング操作によるコンタミネーションの可能性があった。
このように、マルチスケール培養液量に対応でき、シングルユースで、マイクロキャリアーが付着しにくく、コンタミネーションの可能性がない薬液容器接続が可能なマイクロキャリアー法動物細胞培養リアクターはない。さらに、マイクロキャリアーへの接着細胞状態の、コンタミネーションの可能性がないin situ細胞観察を可能とするマイクロキャリアー法動物細胞培養リアクターはない。そこで、本発明は、細胞組織工学や遺伝子治療等の応用であるティッシュ・エンジニアリングに用いられる細胞培養技術に係り、人体の欠損組織の修復等に必要な細胞の、作業効率・品質管理上すぐれたマイクロキャリアー法細胞培養リアクターを提供することを課題とする。
本発明は、移植等の再生治療を目的とした生体由来の細胞の体外培養に関する作業効率や品質管理の向上に関するものであり、マルチスケール培養液量対応、シングルユースで、マイクロキャリアーが付着しにくく、コンタミネーションの可能性がない薬液容器接続が可能なマイクロキャリアー法動物細胞培養リアクターを可能とするものである。さらには、マイクロキャリアーへの接着細胞状態の、コンタミネーションの可能性がないin situ細胞観察を可能とするマイクロキャリアー法動物細胞培養リアクターである。
請求項1に係る本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターは、内部に大きさの異なる複数の凹部を有する培養器を用いることにより、継代回数に関わらず1基(1種類)の培養器で培養できることを特徴とするマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターである。
請求項2に係る本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターは、リアクターを使い捨て、すなわちシングルユースとすることにより、リアクターの洗浄・滅菌などの管理の不確実さと煩雑さを回避できることを特徴とするマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターである。
請求項3に係る本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターは、培養器内部表面部分にマイクロキャリアーが付着しにくい材質を用いることを特徴とするマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターである。
請求項4と請求項5に係る本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターは、マイクロキャリアー培養法により細胞を継代・増殖するために必要な薬液(たとえば、培地、PBS、トリプシン、新鮮マイクロキャリアーなど)を、あらかじめ培養器に接続しておくことにより、あるいは薬液容器の薬液排出用管と培養器の薬液注加用管とを薬液使用時にそれらの管同士を無菌的に接合することにより、コンタミネーションの危険性をなくすことを特徴とするマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターである。
請求項6と請求項7に係る本発明のマイクロキャリアー法動物細胞培養リアクターは、培養器に接続してある細胞観察用薄型チャンバーに、培養器中で培養中のマイクロキャリアーの少数を入れて顕微鏡やCCDでマイクロキャリアー上の接着細胞の状態をin situ細胞観察することにより、細胞観察のためのサンプリングによるコンタミネーションの可能性をなくすことを特徴とするマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターである。
請求項8に係る本発明の動物細胞培養リアクターは、培養器に接続してある細胞観察用薄型チャンバーに、培養器中で培養中の培養液の少量を入れて顕微鏡やCCDで培養液中に浮遊している細胞の状態をin situ細胞観察することにより、細胞観察のためのサンプリングによるコンタミネーションの可能性をなくすことを特徴とする攪拌型動物細胞培養リアクターである。
本発明で用いる動物細胞としては、動物から採取してから一般的に50回程度までの限られた回数のみ分裂、増殖できる初代細胞および動物から採取された後一般に50回以上の多数回分裂、増殖できる細胞株の両方とも用いることができる。初代細胞の例として、ラット初代肝細胞、マウス初代骨髄細胞、ブタ初代肝細胞、ヒト初代臍帯血細胞、ヒト骨髄造血細胞、ヒト初代軟骨細胞、ヒト初代神経細胞、ヒト初代間葉系細胞、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)などを挙げることができる。細胞株の例としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞株CHO細胞、ヒト子宮癌細胞株HeLa、アフリカミドリザル腎細胞株Vero細胞、ヒト肝ガン細胞株Huh7細胞などを挙げることができる。また、以上にあげた細胞に対して、プラスミドの導入、ウイルス感染などの手段により遺伝子操作を施して得られた細胞も本発明で用いることができる。
本発明で用いる培養の内容としては、たとえば増殖、維持および分化を挙げることができる。「増殖」および「維持」は、培養中の細胞数の変化に関しており、増殖は経時的に細胞数が増えること、維持とは経時的にほとんど変化しないかあるいは少し減少することを示している。より具体的には、細胞数が2倍になるのに要する時間(平均世代時間)が1時間から150時間の範囲内である場合が増殖である。また、平均世代時間が150時間より長い場合、細胞数が経時的に変化しない場合、細胞数が半分に減少するのに必要な時間(細胞数半減期)が1時間以上である場合の全てが維持に含まれる。増殖あるいは維持にともなって細胞の性質が変化することを「分化」とよび、分化を促進する因子として分化誘導因子とよばれる薬剤を用いることがあるが、分化前の細胞の種類と分化後に得られる細胞の種類に依存し、種々の単独あるいは複数の分化誘導因子の利用が可能である。例として、骨髄造血幹細胞から赤血球細胞に分化させる場合に有効なエリスロポエチン、骨髄間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化を誘導するボーン・モルフォジェニック・プロテイン(BMP)、小型肝細胞から肝実質細胞への分化を促進するヘパトザイト・グロースファクター(HGF)、骨髄間葉系幹細胞から軟骨細胞への分化を促進するティー・ジー・エフベータ3(TGFβ3)などを挙げることができる。分化誘導の結果得られる細胞の種類としては、骨細胞、軟骨細胞、筋細胞、腱細胞、脂肪細胞、毛乳頭細胞、歯髄細胞、血管内皮細胞、皮膚上皮細胞、皮膚繊維芽細胞、神経芽細胞、神経細胞、肝臓実質細胞、肝臓クッパー細胞、肝臓星細胞、膵臓ランゲルハンス島細胞、顆粒球細胞、Tリンパ球細胞、Bリンパ球細胞などを例として挙げることができる。
本発明で用いる内部に大きさの異なる複数の凹部を有する培養器は細胞を接着したマイクロキャリアーを懸濁した培養液を攪拌して培養するための培養器であり、その全体形状の例として、円筒型、半球型、逆円錐型などを挙げることができる。凹部の形状の例として、円筒型、半球型、球状、逆円錐型などを挙げることができる。培養器全体の容積に占める凹部部分の容積の割合は、1/2から1/10,000を例として挙げることができるが、1/8から1/1,000の範囲が好ましい。培養器への薬液注入用の培養器の開口部に伴うくぼみ、これらの凹部には該当しない。
本発明で用いる培養器の材質としては、例として金属、ガラス、プラスチックなどを挙げることができる。好ましくは、マイクロキャリアーが付着しにくい材質が望ましい。
本発明における「プラスチック」としては、例として、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリスルフォン、ポリカーボネートなどを挙げることファできる。これらのプラスチック素材を、混合して用いたり、化学修飾して用いても良い。
本発明で用いる培養器の攪拌方法としては、例として、マグネット駆動の攪拌羽根を挙げることができる。 攪拌軸と攪拌羽根をセットで私用する場合、培養器内の凹部の数に応じてセットの数を増やすことができる。
本発明で用いる培養器の容量としては、1mlから1,000Lまでを例として挙げることができるが、10mlから100Lの範囲が望ましい。
本発明で用いるシングルユースとは、1度の培養の後、廃棄し、再利用しない場合を指す。ただし、継代に伴い培養スケールを増大する過程に含まれる一連の培養は1度の培養とする。
本発明で用いるマイクロキャリアーとしては、種々のものを使用できる。例として、コラーゲンでできたCytodex3TM、デキストランビーズの表面をDEAE修飾したCytodex1TM、セルロース製の多孔性のCytoporeTMなどを挙げることができる。
本発明で用いるマイクロキャリアーの正荷電のための修飾基としては、例として
N,N−ジエチルアミノエチル基(DEAE)やN,N,N−トリメチル−2−ヒドロキシ−アミノプロピル基を挙げることができる。
本発明で用いるリアクターとしては、培養器以外に種々の部品を含むことができる。部品の例としては、薬液容器、薬液容器と培養器を接続する管、培養器に混合ガスを供給する装置、マグネティックスターラーなどを挙げることができる。
本発明で用いる薬液の例としては、培地、PBS、トリプシン、新鮮マイクロキャリアー懸濁液などを挙げることができる。
本発明で用いる薬液の容器の材質としては、金属製、ガラス製、プラスチック製などを例として挙げることができる。
本発明で用いる薬液の容器の形状としては、円筒形、逆円錐型、採血バッグ型などを例として挙げることができる。
本発明で用いる薬液容器付属の薬液排出管および培養器への薬液流入用管の材質としては、例として、ガラス、金属、プラスチック、シリコーンなどを挙げることができる。
本発明で用いる無菌接合方法としては、2本の無菌プラスチック管を加熱・切断・結合する方式、金属管の接合部分を蒸気などで加熱滅菌する方式などを例として挙げることができる。
本発明で用いる細胞観察用薄型チャンバーの材質としては、ガラス、プラスチックなど透明性が高く、光学的に均質なものが望ましい。
本発明で用いる細胞観察用薄型チャンバーの形状としては、直方体など厚さが一定のものが望ましい。
本発明で用いる細胞観察用薄型チャンバーの厚さとしては、例として、0.1mmから20mmの範囲を挙げることができるが、0.5乃至5mmが望ましい。
以下に実施形態例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
図3は、本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの第1の実施形態を示している。培養器外側1は全体的には球形だが、半球型の凹部をもうひとつ有している。それぞれの凹部には攪拌軸2に固定された攪拌翼3とマグネットバー4があるが、攪拌翼3とマグネットバー4の大きさは凹部の大きさに応じている。小さい方の凹部11を用いて培養する際は小さい方の凹部11を下にして置き、大きい方の凹部10を用いて培養する際は大きい方の凹部10を下にして置き、それぞれ外部に設置したマグネティックスターラーにより凹部内の培養液を攪拌する。
図4は、本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの第2の実施形態を示している。すなわち、4種類の培養液量による培養を順番に行う継代培養を、図3の1種類の培養器1個のみを使用して行う。まず最初に、1つの培養器の小さい方の凹部を下にして置き、13の培養液量より少ない培養液量で培養12を行う。細胞がコンフルエントに近くなったら、より多くの新鮮なマイクロキャリアーを用いるとともに、培養12の培養液量より多いが小さい方の凹部におさまる培養液量で培養13を行う。次に、細胞がコンフルエントに近くなったら、大きい方の凹部が下になるように置き、より多くの新鮮なマイクロキャリアーを用いるとともに、大きい方の凹部の容積に対して少なめの培養液量で培養14を行う。最後に、細胞がコンフルエントに近くなったら、より多くの新鮮なマイクロキャリアーを用いるとともに、培養14の培養液量より多いが大きい方の凹部におさまる培養液量で培養15を行う。
図5は、本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの第3の実施形態を示している。図3の培養器の凹部に、内部が立方体の空洞で高さ(厚み)が小さい細胞観察用薄型チャンバー16が取り付けてある。細胞観察用薄型チャンバー16の高さ(厚み)方向は垂直ではなく、少し傾けて取り付けてある。通常の培養中の培養器位置18では、チャンバー内にはほとんど培養液およびマイクロキャリアーは侵入しない。マイクロキャリアーに接着した細胞を観察する時には、細胞観察中の培養器位置19のように培養器を傾ける。この時、少量の培養液および少量のマイクロキャリアーは細胞観察用薄型チャンバー16に侵入するので、侵入したマイクロキャリアーをCCDカメラ17で観察する。
図6は、本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの第4の実施形態を示している。図1の培養器に、内部が立方体の空洞で高さ(厚み)が小さい細胞観察用薄型チャンバー16が取り付けてある。細胞観察用薄型チャンバー16の高さ(厚み)方向は垂直ではなく、少し傾けて取り付けてある。通常の培養中の培養器位置18では、チャンバー内にはほとんど培養液およびマイクロキャリアーは侵入しない。マイクロキャリアーに接着した細胞を観察する時には、細胞観察中の培養器位置19のように培養器を傾ける。この時、少量の培養液および少量のマイクロキャリアーは細胞観察用薄型チャンバー16に侵入するので、侵入したマイクロキャリアーをCCDカメラ17で観察する。
発明の効果
1.本発明によれば、培養液量のスケールアップを伴う複数回の継代培養を、ひとつの培養器で行うことができる。
2.本発明によれば、培養液量のスケールアップを伴う複数回の継代培養における汚染(コンタミネーション)の危険性を大幅に低減化することができる。
3.本発明によれば、培養液量のスケールアップを伴う複数回の継代培養における細胞観察作業を効率化することができる。
従来型のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの1例の構造を示す模式図である。 従来型のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの1例を用いた細胞継代培養のフロー図である。 本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの1例の構造を示す模式図である。 本発明のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの1例を用いた細胞継代培養のフロー図である。 本発明の細胞観察用薄型チャンバーを備えたマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの1例の構造を示す模式図である。 本発明の細胞観察用薄型チャンバーを備えたマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクターの1例の構造を示す模式図である。
1 培養器外側
2 攪拌軸
3 攪拌翼
4 マグネットバー
5 培養液上面の高さの例
6 一番小さい培養器
7 「6」より大きく「8」より小さい培養器
8 「7」より大きく「9」より小さい培養器
9 「8」より大きい培養器
10 1つめの凹部(大きい方)(輪郭が点線で示されている)
11 2つめの凹部(小さい方)(輪郭が太実線で示されている)
12 1つの培養器の小さい方の凹部での「11」より少ない培養液量での培養
13 1つの培養器の小さい方の凹部での「10」より多いが「12」より少ない培養液量での培養
14 1つの培養器の大きい方の凹部での「11」より多いが「13」より少ない培養液量での培養
15 1つの培養器の大きい方の凹部での「12」より多い培養液量での培養
16 細胞観察用薄型チャンバー
17 CCDカメラ
18 通常の培養中の培養器位置
19 細胞観察中の培養器位置

Claims (8)

  1. ひとつの培養器の内部に大きさの異なる複数の凹部を有することを特徴とする、マイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクター
  2. シングルユース型であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクター
  3. 培養器部分が正荷電のマイクロキャリアーが付着しにくい材質からなることを特徴とする請求項1乃至2に記載のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクター
  4. 培養に必要なすべての薬液容器が培養器に予め接続されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクター
  5. 培養に必要な薬液容器付属の薬液排出管と培養器への薬液流入用管とを無菌接合できることを特徴とする請求項1乃至3に記載のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクター
  6. 細胞観察用薄型チャンバーが培養器に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5に記載のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクター
  7. 細胞観察用薄型チャンバーが培養器に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載のマイクロキャリアー攪拌型動物細胞培養リアクター
  8. 細胞観察用薄型チャンバーが培養器に接続されていることを特徴とする攪拌型動物細胞培養リアクター
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