JP2014197475A - 光取り出し部材及びそれを用いた有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機EL素子の製造プロセスに耐え、かつ光取り出し効率を向上できる光取り出し部材及びそれを用いた有機EL素子を提供する。【解決手段】本発明の光取り出し部材は、無機材料層1と光散乱層2とを備え、無機材料層1と光散乱層2とは積層されて接触しており、無機材料層1の厚さは5nm以上30nm以下であり、光散乱層2の屈折率は1.75以上であることを特徴とする。また、本発明の有機EL素子は、上記本発明の光取り出し部材と、前記光取り出し部材の上に設けられた透明電極、有機EL層及び反射電極とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、面発光体に用いられる光取り出し部材に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、一般的には有機EL層の一方の面に透明電極及びその他方の面に反射電極を備えた面発光体であり、バックライトや照明光源としての応用が期待されている。しかし、有機EL素子の光取り出し効率は20〜30%程度であり、光取り出し効率が低いという問題点がある。その理由は、有機EL素子において発光が行われる部位の屈折率が1.7〜2.0程度であり、発光位置からの光が高屈折率層から低屈折率層へ進む場合、例えば、透明電極からガラス基板へ進む場合、あるいはガラス基板から大気へ進む場合、その界面に臨界角を超えて入射する光の全反射が発生するため、外部に出射できない光が存在するためである。
この問題点に対して、ガラス基板と大気との界面上に光の進行方向を乱す光取り出し部材を追加し、光の進行方向を乱す領域を設ける試みが行われている。この場合はガラス基板と大気との界面での全反射の影響が低減され光取り出し効率が向上するが、透明電極とガラス基板との界面の全反射の影響は残るため光取り出し効率向上の効果は不十分である。
このため、更なる光取り出し効率の向上のため、透明電極に接触して光の進行方向を乱す領域を設けることや、透明電極に接触して高屈折率層を設け、高屈折率層の透明電極と対向する面に光の進行方向を乱す領域を設けることが提案されている。この場合はガラス基板と大気との界面での全反射の影響に加え、透明電極とガラス基板との界面での全反射の影響が低減され光取り出し効率の向上が期待される。
例えば、特許文献1には、基板と、基板上に設けられた透明電極、有機EL層、及び反射電極とを含み、基板は、第1表面及び第2表面を有する支持体と、支持体の第1表面及び透明電極に接触する高屈折率層とを有し、支持体の第1表面は凹凸を有し、高屈折率層の透明電極と接触する面は平坦であり、上記高屈折率層は、上記支持体の屈折率より大きく、有機EL層の80〜120%の屈折率を有する有機EL素子が提案されている。
ところで、有機EL素子は、一般的に以下のような工程を経て製造される。先ず、ガラス基板上に、インジウム/錫酸化物(ITO)、インジウム/亜鉛酸化物(IZO)等からなる透明導電性膜を形成する。次に、透明導電性膜のパターンニングを行い、透明電極を形成する。場合により、更に金属膜からなる補助電極を形成する。その後、透明電極上に有機EL層を形成し、その有機EL層上に反射電極を形成する。最後に、封止処理を行って、有機EL素子を得る。
そして、有機EL素子の光取り出し効率の向上のため、透明電極に接触して光の進行方向を乱す領域を設ける場合や、透明電極に接触して高屈折率層を設け、高屈折率層の透明電極と対向する面に光の進行方向を乱す領域を設ける場合は、先ず、光の進行方向を乱す領域や、高屈折率層をガラス基板上に形成し、その後に光の進行方向を乱す領域や、高屈折率層の上に上記透明導電性膜が形成され、透明導電性膜のパターンニングが行われることになる。
ここで、透明導電性膜のパターンニングは、フォトリソグラフィー工程等の、いわゆる半導体製造プロセスが利用される。この場合、パターンニング時に、光の進行方向を乱す領域、あるいは高屈折率層が透明導電性膜のエッチャントやフォトレジスト剥離液に触れることになる。更に、補助電極を形成する場合は、金属エッチャント(例えば、Alからなる補助電極の場合はAlエッチャント)が光の進行方向を乱す領域、あるいは高屈折率層に触れることになる。加えて、有機EL層を塗布法による印刷プロセスで形成する場合は、有機EL層の構成材料を溶解している有機溶剤が光の進行方向を乱す領域、あるいは高屈折率層に触れることになる。この際、光の進行方向を乱す領域、あるいは高屈折率層が、各種エッチャントやレジスト剥離液、有機溶媒に弱い場合、例えば、エッチャントや溶剤に触れたときに剥離が発生してしまう、溶解してしまうなど、何らかの現象が発生する場合、有機EL素子の作製工程時に、透明導電性膜を除去した部分から、光の進行方向を乱す領域や高屈折率層が侵され、剥離や消失等が発生し、有機EL素子の作製が困難になるという問題点があった。
この問題に関し、例えば特許文献2では、陰極、エレクトロルミネッセンス層、透明電極層、低屈折率層及び透光体がこの順に配置されてなるエレクトロルミネッセンス素子において、低屈折率層と透明電極層との間に、低屈折率層内の物質が透明電極層側へ拡散することを防止するバリア層が設けられているエレクトロルミネッセンス素子が開示されている。
また、特許文献3では、基材及びその表面に配置された複合薄膜を有して成る複合薄膜保持基板の複合薄膜の上に、10〜100nmの厚みの平滑化下地層を介して、紫外線又は電子線によって励起されて発光する有機もしくは無機の蛍光体の薄膜を有して成る面発光体が開示されている。
特開2008−66027号公報 特許第4186688号公報 特許第3899011号公報
特許文献2や特許文献3において、透明電極に接触したバリア層や平滑化層に、各種エッチャントや有機溶剤に強い材料、即ちエッチャントや溶剤に触れた場合に変化を起こさない材質を利用すれば、上記の問題は解決するが、光取り出し効率の面から考慮すると、新たな層と、透明電極と対向する面に接触する材質との屈折率の関係の最適化が行われておらず、光取り出し効率の向上が不十分であるという問題点が存在する。
本発明は上記のような課題に鑑みてなされたものであり、有機EL素子の製造プロセスに耐え、かつ光取り出し効率を向上できる光取り出し部材及びそれを用いた有機EL素子を提供するものである。
本発明の光取り出し部材は、無機材料層と光散乱層とを含む光取り出し部材であって、前記無機材料層と前記光散乱層とは、積層されて接触しており、前記無機材料層の厚さが、5nm以上30nm以下であり、前記光散乱層の屈折率が、1.75以上であることを特徴とする。
本発明の有機EL素子は、光取り出し部材と、前記光取り出し部材の上に設けられた透明電極、有機EL層及び反射電極とを含む有機EL素子であって、前記光取り出し部材として、上記本発明の光取り出し部材を用い、前記光取り出し部材の前記無機材料層と前記透明電極とが接触していることを特徴とする。
本発明によれば、光取り出し部材の耐有機EL素子製造プロセス性を向上でき、かつ有機EL素子の光取り出し効率を向上させることが可能になる。
本発明の光取り出し部材の一例を示す概略断面図である。 本発明の光取り出し部材を用いた有機EL素子の一例を示す概略断面図である。 エバネッセント波を説明する図である。 無機材料層から光散乱層へ進む光のエネルギー量のシミュレーションモデルを示す図である。 光波長が400nmの場合のシミュレーション結果を示す図である。 光波長が550nmの場合のシミュレーション結果を示す図である。 光波長が700nmの場合のシミュレーション結果を示す図である。 波長400nmの場合の光散乱層へ透過する光量と、波長700nmの場合の光散乱層へ透過する光量との比を示す図である。 本発明の光取り出し部材の他の例を示す概略断面図である。
本発明の光取り出し部材は、無機材料層と光散乱層とを備え、上記無機材料層と上記光散乱層とは積層されて接触しており、上記無機材料層の厚さは5nm以上30nm以下であり、上記光散乱層の屈折率は1.75以上であることを特徴とする。
厚さが5nm以上30nm以下の無機材料層を設けることにより、光取り出し部材の耐有機EL素子製造プロセス性が向上する。また、屈折率が1.75以上の光散乱層を設けることにより、光取り出し効率が向上する。
また、本発明の有機EL素子は、光取り出し部材と、上記光取り出し部材の上に設けられた透明電極、有機EL層及び反射電極とを備え、上記光取り出し部材として、上記本発明の光取り出し部材を用い、上記光取り出し部材の上記無機材料層と上記透明電極とが接触していることを特徴とする。
本発明の光取り出し部材を用いることにより、上記光取り出し部材の耐有機EL素子製造プロセス性が向上すると共に、有機EL素子の光取り出し効率が向上する。
以下、本発明の実施形態について図面等を用いて説明する。
(実施形態1)
先ず、本発明の実施形態1について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る光取り出し部材の概略断面図である。図1に示されるように、本発明の実施形態1に係る光取り出し部材1000は、無機材料層1と、光散乱層2と、ガラス基板3とを備えている。光取り出し部材1000は、有機EL素子(図示せず。)の透明電極と接触する面100を有し、透明電極と接触する面100は無機材料層1から構成される。ガラス基板3は、光散乱層2及び無機材料層1や、将来その上に形成される透明電極、有機EL層、反射電極等を保持する基板である。但し、無機材料層1の上に将来透明電極となる透明導電性膜を予め形成しておいてもよい。
光散乱層2は、光取り出し効率の向上のため設けられた層であり、光の進行方向を乱す機能を有する層である。また、光散乱層2は無機材料層1と接触し積層されて設けられる。上記光の進行方向を乱す機能が光取り出し効率の向上に寄与する。上記光の進行方向を乱す機能は、光散乱層2の例えば無機材料層1と接触する面、無機材料層1と接触する面と対向する面、あるいは光散乱層2全体、又は光散乱層2の一部に設けられる。また、光散乱層2は一層で形成される場合もあり、複数の層から形成される場合もある。実施形態1における光散乱層2では、光散乱層2のガラス基板3と接触する面に凹凸101が形成されており、凹凸101が光の進行方向を乱す機能を発揮する。本発明では、光散乱層2が存在しない場合、例えば実施形態1においては凹凸101が形成されていないガラス基板3上に無機材質層1が存在する場合に比べて、光散乱層2により有機EL層内から発光された光の進行方向が変化する場合に、光の進行方向が乱されたとする。
光散乱層2のガラス基板3と接触する面の凹凸101は、ピラミッド形状、レンズ形状、矩形溝形状、台形溝形状、円錐形状等であってもよく、またそれらの混合形状でもよい。また、上記のような定型的な形状でなくてもよく、何らかの凹凸形状が存在すればよい。
また、光散乱層2のガラス基板3と接触する面の凹凸101は、例えば、公知であるサンドブラスト加工法、ウェットエッチング法、注型法等で、先にガラス基板の表面を凹凸形状に形成した後、その上に光散乱層2を形成することにより作製が可能であるが、光散乱層2のガラス基板3と接触する面の凹凸101の作製方法は上記の方法に限定されない。
ガラス基板3には、有機EL層から発光される光に対して透明なものであり、光散乱層2と異なる屈折率を有するものであれば特に制限されることなく利用でき、例えば硼珪酸ガラス、ソーダライムガラス、石英基板等が利用できる。また、光散乱層2、無機材料層1、将来その上に形成される透明電極、有機EL層、反射電極等を保持でき、透光性のものであれば、ガラス基板である必要はなく、例えばプラスチック基板、プラスチックフィルム等であってもよい。無機材料層1及び光散乱層2の詳細については後述する。
上記実施形態では、光散乱層2の光の進行方向を乱す機能は、光散乱層2のガラス基板3と接触する面の凹凸101であるが、光散乱層2の光の進行方向を乱す機能は前述のようにこれ以外の形態であってもよい。例えば、平坦なガラス基板の上に、微粒子とその微粒子を分散状態で保持するバインダとから形成される光散乱層を設け、その光散乱層全体が光の進行方向を乱す機能を発揮できるようにしてもよいし、平坦なガラス基板の上にマイクロレンズアレイシートやピラミッドアレイシート等を貼り付け、それらのシート上に平坦化層を設けて、上記シートと上記平坦化層とからなる光散乱層を形成してもよい。これらの場合は、ガラス基板の上に凹凸を設ける必要はなく、両面が平坦なガラス基板を利用できる。
図2は、光取り出し部材1000を利用して作製した有機EL素子の一例を示す概略断面図である。図2において、図1に示した部分と同一部分に相当する部分には同一の符号を付けて、それらの説明は省略する。図2に示されるように、光取り出し部材1000を利用して作製した有機EL素子は、光取り出し部材1000に接触して形成された透明導電性膜からなる透明電極4と、有機EL層5と、反射電極6とを備えている。透明電極4を構成する透明導電性膜は、例えばインジウム/錫酸化物(ITO)、インジウム/亜鉛酸化物(IZO)等からなる。ITOの屈折率は、成膜方法や結晶構造等により変化するが、通常1.8〜2.2であり、IZOの屈折率は、成膜方法や結晶構造等により変化するが、通常1.9〜2.4である。有機EL層5は、少なくとも有機発光層を含み、必要に応じ正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層の全て、あるいはそれらのいずれかを含んでいる。有機EL層5の屈折率は、一般的には1.7〜2.0である。反射電極6は、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)等から構成される。
ここで、有機EL層内から発光された光の振る舞いについて説明する。先ずは、透明電極4と無機材料層1との界面での光反射、及び無機材料層1と光散乱層2との界面での光反射を無視して考える。
有機EL層5内から発光された光は、透明電極4、無機材料層1を経て、光散乱層2に進み、凹凸101に到達する。凹凸101に到達した光は、その進行方向が乱される。そして、凹凸101で、進行方向が乱された光の一部はガラス基板3に進み、ガラス基板3と大気との臨界角を超えない角度でガラス基板3と大気との界面に入射される光は、ガラス基板3から大気に出射される。
一方、ガラス基板3と大気との界面で全反射した光や、凹凸101でガラス基板3の方向ではなく、透明電極4の方向へ進行方向が乱された光は、再び有機EL層5に戻り、反射電極6により反射され再び凹凸101に到達し、光の進行方向が再び乱され、その一部がガラス基板3から大気に出射される。また、再び有機EL層5に戻された光は、ガラス基板3から大気に出射されるまで、反射電極6による反射と光の進行方法の変化が繰り返される。
実際は、反射電極6による反射損失や、透明電極4や有機EL層5に存在する光吸収により、有機EL層5から発光された光の全てがガラス基板3から大気に出射されるわけではないが、光の進行方向を乱す機能を有する光散乱層2を導入することにより、一回以上凹凸101やガラス基板3から反射電極5に戻され反射し再び凹凸101で進行方向が乱されガラス基板3から大気に出射した光のエネルギーだけ、光散乱層2が存在しない場合よりもガラス基板3から大気に出射されるエネルギーが増加する。即ち、有機EL素子の光取り出し効率が向上する。
無機材料層1は、光取り出し部材1000の耐有機EL素子製造プロセス性を向上させるために設けられた層である。上述のように透明電極4や補助電極(図示せず。)を作製するための各種エッチャントや、有機EL層を作製する場合に利用する有機溶剤が、光散乱層2に触れないようにする層である。ここで、各種エッチャントとしては、例えば、硝酸・塩酸系、シュウ酸(H224)系、第二塩化鉄(FeCl3)系等の混合溶液系のITOエッチャント、硝酸、酢酸、リン酸、水等の混合溶液系のAlエッチャント、N(CH34OH等のフォトレジスト剥離液等が該当する。
また、透明導電性膜の成膜前に、無機材料層1の透明電極と接触する面100の上を有機溶剤により洗浄する場合が多く、よって無機材料層1は耐有機溶剤性の高い無機材料から構成されている。また、無機材料層1に利用される無機材料としては、耐各種エッチャント性を持ち、有機EL層5から発光される光に対して透明なものである必要がある。無機材料層1に利用される無機材料としては、例えば、シリカ、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が挙げられる。
無機材料層1は、例えば、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法や、塗膜として形成するコーティング法によって作製することができる。ここで、光散乱層2は、有機材料で構成される場合もあり、その場合は、耐熱性が低いため、250℃以下の低温条件で作製されることが望ましい。低温条件での作製で、耐エッチャント性が得られ、屈折率の制御の容易さ、屈折率の均一性の高さ、保存時の耐環境性の面から、無機材料層1に利用される無機材料としては、シリカ、窒化シリコン、酸窒化シリコンが特に好ましい。
ここで、無機材料層1の厚さは、十分な耐エッチャント性を保つために、5nm以上に設定する必要がある。5nm未満であれば、求める耐エッチャント性が得られなくなり、場合により若干の溶解のために無機材料層1が消失する場合がある。また、無機材料層1の厚さは、30nm以下に設定する必要がある。無機材料層1の厚さが30nmを超えると光散乱層2による光取り出し効率の向上への効果が十分に得られなくなる。
光散乱層2の屈折率は、1.75以上に設定されている。光散乱層2の屈折率が1.75未満となると光散乱層2による光取り出し効率の向上への効果が十分に得られなくなる。また、光散乱層が前述のように多層構造の場合には、光散乱層の無機材料層と接触する部分層の屈折率を1.75以上に設定すればよい。
以下、透明電極4と無機材料層1との界面、及び無機材料層1と光散乱層2との界面での光の振る舞いについて説明する。
無機材料層1にシリカを用いた場合、その屈折率は1.45である。また、酸窒化シリコン(SiOxy)を用いた場合、その屈折率は酸素と窒素の含有割合や製膜条件で変化するが、一般的に1.5〜2.0である。特に、低温で成膜を行った場合は屈折率が低くなる傾向があり、1.5〜1.75程度である。窒化シリコンを利用した場合、屈折率は成膜条件により1.75〜2.2程度であるが、低温で成膜を行った場合は屈折率が低くなる傾向がある。これに対して、透明電極4にITOを用いた場合、その屈折率は前述のように1.8〜2.2である。よって、無機材料層1の屈折率n1が、透明電極4の屈折率n4よりも低くなる場合があり、その場合、臨界角θcを超えて無機材料層1と透明電極4との界面に入射する光は全反射を起こす。
ここで、上記臨界角θcは以下の式で示される。
sinθc=n1/n4 (但し、n1<n4)
例えば、n1=1.45、n4=2.0の場合はθc=46.5°であり、n1=1.65、n4=2.0の場合は、θc=55.6°である。
光が高屈折率材料nhと低屈折率材料nlとの界面に、高屈折率材料側から臨界角θcを超えた角度で入射された場合、全反射が発生するが、全反射する場合の光の振る舞いについて説明する。
全反射を起こしている境界面では、反射率が1にも関わらず、そのエネルギーの流れはいくらか低屈折率材料側に入り、その後高屈折率材料側に戻ってくるという現象が知られている(例えば、文献「光学薄膜フィルターデザイン」小桧山光信著、オプトロニクス社)。即ち、図3に示すように、低屈折率材料側にはみ出た光は境界面に沿って移動し、境界面に対して垂直方向には指数関数的に減衰する。このはみ出でた光はエバネッセント波と呼ばれている。従って、無機材料層1の厚さをエバネッセント波のはみ出し幅程度にすれば、界面に臨界角を超えて入射した光においても、無機材料層1の入射する面と対向する面に接触している層、本実施形態においては光散乱層2に進むことになる。
ここで、光散乱層2に進む光のエネルギー量は、光波長、透明電極4の屈折率、無機材料層1の厚さ、無機材料層1の屈折率、光散乱層2の屈折率、透明電極4から界面への光の入射角度に依存する。例えば、有機EL層5の屈折率が1.75、透明電極4の屈折率が2.0の場合、有機EL層5内から発光された光は、スネルの法則に則って、透明電極4内では、有機EL層5と透明電極4との界面の垂線に対して、61°以下の角度に含まれることになる。よって、透明電極4内で透明電極4と無機材料層1との界面への入射角度が60°の光が無機材料層1を通り光散乱層2へ進む光のエネルギー量のシミュレーションを実施した。シミュレーションはマトリクス法を用いた。シミュレーションモデルを図4に示す。図4において、透明電極4の屈折率n4を2.0として、無機材料層1の屈折率n1を1.45及び1.65とし、光散乱層2の屈折率n2を2.0、1.75及び1.65とした。この場合、無機材料層1と透明電極4との界面に透明電極4から入射する光の臨界角θcは、前述のとおり60°未満である。
図5は、真空中の光波長が400nmで、屈折率n4が2.0の透明電極4内の透明電極4と無機材料層1との界面への光の入射角度が60°の場合に、光散乱層2へ透過する光の、無機材料層1の厚さd、無機材料層1の屈折率n1、光散乱層2の屈折率n2に対する依存性のシミュレーション結果である。
図6は、真空中の光波長が550nm、屈折率n4が2.0の透明電極4内の透明電極4と無機材料層1との界面への光の入射角度が60°の場合に、光散乱層2へ透過する光の、無機材料層1の厚さd、無機材料層1の屈折率n1、光散乱層2の屈折率n2に対する依存性のシミュレーション結果である。
図7は、真空中の光波長が700nm、屈折率n4が2.0の透明電極4内の透明電極4と無機材料層1との界面への光の入射角度が60°の場合に、光散乱層2へ透過する光の、無機材料層1の厚さd、無機材料層1の屈折率n1、光散乱層2の屈折率n2に対する依存性のシミュレーション結果である。
図5〜7において、光散乱層2への相対透過光量とは、無機材料層1に入射される光量を1とした時の相対値である。例えば、相対透過光量の値が0.7の場合、透明電極4から無機材料層1へ入射される光の70%が光散乱層2へ透過し、30%が透明電極4と無機材料層1との界面で有機EL層5の方向へ反射されることになる。
図5〜7より、無機材料層1の厚さdが厚くなる、無機材料層1の屈折率n1が低くなる、光散乱層2の屈折率n2が低くなる、透過する光の波長が短くなることにより、光散乱層2への透過光量が減少することが分かる。
図5〜7より、無機材料層1に屈折率が低いシリカを利用した場合であっても、無機材料層1の厚さdが30nm以下であり、光散乱層2の屈折率n2が1.75以上であれば、無機材料層1と透明電極4との界面に透明電極4から臨界角を超えて60°で入射する光でも、可視光線領域においてはエバネッセント光を利用することにより光散乱層2へほぼ50%以上の光が透過し、光散乱層2での効率のよい光取り出し効率向上の効果を期待できる。
また、図8は、真空中の波長400nmの場合の光散乱層2へ透過する光量と、真空中の波長700nmの場合の光散乱層2へ透過する光量の比を示す図である。図8より、無機材料層1の厚さdが30nm以下であり、光散乱層2の屈折率n2が1.75以上であれば、真空中の波長400nmの場合の光散乱層2へ透過する光量と真空中の波長700nmの場合の光散乱層2へ透過する光量の比が80%以上であり、無機材料層1を導入したことによる有機EL素子からの発光色の変化を抑えることができる。
以上により無機材料層1の厚さは30nm以下であり、無機材料層1の透明電極4と接触する面100と対向する面に接触する光散乱層2の屈折率が1.75以上であることが必要である。
光散乱層2の厚さは、光散乱層2の構成条件に応じて設定されるが、上記実施形態の場合は1μm以上150μm以下が好ましい。光の進行方向を乱す機能を有する凹凸101が大きい場合、光散乱層2の直上あるいは無機材料層1を介して、透性電極4を形成し、更に有機EL層5、反射電極6を形成する場合、透明電極4の厚さ及び有機EL層5の厚さの合計が一般的にはほぼ200nm程度と非常に薄いため、例えば凹凸101等が有機EL素子の欠陥になりうる。即ち、凹凸101等のために透明電極4と反射電極6とが接触し、発光効率の低下やダークスポットの発生等を引き起こす場合がある。このため、光の進行方向を乱す機能を有する領域の表面粗さが大きい場合は、表面の突起や穴を埋め、更に透明電極4や、無機材料層1が形成される面の表面粗さが改善されるように、光散乱層2に平坦化層の機能を付与するために、光散乱層2の厚さは上記範囲であることが好ましい。
また、上記の説明の通り、光散乱層2の屈折率が1.75以上であれば、光散乱層2の厚さを上記範囲としても、十分な光量の光を光の進行方向を乱す機能を有する凹凸101に導入することが可能である。
光散乱層2は、例えば、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法や、塗膜として形成するコーティング法によって作製することができる。また、光散乱層2を構成する材料は、光散乱層2の屈折率が1.75以上となる透明材料であれば特に限定されず、例えば、バインダと屈折率を調整するための無機フィラーとからなる複合材料を用いることができる。上記バインダには、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂等が利用できる。上記無機フィラーの平均粒子径は50nm以下が好ましく、バインダのみの屈折率とは異なる屈折率を有するものが好ましい。
上記バインダに、透過する光の半波長以下の平均粒子径を有する微粒子が分散されている複合材料においては、透過する光は、バインダ内の微粒子が電気双極子であるかのように振舞う。即ち、バインダ内での光の速度が、バインダのみの場合とは異なる。言い換えると、複合材料全体の屈折率が、バインダのみの場合から変化する。この現象を利用して、バインダと微粒子(無機フィラー)との構成割合を調整することにより、複合材料全体の屈折率を調整することができる。ここで、複合材料全体の屈折率は、複合材料を例えばエリプソメトリー、光透過法、光反射法、光干渉法等により測定を行った屈折率である。
また、上記の現象は、同時にレイリー散乱と呼ばれる光散乱を引き起こすことが知られているが、無機フィラー(微粒子)の平均粒子径が50nm以下であれば、可視光領域においては光散乱の影響を抑えることが可能である。また、無機フィラー(微粒子)の平均粒子径が50nm以下であれば、光の進行方向を乱す機能を有する凹凸101を埋めた場合、その対向する面(無機材料層1が接触する面)の表面粗さを良好にすることが可能である。
上記無機フィラーの材質としては、複合材料全体の屈折率をバインダの屈折率よりも低くしたい場合は、バインダの屈折率よりも屈折率が低い微粒子、例えば、中空シリカ等を用いる。また、複合材料全体の屈折率をバインダの屈折率よりも高くしたい場合は、バインダの屈折率よりも屈折率が高い微粒子、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等を用いる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。図9は、本発明の実施形態2に係る光取り出し部材の概略断面図である。図9に示されるように、本発明の実施形態2に係る光取り出し部材2000は、無機材料層21と、光散乱層22と、ガラス基板23とを備えている。また、光取り出し部材2000は、有機EL素子(図示せず。)の透明電極と接触する面200を有している。
本実施形態に係る光散乱層22は、微粒子とその微粒子を分散状態で保持するバインダとからなる光散乱を発生させる複合材料から構成されており、光散乱層22の全体が光の進行方向を乱す機能を有する。ガラス基板23は、光散乱層22と接触する面、及び、光散乱層22と対向する大気と接触する面において、共に平坦に形成されている。本実施形態は、光散乱層22のガラス基板23と接触する面に凹凸を設けず、平坦面にしたことが実施形態1と異なる。また、実施形態1と同様に無機材料層21の上に将来透明電極となる透明導電性膜を予め形成しておいてもよい。
本実施形態の場合も、光取り出し効率の向上に対しては、エバネッセント波が利用される。即ち、無機材料層21の透明電極と接触する面200において、透明電極から無機材料層21に向かって臨界角を超えて入射する光の全反射のエネルギーの流れの過程で透明電極(透明導電性膜)からエバネッセント波としてはみ出し、更に透明電極と接触する面200と対向する面に設けた光散乱層22まで到達した光が、光散乱層22内の光を散乱させる微粒子により光の進行方向が乱される。これにより実施形態1と同様に全反射のために損失していた光を取り出せることになり、光取り出し効率が向上する。
本実施形態においても、十分な耐有機EL製造プロセス性を得るために、無機材料層21の厚さは5nm以上に設定される。また、光散乱層22の厚さは、光散乱層22の構成条件に応じて設定されるが、本実施形態の場合は1μm以上50μm以下が好ましい。
光散乱層22内で進行方向を乱される光の入射光に対する割合は、前述の図5〜7において、「光散乱層2への相対透過光量」を「光散乱層22への相対透過光量」へ、「光散乱層2の屈折率n2」を「光散乱層22の屈折率n22」へ、「無機材料層1の屈折率n1」を「無機材料層21の屈折率n21」へ読み替えた場合、その光散乱層22への相対透過光量に比例する。よって、十分な光取り出し効率を得るためには、無機材料層21の厚さを30nm以下とし、無機材料層21の透明電極と接触する面200と対向する面に接触する光散乱層22の屈折率を1.75以上とする必要がある。
光散乱層22を構成する材料は、例えば、バインダと無機フィラーとからなる複合材料を用いることができる。上記バインダには、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂等が利用できる。上記無機フィラーは、光散乱を起こすことを考慮して、バインダのみの屈折率とは異なる屈折率を有するものであることが好ましい。また、上記無機フィラーの平均粒子径は100〜300nmであることが好ましい。また、上記複合材料として、例えば特開2005−190931号公報で開示されているように、平均粒子径が50nm以下の微粒子と、平均粒子径が500nmを超える微粒子という少なくとも2種類の微粒子をバインダに分散させたものでもよい。
上記バインダに、透過する光の半波長以下の平均粒子径を有する微粒子が分散されている複合材料においては、透過するする光は、バインダ内の微粒子が電気双極子であるかのように振舞う。即ち、バインダ内での光の速度が、バインダのみの場合とは異なる。言い換えると、複合材料全体の屈折率が、バインダのみの場合から変化する。この現象を利用して、バインダと微粒子(無機フィラー)との構成割合を調整することにより、複合材料全体の屈折率を調整することができる。
また、上記の現象は、同時にレイリー散乱と呼ばれる光散乱を引き起こすことが知られているが、無機フィラー(微粒子)の平均粒子径が100nm以上300nm以下であれば、複合材料の屈折率を調整しつつ、可視光領域においてはレイリー散乱に則った光散乱を発生させることが可能であり、光の進行方向を乱すことが可能になる。
また、平均粒子径が50nm以下の微粒子と、平均粒子径が500nmを超える微粒子という少なくとも2種類の微粒子を利用する場合、平均粒子径が50nm以下の微粒子で複合材料全体の屈折率の制御を行い、平均粒子径が500nmを超える微粒子で光散乱の制御を行うことができる。
上記バインダに、バインダ内を透過する光の波長以上の平均粒子径を有する微粒子が分散されている複合材料においては、透過するする光は、バインダ内の微粒子により幾何光学的な振舞いを起こす。そのため、複合材料全体の屈折率に影響せず、いわゆるミー散乱に則った光散乱を発生させることが可能であり、光の進行方向を乱すことが可能である。
複合材料全体の屈折率をバインダの屈折率よりも低くしたい場合は、バインダの屈折率よりも屈折率が低い微粒子、例えば中空シリカ等の微粒子を用いる。また、複合材料全体の屈折率をバインダの屈折率よりも高くしたい場合は、バインダの屈折率よりも屈折率が高い微粒子、例えば酸化チタン、酸化ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の微粒子を用いる。
(実施例1)
本発明の実施形態1に係る有機EL素子を下記のように作製した。
先ず、アルカリ洗浄を実施した100mm×100mmの大きさで厚さ1.0mmの液晶用ガラス(コーニング社製「Eagle 2000」)の片面にサンドブラスト処理を施し、凹凸面を形成した。この凹凸面の算術平均粗さは1μmであった。
次に、形成した凹凸面上に平均粒子径が50nmの酸化チタンを分散させたエポキシ樹脂からなる塗布液を塗布して乾燥し、厚さが50μmの光散乱層を形成した。また、光散乱層の作製に利用した塗布液を、別途凹凸面がない平坦なガラスに塗布して乾燥し、厚さ1μm程度の塗膜を形成し、大塚電子社製の反射分光膜厚計「FE3000」を用いて上記塗膜の屈折率の測定を行ったところ、上記塗膜の屈折率は1.80であり、この結果から本実施例の光散乱層の屈折率を1.80とした。
次に、上記光散乱層の上に真空蒸着によりシリカよりなる厚さ20nmの無機材料層を形成し、板状の光取り出し部材を作製した。上記シリカの屈折率は1.45であった。
次に、200℃の条件でのスパッタリング法により透明導電性膜である厚さ100nmのITO膜を上記無機材料層の上に形成し、ITO膜付き光取り出し部材を作製した。
次に、フォトリソグラフィー工程を利用して、上記ITO膜のパターンニングを行って透明電極を形成し、更にAlの蒸着パターンニングによる補助配線の形成を行った。ITOエッチャントとしては、関東化学社製の「ITO−07N」を用い、Alエッチャントとしては、ナガセケムテックス社製の「Alエッチャント5」を用い、レジスト剥離液としては、東京応化工業社製の「NMD−3」を用いた。その後、透明電極の上を純水で洗浄し、イソプロピルアルコールを用いてアルコールベーパ乾燥を行った。
次に、上記透明電極上に有機EL層を真空蒸着にて形成した。この有機EL層としては、4、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルを用いた正孔注入層と、トリス(8−ヒドロキノリン)アルミニウムからなる電子注入性発光層とを備える2層構造とした。この有機EL層の屈折率は1.76であった。
続いて、Alからなる反射電極を真空蒸着により形成し、最後に、封止処理を行い、有機EL素子を作製した。上記作製工程では各種エッチャント、レジスト剥離液、有機溶剤等を使用したが、光散乱層にダメージを与えることなく有機EL素子を作製することができた。
(実施例2)
100mm×100mmの大きさで厚さ0.7mmの液晶用ガラス(コーニング社製「Eagle 2000」)のアルカリ洗浄を実施し、その上に平均粒子径200nmの酸化チタンを分散したシリコン樹脂を塗布して乾燥し、厚さ5μmの光散乱膜を形成した。実施例1と同様にして測定したこの光散乱膜の屈折率は1.75であった。
次に、平均粒子径50nmの酸化チタンを分散させたエポキシ樹脂からなる塗布液を上記光散乱膜の上に塗布して乾燥し、厚さが10μmの平坦化膜を形成し、上記光散乱膜と上記平坦化膜とからなる光散乱層を形成した。実施例1と同様にして測定した上記平坦化膜の屈折率は1.80であった。
次に、ターゲットを窒化シリコンとし、製膜ガスとして酸素とアルゴンとを用いたスパッタリング法において、厚さ30nmの酸窒化シリコン膜を上記光散乱層の上に形成し、光散乱層と、無機材料層とを有する板状の光取り出し部材を作製した。上記酸窒化シリコンの屈折率は1.65であった。
次に、200℃の条件でのスパッタリング法により透明導電性膜である厚さ100nmのITO膜を上記無機材料層の上に形成し、ITO膜付き光取り出し部材を作製した。
次に、上記ITO膜付き光取り出し部材を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。上記作製工程では各種エッチャント、レジスト剥離液、有機溶剤等を使用したが、光散乱層にダメージを与えることなく有機EL素子を作製することができた。
(実施例3)
本発明の実施形態2に係る有機EL素子を下記のように作製した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、平均粒子径200nmの酸化チタンを分散したシリコン樹脂を塗布して乾燥し、厚さ10μmの光散乱層を作製した。実施例1と同様にして測定したこの光散乱層の屈折率は1.75であった。
次に、プラズマCVD法により窒化シリコンからなる厚さ30nmの無機材料層を上記光散乱層の上に形成し、光散乱層と、無機材料層とを有する光取り出し部材を作製した。上記窒化シリコンの屈折率は1.8であった。
次に、200℃の条件でのスパッタリング法により透明導電性膜である厚さ100nmのITO膜を上記無機材料層の上に形成し、ITO膜付き光取り出し部材を作製した。
次に、上記ITO膜付き光取り出し部材を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。上記作製工程では各種エッチャント、レジスト剥離液、有機溶剤等を使用したが、光散乱層にダメージを与えることなく有機EL素子を作製することができた。
(比較例1)
無機材料層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして有機EL素子の作製を試みたが、Alを利用した補助配線の作製時に、光散乱層がAlエッチャントで溶出し、ガラス基板とITO膜とが剥離してしまい、有機EL素子を作製できなかった。
(比較例2)
酸窒化シリコンからなる無機材料層の厚さを200nmとした以外は、実施例2と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例3)
PETフィルム上に、平均粒子径1500nmの酸化チタンを分散したシリコン樹脂を塗布して乾燥し、厚さ10μmの光散乱層を作製した。実施例1と同様にして測定したこの光散乱層の屈折率は1.45であった。上記光散乱層を用いた以外は、実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。上記作製工程では各種エッチャント、レジスト剥離液、有機溶剤等を使用したが、光散乱層にダメージを与えることなく有機EL素子を作製することができた。
(比較例4)
光散乱層を備えない有機EL素子を下記のとおり作製した。
先ず、100mm×100mmの大きさで厚さ0.7mmの液晶用ガラス(コーニング社製「Eagle 2000」)のアルカリ洗浄を実施し、200℃の条件でのスパッタリング法により透明導電性膜である厚さ100nmのITO膜を作製し、ITO膜付きガラス基板を作製した。次に、上記ITO膜付きガラス基板を用いた以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(評価)
実施例1〜3及び比較例2〜4の有機EL素子を用いて輝度の測定を行った。その結果を表1に示す。表1では、比較例4の輝度を1とした相対輝度比も示した。
Figure 2014197475
表1から実施例1〜3の有機EL素子の輝度は、比較例2〜4の有機EL素子に比べて大きいことが分かる。一方、無機材料層の厚さが30nmを超えた比較例2、光散乱層の屈折率が1.75を下回った比較例3、及び光散乱層を備えない比較例4では、いずれも輝度が小さいことが分かる。
1、21 無機材料層
2、22 光散乱層
3、23 ガラス基板
4 透明電極
5 有機EL層
6 反射電極
100、200 透明電極と接触する面
101 凹凸
1000、2000 光取り出し部材

Claims (5)

  1. 無機材料層と光散乱層とを含む光取り出し部材であって、
    前記無機材料層と前記光散乱層とは、積層されて接触しており、
    前記無機材料層の厚さが、5nm以上30nm以下であり、
    前記光散乱層の屈折率が、1.75以上であることを特徴とする光取り出し部材。
  2. 前記光散乱層の前記無機材料層と接触する面と対向する面に接触する基板を更に含む請求項1に記載の光取り出し部材。
  3. 前記無機材料層は、シリカ、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化チタン及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の光取り出し部材。
  4. 前記無機材料層の前記光散乱層と接触する面と対向する面に接触する透明導電性膜を更に含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の光取り出し部材。
  5. 光取り出し部材と、前記光取り出し部材の上に設けられた透明電極、有機EL層及び反射電極とを含む有機EL素子であって、
    前記光取り出し部材として、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光取り出し部材を用い、
    前記光取り出し部材の前記無機材料層と前記透明電極とが接触していることを特徴とする有機EL素子。
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