JP2014196656A - サイフォン送水装置及びサイフォン送水方法 - Google Patents

サイフォン送水装置及びサイフォン送水方法 Download PDF

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Abstract

【課題】土砂ダム(天然ダム)のような災害発生箇所や電気を得ることができない山深い場所であってもサイフォン作用を応用して高水位域にある貯留部の水や土砂を高水位域より低所に位置する低地域に移動させる送水・排土砂装置及び送水・排土砂方法を提供する。【解決手段】主として、吸水口13及び吐出口12とが常時開口している送水パイプ10と、送水パイプ10に連結され、送水器機40と連結可能な少なくとも1カ所以上の注水開閉装置70を備え又は注水開閉装置70を取り付け可能な注水部11aを備えた注水合流部材11とを、備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、高水位域にある貯留部の水を高水位域より低所に位置する低地域に送水するサイフォン送水装置及び送水方法に関し、さらに、送水に伴い土砂をも排出可能なサイフォン送水装置及びサイフォン送水方法に関する。
地震等の天災により発生した「土砂ダム(天然ダム)」や、地球温暖化により溶けはじめた氷河水により発生した「氷河湖」等は、大量の水を土砂等で堰き止めて大きな池や湖を形成している。しかし、堰き止めている土砂等は自然の崩落等により湖を堰止めているだけであるため、堰き止めている土砂等が崩壊し土石流と化す大きな危険を常に有している。こうした危険を回避するために池や湖に溜まった水を排水することで土石流の発生を防ぐ方策が検討されている。この場合、堰き止めた土砂等の上に水を直接越流させることなく池や湖の水を排水して、ダム上流の貯留部の水位を下げる必要がある。水位を下げる方法としては貯水池の水だけ排水する方法と、ダム湖の湖底に堆積する土砂を排水とともに排土砂して湖底の地盤高を下げる方法が考えられる。
しかし、水中ポンプによる排水の場合、土砂災害等により緊急に大量の排水作業を要する場合は多条配管による排水作業となる。この場合、一か所の排水作業に30台〜40台と大量な大口径の水中ポンプが必要となり、被災カ所が複数に及ぶ場合は何百本もの水中ポンプや送水パイプを必要とする。この作業を行うにあたり、大口径の水中ポンプや発動発電機などの仮設機材を大量に調達し、土砂ダムや氷河湖に運ぶのには大変な困難を要するという課題がある。また、仮に搬入できて水中ポンプ等の排水設備の設置が完了したとしても、これらを稼動し続けるためには大量の電気が必要であるが発電のために発動発電機を稼動するためには連日に亘り定期的に大量の燃料(軽油)を搬入して給油し続ける作業や大量な燃料の消費を続けなければならないという課題が発生した。この課題を解決するため多くの燃料や電気を消費しないサイフォン作用を使用することが検討された。しかし、注水によりサイフォン作用を起動させる従来の技術及び装置は、どの装置や方法も送水パイプの吸水部と排水部に開閉装置を備えていることが必要で、この開閉装置をそれぞれ閉じた状態にして送水パイプの一番高いところから注水することで送水パイプ内全体を満水にした後に、両方の開閉装置を開口するという方法であった。この従来の装置及び方法によれば、吸水口と排水口の開閉装置を開け閉めする作業が必要であり。吸水口は水の中にあるため寄り付きにくく危険で困難を極め、吐出口の開閉も危険な斜面に降りて行って人力で行うため非常に危険を伴った作業であった。このような大量の機材を必要とせず危険な作業を省略できるサイフォンの起動方法によるサイフォン送水装置及び送水方法が求められていた。
また、ダムなどの貯水池の湖底に堆積している土砂を取り除く方法としてもポンプによる排水作業を利用して水と一緒に土砂を排土砂する方法がある。しかし、この方法は電気を使用して稼働するポンプによる排土砂装置が使用されているため、山間部の電気のない地域での使用は発電機を運び込んだり、燃料の補給作業を要したりするという問題点があった。そのため、重機などで掘削し運搬処分する方法の方が安価で効率が良いためポンプ排水に伴う排土砂方法は実施されていないのが現状である。ダムや貯水池に土砂が溜まり下流域に運ばれなくなったため、河川の河床に粗粒化現象が発生して生物の生息環境に影響を与えたり、河口から海岸の砂浜に砂が供給されなくなったため砂浜が流出してなくなり海岸線そのものが洗掘されたり、などの被害が発生している。
特願2006−214363号公報
そこで本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、以下の目的を有する。
1.電気を得ることができない場所であってもサイフォン作用を応用して高水位域にある貯留部の水を高水位域より低所に位置する低地域に送水させるサイフォン送水装置と送水方法を提供する。
2.数十本、数百本と多条配管する場合も、設置された送水パイプのそれぞれのサイフォン用の送水パイプにそれぞれ1カ所設けられた注水合流部材の注水部から、1台のみの送水機器を使用して各送水パイプに順番に注水を行って多条なサイフォン作業を起動させることができるサイフォン送水装置と送水方法を提供する。
3.水中ポンプなど送水機器の調達を1台として、1台の送水機器で多条配管できるようにすることで機材の調達や運搬作業の省力化を図ることができるため、一刻を争う排水作業開始の迅速性を確保することのできるサイフォン送水装置と送水方法を提供する。
4.また、従来のサイフォン作用の起動時に送水パイプ内へ注水する前後に行う危険な人力作業であるところの吸水口や吐出口の開閉作業を省くことができるサイフォン送水装置と送水方法を提供する。
5.送水設備の設置費用や稼働時のランニングコストの縮減を達成することができるサイフォン送水装置と送水方法を提供する。
6.さらに、この簡易なサイフォン送水装置及び送水方法を応用して、吸水口を固定し又は位置を変えて湖底に沈め使用することで、湖底などの排土砂を行うことも可能なサイフォン送水装置及び送水方法を提供する。
なお、以下文中の「送水」は「送水を伴う排土砂」という内容も含めることとする。
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のサイフォン送水装置は、
高水位域にある貯留部の水又は、水及び土砂を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置であって、
断面形状を保持可能なパイプ状部材からなり、前記低地域と前記高水位域との間に架設され、それぞれ高水位域側に開口された吸水口を、低地域側にも開口された吐出口を有する送水パイプと、
前記送水パイプに連結され、送水器機と連結可能な少なくとも1カ所以上の注水開閉装置を備え又は注水開閉装置を取り付け可能な注水部を備えた注水合流部材とを、備えていることを特徴とするサイフォン送水装置である。
本発明のサイフォン送水装置は、高水位域にある貯留部と低地域との間にパイプが架設されて、サイフォン作用によって高水位域にある貯留部の水を低地域に送水するためのものである。本発明にかかるサイフォン送水装置は、低地域側(以下、「下流側」ともいう。)の吐出口が常に開口しているため、下流側の端部を閉じて呼び水を送水パイプ全体に溜めてサイフォンを起動させることはできない。つまり、従来のサイフォン起動方法は、吐出口側に設けた開閉装置を閉じて送水パイプ内を徐々に充填するように注水して送水パイプ内の空気を注水部から排気する方法が一般的であった。しかし、本発明にかかるサイフォン送水装置は、注水合流部材に備えた注水部から水を注水し、吐出口方向へだけ水を送水して注水合流部材から下流側だけの送水パイプ内が満水になるのに十分な水量を注水部から注水することとなる。つまり、注水する水で送水パイプ内の空気を下流側の吐出口に押し出して注水合流部材から下流側の送水パイプ内を満水状態にすることとなる。満水状態が確認できた後に注水部の開閉装置を閉じることによって、引き続き水が吐出口から排水される際に上流側の送水パイプ内の空気が下流側に引き込まれ移動し、この空気の移動に応じて高水位域の水が送水パイプ内に吸い込まれることになる。この引き込まれた水と空気は途中で混合して空気と混濁した水となって吐出口から放水され、一定量の水が吸水口から吸い込まれた時点でサイフォン作用を起動させることができる。そして、空気が混濁した水が完全に放出された段階で完全なサイフォン作用による放水が可能となる。このように、本発明によれば、吸水口は開いた状態で吐出口も開口しているにもかかわらず、サイフォン作用を起動することができる。これにより前述した人力による危険作業である吸水口や吐出口の開閉作業が省略できるサイフォンの起動方法でありサイフォン送水装置及び送水方法である。また、本サイフォン送水装置のサイフォン作用によって、水と一緒に土砂も吸込んで堆積土を同時に排土砂する装置としても使用することができる。
こうして、一旦サイフォン作用を起動させた送水パイプは、サイフォン作用により、貯留部の大量の水を位置エネルギーにより低地域に送水することができる。併せて、送水パイプ内を満水とした後は、電力を必要としないため燃料の搬入も補給作業も行う必要がない。これによりサイフォン送水装置の設置コストや送水コストの大幅な削減が可能とすることができる。また、多くの作業員が危険な作業に就かなくて済み、機材や排水作業のメンテナンスのため現場に常駐する必要もなくなるので、安全な場所から監視することで二次災害が防止できることとなる。
本発明のサイフォン送水装置において、前記注水部を備えた注水合流部材を取り付ける位置は、電気など動力を備えたサイフォン送水装置による場合は敷設した送水パイプの最高地点の上流側でしかも最高地点より低い位置であっても、送水器機により強制的に呼び水を送水パイプ内へ注水して送水パイプ内の空気を下流側の吐出口から吐出することができる。一方で、貯水タンクを送水器機として使用する場合は貯水タンクの高さと容積に留意しなければならないこととなり、貯水タンクは敷設した送水パイプの最高地点より高い部分の容積が注水合流部材から下流側の送水パイプ内の容積以上の容積を備えていればサイフォンを起動することができる。この設備方法によれば貯水タンクの設置高さが送水パイプの最高地点より高い位置に貯水タンクを設置したのと同様な設備形態となる。また、送水パイプの最高地点までの貯水タンクの部分を替えて足場を組んだり基礎部を設けたりしてその上に貯水タンクを設けても同様な設備形態となる。すなわち、送水パイプと連結した注水合流部材の注水部から呼び水を注水してサイフォン作用を起動することができればよい。前記注水部から送水パイプ内へ注水した水が満水状態の「呼び水」となって上流側の送水パイプ内の空気を下流側へ引き込んで吐出口から吐出することができる水量を注水できる範囲であればよい。
また、本発明のサイフォン送水装置において、前記注水合流部材は、前記送水器機からの水が注水される注水部と、前記貯留部からの水が吸水される吸水部と、前記注水部又は前記吸水部からの水を排出する送水部とを備え、前記吸水部と前記注水部とが合流する概T字型、或いは概Y字型の形状成してなり、前記合流部において、注水部側からの水の流れと、吸水部側からの水の流れとを切替え可能な切替弁を有してなるものであってもよい。かかる構成を採用することで、注水部からの水の流れを、高水位域側の吸水部へ流れるのを防止でき、下流側の吐出口へ確実に注水することができる。そのため、注水合流部材の下流側の送水パイプ内の空気を容易に吐出口から吐出する(押出す)ことができる。また最高地点より上流側の低い位置に注水合流部材を取付けた場合であっても注水合流部材に注水された水は備えられた切換弁により高水域側の吸水部へ流れることなく送水部へ流れ最高地点を通過して低地域側の吐出口へ流されることとなるため、サイフォン作用を起動させることができる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記送水器機は、注水合流部材から下流側の送水パイプ内を満水にするのに十分な水を貯水可能な貯水タンクであってもよい。サイフォン作用によって水を連続的に送水するためには、開口している吐出口を有する送水パイプ全体が満水状態になる水量を一度に充填しなければ十分なサイフォン作用を起こすことができない。そのためにポンプ等を用いて送水パイプを満水にすると、それ相当の稼働力を有するポンプが必要となる。そこで、一旦送水パイプ内の空気を一気に押し出して送水パイプ内を充填するのに十分な貯水量を有する貯水タンクに貯水した後に、送水パイプに注水合流部材に備えた注水部を通して一気に送水パイプに水を送ることによって、送水パイプ内の空気を下流側の吐出口に押し出しながら送水パイプ内を水で満水にさせるものとした。貯水タンクを使用することにより、貯水タンク自体に水を貯めるためには、大容量の水を一気に貯める必要はない。そのため電力の小さなポンプで水を貯めたり、又は本発明と同様の機構を有する小さいサイフォン型のサイフォン送水装置をもう一つ使用して同様の作業を行って貯水タンクに水を貯めたりしてもよい。
さらに、本発明のサイフォン送水装置において、前記送水器機は、排水ポンプ車、水中ポンプ、消防車などの動力により駆動する送水器機であってもよい。かかる構成を採用することによって、より迅速に吐出口から送水パイプ内の空気を吐出し(押出し)て下流側の送水パイプ内を満水にすることができる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記注水合流部材の注水部から注水された水によって満水とされるパイプの長さが、送水パイプの高水位域側の貯留部の水面位置から低地域側の同一高さにある前記送水パイプの位置までの距離よりも長いものであってもよい。かかる構成を採用することによって、注水部から吐出口まで送水パイプ内を水で満水にした後に、引き込む送水パイプ内の空気によって高水位側の水面位置にある前記送水パイプから同一高さの下流側の前記送水パイプの位置までの距離以上の水を引き込むことが可能となる。これにより、送水パイプの少なくとも高水位域側でサイフォン作用を起動させることができる。この起動したサイフォン作用によって、さらに、水が高水位域の貯留部から送水パイプ内に注水され、送水パイプ全体でサイフォン作用が起動されることになる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記注水合流部材の注水部から注水された水によって満水とされるパイプの長さが、送水パイプの高水位域側の貯留部の水面位置から低地域側の同一高さにある前記送水パイプの位置までの距離の2倍以上であってもよい。かかる構成を採用することによって、注水部より下流側を満水にした状態から注水部に連通する注水開閉装置を閉塞した際に、吸水口より引き込む水が空気との混濁等により一定のロスがあった場合であっても確実にサイフォン作用を起動させることができる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、高水位域側の貯留部の水位と配管された前記送水パイプの最高位置との高低差=揚程が7m以下であってもよい。発明者の実験の結果、揚程を7m以下にするとサイフォンの作用を安定的に機能させることができ最大排水量を維持することができることがわかった。すなわち、かかる範囲に設定することによって、最も効果的にサイフォン作用で最大量の水を排水することができる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記送水パイプには、水頭差調整用の空気弁を複数備えているものであってもよい。かかる構成を採用することによって、高水位側の水面の高さが上下に変動した場合であっても、その揚程に合わせて最適な水頭差となるよう送水パイプの長さなどを再度設置し直すことなく、送水パイプに備えられた水頭差調整用の空気弁を最適な水頭差となるよう開閉作業を行うことで最適な水頭差のサイフォン送水装置を提供することができる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記送水パイプには、最大排水量を確保できる基準水頭差より低地域側に柔軟なホースが接続されていてもよい。サイフォン作用により最大排出量を確保可能な位置までは、送水パイプの内断面が気圧や外部からの圧力等によって押し潰された場合、最大排出量の水を排出することができなかったり、サイフォン作用が起動しなかったりする場合がある。しかし、サイフォン作用の最適な水頭差となる位置より下方は、柔軟なホースを使用しても上流部からサイフォン作用により流下してくる水の水圧のため、大気圧などに押し潰される可能性は低くなる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記柔軟なホースは、高水位域の貯留部の水面の高さと同じかそれより低い位置から下流側に接続されていてもよい。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、高水位域にある貯留部の水をサイフォン送水装置に吸水する吸水口は、吸水口の周囲を覆うように、吸水口の面積以下の大きさの網目を有する塵吸込防止部材が設けられていてもよい。かかる構成を採用することによって、この塵吸込防止部材の網目より大きな塵が送水パイプ内に吸い込まれることが防止される。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記送水パイプは、フレキシブルな素材で構成される筒状部材と、前記筒状部材内に配置され、先端に球状、フットボール状又は円錐状に形成された筒状部材押し広げ部を有する内側断面形状を維持できる筒状部材の内径よりやや小さな直径を有する伸縮バネ状部材と、を備えたものであってもよい。伸縮バネ状部材は、先端に球状、フットボール状又は円錐状に形成された筒状部材押し広げ部を備えているので、伸縮バネ状部材の後方から注水される水によって筒状部材押し広げ部が下流方向へ押し進められ筒状部材内を進行することで送水パイプ内に伸縮バネ状部材が配置されて容易に押し潰されることのない送水パイプとすることができる。なお、伸縮バネ状部材の間隔を広げて伸縮バネ状部材が適度に伸びた地点で伸縮バネ状部材と切り離され、再び下流側に予め備えられた第2の伸縮バネ状部材の内径を通り抜けて伸縮バネ状部材の下流部を引っ張って筒状部材押し広げ部が下流方向へ押し進められ必要により、伸縮バネ状部材以降を筒状部材の内断面に広げて配置する構造の送水パイプであってもよい。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記貯水タンク組立用部材には注水開閉装置が設けられ、前記注水開閉装置には通水量調節用開閉弁が設けられており、前記通水量調節用開閉弁は、貯水タンク内の水を吐出する量を調節する開閉弁であり、貯水タンク組立用部材の開口部外周の一部に蝶番で回動可能に固定部が設けられ、かつ蝶番の対向部に滑車が設けられていてもよい。かかる構成を採用することによって、送水器機から注水される水の供給、停止及び水量を調整することができる。また、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記固定部は前記注水開閉装置の中心にそれぞれ設けられており、それぞれ通水量調節用開閉弁の外側が開閉するように回動可能に固定されていてもよい。さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記送水器機に取り付け可能であり、全体が筒状に形成されており、その両端にそれぞれ送水器機に取り付け可能なフランジを有し、かつ筒状の内部には筒状の外の調節レバーによって水量を調節可能な開閉弁を有しているものであってもよい。また、通水量調節用開閉弁の形状は平板状又は半球体に形成されているものであってもよい。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、多条配管を敷設しようとする場合、前述記載のサイフォン送水装置と、高水位域の貯留部と低地域との間に敷設され、前記サイフォン送水装置は注水合流部材と注水開閉装置と送水器機を備え、送水器機を備えない1又は2以上の第2サイフォン送水装置とを備え、
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記サイフォン送水装置のサイフォン送水機能が稼働した後に前記サイフォン送水装置の送水機能で第2サイフォン送水装置の注水合流部材の注水部から注水して、前記第2サイフォン送水装置の送水パイプのうち注水合流部材より下流の送水パイプ内を満水とした後に注水合流部材に設けた注水開閉装置を閉じて第2サイフォン送水装置にサイフォン作用による送水機能を稼働させるものであってもよい。第1のサイフォン送水装置のサイフォン作用を起動させた後、さらに別の第2、第3以降のサイフォン送水装置を同様の作業を行うことで起動させる場合は、このように、全く電気を使用することなく、第2サイフォン送水装置以降の排水装置を起動することができるものであってもよい。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記サイフォン送水装置の注水口合流部の注水部に設ける注水開閉装置は、サニーホースなど柔軟な第2ホースの両端に注水部及び送水器機との接続部を備えているものを使用しても良い。これにより送水器機からの注水が停止するとサニーホースなど柔軟な第2ホース内の水は送水パイプを流下する水に吸い込まれるのと同時に大気圧で押し潰されて閉塞することとなり自動的に開閉装置を閉めることと同じ現象となるため開閉作業を省略することができることとなる。前記注水開閉装置となるサニーホースなど柔軟な第2ホース部には第2ホース部を挟む器具を備えても良い。これにより閉じた柔軟なホースの閉塞部を閉塞した状態に保つことができるため送水器機を柔軟なホースに備えた接続部から切り離しても注水部に空気が侵入する現象は起きないこととなるものであってもよい。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記送水パイプや前記柔軟なホースの両端に備える接続部は接続用クリップを用いて連結しても良い。これにより連結する場合、従来は連結する送水パイプの接続部同士を重ねて孔の位置を揃え、その重なった孔に従来はボルトを挿入し反対側からナットなどにより締付けて固定する作業が行われていたが、これに変わって送水パイプの接続部同士の孔の位置を揃えてその孔に接続用クリップの挿入部を挿入した後2枚の接続部を重ねたまま同時に接続用クリップの挟み部をハンマーなどで叩いて挟み込んで固定する方法によって短時間で固定作業ができることとなり、接続部の厚みもボルトナットを使用する場合は10mm以上の厚さの構造であったが、接続用クリップを使用する場合は5mm程度の厚さとなるため接続部の単体重量が軽くなるため人力運搬の効率の向上にも繋がることとなる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、高水位域にある前記貯留部に配置する送水パイプの吸水口は常に開口しているものであってもよい。本発明にかかるサイフォン送水装置の起動方法により吸水口に開閉装置などを設けて開閉する必要はなく常に開口していてもよい。これにより、吸水口に開閉する部材を設ける作業を省略することができることとなる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記吸水口には、吸い込まれる水の流れにより回転されるスクリューを備えており、前記スクリューの回転により湖底又は川底などの堆積土を水中撹拌しながら撹拌された堆積土と水を共に前記吸水口から吸水するものであってもよい。これにより、吸水口から吸水される際の水流のエネルギーを利用してスクリューを回転させることで、従来電気を使用した撹拌装置で堆積土を撹拌していた作業が電気を使用しなくても撹拌作業を行うことができる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記吸水口を有する送水パイプが複数配置され、前記吸水口は、スクリューを有する駆動用吸水口と、主として吸水を行う吸水用吸水口とからなり、前記スクリューの回転により、湖底又は川底などに堆積する堆積土を水中撹拌しながら前記駆動用吸水口以外の前記吸水用吸水口から撹拌された堆積土とともに吸水するものであってもよい。これによれば堆積土を撹拌する吸水部とスクリューを回転させる駆動用吸水口が分かれているため、水中撹拌され浮遊する堆積土がスクリューに衝突しながら吸水される確率が減少するため、スクリューの損傷防止の効果が発揮できることとなる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記吸水口を有する送水パイプが複数配置され、前記吸水口は、スクリューを有する駆動用吸水口と、主として吸水を行う吸水用吸水口とからなり、前記吸水用吸水口には、前記駆動用吸水部のスクリュー回転により得られた回転が連動部材を介して回転する堆積土撹拌用部材を備えてなり、前記堆積土撹拌用部材により、湖底又は川底などに堆積する堆積土を水中撹拌しながら吸水用吸水口から撹拌された堆積土とともに吸水するものであってもよい。これによれば水中撹拌され浮遊する堆積土の吸水は吸水用吸水口で行われるため、吸水用吸水口から離れた位置に設けられた駆動用吸水口から浮遊する堆積土を吸水する確率が大きく減少するため駆動用吸水口で回転するスクリューの損傷防止に大いに役立つ構造となる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記スクリューの外周部においてスクリューと吸水口との間から水の流れを防止するスクリューカバーが設けてあってもよい。かかる構成を採用することで、本来ならばスクリューの前面から吸水口に流れ込む流水がスクリューに当ってスクリューを回転させてから吸水口へ流入することでスクリューを効率よく回転させることができるが、流水の一部がスクリューに当らずにスクリューと吸水口の間を通過して吸水口に流れ込むことによりスクリューに当る水が減少してスクリューの回転効率が減少することを防止することができる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記吸水口は、開口面が斜め上方側に向いて形成されていることを特徴とするものであってもよい。吸水口の開口面が斜め上方を向いている形状としたことで、吸水口を貯水部に設置した場合に、吸水口が斜め上方を向きやすくなるため、湖底や河底等の砂利や土砂を吸い込むことを低減させることができる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記吸水口には開閉蓋を備え、開閉蓋にはフロートを繋ぐためのフロート取付部を備えており、かつ水位が上昇するとフロートによって開口し、水位が低下すると閉塞するように蝶番で開口に取り付けられている開閉蓋が形成されていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、吸水口に蝶番で連結した開閉蓋は、水面が上昇すれば、フロートも上昇するため、開閉蓋を引き上げて開くことができ、開閉蓋を引き上げられない程度まで水面が下降すれば開閉蓋は、吸水口を閉めることとなる。この効果により、ある一定の水位以上になれば開閉蓋を開き給水を開始或いは持続し、ある一定の水位以下になれば、開閉蓋は自重により閉まるので吸水が止まり、送水パイプ内を満水のままの状態で送水を自動的に停止することができる。送水パイプ内が満水状態のまま停止しているためある一定の水位以上に上昇した場合は開閉蓋を引き上げて開口し自動的に送水作業を再開することとなる。
さらに、本発明にかかるサイフォン送水装置において、前記吸水口には、吸水口を湖底又は川底に投入した時、吸水口の先端が湖底又は川底に突き刺ささる角度で投入した場合に、湖底又は川底の堆積物の吸いこみを防止するために少なくとも吸水口の底面側をカバーするカバー部材を備えていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、吸水口の先端を湖底や川底に投入して場合に、その先端が底部に対し、直角又は斜めに突き刺さる角度で投入したとしても、カバー部が底に当接した状態となって、吸水口は底面に直接接しないため、吸水口を開放した状態で設置することができ、この効果により、投入時に吸水口からドロや小石を急激に吸い込んで吸水口が詰まってしまう状態とならないように設置することができ、この状態で新たに流出して来る水や土砂を吸水しながら、送水作業を実施することができる。
本発明にかかる送水方法は、前記送水パイプの最高地点より下流側において上流側の前記高水位域の前記貯留部の水面の高さと同じかそれより低い位置より下流側に柔軟なホースが接続されているサイフォン送水装置において、前記送水パイプの最高地点に接続された前記注水合流部材の前記注水部から前記送水器機の代わりに真空ポンプを用いて前記送水パイプ内の空気を前記送水パイプ内から排出することで前記送水パイプ内の気圧を減圧して前記高水位域の前記貯留部の水を前記送水パイプ内へ吸い込み、さらに、空気の排出を続けることで吸い込まれた水が最高地点を通過して前記送水パイプの下流側に流下し柔軟なホースが真空ポンプの減圧効果により折れ曲がり閉塞状態となった位置に水が溜まり、溜まった水の重量で柔軟なホースの折れ曲がり部を押し伸ばして流下を始めることで送水パイプの最高地点を含んで送水パイプ内に残る空気を伴って流下することでサイフォン作用を稼働させることを特徴とする送水方法である。かかる構成を採用することで容易にサイフォン作用を稼働させることができるものであってもよい。
本発明にかかるサイフォン送水装置を使用するにあたって、サイフォン送水装置に使用する口径が異なり連結できない送水パイプ同士の連結部を接続して通水させるための接続補助部材であって、フレキシブルで気圧7以上の水圧にも耐え得る素材からなる筒状部材の両側開口部からそれぞれ口径が異なる送水パイプを挿入し、連結部が相向き合った状態でそれぞれの送水パイプの首元で筒状部材の外側から送水パイプを共に締付ける締付部材により締付けることを特徴とする接続補助部材を有していても良い。本発明にかかるサイフォン送水装置を使用する場合、本装置の送水パイプと口径が異なる送水器機しか無い場合にも本サイフォン送水装置が使用できるようにするためには、異口径の送水パイプ同士の連結補助部材があるとよい。例えば、国土交通省の災害派遣用排水ポンプ車両の送水パイプの口径は複数種類あり、災害発生時に発生現場の近くの建設業者が所有している水中ポンプも複数種類の口径がある。最も早く現場に到着した送水機器を使用して注水合流部材の注水部から注水しようとしても水中ポンプや送水パイプ又は注水合流部材の注水部の口径が異なると連結ができないため排水作業ができないということになる。そこで、送水機器や送水パイプ又は注水合流部材の注水部の口径が異なっても排水作業を行なうためには、異口径の部材同士を連結して使用できるようにする補助部材が必要となる。この補助部材は引っ張り強度に強くしかも柔軟な素材により筒状に形成されており、その両側から送水機器の送水パイプ同士又は注水合流部材の注水部を挿入しこの部材により注水部だけでなく、口径の異なる送水パイプ同士の連結部にも使用できる。
図1は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す側面図である。 図2は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の吐出口12の配置を示す側面図である。 図3は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の吐出口12の配置による水の状態を示す側面図である。 図4は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の送水パイプ10の1つの例を示す断面図である。 図5は、第1実施形態にかかる吸水口13を示す斜視図である。 図6は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の注水合流部材11の1例を示す断面図である。 図7は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の注水合流部材11に設ける注水開閉装置70の1例を示す断面図である。 図8は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の注水合流部材11のさらなる別例を示す断面図である。 図9は、揚程と水頭差の状態を示す模式図である。 図10は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100に連結する送水器機としての貯水タンクに設ける注水開閉装置70の斜視図である。 図11は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100に連結する送水器機としての貯水タンクに設ける注水開閉装置70の別実施形態を示す斜視図である。 図12は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の注水合流部材に設ける注水開閉装置70のさらなる別実施形態を示す斜視図及び断面図である。 図13は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100がサイフォン作用を起動する工程を示す側面図である。 図14は、第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100の側面図である。 図15は、第3実施形態にかかるサイフォン送水装置100の側面図である。 図16は、第4実施形態にかかるサイフォン送水装置100の側面図である。 図17は、第5実施形態にかかるサイフォン送水装置100の正面図、平面図及び側面図である。 図18は、第6実施形態にかかるサイフォン送水装置100の正面図、平面図及び側面図である。 図19は、第7実施形態にかかるサイフォン送水装置100の正面図、平面図及び側面図である。 図20は、第8実施形態にかかるサイフォン送水装置100の正面図、平面図及び側面図である。 図21は、第9実施形態にかかるサイフォン送水装置100の吸水口断面図である。 図22は、第9実施形態にかかるサイフォン送水装置100の蓋部材13bの動きを表す模式図である。 図23は、第10実施形態にかかるサイフォン送水装置100の断面図である。 図24は、第11実施形態にかかるサイフォン送水装置100に使用する口径が異なる送水パイプ同士又は注水合流部材11の注水部11aとの接続用筒状部材を示す断面図である。 図25は、実施例における頂部圧力と揚程高の実験結果である。 図26は、実施例における一定排水量を確保するための基準水頭差と配管延長との関係を表す実験結果である。
まず、本発明のサイフォン送水装置及び送水方法の実施の形態について説明するにあたり、本発明の技術的思想について説明する。本発明のサイフォン送水装置は、高水位域にある貯留部90と低地域との間に設置されて、サイフォン作用によって、高水位域の貯留部90から低地域に水を送水するためのものであり、高水位域の吸水口は開けた状態であって低地域側の吐出口が常に開口しているサイフォン送水装置を用いてサイフォン作用を起動するものである。本来、サイフォン作用を起動させる従来の技術及び装置は、どの装置や方法も送水パイプの吸水部と排水部に開閉装置を備えていることが必要で、この開閉装置をそれぞれ閉じた状態にして送水パイプの一番高いところから注水することで送水パイプ内全体を満水にした後に、両方の開閉装置を開口するという方法であった。この従来の装置及び方法によれば、吸水口と排水口の開閉装置を開け閉めする作業が必要であり。吸水口は水の中にあるため危険で困難を極め、吐出口の開閉も斜面に降りて行って人力で行うため非常に危険であった。しかし、本発明のサイフォン起動方法は高水位域の吸水口は開けた状態であって低地域側の吐出口も常に開口しているため、従来のように徐々に送水パイプ内を水で充填することができない。そこで、送水パイプに連結された注水合流部材の注水部へ注水した水が下流へ流下しつつ送水パイプ内の空気を吐出口から押し出して排出し送水パイプ内を満水状態にする水量を一気に送水パイプ内へ注水し、送水パイプ内が満水状態で流れている時に注水部からの注水を遮断することで、送水パイプ内に注水された水が吐出口から排出される際に、サイフォン送水装置の注水合流部材から上流側の送水パイプ内の空気の引き込み作用を伴って高水位域にある貯留部90の水を送水パイプの吸水口から吸水し、その吸水した水が下流側の吐出口から排水されることによってサイフォンを起動させるものとした。すなわち、本発明は、送水パイプに注水する段階で送水パイプの注水部から低地域側に向かって、上流側から順次に送水パイプ内の全断面で満水状態を保持しながら下流方向へ空気を押し出しながら注水するサイフォン作用の起動方法である。これにより、高水域にある水を送水パイプ内へ引き込むことによって最終的に送水パイプ全体が水で満水状態となって流下することにより、完全なサイフォン作用を起動させることができる。これにより前述した人力による危険作業である吸水口や吐出口の開閉作業が省略できるサイフォン起動方法であるサイフォン送水装置及び送水方法となったのである。なお、サイフォン作用によって、水と一緒に土砂も吸込んで湖底などの堆積土を同時に排土砂する装置としても使用することができる。これらの排砂方法を使用することで、理論上ではあるが水頭差10m、送水パイプの口径200mmサイフォン排砂装置とすると排水量の2%〜3%の排砂量が理想であるため、24時間で40m〜60mの土砂を電気も燃料も使用せずにダムの下流側へ移動する事ができることとなるため河川の粗粒化現象の防止や砂浜の消失現象を防止するための装置としてこのエネルギーは是非とも活用すべきである。
上記、本発明のサイフォン送水装置及び送水方法の実施形態について、図面に基づいて、詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。また、図面の断面線は一部省略してある。
(第1実施形態)
第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100が図1に示されている。図1は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100の構成の概略を示す側面図である。第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、主として、送水パイプ10と、注水部11aと吸水部11bと送水部11cとを形成する注水合流部材11、注水部11aから送水する水の送水量を調整する注水開閉装置70と、送水パイプ10に水を供給する送水器機40と、を備えている。
送水パイプ10は、容易に断面形状が変形することないパイプを使用することができる。いわゆるサニーホース等のような軟質な素材を使用し、変形を防止する手段を有していない場合には圧送による送水作業を中断すると大気圧によりホース断面が押し潰されてサイフォン作用が起動しづらいからである。硬質な素材を使用したパイプの例としては、内径がφ50mm又はそれ以上の内径を有する硬質のポリエチレン製の管などからなるパイプ部材を、複数連結したものを使用することができる。送水パイプ10は、低地域側の吐出口12に開閉部材が設けられておらず、常に開口状態にある。開閉部材を設けていないので、開閉操作を省略でき、そこに近づくことによる作業員の危険を回避することができる。また、送水パイプ10の吐出口12の端部が、図2に示すように、送水パイプ10の直径の高さ以上の高さに位置されるように斜めに持ち上げて配置することで、吐出口12から空気が侵入することを防ぐことができる。すなわち、吐出口12が低く形成されていると、吸い込み側(上流側)の水位が下がった場合に水位差による水圧が減少するため、吐出口12から放水する水の勢いが減少する。これにより、送水パイプ10の吐出口12の通水断面を満たした状態での放水現象から変化し、図3Bに示すように、吐出口12から矢印F’に示すように、空気が送水パイプ10の吐出口12の上側から徐々に進入していき、サイフォン作用を失う可能性がある。しかし、吐出口12の直径の高さ以上の高さまで持ち上げて配置することで、図3Aに示すように、空気流入限界線G以下に空気が進入することがない。これにより、高水位域にある貯留部90の水位が低下して排水を一時停止しようとする場合に送水パイプ10の途中に設けたパイプ断面を開閉する装置を閉じることで、水が送水パイプ10内でそのままの状態で停止し、吐出口12から空気の侵入を防ぐことができるためサイフォン作用を再起動するには開閉装置を開くだけでサイフォンが再起動できる状態を維持することができる。
また、送水パイプ10は、素材自体は軟質な素材で作成されていても、容易に断面形状が変形しない構成にして使用することができる。例えば、図4に示すように、ホース状の軟質な筒状部材15の内部に伸縮可能なコイル状の伸縮バネ状部材15aを挿入した送水パイプ10a等がある。伸縮バネ状部材15aは、内側断面形状を維持できる伸縮バネであり、筒状部材の内径よりやや小さい直径を有する伸縮性のあるバネで形成される。伸縮バネ状部材15aは、先端に筒状部材15の内部断面を広げるための球状、フットボール状又は円錐状(図4は、円錐状のものが記載されている。)に形成された筒状部材押し広げ部15bを備えている。伸縮バネ状部材15aの後方から注水される水によって、図4Bに示すように、筒状部材押し広げ部15bが下流方向へ押し進められることで、筒状部材15内を進行し、伸縮バネ状部材15aの間隔を広げて筒状部材15内側の断面形状を維持することとなる。筒状部材押し広げ部15bは伸縮バネ状部材15aが適度に伸びた地点で伸縮バネ状部材15aと切り離される。さらに、長い送水パイプ10を使用する場合には、図4Cに示すように、下流側に予め同様の第2伸縮バネ状部材15cを取り付け、筒状部材押し広げ部15bが第2伸縮バネ状部材15cの内側を通過して第2伸縮バネ状部材15cの先端に取り付けられた第2筒状部材押し広げ部15dの後端に到達し、第1筒状部材押し広げ部15bと第2筒状部材押し広げ部15dとを接続し、筒状部材15内を再び上流からの水圧で押し進むことで筒状部材15の内断面を広げた状態で保持することができる。これを必要な延長分を繰り返すことでフレキシブルな筒状部材15の内側断面形状が維持され、送水パイプ10の内側断面が大気圧により押し潰されることが防止される。これによれば、軟質のホース状の筒状部材15は巻いて運搬や保管が可能であるため省スペース化が図れる。
一方、高水位域側の貯留部90内に配置される吸水口13は、図5に示すように、吸水口13の周囲を覆うように、一定の網目状の塵吸込防止部材80が設けられている。これにより、この塵吸込防止部材80の網目より大きな塵が送水パイプ10内に吸い込まれることが防止される。網目の大きさは、吸水口13の開口と同じかやや小さい程度の大きさに形成するとよい。この大きさに設定することで吸水口13より大きなゴミは塵吸込防止部材80の網目に阻まれ、吸水口13より細かなゴミは吸水口13に吸い込まれた後、送水パイプ10内を通過して下流部の吐出口12から排出されることとなり、この構造により細かなゴミが塵吸込防止部材80の網目に詰まることを防止できるため目詰まりしたゴミの除去作業を省略できる。また、吸水口13近傍の送水パイプ10には、フロート81が取り付けられている。このフロート81は送水パイプ10に巻かれており、浮遊物83が送水パイプ10に衝突した際の衝撃から送水パイプ10を保護する機能を有する。また、フロート81の位置を調整することによって、吸水口13の水深位置を調整する機能をも有する。これにより、吸水口13を水面の浮遊物を避けて最適な水深に沈めることができるので水だけを吸い込む作業が可能となる。また、吸水口13が湖底まで届く高さに設置することで湖底の堆積した土砂を吸い込んで、下流の低地域側の吐出口12から排出する作業を行うことができる。
送水パイプ10には、図6に示すように、水を注水するための注水部11a、水を吸水する側に設けた吸水部11b、及びこれらの水を送水する送水部11cを備えた注水合流部材11が連結される。注水合流部材11は、基本的には送水パイプ10の最高地点又は最高地点より低地域側に形成するとよい。これにより貯水タンクを送水器機40とした場合は最高地点より上流側に設ける場合と比較してもその貯水タンク40の容量が小さくて済み、併せて基礎工や足場工などの仮設物の必要が無くなる。また、送水器機として電気や燃料などを動力として稼働する排水ポンプ車や水中ポンプなどを使用する場合は注水合流部材を設置する箇所は最高地点の上流側でも仮設物の必要はないこととなる。また、注水部11aは、注水部11aから水を注水した場合に、満水とされる送水パイプ10の長さ(図1の場合はAの間にある送水パイプ10の長さ)が送水パイプ10の高水位域側の貯留部90の水面位置91から低地域側の同一高さにある送水パイプ10の位置までの距離(図1の場合はBの間にある送水パイプ10の長さ)よりも長くなるように設置される。満水にされた下流側の送水パイプ10内に注水部11aからの水の供給が注水開閉装置70等により遮断されると送水パイプ10内の水はそのまま下流側へ流下する現象を続けようとする。流下する際に注水合流部材11より上流側にある送水パイプ10内の空気層を下流側へ引き込むことで吸水口13から高水位域の貯留部90の水を引き込み、引き込んだ水が低地域の吐出口12から排出されることで送水パイプ10内が満水となり、高水位域の貯留部90の水が送水パイプ10内で低地域の吐出口12まで繋がってサイフォンを起動させることとなる。より好ましくは、給水する際のロスを考慮すると、満水とされる送水パイプ10の長さ(図1の場合はAの間にある送水パイプ10の長さ)が送水パイプ10の高水位域側の貯留部90の水面位置91から低地域側の同一高さにある送水パイプ10の位置までの距離(図1の場合はBの間にある送水パイプ10の長さ)の2倍よりも長くなるように設けるとよい。
また、送水パイプ10に連結される注水合流部材11は、図6に示すように、サイフォンを稼働する送水パイプ10の一部に接続されており、略Y字状に形成されている。注水部11a、吸水部11b及び送水部11cの端部はフランジを備えていて、送水器機40や送水パイプ10と連結することができる。注水部11aと吸水部11bとの合流点の内側には、送水方向へ伸延する流れ方向逆止弁18を備えている。この注水部11a側と吸水部11b側とが鋭角で合流し吐出口12の方向に対して送水部11cを形成している。注水部11a及び吸水部11bから送水部11cに変化する角度を鈍角とした構造により注水時にも吸水時にも水の流れる角度が大きく変わらないため抵抗と流速の低下を小さくすることが可能となり、合流点に備えた流れ方向逆止弁18の構造により注水部11a側から水を注水するときは吸水部11b側へ流れ込むことを防止し、吸水部11b側からの流れを注水部11a側へ流れ込むことを防止する効果がある。特に下流側への送水パイプ10の延長が長い場合や送水パイプ10が屈曲して流れに抵抗が生じた場合などは、その抵抗により流れが停滞する現象とともに別のルートに水が流れようとするためこれを防止し下流側の吐出口12の方向に水を流すことができる。注水部11aの端部には注水開閉装置70が備えられていても良く、別途開閉機能を有する注水開閉装置70が設けられていても良い。この注水開閉装置70を閉じることによっても、注水部11aからの水の流れを吸水部11bからの流れに変更することができる。さらに、送水器機40と注水部11aとの間に配置する注水開閉装置70に代わり、図7に示すように、サニーホースなどの柔軟なホースの両端に連結部材22を備えた注水連結装置20を配置することもできる。柔軟なホースを使用した場合、送水器機40の送水作業をやめると、サニーホースなど柔軟なホースで構成される注水連結装置20の内部の水圧と外部の気圧との圧力差により、柔軟なホースの断面が萎んで閉塞状態とすることができる。そのため人力による開閉作業等を省略することができる。さらにこの閉塞状態にある柔軟なホースを密閉状態に挟むことができる注水連結装置挟持具21を使用することで空気や水が流れるのをより確実に遮断することができる。こうして、注水作業遮断後に空気が注水部11aから送水パイプ10に吸気されてサイフォン作用が停止されることを防止することができるため、注水連結装置20から送水器機40を外すことができる。この際に、注水連結装置20を取り付ける機構としては、図7Cに示すように、サニーホースなど柔軟なホース部材で構成された注水連結装置20の通水部材の両端面に貫通孔25を有する連結部材22を形成し、注水部11a、送水器機40、送水パイプ等の端面にも同様の連結部材22を設け、これら連結部材22を貫通孔25の位置を揃えて重ね合わせた状態でボルトとナットを使用して固定する方法でもよい。また、接続用クリップ23の一部である挿入部を貫通孔25に挿入した状態で2つの連結部材22を挟み込むことができる接続用クリップ23の一部である挿入部26を挿入した後、接続用クリップ23の挟み部27をハンマー等で叩いて重ね合わした連結部材22を挟み込むことで容易に注水連結装置20を注水部11a等と連結することができる。
また、別の注水合流部材11としては、図8に示すように略T字型を成し、注水部11aを有する注水合流部材11の流れの分岐部には、注水された水を高水位域側又は低地域側への送水を切換可能な送水方向切換装置19を備えているものであってもよい。送水方向切換装置19は、送水方向切替レバー19bを移動させることによって送水方向切換弁19aの位置をα側又はβ側に切り替えることができ、送水方向を切り替えることができる。例えば、送水方向切換弁19aがαの位置に配置されている場合は、注水部11aから注水された水はα’の方向へ送水され、βの位置に配置されている場合は、注水部11aから注水された水はβ’の方向へ送水されることになる。さらに、γの位置に配置されている場合は、送水方向切換弁19aが収納されている状態であり、両側へ水を送水することができたり、送水パイプ10内の一定の範囲が満水状態となった場合は注水部11aからの注水を遮断することでα側からβ側、又はβ側からα側の一方向のみに送水作業を続けたりすることができる。
さらに、送水パイプ10には、図1に示すように、注水合流部材11より下流側には空気弁14が間隔を開けて複数設けてもよい。サイフォン作用による最大排水量は、各揚程の高さに応じた最適水頭差に配管することにより決定される。貯留部90の水位が変化すると同時に揚程が変化する。変動する水頭差に応じて最大排水量を確保するためには最適な水頭差になるよう送水パイプ10の吐出口12を移動したり、送水パイプ10の延長を変化させたり新たな配管作業が必要となる。しかし、送水パイプ10に間隔を空けて空気弁14を設けることで、送水パイプ10はそのままで各揚程の高さで決まる最大排水量を確保するために最適の水頭差に変化させることができる。すなわち、貯留部90の水位が上昇し揚程が小さくなったら、空気弁14を上部から下部に向かって順次閉じて最適な水頭差となる高さ以下の空気弁14を開口する方法をとることで新たな配管作業をしなくても最適な水頭差とすることができる。また、水位が下降し揚程が大きくなったら最適な水頭差は小さくなるため閉じてある空気弁14を下から順次最適な水頭差となる高さの空気弁14までを開けて新たな配管作業をしなくても最適な水頭差とすることができる。空気弁14の開口の大きさが送水パイプをサイフォン作用から解放する程度の十分な空気を吸入することができる大きさ(例えば送水パイプ10の直径の1/4以上の大きさ)の空気弁であれば、全部の空気弁14を閉じた状態としておいて最適な水頭差となる位置の空気弁のみ開けることにより大気に開放した吐出口と同様な状態にすることができる。これにより、貯留部90の水位が変化した場合であっても空気弁14の開け閉め作業のみにより水頭差をそれに対応させて最適な水頭差に変化させることができる。具体的には、図9に示すように、揚程Aの場合には、最適な水頭差はaとなり、揚程Bの場合には、最適な水頭差はbとなり、揚程Cの場合には、最適な水頭差はcとなるという具合に最適な水頭差は貯留部の水位の変動に伴う揚程の高さによって変化するが、送水パイプ10に複数の空気弁14を設けておくことで最適な水頭差を容易に選択することができる。
送水器機40は、注水合流部材11の注水部11aから低地域側の送水パイプ10内へ注水し、吐出口12から水が排水された状態のまま送水パイプ内10内を満水にすることが可能な装置である必要がある。送水器機40としては例えば、国や自治体が所有する災害対策車両の排水ポンプ車、消防車その他水中ポンプ等の給排水能力を備えた車両の揚水器機であってもよい。土砂ダムなどの災害が発生した現場へ乗り入れることが可能な道路条件や地形的条件が満たされている場合は、動力で稼働する排水ポンプ車などの大量給排水機能を活かして直接に注水合流部材11の注水部11aと連結して送水パイプ10内へ注水し、サイフォン作用を起動させることができる。
そのような大量の給排水能力を有する送水器機40が搬入不可能な場合には、送水器機40としては、図1に示すように、貯水タンク40を使用するとよい。貯水タンクを使用した送水器機40は、貯水タンク40内に給水した水自体の重さである水圧を利用して送水パイプ10内に注水を圧送するものであり、少なくとも注水合流部材11より低地域側の送水パイプ10内を満水にすることが可能な水量と高さを有し、かつ満水状態を維持できる水勢を与えることができる程度の大きさを有する必要がある。ここで貯水タンク40の高さについて触れると、注水合流部材11から下流の地形が注水合流部材11より高い地点がある場合、つまり送水パイプ10の全敷設間の延長の中で最高地点より上流側で貯水タンク40を注水合流部材11に接合してサイフォン送水装置100を敷設する場合は、この最高地点よりも高い位置に貯水タンク40と注水合流部材11を設置し直すか、貯水タンク40の容積がこの下流側の最高地点の高さより上の容積で注水合流部材11から下流の送水パイプ10内を満水にできるに十分な容積を備えていることが必要である。なお、貯水タンク40は、複数の貯水タンク組立用部材41を組み合わせて大容量の貯水タンク40となるような構成にすれば、現場に搬入し易いものとなる。具体的には、貯水タンク組立用部材41は、フレキシブルな素材を使用した折り畳み自由で貯水した場合の水圧荷重にも耐える部材を使用したり、複数の貯水タンク組立用部材41を組み合わせて大容量のタンクとしたりすることができるものを使用することが好ましい。例えばコンクリート構造物を構築する際の鋼製メタルフォーム(型枠材料)などであれば、人力運搬が可能な範囲に分割して行うことができ、災害箇所の送水パイプ10の規模にその都度毎に応じて必要な貯水タンク40の大きさに組み立てることが自由にできるなど利便性が高いため有効である。なお、型枠用メタルフォームの接合部の構造はコンクリートを打設する際に空気や余分な水分を排出するために密閉状態ではないため、組み立てた貯水タンクを水密状態とするためブルーシートなどの遮水部材を用いて貯水タンク内面を覆うと一層水密性が向上する。
貯水タンク組立用通水部材60Aの一部には通水用開口部60Bを有して成り、併せて通水量調節用開閉弁60が設けられ、注水合流部材11へ注水される水の供給、停止及び水量を調整することができるものであってもよい。通水量調節用開閉弁60は、例えば、図10に示すように、送水器機となる貯水タンク40と注水合流部材11の注水部11aとを連結する場合には通水量調節用開閉弁60を備えた貯水タンク組立用通水部材60Aをメタルフォームなど貯水タンク組立用部材41とともに貯水タンク40の組立に用いることで注水開閉装置70の機能に近い開閉部を備えた貯水タンク40として組み立てることができる。この通水量調節用開閉弁60は上端が蝶番62で回動可能に固定され、通水量調節用開閉弁60の下方に滑車63が形成されている。例えば、この滑車63には一方が固定されたケーブル64が架設されており、固定された側の反対側のケーブル64を引くことで、滑車63は動滑車として機能して2分の1の力で通水量調節用開閉弁60を開けることができる。通水量調節用開閉弁60の周囲には、ボルト固定孔65が複数形成されており、このボルト固定孔65を利用して注水部11aのフランジ、又は注水部11aの手前に設け、より通水の遮断性が高い注水開閉装置70のフランジと固定することができる。貯水タンク組立用通水部材60Aを通水用開口部60Bと通水量調節用開閉弁60等を設けた構造とすることで、汎用のメタルフォームなど貯水タンク組立用部材41で貯水タンク40を組み立てる際にこの貯水タンク組立用通水部材60Aを組み合わせて使用することで貯水タンク40に通水用開口部60Bと通水量調節用開閉弁60を容易に設けることが可能となる。
また、通水量調節用開閉弁60の別実施形態として、図11に示すように、貯水タンク組立用通水部材60Aに備えられた通水量調節用開閉弁60の固定部68は通水用開口部60Bの対向する周囲にそれぞれ設けられており、それぞれの通水量調節用開閉弁60の外側が回動可能に固定されている。これにより、通水量調節用開閉弁60が閉じているときは2カ所の固定部を境としてその両方に通水用開口部60Bの流れによる水圧がかかっているが、通水量調節用開閉弁60を開けようとする場合は外周の2カ所で通水量調節用開閉弁60が回動可能に固定されているため、一方側を流れの方向とは逆の方法に逆らってケーブル64を引いた(a方向)場合、通水量調節用開閉弁60の他方は流れの水圧に押されて開く方向に通水量調節用開閉弁60が回動するためケーブル64を緩める(b方向)こととなる構造としてもよい。
また、注水合流部材11の注水部11aと送水器機40との間に、注水開閉装置70として、図12に示すように、別途開閉機能を有する装置を設けても良い。図12に記載の注水開閉装置70は、全体が筒状に形成されており、その両端にそれぞれ注水部11a及び送水器機40を取り付け可能なフランジからなる連結部材22を有している。さらに、筒の内部には外の調節レバー76と連結された通水量調節用弁71を有しており、調節レバー76によって送水器機40からの水量を調節することができる。通水量調節用弁71は平板状で良く、半球体に形成されていることで水の圧力を少なくして調節レバー76を操作しやすいようにされている。調節レバー76と連結された通水量調節用弁71は固定された蝶番で回動可能な構造とされているが、サイフォン作用には空気の流入が最も防止しなければならない事項であるためこの蝶番部分には空気の流入防止の為の空気遮断部材78が備えられている。
以上のように構成されたサイフォン送水装置100について、図1を参照して設置方法及び使用方法について説明する。まず、吸水口13を高水位域にある貯留部90に配置し、吐出口12が低地域に配置されるように送水パイプ10を設置する。そして、送水パイプ10の全延長の内に注水部11aを有する注水合流部材11を配置する。その後、この注水部11aに送水器機40を接続する。送水器機40として、図1では、貯水タンク40を使用している。貯水タンク40には注水部11aへの送水量を調整する通水量調節用開閉弁60(図10参照)が設けられている。また、注水部11aは、水を放出する際には、下流側の送水パイプ10内を一気に満水にする必要があるため、注水部11aの通水断面は送水パイプ10の口径と同じか、それ以上の大きさとなっていることが望ましい。
そして、通水量調節用開閉弁60を閉じた状態で、貯留部90の水を利用して貯水タンク40へ水を貯水する。この貯水タンク40へ水を溜める際には、バケツの水を5杯〜10杯注水することで起動可能な程度の一回り小さな貯水タンクを使用して起動できるサイフォン装置200を使用すれば、電気を使用することなく貯水タンク40に水を貯めることができる。そして、貯水タンク40内に送水パイプ10の注水合流部材11より下流側の送水パイプ10内を満水状態にすることができる水量以上の水が貯まったことを確認して貯水タンク40への貯水作業を停止する。なお、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、揚水機器等のポンプの機能が送水パイプ10内の空気を一気に押し出す程の送水量を備えているのであれば直接に送水パイプ10に連結された注水合流部材11の注水部11aへ水を注水する方法もとれる。この説明の使用方法の場合送水器機として貯水タンクを使用しているので、一旦貯水タンク40に水を貯水した後に貯水タンクに溜まった水の水圧を利用して注水合流部材11を通して送水パイプ10内に水を注水するので、送水パイプ10の口径より小さな別の揚水器機であってもそれを使用して貯水タンク40に水を貯めて送水器機として使用することもできる。そのため、小さな水中ポンプなどの揚水器機を使用した場合には小型の発電機が使用できるため、人力での運搬がより容易となり大容量の発電機などを使用する場合と比較して揚水器機を稼働させる電力量も少なくて済むことになる。
貯水タンク40へ貯水作業が完了した後、通水量調節用開閉弁60及び注水開閉装置70を全開にする。すると貯水タンク40内の水は、注水合流部材11を経由して送水パイプ10の注水合流部材11の下流側に勢いよく注水される。つまり低地域側に勢いよく流下する。この状態をしばらく続けると、少なくとも注水合流部材11より低地域側の送水パイプ10は、図13Aに示すように、吐出口12から水が排出されつつも、送水パイプ10内は流れた状態のまま満水状態が維持される(送水パイプ10内斜線部分)。最初、吐出口12を噴出してくる水は空気と混じって白い水が吐出されてくるが、送水パイプ10内が満水状態になると透明な水に変化するのが確認できる。この状態になったら、注水合流部材11に設けた注水開閉装置70を閉じて貯水タンク40から送水パイプ10への水の注水を停止する。貯水タンク40からの水の注水が止まっても下流側となる低地域の常時開口している吐出口12からは引き続き水が地球の引力に引かれて放出されるため、送水パイプ10内の満水状態の水が下流側へ流れる作用が働く。この下流側へ流れる作用により、図13Bに示すように、送水パイプ10内の空気が下流側へと引き込まれる現象とともに高水位域の吸水口13から貯留部90の水が送水パイプ10内へ吸い込まれる。そして、引き込まれた水が貯留部90の水面と同じ高さの位置にある送水パイプ10の位置Eを通過した時点で、図13Cに示すように、送水パイプ10内に自動的に水が流入するサイフォン作用が起動し始めることとなる。そして、送水パイプ10内の空気等が完全に吐出口12から排出された時点で高水位域の貯留部90の水と低地域に敷設された送水パイプ10の吐出口との間の送水パイプ10内が満水状態で繋がり完全にサイフォン作用の稼働状態が維持されることになる。
以上のように構成されたサイフォン送水装置100によれば、一旦準備が整いサイフォン作用により水を高水位から低地域に排水できるようになれば、その後は電力を必要とすることなく、自然エネルギーによって、貯留部90の水を低地域に流し続けることができる。そのため、その後発電用の燃料の搬入も補給作業も行う必要が無いことも大きな効果として特徴を持つ。これによりサイフォン送水装置の設置コスト、送水コストや送水作業の維持管理に大幅なコスト削減が可能となった。また、多くの作業員が吐出口近辺に近づいて開閉装置の開閉作業をする必要もなくなるので、安全な場所から監視することで作業員などの二次災害が防止できることとなる。
また、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100によれば、送水パイプ10の内断面形状が変化しにくい硬質なパイプを用いているので送水パイプ10が屈曲した位置で潰れたり、送水パイプ10内の水が減った場合にも大気圧により送水パイプ10の断面が潰れたりすることがなく、サイフォン作用の機能が減少する可能性を減らすことができる。
さらに、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100によれば、貯水タンク40等の大きな装置は、部材毎に分解可能であるので、人力運搬が容易であり、運搬車両や重機やヘリコプター等が侵入不可能な地域であっても、人力で運搬することができる。
さらに、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯水タンクとすることで揚水器機等のポンプから直接に送水パイプ10に水を注水するものではなく、一旦、比較的小型の揚水器機を使用して貯水タンク40に水を貯水した後に貯水された水の水圧を伴って送水パイプ10内に水を注水するので、大容量の電気を駆動源とする揚水器機を必要とすることなく、小さな別の水中ポンプなどを使用して小型の揚水器機を使用して貯水タンク40に水を溜めて使用することもできる。そのため、揚水器機に必要な電力も大容量の揚水器機を稼働させる電力量より少なくて済み、小さな発電機を使用することができる。なお、この場合に使用する貯水タンク40の形状としては送水時に水圧が高まるよう縦長の形状が好ましいこととなる。
(第2実施形態)
第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100が図14に示されている。第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、多条配管を敷設しようとする場合の1例であり、第1実施形態とほぼ同様の第1のサイフォン送水装置110と、第1実施形態に対して送水器機40を有していない第2のサイフォン送水装置120と、これらの間を連結する吸気引込用ホース50とを備えている。
第1のサイフォン送水装置110は、第1実施形態にかかるサイフォン送水装置100に対して、送水パイプ10に第2サイフォン送水装置120の送水パイプ10cの最高地点又は最高地点より下流側との間を連結する吸気引込用ホース50が連通するように取りつけられている点が異なる。この吸気引込用ホース50は送水パイプ10内との連通状態と開閉することができる第1ホース開閉部材51が設けられている。なお、この吸気引込用ホース50は、送水パイプ10の直径より小さな直径を有することが好ましい。送水パイプ10よりも太いと、吸気引込用ホース50内の空気や水を引き込む力が弱くなるからである。
一方、第2サイフォン送水装置120は、第1のサイフォン送水装置110の近傍に第1実施形態と同様の送水パイプ10を高水位域の貯留部90と低地域との間に架設してある。送水パイプ10の最高地点又は最高地点より下流側には吸気引込用ホース50の反対側の端部が連結されており、同様に送水パイプ10c内との連通状態と開閉することができる第2ホース開閉部材52が設けられている。さらに、第2サイフォン送水装置120の送水パイプ10c内には、吸気引込用ホース50との連結箇所より下流側には高水位域の貯留部90の水位より低い位置に送水パイプ10c内を開閉するパイプ内開閉弁16が設けられており、送水パイプ10内の断面を開閉することができる。
以上のように作製された第2実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、以下のようにしてサイフォンを起動される。まず、第1のサイフォン送水装置110のサイフォンを起動する。第1のサイフォン送水装置110のサイフォンの起動方法は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。第2サイフォン送水装置120は、パイプ内開閉弁16が閉塞されている状態で吸気引込用ホース50を第1のサイフォン送水装置110の第1ホース開閉部材51に連結する。この状態から第1ホース開閉部材51及び第2ホース開閉部材52を開栓する。開栓する順番はどちらでも良い。これにより、第1のサイフォン送水装置110のサイフォン作用によって、吸気引込用ホース50の空気が第1の装置110内に引き込まれていく。この引き込みによって、第2サイフォン送水装置120の送水パイプ10c内の空気が減少するため高水位域の貯留部90の水が第2サイフォン送水装置120の送水パイプ10c内へ吸い込まれていく。この吸い込まれた水で第2サイフォン送水装置120の高水位域の貯留部90に敷設した吸水口13と送水パイプ10c内を開閉するパイプ内開閉弁16との間を満水状態にしたらパイプ内開閉装置を開放すると、低地域側の吐出口12へ送水パイプ10内の水が重力により流下しパイプ内開閉弁16より下流の送水パイプ10内の空気を吐出口から排気するため、高水位域の貯留部90の水と低地域に敷設された送水パイプ10の吐出口との間の送水パイプ10内が満水状態で繋がったとき完全にサイフォン作用が起動し稼働状態が維持されることになる。こうして、第2サイフォン送水装置120は、電力を一切使用することなく、サイフォンを起動させることができる。このように起動した第1の装置又は第2サイフォン送水装置のサイフォンの流れを使用して第3以降のサイフォン送水装置の送水パイプ10cの最高地点又は最高地点より下流側に吸気引込用ホース50の端部を連結して同様の作業を繰り返すことでサイフォンによる多条配管作業を稼働することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態にかかるサイフォン送水装置100が図15に示されている。第3実施形態にかかる第1のサイフォン送水装置100は、多条配管を敷設しようとする場合のさらなる別例であり、第1実施形態とほぼ同様の第1のサイフォン送水装置110は送水器機に1つ以上の第2サイフォン送水装置の注水合流部材11に設けた注水開閉装置70との間を連結する注水用ホース53とを備えている。1つ以上の第2サイフォン送水装置120が第1実施形態と異なるのは送水器機を有していないことである。
以上のように作製された第3実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、以下のようにしてサイフォンを起動される。まず、第1のサイフォン送水装置110(1)を起動しサイフォン作用が稼働する段階となったら開閉装置Aを閉じて貯水タンク40に連結してある注水開閉装置70aを開けることでサイフォン作用の流れが送水器機である貯水タンク40の中に流れ込むためこれにより貯水タンク40を満水にする。次いで、貯水タンク40が満水になったら通水量調節用開閉弁60を開放すると注水用ホース53へ水が流れる。さらに、注水用ホース53を流れた水は、第2以降のサイフォン送水装置(2)の送水パイプ10dと連結された注水合流部材11の注水部11aに設けられた注水開閉装置70bを通して呼び水として注水される。送水パイプ10dが満水状態になったら注水合流部材11の注水部11aに設けた注水開閉装置70bを閉じることで第2サイフォン送水装置120のサイフォン送水装置(2)を起動した後、注水合流部材11の注水部11aに設けた注水開閉装置70bから注水用ホース53の注水用ホース筒先53aを取り外す。さらに、同様に第3以降のサイフォン送水装置(3)の注水合流部材11の注水部11aに設けた注水開閉装置70cに注水用ホース53の注水用ホース筒先53aを接合して同様の作業を行いサイフォン送水装置(3)のサイフォンを起動する。このような作業を第3以降のサイフォン送水装置120に順次繰り返すことで多条配管によるサイフォン排水作業を行うことができる。この実施例では送水器機として貯水タンク40を使用した例を説明しているが排水ポンプ車、水中ポンプなど吸水及び送水機能がある送水器機40であればその送水用パイプの吐出口が注水用ホース筒先53aとなるため第1のサイフォン送水装置110の注水開閉装置70aに接続して注水を行い送水パイプ10が満水状態となったら注水開閉装置70aを閉じてサイフォン送水装置110(1)にサイフォンを稼動した後は、第2以降のサイフォン送水装置120の注水合流部材11に設けられた注水部11aの注水開閉装置70bに接合して、前述した第1のサイフォン送水装置と同様に注水作業を行った後に送水パイプ10d内が満水となったら注水部11aに設けた注水開閉装置70bを閉じてサイフォン送水装置(2)のサイフォン作用を起動する作業を繰り返し行うことで多条配管によるサイフォン送水作業が可能となる。なお、注水合流部材11の注水部11aに設けられた注水開閉装置70と
いう表現をしているが注水部11aと注水開閉装置70とは別々の構造を連結して構成する物でも良く、又は一体の構造であっても良いものとする。
なお、この第3実施形態における多条配管の方法において第2サイフォン送水装置に設けられた注水合流部材11は略T字形状を表わしているが、略Y字形状をしたものであれば合流する際の水流の抵抗を軽減する効果がある。
(第4実施形態)
第4実施形態にかかるサイフォン送水装置100が図16に示されている。第4実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、硬質な送水パイプ10の下流側端部(吐出部)に折り畳み又は巻き畳み可能な柔軟な送水ホース24が接続して設けられている。柔軟な送水ホース24の吐出口は送水パイプ10の吐出口12と同じく開閉装置を備えず開口されている。送水パイプ10と柔軟な送水ホース24の接続位置は、最大排水量を確保できる基準水頭差より低地域側に設けるか、もしくは高水位域の貯留部90の水面の高さと同じかそれより低い位置より下流側に接続されているとよい。かかる位置に配置することでサイフォン作用を持続させることができるからである。送水パイプ10の最高地点に接続された注水合流部材11の注水部11aに設けた注水開閉装置70から真空ポンプを用いて送水パイプ10内の空気を送水パイプ10内から排出することで柔軟な送水ホース24は送水パイプ10内の気圧の減圧とともに内断面は閉塞密閉状態となり(図16A)、同時に減圧現象は高水位域の貯留部90の水を送水パイプ10内へ吸い込むこととなる。さらに空気の排出を続けることで吸い込まれた水は送水パイプ10の最高地点を通過して送水パイプ10の下流側に流下し柔軟な送水ホース24が閉塞密閉した箇所から水が溜まり始める(図16B)。その後、送水パイプ10の最高地点までの間に溜まった水の重量で柔軟な送水ホース24の閉塞箇所が水の重みで徐々に下がり移動を始める(図16C)。さらに、柔軟なホースの閉塞密閉部を押し伸ばして流下を始めると送水パイプ10の最高地点から下流側の送水パイプの中に残る空気を伴って流下しサイフォン作用を稼働させることができる(図16D)。この排水装置の構造においても柔軟な送水ホース24のどこにも開閉装置を備えていないため作業手順の中に開閉装置を開閉する作業は含まれず省略することできることとなる。この真空ポンプを使用した場合の注水開閉装置70の大きさは、水を一気に注水してサイフォン作用を起動する場合の大きさは必要なく、真空ポンプの機能によるが空気を徐々に排出するだけの大きさがあれば良いため開閉装置もそれに合わせた大きさとなり、例えばΦ10mmの吸気孔とそれに伴う開閉装置の構造があれば機能することができる。
(第5実施形態)
第5実施形態にかかるサイフォン送水装置100の吸水口13が図17に示されている。図17Aは、第5実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の正面模式図、図17Bは、第5実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の平面模式図、図17Cは、サイフォン送水装置100の吸水口13の側面模式図である。第5実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部90に配置される送水パイプ10の吸水口13の形態に関する。吸水口13には、スクリュー31が取り付けられている。スクリュー31は、吸水口13に吸水される水によって回転される。このスクリュー31の回転によって、湖底や川底の堆積土が水中撹拌される。水中撹拌された堆積土は水とともに吸水口13から吸引され低地域に排水される。また、スクリュー31の上方部及び両側面部にはスクリュー31を回転させる流れがスクリュー31の後方から吸水口13に流れ込まないようカバー35が設けられている。この構造とすることでスクリューの下方は堆積土となるためスクリュー31の周囲がスクリューカバー35と堆積土面で覆われ、流れはスクリュー31の前面から流れ込むためスクリュー31を回転させるに有効な流れとなる。
(第6実施形態)
第6実施形態にかかるサイフォン送水装置100の吸水口が図18に示されている。図18Aは、第6実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の正面模式図、図18Bは、第6実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の平面模式図、図18Cは、サイフォン送水装置100の吸水口13の側面模式図である。第6実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部90に配置される送水パイプ10の吸水口13の形態に関する。吸水口13には、スクリュー31が取り付けられている。スクリュー31は、吸水口13に吸水される水によって回転される。このスクリュー31の回転によって、湖底や川底の堆積土が水中撹拌される。水中撹拌された堆積土は水とともに吸水口13から吸引され低地域に排水される。第6実施形態にかかるサイフォン送水装置は、第5実施形態にかかるサイフォン送水装置100に対して、プロペラ31が2つ設けられている点及びプロペラ31が送水パイプ10の吸水口13の外側に形成されている点が異なる。この第6実施形態のようにプロペラが吸水口13の外側に配置されている場合も、撹拌堆積土が周囲に散ってしまわないように、また、スクリュー31の上方部及び両側面部にはスクリュー31を回転させる流れがスクリュー31の後方から吸水口13に流れ込まないようスクリューカバー35が設けられている。この構造とすることでスクリューの下方は堆積土となるためスクリュー31の周囲がスクリューカバー35と堆積土面で覆われ、流れはスクリュー31の前面から流れ込むためスクリュー31を回転させるに有効な流れとなる。
(第7実施形態)
第7実施形態にかかるサイフォン送水装置100の吸水口13が図19に示されている。図19Aは、第7実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の正面模式図、図19Bは、第7実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口の平面模式図、図19Cは、サイフォン送水装置100の吸水口13の側面模式図である。第7実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部90に配置される送水パイプ10の吸水口13の形態に関する。第7実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部90に配置される吸水口13が2つ配置され、吸水口13に対応してそれぞれ駆動用吸水口13a及び吸水用吸水口13bの機能を有する。駆動用吸水口13aには、スクリュー31が取り付けられている。スクリュー31は、駆動用吸水口13aに吸水される水によって回転される。このスクリュー31の回転によって、湖底や川底の堆積土は水中撹拌される。水中撹拌され浮遊した堆積土は水とともに吸水用吸水口13bから吸引され低地域に水とともに排水される。これによると駆動用吸水口13aから吸水する水の流れるエネルギーをスクリュー31の回転エネルギーに変えることで従来電気を使用した撹拌装置で堆積土を水中撹拌していた作業が電気を使用しなくても撹拌作業を行うことができる。これによれば堆積土を吸水する吸水用吸水口13bとスクリュー31を回転させる駆動用吸水口13aが分かれているため、水中撹拌され浮遊する堆積土がスクリュー31に衝突しながら吸水される確率が減少するため、スクリュー31の損傷防止の効果が発揮できる。吸水口13を2箇所設ける方法としては送水パイプ10を2本備える方法と、吸水口は2カ所設けるが吸水口の下流側で1本に合流して1本の送水パイプ10として構成する方法がある。合流する方法の場合、合流後の送水パイプの断面の大きさは2つの吸水口の断面の合計以上の大きさがあることが望ましい。また、スクリュー31の上方部及び側面部にはスクリュー31を回転させる流れがスクリュー31の後方から吸水口13に流れ込まないようスクリューカバー35が設けられて、反対側は吸水用吸水口13bで覆われる構造とすることでスクリューの下方は堆積土となるためスクリュー31の周囲がスクリューカバー35と吸水用吸水口13bで覆われるため流れはスクリュー31の前面から流れ込むためスクリュー31を回転させるに有効な流れとなる。
(第8実施形態)
第8実施形態にかかるサイフォン送水装置100が図20に示されている。図20Aは、第8実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の正面模式図、図20Bは、第8実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の平面模式図、図20Cは、第8実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の側面模式図である。第8実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部90に配置される送水パイプ10の吸水口13の形態に関する。第8実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部90に配置される送水パイプ10の吸水口13が複数配置され、吸水口に対応してそれぞれ駆動用吸水口13a及び吸水用吸水口13bを有する。駆動用吸水口13aには、駆動用スクリュー34が取り付けられている。駆動用スクリュー34は、駆動用吸水口13aに吸水される水によって回転される。一方、吸水用吸水口13bは、駆動用吸水口13aから離れた位置に設けられている。吸水用吸水口13bには堆積土撹拌用部材32が設けられており、駆動用吸水口13aの駆動用スクリュー34のスクリュー回転により得られた回転エネルギーは連動部材33を伝わり吸水用吸水口13bより前方に備えられた堆積土撹拌用部材32を稼働させることができる。この堆積土撹拌用部材32で湖底又は川底などに堆積する堆積土を水中撹拌して吸水用吸水口13bから撹拌され浮遊する堆積土とともに吸水し低地域に排水することができる。これによれば水中撹拌され浮遊する堆積土の吸水は吸水用吸水口13bで行われるため、吸水用吸水口13bから離れた位置に設けられた駆動用吸水口13aから浮遊する堆積土を吸水する確率が大きく減少するため駆動用吸水口13aで回転する駆動用スクリュー34の損傷防止に大いに役立つ構造となる。この構造においては、送水パイプ10を吸水口13の数と同じ本数設ける方法と、吸水口13は複数設けるが吸水口13の下流側で吸水口の個数以下の送水パイプ10の本数となるよう合流して構成する方法がある。吸水口を下流で合流する方法の場合、合流後の送水パイプ10の断面の大きさは合流する吸水口の個数の合計断面以上の大きさがあること望ましい。また、駆動用スクリュー34の周囲が駆動用吸水口13aのパイプ内であるため流れは駆動用スクリュー34の前面から流れ込むため駆動用スクリュー34を回転させるに有効な流れとなる。
(第9実施形態)
第9実施形態にかかるサイフォン送水装置100が図21に示されている。図21は、第9実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の側面断面図である。第9実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部に配置される送水パイプ10の吸水口13の形態に関する。第9実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部90に配置される送水パイプ10の吸水口13に取付ける斜め開口形成用吸水口部材13Aであり、開口面が斜め上方側に向いて形成されているとともに、開閉蓋13Abが設けられている。吸水口13を斜めに形成するには、送水パイプ13の端部自体を斜めにカットしてもよいが、設置する際に、開口面の角度を調整しづらいため、図21に示すように、斜め開口形成用吸水口部材13Aを別途作製し、送水パイプ10の吸水口13に取り付けてもよい。かかる構成を採用することで、吸水口13を確実に斜め上方へ向けることができる。なお、図21においては、ボルトとナットで固定するものとしてあるが、送水パイプ10の内面と斜め開口形成用吸水口部材13Aの筒状部13Aaにネジをきって直接螺合させてもよい。さらに斜め開口形成用吸水口部材13Aには、フロート81を繋ぐためのフロート取付部13Aeを備えており、蝶番によって斜め開口形成用吸水口部材13Aと回動可能に設けられている開閉蓋13Abを有する。そのため、図22A、Bに示すように、水面が上昇すれば、フロート81も上昇するため、開閉蓋13Abを引き上げて開くことができ、開閉蓋13bを引き上げられない程度まで水面が下降すれば開閉蓋13Abは、図22Cに示すように、吸水口13を閉めることとなる。この効果により、ある一定の水位以下になれば、開閉蓋は、自重により閉まるので吸水が止まり、送水を自動的に停止することができる。送水作業の一時停止状態は、送水ホース10内は満水状態のままであり、水の移動が止まった状態となって、いつでもサイフォン作用を再開できる状態となっている。従って、水面の水位が再び上昇すると、それに伴ってフロート81が上昇して開閉蓋13Abを引き上げて開放状態とするため吸水作業が再開され、それに伴って送水パイプ内の水が下流側へ移動するためサイフォン作業が自動的に始まり送水作業が再開することになる。
(第10実施形態)
第10実施形態にかかるサイフォン送水装置100が図23に示されている。図23は、第10実施形態のサイフォン送水装置100の吸水口13の側面断面図である。第10実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部に配置される送水パイプ10の吸水口13の形態に関する。第10実施形態にかかるサイフォン送水装置100は、貯留部に配置される送水パイプ10の吸水口13の底面側、側面側を覆うようにカバー部13fが設けられている点が異なる。かかる構成を採用することによって、吸水口13の先端を湖底や川底に投入した際に、その先端が底部に対し、直角又は斜めに突き刺さる角度で投入したとしても、カバー部13fが底に当接した状態となって、吸水口13は底面に直接接しないため、吸水口を開放した状態で設置することができ、投入時に吸水口13からドロや小石を急激に吸い込んで吸水口が詰まってしまう状態とならないように設置することができ、この状態で新たに流出して来る水や土砂を吸水しながら、送水作業を実施することができる。なお、カバー部13fは、図23Bに示すように、吸水口13に取り付ける斜め開口形成用吸水口部材13Aに取り付けてもよい。第9実施形態における開閉蓋13Abを備えた斜め開口形成用吸水口部材13Aと組み合わせてもよい。
(第11実施形態)
第11実施形態にかかるサイフォン送水装置の送水パイプ10又は注水合流部材の注水部11aとに使用する接続補助部材30が図24に示されている。口径が異なり連結できない送水パイプ10同士又は注水合流部材の注水部11aとの連結部を覆って通水させるためのフレキシブでしかも7気圧以上の内部からの水圧にも耐えられる筒状部材30aであって、柔軟で引っ張り強度に強い素材から成る筒状部材30aの両側開口部からそれぞれ口径が異なる送水パイプ10又は注水合流部材の注水部11aを挿入し、連結部が相向き合った状態でそれぞれの送水パイプ又は注水部11aの首元で筒状部材30aの外側から送水パイプと共に締付ける締付け部材30bにより締付けることで水密性を高めて通水してもよい。
φ200mmの直径のサクションホースを有する全長約60mの送水パイプ10を使用して、第1実施形態と同様の装置を敷設した。送水パイプが天端を通過する位置(送水パイプの最も高い位置にある部分)をクレーンで段階的に持ち上げた高さと、貯留部の水面との高さの差=揚程がどの程度まで最大排水量を維持できるかの実験を行った。限界となる揚程の高さの確認と頂部圧力の測定実験結果を図25に示す。これによると、最大排水
量を維持できる限界の揚程の高さは7mであることがわかる。
次に、揚程が3m、5m及び7mにおいて、送水パイプの全長(配管延長)の長さに対し、それぞれの最多排水量を確保できる基準水頭差を測定した。かかる測定結果を図26に示す。(実際には小数点の数値があるが数値は整数で記載されている)かかる測定結果によると、揚程7mの場合に最多排水量約7m/minを確保するには、配管延長60mで基準水頭差6mであり、延長が20m増加するごとに、最適な基準水頭差は10m、10m、12m、14m、15m、15m必要であることがわかる。揚程5mの場合に最多排水量約9m/minを確保するには、60mで基準水頭差12mであり、以降延長が20m増加するごとに、14m、16m、20m、22m、24m、28m、30m必要であることがわかる。揚程差3mの場合に最多排水量約12m/minを確保するには、60mで基準水頭差20mであり、以降延長が20m増加するごとに、24m、30m、34m、38m、42m、44m、46m必要であることがわかる。この結果、高水位域の貯留部90の水位の変動に伴う揚程の変化にサイフォン排水装置の水頭差をその揚程に応じた基準水頭差にして対応することで最多の排水量を確保することができる。
上述した実施の形態で示すように、河川、湖沼、土砂ダムや氷河湖等の貯留部の水を安全に安価に効率よく排水する装置として利用することができる。
10…送水パイプ、10c…送水パイプ、10d…送水パイプ、11…注水合流部材、11a…注水部、11b…吸水部、11c…送水部、12…吐出口、13…吸水口、13A…斜め切口形状の吸水開口部材、13Aa…吸水口に取り付ける筒状部、13Ab…開閉蓋、13Ae…フロート取付部、13a…駆動用吸水口、13b…吸水用吸水口、14…空気弁、15…筒状部材、15a…伸縮バネ状部材、15b…筒状部材押し広げ部、15c…第2伸縮バネ状部材、15d…第2筒状部材押し広げ部、16…パイプ内開閉弁、18…方向逆止弁、19…送水方向切換装置、19a…送水方向切換弁、19b…送水方向切替レバー、20…注水連結装置、21…注水連結装置挟持具、22…連結部材、23…接続用クリップ、25…貫通孔、26…挿入部、27…挟み部、31…スクリュー、32…堆積土撹拌用部材、33…連動部材、34…駆動用スクリュー、35…スクリューカバー、40…送水器機、41…貯水タンク組立用部材、50…吸気引込用ホース、51…第1ホース開閉部材、52…第2ホース開閉部材、53…注水用ホース、53a…注水用ホース筒先、60…通水量調節用開閉弁、60A…貯水タンク組立用通水部材、60B…通水用開口部、62…蝶番、63…滑車、64…ケーブル、65…ボルト固定孔、68…固定部、70…注水開閉装置、70a…注水開閉装置、70b…注水開閉装置、70c…注水開閉装置、71…通水量調節用弁、76…調節レバー、78…空気遮断部材、80…塵吸込防止部材、81…フロート、83…浮遊物、85…接続補助部材、85a…筒状部材、85b…締付け部材、90…貯留部、91…水面位置、100…サイフォン送水装置、110…サイフォン送水装置、120…サイフォン送水装置、(1)…サイフォン送水装置、(2)…サイフォン送水装置、(3)…サイフォン送水装置、200…サイフォン装置。

Claims (31)

  1. 高水位域にある貯留部の水又は、水及び土砂を前記高水位域より低所に位置する低地域に移動させるサイフォン送水装置であって、
    断面形状を保持可能なパイプ状部材からなり、前記低地域と前記高水位域との間に架設され、それぞれ高水位域側に開口された吸水口を低地域側に開口された吐出口を有する送水パイプと、
    前記送水パイプに連結され、送水器機と連結可能な少なくとも1カ所以上の注水開閉装置を備え又は注水開閉装置を取り付け可能な注水部を備えた注水合流部材とを、備えていることを特徴とするサイフォン送水装置。
  2. 前記送水器機は、貯水タンクからなり、
    前記貯水タンクは、敷設した前記送水パイプの最高地点及び最高地点より下流側で設置され、
    前記貯水タンクの容積は、接続した前記注水合流部材から前記吐出口までの前記送水パイプ内の容積より大きく形成されており、かつ前記送水パイプ内の空気を押し出して前記送水パイプ内を満水状態にできるに十分な容量を備えていることを特徴とする請求項1に記載のサイフォン送水装置。
  3. 前記貯水タンクは、敷設した前記送水パイプの最高地点より上流側で最高地点より低い箇所に設置されてなり、
    前記貯水タンクの容積は、最高地点より高い部分の前記貯水タンクの容積だけで接続した前記注水合流部材から前記吐出口までの前記送水パイプ内の空気を押し出して前記送水パイプ内を満水状態にするのに十分な容量を備えていることを特徴とする請求項2記載のサイフォン送水装置。
  4. 前記注水合流部材は、前記送水器機からの水が注水される注水部と、前記貯留部からの水が吸水される吸水部と、前記注水部又は前記吸水部からの水を排出する送水部とを備え、
    前記吸水部と前記注水部とが合流する略T字型又は略Y字型の形状を有してなり、前記合流部において、前記注水部側からの水の流れと、前記吸水部側からの水の流れとを切替え可能な切替弁を有してなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  5. 前記送水器機は、排水ポンプ車、水中ポンプ、消防車など電気や燃料を動力源として稼働する送水器機であることを特徴とする請求項1又は4に記載のサイフォン送水装置。
  6. 前記注水部から注水された水によって満水とされる前記送水パイプの前記注水合流部材より下流側の長さが、前記送水パイプの高水位域側の前記貯留部の水面位置から前記低地域側の同一高さにある前記送水パイプの位置までの距離よりも長いことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  7. 前記注水部から注水された水によって満水とされるパイプの長さが、前記送水パイプの高水位域側の前記貯留部の水面位置から前記低地域側の同一高さにある前記送水パイプの位置までの距離の2倍以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  8. 前記高水位域側の前記貯留部の水位と前記送水パイプとの最高位置との揚程差が7m以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  9. 前記送水パイプには、水頭差調整用の空気弁を複数備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  10. 前記送水パイプには、最大排水量を確保できる基準水頭差より低地域側に開閉装置を備えない柔軟な送水ホースが接続されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  11. 前記開閉装置を備えない柔軟な送水ホースは、前記高水位域の前記貯留部の水面の高さと同じかそれより低い位置より下流側に接続されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  12. 前記送水パイプは、フレキシブルな素材で構成される筒状部材と、
    前記筒状部材内に配置され、先端に球状、フットボール状又は円錐状に形成された筒状部材押し広げ部を有する内側断面形状を維持できる筒状部材の内径よりやや小さな直径を有する伸縮バネ状部材と、
    を備えたことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  13. 前記貯水タンクは、組立用通水部材から構成されており、
    前記組立用通水部材の一部に通水用開口部を設ける共に通水量調節用開閉弁が備えられて構成されており、
    貯水タンク組立用部材とともに使用して前記貯水タンクを組立てることで、前記貯水タンクに前記通水量調節用開閉弁を備えた通水部を設けることができ、前記通水量調節用開閉弁は、前記貯水タンク内の水を吐出する量を調節可能であり、前記貯水タンクの前記通水用開口部外周の一部に蝶番で回動可能に固定部が設けられ、かつ蝶番の対向部に滑車が設けられていることを特徴とする請求項2から4、6から12のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  14. 前記固定部は前記注水開閉装置の中心にそれぞれ設けられており、それぞれ前記通水量調節用開閉弁の外側が開閉するように回動可能に固定されていることを特徴とする請求項13に記載のサイフォン送水装置。
  15. 前記注水開閉装置は前記注水部又は前記送水器機に取り付け可能であり、全体が筒状に形成されており、その両端にそれぞれ前記注水部又は前記送水器機に取り付け可能な部材形状を有し、かつ筒状の内部には筒状の外の調節レバーによって水量を調節可能な前記通水量調節用弁を有し、前記通水量調節用弁の形状は平板状又は半球体に形成されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  16. 前記注水部と前記送水器機との間に配置される通水部は、柔軟なホースの両端に連結部材が備えられた注水連結装置を備えていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  17. 前記注水連結装置は柔軟なホース部を挟む挟持具を備えたことを特徴とする請求項16に記載のサイフォン送水装置。
  18. 請求項1から17のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置と、
    高水位域の貯留部と低地域との間に敷設され、サイフォン送水装置は注水合流部材と注水開閉装置と送水器機を備えた前記サイフォン送水装置と、同様に敷設され送水器機を備えない1又は2以上の第2サイフォン送水装置とを備え、
    前記前記サイフォン送水装置のサイフォン送水機能が稼働した後に前記サイフォン送水装置の送水機能で第2サイフォン送水装置の注水合流部材の注水部から注水して、第2サイフォン送水装置の送水パイプのうち注水合流部材より下流の送水パイプ内を満水とした後に注水合流部材に設けた注水口開閉装置を閉じて第2サイフォン送水装置にサイフォン作用による送水機能を稼働させることを特徴とするサイフォン送水装置。
  19. 柔軟なホースの両端に注水部及び送水器機と接続する接続部を備えており、
    前記接続部は、それぞれ貫通穴が形成されており、前記送水パイプの前記接続部同士を重ねて孔の位置を揃え、その重なった孔に接続用クリップの挿入部を挿入した後、2枚の前記接続部を重ねた状態で前記接続用クリップの挟み部に2枚の前記接続部を挟み込むためハンマーなどで叩いて挟み込んで接続されていることを特徴とする請求項16に記載のサイフォン送水装置。
  20. 高水位域にある貯留部の水をサイフォン送水装置に吸水する前記吸水口は、前記吸水口の周囲を覆うように、前記吸水口の面積以下の大きさの網目を有する塵吸込防止部材が設けられていることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  21. 高水位域にある前記貯留部に配置する前記送水パイプの前記吸水口は常に開口していることを特徴とする請求項1から請求項19に記載のサイフォン送水装置。
  22. 前記吸水口には、吸い込まれる水の流れにより回転されるスクリューを備えており、
    前記スクリューの回転により湖底又は川底などの堆積土を水中撹拌しながら撹拌された堆積土と水を共に前記吸水口から吸水することを特徴とする請求項21記載のサイフォン送水装置。
  23. 前記吸水口を有する前記送水パイプが複数配置され、
    前記吸水口は、前記スクリューを有する駆動用吸水口と、主として吸水を行う吸水用吸水口とからなり、
    前記スクリューの回転により、湖底又は川底などに堆積する堆積土を水中撹拌しながら前記駆動用吸水口以外の前記吸水用吸水口から撹拌された堆積土とともに吸水することを特徴とする請求項21又は22に記載のサイフォン送水装置。
  24. 前記吸水口を有する前記送水パイプが複数配置され、
    前記吸水口は、前記スクリューを有する駆動用吸水口と、主として吸水を行う吸水用吸水口とからなり、
    前記吸水用吸水口には、前記駆動用吸水部のスクリュー回転により得られた回転が連動部材を介して回転する堆積土撹拌用部材を備えてなり、
    前記堆積土撹拌用部材により、湖底又は川底などに堆積する堆積土を水中撹拌しながら前記吸水用吸水口から撹拌された堆積土とともに吸水することを特徴とする請求項21から23のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  25. 前記スクリューの外周部において前記スクリューと前記吸水口との間から水の流れを防止するスクリューカバーが設けてあることを特徴とする請求項22から24のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  26. 前記吸水口の開口部に斜め切口形状の吸水開口部材が取り付けられ、吸水開口面が斜めに切断された状態に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項21のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  27. 前記吸水口の開口部に取付けた斜め切口形状の吸水開口部材には、フロートを繋ぐためのフロート取付部を備えており、かつ水位が上昇するとフロートによって開口し、水位が低下すると閉塞するように蝶番で斜め切口形状の吸水開口部材の開口に取り付けられて開閉蓋が形成されていることを特徴とする請求項1から21又は請求項26のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  28. 前記吸水口には、前記吸水口から湖底又は川底の堆積物の吸いこみを防止するために少なくとも吸水口の底面側又は底面側と側面側をカバーするカバー部材を備えていることを特徴とする請求項1から21、請求項26又は27のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置。
  29. 請求項1から28のいずれかに記載のサイフォン送水装置に使用する口径が異なり連結できない送水パイプ同士の連結部を接続して通水させるための接続補助部材であって、
    フレキシブ又は伸縮性があり、少なくても7気圧以上の内部からの水圧にも耐え得る素材からなる筒状部材の両側開口部からそれぞれ口径が異なる送水パイプを挿入し、連結部が相向き合った状態でそれぞれの送水パイプの首元で筒状部材の外側から送水パイプを共に締付ける締付部材により締付ける接続補助部材により連結された送水パイプを使用したことを特徴とするサイフォン送水装置。
  30. 請求項10又は11のいずれかに記載のサイフォン送水装置において、
    前記送水パイプの最高地点に接続された前記注水合流部材の前記注水部から前記送水器機の代わりに真空ポンプを用いて前記送水パイプ内の空気を前記送水パイプ内から排出することで前記送水パイプ内の気圧を減圧して上流側の前記貯留部の水を前記送水パイプ内へ吸い込み、さらに、空気の排出を続けることで吸い込まれた水が最高地点を通過して前記送水パイプの下流側に流下し柔軟なホースが真空ポンプの減圧効果により閉塞状態となった位置に水が溜まり、溜まった水の重量で柔軟なホースの折れ曲がり部を押し伸ばして流下を始めることで送水パイプの最高地点を含んで送水パイプ内に残る空気を伴って流下することでサイフォン作用を稼働させることを特徴とする送水方法。
  31. 請求項1から29のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置を使用した送水方法において、
    注水合流部材に備えた注水部から水を注水し、注水合流部材から下流側だけの送水パイプ内の空気を注水により吐出口から押し出して送水パイプ内が満水状態で流下するのに十分な水量を注水部から注水し、
    満水状態で流下するのが確認できた後に注水部からの注水を停止することによって、引き続き水が吐出口から排水される際に注水合流部材から上流側の送水パイプ内の空気が下流側に引き込まれることによって、高水位域の水が送水パイプ内に吸い込まれることにより、サイフォン作用を起動させることを特徴とする請求項1から29のいずれか1項に記載のサイフォン送水装置を使用した送水方法。


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