JP2014196524A - 銅系摺動材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 Cu合金マトリクスに分散したBi相中に初晶Ag相を分散することにより、耐焼付き性に優れた銅系摺動材料を提供する。【解決手段】 Cu合金層3のCu合金マトリクス4中にBi相5が分散した銅系摺動材料において、Bi相5中に初晶Ag相6が分散することで、摺動時の発熱により摺動面近傍のBiが溶融しても、Cu合金層3から摺動面と相手軸の表面との隙間への流出を抑制する。また、初晶Ag相6は、延性が高いことから、摺動面の初晶Ag相6が相手軸の表面と接触しても塑性変形するため、摺動面で初晶Ag相6が凸状に突出した形態とはならず、耐焼付き性に優れている。【選択図】 図2

Description

本発明は、耐焼付き性に優れた銅系摺動材料に係り、特に自動車、産業機械等における半割軸受、ブシュ、スラストワッシャ等の材料として好適な銅系摺動材料に関する。
従来、すべり軸受に使用される銅系摺動材料は、連続焼結法により製造されるのが一般的である。この連続焼結法とは、帯鋼上にCu合金粉末を連続的に散布し、焼結、圧延を連続的に施す製造方法である。また、銅系摺動材料には、耐焼付き性を向上させるため、BiやAgを添加した焼結Cu合金を使用するものが提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開平9−249934号公報 特開平10−330868号公報 WO2008/140100 特開2001−220630号公報 特開2001−81523号公報
上記した先行技術文献のうち、まず、特許文献1の銅系摺動材料は、AgやBiをCu合金マトリクスに固溶させており、これら成分の二次相がCu合金マトリクス中に実質的に形成されていない。この銅系摺動材料は、特に、Biを二次相としてCu合金マトリクス中に分散した形態で含有していないため、摺動時に焼付きに至る場合がある。
また、特許文献2の銅系摺動材料は、BiまたはBi合金からなるBi相をCu合金マトリクス中に分散した形態で含有している。また、特許文献3の銅系摺動材料は、AgとBiとからなるAg−Bi共晶相をCu合金マトリクス中に分散した形態で含有している。しかしながら、これらの銅系摺動部材は、摺動時の発熱により、摺動面近傍のBiまたはBi合金からなるBi相や、Ag−Bi共晶相が溶融し、流出してしまい、耐焼付き性の低下が起こる。
また、特許文献4の銅系摺動材料は、Cu合金マトリクス中にPb相やBi相が分散し、Pb相やBi相の周り(Pb相やBi相とCu合金マトリクスとの境界部)に金属間化合物を分散させている。そして、Pb相やBi相の周りに金属間化合物が分散することで、摺動時の発熱によってもPbやBiの流出が金属間化合物によって阻止され、耐焼付き性が向上すると記載されている。
また、特許文献5の銅系摺動材料は、Cu合金マトリクス中にBi相が分散し、このBi相に硬質粒子を混在させている。そして、Bi相に硬質粒子が混在することで、摺動時の発熱によってもBiの過度の流出が硬質粒子によって阻止されるだけでなく、軟質なBi相がクッションとなり、摺動面に露出している硬質粒子による相手材に対するアタック性が緩和されると記載されている。
しかしながら、特許文献4,5の銅系摺動材料は、硬い金属間化合物や硬質粒子(無機化合物粒子)により摺動時の発熱によるBi相の流出を抑制しているが、摺動時において、摺動面に露出する金属間化合物や硬質粒子は、相手軸の表面と接触しても摩耗し難く、延性が極めて低いために塑性変形も起き難くなっており、一方、摺動面でのCu合金マトリクス部分は、金属間化合物や硬質粒子に比べれば摩耗が起きやすくなっている。このため、図5に示すように、Cu合金層13の摺動面では、Cu合金マトリクス14に対して金属間化合物や硬質粒子16が凸状に突出した形態となる。そして、摺動面で凸状に突出した金属間化合物や硬質粒子16のみが、相手軸17の表面と接触するようになると、局所的に発熱を起こし、焼付きに至る場合がある。
本発明は、上記した事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、Cu合金マトリクスに分散したBi相中に初晶Ag相を分散することにより、耐焼付き性に優れた銅系摺動材料を提供することにある。
上記した目的を達成するために、請求項1に係る発明においては、鋼裏金層及びCu合金層からなる銅系摺動材料であって、前記Cu合金層は、Biの含有量が1〜20質量%、Agの含有量が0.05〜5質量%、Snの含有量が0.5〜15質量%、残部がCu及び不可避不純物からなる銅系摺動材料において、前記Cu合金層は、Cu合金マトリクスと該Cu合金マトリクス中に分散した粒状のBi相とからなり、前記Bi相中に初晶Ag相が分散していることを特徴とする。
請求項2に係る発明においては、請求項1記載の銅系摺動材料において、前記Bi相に対する前記初晶Ag相の体積率が0.02〜5%であることを特徴とする。
請求項3に係る発明においては、請求項1又は請求項2記載の銅系摺動材料において、前記初晶Ag相の平均粒径が0.2〜10μmであることを特徴とする。
請求項4に係る発明においては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銅系摺動材料において、前記Cu合金層は、Pを0.01〜0.5質量%含有することを特徴とする。
請求項5に係る発明においては、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の銅系摺動材料において、前記Cu合金層は、Ni、Zn、Fe、Inからなる群の中から少なくとも1種以上を総量で0.1〜40質量%含有することを特徴とする。
請求項1に係る発明においては、図1及び図2に示すように、銅系摺動材料1は、鋼裏金層2及びCu合金層3からなり、Cu合金層3は、Cu合金マトリクス4と該Cu合金マトリクス4中に分散した粒状のBi相5とからなり、Bi相5中に初晶Ag相6が分散するようにした。このBi相5中に分散した粒状の初晶Ag相6は、摺動時の発熱により摺動面近傍のBiが溶融しても、Cu合金層3から摺動面と相手軸7の表面との隙間への流出を抑制する。また、図3に示すように、初晶Ag相6は、延性が高いことから、摺動面の初晶Ag相6が相手軸7の表面と接触しても塑性変形するため、摺動面で初晶Ag相6が凸状に突出した形態とはならず、耐焼付き性に優れたものとなっている。
Biは、Cu合金層3のCu合金マトリクス4中に粒状のBi相5として分散しており、Cu合金層3の耐焼付き性を高める。また、請求項1に係る発明においては、Cu合金層3にBiを1〜20質量%含有させているが、Biの含有量が1質量%より少ないと、耐焼付き性の向上に寄与せず、一方、20質量%を超えると、Cu合金層3の強度が低下してしまう。なお、Bi相5の平均粒径は、1〜50μmであればよく、より好ましくは、1〜10μmの範囲である。
また、Agは、Bi相5中に初晶Ag相6の粒の形態で分散しており、Cu合金層3からのBi相5の流出を抑制する効果がある。また、請求項1に係る発明においては、Cu合金層3にAgを0.05〜5質量%含有させているが、Agの含有量が0.05質量%より少ないと、Bi相5中に分散した初晶Ag相6の割合が低くなり過ぎ、Bi相5の流出を抑制する効果が十分得られない。一方、Agの含有量が5質量%を超えると、Bi相5中に分散した初晶Ag相6の割合が高くなり過ぎ、Cu合金層3の耐焼付き性が低下してしまう。なお、Bi相5に対する初晶Ag相6の体積率は、0.01〜10%であればよく、この範囲であると、Bi相5の流出を抑制する効果があり、また、Bi相5に対する初晶Ag相6の割合が高くなり過ぎず、耐焼付き性の低下を抑制することができる。
また、Snは、初晶Ag相6の晶出制御に関係しており、Sn成分がCu合金層3のCu合金マトリクス4に固溶することで、Ag成分がCu合金層3のCu合金マトリクス4に拡散し固溶することを抑制している。このため、Cu合金層3に含有するAg成分は、主に、Bi相5中に初晶Ag相6の粒として分散する形態にすることができる。また、請求項1に係る発明においては、Cu合金層3にSnを0.5〜15質量%含有させているが、Snの含有量が0.5質量%より少ないと、Ag成分がCu合金層3のCu合金マトリクス4に拡散し固溶することを抑制する効果が十分得られず、一方、15質量%を超えると、Cu合金層3が脆くなる。
なお、本発明の銅系摺動材料1においては、初晶Ag相6の晶出制御により、Cu合金層3に含有するAg成分は、主に、Bi相5中に初晶Ag相6として分散するが、一部のAg成分がCu合金層3のCu合金マトリクス4に固溶した形態や、Bi相5に固溶した形態で含有されることは許容される。
また、請求項2に係る発明のように、Bi相5に対する初晶Ag相6の体積率は、0.02〜5%であることがより好ましい。これにより、Bi相5の流出を抑制する効果がより高まり、耐焼付き性がより向上する。Bi相5に対する初晶Ag相6の体積率が0.02%より少ないと、Bi相5の流出を抑制する効果が十分得られない。一方、Bi相5に対する初晶Ag相6の体積率が5%を超えると、Bi相5に対する初晶Ag相6の割合が高くなり、耐焼付き性の低下を抑制する効果が十分得られない。
また、請求項3に係る発明のように、初晶Ag相6の平均粒径は、0.2〜10μmであることが好ましい。これにより、Bi相5の流出を抑制する効果がより高まり、耐焼付き性がより向上する。初晶Ag相6の平均粒径が0.2μmより小さいと、Bi相5の流出を抑制する効果が十分得られない。一方、初晶Ag相6の平均粒径が10μmを超えると、摺動面の初晶Ag相6が相手軸7の表面と接触する際に塑性変形し難くなり、Cu合金層3の耐焼付き性が低下してしまう。
また、請求項4に係る発明のように、Cu合金層3には、Pを0.01〜0.5質量%含有させてもよい。この元素は、Cu合金マトリクス4の強化に寄与するが、含有量が0.01質量%よりも少ないと、Cu合金マトリクス4の強化が十分でなく、0.5質量%を超えると、Cu合金層3が脆くなる。なお、この元素は、Cu合金マトリクス4に添加しても、初晶Ag相6の晶出制御に影響しない。
また、請求項5に係る発明のように、Cu合金層3には、Ni、Zn、Fe、Inからなる群の中から少なくとも1種以上を総量で0.1〜40質量%含有させてもよい。これらの元素は、Cu合金マトリクス4の強化に寄与するが、含有量が0.1質量%よりも少ないと、Cu合金マトリクス4の強化が十分でなく、40質量%を超えると、Cu合金層3が脆くなる。なお、これらの元素は、Cu合金マトリクス4に添加しても、初晶Ag相6の晶出制御に影響しない。
Cu合金層のCu合金マトリクスにBi相を分散した銅系摺動材料を示す模式図である。 Bi相中に初晶Ag相を分散したCu合金層の拡大図である。 Bi相中に初晶Ag相を分散したCu合金層について、摺動時の状態を説明するための概略図である。 二次焼結後の冷却工程における銅系摺動材料のCu合金層の組織を示す模式図である。 Bi相中に金属間化合物や硬質粒子を分散した従来のCu合金層について、摺動時の状態を説明するための概略図である。
本実施形態に係るCu合金層3のCu合金マトリクス4に分散したBi相5中に初晶Ag相6が分散した銅系摺動材料1について、図1乃至図5を参照して説明する。本実施形態の銅系摺動材料1は、連続焼結法により製造される。具体的には、帯鋼上にCu合金粉末としてCu−Sn−Bi−Ag合金粉末を連続的に散布し、焼結(一次焼結)した後、圧延を施し、再度、焼結(二次焼結)を施す。
また、銅系摺動材料1は、二次焼結後の冷却工程において、Ag−Bi二元系状態図における液相線温度から共晶温度(262℃)まで冷却する間に、Bi相5中に初晶Ag相6を晶出させる。そして、Bi相5中の初晶Ag相6の晶出制御は、液相線温度から共晶温度(262℃)まで冷却する間の保持時間を調整することにより可能となる。この保持時間は、冷却工程において、銅系摺動材料1が液相線温度に達してから共晶温度(262℃)まで冷却される間の時間である。なお、この冷却の保持時間の調整は、液相線温度から共晶温度(262℃)の間のある一定温度で保持してもよいし、液相線温度から共晶温度(262℃)まで冷却する間、一定の冷却速度で冷却してもよい。
次に、銅系摺動材料1のBi相5中に初晶Ag相6が晶出する機構について、図4を参照して説明する。図4は、二次焼結後の冷却工程における銅系摺動材料1のCu合金層3の組織を示す模式図である。図4(A)に示すように、Ag−Bi二元系状態図における液相線温度を超える温度域において、二次焼結後のCu合金層3は、BiおよびAgの液相が、Cu合金マトリクス4(Cu−Sn)の固相に分散した組織状態にある。この組織状態となるのは、Cu合金層3にSnを含有させているためであり、SnがAgよりも優先的にCuに固溶し、AgのCuへの固溶が抑制される。この結果、Agは、Biとの液相としてCu合金マトリクス4に分散した組織になる。
また、図4(B)に示すように、銅系摺動材料1を冷却し、Ag−Bi二元系状態図における液相線温度に達すると、BiおよびAgからなる液相中に初晶Agの固相が晶出し始める。そして、液相線温度から共晶温度(262℃)まで冷却する間の保持時間を長くすると、Agの大部分は、初晶Agとして晶出し、同時にBiからなる液相が形成されるようになる。さらに、図4(C)に示すように、Ag−Bi二元系状態図における固相線温度(262℃)未満の温度に冷却されると、Biの液相が固相となる。これらの機構により、Cu合金層3が含有するAgの大部分は、Bi相5中に初晶Ag相6として分散させることが可能となる。なお、従来の一般的な連続焼結法の冷却工程では、銅系摺動材料がAg−Bi二元系状態図における液相線温度から共晶温度(262℃)までの間の温度領域で保持される時間は、5分以下であるのが一般的であるが、本発明のようにBi相中に初晶Agが晶出されるには、10分以上の保持時間を設定する必要がある。
次に、本実施形態に係る銅系摺動材料1を用いた実施例1〜14及び比較例1〜7の作製方法を説明する。まず、実施例1〜14及び比較例1,3〜7は、表1に示す組成となるように調整してアトマイズしたCu合金粉末を使用した。なお、Cu合金粉末の粒径は、150μm以下であることが好ましい。また、比較例2は、表1に示す組成となるようにCu−Sn合金粉とBi−Ag合金粉を混合した粉末を使用した。そして、実施例1〜14及び比較例1〜7は、粉末を鋼裏金上に散布し、還元雰囲気で、温度750〜950℃、10〜30分の焼結条件で一次焼結し、鋼裏金層2上に多孔質なCu合金層3を形成した。次いで、多孔質なCu合金層3を緻密化するためのロール圧延を施した後、一次焼結と同じ焼結条件で二次焼結を行った。
Figure 2014196524
実施例1〜5,10〜13及び比較例1,2,5〜7は、二次焼結後の冷却工程において、Ag−Bi二元系状態図における液相線温度から共晶温度(262℃)までの間の保持時間を20分とし、銅系摺動材料1を作製した。また、実施例6〜9は、液相線温度から共晶温度(262℃)までの間の保持時間を15分とし、銅系摺動材料1を作製した。また、実施例14は、初晶Ag相6の晶出制御における保持時間の影響を確認するため、液相線温度から共晶温度(262℃)までの間の保持時間を30分とし、銅系摺動材料1を作製した。
また、比較例3は、液相線温度から共晶温度(262℃)までの間を200℃/分の冷却速度で冷却し、Cu合金マトリクスにAg−Bi共晶相が分散した銅系摺動材料を作製した。また、比較例4は、液相線温度から共晶温度(262℃)までの間の保持時間を5分とした。この段階では、Bi相中に初晶Ag相が確認されなかった。そして、冷却後、さらに400℃で3時間の熱処理を施し、Bi相中にAg−Sn金属間化合物が析出した銅系摺動材料を作製した。
実施例1〜14及び比較例5〜7について、Cu合金層3のCu合金マトリクス4にBi相5が分散した銅系摺動材料1におけるBi相5中に分散した初晶Ag相6の体積率及び初晶Ag相6の平均粒径の測定結果を表1に示す。初晶Ag相6の体積率及び初晶Ag相6の平均粒径の測定は、電子顕微鏡を用いてCu合金層3の組成像を任意の倍率(倍率500倍等)で撮影し、得られた組成像から一般的な画像解析手法(解析ソフト:Image−Pro Plus(Version4.5);(株)プラネトロン製等)を用いて測定した。なお、Bi相5に対する初晶Ag相6の体積率は、画像解析手法を用いて各Bi相5に対する初晶Ag相6の面積率の平均値より算出したが、初晶Ag相6の体積率がCu合金層3の断面組織におけるBi相5に対する初晶Ag相6の面積率と同じ値となるからである。
実施例1〜14及び比較例1〜7の銅系摺動材料1は、円筒形状のすべり軸受に加工し、表2に示す条件で焼付き試験を行った。評価方法は、すべり軸受の背面温度が230℃となった場合を焼付きと判定し、焼付きが起こらなかった限界の負荷(面圧)を表1の「焼付き限界面圧」に示す。
Figure 2014196524
実施例1〜14は、図2に示すように、Cu合金層3のCu合金マトリクス4に分散したBi相5中に初晶Ag相6が分散しており、いずれも焼付き限界面圧が比較例1〜7に対して高く、耐焼付き性が優れている。これは、Bi相5中に初晶Ag相6が分散することで、摺動時の発熱により摺動面近傍のBiが溶融しても、Cu合金層3から摺動面と相手軸7の表面との隙間への流出を抑制する。また、図3に示すように、初晶Ag相6は、延性が高いことから、摺動面の初晶Ag相6が相手軸7の表面と接触しても塑性変形するため、摺動面で初晶Ag相6が凸状に突出した形態とはならず、耐焼付き性に優れている。なお、実施例1〜14は、Bi相5に対する初晶Ag相6の体積率が0.01〜10%の範囲であり、初晶Ag相6の平均粒径が0.1〜20μmの範囲であった。
特に、実施例6,7は、二次焼結後の冷却工程において、液相線温度から共晶温度(262℃)までの間の保持時間を短くすることで、Bi相5に対する初晶Ag相6の体積率が0.02〜5%となり、焼付き限界面圧が実施例1〜5に対して高く、さらに耐焼付き性が優れている。また、実施例8,9は、Bi相5中の初晶Ag相6の平均粒径が0.2〜10μmに制御されており、焼付き限界面圧が実施例1〜7に対して高く、さらに耐焼付き性が優れている。
実施例10は、実施例1の組成にPを含有し、実施例11は、実施例1の組成にNi、Zn、Fe、Inを含有しているが、初晶Ag相6の晶出制御には影響がなく、Cu合金層3のCu合金マトリクス4に分散したBi相5中に初晶Ag相6が分散しており、焼付き限界面圧が実施例1と同じく高く、耐焼付き性が優れている。
実施例14は、初晶Ag相6の晶出制御における保持時間の影響を確認するため、実施例1に対して液相線温度から共晶温度(262℃)までの間の保持時間を長くした銅系摺動材料1であり、保持時間を長くした場合には、Bi相5に対する初晶Ag相6の体積率及び初晶Ag相6の平均粒径が大きくなる傾向にあった。つまり、Bi相5中の初晶Ag相6の晶出状態は、Cu合金マトリクス4の組成のみにより決まるのではなく、保持時間を調整することでも初晶Ag相6の晶出制御を可能としている。
比較例1は、Snを含有しない銅系摺動材料であり、AgがCu合金マトリクスに固溶し、Bi相中に初晶Ag相が晶出しない。このため、摺動時の発熱により、摺動面近傍のBiが溶融し、流出することで、焼付き限界面圧が低下している。
比較例2は、Cu合金マトリクスに分散したBi相中に初晶Ag相が確認できなかった。これは、Cu合金粉末として、Cu−Sn合金粉とBi−Ag合金粉を混合した粉末を用いて作製したことにより、一次焼結工程の初期でCu−Sn合金粉同志の焼結が進行する前にBi−Ag合金粉が早期に溶融し、Ag成分の大部分がCuへ拡散してしまったためと考える。このため、初晶Ag相が晶出しないBi相(少量のAgがBiに固溶したBi合金相)がCu合金マトリクス(Cu−Sn−Ag)に分散した形態のCu合金となったと推定される。そして、Bi相中に初晶Ag相が存在していないため、摺動面近傍でBiが溶融した際に、Biが流出してしまい、焼付き限界面圧が低下している。
比較例3は、液相線温度から共晶温度(262℃)までの間の冷却速度を速めることにより、Cu合金マトリクスに分散したBi相がAg−Bi共晶相からなる銅系摺動材料である。このAg−Bi共晶相の融点は、純Bi(Bi相)に対して低く、摺動時にAg−Bi共晶相が溶融し、流出することで、焼付き限界面圧が低下している。
比較例4は、二次焼結後に熱処理を施すことにより、Bi相周辺にAg−Sn金属間化合物が析出した銅系摺動材料である。これは、図5に示すように、摺動時において、摺動面でCu合金マトリクス14に対してAg−Sn金属間化合物16が凸状に突出した形態となり、摺動面で凸状に突出したAg−Sn金属間化合物16が、相手軸17の表面と接触するようになり、局所的に発熱を起こし、焼付き限界面圧が低下している。
比較例5は、Biの含有量が1質量%よりも少ない銅系摺動材料であり、Biの含有量が少ないと、Cu合金マトリクスに分散したBi相の割合が低くなり過ぎ、焼付き限界面圧が低下している。
比較例6,7は、Agの含有量が0.05〜5質量%の範囲外である銅系摺動材料であり、Agの含有量が0.05質量%より少ないと、Bi相中に分散した初晶Ag相の割合が低くなり過ぎ、Bi相の流出を抑制する効果が十分得られない。一方、Agの含有量が5質量%を超えると、Bi相中に分散した初晶Ag相の割合が高くなり過ぎ、焼付き限界面圧が低下している。
なお、本実施形態のBi相5と初晶Ag相6は、必ずしも純金属の相として存在する必要がなく、Bi相5中に初晶Ag相6が分散する形態であれば、Bi相5中に微量のAg−Bi共晶相が存在していてもよいし、Bi相5中に微量のAgが固溶していてもよい。また、一部のAgは、Cu合金マトリクス4に固溶していてもよい。
また、本実施形態のCu合金層3には、耐摩耗性を向上させるため、無機化合物の粒を含有させてもよい。この無機化合物としては、炭化物、窒化物、珪化物、ホウ化物、リン化物等を用いることができる。
1 銅系摺動材料
2 鋼裏金層
3 Cu合金層
4 Cu合金マトリクス
5 Bi相
6 初晶Ag相
7 相手軸

Claims (5)

  1. 鋼裏金層及びCu合金層からなる銅系摺動材料であって、前記Cu合金層は、Biの含有量が1〜20質量%、Agの含有量が0.05〜5質量%、Snの含有量が0.5〜15質量%、残部がCu及び不可避不純物からなる銅系摺動材料において、
    前記Cu合金層は、Cu合金マトリクスと該Cu合金マトリクス中に分散した粒状のBi相とからなり、前記Bi相中に初晶Ag相が分散していることを特徴とする銅系摺動材料。
  2. 前記Bi相に対する前記初晶Ag相の体積率が0.02〜5%であることを特徴とする請求項1記載の銅系摺動材料。
  3. 前記初晶Ag相の平均粒径が0.2〜10μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の銅系摺動材料。
  4. 前記Cu合金層は、Pを0.01〜0.5質量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銅系摺動材料。
  5. 前記Cu合金層は、Ni、Zn、Fe、Inからなる群の中から少なくとも1種以上を総量で0.1〜40質量%含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の銅系摺動材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111720444A (zh) * 2019-03-22 2020-09-29 大丰工业株式会社 轴承合金、滑动构件、内燃机和机动车辆

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