JP2006316312A - 高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法 - Google Patents

高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 特にZnを安定して供給できるようにし、強度ばらつきの小さい高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金を得る。
【解決手段】発明の製法は、原料粉末全体の成分組成が質量比でZn:3.0〜10%、Mg:0.5〜5.0%、Cu:0.5〜5.0%、硬質粒子:0.1〜10%、残部が不可避不純物およびAlからなり、原料として15質量%以上のAl粉末とZnの全量を含むAl合金粉末と0.1〜10質量%の硬質粒子粉末とを用い、各粉末を混合する原料粉末配合工程と、前記工程で得られた原料粉末を用いて金型に充填した後、200MPa以上の圧力で圧粉成形する成形工程と、前記工程で得られた成形体を焼結保持温度:580〜610℃、焼結保持時間:10分以上で焼結した後、冷却する焼結工程と、前記工程で得られた焼結体を460〜490℃に加熱して水焼き入れした後、110〜200℃で定時間保持して時効析出させる熱処理工程を順に行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コネクティングロッドやピストン等の各種摺動部材として好適な高強度と耐摩耗性を有するアルミニウム焼結部品の製造方法に関し、特に、耐摩耗性とともに、引張り強さと伸びが改善された高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法に関する。なお、本明細書において、Al、Zn、Mgなどは元素記号である。
粉末冶金法によるアルミニウム焼結部品は、軽量であることに加えて、溶製材料では得られない強度、耐摩耗性等の特性が得られることから近年需要が増しつつある。例えば、Siを多量に含む鋳造合金では初晶Siが粗大化した金属組織の合金しか得られないが、焼結アルミニウム合金では微細な初晶Siが分散するAl−Si系合金相と初晶Siを含まないAl固溶体相とを斑状に分散させた金属組織を呈し、強度と耐摩耗性に優れたアルミニウム焼結合金(特許文献1〜4)等が実用化されている。これらのアルミニウム焼結合金は、耐摩耗性に優れてはいるものの、その強度は、鍛造や熱処理を施してもその強度が360MPa程度であるため、その適用が制限され、より一層高強度の耐摩耗性アルミニウム焼結合金が望まれている。
このため、本発明者等は超々ジュラルミンとして知られる7000系のアルミニウム合金を粉末冶金法で製造する方法を開発し出願(特願2004−206957号)するとともに、さらにこの合金をベースに硬質粒子を添加することで、高強度と耐摩耗性を兼ね備えた焼結アルミニウム合金を開発し出願(特願2004−207586号、以下これを先願と称する)している。前記先願の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金は、全体組成が、質量比で、Zn:3.0〜10%、Mg:0.5〜5.0%、Cu:0.5〜5.0、硬質粒子:0.1〜10質量%、および残部がアルミニウムからなるとともに、金属間化合物が析出分散するアルミニウム合金基地中に、硬質粒子が分散する金属組織を呈することを特徴とする(請求項1)もので、450〜520MPa程度(実施例)の高い引張り強さを有するとともに、高い耐摩耗性を有するという高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金である。また、先願には上記の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金を得るための製造方法として、アルミニウム粉末に、硬質粒子粉末と、亜鉛、マグネシウム、銅の単味粉末、もしくは亜鉛、マグネシウムおよび銅の少なくとも2種の合金粉末、もしくはそれらの混合粉末とを添加した原料粉末を用いることが記載されている。
特開平4−365832号公報 特開平7−197168号公報 特開平7−197167号公報 特開平7−224341号公報
上記最後に挙げた先願の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金は、上述した通り、特に機械的強さと耐摩耗性に優れているが、そこに開示されている高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法は、焼結時に揮発しやすいZnを亜鉛粉末の形態で用いることから、焼結後に得られるアルミニウム焼結合金中のZn量が安定せず、Zn量にばらつきが生じ易くなっている。Znはアルミニウム合金基地中で金属間化合物として析出して機械的強度の向上に寄与するため、Zn量にばらつきが生じると、焼結後に得られるアルミニウム焼結合金の機械的強度にばらつきが生じることとなる。このため、上記のアルミニウム合金を具体的な製品に適用しようとすると、製品の安全性を考慮して機械的強度のばらつきの下限で設計を行わなければならず、上記高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の特性を十分に発揮し難くいという欠点があった。
そこで、本発明の目的は、上記最後に挙げた先願で開示の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法について、特にZnを安定して供給できる構成を工夫して、機械的強度のばらつきの小さいアルミニウム焼結合金を確実に量産可能にすることにある。
上記課題を解消するため、本発明の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法は、Znの全量をアルミニウム合金粉末の形態で与えることで、Znの揮発を防止してZnを安定供給するとともに、原料粉末に15質量%以上のアルミニウム粉末を併用することで、上記Znの合金化による原料粉末の圧縮性低下を抑制したことを骨子とする。
すなわち、本発明の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法は、原料粉末全体の成分組成が、質量比で、Zn:3.0〜10%、Mg:0.5〜5.0%、Cu:0.5〜5.0%、硬質粒子:0.1〜10%、並びに残部が不可避不純物およびAlからなり、かつ、原料として15質量%以上のアルミニウム粉末と、Znの全量を含むアルミニウム合金粉末と、0.1〜10質量%の硬質粒子粉末とを少なくとも用い、それらの原料粉末を混合する原料粉末配合工程と、前記原料粉末配合工程により得られた原料粉末を用いて、所望の形状の金型に充填した後、200MPa以上の成形圧力で圧粉成形する成形工程と、前記成形工程で得られた成形体を、非酸化性雰囲気中で、焼結保持温度:580〜610℃、焼結保持時間:10分以上で焼結した後、常温まで冷却する焼結工程と、前記焼結工程で得られた焼結体を、460〜490℃に加熱して水焼き入れして溶体化した後、110〜200℃で2〜28時間保持して時効析出させる熱処理工程、を順に行うことを特徴としている。
以上の本発明の製造方法にあっては、前記焼結工程を経た焼結体を、室温で据え込み率:3〜40%の据え込み率で冷間鍛造を行う冷間鍛造工程、もしくは100〜450℃で据え込み率:3〜70%の据え込み率で熱間鍛造を行う熱間鍛造工程のいずれかによる鍛造工程を行った後、前記熱処理工程を行うこと(請求項2)、前記アルミニウム合金粉末が、Zn:10〜30質量%で、残部がAlおよび不可避不純物よりなること(請求項3)、前記アルミニウム合金粉末が、Cu:10質量%以下をさらに含むこと(請求項4)、前記硬質粒子粉末として、硬さが1000Hv以上で、アルミニウムと反応しないものを用いること(請求項5)、前記硬質粒子粉末が、炭化珪素粉末、硼化クロム粉末、炭化硼素粉末の少なくとも1種であること(請求項6)、記原料粉末中に、原料粉末の全体組成に対して0.01〜0.5質量%のSn単味粉末、Bi単味粉末、In単味粉末、および、Sn、Bi、Inのいずれかを主成分とし前記主成分の共晶液相を生じる共晶化合物粉末および偏晶化合物粉末、の少なくとも1種の粉末をさらに添加、混合したこと(請求項7)、上記アルミニウム粉末およびアルミニウム合金粉末の大きさがそれぞれ100メッシュ以下、硬質粒子粉末の大きさが125メッシュ以下、およびその他の粉末の大きさが200メッシュ以下であること(請求項8)、前記焼結工程おける非酸化性雰囲気が、露点が−40℃以下の窒素ガス雰囲気であること(請求項9)が好ましい。
上記本発明の製造方法は、超々ジュラルミンとして知られる7000系のアルミニウム焼結合金をベースに硬質粒子を分散させた、高い引張り強さと伸びを有するとともに、高い耐摩耗性を有する優れた高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金を製造するための方法であり、特に揮発しやすいZnを合金粉末の形態で付与したことにより、アルミニウム焼結合金中のZn量が安定し、機械的強度のばらつきの小さい高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金が確実に得られる。
(1)原料粉末配合工程
(1)−1 原料粉末全体の成分組成
Zn:
Znは、MgとともにAl基地中にMgZn(η相)やAlMgZn(Τ相)として析出して強度を高める作用を有する。また、Znは、Al−Zn合金粉末の形態で付与されるが、焼結の昇温時にAl−Zn合金粉末より発生するAl−Zn液相は、アルミニウム粉末の表面に濡れて表面の酸化被膜を除去し、アルミニウム基地中に拡散するとともに、アルミニウム粉末どうしの拡散による結合を促進する作用も有する。Znの含有量は、3質量%に満たないと上記の作用が十分に得られず強度向上の効果が乏しくなる。一方、10質量%を超えると焼結中のZnまたはZn系共晶液相の量が過多となり、形状の維持が不可能となるとともに、アルミニウム基地中でZn量が過多の部位がZnリッチ相として残留する。また、Znが多量となると揮発し易くなり、炉内を汚染・堆積することとなる。よって、Zn含有量を3〜10質量%とする。
Mg:
Mgは上記のZnとともに上記の析出化合物を形成して強度の向上に寄与する。また、Mgも融点が低く、焼結時の昇温過程で液相を発生して、酸化被膜を除去し、焼結の進行を促進する作用を有する。Mgの含有量は、0.5質量%に満たないと上記の効果が乏しく、5.0質量%を超えると液相量として過剰となり、形状が維持できなくなる。よって、Mg含有量を0.5〜5.0質量%とする。
Cu:
Cuは、Al基地中に固溶されCuAl(θ相)を析出させて強度の向上に寄与する他、焼結時に液相を発生して焼結の進行を促進する作用を有する。Cuの含有量は、0.5質量%に満たないと上記の作用が十分に得られず、5.0質量%を超えるとZnと不要なCu−Zn合金相を形成し、粒界に沿って大きく析出して強度および伸びを低下させるので、Cu含有量は0.5〜5.0質量%とする。
硬質粒子:
一般に合金基地への硬質相の添加は合金の強度および伸びの低下をもたらすが、ベースとなるアルミニウム合金基地を上記の元素で合金化して高強度のアルミニウム焼結合金としたことから、硬質粒子の添加により強度および伸びが若干低下しても、従来のアルミニウム−珪素系耐摩耗性アルミニウム焼結合金等に比して、極めて高い強度および伸びを示す。また、本発明においては摺動条件(特に摺動相手)により、分散させる硬質粒子の種類および量を容易に変更できるという利点を有する。例えば従来のアルミニウム−珪素系耐摩耗性アルミニウム焼結合金は硬質粒子として初晶Siを分散するものであるが、摺動相手が鉄系材料の場合、FeとSiの間の親和性により摩擦係数が高くなる傾向を有する。しかし、本発明のアルミニウム焼結合金においては、例えば、硼化クロム等のFeとの親和性が低い硬質粒子を選択することで、摩擦係数の低減および耐摩耗性の向上を果たすことが可能である。
硬質粒子の添加量は0.1質量%以上で、耐摩耗性改善の効果が顕著となり、一方、硬質粒子の添加量が10質量%を超えると、強度および伸びの低下が著しくなることから、硬質粒子の添加量は1〜10質量%とする必要がある。また、硬質粒子は、硬さが低いと硬質粒子自体が塑性流動を起こすこととなり耐摩耗性が低下することとなるため、硬さが1000Hv以上のものが好ましい。
Sn、Bi、In:
Sn、Bi、Inは、融点が低く焼結中で液相を発生し、アルミニウム粉末の表面に濡れて、アルミニウム粉末表面の酸化被膜を除去して、アルミニウム粉末どうしの焼結の進行を促進するとともに、液相の表面張力により液相収縮して緻密化に寄与する作用を有するので、焼結助剤として上記のZn、Mg、Cuとともに用いると好ましい。この液相による緻密化作用は、液相の存在時間が長くなるとその作用がより進行するため、焼結過程の早期より液相を発生し、焼結過程のほとんどを液相のままであると、その効果が大きくなる。したがって、融点が低く、かつ主成分のAlとほとんど溶け合わないSn(融点:232℃)、Bi(融点:271℃)、In(融点:155.4℃)はこの点できわめて好適である。
また、これらの元素を主成分としこの主成分の共晶液相を生じるような共晶化合物とすると、融点が単体の場合より一層低くなるためさらに好ましい。この共晶液相は主成分(Sn、Bi、In)と他の元素との共晶液相でもよく、あるいは主成分と、主成分と他の元素との金属間化合物との共晶液相でもよい。また、偏晶化合物の一部にも共晶反応線を有するものがあり、このようなSn、Bi、Inの共晶液相を発生させる偏晶化合物も使用できる。Snとこのような共晶液相を形成する元素としては、Ag、Au、Ce、Cu、La、Li、Mg、Pb、Pt、Tl、Zn等があり、Biとこのような共晶液相を形成する元素としては、Ag、Au、Ca、Cd、Ce、Co、Cu、Ga、K、Li、Mg、Mn、Na、Pb、Rh、S、Se、Sn、Te、Tl、Zn等があり、Inとこのような共晶液相を形成する元素としては、Ag、Au、Ca、Cd、Cu、Ga、Sb、Te、Zn等がある。以上は、単純な二元系の場合の例であるが、三元系または四元系以上の場合であっても同様にSn、Bi、Inを主成分とし、この主成分の共晶液相を発生する組成であれば、同様の効果が得られる。ただし、これらの元素のうち、Pb、CdについてもSn、Bi、Inと共晶液相を発生するが、毒性の点から使用しないことが好ましい。
上記の観点を含めて、多元系のSn、Bi、Inを主成分とする共晶合金としては、近年開発が進んでいる鉛フリーはんだを用いることが好ましい。鉛フリーはんだには、Sn−Zn系、Sn−Bi系、Sn−Zn−Bi系、Sn−Ag−Bi系等があり、これらに少量のIn、Cu、Ni、Sb、Ga、Ge等の金属元素を添加したものが提案されており、その一部は実際に実用化されている。このような市販の鉛フリーはんだは、入手が容易であることからも好ましい。
これらの焼結助剤粉末は、0.01質量%以上の添加でその効果が顕著となる。一方、Sn、Bi、InはAlと溶け合わないため、多量に用いると粒界に析出し、強度低下の原因となるため、多くとも0.5質量%以下に止めるべきである。0.5質量%以上の添加は、Sn、Bi、Inの粒界析出による強度低下が、上記の液相収縮による緻密化の効果を上回り、かえって強度の低下を招くこととなる。
1−(2) 粉末の形態
アルミニウム合金粉末とアルミニウム粉末:
上記のZnは高温で揮発しやすい元素であるため、単味粉末で与えると、Znの揮発により残留するZn量が一定せず製品によるバラツキが多くなる。このため、本発明においてはZnの全量をアルミニウムと合金化してアルミニウム合金粉末の形態で付与することでこのZnの揮発を防止する。
ただし、Znはアルミニウム粉末を硬くし、圧縮性を低下させるので、アルミニウム量の全てと合金化すると、原料粉末の圧縮性が低下するので、Znの全量を含むアルミニウム合金粉末に軟質なアルミニウム粉末を配合して圧縮性を向上させる必要がある。この場合に、アルミニウム粉末の添加量は15質量%以上が必要である。
Znを含むアルミニウム合金粉末は、低温でAl−Zn液相が発生するような組成であると、このAl−Zn液相よりZnが揮発しやすいため、なるべく高温で、すなわち焼結過程の最終段階のみでAl−Zn液相が発生するような組成であることが望ましい。また、Znを多量に含むアルミニウム合金粉末を用いると、相対的にアルミニウム粉末の量が増加する結果、アルミニウム合金基地中でZnの分散が不均一となり易く、機械的特性のバラツキが発生する原因となる。これらのことから、アルミニウム合金粉末中のZn量は30質量%以下であることが望ましい。一方、アルミニウム合金粉末中のZn量が10質量%を下回ると、アルミニウム粉末とのZnの濃度差が少なくなり、均一に拡散しにくくなる。よって、アルミニウム合金粉末中のZn量は10〜30質量%とすることが望ましい。
Mg,Cuの付与形態:
上記のような高温まで液相を発生しない組成のアルミニウム合金粉末を用いると、Znの揮発防止の点では良好であるが、成分の均一拡散の点では不利である。そこで、CuやMgを併用することで、Znの基地中への均一な拡散を図ることが可能となる。CuやMgは、焼結の昇温過程で、アルミニウム合金中のZnとCu−Zn液相またはMg−Zn液相を発生するが、これらの液相はアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末に成分が吸収されることにより直ちに固化することを繰り返して成分の均一化が急速に進行する。またこの時の液相は直ちに固化されることからZnの揮発の問題は生じない。このような作用を有するCuやMgは単味粉末、両者の合金粉末、もしくはアルミニウムとの合金粉末の形態で付与しても差し支えないが、Znを含むアルミニウム合金粉末にCu:10質量%以下を同時に与えると上記の効果がより一層高まる。アルミニウム合金粉末中に与えるCu量が10質量%を超えると、Znとの液相発生温度が高温側に移ることから、成分の均一拡散の点で不利となる。
Sn,In,Biの付与形態:
Sn、Bi、Inを用いる場合には、上記のように単味粉末もしくはこれらの成分の共晶液相が発生する共晶合金粉末または偏晶合金粉末の形態で添加される。
硬質粒子粉末:
硬質粒子をアルミニウム合金基地中に分散させる手法として、硬質粒子粉末を添加して与える手法が簡便である。また、原料粉末中に添加される硬質粒子の量は上記のように1〜10質量%が適当であるが、硬質粒子が基地の主成分であるAlと反応するものであると、焼結後にアルミニウム合金基地中に分散する硬質粒子の量および粒径範囲を管理することが難しくなる。このため、アルミニウムと反応しない硬質粒子を粉末として添加して与えることが好ましい。
このような硬質粒子粉末として、炭化珪素、硼化クロム、炭化硼素等は、極めて硬い物質であり、かつアルミニウムと反応しない物質であるため好ましいものである。これらの硬質粒子粉末による、極めて硬い硬質粒子は、基地となるアルミニウム合金基地がある程度軟質であるため、摺動時にアルミニウム合金基地に埋め込まれて、摺動相手側部材の摩耗を抑制するとともに、アルミニウム合金基地の塑性流動をくい止めて、耐摩耗性の向上に寄与する。また、摺動中にアルミニウム合金基地より脱落しても、軟質なアルミニウム合金基地に直ちに埋め込まれて、上記の基地塑性流動を防止する効果が果たされる。
1−(3) 粉末の大きさ
上記した各成分元素の作用を基地中で均一に作用させるためには、各成分元素を基地中に均一に拡散させる必要がある。このため、これらの成分元素粉末は200メッシュ以下(200メッシュ(74μm)の篩櫛を通過する大きさ)の微細な粉末の形態で付与する必要がある。単味粉末もしくは合金粉末は、焼結の昇温時に溶融し、液相となってアルミニウム粉末の表面に濡れて表面の酸化被膜を除去し、アルミニウム基地中に拡散するとともに、アルミニウム粉末どうしの拡散による結合を促進するが、単味粉末もしくは合金粉末の大きさが200メッシュを超えると、局部的な偏析が生じて均一な成分元素の拡散が阻害されることとなる。
一方、アルミニウム粉末まで微粉とすると、原料粉末の流動性が低下するため、上記の各成分元素粉末よりは大きいアルミニウム粉末を用いた方が好ましい。ただし、100メッシュを超える(100メッシュ(140μm)の篩櫛上に残留する大きさの粉末)と、各成分元素が粉末の中心まで拡散しにくくなって成分の偏析が生じるようになるため、100メッシュ以下(100メッシュ(140μm)の篩櫛を通過する大きさ)の粉末を用いる必要がある。
硬質粒子粉末は基地とほとんど反応しないので、添加した粉末がそのままアルミニウム合金基地中に分散することとなる。このため、硬質粒子粉末はアルミニウム合金基地中に分散させる硬質粒子の粒径により決定すればよい。アルミニウム合金基地中に分散する硬質粒子の粒径は、平均粒径が1〜100μmであることが好ましい。これは硬質粒子が1μmより細かいと、基地が塑性流動した際に基地とともに塑性流動しやすくなって基地の塑性流動をくい止めることが難しくなる。一方、硬質粒子の平均粒径が100μmを超えると、摺動条件にもよるが、摺動時の摺動相手側部材の摩耗を引き起こしやすくなるとともに、強度の低下傾向が大きくなるため好ましくない。したがって、アルミニウム合金基地中に上記平均粒径範囲の硬質粒子を均一に分散させるため、硬質粒子粉末としては、アルミニウムと反応しないもので、125メッシュ以下(125メッシュ(113μm)の篩櫛を通過する大きさ)の粉末を用いることが好ましい。
(2)成形工程:
この工程では、上記の原料粉末配合工程で得られた原料粉末を、所望の形状の金型に充填後、200MPa以上の成形圧力で圧粉成形する。これにより、密度比が90%以上の成形体が得られる。成形圧力が200MPaを下回ると成形体の密度が低くなって、後の焼結工程および鍛造工程を経ても気孔が2容量%以上残留して高い強度と伸びが得られなくなる。また、焼結中の寸法変化が大きくなることからも好ましくない。成形圧力は高い方が成形体の密度が高くなるため好ましく、400MPa以上であると密度比が95%以上の成形体が得られるため一層好ましい。ただし、500MPaを超えると金型へのアルミニウム粉末の凝着が発生しやすくなるため好ましくない。
(3)焼結工程:
この工程において、成分として含まれるZnは、融点が低く、揮発しやすい元素であるが、焼結中で多量の液相が発生すると、焼結体の収縮量が大きくなって寸法精度が低下し、揮発すると、基地中に固溶するZn量が低下して所望の強度や伸びが得られなくなるとともに、焼結雰囲気を汚染して焼結炉内に堆積したりするため作業環境にも問題が生じることとなる。このような弊害を避けるため、焼結保持温度までの昇温を急速に行う必要がある。
すなわち、上記成形工程で得られた成形体を焼結するにあっては、室温より焼結保持温度までの昇温過程において、少なくとも亜鉛の融点近辺の400℃以上から焼結保持温度までの温度領域を10℃/分以上の昇温速度で急速加熱することで、成分元素の揮発を抑制するとともに、焼結保持温度:580〜610℃、焼結保持時間:10分以上で焼結することにより、液相発生による過度の寸法精度の低下を抑制しつつ、成分元素の均一な拡散を達成することができる。この焼結要件は、焼結温度までの昇温速度が10℃/分を下回ると上述したZnの揮発の問題が顕著になることと、焼結温度が610℃を超えてもZnの揮発や液相による過収縮の問題が顕著となり、さらにこの場合は結晶粒が成長して粗大化し強度を低下させるからである。一方、各成分元素をAl基地に均一に固溶させるために、焼結温度を580℃以上とし、焼結保持時間を10分以上とする必要がある。この条件を下回ると、各成分のAl基地中への拡散が不十分となり、強度が低下することとなる。
上記焼結により各成分は基地に固溶した状態であるので、冷却速度は、特に限定はしないが、遅い場合、特に高温領域(450℃以上)においては結晶粒の粗大化が進行するとともに、冷却過程で過飽和成分が粒界に沿って析出し、強度や伸びを低下させたり、後の熱処理(溶体化処理)により、析出した過飽和成分の部位が基地に吸収されることにより気孔が発生して強度や伸びを低下させたりするので、高温領域はなるべく早く冷却した方が好ましく、特に450℃以上の温度領域での冷却速度は−10℃/分程度が好ましい。
また、焼結雰囲気は、非酸化性のものが適しているが、露点を−40℃以下とした窒素ガス雰囲気が最も適している。露点は雰囲気ガス中の水分量を示す指標であり、水分すなわち酸素量が多いと、Alは酸素と結合しやすいため焼結の進行を阻害し緻密化を阻害することとなる。また、窒素ガスは他の非酸化性ガスと比較し安価かつ安全であるため好ましい。
このようにして、液相焼結することで成分元素がAl基地中に均一に固溶するとともに密度比が95%以上で残留する気孔が閉鎖気孔となった焼結体を得ることができる。
(4)熱処理(T6処理)工程:
本発明の製造方法における、熱処理(T6処理)工程は、Al基地中の析出相を460〜490℃に加熱して基地中に均一に固溶させた後、水焼き入れにより急冷して過飽和固溶体とする溶体化処理と、その後110〜200℃で2〜28時間保持して過飽和固溶体より析出相(金属間化合物)を析出分散させる時効析出処理からなる工程である。溶体化処理温度が460℃に満たないと析出成分が全てAl基地中に均一固溶されず、一方、490℃を超えてもその効果は変わらず、かつ500℃を超えると液相発生により気孔が発生する。また、時効処理は、温度が110℃に満たない場合、および時間が2時間に満たない場合は、十分な析出化合物が得られず、温度が200℃を超える場合、および時間が28時間を超える場合は、析出した化合物が成長して粗大化するため強度の低下を生じることとなる。なお、温度と時間は上記の範囲内で要求特性に対して適宜組み合わされる。このように熱処理することで、アルミニウム合金基地中にMgZn(η相)、AlMgZn(Τ相)、CuAl(θ相)等の金属間化合物が析出分散する金属組織が得られ、機械的特性の向上が果たされる。
以上により得られる高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金は、以下の実施例より明らかなように、密度比が95以上%であり、引張り強さが450MPa以上と高い値を示すとともに、従来材と同等の伸びと耐摩耗性を示すが、より一層の引張り強さや伸びの向上を望む場合、焼結工程と、熱処理工程の間に下記の鍛造工程を追加することができる。
(5)鍛造工程:
この工程では、上記の焼結工程までで得られた密度比95%以上の焼結体を、室温下にて、据え込み率:3〜40%の据え込み率で冷間鍛造を行う冷間鍛造工程、もしくは100〜450℃下にて、据え込み率:3〜70%の据え込み率で熱間鍛造を施し、密度比98%以上とすることで高い引張り強さと伸びを有するアルミニウム焼結鍛造部品を得ることができる。
ところで、一般に、鍛造工程により密度を高めることは知られているが、単に密度を上げるだけでは気孔が閉塞するのみで、金属的に結合していないため、鍛造時に素材表面に割れが生じたり、製品内部に欠陥として残留したりして強度や伸びの向上が得られない。従って高い強度や伸びを得るためには、気孔を閉塞させるだけではなく、そこに金属的な結合を形成しなくてはならない。このような金属結合を得るために、一般的には、緻密化を目的とする鍛造工程、緻密化した素材を変形させることで金属結合を得る変形工程の2工程に分けて鍛造を行うことが行われている。本願発明においては、金属結合を得るため、上記により得られた焼結体を上下方向より加圧してその高さを圧縮して気孔を閉塞させるとともに、加圧方向に対し横方向に設けられた空間部に素材を流動させることで、元の気孔部分(閉塞しているが金属結合していない部分)を強制的に結合させつつ変形させる、据え込み鍛造とすることで、従来2工程で行われる鍛造工程を1工程に統合したものである。この加圧方向の素材の変形率が据え込み率である。なお、鍛造過程において、このような据え込み変形が主であれば、局部的に押し出し状態となってもかまわず、本願鍛造は後方押し出し法も含むものである。また、押し込み鍛造や前方押し出し法の場合、素材は金型により減面されるが、このときの加圧方向は周方向で、素材の変形方向は押し出し方向すなわち加圧方向と直交する方向であるので本願発明の範囲に含まれるものである。また、このような鍛造とすることで、上記作用に加えて、焼結時に成長した結晶粒を微細化させるとともに、析出物を分断する作用も得られて強度および伸びをより一層向上させる。
冷間鍛造の場合、据え込み率が3〜40%となるよう鍛造する必要がある。同径もしくは径を広げる鍛造では、据え込み率が3%に満たないと、局部的な変形しか起こらず、気孔の残留量が多くなり強度や伸びを高めることができない。また、押し込み鍛造のように径の小さい金型に押し込む場合も上記の理由で3%以上の据え込みを必要とする。なお、据え込み率が10%以上であると容易に鍛造体の密度比を98%以上とできるためより好ましい。一方、据え込み率が40%を超えると結晶の滑りに伴う鍛造割れが発生しやすくなる。また、冷間鍛造の場合、鍛造過程で横方向に展伸した素材端部が鍛造終了時点で金型内壁と完全接触しているように据え込み鍛造すると、製品寸法、形状の精度が安定するとともに、最表面に欠陥が残存しにくいので好ましい。
また、熱間鍛造の場合、100〜450℃、好ましくは200〜400℃の温度範囲で素材(焼結体)を加熱すれば据え込み率を3〜70%の範囲で行うことができるようになる。素材(焼結体)の加熱温度が100℃に満たないと、冷間鍛造の場合とあまり変わらず、素材の変形能が乏しく、据え込み率を大きくすることができない。また、素材(焼結体)の加熱温度が200℃以上では、素材が軟化し、変形態が増して所望の据え込み率で熱間鍛造を行うに当たり、鍛造圧力を低くできるため好ましい。一方、450℃を超えると金型と素材(焼結体)との凝着が著しく発生するので上限は450℃に止める必要があり、好ましくは400℃である。ただし、上記温度範囲であっても据え込み率が70%を超えると、鍛造割れが発生しやすくなる。熱間鍛造の場合、鍛造過程で横方向に展伸した素材端部が鍛造終了時点で金型内壁と接触しているように据え込み鍛造すると、最表面での欠陥が生じにくくなるため好ましい。
以上により得られる高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金は、以下の実施例より明らかなように、密度比が98以上%であり、引張り強さが500MPa以上で、かつ、伸びが改善される場合には2%以上となり、優れた耐摩耗性とともに、従来にない、高い機械的特性を具備できる。
実施例1は、Znをアルミニウム合金粉末の形態で与える場合と、単未粉の形態で与える場合の比較を行ったものである。具体的には、原料粉末配合工程において100メッシュのアルミニウム粉末とZn含有量が12質量%のアルミニウム合金粉末、硬質粒子粉末として125メッシュの炭化硼素粉末、およびそれぞれ250メッシュの亜鉛粉末、マグネシウム粉末、銅粉末および錫粉末を用意し、表1に示す配合組成でこれらの粉末を混合し、原料粉末の成分組成が、質量比で、Zn:5.5%、Mg:2.5%、Cu:1.5%、Sn:0.1%、硬質粒子(炭化硼素):5.0%、および残部がAlおよび不可避不純物となる原料粉末を作製した。
成形工程では、前記の原料粉末を用い、成形圧力を300MPaとして、φ40×28の柱体形状に圧粉成形した。焼結工程では、これらの圧粉体を窒素ガス雰囲気中、400℃から焼結保持温度までの温度範囲を10℃/分の昇温速度で加熱し、焼結保持温度:600℃で20分保持して焼結を行った後、焼結保持温度から450℃までの温度範囲を−20℃/分の冷却速度で冷却した。鍛造工程では、このようにして得られた焼結体試料を400℃に加熱して、同じ温度に加熱した金型内に投入し、据え込み率:40%の熱間鍛造を行った。得られた鍛造体を470℃に加熱して溶体化処理を行った後、130℃で24時間保持して時効析出処理を行う熱処理工程を行った。
そして、評価では、得られた試料01および02について、φ40×28の柱体形状試料を、それぞれ5本の引っ張り試験片に加工し、引っ張り試験を行い引張り強さおよび伸びを測定した。その結果を平均値と3σとして表2に示した。また、柱体形状試料より切り出してφ7.98×20の形状に加工した摩擦試験片を2個用い、ピンオンディスク摩擦摩耗試験機で、摺動相手側部材としてS45C熱処理材を用い、ある一定荷重をかけた状態でエンジンオイルを供給しながら摺動速度5m/秒で30分間摺動試験を行い、この試験中動摩擦係数の急激な上昇が見られない場合、試験片を替えて、荷重を5MPa刻みで増加させて、動摩擦係数の急激な上昇が認められる荷重を耐面圧荷重(限界面圧)として、併せて表2に示した。さらに、上記試料作製において、成形工程後の成形体、焼結工程後の焼結体、鍛造工程後の鍛造体について、それぞれ密度比(平均値)を測定した。その結果も表2に併せて示した。
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表1および表2より、Znを単味粉末の形態で付与した場合(試料番号02)より、Alとの合金粉末の形態で付与した場合(試料番号01)の方が、引張り強さが若干高くなり、かつばらつきが小さく抑えられることがわかる。また、伸びも若干向上し、かつばらつきが小さく抑えられていることがわかる。これは揮発しやすいZnを合金粉末の形態で付与したことによりZnの揮発が防止でき、試料中のZnの量が安定したことによる効果と考えられる。一方、耐面圧荷重は同等の値を示していることがわかる。この実施例より、Znを合金粉末の形態で付与することにより、耐面圧荷重の低下を招くことなく、引張り強さおよび伸びの向上およびばらつきの抑制が行えることが確認された。
実施例2では、原料粉末配合工程として、100メッシュ以下のアルミニウム粉末、および表3に示す組成のアルミニウム合金粉末と、それぞれ250メッシュ以下の、マグネシウム粉末、銅粉末、および低融点金属粉末として錫粉末と、硬質粒子粉末として125メッシュ以下の炭化硼素粉末とを用意し、表3に示す配合割合で混合して原料粉末を作製し、実施例1と同じ条件で、成形工程、焼結工程、鍛造工程および熱処理工程を経て、表4に示す全体組成の試料を作製した。
上記試料作製において実施例1と同様に、成形工程後の成形体、焼結工程後の焼結体、鍛造工程後の鍛造体について、それぞれ密度比を測定するとともに、引張り強さおよび伸びの測定、耐面圧荷重(限界面圧)の測定を行い、これらの試験結果を表5に示した。なお、表3〜5においては、調査項目毎に罫線を太く表示するとともに、各調査項目に共通の試料番号01の試料(実施例1)について、各項目毎に再録して標記してある。
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表3〜5の試料番号01、03〜08の試料の比較により、アルミニウム粉末の添加量の影響を調べた。アルミニウム粉末の添加量が15質量%に満たない試料番号03および04の試料では、原料粉末の全体組成中のZn量が10質量%を超えて多くなり過ぎた結果、アルミニウム合金粉末より発生する液相により焼結体の変形が大きく、以降の工程を中止せざるを得なかった。一方、アルミニウム粉末の添加量が15質量%以上では、焼結体の変形を生じさせずに焼結することが可能となり、高い引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重を示している。このことより、Znの全量をアルミニウム合金粉末の形態で付与する場合、同時にアルミニウム粉末を15質量%以上用いる必要があることが確認された。さらに、15質量%を超えてアルミニウム粉末を添加していくと、アルミニウム粉末の添加量が増加するにしたがい、引張り強さおよび伸びがともに向上する傾向を示すが、原料粉末の全体組成中のZn量が5.5質量%(試料番号01)を超えると引張り強さが逆に低下する傾向を示し、原料粉末の全体組成中のZn量が3質量%を下回る試料番号08の試料では、Zn量が乏しくなる結果、引張り強さおよび耐面圧荷重の低下が認められた。
表3〜5の試料番号01、09〜14の試料の比較により、アルミニウム合金粉末中のZn量の影響を調べた。なお、これらの比較において、原料粉末の全体組成におけるZn量は一定(5.5質量%)に調整して行った。これらの試料より、アルミニウム合金粉末中のZn量が10質量%に満たない試料番号09の試料では引張り強さは高い値を示すものの、伸びの値が0.7%と低い値を示している。一方、アルミニウム合金粉末中のZn量が10質量%以上では高い引張り強さを示すとともに、伸びの値も向上していることがわかる。ただし、アルミニウム合金粉末中のZn量が30質量%を超える(試料番号14)と、引張り強さの低下および伸びの低下が認められる。また、耐面圧荷重は、アルミニウム合金粉末中のZn量が10〜30質量%の範囲では良好な耐面圧荷重を示すが、30質量%を超えると耐面圧荷重の低下が認められる。よって、アルミニウム合金粉末中のZn量は10〜30質量%の範囲で、引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重が高い値を示すことが確認された。
上記により確認された、アルミニウム合金粉末中のZn量の最適範囲において、原料粉末の全体組成中のZnの下限値を試料番号15、上限値を試料番号16の試料により確認したところ、上記の結果と併せて原料粉末の全体組成中のZnが3〜10質量%の範囲で高い引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重を示すことが確認された。
実施例3は、MgおよびCuの添加量および添加形態について調査したもので、実施例1のアルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末、マグネシウム粉末、銅粉末、錫粉末炭化硼素粉末とともに、各々100メッシュの表6に示す組成のアルミニウム合金粉末、250メッシュのMg量が50質量%で残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム−マグネシウム合金粉末を用いて、表6に示す配合割合で、これらの粉末を混合し、表7に示す全体組成の原料粉末を準備した。これらの原料粉末を用いて、実施例1と同じ条件で成形工程、焼結工程、鍛造工程、熱処理工程、試験片加工工程を行い、得られた試料についてそれぞれの工程における密度比および引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重を測定した。その結果を実施例1の試料番号01の試料の結果(平均値)とともに表8に示す。
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表6〜8の試料番号01、17〜19および21、22の試料の比較により、Mgを単未粉末として与えた場合のMg量の影響を調べた。これらよりMg未添加の場合(試料番号17)は、Mgが関与する液相が発生せず、引張り強さ、伸びおよび耐面加重の値が低下するが、Mgを単味粉末の形態で付与する場合、Mg量が0.5質量%以上で引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重が向上することがわかる。ただし、Mg量が5質量%を超える試料番号22の試料では液相発生量が過多となって焼結体の変形が生じている。これらより、原料粉末の組成中のMg量は0.5〜5質量%の範囲で引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重の向上の効果があることが確認された。
また、試料番号20の試料はMgをアルミニウム−マグネシウム合金粉末の形態で付与した例であるが、試料番号01の試料と比較すると、原料粉末の全体組成におけるMg量が等しい場合、Mgをアルミニウム−マグネシウム合金粉末の形態で付与しても同等の引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重が得られることがわかる。
表6〜8の試料番号01、23〜27の試料の比較により、Cuを単未粉末として与えた場合のCu量の影響を調べた。これらよりCu未添加の場合(試料番号23)は、Cuが関与する液相が発生せず、引張り強さおよび耐面圧荷重はともに低い値を示すが、Cuを単味粉末の形態で付与する場合、Cu量が0.5質量%以上で引張り強さおよび耐面圧荷重が向上することがわかる。ただし、Cu量が5質量%を超える試料番号27の試料では液相発生量が過多となって焼結体の変形が生じている。一方、伸びはCu量が増加するにつれて低下する傾向を示すが、Cu量が5質量%までの範囲では、1.0%以上の十分な伸びを示している。これらより、原料粉末の組成中のCu量は0.5〜5質量%の範囲で引張り強さおよび耐面圧荷重の向上の効果があり、この範囲で伸びは十分な値を示すことが確認された。
表6〜8の試料番号28〜32の試料の比較により、CuをZnを含有するアルミニウム合金粉末の形態で付与した場合のCu量の影響を調べた。この場合、Cuを単未粉末の形態で付与した場合と同様、Cu未添加の試料(試料番号23)より引張り強さおよび耐面圧荷重の向上が認められるが、原料粉末の組成中のCu量は上記により確認された0.5〜5質量%にあっても、アルミニウム合金粉末中のCu量が10質量%を超える(試料番号32)と、却って引張り強さおよび伸びが低下することがわかる。このことから、CuをZnを含有するアルミニウム合金粉末に合金化して与える場合、その上限は10質量%とする必要があることが確認された。
実施例4は、硬質粒子粉末の添加量および種類について調査したもので、実施例1のアルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末、マグネシウム粉末、銅粉末、錫粉末、炭化硼素粉末とともに、各々125メッシュの炭化珪素粉末および硼化クロム粉末を用いて、表9に示す配合割合で、これらの粉末を混合し、表10に示す全体組成の原料粉末を準備した。これらの原料粉末を用いて、実施例1と同じ条件で成形工程、焼結工程、鍛造工程、熱処理工程、試験片加工工程を行い、得られた試料についてそれぞれの工程における密度比および引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重を測定した。その結果を実施例1の試料番号01の試料の結果(平均値)とともに表11に示す。
また、従来例として、それぞれ100メッシュ以下のアルミニウム粉、およびSi:20質量%を含み残部がAlのアルミニウム−珪素合金粉末、それぞれ250メッシュ以下のNi:4質量%を含み残部がCuの銅−ニッケル合金粉末、およびMg:50質量%を含み残部がAlのアルミニウム−マグネシウム合金粉末を用意し、表1に示す配合割合で混合し、成形工程では成形圧力を200MPa、焼結工程では、窒素ガス雰囲気中、400℃から焼結保持温度までの昇温速度:10℃/分、焼結保持温度:550℃、焼結保持時間:60分、焼結保持温度から450℃までの冷却速度:−20℃/分、鍛造工程では焼結体試料および鍛造金型の加熱温度:450℃、据え込み率:40%、熱処理工程では、溶体化処理温度:470℃、時効析出処理:130℃×24時間として、特許文献4(特開平7−224341号公報)で開示の合金を作製した。この試料(試料番号42)についてもそれぞれの工程における密度比および引張り強さ、伸びの機械的特性を測定するとともに、結果を表11に併せて示す。
Figure 2006316312
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表9〜11の試料番号01,33〜40の試料を比較することで硬質粒子の添加量の効果を調べることができる。これらより硬質粒子が無添加の試料番号33の試料は、高い引張り強さと伸びを示すものの、耐面圧荷重が低く耐摩耗性が低い材料であることがわかる。このような材料であっても硬質粒子の量を0.1質量%以上とすることにより、引張り強さの低下が僅かでありながら、耐摩耗性が改善され、特に1.0質量%以上の添加で高い耐摩耗性が得られることがわかる。一方、伸びは硬質粒子の量が増加するにしたがい若干低下する傾向を示すが、硬質粒子の量が10質量%までは伸びの値が1%以上であり、十分な伸びを示すことがわかる。ただし、硬質粒子の量が10質量%を超える(試料番号40)と、伸びの値が1%を下回るとともに、摺動相手側部材の摩耗量が増大していることが観察された。以上より、硬質粒子の量は0.1〜10質量%の範囲で、高い引張り強さと伸びを示すとともに、耐摩耗性が改善されるとともに、従来のアルミニウム−珪素系耐摩耗性アルミニウム焼結合金(試料番号43)のものよりも、高い引張り強さを示す耐摩耗性アルミニウム焼結合金が得られることが確認された。特に、硬質粒子の量が1.0〜10質量%の範囲で耐摩耗性改善の効果が大きいこともわかった。
表9〜11の試料番号01、41、42の試料を比較することで硬質粒子の種類の影響を調べることができる。これらより、硬質粒子の種類を炭化硼素より、炭化珪素あるいは硼化クロムに替えても十分な耐摩耗性(耐面圧荷重)が得られることが確認された。特に、硼化クロムを用いた場合、従来のアルミニウム−珪素系耐摩耗性アルミニウム焼結合金(試料番号43)のものよりも、高い引張り強さを示すだけでなく、耐面圧荷重も同等の優れた耐摩耗性アルミニウム焼結合金が得られることがわかった。
実施例5は、焼結助剤粉末の添加量および種類について調査したもので、実施例1のアルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末、マグネシウム粉末、銅粉末、炭化硼素粉末、錫粉末とともに、各々250メッシュのビスマス粉末、インジウム粉末およびZn:8質量%、Bi:3質量%および残部がSnおよび不可避不純物よりなる鉛フリーはんだ粉末を用いて、表12に示す配合割合で、これらの粉末を混合し、表13に示す全体組成の原料粉末を準備した。これらの原料粉末を用いて、実施例1と同じ条件で成形工程、焼結工程、鍛造工程、熱処理工程、試験片加工工程を行い、得られた試料についてそれぞれの工程における密度比および引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重を測定した。その結果を実施例1の試料番号01の試料の結果(平均値)とともに表14に示す。
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ここでは、表12〜14の試料番号01、44〜48の試料により、低融点金属粉末の添加量の影響を調べた。その結果、低融点金属を添加すると、未添加のもの(試料番号44)に比べて引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重が改善されることがわかる。また、その添加量は0.01〜0.5質量%の添加で効果が認められ、添加量が0.05〜0.1質量%で最も効果が高いが、0.5質量%を超える(試料番号48)と、伸びの低下が著しく、また耐面圧荷重も低下することがわかる。よって、低融点金属粉末の添加は0.01〜0.5質量%の範囲で機械的特性向上の効果があることが確認された。
また、表12〜14の試料番号01、49〜51の試料により、低融点金属粉末の種類を替えて、低融点金属粉末の種類の影響を調べた。その結果、錫粉末を、ビスマス粉末、インジウム粉末または鉛フリーはんだ粉末に替えても同様の効果が得られることが確認された。
実施例6は、成形条件として成形圧力、焼結条件として焼結温度と焼結時間を変化させた場合について調査したもので、実施例1の試料番号01で用いたアルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末、マグネシウム粉末、銅粉末、錫粉末を、実施例1と同じ成分組成に調整した原料粉末を用いて、表15に示す成形圧力、焼結温度、焼結時間で成形工程および焼結工程を行った後、実施例1と同じ条件で、鍛造工程、熱処理工程、試験片加工工程を行った。このようにして得られた試料についてそれぞれの工程における密度比および引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重を測定した。その結果を実施例1の試料番号01の試料の結果(平均値)とともに表16に示す。
Figure 2006316312
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表15および16の試料番号01、52〜55の試料より、成形圧力が200〜400MPaの範囲で、成形体の密度比が90%以上の成形体試料が得られ、これにより、焼結−鍛造−熱処理の工程を経ることで、高い引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重を示すことがわかる。一方、成形圧力が200MPaに満たない試料番号52の試料では、成形体密度が低いため、液相発生による収縮量が大きく、型くずれが発生したことにより、後の鍛造および熱処理工程を中止し、試験を中止した。また、成形圧力が400MPaを超える(試料番号55)と、型カジリが発生し後の焼結工程以降を中止し、試験を中止した。
表15および表16の試料番号01、56〜59の試料により、焼結保持温度の影響を調べた。その結果、焼結保持温度が580〜610℃の範囲の試料番号01、57および58の試料は、高い引張り強さと伸びを示すことがわかる。一方、焼結保持温度が580℃に満たない試料番号56の試料では引張り強さおよび伸びがいずれも低くなる。これは、成分元素がAl基地中に完全に固溶できず、局部的に偏析して残留した結果、機械的特性が低い値になるものと推察される。また、逆に焼結保持温度が610℃を超える試料番号59の試料では、液相量が過多に発生した結果、焼結体の溶融変形が生じ、以降の試験を中止した。
また、表15および表16の試料番号01と60〜63の試料により、焼結保持時間の影響を調べた。その結果、焼結時間が10分に満たない試料番号60の試料では、張り強さおよび伸びがいずれも低くなる。これは、成分が焼結時間が短いとAl基地中に十分に固溶できず、局部的に偏析して残留した結果、機械的特性が低い値になるものと推察される。一方、焼結時間が10分以上の試料番号01、61〜63の試料は、成分がAl基地中に均一に固溶され、引張り強さが500MPa以上で、伸びが3%を超える、高い機械的特性を示している。ただし、焼結保持時間が30分を超えても、機械的特性は変わらないため、30分以下の焼結保持時間で十分である。
実施例7では、実施例6と同じく実施例1の試料番号01のアルミニウム粉末、アルミニウム合金粉末、マグネシウム粉末、銅粉末、錫粉末を用い、実施例1と同じ成分組成に調整した原料粉末を用い、鍛造条件を表17に示す条件に変更した以外は実施例1と同じ試料作成条件で試料を作製した。これらの試料について、各工程後の密度比および引張り強さと伸びおよび耐面圧荷重を測定した結果を実施例1の試料番号01の試料の測定結果とともに表18に示す。なお、表17において、「鍛造温度」の欄は、冷間鍛造の場合は「室温」と標記し、熱間鍛造の場合は、素材となる焼結体試料の加熱温度を標記した。また、試料番号64の試料は鍛造を施さない、特許文献1と同様の従来例である。
Figure 2006316312
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ここでは、表17および18の試料番号64〜69の試料により、室温で冷間鍛造を行った場合の、据え込み率の影響を調べた。その結果、冷間鍛造の場合、据え込み率が3〜40%の範囲であれば、高い引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重が得られることがわかる。一方、据え込み率が40%を超える(試料番号69)と、鍛造により試料に割れが発生し、試験を中止した。
また、表17および18の試料番号68(冷間鍛造)、01と70〜75の試料により、焼結体の加熱温度を変えて熱間鍛造した場合の加熱温度の影響を調べた。その結果、引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重の値は、熱間鍛造とすることで改善されることがわかる。これは、冷間鍛造の場合、試料の内部にごく僅かヘアクラックが残留して伸びが低下するが、素材加熱温度が100℃以上の熱間鍛造とすることでヘアクラックが皆無となることに起因している。一方、鍛造温度が400℃を超える(試料番号75)と、金型への焼結体の凝着(型カジリ)が発生したため、試験を中止した。
また、表17および18の試料番号01、76〜80の試料により、熱間鍛造を行った場合の、据え込み率の影響を調べた。その結果、熱間鍛造の場合、据え込み率を3〜70%の範囲まで拡張しても、高い引張り強さ、伸びおよび耐面圧荷重が得られることがわかる。一方、据え込み率が70%を超える(試料番号80)と、鍛造により試料に割れが発生し、試験を中止した。



Claims (9)

  1. 原料粉末全体の成分組成が、質量比で、Zn:3.0〜10%、Mg:0.5〜5.0%、Cu:0.5〜5.0%、硬質粒子:0.1〜10%、並びに残部が不可避不純物およびAlからなり、かつ、原料として15質量%以上のアルミニウム粉末と、Znの全量を含むアルミニウム合金粉末と、0.1〜10質量%の硬質粒子粉末とを少なくとも用い、それらの原料粉末を混合する原料粉末配合工程と、
    前記原料粉末配合工程により得られた原料粉末を用いて、所望の形状の金型に充填した後、200MPa以上の成形圧力で圧粉成形する成形工程と、
    前記成形工程で得られた成形体を、非酸化性雰囲気中で、焼結保持温度:580〜610℃、焼結保持時間:10分以上で焼結した後、常温まで冷却する焼結工程と、
    前記焼結工程で得られた焼結体を、460〜490℃に加熱して水焼き入れして溶体化した後、110〜200℃で2〜28時間保持して時効析出させる熱処理工程、
    を順に行うことを特徴とする高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法。
  2. 前記焼結工程を経た焼結体を、室温で据え込み率:3〜40%の据え込み率で冷間鍛造を行う冷間鍛造工程、もしくは100〜450℃で据え込み率:3〜70%の据え込み率で熱間鍛造を行う熱間鍛造工程のいずれかによる鍛造工程を行った後、前記熱処理工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法。
  3. 前記アルミニウム合金粉末が、Zn:10〜30質量%で、残部がAlおよび不可避不純物よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法。
  4. 前記アルミニウム合金粉末が、Cu:10質量%以下をさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法。
  5. 前記硬質粒子粉末として、硬さが1000Hv以上で、アルミニウムと反応しないものを用いることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法。
  6. 前記硬質粒子粉末が、炭化珪素粉末、硼化クロム粉末、炭化硼素粉末の少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法。
  7. 前記原料粉末中に、原料粉末の全体組成に対して0.01〜0.5質量%のSn単味粉末、Bi単味粉末、In単味粉末、および、Sn、Bi、Inのいずれかを主成分とし前記主成分の共晶液相を生じる共晶化合物粉末および偏晶化合物粉末、の少なくとも1種の粉末をさらに添加、混合したことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法。
  8. 上記アルミニウム粉末およびアルミニウム合金粉末の大きさがそれぞれ100メッシュ以下、硬質粒子粉末の大きさが125メッシュ以下、その他の粉末の大きさが200メッシュ以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法。
  9. 前記焼結工程おける非酸化性雰囲気が、露点が−40℃以下の窒素ガス雰囲気であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の高強度耐摩耗性アルミニウム焼結合金の製造方法。
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