JP2014196082A - 車両用ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

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貴嗣 木下
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正樹 小池
宏平 赤峰
Kohei Akamine
宏平 赤峰
崇 西岡
Takashi Nishioka
崇 西岡
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Abstract

【課題】車両の発進時における操作フィーリングを向上させることができる車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両用ブレーキ液圧制御装置は、車輪速センサからの出力に基いて車両の停車判定を行う停車判定手段と、ブレーキ操作量を取得する操作量取得手段と、停車判定手段および操作量取得手段からの情報に基いて、車輪に付与されるブレーキ液圧を保持する車両保持制御を実行する車両保持制御手段とを備え、車両保持制御手段は、停車判定以前の時点において当該時点から第1時間後にブレーキ操作が解除されるか否かを判定し(S4)、ブレーキ操作が解除されると判定した場合には(S4:Yes)、停車判定時において車両保持制御を開始するのを禁止する(S5)。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
従来、例えば車両の停止状態を維持するようにブレーキ液圧を保持する車両用ブレーキ液圧制御装置として、ブレーキペダルの踏み込みにより車両を停車させた後にブレーキ液圧を保持する保持制御を行い、その後、車両の動き出しを検出するとブレーキ液圧を加圧して車両の停止状態を維持するものが知られている(特許文献1参照)。
特開平7−315185号公報
しかしながら、前述した技術では、運転者が車両を停車させようとしてブレーキ操作をしたものの、車両が停車した瞬間に運転者がブレーキを解除する方向に操作して発進に移行しようとした場合には、運転者の意に反して保持制御が介入する場合がある。さらに、この際、運転者によるブレーキの解除により車両が動き出すと、車両停止後の動き出しを抑制しようとして運転者の意に反してブレーキ液圧を加圧する制御が介入する場合もある。このような運転者の意に反する保持制御や加圧制御が行われた場合には、発進時の操作フィーリングが悪化するおそれがあった。
そこで、本発明は、車両の発進時における操作フィーリングを向上させることができる車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明は、車両が停止した際にブレーキ液圧を保持可能な車両用ブレーキ液圧制御装置であって、車輪速センサからの出力に基いて車両の停車判定を行う停車判定手段と、ブレーキ操作量を取得する操作量取得手段と、前記停車判定手段および前記操作量取得手段からの情報に基いて、車輪に付与されるブレーキ液圧を保持する車両保持制御を実行する車両保持制御手段と、を備え、前記車両保持制御手段は、前記停車判定以前の時点において当該時点から第1時間後にブレーキ操作が解除されるか否かを判定し、ブレーキ操作が解除されると判定した場合には、前記停車判定時において前記車両保持制御を開始するのを禁止することを特徴とする。
この構成によれば、停車判定以前の時点において当該時点から第1時間後にブレーキ操作が解除されると予測された場合には、停車判定時において車両保持制御の開始を禁止することで、運転者の意に反した車両保持制御の介入が防止されるので、発進時における操作フィーリングを向上することができる。
また、前記した構成において、前記車両保持制御手段は、ブレーキ操作が解除されると判定した場合には、前記停車判定時から第2時間の間、前記車両保持制御を開始するのを禁止するように構成されていてもよい。
これによれば、車両保持制御手段により車両保持制御への介入を停車判定時から第2時間の間遅らせることができるので、車両がより確実に停車したことが確定した後で車両保持制御に介入させることができる。
また、前記した構成において、前記車両保持制御手段は、前記停車判定時から前記第2時間が経過したときに、前記ブレーキ操作量が第1所定値未満であるか否かを判定し、前記ブレーキ操作量が第1所定値以上であると判定した場合には、前記車両保持制御を開始し、前記ブレーキ操作量が第1所定値未満であると判定した場合には、前記車両保持制御を禁止するように構成されていてもよい。
これによれば、停車判定時から第2時間が経過したときのブレーキ操作量の状態によって車両保持制御を開始するか否かを判断するので、例えば運転者が一旦ブレーキ解除をしようとしたが思い直して再度ブレーキをかけたような場合などにおいて、運転者の意図通りに車両保持制御を開始することができる。
また、前記した構成において、前記車両保持制御手段は、前記停車判定以前の前記時点での前記ブレーキ操作量と当該ブレーキ操作量の変化量とに基いて、前記ブレーキ操作が解除されるか否かを判定するように構成されていてもよい。
これによれば、ブレーキ操作量の変化量を利用してブレーキ操作が解除されるか否かを判定するため、運転者が素早くブレーキ操作を解除する場合には車両保持制御を開始するのを禁止することができる。
また、前記した構成において、前記車両保持制御手段は、前記停車判定以前の前記時点での前記ブレーキ操作量に、前記変化量に前記第1時間を乗算した値を加算した値が、第2所定値未満であるか否かを判定することで、前記ブレーキ操作が解除されるか否かを判定するように構成されていてもよい。
これによれば、ブレーキ操作の解除の予測を好適に行うことができる。
また、前記した構成において、前記ブレーキ操作量は、マスタシリンダ圧センサで検出したマスタシリンダ圧であってもよい。
本発明によれば、車両の発進時における操作フィーリングを向上させることができる。
本発明の実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を備えた車両の構成図である。 車両用ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧回路図である。 制御部の構成を示すブロック図である。 制御部の動作を示すフローチャートである。 車両の停車時における各種パラメータや制御状態の変化を示すタイムチャート(a)〜(c)であり、停車判定の後に車両保持制御が行われない例1を示すタイムチャートである。 停車判定時に車両保持制御が行われる例2を示すタイムチャート(a)〜(c)である。 停車判定時から第2時間が経過した後に車両保持制御が行われる例3を示すタイムチャート(a)〜(c)である。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100は、車両CRの各車輪Wに付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御するためのものであり、油路(液圧路)や各種部品が設けられた液圧ユニット10と、液圧ユニット10内の各種部品を適宜制御するための制御部20とを主に備えている。また、この車両用ブレーキ液圧制御装置100の制御部20には、車輪速センサ50や後述するマスタシリンダ圧センサ8(図2参照)が接続されており、各センサ50,8からの信号が入力されるようになっている。
車輪速センサ50は、車輪Wの車輪速度を検出するセンサであり、各車輪Wに設けられている。
制御部20は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、車輪速センサ50やマスタシリンダ圧センサ8からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各演算処理を行うことによって、制御を実行する。
また、ホイールシリンダHは、マスタシリンダMCおよび車両用ブレーキ液圧制御装置100により発生されたブレーキ液圧を各車輪Wに設けられた車輪ブレーキFR,FL,RR,RLの作動力に変換する液圧装置であり、それぞれ配管を介して車両用ブレーキ液圧制御装置100の液圧ユニット10に接続されている。
図2に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置100の液圧ユニット10は、運転者がブレーキペダルBPに加える踏力に応じたブレーキ液圧を発生する液圧源であるマスタシリンダMCと、車輪ブレーキFR,FL,RR,RLとの間に配置されている。液圧ユニット10は、ブレーキ液が流通する油路を有する基体であるポンプボディ10a、油路上に複数配置された入口弁1、出口弁2などから構成されている。マスタシリンダMCの二つの出力ポートM1,M2は、ポンプボディ10aの入口ポート121に接続され、ポンプボディ10aの出口ポート122が、各車輪ブレーキFR,FL,RR,RLに接続されている。そして、通常時はポンプボディ10a内の入口ポート121から出口ポート122までが連通した油路となっていることで、ブレーキペダルBPの踏力が各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達されるようになっている。
ここで、出力ポートM1から始まる油路は、前輪左側の車輪ブレーキFLと後輪右側の車輪ブレーキRRに通じており、出力ポートM2から始まる油路は、前輪右側の車輪ブレーキFRと後輪左側の車輪ブレーキRLに通じている。なお、以下では、出力ポートM1から始まる油路を「第一系統」と称し、出力ポートM2から始まる油路を「第二系統」と称する。
液圧ユニット10には、その第一系統に各車輪ブレーキFL,RRに対応して二つの制御弁手段Vが設けられており、同様に、その第二系統に各車輪ブレーキRL,FRに対応して二つの制御弁手段Vが設けられている。また、この液圧ユニット10には、第一系統および第二系統のそれぞれに、リザーバ3、ポンプ4、オリフィス5a、調圧弁(レギュレータ)R、吸入弁7が設けられている。また、液圧ユニット10には、第一系統のポンプ4と第二系統のポンプ4とを駆動するための共通のモータ9が設けられている。モータ9は、回転数制御可能なモータであり、本実施形態では、デューティ制御により回転数制御が行われる。また、本実施形態では、第二系統にのみマスタシリンダ圧センサ8が設けられている。
なお、以下では、マスタシリンダMCの出力ポートM1,M2から各調圧弁Rに至る油路を「出力液圧路A1」と称し、第一系統の調圧弁Rから車輪ブレーキFL,RRに至る油路および第二系統の調圧弁Rから車輪ブレーキRL,FRに至る油路をそれぞれ「車輪液圧路B」と称する。また、出力液圧路A1からポンプ4に至る油路を「吸入液圧路C」と称し、ポンプ4から車輪液圧路Bに至る油路を「吐出液圧路D」と称し、さらに、車輪液圧路Bから吸入液圧路Cに至る油路を「開放路E」と称する。
制御弁手段Vは、マスタシリンダMCまたはポンプ4から車輪ブレーキFL,RR,RL,FR(詳細には、ホイールシリンダH)への液圧の行き来を制御する弁であり、ホイールシリンダHの圧力を増加、保持または低下させることができる。そのため、制御弁手段Vは、入口弁1、出口弁2、チェック弁1aを備えて構成されている。
入口弁1は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとマスタシリンダMCとの間、すなわち車輪液圧路Bに設けられた常開型の比例電磁弁である。そのため、入口弁1に流す駆動電流の値に応じて、入口弁1の上下流の差圧が調整可能となっている。
出口弁2は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRと各リザーバ3との間、すなわち車輪液圧路Bと開放路Eとの間に介設された常閉型の電磁弁である。出口弁2は、通常時に閉塞されているが、車輪Wがロックしそうになったときに制御部20により開放されることで、各車輪ブレーキFL,FR,RL,RRに作用するブレーキ液圧を各リザーバ3に逃がす。
チェック弁1aは、各入口弁1に並列に接続されている。このチェック弁1aは、各車輪ブレーキFL,FR,RL,RR側からマスタシリンダMC側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキペダルBPからの入力が解除された場合に、入口弁1を閉じた状態にしたときにおいても、各車輪ブレーキFL,FR,RL,RR側からマスタシリンダMC側へのブレーキ液の流入を許容する。
リザーバ3は、開放路Eに設けられており、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液圧を貯留する機能を有している。また、リザーバ3とポンプ4との間には、リザーバ3側からポンプ4側へのブレーキ液の流れのみを許容するチェック弁3aが介設されている。
ポンプ4は、出力液圧路A1に通じる吸入液圧路Cと車輪液圧路Bに通じる吐出液圧路Dとの間に介設されており、リザーバ3で貯留されているブレーキ液を吸入して吐出液圧路Dに吐出する機能を有している。言い換えると、ポンプ4は、ブレーキ液を加圧し、調圧弁Rよりも車輪ブレーキFL,RR,RL,RR側の車輪液圧路Bに吐出する機能を有している。
これにより、リザーバ3により吸収されたブレーキ液をマスタシリンダMCに戻すことができるとともに、ブレーキペダルBPの操作の有無に関わらずブレーキ液圧を発生して、車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに制動力を発生することができる。なお、ポンプ4によるブレーキ液の吐出量は、モータ9の回転数(デューティ比)に依存している。すなわち、モータ9の回転数(デューティ比)が大きくなると、ポンプ4によるブレーキ液の吐出量も大きくなる。
オリフィス5aは、ポンプ4から吐出されたブレーキ液の圧力の脈動を減衰させている。
調圧弁Rは、通常時にマスタシリンダMCからのブレーキ液を車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに流すことを許容するとともに、ポンプ4が発生したブレーキ液圧によりホイールシリンダH側の圧力を増加するときには、この流れを遮断(車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダMC側への流れを抑止)しつつ、ホイールシリンダH側の圧力を設定値以下に調節する機能を有している。具体的に、調圧弁Rは、切換弁6およびチェック弁6aを備えて構成されている。
切換弁6は、マスタシリンダMCに通じる出力液圧路A1と各車輪ブレーキFL,FR,RL,RRに通じる車輪液圧路Bとの間に介設された常開型の比例電磁弁である。そのため、切換弁6に入力される駆動電流の値(指示電流値)に応じて閉弁力を任意に変更することで、切換弁6の上下流の差圧が調整されて、車輪液圧路Bの圧力を設定値以下に調圧可能となっている。
チェック弁6aは、各切換弁6に並列に接続されている。このチェック弁6aは、出力液圧路A1から車輪液圧路Bへのブレーキ液の流れを許容する一方向弁である。
吸入弁7は、吸入液圧路Cに設けられた常閉型の電磁弁であり、吸入液圧路Cを開放する状態および遮断する状態を切り換えるものである。吸入弁7は、例えば、ポンプ4によって各車輪ブレーキFL,FR,RL,RR内の液圧を加圧するときに制御部20の制御により開弁される。
マスタシリンダ圧センサ8は、マスタシリンダ圧、詳しくは出力液圧路A1のブレーキ液圧を検出するものであり、その検出結果は制御部20に入力される。
次に、制御部20の詳細について説明する。
図3に示すように、制御部20は、車輪速センサ50およびマスタシリンダ圧センサ8から入力された信号に基づき、液圧ユニット10内の調圧弁R(切換弁6)の開閉動作を制御して、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの動作を制御している。具体的に、この制御部20は、公知のABS制御等を実行する他、車両CRが停止した際にブレーキ液圧を保持する車両保持制御を実行する。
制御部20は、停車判定手段の一例としての停車判定部21と、操作量取得手段の一例としての操作量取得部22と、車両保持制御手段の一例としての車両保持制御部23と、弁駆動部24と、記憶部25とを備えて構成されている。
停車判定部21は、車輪速センサ50からの出力に基いて公知の停車判定を行う機能を有しており、車両が停車したと判定した場合には、そのことを示す停車信号を車両保持制御部23に出力する。なお、停車判定は、例えば、車輪速センサ50からの信号に基いて算出した車体速度が所定値以下になったか否かを判定したり、車輪速センサ50から信号が出力されていない状態が所定時間以上経過したか否かを判定することで行えばよい。
操作量取得部22は、マスタシリンダ圧センサ8からブレーキ操作量の一例としてのマスタシリンダ圧を取得する機能を有している。操作量取得部22は、マスタシリンダ圧センサ8から取得したマスタシリンダ圧を車両保持制御部23に出力する。
車両保持制御部23は、停車判定部21および操作量取得部22からの情報に基いて、車輪に付与されるブレーキ液圧を保持する車両保持制御を実行する機能を有している。具体的に、車両保持制御部23は、停車判定部21から停車信号を受けたか否かを判定し、受けたと判定した場合には、当該停車信号を受けた時点、つまり停車判定時の時点から第1時間T1後にブレーキ操作が解除されるか否かを判定する機能を有している。
そして、車両保持制御部23は、ブレーキ操作が解除されると判定した場合には、停車判定時において車両保持制御を開始するのを禁止し、ブレーキ操作が解除されないと判定した場合には、停車判定時において車両保持制御を開始する。これにより、停車判定時において当該時点から第1時間T1後にブレーキ操作が解除されると予測された場合には、停車判定時において車両保持制御の開始を禁止することで、運転者の意に反した車両保持制御の介入が防止されるので、発進時における操作フィーリングを向上することが可能となっている。
詳しくは、車両保持制御部23は、ブレーキ操作が解除されるか否かの判定を、以下の式(1)で示すマスタシリンダ圧の予測値Pが第2所定値TH2より低いか否かを判定することで行っている。
P=Px−dP/dt×T1 ・・・ (1)
P:マスタシリンダ圧の予測値
Px:停車判定時のマスタシリンダ圧
dP/dt:停車判定時のマスタシリンダ圧の微分値
T1:第1時間
なお、本実施形態において、第2所定値TH2はゼロに設定されていることとする。
以上のようにマスタシリンダ圧の微分値(変化量)を利用してブレーキ操作が解除されるか否かを判定することで、停車判定時に運転者が素早くブレーキ操作を解除する場合には車両保持制御を開始するのを禁止することが可能となっている。
また、車両保持制御部23は、ブレーキ操作が解除されると判定した場合には、停車判定時から第2時間T2の間、車両保持制御を開始するのを禁止するように構成されている。これにより、車両保持制御への介入を停車判定時から第2時間T2だけ遅らせることができるので、車両がより確実に停車したことが確定した後で車両保持制御に介入させることができる。
さらに、車両保持制御部23は、停車判定時から第2時間T2が経過したときに、マスタシリンダ圧が第1所定値TH1未満であるか否かを判定し、マスタシリンダ圧が第1所定値TH1以上であると判定した場合には、車両保持制御を開始し、マスタシリンダ圧が第1所定値TH1未満であると判定した場合には、車両保持制御を禁止するように構成されている。このように第2時間T2が経過した時点でのマスタシリンダ圧の状態によって車両保持制御を開始するか否かを判断することで、例えば運転者が一旦ブレーキ解除をしようとしたが思い直して再度ブレーキをかけたような場合などにおいて、運転者の意図通りに車両保持制御を開始することが可能となっている。なお、本実施形態において、第1所定値TH1はゼロよりも僅かに大きな値に設定されていることとする。
弁駆動部24は、車両保持制御部23の指示に基いて、調圧弁Rを制御する部分であり、通常時は、調圧弁Rに電流を流さない。そして、弁駆動部24は、車両保持制御部23から指示電流値の出力があった場合には、この指示電流値に従い調圧弁Rに駆動電流を供給する。調圧弁Rに駆動電流が供給されると、調圧弁Rの上下流には、この駆動電流に応じた差圧が形成可能となり、これ以上の差圧が発生すると調圧弁Rは開弁して駆動電流に応じた差圧を維持する。その結果、車輪ブレーキ内の液圧が調圧される。
記憶部25には、前述した第1時間T1や第2時間T2等の各閾値や式(1)などが記憶されている。
次に、制御部20の動作を図4を参照して説明する。
制御部20は、常時図4に示すフローチャートを繰り返し実行する。
まず、制御部20は、車輪速センサ50およびマスタシリンダ圧センサ8から車輪速度やマスタシリンダ圧を取得する(S1)。ステップS1の後、制御部20は、車輪速度に基いて車両が停車したか否かを判定する(S2)。
ステップS2において、制御部20は、停車していないと判定した場合には(No)、そのまま本制御を終了し、停車したと判定した場合には(Yes)、マスタシリンダ圧の予測値Pを算出する(S3)。ステップS3の後、制御部20は、算出した予測値Pが第2所定値TH2未満である否かを判定する(S4)。
ステップS4において予測値Pが第2所定値TH2未満である場合には(Yes)、制御部20は、停車判定時から第2時間T2が経過しているか否かを判定する(S5)。つまり、制御部20は、予測値Pが第2所定値TH2未満である場合には、第2時間T2の間、車両保持制御(S7)を開始するのを禁止している。なお、ステップS5の判定は、例えばステップS2で停車したと判定した時点からカウントアップを開始するカウンタを参照することなどで行えばよい。
ステップS5において第2時間T2が経過した場合には(Yes)、制御部20は、現在のマスタシリンダ圧が第1所定値TH1未満であるか否かを判定する(S6)。ステップS6において現在のマスタシリンダ圧が第1所定値TH1未満である場合には(Yes)、車両保持制御(S7)を開始することなく、本制御を終了する。つまり、制御部20は、停車判定時から第2時間T2が経過したときにおいて、現在のマスタシリンダ圧が第1所定値TH1未満である場合に、車両保持制御を開始するのを禁止している。
ステップS6において現在のマスタシリンダ圧が第1所定値TH1以上である場合や(No)、ステップS4において予測値Pが第2所定値TH2以上である場合には(No)、制御部20は、車両保持制御を実行した後(S7)、本制御を終了する。
次に、制御部20の車両保持制御のいくつかの例について図5〜図7を参照して詳細に説明する。具体的には、図5では、停車判定の後に車両保持制御が行われない例1を示し、図6では、停車判定時に車両保持制御が行われる例2を示し、図7では、停車判定時から第2時間T2が経過したときに車両保持制御が行われる例3を示す。なお、各図において、制御部20が停車したと判定した場合を「1」と示し、停車していないと判定した場合を「0」で示す。また、マスタシリンダ圧の微分値は、符号を正にして示しているとともに、所定の係数をかけた大きな値として表示している。
<例1>
図5(c)に示すように、運転者が時刻t0以前からブレーキペダルを踏んで車両を停車させようとしたが、停車前に運転車が停車するのを思い直してブレーキペダルの踏み込み力を弱くした場合には、マスタシリンダ圧が徐々に下がっていく。その後、運転者がブレーキペダルの踏み込み力を弱めたにも関わらず時刻t1にて車両が停車した場合には、制御部20は、図5(a)に示すように車両が停車したと判定する。
この際、制御部20は、停車判定時におけるマスタシリンダ圧の微分値ΔP1とマスタシリンダ圧P1とに基いて予測値Pを算出し、この予測値Pが第2所定値TH2未満であるか否かを判定する。そして、制御部20は、予測値Pが第2所定値TH2未満であると判断した場合には、図5(b)に示すように、停車判定時において車両保持制御に入るのを禁止し(時刻t1)、停車判定時から第2時間T2経過したときの時刻t2において、現在のマスタシリンダ圧P2が第1所定値TH1未満であるか否かを判定する。
制御部20は、時刻t2において、現在のマスタシリンダ圧P2が第1所定値TH1未満であると判定すると、図5(b)に示すように、当該時刻t2においても車両保持制御の開始を禁止する。
<例2>
図6(c)に示すように、運転者が時刻t0以前から図5に示した例1よりも弱めの踏力でブレーキ操作を行った後、思い直してブレーキペダルの踏み込み力を緩やかに弱くした場合には、図5に示す例1よりも緩やかな速度でマスタシリンダ圧が下がっていく。そして、時刻t1にて車両が停車した場合には、制御部20は、図6(a)に示すように車両が停車したと判定する。
この際、制御部20は、停車判定時におけるマスタシリンダ圧の微分値ΔP3とマスタシリンダ圧P3とに基いて予測値Pを算出し、この予測値Pが第2所定値TH2未満であるか否かを判定する。この例2では、停車判定時のマスタシリンダ圧P3が、図5に示す例1における停車判定時のマスタシリンダ圧P1よりも大きいため、制御部20は、予測値Pが第2所定値TH2以上と判定して、図6(b)に示すように、停車判定と同時に車両保持制御を開始する(時刻t1)。
<例3>
図7(c)に示すように、運転者が時刻t0以前から図5に示した例1と略同じ踏力でブレーキ操作を行った後、思い直してブレーキペダルの踏み込み力を徐々に弱くした場合には、図5に示した例1と同様にマスタシリンダ圧が徐々に下がっていく。その後、運転者がブレーキペダルの踏み込み力を弱めたにも関わらず時刻t1にて車両が停車した場合には、制御部20は、図7(a)に示すように車両が停車したと判定する。
この際、制御部20は、停車判定時におけるマスタシリンダ圧の微分値ΔP4とマスタシリンダ圧P4とに基いて予測値Pを算出し、この予測値Pが第2所定値TH2未満であるか否かを判定する。そして、制御部20は、予測値Pが第2所定値TH2未満であると判断した場合には、図7(b)に示すように、停車判定時において車両保持制御に入るのを禁止し、停車判定時から第2時間T2経過したときの時刻t2において、現在のマスタシリンダ圧P5が第1所定値TH1未満であるか否かを判定する。
この際、図7(c)に示すように、運転者が停車判定時の時点(時刻t1)からブレーキペダルの踏み込み量を一定にすることで、第2時間T2の間中マスタシリンダ圧が第1所定値TH1以上の値に保たれる場合がある(実線参照)。また、1点鎖線で示すように、停車判定後にマスタシリンダ圧が一旦第1所定値TH1を下回った後で、運転者が再度ブレーキペダルを踏み増すことによって、マスタシリンダ圧が再び上昇して時刻t2において第1所定値TH1以上となる場合がある。
これらの場合には、制御部20は、時刻t2において、現在のマスタシリンダ圧P4が第1所定値TH1以上であると判定して、図7(b)に示すように、当該時刻t2において車両保持制御を開始する。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、停車判定時の時点においてブレーキ操作が解除されるかの予測を行ったが、本発明はこれに限定されず、例えば停車判定時より少し前の時点においてブレーキ操作が解除されるかの予測を行ってもよい。
前記実施形態では、第2所定値TH2をゼロにしたが、本発明はこれに限定されず、例えばゼロよりも僅かに大きな値などに設定してもよい。また、前記実施形態では、第1所定値TH1をゼロよりも僅かに大きな値としたが、本発明はこれに限定されず、例えばゼロであってもよい。
前記実施形態では、停車判定時から第2時間T2が経過したときにマスタシリンダ圧が第1所定値未満であるか否かを判定し、この判定結果に基いて車両保持制御の許容・禁止を判定したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、停車判定時から第2時間の間において、マスタシリンダ圧が第1所定値未満であるか否かを判定し、マスタシリンダ圧が第2時間の間継続して第1所定値以上であると判定した場合には、第2時間の経過後に車両保持制御を開始し、マスタシリンダ圧が1回でも第1所定値未満となったと判定した場合には、第2時間の経過後に車両保持制御を禁止するように構成されていてもよい。なお、前述した第1時間T1や第2時間T2は、路面の傾斜に応じて可変にしてもよい。
前記実施形態では、ブレーキ操作が解除されると判定した場合には、停車判定時から第2時間T2の間、車両保持制御を開始するのを禁止したが、本発明はこれに限定されず、少なくとも停車判定時において車両保持制御を開始するのを禁止すればよく、停車判定時から第2時間T2が経過する前に車両保持制御の開始を許容するようにしてもよい。
前記実施形態では、調圧弁Rを制御することで車両保持制御を行ったが、本発明はこれに限定されず、例えば、モータを駆動することによってマスタシリンダ内のピストンを移動させるような電動ブースタでブレーキ液圧を保持・減圧する場合には、電動ブースタを制御することで本発明に係る車両保持制御を行ってもよい。
前記実施形態では、ブレーキ操作量としてマスタシリンダ圧を取得する操作量取得手段(操作量取得部22)を例示したが、本発明はこれに限定されず、操作量取得手段は、例えばストロークセンサで検出したブレーキペダルのストロークをブレーキ操作量として取得するように構成されていてもよい。
20 制御部
21 停車判定部
22 操作量取得部
23 車両保持制御部
50 車輪速センサ
100 車両用ブレーキ液圧制御装置
CR 車両

Claims (6)

  1. 車両が停止した際にブレーキ液圧を保持可能な車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
    車輪速センサからの出力に基いて車両の停車判定を行う停車判定手段と、
    ブレーキ操作量を取得する操作量取得手段と、
    前記停車判定手段および前記操作量取得手段からの情報に基いて、車輪に付与されるブレーキ液圧を保持する車両保持制御を実行する車両保持制御手段と、を備え、
    前記車両保持制御手段は、前記停車判定以前の時点において当該時点から第1時間後にブレーキ操作が解除されるか否かを判定し、ブレーキ操作が解除されると判定した場合には、前記停車判定時において前記車両保持制御を開始するのを禁止することを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  2. 前記車両保持制御手段は、ブレーキ操作が解除されると判定した場合には、前記停車判定時から第2時間の間、前記車両保持制御を開始するのを禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
  3. 前記車両保持制御手段は、前記停車判定時から前記第2時間が経過したときに、前記ブレーキ操作量が第1所定値未満であるか否かを判定し、前記ブレーキ操作量が第1所定値以上であると判定した場合には、前記車両保持制御を開始し、前記ブレーキ操作量が第1所定値未満であると判定した場合には、前記車両保持制御を禁止することを特徴とする請求項2に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
  4. 前記車両保持制御手段は、前記停車判定以前の前記時点での前記ブレーキ操作量と当該ブレーキ操作量の変化量とに基いて、前記ブレーキ操作が解除されるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
  5. 前記車両保持制御手段は、前記停車判定以前の前記時点での前記ブレーキ操作量に、前記変化量に前記第1時間を乗算した値を加算した値が、第2所定値未満であるか否かを判定することで、前記ブレーキ操作が解除されるか否かを判定することを特徴とする請求項4に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
  6. 前記ブレーキ操作量は、マスタシリンダ圧センサで検出したマスタシリンダ圧であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
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