JP2014195426A - 粒状体散布装置、及びこれを備えた作業車 - Google Patents

粒状体散布装置、及びこれを備えた作業車 Download PDF

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Abstract

【課題】詰まりを防止した直播装置を提供する。【解決手段】直播装置は、無端環状の繰出ベルト90を備えている。繰出ベルト90は、所定の循環軌道に沿って循環駆動されるとともに、前記循環軌道の外側が開口した繰出孔84を長手方向に沿って複数有する。繰出孔84は、繰出ベルト90の循環方向で上流側の内壁面と、下流側内壁面と、がそれぞれ外側に向けて拡がるように傾斜している。そして、前記上流側の内壁面と、前記下流側の内壁面では、その傾斜態様が異なる。【選択図】図6

Description

本発明は、直播装置において、繰り出された種子をバラつかせず良好に点播するための構成に関する。
直播装置は、種籾などの種子を圃場に直接播くための装置である。このような直播装置は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の直播装置(直播機)は、種子ホッパから種籾を少量ずつ間欠的に繰り出す繰出ロールを備えている。
直播装置においては、種子ホッパから繰り出した種子を、圃場に整然と点播できることが理想である。なお、点播とは、図5に示すように、数粒の種子を、一定の間隔を空けて播くことを言う。
特許文献1に記載の直播装置において、種子ホッパ内の種子は、繰出ロールによって少量(数粒)ずつ繰り出され、当該繰出ロールから落下して圃場に播かれる。繰り出しロールによって繰り出された少量の種子が、そのまま纏まった状態で地面に落下すれば、理想的な点播となる。
特許文献2は、ベルト式の点播播種機を開示している。この点播播種機は、育苗箱に種子を点播する装置であり、圃場に対して直接種子を播く直播装置とは技術分野が異なる。
特開2010−268770号公報 特開平11−187708号公報
近年、浮き苗や鳥害を防止する目的で、圃場に播く種子に鉄コーティングを施すことが増えてきている。そこで、このような種子を圃場に播くために、上記のような直播装置を利用することが考えられている。
ところが、種子に鉄コーティングが施されていると、当該コーティングの粉が大量に発生して直播装置の各部に付着し、詰まりの原因になるという問題がある。直播装置が詰まってしまうと、正常に種子を播くことができなくなるため、理想的な点播を実現できない。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、詰まりを防止した直播装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、粒状体を圃場に散布する粒状体散布装置の以下の構成が提供される。即ち、この粒状体散布装置は、無端環状の繰出ベルトを備える。当該繰出ベルトは、所定の循環軌道に沿って循環駆動されるとともに、前記循環軌道の外側が開口した保持部を長手方向に沿って複数有する。前記保持部は、前記繰出ベルトの循環方向で上流側の内壁面と、下流側内壁面と、がそれぞれ外側に向けて拡がるように傾斜している。そして、前記上流側の内壁面と、前記下流側の内壁面では、その傾斜態様が異なる。
このように、保持部の内壁面を、外側に拡がるように形成したことにより、繰出ベルトが湾曲したとしても、保持部の外側の開口部が拡がりにくくなっている。これにより、保持部の内壁面に、粒状体やコーティングの粉が食い込みにくくなるので、当該保持部に粒状体が詰まってしまうことを防止できる。そして、上流側と下流側で内壁面の傾斜態様を異ならせることにより、保持部内に粒状体を適切に保持しつつ、詰まりを防止することができる。
上記の粒状体散布装置において、前記保持部の前記上流側の内壁面は、前記下流側の内壁面よりも傾斜が緩やかであることが好ましい。
即ち、下流側の内壁面を、上流側よりも急峻にすることで、当該下流側の内壁面を粒状体が乗り越えにくくなる。従って、保持部内の粒状体が下に向けて漏れてしまうことを防止できる。これにより、保持部によって粒状体を適切に保持しつつ、当該保持部に粒状体が詰まることを防止できる。
上記の粒状体散布装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この粒状体散布装置は、前記繰出ベルトの、前記循環軌道の外側を向く面に接触可能な仕切り部を備える。前記仕切り部は、前記繰出ベルトに対して接近又は離間する方向での位置を調整可能である。
仕切り部の位置を調整することにより、当該仕切り部が保持部内に入り込む距離を変更できる。これにより、各保持部が搬送する粒状体の量を調整することができる。
本願発明の別の観点によれば、磁性体によりコーティングされた粒状体を圃場に散布する粒状体散布装置の以下の構成が提供される。即ち、この粒状体散布装置は、容器と、放出口と、詰まり防止部と、を備える。前記容器は、前記粒状体を収容する。前記放出口は、前記容器内の前記粒状体を地面に放出する。そして、前記詰まり防止部は、前記容器内、又は当該容器と前記放出口のあいだで前記粒状体が通過しうる通路の少なくとも一部に配置された磁石からなる。
このように、磁石を設けることにより、コーティングの粉を吸着することができるので、当該粉が各部に付着することを防止できる。これにより、粒状体散布装置の詰まりを防止できる。
上記の粒状体散布想定において、前記詰まり防止部は、前記容器の内部に配置され前記粒状体が通過する漉し網であり、当該漉し網が前記磁石として構成されていることが好ましい。
このように、漉し網を磁石から構成することで、粒状体が漉し網を通る際にコーティングの粉を吸着できるので、当該粉を除去する効果を増大させることができる。
上記の粒状体散布装置において、前記詰まり防止部の前記磁石は電磁石であることが好ましい。
コーティングされた粒状体は電磁石に吸着されるので、電磁石への通電量を制御することにより、粒状体の散布量を調整することが可能になる。また、電磁石への通電を解除することにより、当該磁石に付着したコーティングの粉を容易に除去できる。
本発明の一実施形態に係る直播装置を備えた作業車の側面図。 直播装置の側面断面図。 直播装置の背面断面図。 (a)繰出ベルトの正面図、(b)繰出ベルトの側面図、(c)繰出ベルトのA−A断面図。(d)内側ガイドの側面図。 直播装置によって地面に種子が播かれる様子を示す側面断面図。 下流側仕切り部の近傍を拡大して示す側面断面図。 (a)調整ダイアルの正面図。(b)調整ダイアルの側面図。(c)調整ダイアルの背面図。(d)下流側仕切り部の側面図。 下流側仕切り部の位置を繰出ベルトに近付けた状態を拡大して示す側面断面図。 変形例を示す側面断面図。 従来の直播装置によって地面に種子が播かれる様子を示す側面断面図。
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1は、第1実施形態に係る農業用の作業車1の側面図である。
作業車1は、車体本体2と、当該車体本体2の後方に配置された直播装置(粒状体散布装置)3と、から構成されている。
車体本体2は、左右一対の前輪4及び後輪5(走行手段)と、当該前輪4及び後輪5の駆動源であるエンジン10と、を備えている。また、車体本体2の前後方向で前輪4と後輪5の間の位置には、オペレータが搭乗する運転座席6が設けられている。運転座席6の前方には、オペレータが車体本体2を操向操作するための操向ハンドル7が配置されている。
車体本体2の後方には、前記直播装置3が配置されている。直播装置3は、連結機構12を介して車体本体2に取り付けられている。また、車体本体2の後部には、エンジン10の駆動力を直播装置3に出力するためのPTO軸13が配置されている。
なお、本実施形態の作業車1は、農業用の多目的作業車として構成されており、直播装置3に代えて他の種類の作業機を取り付けることもできる。即ち、本実施形態の直播装置3は、車体本体2の連結機構12に対して着脱可能である。そして、連結機構12には、直播装置3以外の農業用作業機(例えば、田植装置、除草装置、溝切り装置など)を取り付けることができる。
続いて、直播装置3について詳しく説明する。
図2及び図3に示すように、直播装置3は、種子ホッパ20と、ベース部21と、繰出部22と、を備えている。
種子ホッパ20は、圃場に播く種子(粒状体)を入れておくための容器である。種子ホッパ20は上部が開放されており、その開放された上部から種子を内部に投入できる。また、種子ホッパ20は、開放されている上部を覆うための蓋部26を備えている。なお、本実施形態の直播装置3では、圃場に播く種子として、鉄コーティングが施された種籾を想定している。従って、種子ホッパ20には、鉄コーティングが施された種籾が投入される。
種子ホッパ20は、その下端部に近づくに従って徐々に細くなるように形成されている。種子ホッパ20の下端部には、種子排出口27が形成されている。種子ホッパ20内の種子は、この種子排出口27を介して下方へと排出される。
繰出部22は、繰出ベルト90と、駆動プーリ61と、従動プーリ62と、これらを収容するケース30と、を備えている。ケース30の上端部は開放され、種子供給口38となっている。
図3に示すように、駆動プーリ61及び従動プーリ62の回転軸は、車体本体2の左右方向(図3の左右方向)に沿って配置されている。繰出ベルト90は、可撓性を備えた素材(例えば合成ゴムなど)で構成され、無端環状に形成されたベルト部材である。繰出ベルト90は、駆動プーリ61及び従動プーリ62に掛け渡されており、駆動プーリ61を回転駆動することにより所定の循環軌道に沿って循環駆動されるように構成されている。なお、以下の説明において、繰出ベルト90が循環駆動される軌道(軌跡)のことを、単に「循環軌道」と呼ぶ。
図4に示すように、繰出ベルト90には、その長手方向に沿って等間隔で複数の繰出孔(保持部)84が形成されている。図5に示すように、各繰出孔84は、その内部に所定量の(数粒の)種子を取り込んで保持できるようになっている。
ベース部21は、前述の連結機構12に固定される。これにより、直播装置3の全体が、連結機構12に対して固定されている。種子ホッパ20は、ベース部21の上方に固定されている。図3に示すように、種子ホッパ20は、当該種子ホッパ20をベース部21に対して固定するためのロック機構24を備えている。また、繰出部22は、ベース部21の下方に固定されている。図3に示すように、ベース部21は、当該ベース部21に対して繰出部22を固定するためのパッチン錠25を備えている。
なお、種子ホッパ20は、ロック機構24による固定を解除することにより、ベース部21から取り外すことができるように構成されている。同様に、繰出部22は、パッチン錠25による固定を解除することにより、ベース部21から取り外すことができるように構成されている。このように、種子ホッパ20及び繰出部22をベース部21に対して着脱可能に構成したので、当該種子ホッパ20及び繰出部22のメンテナンス(清掃等)が容易となっている。また、種子ホッパ20及び繰出部22が着脱可能なので、容量が異なる種子ホッパに変更したり、異なるタイプの繰出部に変更したりすることも可能である。
図3に示すように、ベース部21は、車体本体2の左右方向(図3の左右方向)に沿って配置された共通駆動軸35を備えている。共通駆動軸35には、車体本体2が備えるPTO軸13を介して、エンジン10からの駆動力が入力されている。これにより、共通駆動軸35が、エンジン10の駆動力によって軸線まわりに回転駆動される。共通駆動軸35には、ユニット駆動ギア36が固定されている。
図3に示すように、繰出部22は、車体本体2の左右方向に沿って(共通駆動軸35と平行に)配置された駆動軸34を備えている。繰出ベルト90の駆動プーリ61は、駆動軸34に対して相対回転不能に取り付けられている。また、図3に示すように、駆動軸34には、駆動ギア37が固定されている。この駆動ギア37は、前述のユニット駆動ギア36に噛み合うように配置されている。
以上の構成で、PTO軸から出力されたエンジン10の駆動力は、共通駆動軸35を介して駆動軸34に伝達され、当該駆動軸34に固定されている駆動プーリ61を垂直面内で回転駆動させる。これにより、繰出ベルト90が、垂直面内の所定の循環軌道に沿って循環駆動される。
ベース部21は、接続路28を有している。図2及び図3に示すように、接続路28は、略上下方向に沿って筒状に形成されている。接続路28の上端部は、種子ホッパ20の種子排出口27に接続される。また、接続路28の下端部は、繰出部22の種子供給口38に接続される。以上の構成により、種子ホッパ20内の種子を、種子供給口38に供給できる。
図2に示すように、駆動プーリ61と従動プーリ62は、上下に並んで配置されている。これにより、繰出ベルト90の循環軌道は、略上下方向に沿って形成されている。なお、本実施形態では、駆動プーリ61が従動プーリ62よりも上方に配置されている。従って、循環軌道の上端部は駆動プーリ61によって形成されており、循環軌道の下端部は従動プーリ62によって形成されている。
図2及び図3に示すように、駆動プーリ61は、種子供給口38のすぐ下方に配置されている。言い換えると、繰出ベルト90の循環軌道の上端部は、種子供給口38のすぐ下方に配置されている。種子供給口38に供給された種子は、図5に示すように、循環軌道の上端部において繰出孔84の内部に入り込む。これにより、各繰出孔84の内部に、所定量ずつ(数粒ずつ)種子を取り込むことができる。そして、この状態で、駆動プーリ61を一方向に連続的に(又は間欠的に)回転駆動することにより、繰出孔84内の種子を下方に向けて搬送することができる。
図2及び図5に示すように、繰出部22は、上流側仕切り部40及び下流側仕切り部41を有している。上流側仕切り部40は、下流側仕切り部41よりも上流側に配置されている。なお、ここでいう「上流」「下流」とは、繰出ベルト90の循環方向における上流及び下流を言うものとする。繰出ベルト90の循環方向を、図5に太線の矢印で示す。上流側仕切り部40と下流側仕切り部41は、循環軌道の上端部近傍において、駆動プーリ61の回転軸(駆動軸34)を通る鉛直面を挟んで向かい合うように配置されている。
上流側仕切り部40は、例えば合成ゴムなど、シール性が良好な素材で構成されており、その先端を繰出ベルト90の外周面(循環軌道の外側を向く面)に接触(又は近接)させるように配置されている。また、下流側仕切り部41は、ブラシ状に構成されており、当該ブラシの先端を、繰出ベルト90の外周面に接触させている。このように上流側仕切り部40及び下流側仕切り部41を設けることにより、種子供給口38に供給された種子が、繰出ベルト90の周囲とケース30のあいだの隙間を通って下方に溢れ出すことを堰き止めることができる(図5参照)。
また、繰出ベルト90が循環駆動されることにより、当該繰出ベルト90の外周面と、下流側仕切り部41と、が相対運動するので、繰出孔84からハミ出している種子はブラシ状の下流側仕切り部41によって繰出孔84の外側に掃き出される。この結果、各繰出孔84に取り込まれる種子の量が均一化される。
繰出部22のケース30の下端部は開放されており、種子放出口42となっている。これにより、循環軌道の下方が開放された(塞がれていない)構成となっている。従動プーリ62の回転軸は、種子放出口42の近傍に配置されている。言い換えると、繰出ベルト90の循環軌道の下端部は種子放出口42の近傍を通過する。なお、本実施形態では、図2に示すように、繰出ベルト90の循環軌道の下端部が、種子放出口42から下方に向けて若干ハミ出すように構成されている。
以上の構成で、種子を保持している繰出孔84が循環軌道の下端部に到達し、当該繰出孔84が下方を向いたときに、当該繰出孔84内の種子が下方に向けて放出される。前述のように、各繰出孔84には、所定ずつ種子が取り込まれている。従って、繰出ベルト90を循環駆動することにより、種子を所定量ずつ断続的に下方へと放出することができる。
図4(c)の断面図に示すように、各繰出孔84は、繰出ベルト90を、その厚み方向で貫通するように構成されている。つまり、各繰出孔84は、「底」を有していない構造である。このように、本実施形態の繰出孔84は底を有していないので、そのままでは、当該繰出孔84の内部に取り込んだ種子が、循環軌道の内側に向けて漏れ出てしまう。そこで本実施形態の直播装置は、図5に示すように、内側ガイド82を有している。
内側ガイド82は、循環軌道の内側において、当該循環軌道に沿って配置されている。内側ガイド82は、上流側仕切り部40よりも上流側の位置を始点として、種子放出口42まで形成されている。なお、この内側ガイド82の側面図を、図4(d)に示す。このように構成された内側ガイド82により、繰出孔84の循環軌道の内側を塞ぐことができる(即ち、内側ガイド82が、繰出孔84の「底」として機能する)ので、各繰出孔84内に種子を保持できる。
また、本実施形態の直播装置3は、内側ガイド82を繰出ベルト90に向けて付勢する付勢部材(例えば圧縮コイルバネ)73を備えている。この構成により、繰出ベルト90が内側ガイド82から浮いてしまうことを防止できるので、各繰出孔84の内側(「底」の部分)を内側ガイド82によって確実に塞ぐことができる。
図5に示すように、種子放出口42は、圃場の表面(地面)に近接させて配置されている。図1に示すように、作業車1は、圃場に溝を形成する作溝機16を備えている。直播装置3の種子放出口42は、この作溝機16のすぐ後方に配置されている。これにより、作溝機16が形成した溝の内部に種子を播くことができる。
なお、例えば圃場がぬかるんでいる場合などは、作溝機16によって形成された溝の内部に泥水が流れ込んでしまうことがある。そこで、種子放出口42の前方には、種子を播く位置に泥水などが流入することを防ぐための作溝補助板43が配置されている。これにより、作溝機16が形成した溝の内部に確実に種子を播くことができる。
以上のように、本実施形態の直播装置3によれば、繰出ベルト90に形成された繰出孔84によって種子を圃場の近くまで搬送して播くことができる。
これに対し、従来の直播装置では、図10に示すように、繰出ロールから放出された種子が地面に落下するまでに距離があった。このため、繰出ロールが繰り出した所定量の(数粒の)種子が、地面に落下するあいだにバラけてしまい、理想的な点播になりにくかった。
本実施形態の直播装置3では、所定量の種子を、繰出孔84に保持したままの状態で圃場の表面(地面)の近傍まで搬送できるので、当該所定量の種子が圃場に落下するまでの間にバラけにくくなっている。これにより、図5に示すように、理想的な点播を実現できる。
本実施形態の作業車1は、車体本体2の走行速度に応じて、PTO軸13の駆動速度を変化させるように構成されている。即ち、本実施形態では、車体本体2を速く走行させるほど、繰出ベルト90の循環速度が速くなる。これにより、車体本体2の走行速度にかかわらず、圃場に播かれる種子の間隔を略一定に保つことができる。
なお、図4等に示すように、本実施形態では、繰出ベルト90は歯付きベルトとして構成されている。具体的には、図4(a)に示すように、繰出ベルト90の幅方向で、繰出孔84を挟んで歯部71が設けられている。また、駆動プーリ61及び従動プーリ62には、繰出ベルト90の歯部71に噛み合うように歯が形成されている。
このように、繰出ベルト90を歯付きベルトとして構成しているので、当該繰出ベルト90と駆動プーリ61との間にスリップが発生することを防止できる。従って、車体本体2の走行速度が上昇して駆動プーリ61の回転速度が上昇した場合であっても、繰出ベルト90を安定して駆動できる。これにより、高速走行時にも安定した点播を実現できる。
本実施形態の直播装置3は、2条分が1ユニットとなって構成されている。図3には、直播装置3の1ユニット(2条分)が示されている。即ち、図3に示した1ユニットにおいて、繰出部22は、種子供給口38、繰出ベルト90、駆動プーリ61、従動プーリ62、及び種子放出口42等を2つずつ有している。種子ホッパ20は、その下部が2股に分かれており、2つの種子排出口27を有している。2つの種子排出口27は、それぞれ接続路28を介して、対応する種子供給口38に接続されている。これにより、図3に示したユニットによって、2条分の種子を同時に播くことができる。なお、図3に示すように、各ユニットの繰出部22は、駆動軸34を1本のみ有しており、当該1本の駆動軸34に2条分の駆動プーリ61が固定されている。これにより、2条分の繰出ベルト90を、1本の駆動軸34によって循環駆動することができる。
本実施形態の直播装置3は、図3の2条分のユニットを、車体本体2の左右方向に3つ並べて有している。従って、本実施形態の直播装置3は、合計で6条分の種子を同時に播くことができる。
なお、例えば1本の繰出ベルトによって6条分の種子を圃場に播くような構成も考えられるが、この場合、当該繰出ベルトの幅(車体本体2の左右方向での寸法)が大きくなり(6条分の幅が必要であるため)、当該繰出ベルトを安定して循環駆動することが困難になるとともに、直播装置3自体も大型化してしまう。本実施形態の直播装置では、直播装置3の各ユニットが備える各繰出ベルト90は、1条分の種子のみを繰り出すように構成されている(つまり、繰出ベルト90は、条ごとに設けられている)。これにより、各繰出ベルト90の幅を狭くすることができるので、当該繰出ベルト90を安定して循環駆動できる。また、各繰出ベルト90の幅を狭くできるので、直播装置3の大型化を防ぐことができる。
以上のように構成された本実施形態の作業車1は、車体本体2を進行方向に走行させながら直播装置3の繰出部22を駆動することにより、6条分の種子を圃場に播いていくことができる。なお、作業車1に取り付ける直播装置3のユニットの数は、増減させることができても良い。本実施形態の直播装置3はユニット化されているので、条数の変更にも容易に対応可能である。
続いて、本実施形態の直播装置3の特徴的な構成について詳しく説明する。
本実施形態の直播装置3は、可撓性を有する繰出ベルト90を、駆動プーリ61及び従動プーリ62によって循環駆動させる構成である。従って、繰出ベルト90は、駆動プーリ61又は従動プーリ62の近傍を通過するたびに、Uターン状に湾曲して大きく変形することになる。
このように繰出ベルト90が変形すると、当該繰出ベルト90に形成されている繰出孔84も外側に向けて拡がるように変形する。このとき、当該繰出孔84の内壁面が、引き伸ばされるように変形する。繰出ベルト90の前記Uターン状の湾曲が元に戻ると、繰出孔84の変形も元に戻るので、引き伸ばされていた前記内壁面も収縮して元に戻る。
ところで、繰出孔84の内壁面が収縮する際、当該内壁面に、種子やコーティングの粉が食い込んでくっついてしまうことがある。繰出孔84の内壁面に種子やコーティングの粉がくっついてしまうと、繰出孔84が詰まってしまう原因となる。結果として、種子の理想的な点播を実現できなくなる。
そこで本実施形態の繰出ベルト90では、図4(c)及び図6に示すように、当該繰出ベルト90の循環軌道と並行な断面(プーリ61,62の回転軸方向と直交する断面)において、各繰出孔84が外側に向けて拡がる形状(外側ほど繰出孔84の幅が大きくなる形状)としている。つまり、繰出孔84の上流側の内壁面と下流側の内壁面は、それぞれ外に向けて拡がるように傾斜している。このように、繰出孔84が外側に向けて拡がる形状としたので、繰出ベルト90がUターン状に湾曲したときの繰出孔84の変形量を抑えることができる。
また、繰出ベルト90がUターン状に湾曲したとき、繰出孔84の変形量は、循環軌道の外側ほど大きくなる。そこで本実施形態では、図6に示すように、繰出ベルト90の循環軌道と並行な断面において、各繰出孔84の上流側の内壁面の傾斜角度を、循環軌道の外側ほどゆるやかにしている。なお、ここでいう内壁面の傾斜角度とは、当該内壁面が、繰出ベルト90の長手方向に対して成す角度を言う。
即ち、図6に示すように、各繰出孔84の上流側の内壁面は、第1内壁面101と、第2内壁面102と、から構成されている。第1内壁面101と第2内壁面102は接続しており、第1内壁面101の方が、循環軌道の内側に位置している。そして、第1内壁面101よりも、第2内壁面102のほうが、傾斜角度がゆるやかになっている。
以上のように、繰出孔84の上流側の内壁面の傾斜を、外側ほどゆるやかにすることにより、繰出ベルト90がUターン状に湾曲したとしても、繰出孔84の変形を抑え、内壁面が引き伸ばされる量を抑えることができる。これにより、種子やコーティングの粉が内壁面に食い込んでくっつくことを防止できるので、繰出孔84が詰まってしまうことを防止できる。
一方、繰出孔84の下流側の内壁面は、繰出孔84の内に取り込まれた種子を下から支える機能を有する。従って、仮に、下流側の内壁面の傾斜角度が緩やかになっていると、繰出孔84内の種子が、下流側の内壁面を乗り越えて下に漏れるおそれがある。そこで本実施形態では、繰出孔84の下流側の内壁面の傾斜態様を、上流側の内壁面の傾斜態様とは異ならせている。
具体的には、本実施形態では、繰出孔84の下流側の内壁面(図6に示す第3内壁面103)を、第1内壁面101と同程度の傾斜角度とし、かつ、傾斜角度を途中で変更しないように構成している。このように、繰出孔84の下流側の内壁面は、傾斜角度が途中で緩やかになる部分を有していない。従って、下流側の内壁面(第3内壁面103)は、繰出孔84の上流側の内壁面に比べて全体的に急峻となっている。
このように、繰出孔84の下流側の内壁面(第3内壁面103)を比較的急峻にすることで、当該繰出孔84内の種子が下流側の内壁面を乗り越えにくくなっている。これにより、繰出孔84内の種子が下に漏れることを防止し、当該繰出孔84内に種子を適切に保持することができる。
なお、前述のように、本実施形態の繰出孔84は、繰出ベルト90に形成された貫通孔となっている。つまり、繰出孔84は、「底」が無い形状である。このため、繰出孔84の底面に種子やコーティングの粉が付着するということが無い。この点でも、本実施形態の繰出孔84は詰まりにくい構造となっている。
続いて、本実施形態の下流側仕切り部41の位置調整機構91の構成について説明する。
本実施形態の直播装置3は、下流側仕切り部41の位置を、繰出ベルト90に対して接近又は離間する方向で調整できる位置調整機構91を有している。
以下、位置調整機構91の構成について具体的に説明する。図5に示すように、繰出部22のケース30は、レール部92を備えている。レール部92は、下流側仕切り部41を、繰出ベルト90に接近する方向に挿入可能な孔として構成されている。下流側仕切り部41は、レール部92の内部において、繰出ベルト90に対して接近又は離間する方向にスライドできる。
図5に点線で示すように、位置調整機構91は、調整ダイアル93を備えている。調整ダイアル93は、図7(a)〜(c)のような構成であり、ダイアル部94と、当該ダイアル部94に一体形成された偏心軸95及び回転軸96を有している。
調整ダイアル93の回転軸96は、繰出部22のケース30によって回転可能に軸支される。ダイアル部94は、繰出部22のケース30の外側に配置され(図略)、ユーザが指でつまんで回転させることができるように構成される。また、偏心軸95は、回転軸96に対して偏心して配置される。
図7(d)に示すように、下流側仕切り部41には、前記偏心軸95が挿入される丸孔97が形成されている。
以上の構成で、調整ダイアル93を回転させると、その偏心軸95が偏心運動する。一方、下流側仕切り部41には、前記偏心軸95が挿入されているので、当該偏心軸95が偏心運動すれば、下流側仕切り部41は前記レール部92沿ってスライドする。従って、調整ダイアル93を回転させることにより、下流側仕切り部41の位置を、繰出ベルト90に対して接近又は離間する方向で調整できる。
前述のように、下流側仕切り部41は、ブラシ状に形成されている。当該下流側仕切り部41を繰出ベルト90に対して接近させる方向に移動させると、前記ブラシの先端部分が、繰出孔84の内部に入り込む。下流側仕切り部41の先端が繰出孔84の内部に入り込んだ様子を、図8に示す。
下流側仕切り部41は、各繰出孔84内の余計な種子を外側に掃き出す機能を有しているので、下流側仕切り部41が繰出孔84に入り込むほど、当該下流側仕切り部41によって掃き出される種子の量が多くなる。この結果、繰出孔84内に残る種子の量は少なくなる。従って、下流側仕切り部41が繰出孔84内に入り込む量を調整することにより、各繰出孔84内に保持させる種子の量(種子の繰り出し量)を調整できる。
本実施形態の構成によれば、調整ダイアル93を調整することにより、下流側仕切り部41の位置を簡単に調整可能である。従って、各繰出孔84内に保持させる種子の量を、簡単に調整することが可能である。
しかも、本実施形態では、前述のように、各繰出孔84の上流側の内壁面は、傾斜角度が緩やかになっている(第2内壁面102)。これにより、繰出孔84内の種子を、ブラシ状の下流側仕切り部41によって、繰出孔84の外部に掃き出し易くなっている。この結果、下流側仕切り部41によって繰出孔84内から掃き出される種子の量が安定する。従って、上記の構成によれば、繰出孔84に保持させる種子の量を、簡単に、かつ安定して調整することができる。
以上で説明したように、本実施形態の直播装置3は、無端環状の繰出ベルト90を備えている。繰出ベルト90は、所定の循環軌道に沿って循環駆動されるとともに、前記循環軌道の外側が開口した繰出孔84を長手方向に沿って複数有する。繰出孔84は、繰出ベルト90の循環方向で上流側の内壁面と、下流側内壁面と、がそれぞれ外側に向けて拡がるように傾斜している。そして、前記上流側の内壁面と、前記下流側の内壁面は、その傾斜態様が非対称である。
このように、繰出孔84の内壁面を、外側に拡がるように形成したことにより、繰出ベルト90が湾曲したとしても、繰出孔84の外側の開口部が拡がりにくくなっている。これにより、繰出孔84の内壁面に、種子やコーティングの粉が食い込みにくくなるので、当該繰出孔84に種子が詰まってしまうことを防止できる。そして、上流側と下流側で内壁面の傾斜態様を異ならせることにより、繰出孔84内に種子を適切に保持しつつ、詰まりを防止することができる。
続いて、本実施形態の別の特徴について説明する。
図2及び図3に示すように、本実施形態において、ホッパ20の内部において、種子排出口27の上方には、異物を除去するための漉し網98が配置が設けられている。ホッパ20内の種子は、この漉し網を通過して、種子排出口27から下方に排出される。
本実施形態の直播装置3では、この漉し網98を永久磁石により構成している。これによれば、ホッパ20内の種子が漉し網98を通過する際に、余分な鉄コーティングの粉が、漉し網98の磁力によって吸着される。これにより、余分な鉄コーティングの粉が繰出部22に入り込むことを防止できるので、繰出部22の各部に鉄コーティングの粉が付着することを防止できる。これにより、繰出部22の各部がコーティングの粉によって詰まることを防止できる。
以上のように、ホッパ20内に磁石(漉し網98)を設けることにより、繰出部22が詰まってしまうことを防止できる。この意味で、漉し網98は、詰まり防止部であると言うことができる。
また、本実施形態の漉し網98は、ホッパ20から取り外し可能に構成されている。これにより、鉄コーティングの粉が付着した漉し網98を取り外して、洗浄又は交換することができる。なお、図2及び図3に示すように、漉し網98には、ホッパ20から取り外しやすいように、作業者が指でつまむためのツマミ部99が設けられている。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、ホッパ20内の漉し網98を磁石とすることにより鉄コーティングの粉を吸着除去する構成としたが、磁石は漉し網に限らない。また、磁石は、ホッパ20内に限らず、種子が通過し得る通路(コーティングの粉が発生し得る箇所)であればどの部分に設けても良い。
例えば図9に示す変形例は、シート状の磁石104を、接続路28の壁面に配置したものである。これにより、接続路28を通過する種子に付着している余計なコーティングの粉を、磁石104で吸着して除去できる。
また、上記実施形態では、漉し網98を永久磁石としたが、これに限らず、コーティングの粉を電磁石によって吸着除去する構成であっても良い。これによれば、電磁石への通電を解除することにより、当該電磁石に吸着したコーティングの粉を落とすことができるので、清掃が簡単になる。
また、鉄コーティングされた種子自体も磁石に吸引されるので、電磁石への電流を制御することにより、電磁石に種子が吸引される力を調整できる。従って、例えば、当該電磁石を繰出部22のすぐ上に配置しておけば、電磁石への電流を制御することにより、繰出部22に供給される種子の量を調整できる。これにより、種子の散布量を調整することが可能となる。
以上で説明したように、上記実施形態の直播装置は、ホッパ20と、種子放出口42と、漉し網98と、を備える。ホッパ20は、種子を収容する。種子放出口42は、ホッパ20内の種子を地面に放出する。そして、漉し網98は、ホッパ20内に配置され、磁石からなる。
このように、磁石を設けることにより、コーティングの粉を吸着することができるので、当該粉が各部に付着することを防止できる。これにより、直播装置の詰まりを防止できる。
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
駆動プーリ61に駆動力を伝達する構成(駆動軸やギアの配置など)は適宜変更できる。
上記実施形態において、保持部(繰出孔84)の内壁面が疎水性を有していれば、付着物が堆積しにくくなるのでより好適である。
上記実施形態において、保持部(繰出孔84)は底が無い形状(貫通孔)としたが、保持部が底を備えていても良い。
上記実施形態では、直播装置3は2条分のユニットから構成されるものとしたが、これに代え、或いはこれとともに1条分のユニットがあっても良い。これによれば、奇数条にも対応できる。もちろん、3条以上のユニットがあっても良い。もっとも、直播装置3をユニット化する構成は省略することもできる。
本願発明の粒状体散布装置は、種籾に限らず、様々な種類の種子を播くために利用できる。種子のコーティングは鉄コーティングに限らず、例えばカルパーコーティングであっても良い。また、粒状体散布装置は、種子に限らず、その他の粒状体を散布するために広く利用できる。例えば、本願発明の粒状体散布装置を、粒状の肥料を圃場に散布するための施肥装置や、粒状の薬剤(例えば農薬など)を圃場に散布するための薬剤散布装置として応用することができる。
また、作業車は多目的作業車に限らず、例えば農業用トラクタなどの他の種類の農業用作業車に本願発明の粒状体散布装置を設けることができる。
1 作業車
2 車体本体
3 直播装置(粒状体散布装置)
20 ホッパ(容器)
22 繰出部
41 下流側仕切り部
84 繰出孔(保持部)
90 繰出ベルト

Claims (6)

  1. 粒状体を圃場に散布する粒状体散布装置であって、
    所定の循環軌道に沿って循環駆動されるとともに、前記循環軌道の外側が開口した保持部を長手方向に沿って複数有する無端環状の繰出ベルトを備え、
    前記保持部は、前記繰出ベルトの循環方向で上流側の内壁面と、下流側の内壁面がそれぞれ外側に向けて拡がるように傾斜しており、
    前記上流側の内壁面と、前記下流側の内壁面では、その傾斜態様が異なることを特徴とする粒状体散布装置。
  2. 請求項1に記載の粒状体散布装置であって、
    前記保持部の前記上流側の内壁面は、前記下流側の内壁面よりも傾斜が緩やかであることを特徴とする粒状体散布装置。
  3. 請求項1又は2に記載の粒状体散布装置であって、
    前記繰出ベルトの、前記循環軌道の外側を向く面に接触可能な仕切り部を備え、
    前記仕切り部は、前記繰出ベルトに対して接近又は離間する方向での位置を調整可能であることを特徴とする粒状体散布装置。
  4. 磁性体によりコーティングされた粒状体を圃場に散布する粒状体散布装置であって、
    前記粒状体を収容する容器と、
    前記容器内の前記粒状体を地面に放出する放出口と、
    前記容器内、又は当該容器と前記放出口のあいだで前記粒状体が通過しうる通路の少なくとも一部に配置された磁石からなる詰まり防止部と、
    を備えることを特徴とする粒状体散布装置。
  5. 請求項4に記載の粒状体散布装置であって、
    前記詰まり防止部は、前記容器の内部に配置され前記粒状体が通過する漉し網であり、当該漉し網が前記磁石として構成されていることを特徴とする粒状体散布装置。
  6. 請求項4又は5に記載の粒状体散布装置であって、
    前記詰まり防止部の前記磁石は電磁石であることを特徴とする粒状体散布装置。
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