JP2014194923A - 電子レンズおよび電子ビーム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】永久磁石の製造上の原因から不均一性な磁界が発生し、電子レンズとして使用する際に、非点収差が大きく、軸ずれの大きなレンズになり、描画装置の性能向上が出来なかった。
【解決手段】永久磁石リング121の中心穴をビーム軸に対し露出するように設置する。ビーム軸方向の厚みが薄く、高透磁率の強磁性材料で永久磁石リングと同軸の平滑化リング122を永久磁石リング121の内面または下面を被覆し、または挟み込み、磁界を平滑化して軸に対して回転対称なレンズ磁界を形成する。
【選択図】図7

Description

本発明は、電子レンズおよび電子ビーム装置の改良に関する。
半導体(LSI)製造工程の回路パターンを露光するリソグラフィ分野において、電子ビーム描画技術が利用されている。すなわち、半導体リソグラフィ技術では、通常元図となるマスクを電子ビーム描画装置で作成し、そのマスク画像を光によって半導体基板(ウェハ)に転写する写真製版技術(光リソグラフィ)が主に使われてきた。
電子ビーム描画方式は、細く絞った電子ビームによる一筆書きと呼ばれる方式に始まり、可変矩形方式や、キャラクタプロジェクション(CP)と呼ばれる、微小マスクによる数平方μmを一括描画する方式など、描画方式を発展させてきた。
しかしながら、電子の進む軸に沿ったZ軸方向にレンズを数段並べた1本のコラムであっては、ビーム軸付近で電子ビームがクーロン効果によってビーム軌道が曲がり、クーロン効果によるビームの焦点距離が長くなるので、焦点距離の再調整を行わなくては、一般的にガウス像面ではビームがぼけてしまう。ガウス像面とはビームの電流量が極小であるときにかつ、近軸軌道のビームがフォーカスを結ぶ面である。長くなった焦点距離を再調整して最もフォーカシングがあった状態にし、ビームのボケを極小にできるフォーカス条件を求めることを、リフォーカシングと呼ぶ。しかしながら、クーロン効果によるビームボケとは電子が粒子として様々に散乱をすることによってビームがぼけることも含めている。これは個別電子のクーロン効果によるボケと呼ばれる。クーロン効果全体のビームボケの量を1とするときに3分の2はリフォーカシングによって除去できるがリフォーカシングで除去できない量が3分の1残る。これは個別電子のクーロン効果によるボケである。
前記個別電子のクーロン効果によるボケが発生するような大きな電流量ではもはやリフォーカシングではビームをシャープにすることはできない。
一般的にクーロン効果によるボケは電子ビーム量に比例し、ビームの加速電圧の約1.5乗に反比例し、ビーム収束半角αに反比例すると言われている。そのためにαを大きく取った軌道が採用されることが多い。αを大きく取ると一般的にレンズの軸上球面収差と言われる収差が大きくなる。球面収差係数をCsとすると球面収差は1/2×Cs×αで表されるために、クーロン効果を低減するためには最終的には球面収差係数を低減する必要がある。球面収差係数を低減するためには対物レンズに厚肉レンズ(軸対称ビーム進行方向の磁界の濃いところの厚みがあること)が必要であるが、なおかつ対物レンズの焦点距離が短いことが不可欠である。
しかしながらこのような対策には限界があり、1本だけのビーム構成では電流値を大きくするとビームボケが支配的に大きくなる。
以上のようにクーロン効果によるボケによって、微細パターンが描画できなくなることからシングルコラムにはスループットの限界が存在する。
そこで、コラム1本あたりの電流値を小さくして、多数のコラムを採用するマルチアクシス(アクシス=コラム軸)のマルチコラムを構成し、1本のコラムあたりの電流値を小さくすることが高スループット化と、ビームシャープネス向上に寄与する方法となる。例えばφ300mmウェハ上において87本のビームを用いて、1本あたり1μAの電流値を用いれば、87μAの試料電流を用いて描画できるので、パターン寸法20nmで40μQ/cmのレジストを275秒で描画できる。これは1時間あたり12枚のスループットを達成できる速度である。
このようにマルチコラムを使用しなくては、例えばシングルコラムで87μAの試料電流を用いて描画する場合には、ビームのボケは、1.7μm以上に達するために、100nm以下の微細パターンの描画は全く不可能となる。
このようにシングルコラムによるビームでは、クーロン効果でビームの総量が大きくなるに従って、ビームのボケが巨大になる。そのため微細パターンと描画速度の両立をはかることができずに、微細化を目的とするとビーム総量がとれずスループットが小さかった。そこでレンズを複数有するマルチコラム方式が必要となった。マルチコラム方式ではなるべくたくさんのコラムをウェハ上に並べるために、レンズを細くすることが必要となる。例えば直径が25mm程度の電子レンズを形成して、φ300mmウェハ上に87本から120本以上のコラムを設置して描画の高速化をはかることができる。
しかし例えば87本のコラムを使用しても、20nm程度のガウシアンの丸い1本ビームではスループットは0.01枚/時以下の値にしかならない。例えば40μC/cmのレジストで200A/cmの電流密度の電子ビーム照射を行った場合に、200nsで露光が終了する。33mm×26mmの領域を描画するためには429000秒の時間がかかる。これでは87本のマルチコラムを利用しても、1枚のウェハを描画するのに120時間以上の時間がかかることになる。そこでどのようなビームを使用することが適しているか精査する必要があった。
ビームとして可変矩形ビーム、すなわちVariable shaped beam略してVSBを用いる方式では20nmの市松模様を描画するためにウェハ1枚あたり100時間以上かかる。例えば40μC/cmのレジストで200A/cmの電流密度の電子ビーム照射を行った場合に、200nsで露光が終了する。33mm×26mmの領域を描画するためには21500秒の時間がかかる。これでは87本のマルチコラムを利用しても1枚のウェハを描画するのに60時間の時間がかかることになる。
さてキャラクタプロジェクション(CP)法とは1μmから3μm四角程度のサイズのパターンを有限個数、デバイス設計パターンデータ中から切り出して、これらのパターンを個々のCPと呼び、これを多数集めて穴開きマスクとして1枚のマスク上に形成する。1枚のマスクは複数のCPパターンを保持する。第一の矩形アパーチャを通過した電子ビームをCPマスク上に結像する。CP選択偏向器を用いて、第一の矩形アパーチャの像を、CPマスク上の任意の位置に偏向することによって、CPビームの選択を行い、1つのCPマスクの開口による透過ビームを試料面上に結像させて描画する方法である。繰り返しパターンの多いDRAMやNANDフラッシュメモリのセルパターンをCPパターンとすると効果的に高速描画ができる。
多数のデバイスパターンの中には、デバイスパターンが非常に単純なパターンであって、CP数が少なくても当該デバイス層の全パターンが描画できるケースもごくまれには存在する。その場合にはCP法であってもスループットが10枚/時以上に増大することも考えられる。従ってCP露光法の有効性は、完全に否定されるものではない。
しかしながら、一般的なデバイスでは層内の全てのパターンが少数のCPで記述できてしまうというようなケースは非常にまれである。多くのデバイスの層においてはすべてのパターンをCP化しようとすると数千個または数万個以上のCP数を必要となる場合が多かった。パターンの繰り返し性が必ずしも有効でなく、デバイスパターン全体をCP化する場合にはCP数が膨大となりすぎてCPマスク化出来ないケースが多く存在していた。従って多くのデバイスパターンにおいては、CP露光法は適切な描画方法ではなかった。またCP数が膨大である場合には、CP選択偏向器のアナログ出力が変化する時間すなわちCP間ジャンプに時間が長大にかかることのためにスループットは大きく伸びることは無く、1時間に1枚程度のスループットが限界であった。
ランダムパターンが多い場合には、CP描画方法では多数のパターンを可変矩形ビームVSB法での矩形分割露光に戻さざるを得ないために、ショット数は一定数以下に削減できず、膨大なショット数となり、多大な描画時間がかかることが多い。結局、現在のデバイスパターンや将来的なデバイスパターンにおいてCP描画は高速露光の方法としては適切な方法とは云えない。
以上のように、マルチコラム方法を用いても1本1本に使用するビームが適切でなければ、高スループットでかつ高精度の露光はできなかった。
ランダムなパターン描画のための描画装置としては、固定サイズの正方形ビームをサイズの整数倍の距離を隔てて、正方格子マトリクス状にビームを多数並べる方法がある。この場合、多数のビームを独立に点滅させて任意のパターンを描画することができる。
例えば、16nm正方形ビームを64nmピッチで3.2μm正方形内部に50×50=2500本のビームで、各ビームを独立に点滅させて任意のパターンを描画することができる。また、パターンルールが小さくなる時には、例えば、8nm正方形ビームを32nmピッチで3.2μm正方形内部に100×100=10000本のビームで、各ビームを独立に点滅させて任意のパターンを描画することができる。
上記ビームの間隙部分の未露光部は、ビーム全体を位置シフトさせて描画すれば、ウェハの平面全体を隙間なく描画することができる。
このようなビームを形成するデバイスをPSA(Programmable Shaping Aperture)と呼ぶ。以上に述べたように、各種の電子ビーム描画方法がある。
しかしながら、可変矩形ビーム、キャラクタプロジェクション、PSAビームを用いた描画方法など、いずれの描画方法を用いても、クーロン効果によるビームボケの制約がある。そのために高速の電子ビーム描画装置を製造するためには、コラム1本あたりの使用電子ビーム量を最大限に大きくすることと、多数のコラムを併設したマルチコラム描画装置を形成することが必要不可欠である。
多数のコラムを併設するためには、直径が25mm以下の細いコラムをφ300mmウェハ上に87本から120本並べる必要がある。また、コラム1本あたりの使用電子ビーム量を最大限に大きくするためには、10mradを超えるような大きな収束半角と小さな球面収差係数のレンズを対物レンズとして使用することが必要となる。
10mradを超えるような大きな収束半角と小さな球面収差係数のレンズを構成し、かつ25mm以下の細いレンズを並列に並べてマルチコラム化する場合に、従来の電磁石と鉄のポールピースを用いた電子レンズで最大の問題となるのは、電磁石のジュール発熱である。試算によれば1レンズあたり500Wの発熱となる。このレンズを87個使用すれば、43kWとなり、熱的に破綻している。そこで発熱がほとんどない永久磁石レンズを使用する必要性が出てくる。
特開2007−311117号公報
しかしながら、特許文献1に示された如き電子レンズは大きさが大きく25mm以下の直径で、φ300mmウェハと同等の形状の平面内部に87本も併設できるものではない。
また、永久磁石の不均一性を覆い隠さんがための、軟磁性体の上下のポールピースを永久磁石から内径深く突き出してあるので、永久磁石からの強力な磁界はポールピース同士間を短絡的に戻るので、軸上には弱い磁界しか届かないために、結果的に強力な磁界レンズを実現できていない。そのため、球面収差係数の小さな短焦点レンズの実現はできなかった。
細いレンズで直径が25mm以下であって、かつ実際に、収束半角αを10mradと大きくして、球面収差係数を5mmから1mmの値であることを目標とする。このような目標値を立てるとようやく1本のコラムで1μA以上の電子量を得られ、なおかつ16nmの微細加工において、ビームボケが強度比90%−10%に収まる幅で10nm程度の微細ビーム形成が可能となる。
以上の値を実際に実現しようとすると、サマリウムコバルトないしネオジムという種類の、永久磁石を用いて、穴のあいた円板状であるものすなわちリングを使用するのが容易に実現できる方法である。この時、穴の内部の磁界は数千ガウス(約0.5テスラ程度)の強磁界が必要である。
しかしながら、このような永久磁石では、円板表面の磁化の不均一性という問題があり、レンズの軸上の磁界が完全に正しく軸対称磁界になるとは限らないことが多く見られる。
このような不均一磁界を持ったレンズでは、軸上で大きな収差が発生するものもあり、大きな非点収差がでて、かなり強い非点収差補正コイルを使用する必要があった。また、不均一磁界によるビームの位置ずれも問題であった。このようなレンズを数十本並べた場合には、多くのレンズで収差補正が異なり、倍率までもが変化することがあった。すなわち、強度の強い永久磁石面をビーム軸に露出させた状態では、レンズの軸対称性が劣悪で、結像特性が良くないレンズが多々有りシステム化に支障がでていた。
本発明は、電子ビームが通過するZ軸に対して、中心磁界の方向が向くZ軸方向着磁の永久磁石リングと、前記永久磁石リングの(i)上面、下面、または内周面の中の少なくとも1面、または(ii)前記永久磁石リングをZ軸方向に分割した場合の両分割永久磁石リングの間の中の少なくとも1つに配置され、Z軸方向の厚みが前記永久磁石リングの厚みより小さく、高透磁率の強磁性体材料からなり、前記永久磁石リングと同心状に配置される磁界平滑化リングと、を有し、記磁界平滑リングを用いて永久磁石リング表面を被覆することにより、前記永久磁石リングの面磁化における円周方向の強度ばらつきに基づく磁界のばらつきを平滑化する。
また、本発明によれば、
電子ビームが通過するZ軸に対して、
主たる磁力源として、中心磁界を一致させるZ方向着磁の平面型永久磁石リングを用いて、永久磁石の中心穴面がビーム軸に対して略露出するように軸に近接して配置された電子レンズであって、
平面型永久磁石リングの上面または下面が、永久磁石を固定するに十分な厚みと強度を有した高透磁率の強磁性体部材に固定され、
該永久磁石の固定された面を除いた、永久磁石の内面もしくは上面もしくは下面の内2面あるいは1面が、
永久磁石の外半径と内半径の差分であるリング幅に比較して狭い幅を有し、厚みが永久磁石の厚みに比較して薄い、高透磁率の強磁性体材料からなる、永久磁石リング軸と同軸の磁界平滑化リングを用いて永久磁石表面を被覆することにより、永久磁石の面磁化の回転方向の強度ばらつきを平均化して、
軸の回りに回転対称なレンズ磁界を形成することを特徴とする電子レンズによって、上記の問題が解決できる。
本発明によれば、従来技術の永久磁石を用いた電子レンズで克服が困難とされていたレンズ軸に関する非対称性すなわち対称性からのばらつきの問題が解決され、軸対称性のよい、高性能で収差の少ない磁界レンズを得ることができる。
本発明の技術による電子レンズを用いたキャラクタプロジェクションのマルチコラム描画用装置の図である。 本発明の技術による電子レンズを用いたPSA(Programmable Shaping Aperture)の1本コラムの図である。 本発明の技術による電子レンズを用いたマルチコラムをφ300mmウェハに適用した場合の図である。 永久磁石製造プロセスの一般的な方法を示す図である。4a 磁界を印加しながらプレスすることを示す。プレス方向はこの場合には磁界と垂直方向である。最初は多くの磁石粉末の磁界が揃っている。4b 磁界を印加しながらプレスを行ってきたことを示す。磁性粉末は互いに摩擦をして、粉末毎に磁化の方向は僅かに磁界方向とずれて来る。磁化の不均一性が出る。4c 磁界印加とプレスを停止し、1000℃にて焼結する。焼結後、スピンはランダムな方向を向き、磁性粉体の磁化方向はバラバラになり、全体の磁化は0となり、永久磁石の磁界は消滅する。4d 強磁界中で再度着磁を行うと、磁化容易舳方向に着磁される。しかし、4bの状態に近いので、各部分で磁化のバラつきがある。4e 平面型永久磁石リングと着磁方向を示す。 従来の平面型永久磁石リングの平面上の磁界の不均一性を示す図である。5a 上面または下面を8等分して、磁化強度を計測する点。5b 上面から出た磁力線が下面に戻る様子を示す。5c 101aから101hまでの8点の計測された磁化強度。 従来公知例の特許文書1の図を示す。 永久磁石の表面に、幅が小さく厚みの薄い高透磁率の強磁性体材料からなる同軸のリングを被覆せしめ、軸上磁界の軸対称性を向上した本発明の実施例を示す図である。 穴あきリング状永久磁石の内径と外径が徐々に小さくなるリング群をレンズの対物面に近づくに従って穴径が小さくなるように平面型永久磁石リングを並べた図である。 平面型永久磁石リングの上面に内径が一致する純鉄の円板と、下面には永久磁石の内径と等しい内径を有する、幅が小さく、厚みの小さな、高透磁率の強磁性体材料からなる同軸のリングを被覆せしめて軸上磁界の軸対称性を向上した本発明の実施例を示す図である。上面の外径に略一致した永久磁石レンズの新設付着設置によって、レンズ軸上の中心磁界を調節できることを示す図である。 平面型永久磁石リングの上面に内径が一致する純鉄の円板と、下面には幅が小さく、厚みの小さな、高透磁率の強磁性体材料からなる3枚の同軸のリングを被覆せしめて軸上磁界の軸対称性を向上した本発明の実施例を示す図である。 永久磁石リングを複数の永久磁石リングの積層構造として、その間に平滑化リングを介在させた構成を示す図である。 図11の構成のレンズを利用した場合の全体構成図である。 永久磁石リングを複数の永久磁石リングの積層構造として、その間に半径方向において複数に分割した平滑化リングを介在させた構成を示す図である。 永久磁石リングを複数の永久磁石リングの積層構造として、その間の内側に平滑化リングを介在させた構成を示す図である。 平面型永久磁石リングの回転方向について、回転対称磁界を形成する各種の方法について示す図である。15a 中心に穴の開いたリングを12等分した扇形永久磁石部品を強度の一定のものを選別し、リング形状となるように接着材で接着した。15b 円柱状の長い永久磁石をリング状に束ねて接着剤で接着し回転対称磁界を形成する。15c リング状永久磁石の内径と外径の中央部に、円径穴を複数個あけ、磁化強度を選別された円筒形永久磁石を、円径穴に挿入し、回転対称磁界を形成する。 平面型永久磁石リングを、中心軸を含む平面(A−A’面)で切った断面図である。16a 上面または下面磁化強度を均一化するために薄型永久磁石を貼り付けた平面型永久磁石リングを示す。16b 平面型永久磁石リングの磁化が不均一で、回転方向に軸対称でない場合には断面で切断される磁力線が存在する。16c 平面型永久磁石リングの磁化が均一であり、回転方向に軸対称である場合には断面で切断される磁力線が存在しない。
マルチコラムを形成するために、一本で直径25mm以下のレンズが必要である。特に対物レンズは以下の配慮が必要である。クーロン効果によるビームボケを減少させるため、ウェハ上でのビーム収束半角αは10mrad以上が必要である。
その場合に球面収差がαの3乗で大きくなるので、球面収差係数を5mmから1mm として、球面収差を10nm以下に抑える必要がある。このような対物レンズは、純鉄とコイルでは直径25mm以下という条件を満足せず、また発熱が500W以上となるので不可能となる。そこで、永久磁石の単純なリングを用いると穴径4mmで厚みが4mm、外径20mm程度のネオジム永久磁石のリングが最適となる。これをウェハまでのワーキングディスタンス2mmで用いる。穴の中心で、最大磁界は0.5テスラである。
平面型(中空円筒型)永久磁石リングは、軸をZ軸とすると軸方向に着磁している。Z方向着磁のリング磁石では、模式的にはリングの上面と下面の表面に均一な面磁化が存在していると仮定してもよい。しかし、実際のネオジム永久磁石では、磁化の分布が不均一で、5%から10%の強度ばらつきが存在する。生の永久磁石をそのまま磁界レンズとして使用することは、良い方法でない。
そこで、上面の外半径と内半径の差を2等分するようにし、上面の内半径側の面に高透磁率強磁性体材料の一種である純鉄リング板を付着せしめる。
永久磁石リングの下面には、永久磁石リングの穴の内径を同じくし、幅が1mmから5mmで厚みが0.5mmから1mm程度の高透磁率強磁性体材料を付着せしめる。
高透磁率強磁性体材料は純鉄またはパーマロイ(PC材もしくはPB材)またはスーパーマロイである。以上のことで永久磁石レンズの上面と下面の内径付近の、回転方向は3%以下の均一性になる。これによって、永久磁石レンズの軸対称レンズ磁界が保証される。
レンズ収差は実用上支障なく10nm以下のパターン描画が可能になる。
図1は本発明の電子レンズを利用したマルチコラム電子ビーム描画装置の図である。X軸とY軸の成す平面上に単一のコラムセル31が複数個配列されるマルチコラム32を構成する。Z軸方向に電子ビームが飛んで行く。各コラムレンズの中心軸はZ軸と平行である。φ300mmのシリコンウェハ33上に、87本から120本のマルチコラムが形成される。
コラムが87本から120本存在し、ビームが完全に独立に制御されるので並列描画が可能で、描画の高速処理ができる。電子ビームは1本のコラムで許容できる電流値が1μAであるときでも、約40μAという巨大な電流を使用することができる。そのために、高いスループットでウェハ処理を行うことができる。
単一のコラムセル31の詳細は以下の通りである。このコラムセル31は各種の描画方式のうちでキャラクタプロジェクションについて記載してある。電子銃34から発射する電子ビームは、第一の矩形アパーチャ35で矩形に整形され、第一のレンズ36と第二のレンズ39によって、CPマスク40上に再度矩形に結像される。矩形電子ビーム像はマスク偏向器1とマスク偏向器2によって、CPマスク40上の任意の矩形領域へ選択偏向される。そして、適切な矩形領域を通過して、適切なCPビームに整形される。整形されたビームは,偏向器3と偏向器4と第三のレンズ42とマスク偏向器3とマスク偏向器4によって、再び中心軸上に偏向され、また縮小レンズ45で縮小投影される。さらにラウンドアパーチャ47を通過した後に、対物投影レンズ48でさらに縮小され試料面であるウェハ33上の所定の位置に位置決め偏向器49にて偏向され収束結像される。
図2は、マルチコラムとして使用する1本コラムとして、PSA技術(Programmable Shaping Aperture 技術)を使用する場合について示している。電子銃60にマイナス50kVがかかっており、サプレッサー電極61にマイナス55kV、引き出し電極62にマイナス45kVが印加されている。陽極63はアースに接地されているために、電子はマイナス50kVの運動エネルギーを持ってZ軸方向に射出してくる。
電子は一旦第一のレンズ64で収束される。そして第一のラウンドアパーチャ65を通過する。第一のラウンドアパーチャ65の必要性の意味は2つある。第一に、電子銃チャンバーの高真空度を保つために、小さな穴で差動排気を行うためである。この穴は10μmから50μmの直径を有する。マルチコラムであるので、100本のコラムが存在する場合には直径50μmの穴でも100個有れば、500μmの穴と同じである。この径以下であれば十分真空度に差を付けることが可能である。
しかしながら例えば第一のラウンドアパーチャ65の径が100μmであれば、100本のコラムでは10mmの穴と同じ真空のコンダクタンスを有することになり、
差動排気を用いて電子銃チャンバーの真空度を上げることが困難になる。
第一のラウンドアパーチャ65の必要性の第二の意味は、PSA技術において、マルチビームの個々のビームが個別のブランカで偏向されるが、その際に、第二のレンズ66と第3のレンズ68を使用することで第二のラウンドアパーチャ70上に第一のラウンドアパーチャ65の像を結像させ、偏向した場合にビームの裾野が長くならないように、くっきりとした像を結像して、偏向電圧印加時の像の移動によるビームカットを確実にする。第一のラウンドアパーチャ65の丸穴がない場合には、電子銃から出た電子の分布が長い裾野を引く場合があって、薄い濃度の電子が、長いテールを引くことがあり、ブランキングに偏向電圧を印加しても、試料面まで電子が出てくることがある。この場合にはビームの確実なカッティングができていないと言う。PSA技術においては、全体ブランキング電極69を用いてビーム偏向を行い、ビームカットをさらに確実におこなう。
第一のラウンドアパーチャ65を通過した電子は第二のレンズ66を通過して平行ビームとなり、PSA(Programmable Shaping Aperture)67を通過する。PSAでは電子ビームは2500本から10000本の微細マルチビーム群に分離される。微細マルチビーム群は、例えば1本のビームが例えば4μm四角の固定矩形ビームであって、ビッチは16μmで、50本×50本のビームが、同時に並行して出る。2500本のビームを独立して点滅できる。2500個のビームはそれぞれ独立した偏向器を所有しており、偏向器に偏向電圧が印加される時に、そのビームは第二のラウンドアパーチャ70の丸穴を通過できないので、ビームがOFFとなる。偏向器に偏向電圧が印加されない時に、そのビームは第二のラウンドアパーチャ70の丸穴を通過できるので、ビームがONとなる。全体ブランキング電極69に電圧が印加されると、2500本のマルチビーム全体がOFFされる。
第二のラウンドアパーチャ70の丸穴を通過したビームは縮小レンズ71と、位置決め偏向器72を通して、対物投影レンズ73によって、さらなる縮小像を試料面(ウェハ面)33上に結ぶ。
位置決め偏向器72によって、ビームは試料面上の所定の箇所に位置決め照射される。
図3にマルチコラム配置について示す。各コラム31は25mm 以下の直径であるので、26mm に1つのコラムが並ぶ。φ300mm ウェハ33には 全体で最大120本のコラムが並ぶことができる。
図4には、永久磁石の成形方法と、永久磁石の磁化の不均一性が何故発生するかを示している。永久磁石を磁気レンズとして使用する場合に、4eの如き、平面型永久磁石リング86を用いてリング軸の方向に磁界が発生するように着磁することが必要である。この時に、リングの上面と下面の平面に均一な磁化が、発生するようにすることが必要である。なぜならば電子が通過して正確に集束するためには、軸上に均一な軸対称磁界ができることが不可欠である。このことが成り立つためには、リングの上下の平面に均一な磁化が現れることと等価である。
4aでは、焼結する前に永久磁石の微粉末を、磁界を印加した状態で磁界と垂直な方向にプレスすることにより、圧縮応力を印加する。これによって永久磁石の微粉末同士が圧縮され、接着し合い、全体の体積が縮む。この時に微粉末の磁化容易化軸は、プレスの初期4aにおいては、完全にすべての微粉末において左方向に揃っている。しかし、プレス加工中には微粉末同士が擦れあい、磁化容易化軸が全体の磁化軸から僅かに傾きの角度を持ってずれていく。プレス加工の最終段階において、4bのように磁化は各部で不均一な値を持つようになる。
永久磁石は一旦プレス器と磁界から離れて、炉の中で1000℃の高熱で焼結される。
4cでは、焼結時には高温のために永久磁石微粉末の中の磁界は、バラバラの方向を向く。正確にはスピンによる磁界がバラバラの方向を向く。このために、焼結後の微粉体の磁界は、全体として0の値を示す。すなわち磁化を持たない状態になる。
4dに示すように、再度プレス中に印加されていた磁界と同じ方向の強度の十分強い磁界中で着磁をされる。この時の磁界の強さは、永久磁石の磁界飽和を起こす以上に強い磁界である。このとき永久磁石微粉末の磁界はそれぞれ微粉末の磁化容易化軸を向く。しかし、既に4bのごとく、磁化容易化軸は、全体の磁化方向に対して僅かに傾きを持ってばらついているので4b以上に磁化が均一に揃うことはない。以上が永久磁石の不均一磁界の発生する理由である。不均一性の根源をたどれば、磁場印加中のプレス加工による微粉末の相互の摩擦による磁化容易化軸の僅かな回転が出ることに起因する。
図5は永久磁石リングの磁化の不均一性について示す。概略としてリング上面内側半分から出た磁力線102bはリングの内側の穴を通って、下面に戻る。リング上面外側半分から出た磁力線102cはリングの外側の空間を通って、下面に戻る。しかしながら図5に示す磁化の不均一性が存在する場合には、リング上面の45度毎8箇所の101a−101hの各点での磁化による磁界強度は5cの103a−103hのごとく値がばらつき、一定の値を取らない。
図6は従来公知例の特許文献1の図を示す。永久磁石1を取り囲む軟磁性材料2と3が永久磁石リングの内部の穴の中まで突き出して,磁束を中心軸の付近まで、誘導する図となっている。このような形態を取るならば、永久磁石の磁化強度のバラつきは軟磁性材料2と3によって、十分平均化されて、磁気レンズ特性に影響を与えるレベルではなくなるであろう。中心軸上の電子ビームが飛来して、収束する付近での、永久磁石の磁化不均一性の及ぼす影響は軽微である。
しかしながら、軟磁性材料2と3によって、磁界の行きと戻りの経路ができるために、中心軸付近の磁界は非常に弱いものとなる。このために、5000ガウスというような大きな磁界を中心軸上に形成し、単焦点の、球面収差係数の小さなレンズは望むべくもない。かつまた、これを達成しようとして大きな永久磁石を用いる場合には、外周部品4の外径が巨大になり、マルチコラムに不可欠である25mm以下の直径の永久磁石レンズを構成することは不可能となる。
図7は、本発明の一実施形態に係る電子レンズの構成を示す図である。上面および下面が平面である平面型の永久磁石リング121の上面は強磁性体であり軟磁性体でもある、純鉄の支持体116に吸着または接着材で強固に固定されている。
永久磁石リング121の穴面(中心軸であるZ軸に向く内面側)は円錐状で、対物投影レンズの下方に行くに従って穴径が小さくなっている。穴は略ビーム軸(Z軸)に対して露出している。このために4000ガウスから8000ガウス(0.4テスラから0.8テスラ)の強磁界が中心軸に印加される。下面も中心軸に向かって略露出している。しかしながらこのままでは、永久磁石リング121のレンズ特性は表面磁化の不均一性のために良いものではない。
この状態を改善するために、永久磁石の内面(中心軸に向く面)に、永久磁石リング121の厚み(縦幅:Z軸方向の長さ)に比較しZ方向の長さが小さく、また永久磁石リング121の外径と内径の差(半径方向の長さ)に比較して、半径方向の長さ(横幅)の小さい、高透磁率の強磁性体材料の平滑化リング124を被覆してある。そして、この平滑化リング124によって、永久磁石リング121に基づく、中心軸に関して軸の回転方向の磁界を平均化する。
ここで、平滑化リング124は、その上面および下面が平面である中空円筒状のリングである。また、平滑化リング124の外周面は、永久磁石リング121の内面に沿った面であることが好ましい。従って、永久磁石リング121の内面が滑らかな漏斗状の面であれば、平滑化リング124の外周面も円錐状の面にするのがよい。一方、永久磁石リング121の内面が階段状に徐々に内径が狭くなるようにものであれば、平滑化リング124の外周面を、永久磁石リングの内側面の段に沿ってZ軸方向の面とすればよい。平滑化リング124の内周側面は、その外周面と平行な面とするとよい。
ここで、平滑化リング124は永久磁石リング121の内面においてZ軸方向に所定間隔をおいて複数配置している。すなわち、平滑化リング124のZ軸方向の長さは比較的小さく、Z軸方向に所定間隔をおいて複数配置されている。これは、平滑化リング124の長さが長いと磁界飽和を起こすからである。
この例では、製作のしやすさを考慮し、高透磁率の平滑化リング124と軟磁性体リング125を交互に配置している。 また、永久磁石リング121の下面にも永久磁石リング121の厚みより厚みが小さく、外径内径の差に比較して縦幅と横幅の小さい、高透磁率の強磁性体材料の平滑化リング122を被覆し、中心軸に関して回転方向の磁界を平均化する。
この平滑化リング122は、永久磁石リング121の下面に所定間隔で同心円状に取り付けられる。平滑化リング122は、中空円筒状(ドーナツ状円板)のリングであり、この例では、軟磁性体リング123が複数の平滑化リング122の間に同心状に配置されている。
強磁性体の平滑化リング124,122は、高透磁率の強磁性体である純鉄、パーマロイPC材、パーマロイPB材またはスーパーマロイを用いて製作する。しかし、永久磁石リング121の表面を、縦幅と横幅が1mmに満たない高透磁率の強磁性体の平滑化リング124,122で直接的に被覆することは難しい。そこで、上述のように、複数の平滑化リング124,122の間に軟磁性体のリング125,123を介在させるとよい。
図7では、被覆する高透磁率の強磁性体材料の平滑化リング124を非磁性体のリング125と積層し接着して、円錐状の薄肉の筒状体に研削または放電加工によって形成し、永久磁石リング121の穴側の内面に被覆している。同様に、被覆する高透磁率の強磁性体材料の平滑化リング122と非磁性体のリング123とを積層・接着して、薄肉の円板を永久磁石の下面にかぶせてある。これらの強磁性体の平滑化リング124,122と非磁性体のリング125,123の積層物は以下のようにして製作してもよい。
円筒状の非磁性体の上に高透磁率の強磁性体材料の薄膜を蒸着またはスパッター法により付着せしめ、不要部分をエッチングによって除去する方法でもよい。
図7の如き永久磁石リング121の穴の内面に同心円状に多数本の同心円の高透磁率の強磁性体の平滑化リング124,122を被覆することで、中心軸に対して回転方向に不均一であった磁界が、強磁性体の平滑化リング124,122で平均化された同一の磁気ポテンシャル(磁位)を持つことになる。
永久磁石リング121の内面と十分緊密に同心円状の高透磁率の強磁性体の複数の平滑化リング124,122を被覆することによって、それぞれの強磁性体の複数の平滑化リング124,122においてはそれぞれ同一の磁気ポテンシャル(磁位)を持つために、平滑化リング124,122の付近では磁界が軸対称に平滑化される。このような十分に密に配置された複数の同心円状の高透磁率の強磁性体の平滑化リング125,122に囲まれた真空の自由空間は、中心軸の周りには限りなく軸対称な磁界を有する軸対称均一磁界を形成することになる。
図では模式的に示してあるが、中心穴の側面の平滑化リング124は幅0.1mm厚み0.1mmで、非磁性体125は幅0.1mmで厚み0.5mmから1mmである。
永久磁石の上面を固定する純鉄の支持体116は、平面型の永久磁石リング121のおよそ上面の半分に吸着し、電子レンズの上方に向かってテーパ状に広がりながら伸びる。電子レンズの上方とは電子ビームが飛来する光軸(Z軸)の上方(電子銃側)に向かってさかのぼるということである。電子レンズ上方においては、ドーナツ状で円板型の非磁性体115を介して最外周の純鉄の円筒126に連結される。この内部の純鉄の支持体116から最外周の純鉄の円筒126は、磁気回路を構成している。内部の純鉄の支持体116を通って磁力線が最外周の純鉄の円筒126を通過して、永久磁石リング121に戻る。電子レンズの上部と下部に非磁性体のギャップがあって、最外周の円筒126への磁束の流入を防いでいる。上部のギャップないし、下部のギャップがなければ、内部の純鉄の支持体116か、もしくは最外周の純鉄の円筒126が磁界飽和を起こす場合がある。内部の純鉄の支持体116か、もしくは最外周の純鉄の円筒126に十分な厚みがあれば、磁界飽和を起す心配をせずに上部、または下部のギャップを無くし、磁性体で直結してもよい。
図7の最外周の純鉄の円筒126の内部には、永久磁石レンズ強度の補正用コイル117が形成されている。そして補正用コイル117で発生するジュール熱が永久磁石リング121に伝わって、永久磁石の温度が変化する(上昇する)ことは好ましくない。そこで、永久磁石による磁界強度が変化しない目的で、冷却用の冷媒流路111と冷却用の冷媒流路円筒112が補正用コイル117と永久磁石リング121との間に存在する。矢印113で示すように冷媒が半径方向に伸びる冷媒流路111から冷媒流路円筒112に入り、冷媒流路円筒112を通過した冷媒が矢印114で示すように外部に排出される。冷媒流路円筒112内には、所望の短絡防止用の隔壁などを設けるとよい。
また、銅・アルミニウムなどの熱伝導性の良い部材をもって補正用コイル117と永久磁石リング121の間に熱的な隔壁を設けて、この熱的な隔壁の上部に接する部分のみ冷媒流体を流してもよい。以上のことは永久磁石リング121の温度を一定化(温度上昇を防止)するために行われる。
図7の永久磁石リング121の上面の外側部分には永久磁石強度を補正するために、厚みを適切に選んだ補正用平面型(ドーナツ状円板)の永久磁石リング118を設置する。電子レンズとして、電子ビームの収束に必要な磁界強度と形状は、シミュレーションによって決定する。この後に永久磁石リング121を製作する。この時点で、目標の強度とプラスマイナス2%で一致していれば、電気的なコイル(補正用コイル117)により補正することで、焦点を試料面に合わせることができる。しかし、目標の強度とプラスマイナス2%以上の大きさの乖離を持つ場合、例えば4%小さめに出た場合には、厚み1mmないし2mmの補正用平面型の永久磁石リング118を設置して目標値に調整する必要がある。従って、設計時には、永久磁石リング121のみではマイナス4%程度になるように設計しておき、補正用平面型の永久磁石リング118の設置により、軸上最高磁界強度がプラスマイナス2%の精度に一致するように、調整する。補正用平面型永久磁石リング118は0.1mm単位で0.4mmから2mmまで、揃えておき、最適な厚みのリングを選択して貼り付ける。ここに補正用コイル117はプラスマイナス100Aターンである。
図7の電子レンズでは、永久磁石リング121の下面の外周側にドーナツ状円板型の非磁性体120を介し、反射電子検出器119が取り付けられている。なお、非磁性体120の外周側は円筒126の下部内側に固定されている。
反射電子検出器119は、PN接合またはPIN接合で作られている。電子が試料面(シリコンウェハ33の表面の描画対象面)に入射して反射してくる。その反射電子が反射電子検出器119のPN接合面に入射する。
試料面を電子ビームで走査すると、シリコンウェハ33の上面から僅かに下がった面に形成されたマーク位置に対応した反射電子信号を検出できる。これによって、電子ビームの自己較正、偏向能率、ウェハ基板との重ねあわせなど電子ビーム調整に必要な各種機能を実施できる。
図7の永久磁石リング121には、ネオジムを使用しており、例えば全体の厚みは4mmである。サマリウムコバルトを用いても良い。リングの外径は16mmである。永久磁石リング121の中心の穴の上部の内径は4mmである。穴の下部の内径は1mmである。永久磁石リング121の下面からシリコンウェハ33までの距離は1.5mmである。パーマロイの平滑化リング124、122の被覆の厚み、縦幅または横幅は0.4mmである。4mmの穴の上部では軸上磁界は0.3テスラである。
軸上を下部に行くに従って磁界強度は強くなり、穴径1mmの箇所では0.8テスラとなる。電子ビームの収束半角は20mradが確保できる。
軸上球面収差は1mmが実現できるので、20mradの時8nmの球面収差があるが、これはガウス像面での値であり、レンズ収束力を少し強めにすれば、最小錯乱円は4nmが実現できる。最小錯乱円とは、ガウス像面付近で交差しあう数々の軌道のうち、最も稠密に重なり合う高さの位置での軌道の広がりが最小である場所でのビーム全体を構成する円のことを言う。一般にガウス像面の最大球面収差の2分の1となる。
クーロン効果によるビームボケは20mradでは1μAの試料電流を取った場合に5nmとなり、球面収差を考慮しても最小自乗平均をとって、8nmの微細加工ができる。すなわち、これまで不可能とされていた大電流・低収差が実現できる。
図7に示すように、非常に強い磁界をシリコンウェハ33の直上に形成できる点が本実施形態の特徴である。また永久磁石リング121の円形穴の内面および下部の同心円状の高透磁率の強磁性体の平滑リング124,122の厚みと幅は約0.2mmとしてもよい、例えば0.5mmピッチに配置されている。これにより軸対称レンズ磁界が形成されて、良好なレンズ磁界を得ることができる。
なお、レンズ上部の非磁性体115は全体の磁気回路が磁界飽和を起こさない条件で磁性体と置き換えてもよい場合がある。
図8は図7とは別の実施例について示す。図8では、ドーナツ円板状の複数の永久磁石リング131a−131h(131)と、高透磁率の強磁性体でドーナツ円板状の複数の平滑化リング132a−132h(132)を有している。
多数の永久磁石リング131a−131hを、同心円状に配置すると共に、それらの穴径が試料面に近づくに従って小さくなるように、吸着設置せしめてリング群を構成し、平面型永久磁石リング131b−131gの上面と永久磁石リング131hの上面および下面に、永久磁石リング131b−131hの内径と等しい内径を有する、幅が小さく、厚みの小さな、高透磁率の強磁性体材料からなる同軸の平滑化リング132a−132hを被覆せしめて、軸上磁界の軸対称性を向上している。
図8では平面型永久磁石リング131a−131hは、それぞれ0.5mmの厚みであり、一番下の平面型永久磁石リング131hの内径は1mmである。平面型永久磁石リング131a−131hの穴の上下の面にはパーマロイまたは純鉄の平滑化リング132a−132hが幅0.2mm、厚み0.1mmで吸着して、貼り合わされている。下から2枚目の平面型永久磁石リング131gの穴径は1.4mm、同様に下から3枚目の平面型永久磁石リング131fの穴径は1.8mm、同様に4枚目の平面型永久磁石リング131eの穴径は2.2mm、同様に5枚目の平面型永久磁石リング131dの穴径は2.6mm、同様に6枚目の平面型永久磁石リング131cの穴径は3mm、同様に7枚目の平面型永久磁石リング131bの穴径は3.4mm、同様に8枚目(一番上)の平面型永久磁石リング131aの穴径は3.8mmである。
平面型永久磁石リング131a−131hの材質はネオジムである。サマリウムコバルトを用いても良い。
平面型永久磁石リング131a−131hと幅が狭く厚みが薄い高透磁率の強磁性体材料の磁化平滑化リング132a−132hの内径を一致させて、永久磁石リング131a−131hと平滑化リング132a−132をZ軸方向に交互に積層することにより、同様の目的を達成することもできる。
図9はさらに別の実施例について示す。平面型永久磁石リング141は、中空円筒型であり、その内面は、円筒状の穴であるがこの場合には穴径は4mmである。平面型永久磁石リング141はネオジムの高温耐性のあるものを使用する。この材料は20℃から200℃まで磁化が低減することがない材料を使用している。平面型永久磁石リング141の円筒状の穴であるが、永久磁石リング141の内面には平滑化リング124と非磁性体125をZ方向に積層し、研削または放電加工等で薄い被覆円筒を形成して貼り付けてある。図では模式的に示してあるが、中心穴の側面の平滑化リング124は幅0.1mm厚み0.1mmで、非磁性体125は幅0.1mmで厚み0.5mmから1mmである。
さらに、平面型永久磁石リング141の下面には、平滑化リング142を使用して磁化の軸対称均一化を得ることが必要である。平滑化リング142の内径は4mmで永久磁石リング141の内径と同一である。平滑化リング142のZ軸方向のリングの厚みは0.2mmから0.5mmである。平滑化リング142の半径方向の長さは、永久磁石リング141より小さく、その1.3程度である。反射電子検出器119は平面型永久磁石リングの下面に非磁性体120を介しついている。補正用平面型永久磁石リング118は平面型永久磁石リング141の上面の外部半分に磁力で吸着されている。
図10はさらに別の実施例について示す。平面型永久磁石リング151の内面は円筒状の穴で穴径は4mmである。永久磁石リング151はネオジムの高温耐性200℃の材料を使用している。
平面型永久磁石リングの円筒状の穴であるが、内面には平滑化リング124と非磁性体125を積層し、研削または放電加工等で薄い被覆円筒を形成して貼り付けてある。図では模式的に示してあるが、中心穴の側面の平滑化リング124は幅0.1mm厚み0.1mmで、非磁性体125は幅0.1mmで厚み0.5mmから1mmである。
平面型永久磁石リングの下面には、平滑化リング153を設けてあり、これによって磁化の軸対称均一化を得る。
平滑化リング153の最も小さなリングの内径は4mmで、リングの厚みは0.2mmである。第二の平滑化リング153の内径は4.8mmで幅は0.2mmである。第三の平滑化リング153の内径は5.2mmで幅は 0.2mmである。
3枚の平滑化リング153は、非磁性材料のフィルムの上に高透磁率の強磁性体材料を蒸着させ、不要部分をエッチングにより除去することで形成されている。平滑化リング同士の隙間には非磁性材料を蒸着して非磁性体152を配置し、平面研磨することで平坦な平滑化リング群の平面リング板を形成する。
図7〜図10に各種の構成例を示したが、ここに用いられる永久磁石リング、平滑化リングについては、さらに別の構成とすることもできる。
図11では、図8に示した例と同様にZ軸方向の厚みが比較的薄い複数の永久磁石リング161a〜161fをリング状で高透磁率の強磁性体(例えば、パーマロイ)の平滑化リング162a〜162dを介して積層している。この例では、永久磁石リング161a〜161fのZ軸方向の中心付近のもの(161cまたは161d)の内径が4mm、外径が18mmであって、永久磁石リング161a〜161fおよび平滑化リング162a〜162dの内面および外面は下方に向けて徐々に径が小さくなるテーパ状になっている。
また、永久磁石リング161aの上面には、高透磁率の強磁性体(例えば、パーマロイ)の上面用の平滑化リング164を配置し、永久磁石リング161fの下面には、高透磁率の強磁性体(例えば、パーマロイ)の下面用の平滑化リング165を配置している。
このような構成においても、平滑化リング平滑化リング162a〜162d,164,165によって、永久磁石リング161a〜161fの磁化のばらつきによる磁界のばらつきを平滑化して、中心軸における磁界を所望のものにすることができる。
さらに、この例では、永久磁石リング161a〜161fの内径が徐々に狭くなっており、穴径が徐々に小さくなる。従って、永久磁石リング161a〜161fによって形成される中心軸(Z軸)における磁界が、下方(電子の進行方向)に向けて徐々に強くなり、下方のシリコンウェハ33にフォーカスしたビームを照射でき、レンズとしての球面収差を小さくできる。特に、永久磁石リング161a〜161fに挟まれている平滑化リング162a〜162dだけでなく、最上の永久磁石リング161aの上面および最下の永久磁石リング165の下面にも平滑化リング164,165を配置しているため、回転軸周りの磁界を効果的に平均化でき、電子ビームの精度を向上することができる。なお、永久磁石リング161,平滑化リング162a〜162eの外径は必ずしも徐々に小さくなる必要はない。
図12には、全体構成を示してある。このように、他の部分には、上述した実施形態の構成が適宜採用できる。
図13の例では、永久磁石リング171a〜171eの間に介在させる高透磁率の強磁性体(例えば、パーマロイ)の平滑化リング172a〜172dのそれぞれを同心円状の複数の径の異なるリングによって形成している。これによって、平滑化リング172a〜172dのそれぞれを構成する単位リングを半径方向の長さを小さなものにできる。従って、平滑化リング172a〜172dにおいて、磁界飽和を起こすのを防止できる。なお、上述の場合と同様に、半径方向の平滑化リングの間には、非磁性体を配置するとよい。
また、永久磁石リング171aの上面の純鉄のリング174を配置し、永久磁石リング171fの下面には、純鉄のリング175を配置しているが、これらも同心円状の複数の径の異なるリングによって形成している。
このような構成においても、平滑化リング平滑化リング172a〜172dによって、永久磁石リング171a〜171fの磁化のばらつきによる磁界のばらつきを平滑化して、中心軸における磁界を所望のものにすることができる。
図14の例では、永久磁石リング181a〜181eの間に介在させる高透磁率の強磁性体(例えば、パーマロイ)の平滑化リング182a〜182dのそれぞれを、内周面を永久磁石リング181a〜181eと同一としているが、その外径の小さなものにしている。そして、永久磁石リング181a〜181eの外周側には、リング状の非磁性体183a〜183dを介在させている。
このような構成によっても、平滑化リング172a〜172dのそれぞれを半径方向の長さを小さなものにできる。従って、平滑化リング172a〜172dにおいて、磁界飽和を起こすのを防止できる。
また、永久磁石リング181aの上面の純鉄のリング184を配置し、永久磁石リング181fの下面には、純鉄のリング15を配置しているが、これらも同心円状の複数の径の異なるリングによって形成している。
このような構成においても、平滑化リング平滑化リング182a〜182dによって、永久磁石リング181a〜181fの磁化のばらつきによる磁界のばらつきを平滑化して、中心軸における磁界を所望のものにすることができる。
マルチコラムを形成するためには、25mm以下のコラムをφ300mmウェハ上に100本近く並べる必要がある。
このための発熱を抑えるためには、対物投影レンズをすべて永久磁石で形成することが不可欠である。
永久磁石では、製造プロセス上の問題として、磁化容易化軸を磁界で揃えてプレスを行うので、プレス成形途中で、永久磁石微粉末の摩擦により、磁化容易化軸またはスピンの方向が、全体の磁化軸から僅かに外れて、平面内磁化の不均一性が不可避になる。また永久磁石開口の側面と永久磁石の外径面では本来、面と並行な磁化しかなく、面から出入りする磁力線はなく、軸に関して完全軸対称のレンズ磁界が必要であるのに、永久磁石では一般的に製造プロセスから、この条件は満足されなかった。
一方、線状または針状の永久磁石材料の粉体を、磁界を印加しながら印加磁界と垂直な方向からプレス力を与えてプレスすれば、理想的な方向に磁化を揃えた永久磁石ができる可能性はあるが、発明以来20年以上経過したネオジムの世界においても、このような理想的な方向に磁化を揃えた磁石は未だない。更に、微細粉体であれば磁界印加を断続して行い、微細振動を繰り返すこと、ないしは微細粉体の摩擦を低減する材料を微細粉体間に入れておいて、微細粉体のスピン軸すなわち磁化容易化軸を全体の方向に合致させる条件があるかもしれないが、同様に発明以来20年以上経過した現状のネオジムの世界においても、このような理想的な方向に磁化を揃えた磁石は未だない。
そこで、磁性体については、ストリップキャスティングと呼ばれる粉体形成技術を用いて、なるべく磁化不均一性が出ないようにしている。更に磁性材料として、高温耐性の良いものを選択して、不均一性の最も少ない永久磁石材料を選択している。しかし、このような努力においても、磁化の不均一性を3から5%程度以下にすることは困難であった。
本実施形態では、永久磁石表面を近軸の付近まで露出させて強磁場をレンズとして使用することを可能とするために、軸非対称な不均一性を均一化し、完全な軸対称磁界に限りなく近づくようにしている。その手段は、幅と厚みの小さい高透磁率の強磁性体リングを永久磁石表面に被覆せしめ磁化平滑化リングとすることによって、軸の周りの回転方向に均一な磁界を形成するようにしている。このために永久磁石を用いた0.5テスラの磁界を用いた極めて短焦点のレンズを形成できるようになった。そのために、電子ビームの収束半角を10mrad 以上にでき、クーロン効果による、ビームボケを5nm以下にできる。また球面収差による最小錯乱円の半径を4nm以下にできる。高透磁率の強磁性体リングとは、主に純鉄、パーマロイ、スーパーマロイである。純鉄は比透磁率が5000程度と低めであるが、飽和磁束密度は2テスラである。パーマロイは比透磁率が200000であるが、飽和磁束密度は1テスラである。スーパーマロイは比透磁率が1000000であるが、飽和磁束密度は0.8テスラである。比透磁率は真空の透磁率を1とした時の各材料の透磁率を表している。磁気回路のシミュレーションによって、各部位で磁界飽和を起こさないように、システム設計しなくてはならない。
以上の幅と厚みの小さい高透磁率の強磁性体リングを永久磁石表面に被覆せしめ磁化平滑化リングとすることにより、永久磁石を電子レンズとして使用できるようになり、高速描画可能な大電流と低収差レンズの実現が可能となり、マルチコラム電子ビーム描画装置が可能となる。これにより、1時間当たりφ300mmウェハを10枚の速度で描画できかつ、10 nm以下の微細パターン描画が可能となって、電子ビーム描画装置がLSIウェハの描画にようやく使用できるものとなる。従って20枚1セットで5億円以上する高価なマスクも必要なく、完全マスクレス描画が可能となる。マスクコストの費用負担を減らして、年間5000億円以上の価格低減効果が得られる企業が存在すると考えられる。
本実施形態によれば、25mm直径以下のコラムが構成できて、φ300mmウェハに対して87本のマルチコラムができて、1時間当たり、10枚以上のスループットが出せるようになる。なおかつ1μAという大電流をとりながら10nmという高解像度を実現することができる。将来のマスクレス微細LSI加工技術に関してLSIデバイス製造技術として、多大な貢献を成す。
本発明の電子ビーム描画方法により、8nmあるいはそれよりも微細なパターン描画が高速にできるので、高速のMPU,人工知能MPUなどの将来の基幹産業となる6nm以下の寸法のデバイスの高速露光が可能となり、産業界に寄与することは多大である。
(関連技術)
図15と図16は、上述した本発明の要旨から外れる。しかし、本発明の課題であった問題の全く別の解決手段を示すものである。以下の案の趣旨は、強磁性体の薄いリング材料を用いて、永久磁石の磁化のバラつきを平滑化しようとするものではない。
しかしながら、以下に述べる手段は真っ向から、上下面の磁化を均一化した平面型永久磁石リングを製作する技術を目指したものである。更に平面型永久磁石リングの内部の穴の側面と外部円筒面の側面には、完全に面の方位に平行なスピンすなわち磁化方向を有する微粒子粉体が整列して並び、平面型永久磁石リングの内部の穴の側面と外部円筒面の側面からは、面から外れた方向のスピンすなわち磁化方向の微粉末がない形態を目指すものである。
以下のいろいろな解決策は、現実的には本発明の請求範囲に記載された内容よりも、コスト的に高価な方法であると思われる。しかし、実現した場合には本発明の請求項を使用しなくても、完全に均一磁界の平面型永久磁石リングを得ることができるために有用な手段であるので、ここに記しておく。
図15は、3つの均一磁化を有する平面型永久磁石リングの形成方法を示している。
15aは、中心に穴の開いた円形リングを8等分して、扇型の形状で、上下の面は平面であるところの部材を8個制作し、8個の永久磁石片のすべての磁化が完全に一致するように選別し、品質が揃った1組の永久磁石片を強力な接着材で接着したものである。リング面は45度に分割し8個の永久磁石片としたが、16、20、24個などの多数個であっても良い。
15bは、リングの軸方向に着磁容易化軸を持つ材料で、かつ断面が1mmから数μmの径の細長い円柱状の永久磁石を、長手方向が軸に揃うように、固定し互いに接着したものである。個別の微細化断面永久磁石の磁化強度の等しいものを選別し、これらの群を充分稠密に接着し、全体として均一な、上下面の磁化を有するように製作したものである。平面型永久磁石リングの内部の穴の側面と外部円筒面の側面には、完全に面の方位に平行なスピンすなわち磁化方向を有する微粒子粉体が整列して並び、平面型永久磁石リングの内部の穴の側面と外部円筒面の側面からは、面から外れた方向のスピンすなわち磁化方向の微粉末がない形態を目指すものである。
上述では微細化断面永久磁石については円柱状としたが、角柱状、多角形柱状などでもよい。
15cはリングの半径方向中央部に穴を開けた部材と、この穴に丁度入る円柱状の、軸方向に着磁容易化軸を持つ永久磁石群を準備する。円柱状の、軸方向に着磁容易化軸を持つ永久磁石群の磁化強度を計測し、選別した後に、リングの半径方向中央部に穴を開けた部材の穴に嵌入し、接着したものである。穴の数はの15cでは12個であるが更に多くても良い。本説明では、リングの穴の形状を円形としたが、円形は角形でも多角形でもよい。
図16は同様の関連技術に関して示す。16aでは不均一な永久磁石のリングの上下の平面にリングの外径と内径の差の半分よりも直径の小さい,かつ厚みがリング磁石の数分の1から20分の1の薄型平面円板型永久磁石252、253を貼り付けて、全体として軸の回転方向の対称性の良いリング状永久磁石を形成するものである。
16bでは不均一な永久磁石のリングの上下の平面から出る磁力線の分布について示している。中心軸を含むリングの断面では、磁化強度が不均一であるので、
16bに示すように、紙面内で磁力線が消え、紙面を突き抜けて行くことがある。
そこで、16cに示すように薄型平面円板型永久磁石を上下の面に貼り付けて、軸対称性のよいリング磁石とするものである。この時磁力線は紙面内で、上下の面を結ぶ磁力線となる。図16の薄型平面円板型永久磁石は円板でなくとも四角板でも良いし、形状も多角形でも良い。また厚みを変化させて、リング磁界の軸対称性が良くなるように調整してもよい。
1 軸対称形状の永久磁石
2 上部磁極
3 下部磁極
4 磁路
5 とめネジ
6 非磁性体充填材
7 カバー
8 試料
9 外側ギャップ
10 内側ギャップ
31 コラムセル
32 コラムセルを多数並べたマルチコラム
33 φ300mmウェハ
34 電子銃
35 第一の矩形アパーチャ
36 第一のレンズ
37 マスク偏向器1
38 マスク偏向器2
39 第二のレンズ
40 キャラクタプロジェクションマスク
41 マスク偏向のダイナミックフォーカスコイル
42 第三のレンズ
43 マスク偏向器3
44 マスク偏向器4
45 縮小レンズ
46 リフォーカシングコイル
47 ラウンドアパーチャ
48 対物投影レンズ
49 位置決め偏向器
60 電子銃
61 サプレッサー電極
62 引き出し電極
63 陽極(アース電位)
64 第一のレンズ
65 第一のラウンドアパーチャ
66 第二のレンズ
67 PSA(programmable shaping aperture)
68 第三のレンズ
69 全体ブランキング電極
70 第二のラウンドアパーチャ
71 縮小レンズ
72 位置決め偏向器
73 対物投影レンズ
81 固定板
82 プレス板
83 プレス力
84 プレス中の印加磁界
85 焼結後の着磁用印加磁界
86 平面型永久磁石リング
91a,91b,91c 微細磁性粉体の磁界の方向
92a,92b,92c プレス後の微細磁性粉体の磁界の方向
93a,93b,93c 焼結後の微細磁性粉体の磁界の方向
94a,94b,94c 着磁後の微細磁性粉体の磁界の方向
101 a−101h 平面型永久磁石リングの上面または下面の回転方向に8等分する点の磁界測定点
102a 平面型永久磁石リングの上面から出る磁力線
102b 平面型永久磁石リングの上面から出てリング穴の内部を通り、下面に戻る磁力線
102c 平面型永久磁石リングの上面から出てリングの外径の外側を通り、下面に戻る磁力線
103a−103h 101a−101hの計測点における磁化による磁界強度
104 8点の磁化による磁界強度の平均値
111 冷却用冷媒流路
112 冷却用冷媒流路円筒
113 冷却用冷媒流入部
114 冷却用冷媒流出部
115 非磁性体
116 支持体
117 補正用コイル
118 補正用平面型永久磁石リング
119 反射電子検出器
120 非磁性体
121 平面型永久磁石リング
122 平滑化リング
123 非磁性体
124 平滑化リング
125 非磁性体
126 最外周の純鉄の円筒
131a−131h 平面型永久磁石リング
132a−132h 平滑化リング
141 平面型永久磁石リング
142 平滑化リング
151 平面型永久磁石リング
152 非磁性体
153 平滑化リング
201 平面型永久磁石リング
202a−202l 扇形永久磁石部品
211 平面型永久磁石リング
212 微細断面を持つ円柱状の永久磁石部品
221 円形貫通口を12個開けた平面型永久磁石リング
222 円形貫通口に嵌入する円柱状永久磁石棒
251 平面型永久磁石リング
252、253 薄型平面円板型永久磁石
261 磁化の不均一性のために紙面を横切る磁力線
262 磁化を均一化したために平面内では紙面をよぎらない磁力線

Claims (11)

  1. 電子ビームが通過するZ軸に対して、中心磁界の方向が向くZ軸方向着磁の永久磁石リングと、
    前記永久磁石リングの上面、下面、または内周面の中の少なくとも1つに配置され、Z軸方向の厚みが前記永久磁石リングの厚みより小さく、高透磁率の強磁性体材料からなり、前記永久磁石リングと同心状に配置される磁界平滑化リングと、
    を有し、
    前記磁界平滑化リングを用いて永久磁石リング表面を被覆することにより、前記永久磁石リングの面磁化における円周方向の強度ばらつきに基づく磁界のばらつきを平滑化する電子レンズ。
  2. 請求項1に記載の電子レンズであって、
    前記永久磁石リングのZ軸を中心とした内面円型穴が、Z軸方向に試料面に向かう方向に連続的に半径が小さくなる穴である電子レンズ。
  3. 請求項1に記載の電子レンズであって、
    前記永久磁石リングのZ軸を中心とした内面円型穴が、
    Z軸方向に試料面に向かう方向に、段階的に半径が小さくなる円筒型の穴のあいた単位永久磁石リングを、順次積層して形成される電子レンズ。
  4. 請求項3に記載する電子レンズであって、
    前記単位永久磁石リングの上面または下面の内径と一致する、単位平滑化リングを設置した円板を一組とし、内径の異なる複数の円板の組を積層する電子レンズ。
  5. 請求項4に記載する電子レンズであって、
    前記単位永久磁石リングと前記単位平滑化リングを積層することによって、これらの積層物は、試料面に向かって突き出した形状を有する電子レンズ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子レンズであって、
    前記永久磁石リングの上面または下面が、前記永久磁石リングを固定する高透磁率の強磁性体の支持部材に固定される電子レンズ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載する電子レンズであって、
    前記永久磁石リングと前記磁界平滑化リングの内径を一致させて積層する電子レンズ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載する電子レンズであって、
    前記永久磁石リングの外周部に、Z軸上最大磁界の値を変化させる補正用リング永久磁石設置する電子レンズ。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載する電子レンズであって、
    前記永久磁石リングの外周部を純鉄の円筒で取り囲む電子レンズ。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載した電子レンズを用いた電子ビーム装置。
  11. 請求項1〜9のいずれか1つに記載した電子レンズを用いたマルチコラム電子ビーム装置。
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