JP2014194038A - 植毛用水分散型樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温密着性に優れ、耐摩耗性、塗工性、貯蔵安定性等の総合的な性能にも優れる植毛用水分散型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分:CH=C(R)−COO−R[Rは、水素原子又はメチル基、Rは、単環式アルキル基である]で示される単量体及びその他の不飽和単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体を含む水分散型樹脂組成物、(B)成分:塩素化ポリオレフィンの水分散型樹脂組成物、及び(C)成分:エポキシ系シランカップリング剤を含む植毛用水分散型樹脂組成物である。この植毛用水分散型樹脂組成物は、高温密着性に優れ、耐摩耗性、塗工性、貯蔵安定性等の総合的な性能にも優れる。
【選択図】なし

Description

本発明は、植毛用水分散型樹脂組成物に関する。より詳細には、例えば、ピラー、グローブボックス、コンソールボックス、コインボックス及び眼鏡ボックス等の自動車の内装部品、及びガラスチャンネル等のその他の自動車部品等に用いられるポリオレフィン製基材の植毛に使用される植毛用水分散型樹脂組成物に関する。
自動車の内装には、アクリルエマルジョン系接着剤でパイル(短繊維)が植毛されたABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)製の成形品が使用されてきたが、車体の軽量化及びコストダウン等のため、近年では、ABS樹脂ではなくポリオレフィンが成形品の基材として用いられている。ポリオレフィン基材により車体は軽量化されたが、アクリルエマルジョン系接着剤がポリオレフィンに密着しにくいので、予めポリオレフィン基材からなる成形品にプライマーを塗布した(即ち、プライマー処理をした)後、アクリルエマルジョン系接着剤を塗布している。
このように、ポリオレフィン基材からなる成形品への植毛は、プライマー処理が必要で非常に手間がかかるので、ABS樹脂製の成形品への植毛と比較し、却ってコストアップになってしまう。コストを削減する手段として、プライマー処理を施すことなく、ポリオレフィン基材に対して直接塗工できる植毛用組成物の開発が望まれている。
プライマー処理が不要な植毛用組成物の一例として、特許文献1にはウレタン・アクリル変性塩素化ポリオレフィン樹脂を主成分とする反応硬化型塗料が記載されており、特許文献2にはシクロヘキシルメタクリレートを重合して得られる水分散型樹脂を含む植毛用水分散型樹脂組成物の開示がある。
しかし、これらの植毛用水分散型樹脂組成物は、高温状態でのパイル保持を十分に満足させるとは言えない。夏場になると、自動車内は異常な高温となるので、パイルとポリオレフィン基材との高温密着性が要求される。さらに、自動車内装は外観が重要なので、耐摩耗性に優れた植毛用水分散型樹脂組成物を成形品の基材へ塗工することで、自動車内装の高級感を保たなければならない。自動車の生産性やコストを考慮すると、植毛用水分散型樹脂組成物には、更に、塗工性、貯蔵安定性等、総合的な性能に優れることも、当然求められる。
特開2003−088802号公報 特開2003−313387号公報
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、高温密着性に優れ、なおかつ、耐摩耗性、塗工性、貯蔵安定性等の総合的な性能にも優れる植毛用水分散型樹脂組成物、特に、自動車の内装部品を製造するために好適な植毛用水分散型樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、(A)成分:化学式(1)で示される特定の単量体(以下「単量体(a)ともいう」)
CH=C(R)−COO−R (1)
[化学式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、単環式アルキル基である。]及びその他の不飽和単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体を含む水分散型樹脂組成物、及び(B)成分:塩素化ポリオレフィンの水分散型樹脂組成物を含む植毛用水分散型樹脂組成物が、更に特定のシランカップリング剤を添加すると、プライマー処理がされていないポリオレフィン製の基材にパイルを植毛することができる植毛用水分散型樹脂組成物として使用でき、更に、その樹脂組成物は高温密着性に優れ、耐摩耗性、塗工性、貯蔵安定性等の総合的な性能にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を含むことを特徴とする植毛用水分散型樹脂組成物を提供する。
(A)成分:化学式(1)で示される単量体(a)
CH=C(R)−COO−R (1)
[化学式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、単環式アルキル基である。]及びその他の不飽和単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体を含む水分散型樹脂組成物、
(B)成分:塩素化ポリオレフィンの水分散型樹脂組成物
(C)成分:エポキシ系シランカップリング剤。
本発明は一の態様において、自動車内装部品を製造するための植毛用水分散型樹脂組成物を提供する。
さらに、本発明は他の態様において、単量体(a)は、シクロヘキシル(メタ)アクリレートである植毛用水分散型樹脂組成物を提供する。
また、本発明は好ましい態様において、(A)成分と(B)成分との固形分100重量部に対し、(C)成分の固形分が0.1〜1.0重量部である植毛用水分散型樹脂組成物を提供する。
さらに、本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、造膜助剤を含むことができる。
本明細書において「水分散型樹脂組成物」とは、その形態が水性媒体に樹脂が分散(又は懸濁)している組成物をいうが、樹脂の少なくとも一部が水性媒体に溶解していてもよい。「水性媒体」とは、一般的な水、例えば蒸留水、イオン交換水及び純水等をいうが、本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物の性質に悪影響を与えない限り、有機溶媒を含んでもよい。
本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含むことによって、高温密着性に優れ、耐摩耗性、塗工性、貯蔵安定性等の総合的な性能にも優れるものとなる。
本発明の植毛用水分散型樹脂組成物を用いて自動車内装部品を製造することで、たとえ夏場に自動車内が高温になったとしても、自動車内装部品のポリオレフィン基材に植毛されたパイルは保持され、耐摩耗性も優れるので、自動車内装の高級感をより維持できる。
本発明では、単量体(a)をシクロヘキシル(メタ)アクリレートとすることで、植毛用水分散型樹脂組成物の密着性をより向上させることができる。
本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、(A)成分と(B)成分との固形分100重量部に対し、(C)成分の固形分が0.1〜1.0重量部である場合、高温密着性、耐摩耗性、塗工性、貯蔵安定性の性能のバランスに、より優れる。
本発明の植毛用水分散型樹脂組成物の、高温密着性をより高めるために、樹脂組成物のガラス転移温度を高くすることも考えられる。しかし、樹脂組成物のガラス転移温度を高くすると、造膜不良により密着性が低下することもあり得る。従って、本発明の植毛用水分散型樹脂組成物は、適量の造膜助剤を含む場合、造膜性がより改良され、高温密着性、耐摩耗性、塗工性、貯蔵安定性のバランスにより優れる。
本発明における(A)成分である水分散型樹脂組成物は、化学式(1)で示される特定の単量体(a)
CH=C(R)−COO−R (1)
[化学式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、単環式アルキル基である。]及びその他の不飽和単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体を含んで成る。
単量体(a)とは、化学式(1)で示されるものであれば、特に制限されるものではない。化学式(1)において「単環式アルキル基」とは、環式アルキル基のうち一つの環を有するアルキル基をいい、置換基を有していてもよい。Rの炭素数は、置換基が有する炭素数も含めて計算する。Rとして、例えば、シクロヘキシル基及びメチルシクロペンチル基を例示でき、シクロヘキシル基が好ましい。単量体(a)として、特にシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
尚、本明細書においては、アクリル酸とメタクリル酸を総称して「(メタ)アクリル酸」ともいい、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを総称して「(メタ)アクリル酸エステル」又は「(メタ)アクリレート」ともいう。
また「その他の不飽和単量体」とは、単量体(a)と共重合可能な不飽和単量体であって、目的とする(A)成分を得ることができるものであれば、特に制限されるものではない。その他の不飽和単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル (メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが例示される。
重合性シラン単量体も「その他の不飽和単量体」に含まれる。重合性シラン単量体とは、ケイ素と重合性の官能基を同時に有する化合物であって、化学式(I)に示されるエチレン性シラン化合物である。
Figure 2014194038
(Rは−H又は−CH3、Xは−(CH2n−又は−COO−(CH2n−ただしnは0から3の整数、Yは−OCH3もしくは−OC25又は−O(CH2m−O(CH2p−Hただしm、pは1から3の整数、Zは−(CH2)q−Hただしqは0から3の整数、aは0から2の整数を示す。)
具体的には、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロキエチルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン類、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルアルキルアルコキシシラン類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリ(エトキシメトキシ)シラン等のビニルトリアルコキシシラン類、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジエチル(メトキシエトキシ)シラン等のビニルアルキルアルコキシシラン類等が好ましい。
単量体混合物に含まれる、「単量体(a)」と「その他の不飽和単量体」の重量比(単量体(a)/その他の不飽和単量体)は、30/70〜90/10であることが好ましく、40/60〜80/20であることがより好ましく、50/50〜70/30であることが特に好ましい。単量体(a)/その他の不飽和単量体が30未満の場合、オレフィン基材と形成される塗膜との密着性が不十分と成り得、90を超える場合、塗膜のパイル保持性が不十分と成り得るので、良好な特性を有する植毛用水分散型樹脂組成物を得るために、単量体(a)/その他の不飽和単量体は、30/70〜90/10であることが好ましい。
(A)成分は、単量体(a)及びその他の不飽和単量体を含む単量体混合物を、触媒及び乳化剤の存在下、せん断力を加えることができる攪拌機を用い、水性媒体中で共重合することによって製造することができる。
ここで「触媒」及び「乳化剤」の種類、並びにそれらの濃度、さらに反応温度、反応時間及び攪拌速度等の重合反応条件は、目的とする本発明の植毛用水性樹脂組成物の特性によって適宜選択され得る。
「触媒」とは、少量の添加によって単量体混合物の重合反応を起こさせることができる化合物であって、水性媒体で使用できるものが好ましい。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリル等を例示できるが、特に過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウムが好ましい。また、触媒の作用を促進させる還元作用を有する化合物を、助触媒として併用してもよく、そのような化合物として、例えば、チオ硫酸ナトリウム及び塩化第一鉄等を例示できる。
「乳化剤」とは、水性媒体と単量体混合物とのエマルジョンを形成させるために使用する界面活性剤をいい、重合反応に悪影響を与えないものをいう。乳化剤は、スルホン酸基を有する化合物、スルホネート基を有する化合物及び硫酸エステル基を有する化合物、並びにそれらの混合物が好ましいが、通常の界面活性剤も使用できる。このような乳化剤として、例えば、下記化合物を例示できる:石鹸、アルキルスルホン酸塩、及びポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤類;並びにポリオキシアルキルアリールエーテル及びオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤類。
尚、乳化剤として、重合性乳化剤を使用することがより好ましい。重合性乳化剤を使用すると、植毛用樹脂組成物から形成される塗膜の耐水性が向上する等の理由から好ましい。
ここで「重合性乳化剤」とは、重合性の官能基を有し、かつ、水性媒体と単量体混合物とのエマルジョンを形成できる乳化剤として機能し得る化合物をいう。そのような化合物として、例えば、スルホン酸基、スルホネート基、硫酸エステル基又はエチレンオキサイド基を有するエチレン性炭素原子間二重結合を有する化合物、並びにそれらの混合物を例示できる。さらに、上記重合性乳化剤のスルホン酸基又はスルホネート基の対カチオンとして、アンモニウムイオン、カリウムイオン及びナトリウムイオンが好ましい。
単量体(a)及びその他の不飽和単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体のガラス転移温度(以下「共重合体のTg」ともいう)は、10〜60℃であることが好ましく、20〜40℃であることが好ましく、25〜35℃であることが特に好ましい。共重合体のTgが10℃未満の場合、得られる植毛用水分散型樹脂組成物から形成される塗膜の硬さが不十分なためパイルの保持強度が不十分となり得る。また、共重合体のTgが60℃を超える場合、最終的に得られる植毛用水分散型樹脂組成物から形成される塗膜が脆くなり、塗工された組成物の層に植毛されて形成される塗膜の耐磨耗性が低下し得る。
(A)成分に含まれる共重合体は、単量体(a)と「その他の不飽和単量体」を含む単量体混合物を重合して得られるので、単量体(a)と「その他の不飽和単量体」の種類及び単量体(a)と「その他の不飽和単量体」の混合比(重量部)によって、共重合体のTgは定まる。所望のTgを有する共重合体を設計するには、単量体混合物中の単量体(a)及びその他の不飽和単量体の各々の単量体が単独重合したときに得られるホモポリマーのガラス転移温度(以下「ホモポリマーのTg」ともいう)を考慮して、単量体(a)と「その他の不飽和単量体」の混合比(重量部)を決める。具体的には「共重合体のTg」は、共重合体の理論Tgの算出式(1)を用いて計算することによって求めることができる。
1/Tg=C/Tg+C/Tg+・・・+C/Tg (1)
[算出式(1)において、Tgは、共重合体の理論Tg、Cは、n番目の単量体nが単量体混合物中に含まれる重量割合、Tgは、n番目の単量体nのホモポリマーのTg、nは、共重合体を構成する単量体の数であり、正の整数。]
単量体のホモポリマーのTgは、文献に記載されている値を用いることができる。そのような文献として、例えば、以下の文献を参照できる:三菱レーヨン社のアクリルエステルカタログ(1997年度版);並びに北岡協三著、「新高分子文庫7、塗料用合成樹脂入門」、高分子刊行会、1997年発行、第168〜169頁。
以下に、上述の共重合体のTgの設計の一例について説明する。単量体(a)として、ホモポリマーのTgが83℃である単量体であるシクロヘキシル(メタ)アクリレート(以下「CHMA」ともいう。)を使用し、単量体混合物に含まれる比率を40〜67重量部とした場合、「その他の不飽和単量体」として、例えばホモポリマーのTgが95℃以上の単量体及びホモポリマーのTgが−50℃以下の単量体を使用し、この場合、単量体混合物に含まれる比率は、前者については20〜30重量部とし、後者は13〜30重量部とする。
具体的には、ホモポリマーのTgが83℃であるCHMAを、40〜67重量部、「その他の不飽和単量体」として、ホモポリマーのTgが95℃以上である単量体であるメチルメタクリレート(以下「MMA」ともいう。ホモポリマーのTgは105℃である)及び/もしくはスチレン(以下「St」ともいう。ホモポリマーのTgは100℃である)を20〜30重量部、並びにホモポリマーのTgが−50℃以下である2−エチルヘキシルアクリレート(以下「2HEA」ともいう。ホモポリマーのTgは−85℃である)及び/もしくはブチルアクリレート(以下「BA」ともいう。ホモポリマーのTgは−54℃である)を13〜30重量部を使用し、単量体混合物を重合させることで、理論Tgが10〜60℃を示す共重合体を含む(A)成分を得ることができる。
「単量体(a)」として、CHMAの他、例えば、メチルシクロペンチルメタクリレートを例示できる。「ホモポリマーのTgが95℃以上である単量体」として、MMA、Stの他、例えば、アクリルアミド(ホモポリマーのTgは153℃である)、アクリル酸(以下「AA」ともいう。ホモポリマーのTgは106℃である)、メタクリル酸(以下「MAA」ともいう。ホモポリマーのTgは130℃である)、アクリロニトリル(ホモポリマーのTgは100℃である)及びマレイン酸(ホモポリマーのTgは130℃である)を例示できる。「ホモポリマーのTgが−50℃以下である単量体」として、2EHA及びBAの他、例えば、ドデシルメタクリレート(ホモポリマーのTgは−65℃である)を例示できる。
尚、CHMAのホモポリマーのTgの値については、三菱レーヨン社のアクリルエステルカタログ(1997年度版)の値を、MMA、St、2EHA、BA、AA、MAA、アクリルアミド、アクリルニトリル、マレイン酸、ドデシルメタクリレートについては、北岡協三著、「新高分子文庫7、塗料用合成樹脂入門」、高分子刊行会、1997年発行、第168〜169頁に記載の値を使用した。
本発明の植毛用水分散型樹脂組成物に係る(B)成分は、塩素化ポリオレフィンの水分散型樹脂組成物である。具体的には、例えば塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリブテン、塩素化イソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体の塩素化物及びプロピレン−1−ブテン共重合体の塩素化物等の水分散型樹脂組成物等を例示することができ、特に塩素化ポリプロピレンの水分散型樹脂組成物が好ましい。尚、これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。
本発明において、(B)成分は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含む)、ポリプロピレン(結晶性ポリプロピレン及び非結晶性ポリプロピレンを含む)、ポリブテン、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を、有機溶剤中にて塩素化した後、水及び乳化剤を加えてエマルジョン化することで得ることができる。有機溶剤は、その後、回収するのが好ましい。尚、ここで「乳化剤」とは、上述したものと同様である。
(B)成分として、市販の塩素化ポリオレフィンの水分散型樹脂組成物を使用することができる。そのような(B)成分として、例えば、日本製紙製のスーパークロンE633(商品名)、スーパークロンS−4032(商品名)及びスーパークロンS−4044(商品名)、スーパークロンS4397(商品名)並びに東洋化成工業株式会社製のハードレンEH202(商品名)を例示することができる。
本発明に用いられる(C)成分は、エポキシ系シランカップリング剤である。エポキシ系シランカップリング剤は、例えば、化学式(2)及び/又は化学式(3)で示される官能基を有する。
Figure 2014194038
Figure 2014194038
(CHOCH)CHO−基で示される官能基はグリシドキシ基であり(化学式(2)参照)、(CHCHOCH(CH)CH−基で表される官能基は3,4−エポキシシクロヘキシル基である(化学式(3)参照)。
エポキシ系シランカップリング剤を大別すると、グリシジル系シランカップリング剤、エポキシシクロヘキシル系シランカップリング剤に分かれる。
グリシジル系シランカップリング剤は、グリシドキシ基を有するもので、具体的には、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシランが例示される。
エポキシシクロヘキシル系シランカップリング剤は、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有するもので、具体的には、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。
これらのエポキシ系シランカップリング剤は、単独で又は組み合わせて用いることができる。本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物では、(C)エポキシ系シランカップリング剤としては、グリシジル系シランカップリング剤が好ましく、グリシジル系シランカップリング剤の中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分を含んでなり、3成分を混合することによって製造される。
本発明では、植毛用水分散型樹脂組成物は、造膜助剤を含むことができる。造膜助剤は、本発明に係る植毛用樹脂組成物の製造のいずれの過程で加えてもよく、例えば、(A)〜(C)成分を配合した後に添加されてよく、3成分を配合する前に(A)〜(C)成分のいずれかに含まれていてもよい。予め、(A)成分若しくは(B)成分に造膜助剤が含まれる場合、例えば、乳化重合により(A)水分散型樹脂組成物、(B)水分散型樹脂組成物を得た後、造膜助剤を(A)もしくは(B)成分に配合することが好ましい。
造膜助剤としては、グリコールエーテル類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、エステル類等を例示することができる。グリコールエーテル類として、具体的にはフェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等を例示できる。
脂肪族炭化水素類として、具体的にはトルエン、キシレン等を例示できる。アルコール類として、ベンジルアルコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノブチレート等を例示することができる。エステル類として、ジメチルフタレート、ジイソノニルフタレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチラート等を例示することができる。
植毛用水分散型樹脂組成物を製造する際、必要に応じて、粘度調整剤を加えて、粘度を調節することが好ましい。「混合」は、通常樹脂組成物を混合するために使用されている方法であって、本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物を得ることができる方法であれば、特に制限されるものではない。
また、「粘度調整剤」とは、通常樹脂組成物の粘度を調整するために使用され、本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物を得ることができるものであれば、特に制限されるものではないが、樹脂組成物の性能に影響しないよう、できるだけ少量で調整できることが好ましい。粘度調整剤として、例えば、ヘンケルテクノロジーズジャパン製のヨドゾールKA10(商品名)のようなアルカリ増粘タイプや旭電化製のアデカノールUH438のような会合タイプ等を例示できる。
ここで、植毛用水分散型樹脂組成物の(A)成分と(B)成分との固形分比((A)/(B))は、40〜80/60〜20であることが好ましく、45〜70/55〜30であることがより好ましく、50〜60/50〜40であることが特に好ましい。(A)成分が40重量部未満の((B)成分が60重量部を超える)場合、植毛用水分散型樹脂組成物から形成される塗膜のパイル保持性、及び塗工された植毛用水分散型樹脂組成物の層に植毛されて形成される塗膜の耐磨耗性が低くなり得る。(A)成分が80重量部を超える((B)成分が20重量部未満の)場合、植毛用水分散型樹脂組成物から形成される塗膜と基材との密着性が低くなり得る。
ここで、(A)成分及び(B)成分の「固形分」とは、水分散型樹脂組成物である(A)成分及び(B)成分の各々を105℃で3時間加熱して得られる残分をいう。尚、(A)成分の「濃度」及び(B)成分の「濃度」とは、上述の「固形分」を得る際に、(A)成分及び(B)成分を105℃で3時間加熱する前の質量に対する、(A)成分及び(B)成分の加熱後(固形分)の質量の百分率をいう。
本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物では、(A)成分と(B)成分との固形分100重量部に対し、(C)成分の固形分は0.1〜1.0重量部であることが好ましい。(C)成分が0.1重量部未満の場合、植毛用水分散型樹脂組成物の高温密着性が十分に満足するものとはならないこともある。(C)成分が1.0重量部を超えると、植毛用水分散型樹脂組成物の貯蔵安定性が低下し得、実用性に欠け得る。
上述のようにして得られた本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は、30℃にてSB型回転式粘度計(スピンドルN0.4)を用いて測定して、100〜5000mPa・sであることが好ましく、1000〜4000mPa・sであることがより好ましく、2000〜3000mPa・sであることが特に好ましい。粘度が100mPa・s未満の場合、植毛用水分散型脂組成物を基材に塗布して形成される塗膜が目的とする膜厚を有さないこともある。
粘度が5000mPa・sを超える場合、植毛用水分散型樹脂組成物の基材への塗工性が低下し得る。後述するように、植毛用水分散型樹脂組成物をポリオレフィン製の基材に塗工する塗工方法として、例えばドクターナイフコーター、ロールコーター及びスプレーコーター等を例示できるが、いずれの塗工方法を用いても、レベリング性が低下し基材に植毛用水分散型樹脂組成物を均一な厚さで塗工することが困難となり得る。
本明細書において「粘度」とは、JIS K5400に記載された「回転粘度計法」に準拠して測定された値をいう。より具体的には、「回転粘度計」として、JIS K7117に規定された単一円筒回転粘度計であるSB型回転式粘度計を用い、スピンドルNo.4を使用し、30℃に保った樹脂組成物内にて、スピンドルを60rpmで回転させて測定された値をいう。
本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物のチクソトロピーインデックス(以下「TI」ともいう)は、1.5〜6.0であることが好ましく、1.8〜4.0であることがより好ましく、2.0〜3.0であることが特に好ましい。TIが1.5未満の場合、塗工した際の樹脂組成物の流動性が高いという理由から、形成される塗膜が目的とする膜厚を有さないという問題が生じ得る。また、TIが6.0を超える場合、塗工した際の樹脂組成物の流動性が低いという理由から、レベリング性が低く均一な厚さの塗膜を得られないという問題が生じ得る。
本明細書において「TI」とは、上述した粘度測定において、スピンドルを6rpmで回転させた以外は、同様の方法で得られた粘度(以下「粘度(6rpm)」ともいう)を、上述のスピンドルを60rpmで回転させて得た粘度(以下「粘度(60rpm)」ともいう)で除することによって得られる値をいう。このTIの計算式(2)を以下に示す。
TI=粘度(6rpm)/粘度(60rpm) (2)
上述の植毛用水分散型樹脂組成物は、このままでも植毛用水分散型樹脂組成物(又は接着剤)として使用することができるが、必要に応じて、例えば殺菌剤、防腐剤、消泡剤、可塑剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤、界面活性剤、顔料、防錆剤、湿潤剤、シランカップリング剤及び架橋剤等の添加剤が添加されて使用される。
本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、基材に塗工されるが、その際基材に塗工されると同時に及び/もしくは基材に塗工された後に、塗工された組成物の層にパイルが植毛され、植毛された組成物の層が乾燥して塗膜が形成される。植毛用水分散型樹脂組成物は、通常樹脂組成物を基材に塗工するために使用される方法を用いて塗工することができる。例えば、スプレーコーター、ドクターナイフコーター、ロールコーターもしくはワイヤーコーターを用いて、ポリオレフィン製の基材に塗工することができる。
基材に対する植毛用水分散型樹脂組成物の塗工量は、固形分として10〜200g/mであるのが好ましく、30〜150g/mであるのがより好ましく、40〜100g/mであるのが特に好ましい。
本発明の植毛用水分散型樹脂組成物が塗布された基材に植毛する方法は、通常基材に植毛する方法として使用されている方法であれば、特に制限されるものではない。そのような方法として、パイルと共にスプレーコーティングする方法及び静電植毛法等を例示できる。パイルと共にスプレーコーティングする方法は、パイルを吹き付けることによりパイルが接着剤の層に刺さりやすくなるため、接着剤の塗工量を低減できる。また、静電植毛法を使用すると、パイル一本一本が隙間なく真直ぐに加工すべき面の接着剤の塗膜(塗布層)に固着するので好ましい。
ここで「基材」とは、通常植毛用樹脂組成物が塗工され、パイルが植毛される基材であれば、特に制限されるものではない。「基材」として、例えば、ポリオレフィン製の基材及びABS樹脂製の基材等のプラスチック基材、並びに繊維基材等を例示できるが、本発明の植毛用水分散型樹脂組成物は、プライマー処理がされていないポリオレフィン製の基材にも好ましく使用できる。
「ポリオレフィン製の基材」とは、通常ポリオレフィンとされる樹脂を使用して製造された基材をいい、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィンを成形品にした基材を例示できる。更に、ガラス繊維、炭酸カルシウム、タルク等の充填剤を混入ブレンドしたポリオレフィン製の基材、並びにポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンオキサイド、ナイロン、ポリエステル、ABS樹脂、ゴム等のポリマーで変性されたポリオレフィン製の基材でもよい。
「パイル」とは、通常パイルとして使用されているものであれば、特に制限されるものではない。パイルとして、例えば、以下のものを例示できる:綿、羊毛、麻等の天然繊維;レーヨン、蛋白繊維等の羊毛繊維;ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリエステル系、ポリアミド系(ナイロン)、アクリロニトリルの重合体及びアクリロニトリルの共重合体、ポリオレフィン系等の合成繊維;並びにこれらの混紡の編織布、不織布等の繊維製品。
本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、その塗工性、形成される塗膜の基材への密着性(特に高温密着性)、植毛されて形成される塗膜の耐摩耗性、及び貯蔵安定性のバランスに優れている。
本明細書において「塗工性」とは、基材に全体的にむらなく均一な厚さで、組成物を塗工できることをいう。より具体的には、植毛用水分散型樹脂組成物を、ポリオレフィン製の基材に、スプレーコーティングした際の、スプレーのし易さをいう。均一にムラなく塗工することができているか否かを目視で観察して評価する。本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、ポリオレフィン製の基材に、スプレーコーティングして、ムラなく均一に塗工することができる(実施例では、◎及び○である。塗工性が良好である)ものが好ましい。
本明細書において「密着性(又は付着性)」とは、JIS K5400に準拠した碁盤目テープ法を用いて得られた、塗膜とポリオレフィン製の基材との密着性をいう。具体的には、試験片上に形成した塗膜を貫通して、ポリオレフィンの素地面に達する切り傷を基盤目状に付け、この碁盤目状の切り傷の上に粘着テープを張り、はがした後の塗膜の付着状態を目視によって観察して評価する。密着性の試験は、基材と塗膜の密着性に注目して行ったので、植毛用水分散型樹脂組成物を基材に塗工した後、塗工した組成物の層に植毛することなく(パイル処理することなく)組成物の層が乾燥して形成された塗膜を用いて行った。JISK5400に準拠したこの評価方法では、評価を0〜10点で数値化している。評価の良いものほど点が高く、最高点が10点である。本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、形成される塗膜の密着性の評価点数が8〜10である(実施例では、◎及び○である。密着性が優れる)ものが好ましい。
本明細書において「高温密着性」とは、ポリオレフィン製の基材上の塗膜を高温で養生後の密着性をいう。具体的には、試験片上に形成した塗膜を80℃で16時間養生後、爪等で強く引掻いた後の塗膜の状態を目視によって観察して評価する。高温密着性の試験は、基材と塗膜の高温で養生後の密着性に注目して行ったので、植毛用水分散型樹脂組成物を基材に塗工した後、塗工した組成物の層に植毛することなく組成物の層が乾燥して形成された塗膜を用いて行った。この評価方法では、評価を0〜10点で数値化している。評価の良いものほど点が高く、最高点が10点である。本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、形成される塗膜の高温密着性の評価点数が8〜10である(実施例では、◎及び○である。高温密着性が優れる)ものが好ましい。
本明細書において「耐磨耗性」とは、JIS L1096に準拠したテーバ形法を用いて測定された、植毛されて形成される塗膜の耐摩耗性をいう。具体的には、ポリオレフィンから円形試験片を作製し、本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物を円形試験片表面に塗布した後、形成された組成物の層に植毛して、組成物の層を乾燥させて塗膜を得た。その後、この円形試験片をテーバ形磨耗試験機に取り付け、1分間あたり70回転で回転摩擦し、500gの荷重を加えて1000回磨耗したときに、試験片の外観の変化を目視によって観察して評価する。本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、試験片上の植毛して形成された塗膜の磨耗部分の外観を観察し、異常が認められない(実施例では、◎及び○である。耐摩耗性に優れる)ものが好ましい。
本発明において「貯蔵安定性」とは、組成物が経時変化しないで、貯蔵可能なことをいう。具体的には、組成物を金属容器に密閉し、40℃で30日間静置する前と後とで、外観、塗工性、塗膜と基材の密着性を評価することで行う。本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、静置の前後で、上記性質に、異常な変化が認められない(実施例では、◎及び〇である。)ものが好ましい。
更に、本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物を用いて植毛された基材が提供され、特に植毛されたポリオレフィン製の基材が提供される。
本発明に係る植毛用水分散型樹脂組成物は、ポリオレフィン製等の基材に植毛するために使用して、例えば、ピラー、グローブボックス、コンソールボックス、コインボックス及び眼鏡ボックス等の(植毛された)自動車内装部品及びガラスチャンネル等のその他の(植毛された)自動車部品等を製造するために好適に使用することができる。
本発明の主な態様を以下に示す。
1.
下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を含むことを特徴とする植毛用水分散型樹脂組成物。
(A)成分:下記化学式(1)で示される単量体(a)
CH=C(R)−COO−R (1)
[化学式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、単環式アルキル基である。]及びその他の不飽和単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体を含む水分散型樹脂組成物、
(B)成分:塩素化ポリオレフィンの水分散型樹脂組成物
(C)成分:エポキシ系シランカップリング剤。
2.
自動車内装部品を製造するための上記1に記載の植毛用水分散型樹脂組成物。
3.
単量体(a)は、シクロヘキシル(メタ)アクリレートである上記1または2に記載の植毛用水分散型樹脂組成物。
4.
(A)成分と(B)成分との固形分100重量部に対し、(C)成分の固形分が0.1〜1.0重量部である上記1〜3のいずれかに記載の植毛用水分散型樹脂組成物。
5.
さらに、造膜助剤を含む上記1〜4のいずれかに記載の植毛用水分散型樹脂組成物。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
実施例の(A)成分を得るために使用した単量体を以下に示す:
単量体(a)として
シクロヘキシルメタクリレート(以下「CHMA」ともいう);
その他の不飽和単量体として
2−エチルヘキシルアクリレート(以下「2EHA」ともいう);
スチレン(以下「St」ともいう);
メチルメタクリレート(以下「MMA」ともいう);
アクリロニトリル(以下「AN」ともいう);
メタクリル酸(以下「MAA」ともいう);及び架橋剤
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(以下「KBM502」ともいう)
を用いた。
以下、植毛用水分散型樹脂組成物の物性評価について記載する。
<ガラス転移温度(Tg)>
(A)成分に含まれる「共重合体のガラス転移温度(Tg)」は、共重合体の理論Tgの算出式(1)を用いて計算して求めた。
1/Tg=C/Tg+C/Tg+・・・+C/Tg (1)
[Tgは共重合体の理論Tg、Cはn番目の単量体nが単量体混合物中に含まれる重量割合、Tgはn番目の単量体nのホモポリマーのTg、nは共重合体を構成する単量体の数であり正の整数を示す。]
上述の単量体のホモポリマーのTgは、文献に記載されている値を用いた。CHMAについては、三菱レーヨン社のアクリルエステルカタログ(1997年度版)の値を、St、2EHA及びMMAについては、北岡協三著、「新高分子文庫7、塗料用合成樹脂入門」、高分子刊行会、1997年発行、第168〜169頁に記載の値を使用した。CHMA、St、MMA、2EHA、AN及びMAAの各々のホモポリマーのTgの値として、83℃、100℃、105℃、−85℃、94℃及び130℃を用いた。
(A)成分及び(B)成分の「固形分」は、水分散型樹脂組成物である(A)成分及び(B)成分の各々を105℃で3時間加熱して得た。
また、(A)成分の「濃度」及び(B)成分の「濃度」は、上述の「固形分」を得る際に、(A)成分及び(B)成分を105℃で3時間加熱する前の質量に対する(A)成分及び(B)成分の加熱後(固形分)の質量の百分率として求めた。
<粘度>
植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は、JIS K5400に記載された「回転粘度計法」に準拠して行い、回転粘度計、容器、温度計及び恒温水槽を使用した。「回転粘度計」として、JIS K7117に規定された単一円筒回転粘度計であるSB型回転式粘度計を用い、スピンドルNo.4を使用した。水温を30℃前後に設定できる「恒温水槽」を使用した。
恒温水槽を用いて、30℃に保った容器内の樹脂組成物内にて、スピンドルを60rpmで回転させ、樹脂組成物の抵抗によって生じたローターの回転の遅れを目盛板に指示し、粘度を求めた。尚、(A)成分の粘度は、上述の樹脂組成物の粘度測定と同様な方法を用いて行った。
<チクソトロピックインデックス(TI)>
植毛用水分散型樹脂組成物のTIは、上述の粘度測定において、スピンドルを6rpmで回転させた以外は、同様の方法で得られた粘度(以下「粘度(6rpm)」ともいう)を上述のスピンドルを60rpmで回転させて得た粘度(以下「粘度(60rpm)」ともいう)で除することによって得た。このTIの計算式(2)を以下に示す。
TI=粘度(6rpm)/粘度(60rpm) (2)
得られた植毛用水分散型樹脂組成物は、樹脂組成物の塗工性、形成される塗膜と基材との密着性、植毛して形成される塗膜の耐摩耗性及び樹脂組成物の貯蔵安定性を評価した。
<塗工性>
樹脂組成物の塗工性は、樹脂組成物を霧状にポリオレフィン製の基材に吹き付けるスプレー性を試験することで評価した。塗工性は、基材に全体的にむらなく均一な厚さで、組成物を塗工できている場合を◎、基材に全体的にほぼ均一な厚さで組成物を塗工できている場合を〇、全体的に不均一であり、塗膜の厚さにむらが有る場合、もしくは塗膜の厚さが目標とする厚さに達しない場合×とした。
<密着性>
植毛用水分散型樹脂組成物から形成される塗膜と基材との密着性は、JIS K5400に記載された碁盤目テープ法に準拠する碁盤目試験を行い評価した。即ち、作製した試験片上の塗膜を貫通して、ポリオレフィン製の素地面に達する切り傷を基盤目状に付け、この基盤目の上に粘着テープを張った。テープを剥がした後の塗膜の付着状態を目視によって観察した。カットの交差点においても全く剥れを認めなかった場合を◎(評価点数が10に対応する)、カットの線及びカットの交差点においてわずかに剥れがある(5%未満)が、全体的な剥れはない場合を〇(評価点数が8に対応する)、カットの線に沿って部分的又は全体的に剥れが有る(35%未満)場合を△(評価点数が6及び4に対応する)、全体的に大きな剥れが生じている(35%以上)場合を×(評価点数が2及び0に対応する)とした。
<高温密着性>
植毛用水分散型樹脂組成物から形成される塗膜と基材との高温密着性は、作製した試験片を80℃の恒温室に16時間養生して、試験片が冷めない間に爪またはコインにより強く引掻いた後の塗膜の付着状態を目視によって観察した。パイルの抜けや切れが無ないものを◎とし、パイルの抜けや切れが若干あるが、外観上問題無いものを〇、パイルが剥がれ、素地が見える状態を×とした。
<耐摩耗性>
植毛用水分散型樹脂組成物から得られる、植毛されて形成される塗膜の耐磨耗性は、JIS L1096に準拠したテーバ形法を用いる耐磨耗試験を行うことで評価した。即ち、ポリオレフィンから円形試験片を作製し、その円形試験片の表面に、樹脂組成物を塗布した後、形成された樹脂組成物の層に静電植毛法を用いて植毛し、組成物の層が乾燥することによって塗膜を得た。この植毛して形成された塗膜を有する円形試験片をテーバ形磨耗試験機に取り付け、1分間あたり70回転で回転させ、500gの荷重を加えて1000回磨耗した後の試験片外観を目視にて観察した。状態変化が無いものを◎、磨耗はしているがパイルの抜け、パイルの切れがほとんど無いものを〇、パイルの抜けや切れが目立つものを△、磨耗が著しくパイルがほとんど残らず下地が見える状態を×とした。
<貯蔵安定性>
植毛用水分散型樹脂組成物の貯蔵安定性は、組成物を金属容器に密閉し、40℃で30日間静置した後の、外観、塗工性、塗膜と基材の密着性が貯蔵前と比べて変化がないものを◎とし、外観にやや変化を認めるものの緩い攪拌で貯蔵前の状態に戻りかつ塗工性、密着性に変化がないものを〇とし、貯蔵前と比べて著しい差異を生じた場合を×とした。
<総合評価>
上述の性質の評価結果を総合的に考慮して、総合評価として記載した。いずれの性質も極めて優れており、性質のバランスも極めて優れる場合◎、いずれの性質も優れており、性質のバランスも優れる場合○、高温密着性のみ不十分であるが、他の性質(密着性も含む)は、優れる場合△、全体的な性質が劣る場合その程度を考慮して×と××とした。
実施例1の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
<(A)成分の製造>
攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた反応機に、160重量部の水及び0.5重量部のアデカのアデカリアソープSR10(商品名)を仕込み、系内を窒素ガスで置換した後、混合物を80℃に加熱した。
一方、別に準備した下記の単量体からなる単量体混合物(得られる共重合体の理論Tgは35℃である)、CHMA:70重量部、2EHA:18重量部、AN:10重量部、MAA:1.5重量部及び共重合性架橋剤KBM502:0.5重量部の均一溶液を、40重量部の水及び2.5重量部のアデカリアソープSR10からなる均一溶液に加えて、攪拌機を用いて攪拌しプレエマルジョンを調整した。
更にまた、重合触媒として、1重量部の過硫酸ナトリウム(以下「SPS」ともいう)を40重量部の水に溶解した水溶液を調整した。
上述の系内を窒素ガスで置換した反応機内に、上述のプレエマルジョン及び重合触媒であるSPSの水溶液の各々を同時に、反応機内の温度を80℃に保ったまま3時間かけて滴下し、更に80℃にて3時間攪拌を続けて、(A)成分の樹脂エマルジョンを得た。
得られた(A)成分の樹脂エマルジョンの粘度は40mPa・sであり、濃度は30重量%であった。
<(A)〜(C)成分の配合>
(A)成分である上述の組成物の固形分50重量部に対して、(B)成分として塩素化ポリオレフィンディスパージョンである日本製紙製のスーパークロンE633(商品名)を固形分で50重量部、(C)成分として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである東レダウコーニングシリコーンのSH-6040(商品名)0.5重量部を加え、粘度調整剤としてヘンケルテクノロジーズジャパンのヨドゾールKA10(商品名)を加えて粘度及びチクソトロピックインデックス(以下「TI」ともいう)を調節して、植毛用水分散型樹脂組成物を得た。その粘度は3000mPa・sであり、TIは4.0であった。評価結果は表1に示した。
実施例2の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
(C)成分のSH-6040を1.0重量部加えた以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。尚、植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3100mPa・sであり、TIは3.8であった。
実施例3の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
(A)成分である上述の組成物の固形分70重量部に対して、(B)成分として塩素化ポリオレフィンディスパージョンである日本製紙製のケミカルのスーパークロンE633(商品名)を固形分で30重量部、(C)成分として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである東レダウコーニングシリコーンのSH-6040(商品名)0.5重量部を加え、粘度調整剤としてヘンケルテクノロジーズジャパンのヨドゾールKA10(商品名)を加えて粘度及びチクソトロピックインデックス(以下「TI」ともいう)を調節して実施例1に記載した方法と同様の方法で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。尚、植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3000mPa・sであり、TIは3.8であった。
実施例4の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
単量体混合物を下記の単量体からなる混合物(得られる共重合体の理論Tgは35℃である)、CHMA:70重量部、St:10重量部、2EHA:18重量部、MAA:1.5重量部及び共重合性架橋剤KBM502:0.5重量部に変更して、得られた樹脂のエマルジョンを(A)成分とした。(A)成分の樹脂エマルジョンの粘度は40mPa・sであり、濃度は30%であった。
(A)成分を固形分で50重量部用い、(B)成分としてスーパークロンE633を固形分で50重量部加え、(C)成分としてSH−6040:0.5重量部、粘度調整剤としてヨドゾールKA10を加えて粘度及びTIを調節し、植毛用水分散型樹脂組成物を得た以外は、実施例1に記載した方法と同様の方法で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。尚、植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3100mPa・s、TIは4.1であった。
実施例5の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
(B)成分として、無溶剤型の塩素化ポリオレフィンディスパージョンである日本製紙製ケミカルのスーパークロンS-4397を用いた以外は実施例1に記載した方法と同様の方法で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3200mPa・sであり、TIは4.0であった。
実施例6の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
単量体混合物を下記の単量体からなる混合物(得られる共重合体の理論Tgは13℃である)、CHMA:60重量部、2EHA:28重量部、AN:10重量部、MAA:1.5重量部及び共重合性架橋剤KBM502:0.5重量部に変更して、得られた樹脂のエマルジョンを(A)成分とした。(A)成分の樹脂エマルジョンの粘度は30mPa・sであり、濃度は30%であった。
この(A)成分を用いた以外は実施例1に記載した方法と同様の方法で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3100mPa・sであり、TIは4.3であった。
実施例7の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
単量体混合物を下記の単量体からなる混合物(得られる共重合体の理論Tgは48℃である)、CHMA:70重量部、St:5重量部、2EHA:13重量部、AN:10重量部、MAA:1.5重量部及び共重合性架橋剤KBM502:0.5重量部に変更して、得られた樹脂のエマルジョンに、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートであるチッソのCS−12(商品名)を2.0重量部加えて(A)成分とした。この(A)成分の粘度は30mPa・sであり、濃度は30%であった。
この(A)成分を用いた以外は実施例1に記載した方法と同様の方法で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3100mPa・sであり、TIは4.1であった。
実施例8の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
単量体混合物を下記の単量体からなる混合物(得られる共重合体の理論Tgは36℃である)、CHMA:60重量部、St:10重量部、2EHA:18重量部、AN:10重量部、MAA:1.5重量部及び共重合性架橋剤KBM502:0.5重量部に変更して、得られた樹脂のエマルジョンを(A)成分とした。この(A)成分の粘度は30mPa・sであり、濃度は30%であった
この(A)成分を用いて粘度調節剤としてヨドゾールKA10を加える量を変えて、粘度及びTIを調節した以外、実施例1に記載した方法と同様の方法で植毛用水分散型樹脂組成物組成物を製造した。植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は1500mPa・sであり、TIは3.1であった。
比較例1の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
(B)成分を使用しなかった以外は実施例1に記載する方法と同様の方法で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3300mPa・sであり、TIは3.8であった。
比較例2の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
(A)成分を使用しなかった以外は実施例1に記載する方法と同様で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は2900mPa・sであり、TIは3.4であった。
比較例3の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
単量体混合物を下記の単量体からなる混合物(得られる共重合体の理論Tgは35℃である)、MMA:66重量部、2EHA:22重量部、AN:10重量部、MAA:1.5重量部及び共重合性架橋剤KBM502:0.5重量部に変更して、得られた樹脂のエマルジョンを(A)成分とした。この(A)成分の粘度は30mPa・sであり、濃度は30%であった。
この(A)成分を固形分50重量部に対し、(B)成分としてスーパークロンE633を固形分で50重量部加え、粘度調整剤としてヘンケルテクノロジーズジャパンのヨドゾールKA10(商品名)を加えて粘度及びチクソトロピックインデックス(以下「TI」ともいう)を調節して、植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3000mPa・sであり、TIは3.7であった。
比較例4の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
(C‘−1)成分として、モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社の3−アミノプロピルトリエトキシシランSILQUEST A-1100 SILANE(商品名)0.5重量部に変更した以外は実施例1に記載する方法と同様で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3100mPa・sであり、TIは3.6であった。
比較例5の植毛用水分散型樹脂組成物の製造
(C‘−2)成分として、信越化学工業のビニルトリメトキシシランKBM1003(商品名)0.5重量部に変更した以外は実施例1に記載する方法と同様の方法で植毛用水分散型樹脂組成物を製造した。植毛用水分散型樹脂組成物の粘度は3000mPa・sであり、TIは3.9であった。
実施例1〜8の植毛用水分散型樹脂組成物及び比較例1〜5の植毛用水分散型樹脂組成物について、上述した塗工性、密着性、高温密着性、耐摩耗性、貯蔵安定性を評価した。結果は、表1及び2に示した。
Figure 2014194038
a)単量体混合物に含まれる単量体及びその量(重量部)である。
b)共重合体のガラス転移温度(℃)である。
c)(A)成分と(B)成分の固形分の重量比である。
d)30℃での粘度(mPa・s)である。
e)30℃でのTIである。
Figure 2014194038
a)単量体混合物に含まれる単量体及びその量(重量部)である。
b)共重合体のガラス転移温度(℃)である。
c)(A)成分と(B)成分の固形分の重量比である。
d)30℃での粘度(mPa・s)である。
e)30℃でのTIである。
表1に示すように、実施例1〜8の植毛用水分散型樹脂組成物は、塗工性、密着性、高温密着性、貯蔵安定性が、いずれも○又は◎であり、その性質は総合的なバランスに優れ、総合評価は◎又は○であり、優れている。
これに対して表2に示すように、比較例1〜5の植毛用水分散型樹脂組成物は、(A)〜(C)成分のいずれかを含まないため、その性質は総合的なバランスに劣る。いずれも高温密着性は×になっており、総合評価は、比較例1〜2は××であり、比較例3は×であり、比較例4〜5は、△である。高温密着性に乏しい植毛用水分散型樹脂組成物は、夏場に高温となる自動車内装部品を製造するためには不向きである。
このように本発明に係る(A)〜(C)成分を含む植毛用水分散型樹脂組成物は、高温密着に優れ、自動車内装部品を製造するために好適に使用することができるのみならず、総合的なバランスに優れることが確認された。

Claims (5)

  1. 下記(A)成分、(B)成分および(C)成分を含み、ポリオレフィン基材に塗工されることを特徴とする植毛用水分散型樹脂組成物。
    (A)成分:下記化学式(1)で示される単量体(a)
    CH=C(R)−COO−R (1)
    [化学式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、単環式アルキル基である。]及びその他の不飽和単量体を含む単量体混合物を重合して得られる共重合体を含む水分散型樹脂組成物、
    (B)成分:塩素化ポリオレフィンの水分散型樹脂組成物
    (C)成分:エポキシ系シランカップリング剤。
  2. その他の不飽和単量体は(メタ)アクリル酸及びエチレン性シラン化合物から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の植毛用水分散型樹脂組成物。
  3. (A)成分と(B)成分との固形分の総重量100重量部に対し、(C)成分の固形分が0.1〜1.0重量部である、請求項1又は2に記載の植毛用水分散型樹脂組成物。
  4. 植毛用水分散型樹脂組成物は、造膜助剤を、更に含む、請求項1〜3のいずれかに記載の植毛用水分散型樹脂組成物。
  5. 自動車内装部品を製造するための請求項1〜4のいずれかに記載の植毛用水分散型樹脂組成物。
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